2007年12月26日

リサイクル −死界− (鬼域)

監督 オキサイド・パン/ダニー・パン 主演 アンジェリカ・リー
2006年 香港/タイ映画 108分 ホラー 採点★★★★

十数年ぶりに母校を訪ねてみると、その周囲の風景がガラリと変わってたりして驚いたもの。見覚えのない店や真新しいビルに囲まれ、まるで別の街に来てしまったかのような錯覚すら覚えるが、ふと裏道に入ると何十年も変わらない街並があったりも。こうやって古いものを下敷きに、新しいものが出来上がるんだなぁと、当然のことを改めて思ったもので。まぁ、忘れたことや忘れたいことの積み重ねが、今の私を作り上げているんでしょうし。元々忘れっぽいってのは別にして。

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【ストーリー】
人気女流作家のディンイン。霊的体験をテーマとした次回作の執筆に入る彼女であったが、短いアイディアこそ出るが形にならず苛立つ彼女。やがて彼女の周囲で不可解な現象が起き始めるが、それらは全て彼女が捨てた小説のアイディアばかり。現実と虚構の狭間で混乱する彼女であったが、周囲の世界は更に大きく変貌し始め…。

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the EYE 【アイ】』のパン兄弟による、ホラーファンタジー。
捨て去られた言葉が具象化する序盤こそはアジアホラー特有のおぼろげでジットリとした恐怖描写で描かれるが、中盤以降はその風合いを残しつつもより直接的な力技表現で恐怖を描く、そのブレンド具合とバランス感覚が秀逸。“力を宿す言葉”“忘れ去られた者(物)の悲しみ”“過去の過ち”など様々な要素を欲張って全て取り込んだ結果、非常にとっ散らかった印象も強いのだが、捨てられた玩具が地平線を埋め尽くす光景や、廃墟の間に挟まれた観覧車、障害物が亡者の“死霊のラビリンス”と化した死界の様など、強烈なビジュアルイメージがそれを補って余りあるものとなっている。首のだらりと伸びた亡者が大挙する“首吊りの森”や、名前も与えられぬまま中絶された水子が育ち続ける巨大な子宮といった、恐怖と底知れない悲しみが混在する世界をテーマ毎に教訓を込め見事に表現した本作のビジュアルイメージは、『パンズ・ラビリンス』に匹敵すると言っても全く過言ではないほどダイナミックである。

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しかし、その見た目以上に強く心を揺さぶるのが、悲しさと優しさと厳しさに溢れた物語。登場する亡者の全てに言葉では語られない悲しい過去を匂わせているのだが、主人公の水先案内人として登場する名もない少女の想いは強烈。母親を想う強い気持ち、僅かな時間の間に母親と一緒にしたかった事を出来るだけ叶えようとする切ない想い、どんなに悔いても詫びても過去に起きた事実は変えようがない厳しさを一言で諭すその少女が背負うあまりに重い悲しみには、強く胸を締め付けられる。
大きな瞳が際立った美しさを放っていた『the EYE 【アイ】』のアンジェリカ・リー。本作では、その美しさに過去を自ら封印する力強さと翳りを漂わせ、一種妖艶な美しさすら感じるほど。やっぱり恋人のことは、より一層美しく映し出そうとするもんなんでしょうねぇ。
とっ散らかった物語、やり過ぎちゃったエンディングなど不満も少なくはないが、見事なビジュアルとアンジェリカ・リーの美しさが圧巻であるので、文句なしにこの評価。

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変えられないなら、忘れない

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posted by たお at 23:23| Comment(2) | TrackBack(4) | 昔観たアレ■ら行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月07日

リンガー! 替え玉★選手権 (The Ringer)

監督 バリー・W・ブラウスタイン 主演 ジョニー・ノックスヴィル
2005年 アメリカ映画 95分 コメディ 採点★★★

“不謹慎”ってのはその相手がどう思うかによって変わってくるものなので、やたらと自主規制するのが良い事とは限らない気も。笑って欲しくてやってるのに、「笑ったら失礼だ」とばかりに何もかも分かったような顔をして笑わないでいるってのが、一番失礼なのでは。

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【ストーリー】
ひょんなことから庭師を雇うこととなってしまったスティーヴ。しかしその庭師が仕事中に指を切断。治療費に困っていたスティーヴに、伯父のゲイリーが身障者に成りすましてスペシャル・オリンピックに出場することを提案するが…。

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『ビヨンド・ザ・マット』のバリー・W・ブラウスタイン監督によるコメディ。
2番目のキス』のファレリー兄弟が製作を担当した身障者ネタのコメディということもあり、「健常者は笑い飛ばすくせに、何で身障者を笑っちゃいけないんだ?」と至極真っ当な平等観に基づいた、人間のエゴやら深い優しさやらを鋭く突いた作品となっているかと思いきや、至って無難なコメディに。チームメイトとの友情や主人公の成長、恋愛成就などを程よく網羅し、それらを上手に物語に溶け込ませてはいるのだが、半端に腫れ物に触れないようにしている安全運転ぶりが、逆に居心地の悪さを醸し出してしまっていることも。絶妙なコントロールで見事にストライクゾーンの隅を突いたのだが、審判が「ボール!」と言っちゃったような作品。
主人公が身障者に成りすますためにビデオを観て学習をするのだが、『レインマン』『フォレスト・ガンプ』に混じって“ベスト・オブ・チェヴィ・チェイス”のビデオが。それがオチなのに、そこだけ字幕がないのは如何なものかと。

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“ジャッカス”を全く観ていないせいか、特にこれといって思い入れのない『ロード・オブ・ドッグタウン』『ワイルド・タウン/英雄伝説』のジョニー・ノックスヴィル。見せ方のパターンが少ないのは主人公として若干キツイのだが、『ボーン・アイデンティティー』『マッチポイント』のブライアン・コックスや、『ギャラクシー・クエスト』と基本的にキャラが変わっていないジェド・リース、その他リアルな方々と周囲が濃いのでその辺は相殺。『暴走特急』でセガール直伝の護身術を披露していたキャサリン・ハイグルなんて、いつの間にか立派な大人の女性になってましたし。でもまぁ一番目が離せなかったのは、『ビヨンド・ザ・マット』繋がりでの登場なのか、後ろでニヤニヤしているだけのテリー・ファンク御大なんですが。

