2016年08月29日

SPY/スパイ (Spy)

監督 ポール・フェイグ 主演 メリッサ・マッカーシー
2015年 アメリカ映画 119分 コメディ 採点★★★★

巷での評判がすこぶる良いので大きな声では言えませんけど、一連のダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドをさっぱり楽しめなかった私。良く出来たスパイアクションのはずなのに、観る度に別のスパイ映画を欲してきてしまうんですよねぇ。記憶の中に眠る、かつての楽しかったスパイ映画を。案外そういう人も少なくないのか、本家ボンドが気合を入れた作品を作り出した恩恵なのか、最近楽しいスパイ映画ってのが増えてきて嬉しい限りではありますけど。

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【ストーリー】
CIAの凄腕スパイであるファインを、息の合ったコンビネーションで遠く離れたオフィスからサポートする内勤の分析官スーザン。しかし、小型核爆弾の行方を追ってる最中、ファインはその行方を知る女性レイナに射殺されてしまう。レイナが他のエージェントの素性も知り尽くしていることからスパイを送れないCIAは、本人の希望もあり素性の割れてないスーザンを送り込む。なんとかレイナに近づこうとするスパイ初心者のスーザンだが…。

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おデブな内勤分析官がスパイとなって小型核爆弾の行方を追う様を描いたアクション・コメディ。リメイク版の『ゴーストバスターズ』が控えている、“フリークス学園”組のポール・フェイグが製作・監督・脚本を。
もう最初に言っちゃうけど、なんでこんなに面白いのが未公開なんだい?本国では今一番ノってるメリッサ・マッカーシーの日本での知名度に不安があるとしても、脇を固めているのがジェイソン・ステイサムにジュード・ロウといったメジャー級だし、本国のみならずアジア諸国でもスマッシュヒットを記録してるのに、日本では未公開。公開時期の2015年5月の状況を見てみても、決して洋画が大豊作とはいい難い状況なのにだ。なんだい?日本人はそんなに笑っちゃいけないのかい?
そんな愚痴から始めたくなるほど楽しめた本作。オープニング曲を含めベタベタのスパイ映画を再現しているが決して悪ふざけで済ませず、筋の通ったちゃんとしたスパイ映画としての土台が作り上げられており、その上でいちいち面白い笑いがふんだんに放り込まれている、アクション・コメディのお手本のような一本。しかも不慣れなスパイ業にドタバタする様を描くだけではなく、自分に自信が持てないため表舞台に立とうとしなかった女性が勇気を奮って一歩踏み出す様や、それを支える友情、男根主義的社会や性差別、容姿による差別に対し笑いと度胸を武器に立ち向かう様など、テーマも浮つかずにどっしりと芯を通しているのも立派。それもお高くとまらず、ちゃんと下品に
ちょっと大袈裟かもしれないんですけど、アメリカ産バディアクション映画に対する愛たっぷりに描き出したイギリス映画『ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!』に対する、アメリカからの返答なんじゃないのかと思えてくるほど楽しめた一本で。

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主人公のスーザンに扮したのは、クリステン・ウィグと共にコメディ界の中心に立ってる印象のある『ヴィンセントが教えてくれたこと』のメリッサ・マッカーシー。まだ追い掛けきれていないので(『タミー/Tammy』が観てぇのにDVDすら出てないし)本来の芸風は把握していないんですけど、その特徴的過ぎる体型を武器にした笑いにばかり目が行きがちだが、状況や扮装によってコロコロと変わるキャラを巧みに乗りこなす器用さに驚かされたりも。
一方、暴れん坊スパイに扮したのは『ワイルド・スピード SKY MISSION』のジェイソン・ステイサム。アクション俳優のイメージが強いせいか、なにやら彼のコメディ演技に驚いた人が多かったそうなんですけど、基本的にはいつものジェイソン・ステイサム。いつものジェイソン・ステイサムを面白くなる状況下に置いてるだけと言うか、『ミーン・マシーン』や『アドレナリン』を例に出すまでもなく、ジェイソン・ステイサムはいつも面白いんですよ。
また、従来型ハンサムスパイを喜々として演じていた『グランド・ブダペスト・ホテル』のジュード・ロウや、悪女感よりもガリガリで老け込んでる方が抜きん出ちゃってた『インターンシップ』のローズ・バーンも好演。
その他、メリッサ・マッカーシーとの凸凹コンビネーションがハマってたミランダ・ハート、女性版J・K・シモンズみたいな役柄がホントに似合う『Re:LIFE〜リライフ〜』のアリソン・ジャネイ、ジェシカ・チャフィンなどメリッサ・マッカーシーとの共演が多い顔触れや、恥ずかしながらその存在を初めて知ったんですけど、まるでジョン・バリーが作曲したかのようなアイビー・レバンによるテーマ曲も非常に印象的だった一本で。

