2015年09月09日

ワイルド・スピード SKY MISSION (Furious Seven)

監督 ジェームズ・ワン 主演 ヴィン・ディーゼル
2015年 アメリカ/日本映画 140分 アクション 採点★★★

どうやってもポール・ウォーカーの死について避けて書くことが出来ないので、冒頭に触れさせてもらおうかと。その死がファンに与えた衝撃や悲しみは未だ記憶に新しく、まずは追悼の意を。でも、「コイツ、また何を言い出してんだ?」と思われるかも知れませんが、ポール・ウォーカーは死んじゃいけなかったんですよね。避けられない不慮の事故や病気なら仕方がないかもしれませんが、スターは最低限製作期間中は生きていてもらわないとダメなんです。完全な形での完成を心待ちにしていたファンを失望させちゃいけないのはもちろんのこと、本来なら心の底から楽しめるはずの作品に死の記憶が刻み込まれ、今後も出るであろう新作を観るたびに「あぁ、ポールがいてくれたら…」とファンを悲しませ続けるのだから。だからこそ、ポール・ウォーカーは死んじゃダメだっただと。

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【ストーリー】
オーウェン・ショウ率いる国際犯罪組織を壊滅させたドミニクと仲間たちは、ロサンゼルスに戻り平穏な日々を送っていた。しかし、弟オーウェンの復讐に燃える元特殊部隊の暗殺者デッカードが、手始めに東京にいたハンを殺害してドミニクらに宣戦布告。神出鬼没のデッカードによる容赦ない攻撃に窮地に陥ったドミニクらだったが…。

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欠かすことの出来ない主演スターの死を乗り越え完成した、“ワイルド・スピード”シリーズ第7弾。シリーズ復活の立役者であるジャスティン・リンに代わってメガホンを握ったのは、『狼の死刑宣告』以来の非ホラー作品となるジェームズ・ワン。劇場公開版よりちょいと長いエクステンデッド版とやらで鑑賞。
前作『ワイルド・スピード EURO MISSION』から連続する物語で描かれる本作。『ワイルド・スピード MEGA MAX』から顕著になった、一歩間違うと笑いになってしまう境界線ギリギリまで、と言うか軽くその線を踏んだやぶれかぶれなやり過ぎアクションが満載。もう車に対する偏愛も、そもそも車である必要すらなくなっているのに、それでいて“ワイルド・スピード”らしさってのが出ている一本。
手を広げ過ぎてまとまり付かなくなってる印象も強いし、せっかく『マッハ!無限大』のトニー・ジャーや『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』のロンダ・ラウジーが出てるのに、変な工夫を凝らされた撮り方や素材の活かせなさが肉体アクションを台無しにしちゃってる感も大きいのだが、これまでの主要キャストが勢ぞろいしてファミリーを前面に押し出してくる、気軽に楽しめる不良映画としてのシリーズの持ち味を殺す所まではいってないのは流石だなと。

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なんかもうマンガのような登場の仕方が圧巻だった『ワイルドカード』のジェイソン・ステイサムを筆頭に、生ターミネーターと化してた『ヘラクレス』のドウェイン・ジョンソン、ちょっとご無沙汰な気がする『デス・プルーフ in グラインドハウス』のカート・ラッセルら、ツルんとしてるか車の運転が上手そうか若しくはその両方っていう豪華スターが、各々主演スター時の強さのまんまで登場する、真の対決映画として楽しめる本作。まぁ、大見栄切るシーンがそれぞれにあるおかげでとっ散らかってる印象が強くなってるし、その存在感の故に肝心のヴィン・ディーゼルがミシェル・ロドリゲスとイチャイチャしてばっかりの印象となっちゃってるんですが。
ヴィン・ディーゼル自身も第10弾まで作ることを示唆しているし、現に第8弾の製作準備に入っているってアナウンスも。ジェイソン・ステイサムとドウェイン・ジョンソンの続投が決定し、ブライアンの弟役としてポール・ウォーカーの弟コディ・ウォーカーの出演も噂されてますが、大物ゲストの出演ってのが楽しみの一つとなったこのシリーズだけに、次なる大物は誰になるのか期待が膨らむところで。ツルんとしてるか運転の上手そうな大物スターっていうと、あと誰がいますかねぇ?ニコラス・ケイジ?

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案外今のシリーズはこの人ありきなんだろうなぁ

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2015年02月14日

わたしは生きていける (How I Live Now)

監督 ケヴィン・マクドナルド 主演 シアーシャ・ローナン
2013年 イギリス映画 101分 ドラマ 採点★★★

好きな人に会いに行くのって、全く苦にならないですよねぇ。どれだけ遠かろうが、どれだけ時間が掛かろうが苦にならない。早起きして行こうが、徹夜して行こうが苦にならない。嫌いな人に会うのは、それが隣の部屋であろうと辛いだけなのに。「それが愛の力っすね!」と、なんかバレンタインっぽいことを言ってみた。

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【ストーリー】
叔母のもとでひと夏を過ごすために、ニューヨークから単身イギリスへとやって来た16歳のデイジー。生まれた時に母親を亡くし、父親とも上手くいっていない彼女の心は荒んでいたが、自然の中でのびのびと暮らす従兄弟たちと過ごす内に彼女の心も和らいでいく。いつしか長兄エディと恋に落ちていくデイジーであったが、そんな折にロンドンでテロリストによる核攻撃が発生する。戒厳令が敷かれ離れ離れとなってしまったデイジーとエディだったが…。