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7人並べば、そりゃあ『荒野の七人』を流したくもなります

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posted by たお at 01:20| Comment(2) | TrackBack(2) | 昔観たアレ■ら行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月20日

ローグ アサシン (War)

監督 フィリップ・G・アトウェル 主演 ジェット・リー
2007年 アメリカ映画 103分 アクション 採点★★

裃に日の丸はちまきのドルフ・ラングレンが大暴れしていたり、中日にトム・セレックが入団しちゃったりする映画を観ると「国辱的だ!」と憤慨される方も少なくないですが、当の私たちも結構外国観がアバウトだったりするんで、「あらあら、まぁまぁ」と大人の対応で軽く受け流してあげるのが良いかと。確かに映画を真に受ける人もいるかも知れませんが、もし忍者がいると信じて名古屋に来ちゃった外国人を見かけたら、温かい目で見守ってあげるのも、これまた大人の対応。

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【ストーリー】
FBI捜査官のクロフォードは伝説的な殺し屋“ローグ”を追い詰めるが、逆に相棒であり親友トムとその家族を惨殺されてしまう。3年後、ヤクザと中国マフィアの抗争が激化するサンフランシスコにローグが現れるが…。

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互いにコリー・ユンと縁の深い二人であるが、共演はりんちぇのコスプレ姿ばかりが心に刻み込まれている『ザ・ワン』以来となるジェイソン・ステイサムとジェット・リーという、やたらと身体の動く二人が顔合わせをしたアクション。
対立するギャングの間を行き来し、最終的にその双方を壊滅させる物語と言えば最近では『ラッキーナンバー7』があるように然程珍しい話でもなく、本作も中盤で大体の枠組みが見えてきてしまうのだが、そんなことを気にさせないほどワンパクな描写が満載で退屈させない一本。本作を一言で言い表してしまっているかのような、“下手の横好き”と大きく書かれた掛け軸が目を引く日本料理屋を舞台とした、女体盛りと中華包丁片手のシェフが入り乱れる大乱闘に、メインの武器が日本刀のヤクザが忍者姿で暗躍し、作り手もどっちがどっちだか分からなくなってしまったのか、捨てゼリフが日本語の中国人マフィア、英語の字幕を見ないと何を言っているのかサッパリ分からない、顔の上下の毛の密度が逆のジェイソン・ステイサムの日本語など、片時も目を離せぬほど「あ〜あ、やっちゃったぁ」描写がそこかしこにあって非常に楽しい。

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ジェット・リーの冷酷な殺し屋ぶりもなかなかのもので、優雅な舞を思わせるいつもの華麗なアクションを封印し、直線的かつ攻撃的なアクションを見せるジェット・リーは、その冷徹な顔つきも含め非常に役柄にマッチしている。しかしながら、凄味を見せるジェット・リーを最後まで悪役として使い切ることが出来なかったのか、ただ単にビックリさせたいだけだったのか、そこに至るまでの90分は何だったのかと思わざるを得ない大ドンデン返しは如何なものかと。まるで「あの映画、すげぇ怖かった!」との評判につられて劇場に足を運んだら両隣をヤクザに挟まれてしまったという、確かに怖かったが納得はいかない気分に似たような感じが。物語上の必然としてのドンデン返しならまだしも、ビックリさせることだけを目的とした投げっ放しドンデンともなると、もうなんと言うかハリー・ポッターの最終巻の最後のページに“「あ〜、楽しい夢だったなぁ」とメガネの少年がベッドで目覚めた”と書いてあるような乱暴さであるような気も。その乱暴さの割に、主人公の二人とも最後まで悪人になりきれなかったりする中途半端さも目に付く。どうせそこまでやるなら、日本刀のヤクザを相手にヌンチャクと三節根で対抗する中国マフィアとか、せっかくコリー・ユン門下生ともいえる二人が顔を合わせているんだから、クライマックスは無重力カンフーバトルにするとかワンパクさを貫き通していれば、誰にも褒められないかもしれないが心にこびり付いたまま一生忘れられない映画になったのに。『イントゥ・ザ・サン』みたいな。

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趣味が“お医者さんゴッコ”のクロフォードに扮する『トランスポーター2』『カオス』のジェイソン・ステイサムと、そのジェイソン・ステイサムと10歳ほど年上には到底見えない『キス・オブ・ザ・ドラゴン』『SPIRIT/スピリット』のジェット・リーの組み合わせだけでもお腹一杯だというのに、色艶の非常にいい肌が逆に怖い『シャドー』のジョン・ローン、未だに「キリキリキリキリ」がトラウマの『オーディション』や伽椰子の存在そのものがトラウマである『THE JUON/呪怨』の石橋凌、吹き替えなのかやたらとスラスラと喋る日本語の違和感が、その首から上と下との違和感とお馴染みの無表情と相まって、より一層CGっぽさを増したシン・シティ』『DOA/デッド・オア・アライブ』のデヴォン青木と、スキモノには堪らない顔ぶれが揃った本作。
中でも注目は、コリー・ユンに気に入られたのか、はたまたデヴォン青木のバーターだったのか、『DOA/デッド・オア・アライブ』に続いての出演となったケイン・コスギ。短い出演時間と、“からだであそぼ”の時と変わらないその風貌がヤクザに全く見えないってのが玉に瑕ではあったのだが、ジェット・リーとの一騎打ちという“ひろみちお兄さんVSジャッキー・チェン”級の夢のカード実現に、小さな興奮を覚えたものです。まぁ結果は言わずもがなですし、その押しの弱さがケインの魅力でもあるんですが。

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セガールが加われば、なお良し

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posted by たお at 02:51| Comment(8) | TrackBack(66) | 昔観たアレ■ら行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月06日