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スパイにだけは見えないって点では合格

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2016年08月25日

沈黙の帝王 (The Perfect Weapon)

監督 ティトゥス・パール 主演 ジョニー・メスナー
2016年 アメリカ/スウェーデン映画 88分 アクション 採点★★

セガールって、映画の中では絶対神みたいなもんなんで、まぁず死なないですよねぇ。無敵。でも、そんなセガールも『エグゼクティブ・デシジョン』と『マチェーテ』では死んでるんですよねぇ。ただまぁ、『エグゼクティブ・デシジョン』では飛行機の尾翼にしがみついて何食わぬ顔で帰還していた可能性も否定できませんし、『マチェーテ』でもしっかりと生命活動の停止を確認していないので、後日鬼の形相で仕返し行脚に出向いている可能性も否定できず。なんかもう、セガール怖い

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【ストーリー】
セガールによってすべてが管理されるセガール全体主義国家となったアメリカでは、国家の敵となるものは全て工作員によって殺される運命にあった。そんな中、優秀な工作員であったコンドルは消されていた感情と記憶をひょんなことから取り戻し、死んだと思っていた元恋人のニーナと共にセガールに立ち向かうのだが…。

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スウェーデンの若手監督の作品に、セガールが「オレがちょいと一噛みしてやるよー」と製作総指揮を名乗り出て、箔付けだけのゲスト出演なのに最終的に乗っ取っちゃった感じのSFアクション。『ティアーズ・オブ・ザ・サン』の“なんちゃってヴィゴ・モーテンセン”が辛うじて記憶にあるジョニー・メスナーを主演に、『キンダガートン・コップ』のリチャード・タイソン、『コマンドー』のヴァーノン・ウェルズらが共演。
掻い摘めば、『リベリオン』からガン=カタを抜いてセガールを足した感じの本作。すべてが監視される管理社会の頂点に君臨しているのがセガールだってのは、ビッグブラザーが管理している社会なんかよりも遥かに怖い。鬼の包丁片手に直々に粛清しに来ちゃいそうですし。関西弁で喋りながら
まぁ、そんな雰囲気こそ悪くはないんですけど、映画としてはお粗末の極み。監視社会として描かれてるのは序盤のみで、著名人が顔を晒して反政府活動してたり、国家に追われる主人公が普通に家に帰ってたりと、設定がさっぱり機能していない描写の連続。また、物語上重要な“何故”や“どのように”がきれいに抜け落ちてるので、不可解・不用意・矛盾のオンパレード。アクション自体にもこれといった見どころもない、やりたいことは分かるが全然やれてない残念な一本で。

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そんな残念な一本ではあるんですけど、今回のセガールは凄い
沈黙のSHINGEKI/進撃』の時と同様ゲスト扱いなので出番は少ないんですけど、若い全裸の娘を傍らにはべらかし、その娘の尻を満面の笑みで見つめ、モシャモシャとした日本語を喋り、東洋医学のうん蓄も披露する“セガール・ワールド”全開。しかも、アクションシーンとなれば主人公をコテンパンにしてしまう絶対神っぷりも健在。ってか、悪の親玉の圧勝って斬新。
もちろんセガールが圧勝したままセガールの笑みで終わっちゃうと流石にアレなので、一応負けてみたりするセガール。ネタバレにはなっちゃいますけど、死んでみたりもするお茶目なセガール。でも、そこは流石セガール。死ぬけど死んでない。何を書いてるのかサッパリでしょうけど、文字通りの展開。普通の映画なら反則になる手を堂々と使っちゃう、まさにセガールが神として君臨する世界。主人公ですら刃向かえず。
可能な限り楽が出来、若い娘の裸を拝め、一番強いのは自分というセガールが求めるセガール映画の完成形を垣間見た気もした本作。映画としてはアレですし、映画人としてのセガールもアレなんですが、なんか理想的な老後を過ごしているセガールがちょっと羨ましかったので★オマケ気味に。

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セガールに勝てるのはセガールのみ

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2016年08月23日

ちょいと一言

私がどっちの方向を向いて、何について言ってるのかは各々の判断と物差しに任せるとして、最近の“坊主憎けりゃ袈裟まで憎い”って風潮は気持ち悪いですよねぇ。言論に息苦しさを作り上げてるのはどっちなんだと。
「素直とおおらかが一番!」と、短気の塊みたいな私が言ってみましたよと。