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メグ・ローゾフによる同名小説を、『ラストキング・オブ・スコットランド』『運命を分けたザイル』のケヴィン・マクドナルドが映像化した青春ドラマ。
大人の都合の押し付けでしかない家庭環境や社会のルール、そしてその究極形である戦争。そんな大人の都合に振り回される子供たちの姿を、幼いゆえの限られた見識と視野で描いた本作。置かれた状況に対し苛立つ事でしか意思を表示できず、押し潰されそうな身と心を独自のサバイブ方で乗り切ろうとする様を、転げ落ちるように恋に落ち、盲目的になる姿を居心地の悪さを感じてしまうほど瑞々しく、時に青臭く描いている。
ただ、なにか色々と語りかけてくるのだが、それが何を言ってるのかなかなか伝わってこないって難点も。「愛してるわー」「あなたなしでは生きてけなーい」と連呼している以外に何か大切なことを言ってる気がするのだが、それが非常にぼんやり。壁となる大人の存在が主人公らの傍にいれば、それが比較となり子供たちの主張がより明確に伝わったのかも知れないが、状況を作る装置でしかなかった核爆発やテロリストと同様、時々出てくる障害物にしかなっていなかったってのが、愛の暴走話って印象を強めてしまったのかなぁとも。

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主人公のデイジーに扮したのは、『ビザンチウム』『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』のシアーシャ・ローナン。どうも最近サブタレが“週刊シアーシャ”化してる気がしないでもないですが、今一番のお気に入り&新作が立て続けに出てるんだから仕方なし。ある程度観るもの観たら、いつもの“月刊セガール”とか“月刊トムちん”に戻りますのでご容赦を。
で、今週のシアーシャ。脱色髪にピアスという、絵に描いたようなグレ娘姿で登場し驚かせてくれますが、程なくモサっとしたセーターにパジャマズボンといういつもの姿に戻るので一安心。透明感溢れる顔立ちとは裏腹に今回も思う存分汚されてしまうのは、やはり撮り手を狂わせる魔性の力ゆえかと。正直なところ、「愛がー!愛はー!愛のー!」とばっか言ってた印象しかない作品だったので然程触れる話題もないんですが、劇中の鷹を放つシーンでの破壊力抜群の笑顔に私は痛恨の一撃を食らってしまったので、そこに★ひとつオマケ。
ちなみに、そんなシアーシャに殺されるオッサン役でお父さんのポール・ローナンが出てましたよ。しかしまぁ、娘との映画初共演での役柄が娘に殺される役って、ずいぶんと変わった形の子煩悩っぷりですこと。

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下手に引篭もられるよりは、グレて意思表示してくれた方が親としては安心

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posted by たお at 10:17 | Comment(2) | TrackBack(5) | 前にも観たアレ■わ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月05日

ワイルドカード (Wild Card)

監督 サイモン・ウェスト 主演 ジェイソン・ステイサム
2015年 アメリカ映画 92分 アクション 採点★★

基本的にギャンブルってものに興味がない私。パチンコやらスロットやらなんかは、もう尚更。所詮ペイアウト率が設定されたプログラム内の出来事でしかないのに、わざわざ攻略本まで買ってる人なんぞ理解できず。しかしまぁ、なんで彼らって勝った時の話しかしないんですかねぇ。「いやぁ○○万負けてさぁ」と金額の大きさを武勇伝の如く話したりもしますが、結局勝った話で締めくくる。マルチが如何に儲かるかを氷のように冷め切った表情で全力で見下す私を前に、瞳孔を開ききった高揚感溢れる顔で熱弁を振るった方のように、一人でも多く道連れにしたいって思いでもあるんですかねぇ。無駄ですよ。やらないですから

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【ストーリー】
ラスベガスで用心棒業を営むニック・ワイルド。そんな彼のもとに、何者かに暴行され大怪我を負った元恋人のホリーから、復讐のために犯人を探し出して欲しいとの依頼が入る。犯人探しは容易だがマフィアが絡むことに気が進まないニックであったが、ホリーの思いに負け復讐に手を貸してしまい…。

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目撃』のウィリアム・ゴールドマン原作/脚本、バート・レイノルズ主演で1986年に製作された『ビッグ・ヒート』の再映画化。今回もゴールドマンが脚本を手掛け、監督には『エクスペンダブルズ2』『メカニック』のサイモン・ウェストが務めたハードボイルドアクション。
スティーヴン・キングの著作内で“小説家と脚本家を両立させた唯一の成功例”として名前が挙がるゴールドマンが脚本で、とりあえずキレの良いアクション演出には定評があるサイモン・ウェストが監督、安心印のアクション俳優ジェイソン・ステイサムを配し、そのアクション俳優ジェイソン・ステイサムの生みの親とも言える『ローグ アサシン』のコリー・ユンがアクションを担当して………なんでこんな映画になる?
ラスベガスの裏と表、重度のギャンブル中毒、若き成功者、滅法強い主人公などなど様々な題材を盛り込むもトーンがバラバラでひとつの作品としてまとまっておらず、狭い空間や障害物を配した中でコーディネートされたせっかくのアクションも、接写と細かいカットで台無し。そもそも異常なまでに強い主人公とギャンブルの闇、妙に凝ったアクションとノワールになりきれない演出、それら全部のベクトルが違う方向を向いてるので一方を取れば他方が邪魔になる、分離したまま混ざり合わない90分。体感時間はプラス30分。『ドリームキャッチャー』以来11年振りにゴールドマンが脚本を手掛けたそうだが、その“11年”が意味するのはこれだったのかなぁと。