ラストキング・オブ・スコットランド (The Last King Of Scotland)

監督 ケヴィン・マクドナルド 主演 フォレスト・ウィッテカー
2006年 イギリス映画 125分 ドラマ 採点★★★★

中学一年の頃だったか、どういう流れでそうなったかは定かではないが女の子と二人で映画を観ることとなってしまった私。もう一年もすれば頭ん中が女の子の事でパンパンになるとはいえ、まだ女の子を追っかけるよりはカブトムシを追っかけてた方が楽しかった時期だっただけに、人生初のデートであるのにも関わらず選んだ映画がよりによって『食人大統領アミン』。だって、心の底から観たかったんですもの。まぁ、その子とのデートがそれで最後となったのは言わずもがなですが。未だにデートで観る映画はまず“自分が観たい映画”を選んじゃう、何ら教訓を得ることがない私もアレですが、タイトルに“食人”と付く映画を中学生が観れた時代も遠くになりけりですねぇ。

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【ストーリー】
医学校を卒業したニコラスは窮屈な実家から逃げ出したく、自分探しの旅を兼ねて単身軍事クーデターが勃発したウガンダへと向かう。その地でひょんなことから新大統領イディ・アミンと出会い気に入られたニコラスは、彼の主治医に抜擢される。アミンの人柄とカリスマ性に惹かれるニコラスであったが、国内の情勢悪化と共にアミンの本性が現れ始め…。

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“アフリカの暴れん坊”“人食い”と呼ばれ悪名高いウガンダの大統領イディ・アミンの実像を描いた、『運命を分けたザイル』のケヴィン・マクドナルドによる一本。
アミンの映画とくれば、“冷蔵庫を開けたら生首ゴロリ”とか“白人と黒人の女性に挟まれベッドでウハウハ”といった気の効いたシーンを期待してしまうが、本作にそんなシーンはなし。残念です。アフリカの現状を描いている映画を期待してしまうとこれまた肩透かしを食うかもしれないが、浅い見識と低い志しの割に行動力だけはすこぶるある典型的な若者である主人公が、ひょんなことから大きく動いた運命に翻弄された挙句に、非常に手痛い成長の通過儀礼を受ける物語としては見応えがある。魅力溢れるカリスマ的独裁者と出会い魅了され、その魅力ゆえに独裁者の本性も国が陥っている現状も見えぬほど視野が狭まってしまい、ようやく現実を悟るのが死が目前に迫ったその瞬間という様子が非常に良く描き出されている。その恐怖が迫ってくるサスペンスフルな盛り上がりも上手に作られており、単なる実録映画以上の映画的醍醐味も味わえる。主人公が実家を飛び出すまでの描写が浅いためその原動力がイマイチ掴みづらい点や、アミンの側近がメガネにチョビヒゲというコントの登場人物のようにしか見えなかったり、ドキュメンタリー風のブレるカメラワークは好みではないが、その不満を差し引いても充分に満足できた一本で。

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その満足できた大きな要因が、アミンに扮するフォレスト・ウィッテカーの熱演。巨大なクマのヌイグルミというか、黒くなった鶴瓶のような温厚な風貌を持つ彼だからこそ、魅力溢れる笑顔と幼稚で邪悪な本性というギャップあるアミンに適役。そもそも大人数を一気に魅了する強烈な魅力を持っていることが独裁者にとって必要不可欠な要素であり、その魅力こそが一番厄介なわけですし。
人妻が大好き”って事以外はよくわからなかったニコラス役のジェームズ・マカヴォイであるが、70年代の衣装が良く似合うギラギラした顔つきと強い目力は結構好み。で、そんなウィッテカーの熱演やマカヴォイのギラつき以上に本作を「観たい!」と思わせた最大の要因が、スカリーことジリアン・アンダーソンの存在。大好きなんですもの、スカリーが。「でっかいスクリーンでスカリーが観れる!」ってだけで喜び勇んで『X−ファイル ザ・ムービー』を観に行ったはいいが、スクリーンに映し出された彼女の思いのほかのスケールの小ささに、TV女優と映画女優の格の違いを痛感させられた苦い思い出もあるものの、あの頃のお人形さんのような可愛らしさから一変し大人の色気を醸し出す彼女を観れたのは、嬉しい限りで。たとえほんの僅かな登場時間のうえ、ニコラスの人妻好きを立証するだけの役回りであっても。

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奥さん寝取られりゃ、アミンじゃなくても怒る

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2007年09月07日

レストストップ デッドアヘッド (Rest Stop)

監督 ジョン・シャイバン 主演 ジェイミー・アレクサンダー
2006年 アメリカ映画 85分 ホラー 採点★★

家から程ない所にちょっとした高速道路が走ってるんですが、開通当時は東西南北に走る区間の短い有料道路の一つでしかなかったんですよ。で、最近それらがくっついて一本の高速道路になったんですが、今までの短い距離では必要のなかったパーキングを、この長い距離になってしまった段階で作っていないことに気が付いたらしく、今大慌てでパーキングを建設中。出来るまでの間は、乗ったら最後、終点までトイレにも行けない死のロードに。

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【ストーリー】
俳優になろうと、テキサスからロサンゼルスへと向かうニコールと恋人のジェシー。途中、山奥にある休憩所に立ち寄ったニコールだが、トイレから出てくるとジェシーは車ごと消えており…。