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タグ:雑記
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2016年08月16日

エンバー 失われた光の物語 (City of Ember)

監督 ギル・キーナン 主演 シアーシャ・ローナン
2008年 アメリカ映画 90分 ファンタジー 採点★★★

シアーシャを見たかっただけですよ

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【ストーリー】
地上での生存が出来なくなった人類は、その存亡をかけ地下都市“エンバー”を建築。時が経ち、耐用年数の200年を超えたエンバーは老朽化し、崩壊寸前となっていた。街がそんな事態に陥っていることを知らない住人たちであったが、一人の少女リーナは謎の箱を自宅で発見。その箱にはエンバーの秘密が書かれており…。

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ジェニー・デュープロによる同名小説を、残念な方の『ポルターガイスト』を撮ったギル・キーナンが映像化した機械仕掛け系ファンタジー。製作にトム・ハンクスの名前も。
レトロ調な死にゆく街並みや機械類、原因は分からないが巨大化した生物と、どことなく毒気の抜けた“Fallout 3”のような雰囲気がなかなかいい感じの本作。限定空間で作り上げられた生活様式など、独特な面白味も。
ただまぁ、面白いのはそのざっくりとした雰囲気のみで、ファンタジーとしてもアドベンチャーとしてもSFとしても非常に中途半端な仕上がりが残念。過去の市長が肝心なことを伝えないまま死んじゃうウッカリをやらかしたのはまぁいいとしても、子供のために脱出を決意しながらも肝心の子供は置き去りという話の雑さがそこかしこに目立つのも気になるところ。敢えて語らないことで想像力を膨らませる狙いがあるんでしょうけど、その話が粗すぎるので想像するよりも前に「ま、いっか」ってなっちゃう感じも。まぁ、サクっと雰囲気だけを楽しむ作品ってところかなぁ。

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ネジの緩み具合が狂気すら漂わせていた『宇宙戦争』のティム・ロビンスや、“食わせ者”って感じがよく出てた『ヴィンセントが教えてくれたこと』のビル・マーレイ、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のトビー・ジョーンズに、マーティン・ランドーといった作品のスケールが小さい割に顔触れだけは豪勢だった本作。
でもやっぱり見どころは、『ロスト・リバー』『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』のシアーシャ・ローナン。シアーシャだけが見たかったわけですし。で、今回のシアーシャ。もともと永遠の思春期みたいな彼女なので、若さゆえの天真爛漫さと成長による周囲や大人に対する不信が良い具合に混ざった、いつもの危うさ全開。抜群に似合う赤いケープ姿やお楽しみの囁き声も堪能できたので、“シアーシャだらけの90分”を楽しむって意味では満足できた一本で。

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“生物が巨大化”じゃなく“人間が縮小”の方が面白かったかも

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2016年08月10日

2016年上半期 ベスト&ワースト

変なタイミングでの上半期ランキングですが、ちょっと別なことに夢中になると途端に疎かになるサブタレらしくていいかなと。製作年度による括りなんかじゃなく、今年私が初めて観た作品からの選別なので微妙に古い作品も混ざってますけど、まぁいつものことなんでご愛敬ってことで。また、今この瞬間に思いついた順位なんで、月間ランキングの順位がさっぱり反映されてないってのもご愛敬で。
それでは、意識の半分がオリンピック中継鑑賞に割かれている状態でランキングを作りましょうかねぇ。

ベスト
@シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
A裏切りのサーカス
Bキャプテン・フィリップス
Cマーシュランド
DMUD マッド
Eリンカーン弁護士
Fピエロがお前を嘲笑う
Gパラドクス
Hカンフー・ジャングル
Iブリッジ・オブ・スパイ
J死の恋人ニーナ

アベンジャーズよりもアベンジャーズらしい@がまず印象に残った上半期。笑いも含め非常に高い娯楽性を保ちながら、目的は同じでもアプローチが違う正義論など重めのテーマを描き切った手腕が見事。今現在のところのマーベル作品最高峰なのかと。Aのジワジワと深いところに迫っていく面白味とドキドキ感は、映画的というより読書的な面白さ。キャストの存在感、物語の面白味、演出が合致しただけではなく、きちんと同性愛的な香りをスパイスで漂わせて個性も持たせたのも流石だなぁと。Bはポール・グリーングラスらしい社会性と娯楽性の高さ、Cの骨太さも忘れ難し。DEはもうマシュー・マコノヒー。マコノヒー!FGは奇抜なアイディアをしっかりと映像で見せ切った手腕に。Hの深いカンフー愛に感動する一方で、消え去りつつある香港映画に愁いを。Iは今となっては記憶もおぼろげなんですけど、スピルバーグの職人芸は楽しめたなぁと。次点のJは、監督本人がこんな場末のレビューを読んでくれたって驚きから。

