2009年 アメリカ映画 90分 コメディ 採点★★★
うっかり死んでしまわない限りは、近いうちに必ず訪れるであろう老後。その老後を如何に楽しく過ごすかってのが懸案事項になってるようなんですが、まぁなんとか楽しく過ごす自信だけはあったりもする私。“暇を如何に楽しく潰すか?”が、もう趣味の一つのようなもんですし。

【ストーリー】
愛する絵画がデンマークへと移送されてしまう事を知りショックを受ける、ベテラン警備員のロジャー。そんな彼同様、愛する絵画を失うことにショックを受けたチャーリーやジョージと知り合ったロジャーは、その絵画を盗み出す決意をする。彼らは用意した贋作とすり替えるため、美術品が保管されている倉庫へと忍び込むのだが…。

それっぽいタイトルとジャケットでアクション映画に成りすまし店に置かれているが、中身は老人がワタワタ右往左往する老人クライム・コメディなのでご注意を。主演であるモーガン・フリーマンとウィリアム・H・メイシーも製作者として名を連ねた、どこかフランス製コメディを思わせる、洗練されてるのにバタ臭い仕上がりの一本。
「大好きな絵画が遠くへ行っちゃう!」→「じゃぁ、盗もう!」って安易さに驚かされるが、そんな安易な発想しか浮かばない素人集団ならではの行き当たりばったりな笑いに包まれた本作。盗みだす為に贋作製作を思い付くも、“金がない→奥さんのヘソクリに手を出す→瞬く間にバレる→怒られる→嘘をつく→にっちもさっちも行かなくなる”と、この一事が万事行き当たりばったり様に「男子ってのは老人になっても男子なんだなぁ」と、可笑しいやら哀しいやら。色々ウヤムヤにしてフワっと軟着陸してしまう結末など難点も少なくないし、傑作と呼ぶには程遠い作品でもあるのだが、この他人事とは思えぬ思い付きのみで動く様が嫌いにはなれない一本で。

作品選びの根拠が“現場が楽しそう”って感じになってきた、『燃えよ!ピンポン』『もしも昨日が選べたら』のクリストファー・ウォーケンが出ずっぱりってのが嬉しい本作。かつての人を人とは思わぬ冷血ぶりなんぞ微塵も感じさせない、見事なまでのコメディバージョンでの仕事っぷり。そのクリストファー・ウォーケンを中心に、『RED/レッド』のモーガン・フリーマンと、この二人に挟まれるとまだまだ若手扱いになってしまう『カラー・オブ・ハート』のウィリアム・H・メイシーといった芸達者三人組が揃った本作。なんかもう出来云々をさて置いて、この三人が中心になったコメディを観れたってだけで嬉しい。
また、この三人に負けず劣らずの芸達者ぶりを披露した『ミスト』のマーシャ・ゲイ・ハーデンや、監督のピーター・ヒューイットとは『ガーフィールド』からの付き合いでもある『ロード・トリップ』のブレッキン・メイヤーなども共演。
それにしても、先にも書きましたがすっかりアクション映画として店頭に並べられてる本作。まぁ珍しいことではないんですが、そうしてしまった根拠が分からず。冒頭5分の妄想シーンだけ観て販売方針を決めちゃったのか、「コメディじゃ売れねぇからアクションってことにしちゃおう」って詐欺路線決定にしちゃったのか。まぁ概ね後者なんでしょうけど、それはそれで“格付け的にはアクション>コメディ、内容的にはアクション<コメディ”って決めつけられてるようで、なんとも癪に触るなぁと。

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