2016年04月30日

Re:LIFE〜リライフ〜 (The Rewrite)

監督 マーク・ローレンス 主演 ヒュー・グラント
2014年 アメリカ映画 107分 コメディ 採点★★★★

ちょこちょこ転職を経験している私ですけど、振り返ってみるとアルバイトを除けば二つの職種しか経験したことがないんですよねぇ。その二つも、ざっくりと括れば似たような仕事ですし。これだけ経験が偏っちゃってると、さすがに何か新たな職種に挑戦しようって気もなかなか起きず。まぁ、挑戦された側にしてもこんなオッサンに一から教えるのは大変でしょうしねぇ。

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【ストーリー】
かつてアカデミー賞も獲得した脚本家のキースだったが、その後15年間は鳴かず飛ばずでハリウッドからもお呼びがかからなくなっていた。そんな折、エージェントから田舎の大学でシナリオの書き方を教える講師の仕事を紹介される。渋々その仕事を受けたキースだったが、全くやる気は起きず・・・。

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『トゥー・ウィークス・ノーティス』から4度目の組合せとなる、マーク・ローレンスが脚本と監督を手掛け、ヒュー・グラントが主演して贈るコメディドラマ。
最終着地点が恋の成就と人生の再起動とテーマが全く違うのだが、ざっくりと表面的な印象だけで見れば『ラブソングができるまで』の脚本家版な本作。主人公が過去の栄光を引きずってるってのも、業界の内幕ネタで楽しませてくれるってのもほぼ一緒。前途洋々の若者の姿にかつての自分を見出し、過去の自分を追いかけず今の自分で人生を歩む決意をする物語も、大きな起伏も特にないまま予定調和的にさらりと嫌みなく収束する、深く考えずにサクっと楽しむ分には丁度いい一本でも。
そんな「まぁ、こんなもんだよな」的作品に★4つってのは大盤振る舞いな気もするが、評価を上乗せしたくなるほど『コードネーム U.N.C.L.E.』のヒュー・グラントが素晴らしい。何処に居ても常に居心地が悪そうで、相手と目をしっかりと合わせない自信の無さと自虐的な眼差しをしながらも基本的には軽薄な女好き。現状を毒づきながらもそれなりに満喫し、イギリスなまりで余計なひと言を言ってしまいばつの悪い思いをする。還暦が目の前に迫っているとは思えない、もうこっちの期待通りのヒュー。そんなヒューを観たいが為だけに本作を手に取ったのだし、その期待を十分過ぎるほど叶えてくれているので、わたし的にはこの評価は妥当。

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もちろんヒューだけが良かったのなら過大評価になるが、今回は相方も素晴らしい。さすがのヒュー・グラントもそれなりに年齢を感じさせるようになったので、相方が若い娘だと非現実的だしバランスも悪い。かと言って、年齢的にバランスを取っても相性が悪いと前回の『噂のモーガン夫妻』みたいな悲惨な結果に。
そういった意味では、今回手を組んだ『リンカーン弁護士』のマリサ・トメイは完璧な相方。さばさばして男性に依存し過ぎないがドライ過ぎず程よくウェットなのでロマンスを物語に生み出せるが、そこに中年同士の恋愛に漂いがちな目も当てられない痛々しさがない。明るく前向きで包容力もある、母親としても恋人としても文句のつけようがない本作のマリサ・トメイは、性格や口角の向きまで色々と正反対のヒュー・グラントと見事なコンビネーションを披露。まぁ、私がもともと好きだってのも大きいんですけど、相も変わらずチャーミングの塊のような彼女に完全にメロメロ。この組合せであと5本は観たい。
そんなヒューとマリサ・トメイに目を奪われがちな作品ではありましたが、マリサ・トメイのケースとは別の意味でヒューとは正反対過ぎて面白味を生んでいたアリソン・ジャネイや、そんな彼女とは『JUNO/ジュノ』でも共演済みである『ターミネーター:新起動/ジェニシス』のJ・K・シモンズら大人勢はもちろんのこと、地雷感がハンパなかったベラ・ヒースコートや「『ダーティ・ダンシング』の良さに気付いて良かったね!」なアニー・Q、アホな子ならではの可愛げに溢れてたエミリー・モーデンら、顔で選んだお飾りでしかなさそうでいて、それぞれが対極に居て物語に刺激を与えていた学生らも魅力的だった一本で。

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こんな生徒がいるなら仕事も楽しくなるはずだよなぁ

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2016年04月20日

ラッシュ/プライドと友情 (Rush)

監督 ロン・ハワード 主演 クリス・ヘムズワース
2013年 イギリス/ドイツ/アメリカ映画 123分 ドラマ 採点★★★

特にスポーツをやっていたわけじゃないので、所謂ライバルって存在には縁のなかった私。仕事や趣味の場など人間関係においても、好き嫌いが激しく嫌いな人間には一切関わらない性質なので「アイツにゃ負けたくねぇ!」って相手も居らず。そういう人を避けずにきていたら、もうちょっとマシな人間になってたんでしょうかねぇ。