ワースト
@ムカデ人間3
ASEXテープ
Bポルターガイスト
Cカリフォルニア・ダウン
Dゾンビーバー
Eファンキーランド
Fグッドナイト・マミー
Gスター・ウォーズ/フォースの覚醒
Hクリード チャンプを継ぐ男

ワーストに関しては手短に。
トム・シックスは結局面白半分なだけで何にもわかってない人間だってのが露呈した@、このキャストとスタッフでここまで笑えない作品なった事故みたいなA、作った意味もこういう風に仕上げた意図もわからないBがダントツ。大味にも程があるC、悪ふざけの域を出なかったD、笑えるコメディを作るセンスにも笑えないコメディを作るセンスにも欠けてたE、ただただ嫌いだったFがそれに続く感じ。GとHは最近のリブート流行にも言えるんですが、過去の遺産に乗っかって、あざといサービス精神だけで出来てるような感じが好きになれず。

ざっくりとこんな感じのランキング。2016年もとっくに後半戦。アメコミ映画と怪獣が2016年を席巻しそうな勢いではありますけど、「とは言ってもこの作品が忘れ難いんだよなぁ」って良作に出会えればいいなぁと。

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2016年08月08日

ザ・ガンマン (The Gunman)

監督 ピエール・モレル 主演 ショーン・ペン
2015年 アメリカ/スペイン/イギリス/フランス映画 115分 アクション 採点★★★

リーアム・ニーソンやデンゼル・ワシントンみたいに、非アクション系の演技派俳優が50代を迎えて突如アクションに開花するパターンが増えてきましたよねぇ。“強くてカッコいいオレを見ろ!”というかセガール化というか。不惑の40代とは言いますが、私なんかもそうなんですけど迷走に迷走を重ねた40代を通過すると、何か開き直りの境地にでも達するんでしょうかねぇ。てことは、私も50になったら突然限界突破の筋トレとか始めちゃうんでしょうかねぇ。なんか楽しみになってきた、50歳。

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【ストーリー】
コンゴの大臣暗殺の任務を遂行した特殊部隊の傭兵ジムは、最愛の恋人を現地に残したままアフリカの地を去る。8年後、NGOのメンバーとしてアフリカに戻り慈善活動を行っていた彼のもとに、突如謎の襲撃者が現れる。自分を襲った敵の正体を知るべく動き出したジムであったが、その背後には彼自身の過去が大きく関わっていて…。

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過去にアラン・ドロン主演の『最後の標的』としても映画化された、ジャン=パトリック・マンシェットの“眠りなき狙撃者”を『96時間』のピエール・モレルがメガホンを握って再映画化したアクション・サスペンス。主演のショーン・ペンが製作と脚本にも名を連ねている。
「いよいよショーン・ペンが50男アクションに!」と驚かされたが、そこは流石ショーン・ペン。途上国における欧米企業の悪行三昧やら、巨大な社会悪にその歯車であった男が挑むみたいな彼らしいジャーナリズム的な香りも漂う一本に。ざっくりと言えば“セガール版『ナイロビの蜂”的な、見応えある一本に。
しかしながら、その“見応え”はテーマや役者の重厚感に因るものが大きく、アクション・サスペンスとしては中身がメタメタ。“過去の悪行の記録”ってのが事件の発端となっているのだが、その記録が残ってる理由が“病気で物覚えの悪い主人公がたまたま何でもメモする癖があるから”ってな唖然とする代物だし、敵はすぐ探せる割に残した恋人に会うためにトンチンカンな場所で井戸掘ってたり、クライマックスの対決に至ってはたまたま開けたドアから飛び出てきた暴れ牛が解決するという、作品の雰囲気に誤魔化されているが、よくよく考えれば珍妙なシーンの連続。社会問題を提起する主張ばかりが先に立ってしまい、最も肝心な面白い映画作りってのを疎かにしちゃった感じの残念な一本で。

