2015年05月09日

リターンド・ソルジャー 正義執行人 (A Good Man)

監督 キオニ・ワックスマン 主演 スティーヴン・セガール
2014年 アメリカ映画 103分 アクション 採点★★★

虫の居所が悪い中高年が、悪党退治の名目で憂さ晴らしする映画のことを“セガール映画”と言います。私が一方的にそう決めてるだけなんですけど。セガール出演作全部のほかには、リーアム・ニーソンの『96時間』やデンゼル・ワシントンの『イコライザー』なんかがそれに。予告編を観る限りではショーン・ペンの『The Gunman』なんかもそうなんですが、なにやら最近は中高年がこぞってセガール映画を作ってる印象も。で、大抵面白い。そろそろ本家のセガールも、後発に負けない本気のセガール映画ってのを作ってもらいたいものですよねぇ。少なくても、最低限映画としての体を成した普通の映画を作ってもらいたいと切に願うばかりで。

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【ストーリー】
悪徳武器商人を取り逃がしただけではなく、作戦の巻き添えで幼い女の子が命を落としてしまったことを悔い続ける元特殊部隊のアレキサンダー。今ではルーマニアの街で便利屋として過ごしていたが、隣人の女性と幼い妹がロシアンマフィア絡みの事件に巻き込まれたことから、彼女らを守るために立ち上がる。しかし、マフィアの背後にはあの武器商人がおり…。

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あれ?ちゃんとしてるぞ、今日のセガール
暗がりに座ったまま険しい顔して動かない&喋らないってのが最近のセガールで、たまに動けば後姿だし、喋る時は何かを読むが如く一点を見つめる省エネスターとしての地位を確立していたんですが、今日のセガールはよく動く。そして、よう喋る。極々当たり前のことなんですけど、セガールにやられると驚くんですよねぇ、これが。
監督が例によって『沈黙の処刑軍団』のキオニ・ワックスマンなんで、登場人物ばかり多くて話や場面がサッパリ整理されていないアレな仕上がりかと思いきや、きちんと主人公を中心に据えたシンプルな仕上がり。後半は若手に任せるいつものセガールが出ちゃってはいましたが、お姉ちゃんの方が目当てとは言え幼い少女のためにセガールが奮闘したり、セガールのくせに犬飼ってたりと「お?ちょっと違うぞ!」と思わせる要素も少なくない。あ、“セガールのくせに”は言い過ぎです。ゴメンなさい、セガール様。

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表面的には普通だが、随所随所にセガール色が出ているのも嬉しい本作。
過去に取り逃がした武器商人に対しセガールが数年に渡って間接的に嫌がらせをし続けていたり、長ドスに“鬼の包丁”と日本語名を付けていたり、なにかとロシア美人と絡んでみたりと、普通のアクション映画では味わえないセガール風味が満載。これを邪魔に思うかどうかが鍵なんですけど、そんなセガールが観たい私は満足。久しぶりに日本語喋ってましたし。「オ・ニ・ノ・ホー・チョー」って。
その辺のセガールらしさは、共同脚本も手掛けてたキオニ・ワックスマンの手によるものかと。
たぶん元々は隣人姉妹を元凄腕が助けるシンプルな話だったところを、「バーのシーンにもっとオッパイ出さないとセガールさん怒るよ!」とか、「美人ダンサーの一人くらいはセガールさんに抱きつかないとセガールさん怒るよ!」とか、「エンディングにロシア美人とのラブシーン入れないとセガールさん本気で怒るよ!」とか、的確なアドバイスで脚本を膨らませていったんでしょうねぇ。良い舎弟を持ちましたねぇ、セガール。

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接待映画

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2015年02月17日

リディック:ギャラクシー・バトル (Riddick)

監督 デヴィッド・トゥーヒー 主演 ヴィン・ディーゼル
2013年 アメリカ/イギリス映画 119分 SF 採点★★★

ハリウッド映画が続編やリメイクに埋め尽くされてるってのは今に始まったことではないんですが、最近はそこにリブートやらリ・イマジネーションとやらの平たく言えば「まぁまぁ、前のはなかったことにして」って作品が増えてきましたよねぇ。面白くなってれば別に良いんですけど、得てして前の作品から大して年月が経ってなかったりもするので、映画を完成させる意味というか重みってのが随分と薄くなってきたなぁって気も。

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【ストーリー】
ネクロモンガー族の頂点に立つも、策略により荒れ果てた名も無き惑星に置き去りにされた、宇宙一のお尋ね者リディック。苛酷な環境を生き抜き無人シェルターまで辿り着いたリディックは、非常用ビーコン発信し賞金稼ぎをその惑星に呼び寄せる。一方、その惑星にある出来事が迫っており…。