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【ストーリー】
酒と女をこよなく愛し、荒々しい走りでサーキットを駆け抜ける天才肌のジェームズ・ハントと、緻密に計算された冷静沈着な頭脳派レーサーのニキ・ラウダ。正反対の二人の天才レーサーは、F1年間チャンピオンの座を巡り熾烈な争いを繰り広げていた。1976年、二連覇を狙うラウダはポイント優勢のままハントを引き離し、第10戦のドイツGPに挑むのだが・・・。

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2人の伝説的天才レーサーの姿を描いた、『天使と悪魔』のロン・ハワードによる実録レースドラマ。
私の世代なんかだと、テレビや映画でよくやっていた事故や災害を収めた残酷ドキュメントの最後の方に出てくる人として、レースに然程関心の無い人でも一度は名前や顔を目にしたことのある“不死鳥”ニキ・ラウダと、その好敵手ジェームズ・ハントの姿を描いた本作。ロックスターばりの派手な生き方を好むハントと、走りのプロに徹するラウダという水と油のような関係の二人が互いにぶつかり合い、刺激し合い、死と隣り合わせの世界にいるからこそ分かり合いながら切磋琢磨する、“これぞライバル!”な一本。
実際の事故のシーンを完全コピーしたかのようなクラッシュシーンや、レーサーという特殊な人種とその世界、当時のカルチャーなど細部に渡ってこだわりが窺える本作。まぁ、ロン・ハワードらしい手堅さやクセのなさは私的に少々食い足りない印象を残したりもしたが、過度な演出や偏りを避け二人の主人公の姿を対比させながら描く上では、その手堅さが良かったんだろうなぁとも。

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アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のクリス・ヘムズワースと、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のダニエル・ブリュールがそれぞれハントとラウダに扮した本作。煌びやかなスターと地味な職人的な対比が見事に表現されていたのと同時に、工業高校生的な雰囲気があるヘムズワースと知性派のブリュールの顔合わせだけに、スポーツバカのジョックスとインテリ気取りのブレインが反発しながら絆を深めていく往年の学園ドラマのような面白さも生まれていた好キャスティング。それぞれの似せ具合も見事でしたし。
その他、リチャード・バートンの最後の妻とエリザベス・テイラーの間に挟まれイマイチ記憶にないスージー・ミラーに扮した『カウボーイ&エイリアン』のオリヴィア・ワイルドや、これまた驚くほど雰囲気が似ていたラウダの妻に扮した『ヒトラー 〜最期の12日間〜』のアレクサンドラ・マリア・ララなども印象に残る一本で。

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エゴではなく実力を競い合うからこそ良い結果を

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2016年04月15日

リンカーン弁護士 (The Lincoln Lawyer)

監督 ブラッド・ファーマン 主演 マシュー・マコノヒー
2011年 アメリカ映画 118分 サスペンス 採点★★★★

検察と裁判官が同じチームにいるかのようなこの国の司法の現状はどうしようもないと思うんですけど、法の原理原則よりも自分らの理念や理想論をアピールするのに忙しい弁護側もどうしようもないよなぁと。法や手続きの不備を突いて無罪を“勝ち”取るアメリカの司法制度が最高だとは到底思えないんですけど、活用次第では原告にとっても被告にとっても法が間違いなく平等に働くって意味では全然マシで。

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【ストーリー】
司法取引を利用して罪を可能な限り軽減させる手法を得意とするやり手弁護士ミック・ハラーのもとに、女性殴打事件で告発された資産家の御曹司ルイス・ルーレから弁護依頼が舞い込む。無実を訴えるルイスであったが、事件を詳細に調べていく内に、ルイスが4年前にミックが担当した殺人事件の真犯人である可能性が浮上する。立場上身動きが取れないミックは・・・。

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マイクル・コナリーによる同名ベストセラーを、『ハード・クライム』のブラッド・ファーマンがメガホンを握り映画化した法廷サスペンス。
過去に死刑を回避するための司法取引で依頼人を有罪にした殺人事件の真犯人を、そうと知りつつも弁護をせざるを得なくなった弁護士が巻き込まれるトラブルと苦悩を緊迫感たっぷりに描いた本作。巧みな罠にはめられた上に、制度上身動きの取れない主人公が知恵と裏技を駆使して大逆転していく様がなんとも痛快。定番ではあるが、被告の母親が絡むラスト近くのひと捻りも程よい闇を物語に与えていた。原作本同様、情報が一気に出てくる序盤は若干混乱を生みだしちゃうし、事務所代わりにリンカーンを乗り回しているというキャラ設定の肝が活かされていない点など気になる所はあるが、物語自体が持つ面白さがその辺を存分にカバー。
そんな物語以上に魅力的なのが、主人公である弁護士ハラーのキャラクター性。一見勝てれば何でもいいような悪徳弁護士のように見えて、しっかりとした仕事をしない検察に対する怒りや無実の人間を刑務所に送ることに対する恐れを持つ、正統派の正義漢ではないが独自の正義感を持つハラー。ビジネスライクの冷淡さを感じさせる一方で、なんだかんだと面倒見の良い下町派弁護士の顔を垣間見せたりも。程よい毒と愛情に溢れたハラーと周囲の人物の魅力がたっぷりに描かれてただけに、原作もまだあることだしマシュー・マコノヒーが続投するのであればシリーズ化を願いたい作品だったなぁと。