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凄腕だけど忘れっぽい主人公に扮したのが、『カリートの道』のショーン・ペン。狂犬のような顔立ちや若い頃から何気に鍛え込んでいた肉体など、もともとアクション映えする役者ではあるので全くもって違和感なし。ドラマ部分のみならず、身のこなしや銃さばきなどアクション部分でも彼らしいのめり込みっぷりを見せてくれてたのは流石だなぁと。
そんなショーン・ペン以外にも、ヌメっとした憎々しさが相変わらず見事かつ嫌だった『007 スカイフォール』のハビエル・バルデムや、裏社会の熱い男気を飄々と表現していた『X-ミッション』のレイ・ウィンストン、終盤になって突然絡んでくるだけの割に扱いが大きかった『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』のイドリス・エルバ、主人公同様に狙われる立場のはずが「会社に気に入られてるから!」ってだけで主人公を追う立場に居座れてる不思議な悪役に『ブリッジ・オブ・スパイ』のマーク・ライランスが配されるなど、実力派の顔触れがその力量をしっかりと発揮していた本作。そんな役者の存在感が生み出した重厚感に★ひとつオマケしますけど、「なら、もうちょっとちゃんと作ろうや!」って思いも募っちゃう一本で。

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ある意味ショーン・ペン流ナルシス爆発映画でも

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2016年08月07日

X-ミッション (Point Break)

監督 エリクソン・コア 主演 ルーク・ブレイシー
2015年 アメリカ/ドイツ/中国映画 114分 アクション 採点★★

アウトドアといったらせいぜい釣りくらいしかやらない私なんで、エクストリームスポーツとやらに全く興味が無いように思われますが、死ぬ前に一度くらいはスカイダイビングをやってみたいんですよねぇ。ウイングスーツとやらを着てやってみたいですし。まぁ、基本的に不器用なので間違いなく“死ぬ前の一度”になっちゃうんでしょうけど。

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【ストーリー】
親友の死をきっかけにエクストリームスポーツの世界を離れ、FBIの捜査官となったジョニー・ユタ。一方その頃、エクストリームスポーツを用いた強盗事件が世界を股にかけ立て続けに発生。事件にボーディ率いるアスリートチームが絡んでいると踏んだジョニーはチームに接近、潜入に成功するのであったが…。

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キアヌ・リーヴスの『ハートブルー』をド迫力のXスポーツ満載でリメイクしたアクション。『リベリオン』のカート・ウィマーが脚本と製作を務め、『ワイルド・スピード』などで撮影を手掛けてきたエリクソン・コアが監督を。
ウイングスーツで険しい渓谷の間を滑空したり、絶壁をスノーボードで滑り降りるなど正気のネジが吹っ飛んだXスポーツの数々を、ライブアクションだからこそ生み出せた迫力で映し出した本作。そのアクションの数々を「ホエェェッ!」と驚きながら楽しむタイプの作品なので、本来なら物語なんかにケチをつけるのは野暮ってもの。しかしながら、それらのアクションを素直に堪能しようにも、ドラマの部分が妙に重々しくて存在感を発揮しちゃうので、アクションに集中しきれず。これでドラマが最低限のラインで成立してればいいんですけど、エコテロリストの禅問答めいたやりとりやら、立ち位置が全然わからないヒロインやらと、存在感がある割にデタラメなのでアクション部を活かすどころか殺してしまって始末に負えず。『ハートブルー』であることを忘れかけてた頃に突然、例の上空に銃を撃ちながら「ウワー!」が再現されちゃうんですけど、溜めやタイミングが下手過ぎて出来の悪いパロディかゴッコみたいでしたし。
潜入捜査の結果生まれる友情やら強盗のシビれるカッコ良さもほとんどない、アクションシーンだけをスキップしながら観るような作品ではありましたけど、ワンアイディアを体を張って作り上げた、昔の二本立て映画の片っぽみたいな雰囲気は感じられたのは良かったかなぁと。

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サーフィンを中心に据えたオリジナルを超えようと思ったのか、あらゆるエクストリームスポーツに手を広げて欲張っちゃった結果、その一つを極めた人でも難しそうなチャレンジを全て成功させちゃうスーパーマンみたいな主人公になっちゃった今回のジョニー・ユタに扮したのは、『スパイ・レジェンド』のルーク・ブレイシー。『RONIN』の頃のショーン・ビーン的な、なんか“負け”が似合う顔立ちは嫌いではなく。ラスト近くの濡れたロン毛姿が、キアヌとパトリック・スウェイジを足した“ひとりハートブルー”みたいだったのも印象的で。
一方のボーディに扮したのは、『ゼロ・ダーク・サーティ』のエドガー・ラミレス。『マトリックス』のモーフィアス同様どこか胡散臭く、雰囲気こそあれど「一生ついていきます!」となるようなカリスマ性がないってのが残念。「地球環境がぁ」って口走る人を個人的に全く信用していないってのもあるんでしょうけど。
その他、結局どんな人なのかさっぱり分からなかったけど、そのエキゾチックな顔立ちとダイナミックな身体に目が釘付けになってしまったヒロインに扮した『アイ・アム・ナンバー4』のテリーサ・パーマーや、『ドミノ』のデルロイ・リンドー、せっかくこの人を使うならもっとその味を出せばよかったのにともったいなく思えた『ザ・ガンマン』のレイ・ウィンストンらが出演。

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上で待ってれば良かったんじゃね?