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サブライム −白衣に潜む狂気−』『ビリーバーズ』と、オリジナルホラーDVDをリリースする“RAW FEED”レーベルの一本。
“よそ者が田舎でえらく怖い目に遭う”という、『悪魔のいけにえ』や『クライモリ』などでもすっかりお馴染みのジャンルである本作。70年代風を狙ってか、16mmっぽい荒れてやたらとブレる映像や容赦のない展開に工夫が伺えるのだが、一本のストーリーとしては全くまとまり切れておらず。狂人一家や奇形、消える死体や実存すらあやしい殺人鬼など面白いネタは揃えているのだが、思い付きをそのまま撮ったかのように繋がりが弱い。『悪魔のいけにえ』にトワイライト・ゾーンを足したような作品として観ようにも、それぞれのピースがチグハグなため、噛み合いも悪い。出てきたら出てきっ放しという、人物設定の整理のされなさ過ぎが特徴の本作。善人であれ悪人であれ、何かしら物語に絡んできそうだった白バイ警官が、出るや否や襲撃され、あとは「たしけてー。動けないー。」とただのでくの坊と化すのは観ている分には面白いのだが、ストーリー上は邪魔。肝心の狂人一家と殺人鬼の繋がりもアヤフヤで、それなりに余韻を残すエンディングで関係図を完成させているようにも思えるが、別エンディング集や本編より遥かに面白い狂人一家のホームビデオを観る限りは、色々と思いつきで撮ったのを「ど・れ・に・し・よ・う・か・な?」で決めたかのような一貫性のなさが残念。トイレの落書きや行方不明人のポスター、物置から聞こえる声など、所々ゾッとはさせてくれるので、★おまけ。

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あながち誇張でもないってのが怖い

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2007年07月01日

ロード・トリップ (Road Trip)

監督 トッド・フィリップス 主演 ブレッキン・メイヤー
2000年 アメリカ映画 94分 コメディ 採点★★★★

根が甘ったれなもんなんで、遠距離恋愛には全くもって向いていない私。会いたい時に会えないってのが嫌な上に、“会いたい”ってなるのが頻繁だったりも。おかげさまで過去に一度だけあった遠距離恋愛は、ものの見事に一月ももたず。ところで、“遠距離恋愛”ってどのくらい離れたら“遠距離”になるんでしょうね?会うための交通手段が、新幹線になったら?

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【ストーリー】
幼馴染の恋人同士であるジョシュとティファニーは、大学進学を機にニューヨークとテキサスに別れ遠距離恋愛を。ところがある日、同級生のベスと浮気をしてしまったジョシュは、その様子を録画したビデオテープをティファニーへ送るはずだったビデオレターと間違って投函してしまう。彼女がそのビデオを手にする前に何とか取り戻そうと、ジョシュは悪友らとテキサスへ向かう。

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アダルト♂スクール』『スタスキー&ハッチ』と、どれもこれも大好きな映画ばかり撮ってくれているトッド・フィリップスによる、大学生活に対する深い愛情が込められたこれまた大好きな一本。
旅を通して登場人物それぞれが抱える問題を解決していくお気楽な作品って言われてしまいそうな作品なのだが、それらの問題や本音でぶつかり合う悪友同士の会話の等、非常に等身大なだけにリアルで、コメディ版『ファイト・クラブ』というよりは、“その後の『アニマル・ハウス』”的な味わいがあった『アダルト♂スクール』同様、そこに作り手の学生生活への思い出と憧れがたっぷりと込められている為、大笑いしながらもついつい懐かしい思い出を色々と思い出してしまう深みもある。この愛情たっぷりの90分の中に嫌いなシーンは全くといっていいほどないのだが、中でも黄色いスクールバスの中でツイステッド・シスターの“アイ・ワナ・ロック”を皆で熱唱するシーンは、『ウェインズ・ワールド』での“ボヘミアン・ラプソディー”に匹敵する楽しさ。考えてみれば、本作といい『ダーティハリー』といい『リトル・ミス・サンシャイン』といい、黄色いバスが印象的な映画に嫌いな映画がなかったりも。

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ブレッキン・メイヤー扮する主人公に、これといって個性も魅力も然程感じられないのが唯一の難点とも言えるのだが、その分周りが素晴らしいにも程があるほど素晴らしい。青春コメディに欠かすことの出来ない『ランダウン』『バレット モンク』のショーン・ウィリアム・スコットは全くもっていつも通りの冴えっぷりだし、男性に対しては一途だが、やることは何事も大胆な『バタフライ・エフェクト』『スタスキー&ハッチ』のエイミー・スマートも非常に魅力的。ソクラテスをヴィンス・マクマホンに例えれる類稀なる知性の持ち主ルビンを演じる『プッシーキャッツ』のパウロ・コスタンゾや、もう“第2の挑戦”はなさそうな『レモ/第1の挑戦』のフレッド・ウォードも印象的なのだが、やはり本作の影の主役であるカイルを演じた『ニュー・ガイ』『ザ・コア』のDJクオールズが絶品。よく見ればどこを取っても気持ちが悪いのだが、どんどん可愛く見えてくるカイルの親離れと童貞喪失が実はメインでもある本作。童貞喪失と同時に、これまでの遅れを一気に取り返そうと必至に背伸びをする姿が、痛々しくも可愛らしい。

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ところが本作には、そんな彼らの頑張りを一気に消し飛ばすだけの破壊力を持つ地雷が存在する。もちろんそれは、トム・グリーン。決して触れてはいけない一人地雷原というか、5分おきに爆発する時限装置付きギャグ爆弾というか、本作のトム・グリーンはとにかく強烈。基本的に物語にも人にも絡むことなく、場面と場面の狭間に突如現れ強烈な印象だけを残して嵐の如く去っていく様は、“8時だヨ!全員集合”におけるすわ親治か、『アニマル・ハウス』におけるジョン・ベルーシ並のインパクトがある。どのシーンにおいても挙動不審で全く目が離せないトム・グリーン。全ての出番が抱腹絶倒なのだが、特に散々引っ張りながらもあっさり「悲しいね♪」で終わる“ちっちゃいサケの歌”が見事。褒めていいのかどうかは別として。

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動物と絡むほうが得意。生きているかどうかは別として

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2007年06月24日

リトル・ミス・サンシャイン (Little Miss Sunshine)

監督 ジョナサン・デイトン/ヴァレリー・ファリス 主演 グレッグ・キニア
2006年 アメリカ映画 100分 ドラマ 採点★★★★

2年連続で日本人が快挙を達成したってんで大騒ぎになったミス・ユニバース。世界一美しい女性を選ぶ大会で日本人が選ばれたのは嬉しい限りではあるんですが、御二方とも容姿にしろメイクにしろ佇まいにしろ、非常に欧米的。というか、欧米人好み。浮かれムードに水を差すつもりはないんですが、なんというか型に押し込んだって感じがして、日本人としての美を感じなかったりも。まぁ、主催者がいる限りは、その主催者好みの型にはめるのが無難ではあるんですが。