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“マシュー・マコノヒーが続投するのであれば”と書いたのも、それだけ『MUD マッド』のマシュー・マコノヒーが素晴らしかったから。心の感じられない冷たい顔をしたかと思いきや、家族や友人の前では表情は変わらないのに一気に心が入ってくる、非常に細やかな表現でキャラクターの持つ性質や魅力を存分に表現。一時元気がなかった感じもした彼ですけど、本作前後以降ピークが来てるなぁと。
そんなマシュー・マコノヒー以外にも、非常に豪華な顔触れが好演を見せてるのも本作の魅力。個人的にはジュリアン・ムーアと共にMILFの代表格である『ラブ・アゲイン』のマリサ・トメイを筆頭に、ボンボンの変態ってのを苛立たしいまでに好演した『父親たちの星条旗』のライアン・フィリップ、登場するや否や「あぁ、今日はもたなそうだなぁ・・・」と確信させるだけのフラグをビンビン立ててた『ザ・バッド』のウィリアム・H・メイシー、法の末端でビジネスをしている如何わしさが抜群だった『ジョン・ウィック』のジョン・レグイザモなど、メインに絡むだけでも好みの顔触れがわんさか。
その他にも、ひたすら可哀想だった検事に扮した『かぞくはじめました』のジョシュ・ルーカスや、善人からやさぐれてしまうふり幅の広さが見事だった『アントマン』のマイケル・ペーニャ、『告発のとき』のフランシス・フィッシャー、『GODZILLA ゴジラ』のブライアン・クランストン、『アルゴ』のボブ・ガントンに、相変わらずの棒演技に驚かされた『フィラデルフィア・エクスペリメント』のマイケル・パレと、もう隅々豪勢なんでそれだけでも満腹感味わえる一本で。

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無実と無罪は別物

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2015年12月11日

ロスト・リバー (Lost River)

監督 ライアン・ゴズリング 主演 クリスティナ・ヘンドリックス
2014年 アメリカ映画 95分 ドラマ 採点★★

既にギターやベースでの曲作りはやってましたが、「ちょいとキーボードもやってみるか!」と初めてのキーボードを買った17歳の夏。鍵盤楽器などやったことがないので思いのまま音を鳴らし、それを宅録して「すげぇ!なんかアバンギャルド!」と喜んでいたんですけど、数年後に改めて聴いてみると曲の形にすらなっていないデタラメなものばかり。そんなものを「すげぇだろ?」と知人に聴かせていたんだから、無知ってのは無敵だなぁと。

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【ストーリー】
二人の息子を育てるシングルマザーのビリーは、経済破綻により人々が去っていくゴーストタウンで暮らしていた。彼女もまた経済的に困窮しており、ローン返済のために銀行家の紹介で怪しげな劇場で働くことに。一方、息子のボーンズは近所に住む少女ラットと知り合い、貯水湖に沈んだ街の一部がこの街を呪っていることを知り…。

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ラブ・アゲイン』のライアン・ゴズリングが初めて脚本と監督を務めた、ニコラス・ウィンディング・レフンの影響も垣間見られる何か変な映画。主演に『ドライヴ』のクリスティナ・ヘンドリックス、共演に『わたしは生きていける』のシアーシャ・ローナン、撮り様によってはちょい綺麗なヒラリー・スワンクになってしまう『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』のエヴァ・メンデス、『血ぬられた墓標』のゴシックホラー女王バーバラ・スティールらが。
幻想的な物語や凝りに凝ったカメラアングルやショット、グラン・ギニョールを題材に盛り込みつつバーバラ・スティールをキャスティング。隅々から「どうだい?オレの映画どうだい?オレのイマジネーションどうだい?」ってのが伝わってくる本作。役者ライアン・ゴズリングは嫌いではないのでその前衛的でもあるアート志向を好意的に受け止めたいんですけど、なんともセンスが暴走しただけで地力が伴ってない故に映画としての形になっていない一本に。初めての一眼レフでモノクロ空写真を撮りまくってる感じの。かつてヘタウマと称されたジム・ジャームッシュや、脳内映像をまんまフィルムに焼き付けるデヴィッド・リンチなどはセンスを暴走させればさせるほど面白くなるんですけど、やっぱりそこにはセンスを支える基礎力があったんだなぁと確認出来た作品でも。
まぁ、複雑なオモチャを自分なりに遊んでいるような愛らしさは感じられましたし、そもそも手に取った要因である「動いてるシアーシャが観たい!」って欲求は満たされたので★オマケで。