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前作『リディック』から9年振りとなる、銀河最凶の男リディックの活躍を描くシリーズ第3弾。このキャラクターが大のお気に入りというヴィン・ディーゼルが製作を務め、メガホンを握るのはシリーズの生み&育ての親である『パーフェクト・ゲッタウェイ』のデヴィッド・トゥーヒー。
続編というよりは一作目『ピッチブラック』のリブート的趣の強い本作。それならそれでのんびりと楽しめそうだが、9年前の前作から物語は続き、中盤以降の本筋はフラッシュバックすら入らない13年前の一作目からの因縁話で展開するという、こちらの記憶力が試されてしまう油断できない一本。作り手は思い入れが強いんでしょうから13年なんてどうってことないんでしょうが、こっちはそうでもないんだよっていう観客と作り手との間の温度差が如実に出てしまう結果に。
とは言え、子供の頃見聞きしたSF冒険譚を思い起こさせるとにかく乱暴な惑星に、そこに棲む宇宙ディンゴやらトカゲとサソリが合体したっぽい宇宙リザルピオン(勝手に命名)など、ワクワク要素は豊富。また、リディックのダークヒーローとしてのキャラクター像も完成されているので、時に凶悪で時に頼もしく、レズビアンすら惚れてしまうっていうワンパクにも程がある魅力を堪能できる仕上がりになってるのも嬉しい。
関わりたくなかった『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』に出ることを交換条件にしてまで、リディックの権利を手に入れたヴィン・ディーゼル。その思い入れの強さと、本作がとりあえず興行的に成功の部類に入った結果も踏まえ、今後本格的にシリーズが始動してくれたらいいなぁと思わせてくれた一本でも。

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ヴィン・ディーゼルと言えば、『トリプルX』のザンダー・ケイジに『ワイルド・スピード』のドミニク・トレット、そしてリディック。方向性はほぼ一緒とは言え、これだけハマリ役とヒット作が連続したスターってのもそうそういないですよねぇ。「オレはもうちょっと違うことがやりたいんだ!」と、それらの続編をことごとく蹴り続けたスターってのもそうそういませんが
ただ、今回は最も思い入れのある役柄リディック。凄みや漢っぷりをこれでもかってほど発揮するだけではなく、宇宙ディンゴと「アハハーウフフー」と戯れてみたりするお茶目な一面も見せたりもして、完成されてるキャラクターに更に磨きをかける好演。額には皺が増え、モチモチ感も若干増してた今回のヴィンではありましたが、是非とも一生リディックしていただきたいと切に願う限りで。
その他、前作から『スター・トレック』のカール・アーバン、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でも共演しているデイヴ・バウティスタ、『コロンビアーナ』のジョルディ・モリャ、『ザ・ホスト 美しき侵略者』のボキーム・ウッドバインらが共演。なかなかの顔ぶれが揃ってはいるんですけど、如何せんリディックの存在感がでか過ぎるので、それ以外で一番印象に残るのがあっという間に成長しちゃうリディックの忠犬だけなんですけど。

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ペットからして猛獣

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タグ:★★★ SF
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2015年01月30日

ロックアップ (Lock Up)

監督 ジョン・フリン 主演 シルヴェスター・スタローン
1989年 アメリカ映画 109分 アクション 採点★★★★

こと娯楽映画に関して言えば、ここ最近は観ている側に忍耐ってのを強いる作品がめっきり少なくなりましたよねぇ。主人公が我慢に我慢を重ねて最後に爆発する様を、そのラスト数分のためにこっちも2時間近く我慢をし続けて観るってタイプの。最近では『バトルフロント』がややそれに近かった気もしますけど、あれはまぁ「いつでも殺せるし」っていうジェイソン・ステイサムの余裕綽々っぷりが隠しきれてなかったんで、やっぱりちょっと違うんですよねぇ。我慢ってのがストレスでしかない世の中になっちゃったんですかね。

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【ストーリー】
傷害事件により収監中のフランク。出所を間近に控えたある夜、彼は突如重犯罪人が集まる劣悪な刑務所へ強制的に移送される。そこで待ち受けていたのは、かつてフランクに脱獄され内情を暴露されたために将来を失った刑務所所長ドラムグールであった。復讐の鬼と化したドラムグールの非情な仕打ちを耐え続けるフランクであったのだが…。

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アウト・フォー・ジャスティス』のジョン・フリンによる監獄アクション。製作にはジョエル・シルヴァーと共に80〜90年代アクション映画を代表する顔であった、『コマンドー』のローレンス・ゴードンらが。
理不尽で非人道的な仕打ちの数々に心を折らずひたすら耐え続ける男の姿を、漢気汁たっぷりに描いた一本。「負けるな!へこたれるな!」と連呼する本作は、ジョン・フリンらしいゴツゴツとした骨太さも相まって、まさに仕事明けの労働者がビールを片手に観ながら「オレも明日っから頑張ろっ!」となる男の応援歌。今でもそうだが特にこの当時女性受けが悪かったスタローン映画ではあるが、そもそものターゲットが違うんだから「やーよねぇ、スタって」と言われる筋合いなし。
また、ひたすら筋肉ムキムキさせて我慢するだけの作品ではなく、思いのほか“刑務所もの”としてシッカリと作られてもいた本作。「私怨でそこまでやれんの?」という疑問こそあれど、ゲスな看守と極悪犯らの仕打ち、囚人同士のルール、徐々に集まる仲間たち、ちょいと上向きに見せといてからの転落と、必要な要素を網羅した基本に忠実な作りもまた、何度観てもついつい熱くなってしまう要因かと。泥んこフットボールを機に仲間が集まるなんて、最近じゃとんと観ない“良いベタ”でしたし。