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【ストーリー】
独自の成功論を振りかざして敗者を徹底的に否定する父親に、ヘロイン中毒の祖父、テストパイロットになるまで沈黙を続ける兄に、ゲイで自殺未遂を起こした伯父、そしてそんな状況にイライラしっぱなしの母を持つポッコリお腹でまん丸メガネのオリーヴの家庭は崩壊寸前。そんな中、オリーヴの念願だった美少女コンテストに出場できることが決まり、オンボロマイクロバスに一家が乗り込んで遠くカリフォルニアを目指すが…。

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家族を襲う様々な困難を象徴したマイクロバスを、一家総出で押すことで家族の絆を取り戻していく様を描く、アメリカ映画伝家の宝刀であるロードムービー。
文字通り太陽のように輝いている娘が中心にいる事で辛うじて繋がっている一家が、困難だらけの旅の中で家族の繋がりを強めていく様を、程よいバランスの笑いも含め非常にスムーズに進んでいく本作。個性的な面々の描写や、旅路でのトラブル、美少女コンテストを目指し一家一丸となってたと思いきや、誰も娘の練習風景を見ていなかったことに気付くクライマックスと物語の構成も非常に上手い。念願のコンテストに出場してみれば、そこは少女本来の可愛らしさを表現する場なんかではなく、大人のエゴと虚栄で大人の真似をさせられる少女達が、決まった枠組みにはめ込まれた上に、欲望の眼差しでまで見られる場であることに一家が気付くシーンの皮肉も痛烈。ジョンベネ事件で騒がれたのにも関わらず、相変らずこんな感じなんですねぇ。そんな美少女コンテストに孫娘を出場させるってことで、「やってることは、コレと変わんねぇんだよ」とでも言いたげにストリッパーばりのダンスを仕込んだお爺ちゃんは、アッパレ。
行間を読ませる無音や無言で心の動きを表現するのではなく、思っていることまでセリフで説明させてしまったり、一家の問題が何一つ解決されていない幸先不安の状況下であっても、未来に一抹の不安をも全く感じさせない終わり方をする本作。ロードムービーって言えば、ハッピーエンドに思えつつも笑顔が真顔に変わった瞬間に幕が降り、先への不安を少しばかり残すニューシネマばかり観ていたので、「そういえば今は21世紀だったんだ」と、もの凄く当然のことを思ったりも。

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役者の個性が作品の出来を格段に向上させたと言える本作。威勢はいいが頼りには全くならない父親には、『ミステリー・メン』『アダム −神の使い 悪魔の子−』のグレッグ・キニア。半ギレの上に半ベソの父親役が似合う俳優といえば、彼以外にはウィリアム・H・メイシーくらいしか浮かばないほどの適役。母親役の『シックス・センス』『シャフト』のトニ・コレットには、お気に入りなだけにもう少しばかり出番が欲しかったなぁと思いつつも、『40歳の童貞男』のスティーヴ・カレルの、ゲイ独特の穏やかさと憂いと優しさが入り混じった眼差しに、イロモノではない芸達者ぶりを見る。『ロケッティア』『ポイント・ブランク』のアラン・アーキンや、『ガール・ネクスト・ドア』のポール・ダノも素晴らしかったのだが、なんといっても本作の魅力を一人引っ張っているのが、『サイン』でのキスチョコ帽子姿が可愛かったアビゲイル・ブレスリン。愛嬌たっぷりの容姿や動作と太陽そのもののような笑顔は、“愛は得るものではなく与えるもの”という当然のことを、改めて思い知らされることに。もう彼女には、“全人類の愛娘”って称号を与えたいほどで。

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競うまでもなく、自分の子が一番可愛いんですよ

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2007年05月28日

リーピング (The Reaping)

監督 スティーヴン・ホプキンス 主演 ヒラリー・スワンク
2007年 アメリカ映画 100分 ホラー 採点★★★★

全くもって似合わないのだが、中・高・大とミッション系の学校に通っていた私。しかも、英語の次に得意だった科目が聖書学という更に似合わない過去をも持ってたり。まぁ、“読み物”として読むと聖書は実際面白いですし。そんな学問としてキリスト教に触れてしまったせいか、信心よりも、それが人々にもたらす影響の方に興味があったりするんですよねぇ。

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【ストーリー】
かつては聖職者でありながらも、愛する娘と夫を失ったことにより今では信仰を捨て、奇跡を科学的に解明する専門家となったキャサリン。そんな彼女のもとに、小さな町ヘイブンで川の水が真っ赤に染まった怪異の調査依頼が入る。早速調査に乗り出したキャサリンだったが、聖書の10の災いと同じ怪異が続発し…。

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不味くもないが美味くもない、いい意味でも悪い意味でも“既製品”っぽさが特徴だったダーク・キャッスルにしては珍しく面白い一本。
聖書の出エジプト記にある“10の災い”をモチーフにしているものの、宗教映画的な小難しさは皆無で、オープニングの遺跡と工業地帯が隣接する強烈なイメージのように絵で見せるインパクトに、古典的ともいえるビックラかしと派手なエフェクトがバランス良く混在する、良い意味でのスティーヴン・ホプキンスらしさが出た一本。『プレデター2』とかの頃の。まぁ、なんでもないシーンで手持ちカメラがやたらとブレる、『24』のスティーヴン・ホプキンスらしさも出ちゃってますが。わざわざ直々に神さまが実力行使をなさっている災いの描写もまさに文字通りで、非常にワンパク。これくらいの単純明快さは気持ちが良い。
裏の裏をかいて更にもう半捻りする展開も悪くなく、主人公だけではなく観客も、災いばかり起こす少女と狂信的な住人のいずれかに加担せねばならない選択を強いる状況設定が上手い。もちろん、聖書を読んだことがあれば「あれ?でも“10の災い”って、別に悪魔の仕業じゃなかったよなぁ」と早々に根本的なネタ割れをしてしまう可能性もあるし、バタバタと大急ぎで進行するクライマックス、辻褄は合うが捻り過ぎの感も強いエンディングと不満も少なくはないが、その辺を充分ウヤムヤにするだけのテンポと絵の力がある。