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主人公にニック・ワイルドに扮したのが、『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』『バトルフロント』のジェイソン・ステイサム。寡黙で問答無用の強さを誇る一方、ギャンブルし始めると欲に駆られて目を血走らせる両極端なキャラを演じているが、そのどっちもステイサムらしいので違和感はなし。ただ、作品の中ではそのどっちも浮いちゃうんで台無しなんですが。
また、急に天使のように現れて天使のように去っていく若き成功者に、『スカイ・ハイ』のマイケル・アンガラノが。久しぶりに見ましたけど相変わらず可愛いですし、フワフワしてすぐ死にそうな脆さが合ってたなぁと。作品にではなく、イメージに。
その他、『ロッキー・ザ・ファイナル』で倅に扮してたマイロ・ヴィンティミリアや、意識するとだんだん親父に見えてくるアンディ・ガルシアの娘ドミニク・ガルシア=ロリド、これまた久しぶりだった『ボルケーノ』のアン・ヘッシュ、『リアル・スティール』のホープ・デイヴィスに、暗いし被ってたんで一瞬誰だか判らなかった『ラブリーボーン』のスタンリー・トゥッチなど、「おっ!?」と思う見ごたえある役者が揃ってたのは嬉しかったなぁと。
ところで、冒頭に“昨年の12月”とテロップが出て物語が始まるんですけど、その後どこかで“一年後”とか“現在”とか時間の流れをなんかしら表してましたっけ?3日間くらいの話にしか思えないのに「あのテロップはなに?」と思ったもんで。まぁ、鑑賞中知らずに意識でも失って見逃しちゃっただけかもしれませんが。

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胴元でもない限りはギャンブルはやった時点で負け

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2015年01月20日

ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う! (The World's End)

監督 エドガー・ライト 主演 サイモン・ペッグ
2013年 イギリス/アメリカ/日本映画 109分 コメディ 採点★★★

都心部のほうはイマイチよく分からないんですけど、ここらの地方のお店ってのはほぼほぼフランチャイズで埋め尽くされてるんですよねぇ。日々の買物はイオンかヨーク、ちょっとした外食もファミレスチェーンかファストフードチェーン、喫茶店なんてものはカフェのチェーンに淘汰され、映画をレンタルしたけりゃツタヤかゲオの二択。デートコースが全てフランチャイズ店を廻って終わるなんてのもざらなんでしょうねぇ。まぁ、最近デートなんてものをしてないから分からないだけなんですけど。デートしてぇな!

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【ストーリー】
かつての悪友ゲイリーの突然の来訪により故郷の田舎町ニュートン・ヘイブンに集結させられた、アンディら4人の中年男たち。ゲイリーの目的は、学生時代に果たせなかった一晩に12軒のパブを廻る“パブ・クロール”の完遂。嫌々ながらもゴールのパブ“ワールズ・エンド”を目指す彼らであったが、町では信じがたい異変が起こっており…。

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『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』とジャンル映画に対する深い愛情のみならず、そのジャンル映画の本質を見事に捉えた作品を作り続けるエドガー・ライト&サイモン・ペッグ&ニック・フロスト組が贈るSFコメディ。今回は50年代を中心に栄えた侵略SF映画を題材に。
知人や隣人が姿かたちはそのままなのに何か異質なものに変わってるとか、空からUFOが襲ってくるってのが多く描かれていた往年の侵略型SF映画。それらが忍び寄る共産主義への恐怖や、宇宙開発で先行するソ連に対する脅威の表れだってのは言わずもがななんですが、それをそのまま現代に移行するには無理が大有り。かと言ってカルト宗教なんかを持ち出すとキナ臭くなり過ぎる。そこを全国津々浦々に進出するフランチャイズチェーンってのに置き換えたのは、流石と言わざるを得なかった一本。

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本作で描かれる侵略者を“イオン”に置き換えると多少分かりやすいのかも。経営者の高齢化や人口の減少で商店街が弱体化し始めている田舎町にイオンが進出。地元の商店は「近隣地域からの集客も望めますから、一緒に頑張りましょー」とかなんとか言いくるめられテナントとして入るも、傘下企業の同業種大型テナントも入ってきたので商売上がったり。高いテナント料も払えないので撤退して元の商店街に戻るも、もともと経営が傾いていた上に客の流れも大きく変わったのでそのまま店じまい。
「じゃぁ、イオンがなくなれば万々歳なのかい?」と言えばそんなに甘くもなく。残されたのはシャッター街と化した地元商店街のみで、住民は低価格と品揃えを求めて近隣にある別のイオンに行くだけ。かつての環境が戻ってくるわけではなく、ただただ悪化するのみ
そんなフランチャイズの功罪に、無個性化する社会に対する個性派の反発、「大人になるってなんなんだよー!」ってな中年男の叫びや熱い友情、“あの時”に留まれる誘惑と葛藤などを織り交ぜた本作。ただまぁ、相変わらずの着眼点の良さとは裏腹に、今回はその辺の要素がいまひとつ交じり合うことががなくバタバタしていた印象が強く残念。まぁ、これまでの作品完成度からくる期待値の高さもあるんでしょうが。

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主人公のゲイリーに扮するのは、『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』『宇宙人ポール』のサイモン・ペッグ。楽しかった過去にすがり続ける悲哀を、“あんなにカッコ良かった兄ちゃんがペッグに!”のビジュアル一発で表現。可愛いモードを封印してワイルドモードで登場するも、やっぱり可愛げが勝ってしまういつものサイモンで安心。
そんなサイモン・ペッグを中心に、『ブリッツ』のパディ・コンシダイン、『ホビット 思いがけない冒険』のマーティン・フリーマン、『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』のエディ・マーサンらが悪友として集結してるんですけど、各々の強烈な個性がぶつかり合うってよりは違うベクトルで進んでしまってる感も。まぁ、横一列に並ぶ絵はビシリとキマってましたが。そんな中、序盤こそ大人しいものの、中盤以降エンジンが全開となる『スノーホワイト』のニック・フロストが動き始めると俄然面白みが増すってのは流石。
その他、もう一花咲きそうな色気を放っていた『ゴーストライター』のピアース・ブロスナンに、素っ気無さの権化のようだった『ゴーン・ガール』のロザムンド・パイク、「常連なのに今回は出ないのかなぁ?」と思ってたら声のみで出てきた『トータル・リコール』のビル・ナイら、エドガー・ライト作品らしい顔ぶれを楽しめた一本で。

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スタバ12軒廻りってのも過酷そう

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2012年06月28日

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝/アイアンモンキー (少年黄飛鴻之鐵馬騮)