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“アート”と“アートっぽい”の違い

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タグ:★★ ドラマ
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2015年11月24日

ライフ・アフター・ベス (Life After Beth)

監督 ジェフ・ベイナ 主演 オーブリー・プラザ
2014年 アメリカ映画 89分 コメディ 採点★★

気持ちに変化が現れた女性って、男からするとまるで別人になったかのように見えることが。付き合う直前や付き合ってる最中の自分が好きだった女性とは思えぬ、なんか知らない人って感じ。たぶんそれって女性が持つ特有の技みたいなもんなんでしょうけど、その技に対し男はただただうろたえることしか出来ないんですよねぇ。

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【ストーリー】
別れを考えていた矢先に、恋人ベスを不慮の事故で失ってしまったザック。深い悲しみに暮れるも、数日後ベスが墓から蘇って来る。これを機にベスとやり直そうとするザックだったが、どんどんゾンビ化が進むベスにザックはついていけず…。

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『ハッカビーズ』の脚本を手掛けたジェフ・ベイナが監督・脚本を務めた、ゾンビ・ラブコメディ。
“彼女がゾンビで大変”ってのを、独特のテンポとユーモアで描いた本作。「死んだ彼女が戻ってきた!嬉しい!でも臭い!」と、異様な状況に翻弄される男の様がなんとも悲しく可笑しい一本。
ただ、男には理解できない女性の心の変化をモンスター化したわけでも、特殊な状況下で恋愛の本質を描いたわけでもなく、ただ“彼女がゾンビ”って特異なネタに乗っかりっきりで、それをモノにして消化しきれてるとは言い切れない浅さが気になる所でも。ある程度の記憶を保ってるので普通に会話できたり、かつての家に帰って来て現住人とひと悶着起こしたり、地面に埋められてたのが相当嫌だったのか、可能な限り高い場所をねぐらにしたがるなど良いアイディアが垣間見られるゾンビ描写なのに、それを膨らませず掃討して終わらせちゃう荒っぽさも然り。他のゾンビにそういう描写がなくベスだけが人を襲うのも、“ザックがゾンビ呼ばわりする→ゾンビって人食べるよね→じゃ、私も”と読み取ることも可能なだけに、その辺の雑な扱いが残念。
また、過剰に感傷に浸る彼氏とワガママ彼女、別れたい彼氏に別れたくない彼女であるベスとザックを、若干感情移入しづらい突放し気味の視線で描いてるようでいて、急に愛の深さを物語るかのようなシーンをクライマックスに持ち込み、でもラストは都合のいい新規の彼女をザックにあてがうという、視点とペース配分のチグハグさもアレだった一本で。

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自分がゾンビであるってことの切なさをもうちょっと描いて欲しかったベスに扮したのは、『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』のオーブリー・プラザ。ゾンビ化したことで本質が現れたのか、彼氏が作った愛の歌をキレ気味に酷評する素直さが素敵。
また、一家の中で一番取扱いが面倒くさそうなザックには、『デビルズ・ノット』のデイン・デハーンが。このザックの行動や見た目がどうにも生理的に受け付けなかったのが、本作に心が入り込まなかった一番の要因だったのかと。なんかもう、ただただイヤ
ただ、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のジョン・C・ライリーや、『エバン・オールマイティ』のモリー・シャノン、『セッション』のポール・ライザーといった好みの面々が、そんな不満を少しばかり解消してくれるのが救いだったかと。
そう言えば、妙に都合のいい新規彼女役として『ピッチ・パーフェクト』のアナ・ケンドリックが。扱い的にはスペシャルゲストなんですけど、あんな中身のない役柄を何故受けたのかは少々ナゾで。

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“彼女がゾンビ”ってのも嫌だけど、“彼女が臭い”ってのも嫌だ

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2015年11月18日

リピーテッド (Before I Go to Sleep)

監督 ローワン・ジョフィ 主演 ニコール・キッドマン
2014年 イギリス/アメリカ/フランス/スウェーデン映画 92分 サスペンス 採点★★★

ウチの子供らが話す“小さい頃の思い出話”を聞いてると、結構な割合で私ら親が話した「あんたの小さい頃〜」の話が本人の記憶にすり替わってたりするんですよねぇ。仕舞いには「覚えてる?」とまで言われますが、覚えてるも何も、それ話したの私だし。時折、記録よりも記憶を重視してしまう風潮を感じてしまうこともありますが、記憶なんてものは容易に編集改竄出来るものなんだよなぁと、子供らの様を見て改めて感じた今日この頃。

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【ストーリー】
彼女は朝目覚めると前日までの記憶を全て失ってしまう記憶障害に悩まされるクリスティーン。彼女を献身的に支える夫のベンのことも、記憶障害の原因となった事故のことも思い出せない困惑と混乱の日々を送っていた。そんな彼女は担当医の勧めでビデオ日誌をつけ始めるが、それにより医師と夫の言い分の食い違いに気づいてしまう。誰を信用していいのか分からなくなった彼女は…。