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女装したマット・デイモンに見え始めるともうそれが頭から離れなくなり、「いつベン・アフレックが出てくるんだろう?」とありえない期待に胸を膨らませることになってしまうヒラリー・スワンク。『インソムニア』『ミリオンダラー・ベイビー』と、お年寄りの後を追っかける役柄ばかりであったが、『ブラック・ダリア』で果敢に美女役に挑戦。挑戦することはいいことです。で、今回は美女モードそのままに母性を前面に出した役柄に挑戦。時折ジミーちゃんに見えてしまうことを除けば雰囲気は非常に良く、結果今回の役柄に説得力が生まれることに。
ゲスト的な扱いなんだろうが、『Vフォー・ヴェンデッタ』同様その扱いに物足りなさが大きかったスティーヴン・レイに、20年ぶりに見るのだから当然のことなのだが、すっかりオッサンになってて驚いた『フライトナイト』のウィリアム・ラグズデールも出演。そんな中、“イナゴ少女”と、付けられたくはないアダ名ベスト10に入るであろうコピーを冠に頂いてしまったアンナソフィア・ロブが、なかなか可愛い。どことなく『エイリアン2』のニュートを髣髴させたが、薄汚れて無表情のままうつむいていれば、若い子の見分けが付かなくなってきた私には誰でもそう見えるのかも。

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てことは、リンダ・ブレアが初代

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posted by たお at 23:33| Comment(14) | TrackBack(48) | 昔観たアレ■ら行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月07日

ラブソングができるまで (Music And Lyrics)

監督 マーク・ローレンス 主演 ヒュー・グラント
2007年 アメリカ映画 104分 ラブロマンス 採点★★★★

私の部屋や車の中で流れているデュラン・デュランやジャパン、トーマス・ドルビーにヒューマン・リーグ、果てはスクリティ・ポリティの曲を耳にした知人は間違いなく「おぉ!?懐かしーねー!コレ、どーしたの?」と、古き良き時代を思い出したかのように目を輝かせて私のCDラックを漁り始めるのだが、これらの曲を日常的に聴いている私には“懐かしい”という言葉がピンと来ない。年間に購入するCDの半数以上は以前レコードで持っていたアルバムの買い直しだし、一昨年の年間ベストアルバムがカジャグーグーの“アイランド”だったりもする。マズイなぁ…。後ろ向きに生きているどころか、完全に立ち止まっているなぁ。

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【ストーリー】
80年代に一世を風靡した人気バンド“PoP”のボーカリスト、アレックスは、今ではすっかりと忘れ去られ、細々とドサ回りをして生計を立てていた。そんなある日、若者から絶大な人気を誇る歌姫コーラから新曲の依頼が入る。しかし、アレックスは作詞が苦手。悪戦苦闘するアレックスだったが、たまたま観葉植物の手入れに部屋に来ていたソフィーに作詞のセンスを見出したアレックスは、ソフィーと二人で新曲作りに取り組むが…。

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未だ運転中などにふと「サ〜イキ〜ックマ〜ジ〜ック♪」と、GIオレンジを口ずさんでしまう私のような人間には堪らない、80年代テイストに溢れたラブロマンス。まぁ一言に“80年代”と言っても、80年〜82年、83年〜85年、86年〜89年でサウンド・ビジュアル共に大きく変化をしており、個人的にどっぷりとツボなのがニューロマンティック全盛だった83年前後。それ以降はパンクやら60年代のロックやらと逆行を始めちゃってたので、私の中での“80年代”とはちょっと違う。このように数年単位でサウンドやファッションが急激に様変わりした80年代だからこそ、それぞれの年の音を聴くだけで、当時のことをまざまざと思い出させるだけの力を持っているんだなぁと。

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で、本作に登場する架空のバンド“PoP”。オープニングに流れる“Pop! Goes My Heart”のベッタベタなまでに80年代のプロモで、脳ミソが85年から一歩も進歩していない私は、もう鷲掴み状態。“Meaningless Kiss”のイントロのサックスとラテンギターは、身悶えするほどワム!の“ケアレス・ウィスパー”だ。そういえば、郷ひろみと西城秀樹も歌ってたなぁ、コレ。“抱きしめてジルバ”とかいうタイトルで。秀樹はさておき、サウンドやビジュアルはワム!というよりはブロスに近い気もするPoPではあるが、劇中での位置づけはデュラン・デュランの中にワム!がいる感じ。実際、ルーク・ゴスとマット・ゴスをモデルにした話よりは、ジョージ・マイケルとアンドリュー・リッジリーの話の方が分かりやすいですし。なにせ、人気絶頂だった当時ですら“数年後には行方不明になってそう”な雰囲気ありありでしたから、アンドリューは。あと、ホール&オーツのオーツの方も