監督 ユエン・ウーピン 主演 ドニー・イェン
1993年 香港/台湾映画 90分 アクション 採点★★★★

子役ブームだからなのか、はたまた単に自分の人生の雪辱戦を一方的に託したのか、子供に素っ頓狂な名前を付けて「ダンスだぁ!モデルだぁ!芸能界入りだぁ!」と息巻いてる親御さんが少なくないそうで。それが子供の人生にとって為になるのかどうかはさて置いて、子供が最も影響を受ける相手ってのは親なんだから、子供にならせたい理想像に自分がまず最初に近づかなきゃなんないと思うんですけどねぇ。

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【ストーリー】
19世紀の中国。悪徳役人から金品を盗み、圧政に苦しむ庶民に配る義賊“鉄猿”が活躍する町に、黄麒英と息子の飛鴻が立ち寄る。その地の悪代官に息子を捕らえられ鉄猿確保を強いられてしまった黄麒英であったが、鉄猿が優れた人物であることを知った彼は、共に悪党退治をするのであったが…。

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少年期の黄飛鴻を描いた、“ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ”シリーズの外伝。シリーズ生みの親のツイ・ハークが製作と脚本を務め、『酔拳 レジェンド・オブ・カンフー』のユエン・ウーピンがメガホンを。
シリーズを全く観たことがなかろうが、それこそ黄飛鴻が何者で何と読むのかさっぱり分からなかろうが全然問題なく楽しめる、娯楽映画のお手本のような本作。“悪代官を懲らしめる義賊”っていう日本の時代劇でもお馴染の安定感抜群の題材をベースに、スピーディ且つ迫力満点のアクションと人情ドラマ、笑いにホンノリとしたロマンスに親子愛と、娯楽映画に必要な要素を漏れなく&バランス良く盛り込んだ、「これぞ大衆娯楽でござい!」って感じの一本に仕上がっている。大作らしい風格とスケールを持っていた本家から比べれば確かにこじんまりとした印象も否めないが、そこがまた肩を張らずにサクっと楽しめる小品としてのバランスを保つ良い効果を。何度観ても楽しめる安心感溢れる一本で。

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黄麒英を演じたのは、『レジェンド・オブ・フィスト/怒りの鉄拳』のドニー・イェン。息子に対し深い愛情を持って厳しく接する父親役を、いつものギラギラを若干控え大人の面持ちで好演。“役者ドニー・イェン”を見せつける一方で、息子を差し置いて披露する電光石火の無影脚でアクションスターとしての凄味も存分に。また、女の子ながらも黄飛鴻を演じたツァン・カーマンの類稀なる身体能力と演技力にも驚かされる。
しかしながら、そんな無影脚親子以上に印象を残すのが実質的な主人公である鉄猿ヤンに扮した『香港国際警察/NEW POLICE STORY』のユー・ロングァンと、暗い過去を持つヤンの助手シューランに扮したジーン・ウォンの御二方。誠実を絵に描いたようなヤンと淑やかさと強さを併せ持つシューランの、絶対的な信頼関係と敢えて口にずとも重々伝わる愛情が、本作に大人のシットリ具合を加えた最大の要因なんだろうなぁと。「こんな大人になりたいなぁ」と、人生折り返しをとっくに過ぎちゃってるのに思った私でしたとさ。

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この親にしてこの子あり

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2012年03月18日

ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT (The Fast and the Furious: Tokyo Drift)

監督 ジャスティン・リン 主演 ルーカス・ブラック
2006年 アメリカ/ドイツ映画 104分 アクション 採点★★

世界中の情報をリアルタイムで知れる時代になっちゃったせいか、トンチンカンな日本像ってのを描く作品が随分と減りましたねぇ。かつては中日にトム・セレックが入団したり、名古屋で忍者が暗躍してたりと、なんか名古屋ばっかりではありますが、日本でありながら日本じゃない“ニホン”という名のワンダーランドを楽しめたものです。まぁ、今そんなことをやったら「映画を観て信じたらどうするんだ!」ってクレームが来ちゃうのかも知れませんけど、そんなの観て信じちゃう人は映画を観る以外の日常生活に問題を抱えてるような気がしますし、そんなのを信じれるピュアさが羨ましい気も。

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【ストーリー】
アメリカで問題を起こしてしまい少年院入りを逃れるために父のいる東京へとやって来た、車好きの高校生ショーン。異国での生活に馴染めない彼であったが、友人に誘われドリフト・レースを見学に行く。そこでドリフト・キングに勝負を挑まれたショーンは完敗。しかし彼は、これを機にドリフトの世界に魅入られていく…。

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消費者金融の看板ばかりが目立つ東京を舞台に、車がキュッキュキュッキュと尻を振るドリフトの世界を描いた、“ワイルド・スピード”シリーズ第3弾。まぁ3弾とは言いつつも、ストーリーにもキャラクターにも特に繋がりの無いスピンオフの様なものである上に、4・5作目にも登場しているハンの末路を見る限り、時系列で並べると最も新しい話になるっていう若干ややこしい一本。メガホンを握ったのは、本作以降シリーズのお抱え監督となる『ワイルド・スピード MEGA MAX』のジャスティン・リン。
元々“車を走らせる”ってコンセプトで出来あがってるシリーズではあるものの、過去作ではレースをする必然性を最低限物語の中で描いてきたのだが、本作はレースとレースの間に辛うじてストーリーっぽいのがある程度。キャラクターには魅力も中身もなく、肝心のレースもドリフトだからしょうがないとはいえ、開放的なスピード感がないのは痛い。「この車じゃなければダメなんだ」っていう車偏愛的視点もストイックさも然程感じられない、正式シリーズなのにパチモンVシネみたいな仕上がりも残念で。レースを題材にしながらも、様々なカルチャーに挑戦する姿勢は認められるのだが、やっぱりただっ広い道をタンクローリー相手にド派手なカーアクションを繰り広げるようなものを、こっちは観たいんだよなぁと。まぁ、外国人を受け入れる姿勢が全く出来てない上に学食が懐石料理という、とんちんかんな学園描写が面白かったのが救いかと。これで、“箱乗りした芸者が三味線振り回しながら襲いかかって来る”みたいな、インパクト重視の描写があれば尚良かったんですが。