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2016年08月06日

オデッセイ (The Martian)

監督 リドリー・スコット 主演 マット・デイモン
2015年 アメリカ/イギリス映画 144分 SF 採点★★★★

金を持った映画オタクが「伝説的な映画を作るぞ!」と設立された、金の使い方としては最高の例であったレジェンダリー・ピクチャーズが中国の大連万達グループに買収されたってニュースには、大きな驚きと失望にも似た感情を覚えましたねぇ。これまでも巨大な中国マーケットを意識して、“世界平和に貢献する最先端科学の国”みたいな不自然なまでの中国推しが目立っていたハリウッド大作なんですけど、これにレジェンダリーの作品まで混ざるのかと。ただまぁ、中国が出る度になんでもかんでも「まただ!」と騒ぎ立てるのも、映画の楽しみ方としては健全ではないのかなぁとも。原作の段階で既にあるのに調べもせずに騒いでみたり、別段作品のバランスを崩してないのに貶すのはどうなのかなぁと。

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【ストーリー】
火星での有人探査計画に従事していたアレス3のクルー達は、突如襲った砂嵐によりミッションを中止し火星からの脱出を決定。しかし、宇宙船へと向かう途中で植物学者のワトニーは折れたアンテナの直撃を受け行方不明に。生存が絶望視されたワトニーを残し火星を脱出するが、ワトニーは奇跡的に一命を取り留めていた。ひとり火星に取り残された彼は、次の火星探査機がやって来る4年後までサバイバル生活を余儀なくされるのだが…。

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アンディ・ウィアーによる小説“火星の人”を、『プロメテウス』のリドリー・スコットが映像化したSFアドベンチャー。脚本と製作総指揮に『キャビン』のドリュー・ゴダードが。
そういえば『ミッション・トゥ・マーズ』でドン・チードルがひとりで盆栽してましたけど、どうやら火星に取り残されると何か生やしたくなるようですねぇ。それはさて置き、老境に達しなにか新しい命のあり方を模索しているかのような雰囲気も漂うリドリー・スコットが、過酷な火星でのサバイバルの様子を思いのほかたっぷりと放り込まれたユーモアと緻密な描写で描き切った本作。孤独で切実な息苦しい作品になりそうなテーマをここまで軽快なアドベンチャー作に仕上げられたのも、そのユーモアとそれを体現できるマット・デイモンの持ち味があったからこそなのかと。主人公のみならず、登場人物のほぼ全員がひたすらポジティブな様には、基本ひねくれ者の私も「やっぱポジティブっすよね!」と素直に感動。あんな状況、後ろ向きになった瞬間に負けですし。また、科学考証云々に関しては物理学者でも宇宙科学者でもないので何とも言えませんが、「なんかそれっぽい!」という映画的リアリティに溢れていたのは流石リドリー・スコット。
強いて言えば、クライマックスからバタバタとしてしまうのが惜しかった本作。そのクライマックスに中国が登場し、先端科学技術を誇りワトニー救出に手を差し伸べる様に「またか!」と思われた方も居られたようですが、この辺は基本的に原作通り。やや唐突な感じは否めなかったんですけど、それよりもかつては米ソが手を結ぶことが世界平和への第一歩みたいな感じだったものが、今ではそれが米中になったんだなぁと時代の流れをひしひしと。この調子だと、もし『レッドブル』がリメイクされたら、そのレッド野郎はロシアからじゃなく中国からやって来ることになるんだろうなぁと。まぁ、表立って敵扱いしづらいってジレンマもあるのかも知れませんけど。