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もちろん本作の主人公はジョージ・マイケルの方ではなく、アンドリューの方。「もう一度でっかく当てよう!」といった野心があるわけでもなく、過去の栄光をひけらかす悲しいまでの嫌味さを持っているわけでもない、「遊園地での営業があって幸せだぁ」ととことん悲観的だからこそ持ちえる楽観性と謙虚さが、ますます主人公をアンドリューっぽく見せてくれる。再びスポットライトに照らされることのプレッシャーから逃れたい弱さも含め。
そんな、打ちのめされ過ぎて達観してしまったかのような主人公を持つ本作の物語は、“曲作りを通して愛を知る”と、まんまタイトル通りのいたってシンプルなもの。これといって大きな起伏がストーリー上に存在するわけでもない。ドリュー・バリモア扮するソフィーが抱えるトラウマも劇中で解決されるわけでもなく、エンドクレジットに流れる字幕でなんとなく解決されている始末。「じゃぁ、80年代の音楽ネタで年寄りをくすぐるだけの映画か?」といえば、そうでもない。確かにストーリー上は物足りなさも感じるが、一般人とかつてのスターの恋物語という日常の中に微妙に非日常が入り込む本作には、大袈裟なまでのドラマチックな展開は似合わない。そうしないと、日常性が霞んでもしまう。また、劇中で語られ原題にもなっている“第一印象である音と人間性が見える歌詞”という、音楽を人間関係、特に男女関係に例えた説明は非常にベタな反面言葉選びが巧みで、ストレートに心に響く。この言葉選びの巧みさは劇中の会話隅々に活かされ、会話の妙を存分に楽しめる結果となっている。まぁ、80年代ネタで思う存分くすぐられ、それらの音でかつての良い思い出と、遥かにそれを上回る、頭をよぎっただけで大声を上げてかき消したくなるような思い出を持つ、80年代をどっぷりと過ごした方々の方がより一層楽しめるのですが。

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80年代は人気者だった元ポップアイドルを演じるのに、ジョン・テイラーにデヴィッド・シルヴィアンを足し、デヴィッド・ボウイ的に加齢を重ねたような『ラブ・アクチュアリー』のヒュー・グラントの右に出る者はいない。歌うの大好きですし。「なんでこんなに肩パットが必要なんだ?」と思うほどガッシリとしたジャケットや、見た目のインパクトだけが重視されたかのように派手なニット、やたらとハイウェストで裾だけが異常に細いパンツなど、思い出したくもないかつて自分が着ていた服の数々を思い出させてくれるアレックス役のヒュー・グラントは、「本当にかつてはポップスターだったんじゃないのか?」ってほど板に付いている。世間に忘れ去られている現状を受け入れようとはしているが、若干抵抗が残っているかのような困惑しきった表情も、これまた良い。

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そんなVIVA ROCKのグラビアから飛び出してきたようなヒューと、まだ若いのに80年代の伝道師のような仕事振りが目立つ『25年目のキス』のドリュー・バリモアの組み合わせに、“『ウェディング・シンガー』よ、もう一度”的な「どや?こんなんが観たいんやろ?」と狙い過ぎの臭いを当初感じていたのだが、やっぱりドリューはこんなんが良く似合う。胸を張って「えぇ、こんなんが観たいんです!」と言い切れるほどに。痩せたのか、また減胸手術をしたのか胸がペッタンコになっていたドリューだったが、クルクルと良く動く目と同様にコロコロ変わる表情が非常に魅力的。『ウェディング・シンガー』に流れる名曲“Grow Old With You”を髣髴させるキラーチューン“Don't Write Me Off”で感極まるドリューの姿は、ついついこっちまで釣られてしまいそうなほど素晴らしい。実際“Don't Write Me Off”は劇中のメインの曲である“Way Back Into Love”以上に良い曲で、この曲の余韻に浸りながら劇場を出れれば良いんでしょうが、エンドクレジットでまた流れる“Pop! Goes My Heart”が結果的に延々と頭の中に流れることに。
ヒューとドリューばかりが印象に残る映画ではあるが、歌姫コーラ役のヘイリー・ベネットの印象もなかなか強烈。子供のような顔と凹凸のない身体だが妙に肉感的な彼女を前にして、ロンダの夫ゲイリーのようにデレデレした顔になっていたことは、書くまでもなく明白ですが。
それにしても、80年代にまだ物心がついていなかった世代にはワケの分からないカタカナ名ばかりが羅列しているレビューになってしまいましたねぇ。

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ドリューを口説くには、まず作曲から

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【我家ではヘヴィーローテーション中】
        

        
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2007年04月27日

ロッキー・ザ・ファイナル (Rocky Balboa)

監督 シルヴェスター・スタローン 主演 シルヴェスター・スタローン
2006年 アメリカ映画 103分 ドラマ 採点★★★★

永遠の13歳のつもりでいても歳は確実に取っていってるわけで、昔から自信の全くない体力こそ然程変化しないものの、若い世代に対する苛立ちやじれったさは日に日に強まるばかり。「なぜ、こうしちゃうの?なぜ、あぁしないの?」と、なまじ結果が見えてしまっている分だけお節介もやきたくなるが、まぁ自分もそんな要領の悪い生き方をした結果で経験を得たわけなので、あんまり口出しするのもどうかなと。イライラはしますが。ただこれも、もう一段階歳を取ると、自分の過去も相手のことも一切考えずに、押し付けがましい説教をし始めるんでしょうけど。

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【ストーリー】
かつてはボクシング界の英雄だったロッキーも引退し、最愛の妻を亡くした悲しみに暮れながら小さなレストランを経営する日々を送っていた。成長し家を出た息子との交流も上手くいかず、日に日に過去の亡霊と化し始めていたロッキーだったが、心の底で燃え続ける“何か”に突き動かされ、再びプロボクサーとしてのライセンスを手にすることに。一方、無敗の現役チャンピオンのディクソンは、対戦相手に恵まれず人気が低迷。ロッキー復活のニュースを聞いたディクソン陣営は、これを利用しディクソンの人気回復を企み、ロッキーに“現役の王者VS伝説の王者”のエキシビジョンマッチを提案するが…。