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そこそこネタバレしますよ
S・J・ワトソンによるベストセラーミステリー『わたしが眠りにつく前に』を、『28週後...』『ラスト・ターゲット』の脚本を手掛けたローワン・ジョフィが映画化したサスペンスミステリー。製作総指揮にリドリー・スコットも。
都合の良い記憶を植え付けることが可能なだけにミスリードし放題な本作。ただ、それだけミスリードを試みるってことは、一番疑いにくい人物がクロだってことを言ってるようなものなので、真相は至って想定内の安心設計。まぁ、意外な真相でビックリさせるタイプの作品ではなく、混乱の中から少しずつ真相に近付いていく主人公の姿を描いている作品なのでネタの安易さには然程不満はないものの、困惑描写以外にこれといって見どころがないのは少々物足りず。
また、道端でたまたま見掛けた主人公を親身に診療する医師や、毎朝面倒くさい説明業務をこなし続けてまでもそばに居続けようとする“夫”など、状況設計のためとはいえ不自然と言わざる得ない人物描写にも難ありかと。この不自然さをスパーンと解消するだけの説得力が締めになくフワっと軟着陸してしまったのも、ネタは良いんだけど調理がイマイチって印象を感じた要因では。まぁ、“優しくハンサムな夫”“その夫に似てハンサムな息子”と散々ハードルを上げておきながら、出てきたのが妙に甘ったるいチンチクリン夫とボヤっとした息子だったってインパクトは強烈でしたが。

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宵越しの記憶を持たないクリスティーンに扮したのは、『ウソツキは結婚のはじまり』『奥さまは魔女』のニコール・キッドマン。以前は常に惚れ惚れさせられる大好きな女優の一人だったんですけど、少々お直しが過ぎてしまってからは主演作を観る気にならなかったんでずいぶんと久しぶりに観た印象があるんですけど、薄化粧に緊張した困惑顔で始終映ってからか、記憶にあるニコール・キッドマンとほぼ一致。冷静に考えれば浮気ばっかりしている役柄に、それなりの気品ってのを感じさせたのは流石かなと。
また、些細なことで異常なまでにキレるくせに妙な所では辛抱強い“夫ベン”に扮したのが、『キングスマン』のコリン・ファース。表裏を巧みに演じ分けられる役者だけに適役ではあったんですけど、最近ちょっと苦虫を噛み潰したような顔ばっかしてる印象も。
そんなコリン・ファースとは『キングスマン』でも共演している『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』のマーク・ストロングも、持ち前の胡散臭さを発揮した好演を。

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自分は嘘つかないってのが大前提

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2015年10月29日

LEGO(R)ムービー (The Lego Movie)

監督 フィル・ロード/クリストファー・ミラー 主演 クリス・プラット(声)
2014年 オーストラリア/アメリカ/デンマーク映画 100分 アニメ 採点★★★

5歳の末っ子がレゴの箱を持ってきて、「これと同じものを作れや」と私にリクエスト。「かしこまりました」と形ばかりではなく色まで見本と同じものをせっせと作ってると、「ここにコレ付けて〜、そこはコレ!」とまるで違うパーツを付けてくる。「なるほど。これが子供特有の自由なイマジネーションなんだな」と私もある程度ワンパクに作り始めた途端、「全然違う!作り直せ!」とご立腹になる5歳児。結局、5歳児の言うことを聞いてるフリしながら見本通りのものをせっせと作る作業に戻る私でしたとさ。

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【ストーリー】
全てがレゴで作られたレゴワールドで暮らす、何の特徴もない作業員エメット。決められたルールに則って生きる平凡すぎる性格故に誰にも求められず、平和だが退屈で寂しい日々を送っていた。そんなある日、レゴワールドに君臨する“おしごと大王”の邪悪な企みを阻止する伝説の勇者と勘違いされてしまうエメット。バットマンら個性派揃いのヒーローたちと共に、世界を救う大冒険に出る羽目になってしまい…。

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クリス・プラットを始め、アニメ声優初挑戦のモーガン・フリーマンやリーアム・ニーソン、ウィル・フェレルといった豪華スター競演で贈る、『21ジャンプストリート』のフィル・ロード&クリストファー・ミラーによるレゴアドベンチャー。
付けざる得なかったのか自主判断なのかは定かじゃありませんが、わざわざタイトルに組み込まれた商標登録マークが気になるものの、マトリックス社会下のトイ・ストーリー的な多層構造の物語と、バットマンやスター・ウォーズといった製作会社の枠を超えたキャラクター共演が楽しかった本作。子供にとって最も身近な支配階級である親を頂点とした社会構造や、現実的なルールに囚われない自由な発想の世界をそのまま映像にしたかのようなビジュアルなども非常に興味深く鑑賞出来た作品でも。「もうちょっとレゴセット増やしてみようかなぁ」と思わせるコマーシャルな力を持ちつつ、子供と遊ぶ時は子供の世界観を大切にするってことにも気付かされた一本。
ただ、“普通の何が悪い!”“誰もが特別”“自由な発想を大切に!”などなど、相反してはいないが微妙にベクトルの違う主張が入り乱れ過ぎて、結局のところどれを最も伝えたいのか分からなくなる散漫さが残念な印象も。レゴワールドにとって一難去ってまた一難じゃ済まされないクラスの大災害が待ち構えるエンディングも良かっただけに、ちょっとそこが惜しかったなぁと。