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主人公のワトニーに扮したのは、待ちに待った『ジェイソン・ボーン』が控える『幸せへのキセキ』のマット・デイモン。すこぶる頭が良く、尚且つ茶目っ気たっぷりでユーモアを忘れない。どんな状況に陥っても易々とは諦めず、過剰な悲壮感も漂わせない。もうまさにマット・デイモンそのもののイメージがワトニーに合致した、これ以上ないキャスティング。ほとんど本人を見ているようだったので、リドリー・スコットの映画を観ているって充実感よりも、マット・デイモン映画を観ている充実感の方が圧倒的に勝ったほどで。
その他、どんどんブライス・ダラス・ハワードと見分けがつきにくくなってきた『インターステラー』のジェシカ・チャステインや、別段笑いやリアクション能力が活かされてたわけじゃないのでちょっともったいなかった『俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク』のクリステン・ウィグ、『グッドナイト&グッドラック』のジェフ・ダニエルズ、出演作にハズレの少ないアントマン』のマイケル・ペーニャ、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のセバスチャン・スタン、『ヘラクレス』のアクセル・ヘニー、『ソルト』のキウェテル・イジョフォーに、『サンシャイン2057』では大いにやらかしていたベネディクト・ウォンなど、濃いめの顔触れが隅々に。
そんな中でも、やはり注目は『ピクセル』のショーン・ビーン。当然。「ショーンが観たい!」ってのがほとんどの原動力でしたし。で、今回のショーン。官僚的なNASA長官と対立するクルー思いのフライトディレクターという、“優しい方”のショーン。“クルー思いの現場監督”というと熱血漢をイメージしますが、どこか弱腰で、ワトニー救出の奇策をこっそりクルーに教えるも瞬く間にバレてクビ宣告。結果オーライでクビ回避かと思いきや、「それはそれ!」ってんであっさりクビになっちゃう相変わらずの切なさ。新ロケットの打ち上げも見ずにゴルフに興じるラストは、なんか楽しそうだからいいけどやっぱり居た堪れず。そんなショーンを見れた充足感と、“スターマン”ではなくベタを恐れずどこか別のシーンで“火星の生活”を流して欲しかった気もしますが、それでもボウイを聴けた喜びってのは変わらず大きいので満足度の高かった作品で。あ、ブルーレイに収められていたショーンのNGシーンが可愛かったってのを最後に。

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ウジウジしない

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2016年08月04日

エージェント・ウルトラ (American Ultra)

監督 ニマ・ヌリザデ 主演 ジェシー・アイゼンバーグ
2015年 アメリカ/スイス映画 96分 アクション 採点★★★

深夜のコンビニ店員って、接客業に携わる人たちの中でもトップクラスに覇気がないですよねぇ。ほぼほぼ死人。他人が寝ている時間に働いているんだから何かと大変なんでしょうけど、基本的に全てが面倒くさそう。まぁ、異常に元気がいい店員のいる深夜のコンビニもちょっと嫌ですけど。適材適所ってやつですかねぇ。

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【ストーリー】
田舎町のコンビニで働くマイクは、恋人のフィービーと共にハッパを楽しみながら日々ぐうたらに過ごすダメ人間。そんなある日、店に現れた謎の女性が発した暗号めいた言葉を聞き、彼の中の何かが覚醒。程なく現れた2人組の暴漢を難なく返り討ちにしてしまう。身に覚えのない能力に驚くマイクとフィービーの前に、謎の殺し屋が次々と現れ…。

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『クロニクル』の脚本を手掛けたジョン・ランディスの倅マックス・ランディスの脚本を、『プロジェクト X』のニマ・ヌリザデがメガホンを握って映像化したバイオレンスアクション・コメディ。
“ボンクラなコンビニ店員が実は凄腕エージェントでした”っていう、その設定の高低差を楽しむタイプの本作。そう考えると、『アドベンチャーランドへようこそ』のジェシー・アイゼンバーグ&クリステン・スチュワートが見せるボンクラパートは見事。ダルさや田舎に閉じ込められた若者の焦燥感、仄かに可愛らしい恋愛模様など味のあるシーンの目白押し。しかしながら、そこから一転跳ねなければならないアクションや笑いのシーンがてんでダメ。誇張にもメリハリにも乏しいので、吹っ飛んだキャラクターやムチャクチャなCIAのやり口など作品の“味”になりそうなところが“粗”に成り下がっちゃったのは非常に惜しいなぁと。主演二人の“重さ”ばかり際立っちゃってましたし。「分かってる人が撮ってれば…」と、なんとも口惜しい印象ばかりが残っちゃった一本で。
ただまぁ、笑いのセンスはさて置き、“ゴリラ好き”ってのをマックス・ランディスが父親からしっかり譲り受けてたってのを確認できたのは嬉しかったかなぁと。