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一事が万事、自業自得の主人公ショーンに扮したのは、『レギオン』『ジャーヘッド』のルーカス・ブラック。ワルでもなければ善でもなく、かと言ってなにか特別な魅力を持ってるわけでもない、別に何でもない主人公なので観ていて応援する気にもならず。強いて印象に残ったと言えば、あの強烈な残念胸毛かと。
その他、ロサンゼルスからブラジルに行って、ベルリン寄ってから東京に来たのであろうハンに扮した『ワイルド・スピード MAX』のサン・カン、『スターシップ・トゥルーパーズ2』のブライアン・ティー、いつの間にか英語名にJJが付いてた『魔界転生』の千葉真一らも出演。
また、中心グループに属しているにもかかわらず、まともなセリフも物語もない北川景子や、『チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル』のP!nkと同じ扱いの妻夫木聡、一瞬だけ出てくる真木よう子などの出演が日本的には話題の的なのかも知れないが、やっぱり注目は最後の最後に出てくるヴィン・ディーゼルかと。コメディが続いてた時期なせいか、若干ふやけ過ぎてて全くドミニクに見えないって難点はあるものの、作品が残念過ぎた事もあり全てをかっさらう存在感を。結局カメオが最後に全部持ってっちゃうんで、豪華なオマケにラムネが申し訳程度に付いた食玩みたいな映画になった感も。
それにしても、日本を舞台にした映画にもかかわらず、日本人役者の誰一人として物語の中心に絡んでいないのはやっぱり寂しいもんですよねぇ。

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車も人生も他人任せ

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2012年03月12日

ワイルド・スピードX2 (2 Fast 2 Furious)

監督 ジョン・シングルトン 主演 ポール・ウォーカー
2003年 アメリカ/ドイツ映画 107分 アクション 採点★★

特にこの辺が田舎のせいか、車かパチンコか酒か女の話題だけで成立してしまう男同士の会話。お金の使い道も、大体これらのいずれかに。生憎パチンコにも車にも興味が一切ない私なんで、男だけの席になると話題に混じれない事この上なし。ただずーっと黙ってるのもアレなんで、辛うじて加われる女性の話題にだけ食い付いてると、なんともとてつもない女好きみたいな感じに。まぁ、あながち間違ってもいないんですが、それはそれでちょっとヤダ。

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【ストーリー】
元警察官で今はストリート・レーサーとして暮らしているブライアンは、ある日突如現れた警察隊に囲まれ逮捕されてしまう。しかしそれは、ヴェローン率いる国際的なマネーロンダリング組織に彼を潜入させるために仕組まれた逮捕劇であった。已む無く警察に協力することとなったブライアンは、かつての親友ローマンと共にヴェローンのもとへ潜入するのだが…。

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ヴィン・ディーゼルがいなくなったら一気に黒っぽい上にチャラくなった、『ワイルド・スピード』の続編。今回メガホンを握ったのは、“ブラック・ムービー期待の新星”と謳われながらも、なんとなくジャンルムービー監督の座に座っちゃった感もある『フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い』のジョン・シングルトン。
スピードに対するストイックさや、ワルの流儀、ダークヒーローの魅力ってのがヴィン・ディーゼルと共にゴッソリ抜け落ちてしまった本作。その代わりにタンマリと加わったのが、トランクオーディオとネオン装飾された車に、大音量で流れるヒップホップとデヴォン青木という、週末はとりあえずオートバックスに寄って、帰りはコンビニで“Option”なんかを立ち読みする過ごし方をされる方々には堪らないであろう要素の数々。デヴォン青木がそうなのかは定かじゃありませんけど。如何せんそのどれにも興味が全く無いんで、残念ながら「ヒャッホーイ!」となる100分間ではありませんでしたが。
まぁ、“それっぽい車を走らせる”ってコンセプトのみで作られたような作品ではあるものの、下手に二番煎じの続編を作ることはせずに、ある種の世界に特化した作りにしたってのは意気込みとして認めるべきなのかと。

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主人公のブライアンに扮したのは、前作に引き続き『ワイルド・スピード MEGA MAX』のポール・ウォーカーがチャラさ全開で熱演。本作に出てくるような車に乗って、海辺でニヘラァっと笑いながら水着美女をナンパしてるような役柄が、本当に似合う役者だなぁと。また、『レギオン』のタイリースや『クラッシュ』のリュダクリスらも参加し、前作にはあまりなかった軽妙さってのを本作に加える役割を。
その他、男前ながらも生理的に感じる怖さや気持ち悪さってのを、しっかりと父親から譲り受けている『地獄の変異』のコール・ハウザーや、冷静に考えればジャンル的にヒラリー・スワンクと然程変わらない顔立ちながらも、ラテンの血が彼女を気さくな美女へと変貌させてる感じもする『ゴーストライダー』のエヴァ・メンデス、『フェイク シティ ある男のルール』のアマウリー・ノラスコに、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』のジェームズ・レマーらも出演。
ただまぁ、やっぱり一番目を引くと言うか否応が成しに目を奪われてしまうのが、『DOA/デッド・オア・アライブ』『シン・シティ』のデヴォン青木。鉄板焼き屋の娘。生気を感じられない能面顔に抜群のスタイルという奇抜な組み合わせはこの当時から健在だが、若さ故かそばかすの残る若干ふっくらした顔立ちで時折見せる笑顔がなんか可愛い。「うわっ!デヴォンだ!」と始めは驚くも、だんだん可愛く見えてくる青木マジック。まぁ、たぶんただの気の迷い。