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主人公のエメットの声を担当した『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のクリス・プラットを始め、ワイルドガールに扮した『ハンガー・ゲーム』のエリザベス・バンクス、お得意の二面性を披露する『ラン・オールナイト』のリーアム・ニーソンや、ナレーションの仕事も多いからてっきりやってるとばかり思ってたら意外にもアニメ声優初挑戦だった『オブリビオン』のモーガン・フリーマンといった、非常に豪華なキャストが揃った本作。
それ以外にも、すっかりネタ扱いのグリーン・ランタンに扮した『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』のジョナ・ヒルや、そのジョナとのコンビ芸がお馴染みになりつつある『フォックスキャッチャー』のチャニング・テイタムがスーパーマンに。また、シャキール・オニールやC-3PO、ランド・カルリシアンはご本人登場という豪勢さ。
ただ、やっぱり本作の目玉と言えば『俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク』のウィル・フェレルでしょうねぇ。アニメパートでのダークサイド父親を嬉々として演じたかと思えば、実写パートではそれを秘めた控えめ父親を演じる、非常に細やかな表現力を披露したフェレル。その器用さは、同じく声優に挑戦した『メガマインド』を思い出すまでもなく分かっていたつもりでしたが、やっぱりフェレルは芸達者だなぁと改めて実感した一本で。

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個性派に囲まれたら普通の方が目立つ

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2015年07月26日

ロボコップ (RoboCop)

監督 ジョゼ・パヂーリャ 主演 ジョエル・キナマン
2014年 アメリカ映画 117分 アクション 採点★★★

街の至る所に交番があるってのが、日本独特の風景のひとつだとか。その辺が凶悪犯罪発生率の低さをもたらしてるって見方があるようですけど、別におまわりさんが何かにつけ銃を撃つわけでも、荒々しくそこらを警らしているわけでもなく、基本ママチャリに乗ってチリンチリンをパトロールをしているだけなので、警察の力による抑止力とはまた別の要因があるような気も。なんかこう、“お天道様が見ているぞ”ってのと似たような認識でおまわりさんを見ている、そんな国民性に起因している感じすら。

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【ストーリー】
2028年。巨大企業オムニコープの軍事ロボットが世界各地に配備され犯罪や破壊活動の抑止力として活躍する中、アメリカ国内では法律によりロボットの配備が禁止されていた。国内でのロボット普及を画策する中、デトロイトの正義感溢れる警官アレックスが爆発事故に遭い瀕死の重傷を負ってしまう。彼をヒーローとして祭り上げ世論を一気にロボット容認へと動かすため、オモニコープはアレックスをロボコップとして改造するのだが…。

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1987年に製作された『ロボコップ』を、『エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE』のジョゼ・パヂーリャがメガホンを握ってリブートしたSFアクション。
もう負け戦の臭いしかしない作品であったんですけど、観てみると思いのほか悪くない。確かにヴァーホーヴェン版と直接的に比べてしまうと文句も出てしまうが、テーマもアプローチの仕方も全く違う作品なので、「血が足りない!」とか「ロマノ部長がヒョーヒョー言いながら木っ端微塵にならない!」なんていう不満を洩らすのはちょいと違うのかと。まぁ、ED-209に可愛げがないってのと、相棒のルイスがオッサンになってたってのは個人的にちょっとアレでしたけど。
派手なアクションばかりに重きを置いていなかったってのも好印象だった本作。力による抑止の功罪や、巨大企業とメディアとの癒着による容易な世論誘導、機械の身体を持つ人間と人間の顔を持つロボットの間で揺れ動くロボコップの存在など、描こうとしているテーマ自体も悪くない。これで、「理想からは程遠いけど、現実問題として力による抑止を全否定することは出来ない」ってのや、犯罪や腐敗を生み出してしまう巨大システムなどといったパヂーリャらしいアプローチがもっと出来てれば良かったんですけど、こっちを「オッ!?」と驚かせる個性やエグ味は控えめな格別良くも悪くもない一本になってたのは残念でも。せっかく“パパはロボコップ”っていう美味しそうなネタがあるのに、その辺にあまり触れてなかったってのももったいなかったですし。まぁ、MGMのライオンロゴにサミュエル・L・ジャクソンの発声練習を被せてくるみたいな、音と音楽の使い方には個性を感じさせてくれてましたけど。