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主人公のマイクに扮したのは、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のジェシー・アイゼンバーグ。人間的な温かみってのを感じさせない分、常人を超越した天才役なんかがハマる彼なので、本作の“実は凄腕エージェント”ってのも非常に似合う。アクションをやっている姿こそ違和感ですけど、その違和感こそがこの作品の味なので問題なし。これで、アクション演出がキレッキレだったら良かったんですけどね。
一方、恋人役のフィービーには『アリスのままで』のクリステン・スチュワート。“表現力豊か”とはちょいと言い難いタイプの彼女ですけど、今回のようなゴス的な体温の低いキャラクターを演じさせればピカイチなので問題なし。何気に面倒見が良いってのも好ポイント。男をダメにする典型的なパターンって気もしますが、彼女相手ならダメになりたいなぁとも。
その他、人間の卑しさを全面に打ち出してた『インターステラー』のトファー・グレイスや、『エルム街の悪夢』のコニー・ブリットン、なんかクリント・ハワードみたいだった『マチェーテ・キルズ』のウォルトン・ゴギンズに、ゲスト扱いっぽかった『イコライザー』のビル・プルマンらが出演。
そんな中で最も強烈な印象を残してくれたのが、片田舎の麻薬密売人に扮した『ジョン・ウィック』のジョン・レグイザモ。最近のレグイザモって、ホント短い時間の小さな役柄の中で強烈なインパクトを残す好演が続いてるなぁと。

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このコンビメインの方がよかったかも

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posted by たお at 12:13 | Comment(4) | TrackBack(17) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月02日

パパVS新しいパパ (Daddy's Home)

監督 ショーン・アンダース 主演 ウィル・フェレル
2015年 アメリカ映画 96分 コメディ 採点★★

アラアラ、随分とご無沙汰になってしまいましたが相変わらずカラ元気のたおですよ。最近さっぱり映画を観ていないってのと、書こうと思いつつも題材が若干きな臭いので躊躇してるうちにスッカリと放置状態になっちゃったサブタレですけど、まだ飽きたわけではないので気長にお付き合い頂ければと。で、久々に映画を観てレビューを書くなら「やっぱフェレルだろ!」ってんで選んでみたんですけどねぇ…。

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【ストーリー】
不慮の事故で子供を作れない身体になってしまったブラッドだったが、子持ちの美女サラと結婚し念願の“パパ”に。子供たちとの距離も徐々に縮まり幸せな家庭を築き始めていた矢先、サラの前夫で子供たちの実父ダスティが突如戻ってくる。“パパ”の座を巡り争う二人であったが…。

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ウィル・フェレルとマーク・ウォールバーグの『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』コンビが贈る、“パパ”の座を巡って養父と実父が争うドタバタコメディ。メガホンを握ったのは、『なんちゃって家族』の脚本も手掛けたショーン・アンダース。
暴力を嫌う真面目で優しい家庭人のお手本のような主人公の前に、それとは真逆のワイルドで魅力的だが家庭人としての責任感は全くない前夫が現れ騒動になる様を描いた本作。基本的にテリトリーが侵食されるタイプの作品はそれがコメディであっても苦手なんですけど、「フェレルだから大丈夫!」と思って挑んだ私が甘かった。テリトリーが侵されていくイライラと恐怖感を笑いがカバーしてくれてれば救いもあるんですが、ボクシングのチャンピオンに全裸で詩の朗読で挑むようなベクトルの違い過ぎる対決で輝きを放つフェレルの持ち味を活かさず、フェレルとウォールバーグを同じフィールドに立たせてしまったために笑いは常時低空飛行。自分の立ち位置をハッキリさせないために事態を悪化させるだけの妻には苛立つだけだし、予定調和的に“真面目が一番”に着地するオチに作り手側が全然そう思っていそうにないから、“子供を作るのは簡単だが、親になるのは大変”ってテーマが浮き出てこないってのも痛かった一本で。

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真面目で優しくスムースジャズを愛する主人公に扮してるだけに爆発力には欠けていたものの、要所要所に爆発し、シッカリとお楽しみでもある世界有数のだらしない肉体を披露してくれたウィル・フェレル。一方、チンピラ臭抜け切らない人たらしに扮したマーク・ウォールバーグ。双方がその持ち味を出していただけに、作り手がそれを活かせてなかったのがなんとも残念だった本作。対決してるはずなのに互いにさっぱり交じり合わないくらいの暴走を見たかったなぁと。
その他、前の旦那に一言「出ていけ!」と言えば済むだけの妻役に、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のリンダ・カーデリーニ、『アントマン』のボビー・カナヴェイル、『幸せへのキセキ』のトーマス・ヘイデン・チャーチらが共演。
顔触れの割にちょいと残念な印象が残っちゃった本作ですけど、『12 ラウンド』のジョン・シナを見れたのは嬉しかったなぁと。

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結局“便利な旦那が一番いい”ってことなんでしょうねぇ

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posted by たお at 13:26 | Comment(2) | TrackBack(2) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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