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スタローンと言えば“耐える男”。『ロッキー』でも『ランボー』でもそうなんですが、とにかく耐える。ひたすら耐える。手錠なんて「フンッ!」ってやれば引きちぎれそうな筋肉してるのに、やらない。それをやるのはシュワルツェネッガー。それに加え、元チンピラだけど今では気の良いあんちゃんでイタリア系という、スタローンの持ち味全てが存分に出されていた本作。作品の手堅さ故か忘れられがちではあるのだが、この年代では一番スタローンらしさが出ていた一本なのではと。
一方、そんなスタローンをイビり倒すドラムグールに扮したのが、『ハンガー・ゲーム』『メカニック』のドナルド・サザーランド。人を人と思わぬというか、もう中身が人じゃないなんか的な風貌が生真面目を拗らせネジが外れてしまったドラムグール役にピッタリ。スタローンと対極にいる役柄がハマるだけに、“エクスペンダブルズ”シリーズに出ても似合いそうだなぁと。
その他、鉄で出来てるような看守に扮した『ミラクルマスター/七つの大冒険』のジョン・エイモスや、『パラダイス・アレイ』などスタローンとの競演作も多いフランク・マクレー、マッチョの前に立ちはだかるマッチョ役が似合うシュワルツェネッガー/プレデター』のソニー・ランダムに、“軍曹の達人”になる前だった『プライベート・ライアン』のトム・サイズモアなど、作品同様に顔ぶれも骨太。
また、舞台が舞台なだけにリアル囚人の方々も大勢出演されておりましたが、その中にまぁこの人も本物である『マチェーテ・キルズ』のダニー・トレホさんの姿も。ホームグラウンド感に溢れてましたねぇ。

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要は演歌

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2014年11月27日

リベンジ・マッチ (Grudge Match)

監督 ピーター・シーガル 主演 シルヴェスター・スタローン
2013年 アメリカ映画 113分 コメディ 採点★★★

“夢の対決”とか“夢の競演”ってまず叶わないからこその夢だったんですけど、ここ数年その夢ってのが片っ端に叶っていく風潮になってきましたねぇ。それどころか、“夢の競演”を前提に単品を作ってたりも。まぁ、それが話題になって映画ファンってのが増えてくれたり、忘れかけられていた旧作に光が当たったりするのは喜ばしいことなんですけど、どうにも夢が安くなったものだなぁって印象も。

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【ストーリー】
ひょんなことから世間の注目を浴び30年越しの遺恨試合が開催されることとなった80年代の伝説のボクサー、レーザーとザ・キッド。周囲の猛反対を押し切り老体に鞭打ちってトレーニングに打ち込む二人だったのだが…。

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シルヴェスター・スタローンとロバート・デ・ニーロという、共に伝説的なボクシング映画を持つ二人の競演で贈るスポーツコメディ。メガホンを握るのは、『ロンゲスト・ヤード』等アダム・サンドラー映画でもお馴染みのピーター・シーガル。
ロッキーvsレイジング・ブル”。それ以上でも以下でもない、そんな居酒屋で盛り上がる与太話のような作品なのだが、これが意外にも悪くない。頭はトロいが気の良い下町っ子のロッキーと、基本的には人生破綻者のレイジング・ブル。その異なるキャラクター性をバランス良く劇中で描き分け、そこに30年越しの恋愛やら家族の再集結やらもう一花咲かせたい老人といった鉄板ネタを放り込んで、それらをこれまた見事なブレンド具合で仕上げた娯楽映画のお手本のような一本。試合模様の思わぬ迫力もそうなのだが、ネタ映画だと思って舐めてかかるとふいに胸を鷲掴みにされてしまう、なかなかニクイ仕上がりの作品に。

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ランボー』のスタローンと『グッドフェローズ』のデ・ニーロの役者対決ってのにも興味が引かれた本作ですが、どんな役柄も無難にこなす“そつなく感”が前に出たデ・ニーロに対し、この手の役柄を演じさせたら右に出るものは居ないスタローンの存在感が一歩前へ出た感じに。身体そのもので表現するスタローンらしい、『ロッキー・ザ・ファイナル』より加齢が進んだロッキーっぽい、絞っているけどやっぱりダブついてる身体作りも見事。
そんな二人以外にも、『アルゴ』『ザ・マペッツ』のアラン・アーキン、『憧れのウェディング・ベル』のケヴィン・ハート、“ウォーキング・デッド”シリーズのジョン・バーンサルらに加え、マイク・タイソンにイヴェンダー・ホリフィールドという因縁コンビも顔を出す、いろんな意味での実力者が揃っているのも魅力の本作。
そんな中でも俄然目を引いたのが『ザ・センチネル/陰謀の星条旗』のキム・ベイシンガーの存在感。劇中では基本スタローンといちゃついてるだけの役柄であったが、いちゃついてしまうのも納得のゴージャス感&セクシーさ。およそ還暦とは思えぬというか、ぜんぜん守備範囲。いや、お願いします