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如何せん中国工場製なのでイマイチ信頼しづらい新ロボコップに扮したのは、『ラン・オールナイト』のジョエル・キナマン。ペナンガランみたいなあられもない姿を晒したりもしますが、基本男前なので細身になったロボスーツも、ピーター・ウェラーの時は顔だけでかくなっちゃってアレだった顔出しロボコップ状態もなかなか様になってたかと。
また、悪意ではなく利益追求の結果として悪事を働くぶん性質の悪いCEO役に扮した『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』のマイケル・キートンや、善人なんだけど誘惑と探求欲に弱い科学者に扮した『ダークナイト ライジング』のゲイリー・オールドマン、率直に「これで子持ちってのはエロいなぁ…」とモヤモヤさせられた『エンジェル ウォーズ』のアビー・コーニッシュら、印象の薄めな作品を底上げする顔ぶれが集まっていた本作。見た目まんまだった『エルム街の悪夢』のジャッキー・アール・ヘイリーや、なんで出てるんだか良く分からなかったディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』のジェイバルシェルなんかもいましたし。
しかしながら、やっぱり一番の目玉は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のサミュエル・L・ジャクソン。ヴァーホーヴェン版のCMの役割を背負ってるんでしょうけど、そんなことよりも出不精のサミュエルらしく同じセットの中から動かず、気持ち良さそうにスピーチしまくる姿は強烈でしたねぇ。まぁ、別に居なくてもいい役柄ではありましたが。

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授業参観に来られるのはヤダ

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2015年06月06日

ザ・レイド GOKUDO (The Raid 2: Berandal)

監督 ギャレス・エヴァンス 主演 イコ・ウワイス
2014年 インドネシア/アメリカ映画 146分 アクション 採点★★

感動的なストーリーや高い演技力、高尚なテーマなんかが必ずしも“良い映画”に必要な条件だとは思ってない私。作り手の撮りたい物やこだわった物と、受け手である観客の観たい物が合致して満足感を与えれば、もうそれは“良い映画”なんだろうなぁと。ひたすらカッコ良い銃撃戦を描きたかった『誘拐犯』や『シューテム・アップ』はその目的を達成していたから“良い映画”だし、トム・クルーズがハンサムだったらもうそれは最高のトム映画。その解釈をもうちょい広げてみれば、セガールが楽しそうであればそれは“良い映画”と言えるんじゃないのかと。あ、それは違うな

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【ストーリー】
地元マフィアへの潜入捜査を命じられた新人警官のラマは、マフィアのボス、バングンの息子ウチョに接近するために囚人として刑務所に潜入。ウチョの信用を得たラマは出所後バングンの下で働き始める。そんな中、なかなか認めてくれない父親に不満を持つウチョに、対抗組織のボス、ブジョが接近。やがてそれは日本のヤクザも絡む大抗争へと発展していき…。

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殺す格闘技の怖さをまざまざと味あわせてくれた『ザ・レイド』の続編。前作同様、監督/脚本をギャレス・エヴァンスが手掛けたバイオレンスアクション。
最低限のストーリーと舞台設定により恐怖感すら覚える緊迫感が生まれていた前作とは打って変わり、物語を軸にアクションを動かす作風に変わった本作。ストーリーを強化したいって気持ちも分からなくもないし、その結果ランニングタイムが2時間半近くになっても構いやしないって意気込みも悪くはなし。しかしながら、その厚みを増したはずのストーリーがてんでダメ
監獄パートはボスの息子に接近するって目的以外になんのドラマも生み出さず、組織に潜入したらしたで主人公は単なる傍観者に過ぎないので、これまた何にも生み出さない。“バレる/バレない”のサスペンスも、身分を隠しながらの友情もなにもない、ただの舞台設定にしか過ぎない。それなりに人物に動きを持たせてはいるのだが、物語に参加したての殺し屋に重たい役割を背負わせたりする唐突さがそこかしこに見られる、ストーリーの膨らませ不足も否めず。時間をたっぷり使ってるはずなのに、肝心な部分には使われていないチグハグさ。雰囲気だけはジョニー・トー映画のようなだけに、なんとももったいない。

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まぁ、これでもアクションに対して良い影響を与えていれば文句もないんですけど、ダラダラしたドラマと同様に、やってる事は凄いはずなのに“長さ”ってのを感じてしまう悪影響を。
イコ・ウワイスをはじめ、前作でも強烈なインパクトを残したヤヤン・ルヒアンといった凄腕や、ジュリー・エステル“両手にハンマーを持った聾唖の女殺し屋”なんていう最高にオイシイ上に無残な顔の傷ひとつでわざわざ描かなくても背景が伺えるキャラクター、どんな役柄でも素にしか見えない松田龍平など逸材が揃っていただけに、これまたなんとももったいなかったなぁと。
ただこう不満だけ並べてはしまったが、静と動を巧みに使い分けて生み出した緊迫感や、カーアクションのシーンで見せるカメラワークなど今回も「おぉっ!?」と驚かされる演出を見せたギャレス・エヴァンスではあったので、製作がアナウンスされた第三弾に期待したいところで。