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概ねこんな感じの映画

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2012年03月08日

ワイルド・スピード MEGA MAX (Fast Five)

監督 ジャスティン・リン 主演 ヴィン・ディーゼル
2011年 アメリカ映画 130分 アクション 採点★★★★

TVを観てると、「アレ?この子って、最近見なくなったあの子に似てるよなぁ」って思う事が多いですよねぇ。その子をTVで見かけなくなると、消えてたあの子がまた出始める。で、しばらくそれを繰り返すと、今度は両方見かけなくなる。売り易い顔ってのがあってキャラ被りを極力避けてでの流れなのかも知れませんけど、狭い縄張りに似たようなのを乱立させなくてもいいのになぁと思ったりも。まぁ、実際自分と似たタイプが同じグループに居るってのは、なかなか居心地の悪いものではあるんですけどねぇ。周りもつっこみづらいでしょうし。

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【ストーリー】
今ではドミニク同様に犯罪者として追われる身となった、元FBI捜査官のブライアン。ドミニクと彼の妹ミアと共にブラジルでの潜伏生活を送っていたが、この生活から抜け出し再度自由を手にするため、リオの裏社会を牛耳る実力者レイエスから一億ドルを強奪する計画を思い付く。かつての仲間をブラジルに集め準備を進める中、彼らの逮捕に執念を燃やす豪腕捜査官ホッブスが彼らの前に立ちはだかり…。

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まさか5作目にしてこんなに面白い作品が出てくるとは予想だにしてなかった、“ワイルド・スピード”シリーズ最新作。メガホンを握るのは、『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』以降3作連続登板となるジャスティン・リン。
もともと爽快さとは然程縁のない犯罪アクションであるとはいえ、物語が復讐譚だっただけに鬱屈した気分になった前作『ワイルド・スピード MAX』。本作も開始早々逃亡生活の世知辛さを切々と描き出し「またか!?」と大いに不安を募らせたが、そっからの弾けっぷりがハンパない。過去作のキャラクターを引っ張り出し、“トレットと11人の仲間”的軽妙な泥棒物語の展開をしたかと思えば、筋肉と筋肉がぶつかり合う筋肉映画に変貌し、その筋肉が乗り移ったかのような愕然とするカーチェイスの後に、意外な人物を出して「次回も観てね♪」で締め括る、もうほとんど破れかぶれとも言える“何でもアリ”感が素敵。四の五の言わずにっていうか、四の五の言ったら負けな偏差値不要映画の快作。とりあえず脳みそを手の届かない所にしまってから観るのが宜しいのかと。

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人種を特定しづらい“ワイルド・カード”俳優として一世を風靡したが、ワルばかりを演じるワンパターンからの脱却を図って出演したファミリーコメディ『キャプテン・ウルフ』で失速してしまったヴィン・ディーゼル。一方、その彼が失速後に頭角を現してきた“ザ・ロック”ことドウェイン・ジョンソンは、持ち前の器用さを活かして早くからコメディに挑戦していたが、本来の持ち味であるタフネスキャラに戻るタイミングを見失って妖精ファイター』に出ちゃったりの迷走中。そんな双方の事情があるとはいえ、やはり本来ならキャラ被りってのは避けたいところ。夢のような組み合わせではあるんだが、下手をすれば「若干色の濃いのがザ・ロックで、モチモチしてるのがヴィンヴィンだったよなぁ…」と常に確認しないと見失ってしまう危惧も。
ところが、このタブー無視のキャラ被り真っ向勝負が素晴らしい。双方パワー全開でぶつかり合う迫力はもう怪獣映画の域で、尚且つ互いの持ち味と存在感を活かしつつどちらも株を落とさない、まさに『キングコング対ゴジラ』というか『サンダ対ガイラ』ばりの名勝負を繰り広げてくれる。この二人のパワーとスピードは作品にもストレートに影響を及ぼし、それがあの車までもが筋肉ムキムキになってしまったクライマックスを生みだした要因なんだろうなぁと。
第6弾でも共演が予定されている御両人。ただ再共演するだけでは済ませないのが、この破れかぶれシリーズの特徴。噂では「ジェイソン・ステイサムも出演するかも?」とのことで、ツルンとしたのを三人集めてどんな破れかぶれっぷりを見せるのか今から楽しみで。ってか、シリーズ毎にツルンとしたのを増やしていって、最終的にぱっと見少林寺になればいいなぁと。

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若干モチモチ感の増したヴィン・ディーゼルと、相変わらず岩のようなドウェイン・ジョンソンというツルンとした御二方ばかりに目が行ってしまうが、全シリーズからキャラクターが満遍なく登場しているのも嬉しい本作。
まず『ワイルド・スピード』のオリジナル組からは、本来は主人公ながらも気の良い相方役にハマってしまった感もある『父親たちの星条旗』のポール・ウォーカーに、ちょいと痩せ過ぎの気もしたが、往年のアリ・マッグロー的な可愛さは健在だった『テキサス・チェーンソー ビギニング』のジョーダナ・ブリュースター、『消えた天使』のマット・シュルツらが出演。『ワイルド・スピードX2』からは、『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』のタイリース・ギブソンに、『GAMER/ゲーマー』のクリス・“リュダクリス”・ブリッジス、扱い的には隠れキャラだった『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』のエヴァ・メンデスらが。
また、トンチンカンな日本描写がちょっと楽しかった『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』から『ダイ・ハード4.0』のサン・カン、『ワイルド・スピード MAX』からはテゴ・カルデロンとドン・オマール、『ナイト&デイ』のガル・ギャドットらが出演。
「あらアノ人も!まぁコノ人まで!」と観てるこっちとしては非常に忙しいキャスティングが揃っているが、『パリより愛をこめて』のヨアキム・デ・アルメイダや、警官の制服姿だとセクシーなのだが、普段着になるとチンチクリンになるジャーロ』のエルサ・パタキら、本作登場組もなかなかの顔ぶれで。でもって、トドメが最後にチラリと写真で登場するアノ人。ネタバレになるんで名前は伏せておきますが、別の人気シリーズ最新作でも死んだと思ってたのにシレーっと登場してたんで、コノ人の中で“死んだと思わせといてキャラ”ってのが流行ってるんですかねぇ。まぁ、ある意味『マチェーテ』でもそうでしたし。

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ターター ッタタタターターター ッタッタター♪

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posted by たお at 12:39 | Comment(10) | TrackBack(35) | 前にも観たアレ■わ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月06日

ワルキューレ (Valkyrie)

監督 ブライアン・シンガー 主演 トム・クルーズ
2008年 アメリカ/ドイツ映画 120分 サスペンス 採点★★★★

随分前に務めていた会社は、創業主の社長を筆頭に、奥さんと義理の弟が専務を務め、秘書兼経理に愛人を配するという、なかなか典型的なワンマン会社で。そんな会社なもんで、店長ら幹部クラスは売上向上よりも社長が気に入るような企画を上げることに専念しちゃってて、私みたいな変わり者は当初こそ面白がられてましたが、瞬く間に煙たがられることに。そうこうしている内に、持ち前のドンブリ勘定気質と、効果度外視のウケ狙い企画の乱発で経営は傾き、遂には取引先との規約に違反するイベントをやろうとまでする始末。猛反対するも孤立無援で、あっという間に閑職へと回されちゃったんでその会社は辞めたんですが、そっから3ヶ月もしない内に、10店舗も抱えていたその会社は夜逃げ同然で倒産。しばらくして、社長と一緒に旗を振っていた元同僚から「どーしよー?」と電話がありましたが、如何せん社交性のない私は「バカじゃないの?」と電話を切っちゃったとさ。

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【ストーリー】
第二次世界大戦下のドイツ。戦況が悪化する中、アフリカ戦線で瀕死の重傷を負いながらも奇跡の復帰を果たしたシュタウフェンベルク大佐は、祖国とヨーロッパを愛する気持ちから、やがてヒトラーの独裁体制に疑問を感じるようになる。やがて軍部内で秘密裏に独裁体制打破を計画するグループと接触した彼は、クーデター発生時にその鎮圧を目的とした“ワルキューレ作戦”を利用し、ヒトラー暗殺と同時に政権掌握する計画を思い付く。綿密な準備の後、いよいよヒトラー暗殺の為に行動を起こしたシュタウフェンベルクだったが…。

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1944年に起きたヒトラー暗殺計画“ワルキューレ作戦”の顛末を描いたサスペンスドラマ。メガホンを握ったのは、『X-メン』『ユージュアル・サスペクツ』のブライアン・シンガー。
祖国を愛し、その祖国と国民を守りたいが故にヒトラー暗殺計画を実行した、クラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐の姿を描いた本作。信念を軸に腹を括った主人公と、腹を括り切れなかった人間や、政治的な思惑が先に出てしまっている人間の姿をほんのり対比しながら描く事で、主人公のその人となりを上手く描き出している。また、分かり切っている結末ながらも「もしや!?」と思わせるサスペンスの盛り上げ方や展開の牽引力は見事で、その辺はブライアン・シンガーと共に製作にも携わったクリストファー・マッカリーの手腕が光っていたとも。シュタウフェンベルクの人物像や、当時のドイツを語る上で欠かせないユダヤ人に対する事柄が全く描かれていないのには正直疑問も感じたが、ストーリーテリングは流石に巧み。先に待ち受ける運命が分かっているだけに、暗殺成功を確信した後の一世一代のぬか喜びっぷりがより一層浮き彫りになっておりましたし。
サスペンスを盛り上げるヒトラー暗殺計画以上に、信念を持ち続ける事や重大な事柄を前に覚悟を決める事の難しさを描く本作。劇中でも描かれる、どんな状況であっても己の損得で動いてしまう人間が圧倒的で、その損得勘定の行動が流れを大きく変えてしまうことが多い中、シュタウフェンベルクの姿は素直に凄いなぁと。国が困難に陥った時や、外敵の脅威や悪政に苦しんでいる時に英雄が生まれるとは良く聞きますが、本当にそうだったらいいなぁと切に思う今日この頃で。

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主人公のシュタウフェンベルクに扮したのは、『ナイト&デイ』『宇宙戦争』のトム・クルーズ。今回はハンサムアイパッチ。または、ハンサム軍人。本国ドイツでは、サイエントロジー絡みでトムちんがシュタウフェンベルクを演じることに非難の声が随分と上がったようですが、トムちんの持つイメージによって、結末の分かっている暗殺計画に「もしや!?」と思わせサスペンスを盛り上げることが出来たのではと。巡り合わせが悪い上に詰めも甘いこの計画を描く本作を、それこそショーン・ビーンが演じれば確かにシックリもくるんですが、シックリし過ぎてもうなんか全てが丸く収まり過ぎてる気もしますし。また、「トムのコスプレ映画だ!」とか「客寄せパンダだ!」って非難も見受けられましたが、そもそもトムちんの映画は“ハンサムがコスプレする様を楽しむ”って大前提があると思ってますし、それでお客さんが入ってるんだから、それは非難になってないような気も。ただの確認
その他に、『ナイロビの蜂』のビル・ナイや、『パイレーツ・ロック』ではヒトラーぽかったケネス・ブラナー、『グリーン・ホーネット』のトム・ウィルキンソン、なんか苗字に“ディートリッヒ”って付きそうなクラシカルな美しさに目を奪われた『ブラックブック』のカリス・ファン・ハウテン、『NEXT -ネクスト-』のトーマス・クレッチマン、『ヤングガン』のテレンス・スタンプ、『Gガール 破壊的な彼女』のエディ・イザードに、『フライトプラン』のクリスチャン・ベルケルなど、大作らしい錚々たる顔ぶれが揃った本作。
しかしながら、そんな錚々たる顔ぶれを差し置いて存在感を放っていたのが、出会い頭に「ボク、ヒトラー暗殺を計画してるから!」とトムちんに告られ、即座に腹を括ったシュタウフェンベルクの直属の部下ヘフテンに扮したジェイミー・パーカー。史実通りとは言え、献身的にシュタウフェンベルクに尽くし、彼の為なら迷う事無くその身を呈す様に、強烈なまでの片想い臭を感じてしまったのは、ブライアン・シンガー作品だからなんでしょうかねぇ。

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何よりも一緒に働ける事が幸せ

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posted by たお at 04:42 | Comment(4) | TrackBack(3) | 前にも観たアレ■わ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月21日

若き勇者たち (Red Dawn)

監督 ジョン・ミリアス 主演 パトリック・スウェイジ
1984年 アメリカ映画 114分 戦争 採点★★★★

いっつもこんな話ばかり書いてる気もしますが、床に入り眠りに落ちるまでの妄想タイムって、ホント楽しいですよねぇ。世界中にゾンビが溢れだしたり、突如戦争が勃発したりして「さぁ、どうやって生き延びるか!?」みたいな、中学生の頃から全く変わらない妄想ではありますが。なにせ妄想なんで、ライフラインの心配もなければ死ぬ心配もない都合の良い展開しかしないんですが、もう一人でワクワクしております。ワクワクし過ぎて眠れない、本末転倒な目に遭うこともしばしばですが。

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【ストーリー】
アメリカ中西部の静かな田舎町。そこに突如ソ連・キューバ連合軍が空から侵攻、住人に攻撃を仕掛けてくる。辛うじてその難を逃れたエッカート兄弟ら若者たちは山中へ逃げ込み、パルチザンとなり強大な敵に戦いを挑むのだが…。

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レッドブル』然り『レッド・スコルピオン』然り、“レッド=共産主義”が共通認識だった、冷戦の緊張がピーク時のアメリカらしいタイトルの青春戦争アクション。この後ケヴィン・コスナーに振り回されることになる『ファンダンゴ』のケヴィン・レイノルズ原案・脚本を、極右と言うよりは口だけタカ派の印象もあるジョン・ミリアスが監督した一本。
侵攻方法として空から落下傘で降って来るってのには大いに首を傾げてしまうが、要は平和の中に漫然と生きていた若者たちを戦場という極限状態に追い込むための手段でしかないので、その辺を気にしてもしょうがないし、何よりもこの設定にワクワク出来るか否かで本作を楽しめるかどうかが決まってしまうとも。
とどのつまり、“十五少年漂流記”というか“蝿の王”というか“ガンダム”みたいな本作。自分たちの高校のフットボールチームの名前“ウルヴァリンズ”をそのまんま名乗ってしまうような、時折観ているこっちが赤面してしまうほど青臭い若者たちの姿もリアルで、そんな彼らのサバイバル生活の様子や、戦い様のファンタジーに終わっていないディテールの細かさも魅力。肉親や仲間の死だけではなく、自分らと然程世代の変わらない敵兵の死も丹念に描かれており、それらが本作に能天気さの欠片もない重いトーンを与えている。調子に乗り過ぎた結果、大人が本腰を入れた途端に手痛い目に遭う、青臭い若者ならではのストーリー展開や、ほろ苦い結末も含め作品全体的には重苦しいのではあるが、その重苦しささえ魅力になってしまう男の子心を存分にくすぐる状況設定が、やっぱり堪らなく好き。“戦争の無常さ”云々のテーマよりも、床下にリー・トンプソンとジェニファー・グレイが居るみたいな堪らない設定が圧勝。“近所で戦争”“近所の山でサバイバル”“連れはリー・トンプソン”。ほら、圧勝

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“ウルヴァリンズ”のリーダー役には、昨年惜しくも亡くなってしまった『11:14』のパトリック・スウェイジ。若い衆の兄貴分的印象が強い彼らしく、本作でも若者を束ねる頼れるリーダーを好演。中西部の風景が見事にハマる、男っぷりの良い面構えも魅力。また、パトリック・スウェイジの弟役には、本作が劇場映画デビューとなる『処刑ライダー』『ザ・チェイス』のチャーリー・シーン。父親のマーティン・シーンを彷彿させるというか、「ここまで似てしまうのか!?」と思わせる全てに力が入った演技と、一字一句力ずくのセリフ回しに驚かされる。エミリオといいチャーリーといい、エステヴェス家恐るべし
そのパトリック・スウェイジとは『ダーティ・ダンシング』で踊り狂い、チャーリー・シーンには『フェリスはある朝突然に』で警察署で口説かれる、個性的なのっぺりとした鼻が可愛らしいジェニファー・グレイや、『タップス』のトム・クルーズばりのキラー・マシーン振りが目を引いた『ヒッチャー』のC・トーマス・ハウエルら、後にブレイクを果たす当時新鋭の魅力溢れる若手と、『フレイルティー/妄執』『ダブルボーダー』のパワーズ・ブース、『沈黙の断崖』のハリー・ディーン・スタントン、ペキンパー作品での強烈な印象が忘れ難いベン・ジョンソンなど、ゴツゴツしたベテラン勢のコントラストも効いてた本作だが、やはり一番の魅力を放っていたのは、『わんぱくデニス』のリー・トンプソン。
とても戦場が似合わない愛くるしい顔立ちのギャップもさることながら、普段は無口ながらも気に入った男性には花を持って追いかけまわす、ちょっとアホちゃんな可愛らしさが重苦しい本作の救いに。当時は「こんな可愛い子と一緒に居れたら良いなぁ」と妄想しちゃってたが、今は「こんな可愛い子に追い回されたいなぁ」と、似て非なる妄想を。やぁねぇ、歳を取るって。

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都合の良い夢は楽しい

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posted by たお at 02:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■わ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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