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旦那が死んで間もないとは思えぬアグレッシブさにも納得

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2014年11月22日

ローン・サバイバー (Lone Survivor)

監督 ピーター・バーグ 主演 マーク・ウォールバーグ
2013年 アメリカ映画 121分 戦争 採点★★★

小学校中学年の頃、学校の裏手にあった高さ15メートル位の崖をひたすら上り下りするだけの遊びにはまっていた私。崖の表面を突き破って生えてる木の根や蔦を伝って頂上に行っては「イェ〜イ!」、同様に降りては「イェ〜イ!」。ただそれだけの繰り返し。過去に戻れるなら「バカなの?」と言ってやりたい。で、そんなある日。いつものように友人らと上っていたら、頂上まで後一歩のところで蔦が切れ、全身を至る所にぶつけながら地面に落下。おまけに額には野球ボール並みのタンコブまで。「こんだけ痛いんだ、もう泣く!」と決めていた私ですが、そんな姿を見た友人らの「スゲェ!」の言葉に気を良くし「スゲェべ!」と鼻高々になった私だとさ。やっぱり「バカなの?」って言ってやりたい。

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【ストーリー】
2005年。タリバンの幹部を見つけ出し殺害する極秘任務のため、アフガニスタンの山岳地帯へと向かったマーカスら4人のネイビーシールズ。本部との連絡もままならない劣悪な無線状態の中標的を発見し、残すは作戦の遂行のみとなっていた。しかし、そこに現れた山羊使いの男たちを拘束したことから事態は最悪の方向へと向かい始め…。

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マーカス・ラトレルの体験記“アフガン、たった一人の生還”を、『バトルシップ』のピーター・バーグが映像化した戦争ドラマ。主演のマーク・ウォールバーグも製作者の一人としてクレジット。
戦地の悲惨で過酷な状況をリアルに描くと共に、仲間同士の深い絆を描いた本作。戦闘シーン自体は山岳戦の割りにこれといって高低さもゲリラ戦の緊張感も活用されず、ただひたすら正面から来る敵に対し発砲を繰り返す単調なもので、どちらかといえば「崖から落ちてばっか!」って印象しか残らなかったが、“逃げる”って事に関しては駆け抜ける際に折れる木の枝や飛び交う銃弾が耳元をかすめる音が見事に再現されており、非常に高い緊張感が演出されている。人物描写に主点を置いたマッタリ気味の前半部と熾烈な戦闘が描かれる後半部の緩急が効いた構成も、全体を通してダレさせない巧い作り。
ただまぁ、一兵卒の視点かつ美談推しって感も強い作品なので仕方がないのかも知れないが、「戦地の兵士たちは悪くないんだよ!アフガニスタン人も悪くないんだよ!悪いのは全部タリバンなんだよ!」ってのはちょいと表面的過ぎなのではと。また、実際の兵士たちの映像にピーター・ガブリエルがオーケストラカバーしたデヴィッド・ボウイの“ヒーローズ”を流し、感動を力ずくで押し付けてくるって手法も正直好みではなし。そもそも“ヒーローズ”ってそういう歌ではないですし。まぁでも、ボウイの曲が流れれば無条件で「ヒャッホーイ!」となるいつもの“ボウイ・アドバンテージ”を加え、若干甘めの評価で。

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原作者であり劇中主人公のマーカスに扮したのは、『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』のマーク・ウォールバーグ。お勉強はアレだけど情に厚く腕っ節もそこそこ強いそこらの兄ちゃんって役柄が良くはまるだけに、今回のような兵士役に彼はうってつけ。ただ気合が入りすぎたのか、あまりらしさの感じられない、ちょいと重すぎる印象も。
そんなマーク・ウォールバーグと共に戦地へと向かう兵士役に、『バトルシップ』のテイラー・キッチュ、なんか今回はイケメンのジャック・ブラックみたいだった『ロード・オブ・ドッグタウン』のエミール・ハーシュ、みんな揃いも揃って髭面なのでゴッチャになりがちの中一番輝いていた『メカニック』のベン・フォスターらが。
また、『ハンナ』のエリック・バナや、実話なだけにその顛末がなんともイジりずらいパットン役に扮した『ハンガー・ゲーム』のアレクサンダー・ルドウィグらが、短い登場時間ながらも印象的で。

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こういう作品が必要とされる社会状況なんですかねぇ

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2013年04月09日

ロックアウト (Lockout)

監督 スティーヴン・セイント・レジャー/ジェームズ・マザー 主演 ガイ・ピアース
2012年 フランス映画 95分 アクション 採点★★★

もともと“クリエイター”って資質の欠片もない人間なもんで、いくら映画が好きだっていっても作ろうとか出ようとかは思った事もない私。ただただ他人の作ったものを「美味い!不味い!」と言ってるだけのワガママ亭主状態。でも、やっぱり物作りをする人ってのは、好きなものを自分の手中に収めたいって思ったりするんですかねぇ。

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【ストーリー】
2079年。宇宙空間に作られた監獄“MS−1”で暴動が発生。たまたまそこを訪れていた大統領の娘エミリーが人質となってしまう。この事態に政府は、重要参考人殺害の容疑で囚われていた元CIAの凄腕エージェントであるスノーを送り込むのだが…。

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リュック・ベッソンが自分の夢ノートに走り書きしたメモを、若手監督があの手この手で映画化する“まずはベッソンさんを満足させなきゃ!”っていういつものアレ。今回つかまったのは本作が長編デビューとなる、スティーヴン・セイント・レジャーとジェームズ・マザーのコンビ。
“ジョン・カーペンターの『ニューヨーク1997』”ってキーワードを除いちゃうと何にも残らなくなっちゃう本作。ただまぁ、アレコレ比較して不満を募らせるよりは、「ホント、ベッソンってカーペンター好きだよなぁ」と気楽に構えて観賞するのが良いのかと。確かに暴動中とは言え厳重警備の刑務所に(それも宇宙の)易々と潜入しちゃう大雑把さや、特に世界観が構築されていない特徴のない舞台をタイムリミットもないままウロウロする緊迫感のなさは目に付くが、どこかそこに80年代的大雑把さが感じられ苦にもならず。地球上で繰り広げられるチェイスシーンのCGが前世代ゲーム機のような仕上がりなのも、きっとその大らか&大雑把さを表現するためなのではと好意的に受け止めたりも。何の予定もない土曜の午後に、まったりとソファーに寝そべりながら観るにはうってつけな一本なのかと。

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主人公のスノーに扮したのは、なんか最近大作を中心によく目にするようになった気もする『プロメテウス』『ハングリー・ラビット』のガイ・ピアース。孤高のヒーローにも我が道を行くアウトローにも見えないが、もわもわと湧き出る下品さが腕っぷしの強さよりも減らず口が先に出てくる主人公にピッタリ。この“スネーク・プリスキンじゃない”感が、本作に程良い個性を。
その他、ベッソン好みの気の強い娘を演じた『96時間』『ファースター 怒りの銃弾』のマギー・グレイスや、『コロンビアーナ』『スリーデイズ』のレニー・ジェイムズ、『キック・オーバー』のピーター・ストーメアらがキャスティング。決して悪い顔ぶれではないんですけど、『タイタンの戦い』のヴィンセント・リーガンと『狼たちの処刑台』のジョセフ・ギルガンらによる悪党兄弟に、もうちょっとパンチが効いてればなぁと。すぐに爆弾を投げつけてくるアイリッシュ兄弟とか、冷凍睡眠の影響で妙に編み物が上手いって設定にするとか。まぁ、この辺も本作の“ほどほどさ”なんでしょうけど。

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『ニューヨーク1997』にじゃじゃ馬を混ぜればベッソン脳の出来上がり

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2013年03月07日

リーサル・ウェポン2/炎の約束 (Lethal Weapon 2)

監督 リチャード・ドナー 主演 メル・ギブソン
1989年 アメリカ映画 114分 アクション 採点★★★

80年代ロックシーンと言えば“ニューロマンティック”やら“メタル全盛”などアレコレ挙げれますが、その時代の特異性って意味で“チャリティー”と“アフリカ”ってキーワードが案外重要だったりする気が。飢餓問題に取り組んだバンド・エイドにしろ、アパルトヘイトに異を唱えたサン・シティにしろ、ウッドストックが果たせなかった“音楽で世界を変える”ってのが「もしかしたら可能なんじゃないのか?」と思わせるほど、まだまだ音楽に力があった時代でも。まぁ、「ビコ!マンデラ!アパルトヘイト!熱帯雨林!」とさえ言ってればインテリに見える時代でもありましたが。

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【ストーリー】
リッグスとマータフが追っていた麻薬密売人の車のトランクから、大量の南アフリカ製金貨が発見される。また、FBIからの要請で保護していた証人レオ・ゲッツの証言からも、一連の事件の背後に南アフリカ総領事が浮かび上がって来る。治外法権により逮捕も拘留も出来ないことなんざお構いなしに捜査を続けるリッグスとマータフであったが、総領事らの魔の手が彼らとその大切な人たちにも伸び始め…。

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世界中でメガヒットを飛ばした(日本では振るわなかったとか)『リーサル・ウェポン』の続編。前作同様『3人のゴースト』のリチャード・ドナーがメガホンを。
単品作品の主人公としては個性を発揮するが、シリーズ作ともなるとどうにも荷が重い“死にたがり”ってのから解き放たれたせいか、一気に腰が軽くなった本作。アクションも笑いも“マータフ家の人々”的アットホームドラマ要素も一段とパワーアップし、徹頭徹尾観客を楽しませる姿勢の崩れない娯楽映画のお手本的一本に。
ただまぁ、当時の時流とはいえ“南アフリカ相手なら何をやってもOK!”って作りにしろ、主人公らの勝手な行動で同僚がバッタバタと巻き添えを食らう様にしろ、過去と現在の因縁を一気にまとめてしまうお手軽さにしろ、如何にも80年代型ハリウッド大作特有の大雑把さが如実に出てしまい大味になってる感は否めず。悪党に対するオチの付け方も、溜飲を下げるってのよりも、「そりゃぁ銃を持ってる相手を前にそんなことすればねぇ…」と呆れてしまう方に傾いてますし。まぁ、その辺の細かい配慮不足に目をつぶれば、存分に楽しむ事の出来るハリウッド大作らしい一本なのではと。

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すっかり懐いた&居付いた野良犬感がより増した『キック・オーバー』のメル・ギブソン扮するリッグスや、個人のドラマはすっかりと無くなってしまった分、いじられキャラとしての役割が大きくなった『シャギー・ドッグ』のダニー・グローヴァー扮するマータフらのコンビーネーションの妙が存分に楽しめた本作。このコンビの面白さはなかなか他の作品では味わえないものかと。
一方、新キャラとして登場する『いとこのビニー』のジョー・ペシも強烈この上なし。マータフが飼う羽目になるもう一匹の小型犬ってポジションである上に、小さな体とせわしない身振り手振り、けたたましい早口と完全にお笑いキャラなのだが、その目はさっぱり笑っていないどこか怖い役柄。当時感じたこのアンバランスなモヤモヤ感は、後の『グッドフェローズ』で「あぁ、やっぱりこの人は怖い人なんだ…」で解消されるんですけど。
その他、アイドルなのかと思いきや、その躊躇のない脱ぎっぷりに驚かされた“エイス・ワンダー”のパッツィ・ケンジットや、圧倒的な悪人顔ながらも『飛べないアヒル』などハートウォーミングな役柄もお手の物であるジョス・アックランドらも共演。

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そう言えばうちのネコも「ねぇねぇ何やってんの?」ってトイレについてきますねぇ

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2013年02月22日

リーサル・ウェポン (Lethal Weapon)

監督 リチャード・ドナー 主演 メル・ギブソン
1987年 アメリカ映画 110分 アクション 採点★★★★

よく人をタイプ分けする際に“犬タイプ、猫タイプ”に区分することがありますけど、そんな時は常に“猫タイプ”にされてしまいがちな私。人見知りが激しく気分屋で、頑固なくせに妙に腰が軽く突拍子無い行動を取ることもしばしばなので猫側に見られがちなんですけど、いやいや自分では断然犬人間だと思ってるんですよねぇ。確かに滅多に懐きませんが懐いたらとことんですし、これまた滅多に誓いませんが忠誠を誓った相手にもとことん。ほら、犬だ。ワン

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【ストーリー】
若い女の飛び降り事件が発生。かつての戦友の娘であることを知った50歳を迎えたばかりのベテラン刑事マータフは捜査を開始するが、そんな折、妻を失って以降自殺的行為を繰り返すリッグスとコンビを組む羽目となる。なにもかにもが無茶苦茶なリッグスに翻弄されながらも、彼らは事件の背後に潜む巨大組織へと近づいていき…。

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後に4作まで作られる大人気シリーズ“リーサル・ウェポン”の記念すべき第一弾。『ラスト・ボーイスカウト』のシェーン・ブラックによる脚本を、なんかクリスマスの度に大爆発を起こしてる感もあるジョエル・シルヴァーが製作を務め、『16ブロック』のリチャード・ドナーがメガホンを握って映像化したバディ・アクション。
人種も世代も価値観も境遇も、何もかにもが違う二人の男が次第に絆を深め、巨悪に対しこの二人だからこそ立ち向かえる様を描いた本作。“この二人だからこそ”ってのが重要。どちらか一方が活躍すればなんとかなりそうなバディ物も少なくない中、二人が結びつくまでの過程や個々のキャラクターが活きる場面を丁寧かつバランス良く描けたからこそ完成できた一本なのかと。そのキャラクター描写に関してはシェーン・ブラックの功績なのだろうが、ベトナム戦争の暗部に巨大麻薬組織、殺人傭兵軍団にアットホームドラマと若干風呂敷を広げ過ぎた欲張りな物語を、それらをバランス良く取り込み、無駄なくタイトなのに見せるべき部分はシッカリ派手めに収めるリチャード・ドナーの職人技がやはり何よりも光っている。80年代以降の刑事アクションの雛型的作品と呼べるだけあり、25年以上経た今でも充分過ぎるほど楽しめるってのも流石。まぁ、これに関しては本作を褒め称えるべきなのか、映像こそ進化したが構造は全く変わっていない現状を憂うべきなのかは迷うところですが。
当時パロディをする際は必ずそれっぽい曲が流れるほど作品と直結した、エリック・クラプトンによる泣きのギターにデヴィッド・サンボーンによる泣きのサックスという、なんか泣いてばっかのサントラも非常に印象深く。オープニングカットをおっぱいで飾り、その後程なく主人公の全裸がやって来る、あらゆる方向へ向けたサービス精神も素晴らしい。

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ビリング上のトップは『キック・オーバー』のメル・ギブソン扮するリッグスとなってますけど、考えてみれば物語上の主人公って『ザ・シューター/極大射程』のダニー・グローヴァー扮するマータフなんですよねぇ。事件との関わりの深さにしろ、その事件やリッグスによって生活や環境が滅茶苦茶にされる様にしろ、物語は全てマータフを中心に動いてますし。全ての変化をマータフが一身に。リッグスは好き勝手暴れているだけで、変化と言えば友達が一人増えたくらいなのかと。作品を重ねる毎に色濃くなる“マータフ家のみなさん”的アットホームドラマ感も、いじり倒して反応を楽しむ主人公としての役割故かと。
「じゃぁ、リッグスはなんなんだ?」ってところなんですが、いかりやに対する志村というか、『ハリーとヘンダスン一家』におけるハリーというか、人間と動物の交流を描く映画における動物的ポジション。ってか犬。それもドーベルマンやシェパードのような端正な奴じゃなく、ボッサボサのむく犬

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飼い主に死なれた悲しさから誰にも懐かず噛みついてばっかりだったむく犬が、何故かマータフにだけは懐いちゃったって感じ。どちらかと言えば猫派のマータフは当初困惑するも、一緒にいるうちに心を通わせ「犬もなかなかいいな…」ってなる感じ。一旦そう見え始めちゃうと、マータフの後をついていくリッグスのお尻に嬉しそうにブワンブワン振る尻尾が透かし見えてくるし、突如マータフらを襲撃するヘリに対して応戦するリッグスの銃声も犬の鳴き声に聞こえてくる始末。ヘリに逃げられ口惜しそうなリッグスなんて、明らかに唸ってますし。
そうなると、『ピラニア リターンズ』のゲイリー・ビューシイ扮するジョシュアも明らかに犬。こっちはドーベルマン。ご主人様は『荒野のストレンジャー』のミッチ・ライアン扮する将軍。飼い主は飼い主同士、忠犬は忠犬同士の対決が用意されているのも、本作が犬と飼い主の交流を描いた作品だからなのではと。このレビューを書き始めた当初はこんな着地点になるとは思いもしませんでしたが、“『リーサル・ウェポン』は犬映画だった”ってことで締め括りー。ってなわけで、書き出し部分も今から書き直しー。ワン

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ちょっと撫でたらついて来た

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posted by たお at 12:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■ら行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月10日

ロック・オブ・エイジズ (Rock of Ages)

監督 アダム・シャンクマン 主演 ジュリアン・ハフ トム・クルーズ
2012年 アメリカ映画 136分 ミュージカル 採点★★

ミュージカルは苦手なんですが、ロックは大好物な私。じゃぁ“ロックミュージカル”なるものはプラマイゼロで概ね大丈夫かというと、その世界観にはあの音楽しかありえず、その音楽にはあの世界観しかあり得ない『ロッキー・ホラー・ショー』みたいな傑作も稀にありますけど、大体はロックとしてもミュージカルとしても中途半端な作品が多い気が。やっぱりあれですかね?私の苦手な生牡蠣に大好物のアンコを和えたって、別にプラマイゼロになるわけじゃないってのと同じですかね?

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【ストーリー】
1987年。シンガーになる夢を持ってロサンゼルスにやって来たシェリーは、嬉しかったり悲しかったりしてる内に夢を叶えましたとさ。

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80年代のヘヴィメタル/ハードロックをフィーチャーした同名ブロードウェイ・ミュージカルを、『キャプテン・ウルフ』のアダム・シャンクマンが映画化した、トム・クルーズしか見所のない一本。エクステンデッド版とやらで観賞。
過剰なまでにグラマラスにドラマチックに肥大化した当時のメタルシーンとミュージカルは決して相性が悪くないと思うんですが、その特異性や時代の整合性なんかには目もくれず「ほら!この曲懐かしいでしょ!」で終わっちゃってる本作。“夢!愛!挫折!成功!でもやっぱ愛だよね!”だけを繰り返すペラペラな15歳向け物語で若年層を取り込みつつ、懐かしい楽曲でその親御さんにも目配せをしたんでしょうが、そのどちらにも重きが置かれていない台無しな感じに。楽曲も特に奇抜なアレンジをされてるわけじゃないので、なんか腰の入ってない他人のカラオケを聴かされてる気分になりますし。なによりも、「シンガーになりたい!」と願ってるだけで特に何もしない主人公が、どさくさに紛れて最終的に夢を叶えちゃうアメリカンドリームの大安売りっぷりに唖然。
また、「全部ロックで!」って元々の趣旨もあるんでしょうし、人物の過去にまつわるヒントの意味合いもあるのかも知れないんですけど、ロック反対派の人物までもがロックを歌うってのもシックリ来ず。どうせなら出てくる度にバックでケニーGが流れてるとか、カーペンターズしか歌わないとかだったらバランスが取れたのに。まぁ、そうなったところで格段に面白くなるとは思えませんが

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ジュリアン・ハフとディエゴ・ボネータとやら若者が中心にいるが、「なんかホラー映画だったら3番目くらいに殺されそうな感じだなぁ…」位の印象しかなし。いかにもな歌いっぷりと佇まいも、非常に苦手な部類でしたし。「どう?私輝いてるでしょ?」みたいな。
ただ、デビュー前のアルダス・スノーみたいな感じだった『伝説のロックスター再生計画!』のラッセル・ブランドを筆頭に、『スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜』のポール・ジアマッティ、『ディパーテッド』のアレック・ボールドウィン、ただただ怖かったキャサリン・ゼタ・ジョーンズなど、脇を固める大人勢はなかなかの顔ぶれ。その他にも、『DOA/デッド・オア・アライブ』のケヴィン・ナッシュや、『アンストッパブル』のT・J・ミラー、『ホステル2』のイーライ・ロスに、「同じ“デボラ”なら“ハリー”の方でしょ、この映画なら?」と思っちゃったデボラ・ギブソンらもチラリと顔を出す豪華さ。
で、やっぱり見所はもちろん『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』のトム・クルーズ。ロックとなかなかイコールになるイメージのないトムちんだけに、ヴィンス・ニールとアクセル・ローズを足した感じのハンサムロックスター役をどう演じるのか期待と不安が半々だったんですが、考えてみればある意味ロックスターだったレスタト役を『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』でモノにしていたトムちんだけに、それのバージョン違いとして難なくハンサムにクリア。肝心の歌声も、4ヶ月半に及ぶボイストレーニングと多少の機械的調整もあってか、なかなかの仕上がり。「そんな高いキーで歌い始めちゃったら、サビでエライ目に遭うよ!」とハラハラしたフォリナーの“アイ・ウォナ・ノウ”も、サビの部分でシレーっと低音パートを歌うハンサム回避能力を発揮してくれましたし。やっぱりハンサムは日々の鍛錬と、それを決して感じさせない堂々と自然な佇まいが必須なんだなぁと確認できたのと、トムちんが女性のお尻に向かって「愛ってなんだろ〜♪」って歌う様が妙にツボだったので、★ひとつオマケ気味で。

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トムちん出待ち映画

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posted by たお at 13:10 | Comment(0) | TrackBack(1) | 前にも観たアレ■ら行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月07日

ザ・レイド (Serbuan maut)

監督 ギャレス・エヴァンス 主演 イコ・ウワイス
2011年 インドネシア/アメリカ映画 101分 アクション 採点★★★★

カンフー映画や格闘技映画の大半って、ぼんやりと“拳で人は殺さない”って前提がありますよねぇ。殺しちゃうのは大抵悪者の方で、善玉は相手が「ウゥゥ…」ってなったらおしまいに。それって、もし相手が体力回復して起き上ったら、もう一回「ウゥゥ…」ってさせちゃうんですかねぇ。なんか面倒臭いですねぇ。

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【ストーリー】
インドネシアのジャカルタにそびえ立つ高層マンション。そこは麻薬王リヤディによって支配された悪の巣窟であった。その場所に、新人警官ラマを含む精鋭SWAT20名が奇襲攻撃を掛けるが、犯罪者たちの逆襲により一人一人と命を失っていく。退路を完全に断たれた中、ラマはリヤディ目指し奮闘するが…。

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東南アジアの伝統武術シラットを用いた壮絶アクションを堪能できる、インドネシア発のバイオレンスアクション。メガホンを握るのは、イギリス出身の新鋭ギャレス・エヴァンス。インドネシア映画っていうと、あれはあれで強烈だった『首だけ女の恐怖』しか観た記憶が無いんですが、これはこれで強烈なエネルギーを放つ一本。
シラットを大々的に取り扱っただけではなく、“相手には必ずトドメを差す”その容赦のなさに大いに驚かされた本作。行動不能の最終形として、とりあえず殺す。これだけだとただの乱暴者映画なのだが、“殺さないとこっちが殺される”って恐怖の演出が施されているので、そこには陥らず。ってか、アクション部分以外はほとんどホラー映画の怖さ。敵地の放り出され、殺しても殺してソマリア人が後ろから湧いてくる『ブラックホーク・ダウン』、意志疎通が不可能なギャング団に囲まれる『ジョン・カーペンターの要塞警察』的な怖さと言うか、密室型暴走ゾンビ映画の怖さが全編に。『ザ・ホード -死霊の大群-』のゾンビがギャングになった感じ。もちろんそれだけだと単調になるのだが、次回作で膨らませるのであろうコインの裏表となってしまった兄弟の物語をしっかり絡めて、やや一本調子の展開にアクセントを付ける上手さにも唸らされた作品で。
主演のイコ・ウワイスの身体能力にも驚かされたが、やはり強敵マッド・ドッグに扮したヤヤン・ルヒアンのインパクトの強烈さが忘れられず。殺す事を目的としてるのは双方同じなのだが、こっちはそこに悦びを見出している不気味さが、そのアル・レオン的風貌と相まって作品全体の怖さを一人背負った感すら。現在撮影中の続編には出演しないようだが、アクション・コーディネーターとして作品に“鬼気”ってのを漂わせてくれるのかなぁと期待。

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銃器で楽に逝かせてなんてあげない

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posted by たお at 11:15 | Comment(0) | TrackBack(3) | 前にも観たアレ■ら行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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