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「普通の父親は返り血浴びて帰ってこないわよ!」って詰られるのもちょっと悪くないかも

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posted by たお at 10:01 | Comment(0) | TrackBack(4) | 前にも観たアレ■ら行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月28日

ラン・オールナイト (Run All Night)

監督 ジャウマ・コレット=セラ 主演 リーアム・ニーソン
2015年 アメリカ映画 114分 アクション 採点★★★

“不明”“直行”とハッタリ満載の内容とは裏腹に、タイトルだけは直球のジャウマ&リーアムの作品。「逆に、捻ってないのが良くネ?」って感じなんですか?
で、今回のタイトルはというと“一晩中走る”。やっぱり直球だ。この調子で行くと、次あたりは“一日中怒る”とかになるんでしょうかねぇ?ハルクをリメイクなんかしちゃったら、“怒る緑”とかにしちゃうんですかねぇ?あ、“怒りん坊の緑さん”にするとなんか韓国映画みたい。

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【ストーリー】
ブルックリンを牛耳るアイリッシュマフィアのボス、ショーンの下で数々の殺しを請け負ってきたジミーは、今では過去の罪に苛まれ酒浸りの日々を送っていた。そんなある夜、ショーンの息子ダニーが犯した殺人現場をジミーの絶縁状態にある息子マイクが目撃してしまう。状況を収めるためにマイクのもとへ向かったジミーだったが、そこで口封じにやって来たダニーをとっさに殺してしまい…。

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アンノウン』『フライト・ゲーム』に続いて三度目のタッグとなる、ジャウマ・コレット=セラ監督&リーアム・ニーソン主演によるクライムアクション。
自分のバカ息子が全ての原因とはいえ、一人息子を殺され復讐を誓うマフィアのボスのショーン。そして、存在そのものを否定され拒まれ続けながらも、命を狙われた息子を全力で守る老殺し屋のジミー。かつては互いの命を預けあうまでの関係であった二人の父親が、壮絶な殺し合いを果たさなければならなくなる様を描く重厚なドラマが見所の本作。そこに家族の再生や贖罪ってテーマも絡めた本作を、ドッシリと腰の据わった演出で描いていれば素晴らしいギャング映画になる…はずだったのに
無理のある設定をハッタリ満載の演出でウヤムヤにする手腕には長けたジャウマ・コレット=セラであるが、今回はそんなハッタリが全く必要のないドッシリと芯の通った物語。なのに、相変わらずの仰々しさで描いてしまう。結果、役立たずに見えたが実はすげぇ強いというリーアムの格好良さばかりが際立ってしまい、“血よりも重いマフィアの絆”やらホームだった場所がアウェイとなってしまう“地元感”の全くしない、ただのリーアムアクションに。終盤のパブのシーンにポーグスが流れてるのに気付くまで、すっかりとアイリッシュってのを忘れてましたし。まるでホラー映画かのようなオドロオドロシイ音楽も完全にミスマッチ。てか、老マフィアの重厚なドラマになんでジャンキー・XL?これも「逆に良くね?」ってやつなんですかい?

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まぁ、そんな演出のミスマッチさには不満があった作品ではありましたけど、キャストの持つイメージをそのまま上手に用いることにも長けたジャウマらしさを楽しめる一面も。
特に『96時間/レクイエム』のリーアム・ニーソンの、基本薄汚れていながらも展開によりスイッチを切替えながら最終的にはいつもの“絶対的に強い怒る男”になる安心感はさすが。鑑賞前に期待している“見たいリーアム”ってのを、多少の変化球を交えながらも見せてくれたって意味では★ひとつオマケ分の価値があるのかと。
また、冷酷さと揺るぎなさを誇りながらも奥深くの葛藤をも表現した『崖っぷちの男』のエド・ハリスも絶品。これもまた、“エド・ハリスにはこうあって欲しい”という事前の期待がそのままで出てくるという嬉しさが。リーアムとのラストカット、もうこれしか道はないってのを悟りきってるのがビシビシ伝わる痺れるシーンなんて、もうエド・ハリスの独壇場みたいでしたし。
その他、なんかブライアン・デネヒーみたいになってた『クロッシング』のヴィンセント・ドノフリオや、「この兄弟の入院中の母親って何歳なのよ?」と別の意味で驚かされた『Mr.ズーキーパーの婚活動物園』のニック・ノルティ、横顔がリーアムと似ていなくもない『ロボコップ』のジョエル・キナマンに、なんかカルキン家に混じってそうな雰囲気もあった『ゴーン・ガール』のボイド・ホルブルックら、なかなか見応えのあるキャスティングが光ってた一本でも。

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自分の中に似ている部分を見つけちゃうからますます嫌いになる

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posted by たお at 01:35 | Comment(8) | TrackBack(25) | 前にも観たアレ■ら行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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