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タイトルの文字にテーマ曲が被さるだけで全身に鳥肌が立ち、涙やらヨダレやらもろもろの汁がダダ漏れになり、これから体験するであろう興奮に胸が躍りすぎて気を失いそうになる映画ってのが、少なからず存在している。そんなオープニングの一瞬に映画の興奮の全てが凝縮されているような作品の代表格に挙げられるのが、『スター・ウォーズ』シリーズであり、『007』シリーズであり、『ロッキー』シリーズである。そのロッキーが、16年ぶりにまさかの復活。お年寄りの自己満足を果たすだけの作品になってやしないかと不安が大きかったが、ロッキーはやっぱりロッキーだった。
そもそも第一作目の『ロッキー』自体、煌びやかさとは無縁の荒廃しきったフィラデルフィアを舞台に、夢も希望も失った市民の姿と、その一人であったロートルのボクサー、ロッキーの姿を描いていた。それはもちろん、俳優として伸び悩み、歳ばかりを取っていくスタローン自身を投影していた。そんな夢を諦めかけていたロッキーの姿に観客は自身を投影し、何事も諦めない姿勢を貫くロッキーが勝敗ではなく夢と誇りを取り戻す姿に、大きな感動と興奮をおぼえたものだった。しかしながら、辛うじて人情物語の側面を保っていた『ロッキー2』以降シリーズは筋肉量とゴージャスさを極めて行き、ハルク・ホーガン&ミスター・T&スタローンの筋肉三つ巴が非常に暑苦しかった『ロッキー3』、ロボット召使と不慣れなMTV感覚の演出が寒かった『ロッキー4』と、豪華さとは裏腹にロッキーが持っていた観客との繋がりを失っていく結果に。大幅な軌道修正と原点回帰が図られた『ロッキー5』も、実の息子の非常におおらかな演技と、言いたいことも分かるがやっぱりリングには上がって欲しい寂しさが残る作品となってしまうことに。

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で、16年ぶりに作られた本作。物語自体は、一作目のリメイクや焼き直しという言葉が適用されてしまう程極似しているし、「『ロッキー5』での脳の障害はどうなったんだ?」と思うほど、ロッキーもすこぶる元気だ。では本作は、懐古趣味に彩られたスタローンの還暦祝いみたいなものなのかと言えば、全く違う。今の時代に生きるロッキーとスタローンがそのまま描かれた作品になっている。
歳を重ねるごとに狭まっていくチャンスと消えていく夢に焦りこそ感じるも抗うことが出来ないスタローン自身と観客に対し、「諦めるな!結果ではなく諦めない姿勢が大事なんだ!」と訴えた『ロッキー』。そのメッセージこそ本作でも変わらないものだが、かつて一時代を築いたロッキーにスタローンの姿が被さることで、劇中ポーリーの言う「長くいればそこが安住の地になってしまう」心境に陥っている団塊の世代に対し、ピンポイントで「そのままでいいのか?」と問いただしている様相すらある。再び栄光を手に入れるためではなく、何事にも諦めない姿勢の大切さを説くスタローンの説教先は、容赦なく若い世代にも向けられる。それも更に辛辣に。ぬるま湯の中で横一列に並んでいることで安心し、自分の弱さを他人のせいにすることで自信を保とうとする若い世代に対し、スタローンの説教はしつこいくらいに繰り返される。ただでさえ口数の多いイタリア人気質にオヤジ気質までも加わったスタローンの説教はクドく長いのだが、間違ったことも言っていないので、素直に聞いてあげるのもよいかと。

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監督作が多いにも関わらず監督として語られることの少ないスタローン。まぁ、筋肉のパブリックイメージに“知的”って言葉があまり使われないせいなんでしょうが、監督としてのスタローンの手腕はなかなかのもの。『ロッキー2』や『パラダイス・アレイ』を例に挙げるまでもなく、煌びやかな大都会の裏側に広がる雑然として薄汚れた裏通りを描くのが上手い。その中で細々と生活する人々の姿からは、生活臭がスクリーンから漂ってきそうである。慣れないMTV風演出に手を出してしまった『ロッキー4』以来久々の監督作である本作だが、小手先の派手な演出に頼らず、じっくりと街並みとそこに暮らす人々の姿を映す、スタローンらしい作風に仕上がっている。その“スタローンらしさ”は、いい意味で程よく古い「あぁ、今映画を観ているんだなぁ」と実感させられる70〜80年代の映画を髣髴させたりもする。

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ミッキーも死にアポロも死に、遂にエイドリアンまで死んでしまったロッキーシリーズだが、やっぱりポーリーは元気。憎まれっ子世にはばかるってことですね。そんな“一般人代表”でもあるポーリーを筆頭に、アポロのトレーナーとしてちゃっかりシリーズに出続けているデューク、覚えている人の方が少ない気もする一作目の対戦相手スパイダー、更に覚えている人の少ない気がするリトル・マリーまで登場する、まさにフィナーレ的“隅っこの方までつっついてみました”な顔ぶれ。結局のところどうしたいのかサッパリ分からないリトル・マリーの扱いや、説教一発でいい子になる息子の単純さに若干首を傾げてしまうが、その傾げた首を力ずくで真っ直ぐにするのがスタローンの怖い所。
付けば付くほど“知的”や“オシャレ”から遠のいていく筋肉を身にまとい、お堅い評論家やオシャレ探求に余念がない女性客を一切相手にせず、ひと汗かいた仕事帰りのお父さんを心底楽しませる映画作りを徹底したスタローン。その筋肉の持つイメージとは裏腹に、時代のニーズを敏感に察知し観客を満足させ続けたしたたかさも持ち合わせたスタローンは、“筋肉黄金期”とも言える筋肉群雄割拠の一時代を作り上げ頂点に君臨するが、頂点に君臨してしまった以上は待つのは下り坂で、90年代以降はなまじ時代を作り上げてしまった分、作品自体は悪くないのに出るだけで時代遅れ感を感じさせてしまうことに。結果2000年代に入り出演作が激減してしまったスタローンであったが、還暦を向かえ一念発起したのか、見事に身体を作り上げ“まだまだ頑張ろうとする姿勢”を見せ付けてくれた。“やれば出来る”を体現した本作。トレーニングシーンにテーマ曲が被る、無条件でヨダレだだ漏れのシーンを観れたことも含め、スタローンファンとしては満足せざる得ない。スタローン映画ぐらいでしか聴く事のないフランク・スタローンの歌声もたっぷりと、ホントたっぷりと聴けましたし。

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もちろん“スタローンの気分がいい”ってのが大前提

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posted by たお at 00:00| Comment(20) | TrackBack(82) | 昔観たアレ■ら行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする