2012年04月25日

ホーボー・ウィズ・ショットガン (Hobo with a Shotgun)

監督 ジェイソン・アイズナー 主演 ルトガー・ハウアー
2011年 カナダ映画 86分 アクション 採点★★

面白いかどうかは別にしても、最近ビデオ屋に並んでいる商品って、目をつぶって適当に手にとっても最低限映画としての形を成している安全なものばかりですよねぇ。その作品の批評なんかもすぐに調べられる時代ですし。海の物とも山の物とも知れないビデオに囲まれていた、80年代のビデオブームの頃とは比べ物にならない環境の良さ。ただまぁ、それが幸せかって言うと「んー…」って感じではありますけど。

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【ストーリー】
ドレイクとその息子たちによって牛耳られた町ホープタウン。警察もドレイクに歯向かえず、暴力に支配され殺戮が公然と行われるこの町に初老の放浪者がやって来る。目立たぬよう過ごしていた彼だったが、ある日質屋強盗に遭遇。偶然手にしたショットガンで強盗団を返り討ちに。それを機に、彼はショットガン片手に町の犯罪者を次々と葬り去っていくのだが…。

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『グラインドハウス』内に収められていたフェイク予告編の映画化と言えば、トレホさんの大傑作『マチェーテ』を真っ先に思い浮かべますけど、本作はその『グレインドハウス』公開を記念して開催された“フェイク予告編コンテスト”でグランプリを受賞した作品を長編化した、バイオレンス浮浪者アクション。予告編を製作したジェイソン・アイズナー自身がメガホンを握り、主演には『WANTED/ウォンテッド』『ザ・ライト -エクソシストの真実-』のルトガー・ハウアーが。
70年代風の如何にもなオープニングで幕を開けたかと思いきや、首が飛び頭が破裂し盛大に血飛沫が噴き上がる80年代風スプラッターバイオレンスへと豹変する本作。とことんチープでけばけばしく、それでいてどこか長閑で間の抜けた雰囲気は、グラインドハウスってよりはトロマっぽくも。まるで小学生男子が考えたキン肉マンの新キャラみたいな“地獄の使者”のデザインにしろ、タランティーノやロドリゲスなら“面白い映画”に仕上げてしまう所を、敢えてそのダメな部分も徹底的に再現しようとした姿勢はあっぱれだなぁと。まぁ、再現した上で面白くなってれば良かったんですけど、そこがゴールじゃなく「きっちり再現しました!」ってとこがゴールになってしまってるので、なんとも残念な感じも。ゴアには奔放な割に、オッパイひとつ出てこないエロに対する奥手さも物足りませんでしたし。

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消しゴム化して欲しい

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2012年04月16日

炎の大捜査線 (火焼島)

監督 チュー・イェンピン 主演 ジャッキー・チェン
1990年 香港/台湾映画 97分 アクション 採点★★★

映画の醍醐味の一つに、“騙される”ってのがありますよねぇ。“騙される”って言っても良く耳にするサスペンス映画の謳い文句のようなやつじゃなく、ジョギリがちょっとしたナイフに過ぎなかったり、“全米○○州上映禁止”が単に出来が悪くて上映されなかっただけだったり、ブルース・リーかと思ったらブルース・リだったりする類のやつ。こんなのに騙され続けてきたおかげで、ちょっとだけ映画を見る目が養われてきたような気も。まぁ、最近じゃそんな詐欺まがいの作品も減ってしまいましたけどね。「騙された!」で済ませられる入場料金でもないですし。

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【ストーリー】
警察署長暗殺犯は死刑執行済みの死刑囚であった。警察官のウェイはその謎を探るため、囚人に成りすまし刑務所へ潜入。そこでワケアリ囚人のロン、キア、ビンバルらと出会う。あれこれあって死刑囚となったウェイだったが、衝撃の真実を知ることとなり…。

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なんだ?ジャッキー主演じゃねぇじゃん!」と世界中のジャッキーファンを憤慨させた、実話を基にしたというアレコレ驚愕の連続であるアクションサスペンス。監督は、これまた衝撃的な展開の詰め合わせだった『ジャッキー・チェン/ドラゴン特攻隊』のチュー・イェンピン。
“死刑囚をスナイパーに仕立て上げる”というどっかで聞いた事あるプロットを、刑務所映画の数々で見覚えのあるシーンを繋ぎ合わせて仕上げた、継ぎ接ぎ映画の怪作である本作。ジャッキー・チェンにサモ・ハン・キンポー、アンディ・ラウにレオン・カーフェイらビッグスターの共演ってのも見所なのだが、各々が自分の持ち味を主張しちゃってて混じり合うわけでもなく、一人が前へ出てくればそれまで出てた人が引っ込む、こんなとこでも継ぎ接ぎ感を堪能できる、元も子もない言い方ですけど“変な映画”。イントロ9割/本編1割という、延々前菜が出てきて腹一杯になった所に分厚いステーキが出てきてしまうかのような狂った構成も、この映画ならではの味わい。確かに各所でけちょんけちょんに貶されてしまうのも分からなくもない、なんとも自由奔放な仕上がり具合だなぁと。
ただまぁ、嫌いにはなれないんですよねぇコレ。どっちかと言えば、好きな部類でも。結果が伴ってるとは言い難いんですけど、「面白けりゃいいんだよ!」って貪欲具合も、予想の斜め上を軽く通り越すワンパクな展開も、この時期の香港映画(まぁ実質台湾映画ではありますが)でしか味わえないものですし。やっぱりアレですかね?昨今の予想の範疇内で収まってしまう、小奇麗にまとまった映画ばかり観ているからですかね?多分、私の悪趣味がこれを「好き!」と感じさせてるだけなんでしょうけどねぇ。

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ポリス・ストーリー/香港国際警察』のジャッキー・チェンに、『SPL/狼よ静かに死ね』のサモ・ハン・キンポー、『マッスルモンク』のアンディ・ラウ、『エレクション』のレオン・カーフェイと、人気も実力も兼ね備えた香港四大スターが顔を揃えた本作。狭い場所で小道具を巧みに使ったアクションをジャッキーが披露したかと思えば、サモ・ハンが人情喜劇臭を作品に漂わせ、ドラマ部分をカーフェイが引っ張る中、アンディ・ラウがいつの間にか混ざっている、もうなんとも贅沢な使い方。まぁ、それが一つに混じり合ってるわけではなく、メインが変われば作品のトーンもがらりと変わる自己主張のし合い映画になっちゃってるんですけど。色々と大人の事情があるんでしょうねぇ。
そんな自己主張の強い4人が主導権を奪い合っているような作品なんですが、そんな4人をちょちょいと往なして美味しい所を全部持ってっちゃってるのが、『片腕ドラゴン』のジミー・ウォングさん。根拠不明の並々ならぬ自信で色男を演じ、観客を心底困惑させることに定評のあるジミーさんですが、本作でもなで肩に風呂敷っぽいのをマントの如く纏い、ヒップアップの小林進な面構えで男前のギャングの大物を堂々と演じ切って、観る者全てを困惑させる強烈存在感。ずらりと並んだ顔ぶれを見渡し、「この中でポール・ニューマンになれるのってオレくらいだろ?」と確信しちゃうハートの強さは圧巻。各々自己主張が過ぎて印象がクシャっとしてしまった本作を観賞後に振り返ると、もう思い出せるのがジミーさんだけだったりする圧勝ぶり。自分を信じるってのは大事なんですねぇ。

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見習いたいけど真似はしたくない

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2012年04月15日

プロジェクト・イーグル (飛鷹計劃)

監督 ジャッキー・チェン 主演 ジャッキー・チェン
1991年 香港映画 106分 アクション 採点★★★

若い子とジャッキー映画の話をしていると、「ジャッキーってスタント全部自分でやってるんですよね?」と輝き切った目で聞かれちゃって、答えに窮する時があるんですよねぇ。確かに落ちたりぶら下がったりと命がけのシーンの多くを自身でこなしてますけど、明らかにこれは違うってのも少なくはないですよねぇ。ただまぁ、“プロレスはガチ”“スタローン最強”ってのと同様に、ある種の幻想の上に成り立っている物でもあるんで、そんな時は「そうらしいね!」と大人の対応を心掛けている私。

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【ストーリー】
ナチスが隠した大量の金塊を探し出すよう依頼された“アジアの鷹”ことジャッキー。中国人歴史家のエイダ、金塊を隠した軍人の孫娘エルサ、日本人露天商のももこらとサハラ砂漠へと向かったジャッキーであったが、彼らの前に謎の敵が立ちはだかり…。

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サンダーアーム/龍兄虎弟』の続編。スペインからモロッコと、ロケーションの特徴を活かしたアクション・アドベンチャーに仕上がってた一本に。
“ナチスの秘宝”っていう文字にしただけでもワクワクする題材を、アクションたんまり笑いもたんまりで作り上げたジャッキー映画のお手本のような本作。確かに、「この人らって結局なに?」ってキャラがいたり、敵役に圧倒的な強さってのを感じられなかったり、三者三様のヒロインがただの同行者になってたりと難点もちらほら。ただまぁ、多彩な舞台で繰り広げられる笑いとしっかり絡められたアクションの数々が、それらの難点をあっさり帳消しにしてくれるのは流石。クライマックスの大掛かりなアクションにしろ、道中繰り広げられる小さなアクションの数々にしろ、驚きと笑いを同時に作りだすこのレベルの高さは、まさに脂ののり切っていたこの時期のジャッキー映画でしか味わえない面白さ。ホントこの周辺10年間ほどのジャッキー映画って、目をつぶって適当に手に取ってもまずハズレを引く事のない絶頂期なんだなぁと。

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高度なアクションをこの顔で締めくくれるのって、ジャッキーかドリフくらいでは

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2012年04月04日

ファイナル・デッドブリッジ (Final Destination 5)

監督 スティーヴン・クエイル 主演 ニコラス・ダゴスト
2011年 アメリカ/カナダ映画 92分 ホラー 採点★★

「続編かリメイクばっか!」とぼやかれ始めてから随分と経つハリウッドですけど、その流れは相変わらずですねぇ。ただ、ふた昔くらい前だと三作目ほどでにっちもさっちも行かなくなって打ち切りって感じだったのが、最近はシレーっと四作五作と作られてますねぇ。まぁ、ネタ切れで仕方がないってのよりは、内容云々以前にアトラクションとして皆でキャーキャー騒ぐって楽しみ方が確立されてるってのも大きいんですかね。

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【ストーリー】
予知夢によって橋の崩落事故から逃れることが出来たサムと同僚8人。しかし、死の運命は彼らを逃すことはせず、一人一人と恐ろしい死のトラップにはまっていく…。

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“奇抜な死に方大百科”と化した“ファイナル・デスティネーション”シリーズ第五弾。まぁ冒頭の大惨事以外は、“主人公が事故の予知夢を見て騒ぐ”→“みんな助かる”→“でも一人ずつ死ぬ”→“死に方や死ぬ順番の手掛かり発見”→“でもなんの役にも立たず”って流れに基本的な変化はないんで、バージョン違いの『ファイナル・デスティネーション1.5』って感じかと
今回はどんなピタゴラ死に様スイッチを披露してくれるのかと思いきや、その辺がかなり雑な残念スイッチだった本作。やたらと危なげな物を周辺に配置してミスリードを図っているが、全編その調子なので結構すぐ飽きますし。展開上“落ちて死ぬ”ってのにこだわりたいのも分かるが、結果的にそれが“日常生活に潜む死の危険”って恐怖が薄れさせてしまい、そこを埋め合わせるために放り込まれた“笑い”ってのも然程機能していない、なんとも残念な出来。
ただまぁ、そもそもが劇場で仲間と一緒に、3D効果でやたらと飛び出てくるガラスの破片なんかを避けながらキャーキャー騒ぐアトラクションを目指していた本作に、“映画”を期待するってのが酷なのかと。ジェットコースターの主観映像を家で観てても面白くないってのと一緒なんで、特に不満もなく。意外な所に帰着するオチにも驚かされましたし。

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表情の作り方がどことなくオーウェン・ウィルソンを彷彿させるニコラス・ダゴストを筆頭に、部屋に置いてあった“ゴキブリ イチコロ”とか書かれた色紙が気になる『フローズン』のエマ・ベル、トムちんやチャンベール風の男前だけど、年取ってハゲ上がったらジョー・パントリアーノみたいになりそうなマイルズ・フィッシャーなど、相変わらず他の映画で見かけてもそうそう思い出せそうにない薄口の若手が集められてた本作。若いはずなんだけど、あんまりそんな感じもしないってのも一緒。
まぁ、その辺の不満は『俺たちニュースキャスター』のデヴィッド・ケックナーや、登場するだけで「待ってました!」って感じになってきた『HATCHET After Days/ハチェット アフターデイズ』のトニー・トッドらが、多少は救ってくれてたかなぁと。それにしても、トニー・トッド扮するウィリアム。検死官に葬儀屋にジェットコースターのアナウンスにと、なんとも大忙しな人ですねぇ。随分と貯め込んでるんでしょうか?

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どのみち死にますし

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タグ:★★ ホラー
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2012年04月03日

4デイズ (Unthinkable)

監督 グレゴール・ジョーダン 主演 サミュエル・L・ジャクソン
2010年 アメリカ映画 97分 サスペンス 採点★★★★

自分にとっての“善”や“正義”ってのが主義主張として表れるんですが、もちろんそれは一方的なものでもあるんで“正しい”ってのとはまた別なんですよねぇ。相反する主義が必要になる場面も出てくるでしょうし。

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【ストーリー】
国内3都市に核爆弾が仕掛けられるテロ事件が発生。イスラム系アメリカ人の犯人ヤンガーはすぐに逮捕、FBIテロ対策チームのヘレン・ブロディ捜査官らが招集され爆弾の所在を聞き出す為の尋問が始められる。そこへ尋問のスペシャリストとされる謎の男“H”も参加。彼は拷問も厭わない残忍な方法で尋問を開始する。彼の非人道的な手法に反発するヘレンであったが、爆発予告の時間まで残り僅かとなり…。

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『戦争のはじめかた』のグレゴール・ジョーダンによる、人それぞれが持つ倫理の天秤を試すかのようなサスペンス。
どんな悪人であってもその人が持つ人権は守らなければならないし、拷問は許されるものではない。少なくても国際的には、表向きそうである。では、その悪人によって数百万人が殺されそうになってる場合でも、それは頑なに守られるべきなのか?本作は、そんな問いから幕を開ける。登場人物らが出した答えは、多分大多数の観客と同じで“表向きにはイエス”としながらも、そっと目を背け、誰か自分の代わりに手を汚してくれる人物に委ねてしまう。「数百万人もの命が掛かってるなら仕方がない」と。そこに疑問が生まれる。「じゃぁ、千人だったら?十人だったら?一人だったら?自分の家族一人の命だったら?」と、「結局は数の問題なのか?」という疑問が。そして、一度目を背けてしまったら、もう後戻りも出来ない。本作は、そこに更なる追い打ちを掛けてくる。想像もしたくない追い打ちを。
答えを観客に委ねるタイプの作品のように思えるが、本作はそうではない。答えは既に“正しくない”と出ている。ただ、“正しい”だけでは済まされない状況に観客を放り込み、その主義を大きく揺さぶってくる。しかしながら、揺れ動くのは正しい反応だ。“自分の信じている事を押し通す”というのは美しい響きであるが、そもそもそれが何の為の主義なのかを忘れてしまっては意味もないことであるし。本来守らねばならない存在を犠牲にしてまで主義を守るということは、単に自己満足にしか過ぎないし、非常に危険な考え方でもあるようにも。そんな人間がリーダーとして君臨することほど怖いことはないと、本作を観ながらふと思わせられた次第で。人道的行為が勝利を収めたように思わせておいて、そこに大きな疑問符を投げかける日本公開版のエンディングも非常に秀逸な、最近稀に見る“考えさせられる”作品であったなぁと。

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尋問&拷問のスペシャリスト“H”に扮したのは、『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』『フリーダムランド』のサミュエル・L・ジャクソン。「反対はした」という免罪符と共に理性や建前では否定したい行為を自分の代わりに行ってくれる存在であり、自分の役割をしっかりと理解しているかのような冷静さを持つ“H”を見事に好演。ここ最近アベンジャーズ絡みでのサクっとした仕事ばかり見ていたので、「そう言えばサミュエルって良い役者なんだよなぁ」ってことを再確認。
一方、建前の象徴のようなFBI捜査官ブロディに扮したのが、『ゾンビーノ』のキャリー=アン・モス。なんか久しぶり。サミュエルの存在感がでか過ぎたってのもあるんですが、凛とした佇まいの割に芯の強さがイマイチ上手く伝わってこない、“H”と向き合うにはちょいと弱い印象が惜しかったかなぁと。男勝りの活躍をしながらも女性としての強さと優しさを上手に表現できる、それこそジュリアン・ムーアくらいじゃないと釣り合いが取れなかったのかなぁ。
その他、テロの標的が国家と言うよりもハリボテの倫理観であるようにも思えたテロリスト役に『トロン:レガシー』のマイケル・シーン、『スーパーマン リターンズ』で脚光を浴びるも、それ以降は小さな役でしか見たことない気がするブランドン・ラウスらも出演。

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余談ではありますけど、本作を観ながらふと「実際にこんな事が起きたらどうなるんだろー?」という考えが頭を。イランとの関わりもあるテロリストの要求は数百万人の命と引き換えに、中東諸国からのアメリカ軍の撤退。情報がシャットアウトされているので、テロリストに脅されている事を国民は知らないって前提。そうなると、大統領は“数百万人の国民の命”と“莫大なオイルマネー&軍需”ってのを天秤に掛けるってことに。それだけの数の人が殺されるってのも大問題だし、都市が受けるダメージも甚大。一方、石油産業と軍需産業が持つ影響力は強大なものだろうし、後援者として莫大な献金も行っていたはず。マイケル・ムーアじゃないけど、コツコツと税金を納めてくれる顔の知らない国民と、何百万ドルもの大金をポンと手渡してくれる顔見知りの友人との天秤
で、テロリストの要求にこたえる前に運良く核爆弾が見つかったとして、それで「あぁ良かった良かった」と果たして終わるのかなぁと。目の前に転がってるのはイランに攻め入る大義名分。OPEC第2位の石油生産国であり、世界第2位の天然ガス埋蔵量を誇り、欧米諸国の憎まれ役を買って出ているイラン。ただ今回は、天秤に掛けるモノがない。大義名分を振りかざす為の犠牲が“まだない”。でも、作る気になれば作れなくもない。
なんかもう、これこそ“Unthinkable”なことだなぁと思った次第で。

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「見てただけ」ってのは通用せず

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2012年03月13日

ブリッツ (Blitz)

監督 エリオット・レスター 主演 ジェイソン・ステイサム
2011年 イギリス/フランス/アメリカ映画 97分 アクション 採点★★★

職業やそれに就く人に対する勝手なイメージってありますよねぇ。警官は善人で医者は潔癖、教師は真面目でピザ屋は食いしん坊みたいな。で、イメージ通りじゃないとガッカリしたりも。勝手にイメージしてるくせに。まぁ、イメージ通りじゃない方が意外と優秀だったりしますし、なんであれ職務さえ全うしてくれれば問題はないんですけど。

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【ストーリー】
ロンドン。“ブリッツ”と名乗る男による、警官ばかりを狙った連続殺人事件が発生。暴力事件ばかりを起こす問題刑事ブラントは、サウスロンドン署に赴任したてのナッシュと共に捜査を開始。ほどなくブリッツは逮捕されるのだが、証拠不十分のため釈放されてしまい…。

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狡猾な殺人鬼を追う、法の正義とは違う次元で信念を全うしようとする荒くれ刑事の姿を描いた本作。不祥事は持ちつ持たれつで揉み消し、あの手この手で上司の弱みを握り、盾突く者は殴り倒して黙らせる。本作の主人公ブラントは、所謂正義のヒーローではない。“法を執行する側”に立っているだけで、その立場から離れてしまえば非常に性質の悪い犯罪者になってしまう危険性も持っている。しかしその反面、その職務には全身全霊で勤しみ、仲間を傷つける者に対しては一切の容赦をしない男でも。そんな法の線を跨いで一般的には似た者同士のブラントとブリッツの対決を、銃撃戦や派手なアクションに頼らないソリッドな作りで描いた本作から受ける印象は、なかなか硬派な刑事アクションのもの。
ただまぁ、“メディアを利用する愉快犯”“法を順守しない刑事”“法では追い詰められないジレンマ”など、上手くすれば21世紀の『ダーティハリー』にもなり得る題材の数々を全然消化しきれておらず、ただ散漫に盛り込んで残りは『メカニック』『エクスペンダブルズ』のジェイソン・ステイサム頼りで逃げ切ろうとした仕上がり具合は残念で。事実、辛うじてジェイソン・ステイサムのキャラクター性で観れるものに仕上がってるが、それを抜いてしまうと何にも残らないのはどうかと。

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まぁ、それだけ本作のジェイソン・ステイサムにはある種の輝きを。もう“粗野”の塊。いつものステイサム。もちろんこちらは善人面のステイサムなんかに用はないわけで、悪人相手に暴れてる分には喝采を送れるが、その拳の行き先が一般人にも向かっていきそうなリスキーさにヒヤヒヤもする、“いつものステイサム映画”として最低限楽しめる一本に仕上がってたのには満足を。それにしても、ステイサムって“外”が似合う役者ですよねぇ。セット内や合成された背景の前で暴れてるイメージがない。大抵ロケで暴れてる印象が。真の荒くれ者だからですかねぇ。
そんないつもの“ステイサム仕事”に消されかけてはいたが、ゲイである故に同僚からいびられるナッシュに扮した、『ボーン・アルティメイタム』『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』のパディ・コンシダインがなかなかいい味を。物腰こそはステイサムと正反対だが、悪党に対する感情は見事に合致する良いコンビネーションを見せてくれていたなぁと。“ゲイ”というキャラ設定以外は別段特徴の無い役柄ではあったが、「ゲイだからって、なんか特別なことしなきゃなんないの?」ってスタンスな感じもして好印象。
これで『12 ラウンド』のエイダン・ギレン扮するブリッツにスコルピオ並の“始末に負えない小者”感が出てれば完璧だったんですが、“ちょいと面倒臭い小者”で終わってしまってたのは残念。
その他、婦警に扮したゾウイ・アシュトンなんかも印象的でしたが、揉み消しの見返りでデートに付きあってる立場であるにもかかわらず、「電話するって何時よ?明日?キーッ!男っていつもそう!」と途端に面倒臭い女に豹変する、非常に残念な意味での印象深さでしたが。

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一番絡んじゃいけない相手

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2012年02月08日

ブッシュマン キョンシーアフリカへ行く (非州和尚)

監督 ビリー・チャン 主演 ラム・チェンイン
1991年 香港映画 107分 コメディ 採点★★

外国や地域に対する、非常に大雑把なイメージってありますよねぇ。オーストラリアには改造バギーカーに乗ったモヒカン集団がいて、ニュージーランドは中つ国、テキサスには電動ノコギリ食人一家が潜んでて、名古屋にはヤクザ処分場があるみたいな。事実からは大きくかけ離れてるかも知れないんですが、映画にするならこれくらいが丁度いいですよねぇ。

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【ストーリー】
ご先祖様のキョンシーをロンドンのオークションで落札したサムと道士は、飛行機で一路香港へと向かう。しかし、飛行機トラブルによりアフリカに不時着、キョンシーとはぐれてしまう。その頃、たまたま付近にいたブッシュマンのニカウさんは、キョンシーを神さまと思い込み村へと連れ帰ってしまい…。

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ブッシュマンがメインと言うよりは、ラム・チェンインの“霊幻道士”シリーズの外伝的位置付けにある本作。一応『ミラクル・ワールド/ブッシュマン』のジャミー・ユイスがコンサルタントとしてクレジットされてましたが、「あっちにキリンがいるよー」とか「あんまりニカウさんを土人扱いし過ぎないでねー」とか言ってたんでしょうかねぇ。
「キョンシーとブッシュマンの組合せってスゲくね?」って深夜2時頃の与太話を、そのまんま映像化したような本作。とは言っても、別にキョンシーとニカウさんを軸に物語が展開するわけじゃなく、ライオンを前に道士らが慌てふためいたり、ウンコする場所を探して道士が右往左往したりする、うちの小2の長男が腹を抱えて大爆笑するようなシーンがユルユルと。「やっぱブッシュマンと言えばコレだよね?」ってつもりなのかナレーションが引っ切り無しに被るのだが、どこぞの二人組が本作を観ながらグダグダ言ってるだけという、ある意味妙な臨場感が味わえるナレーションも独特な味わいを。

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でもまぁ、見所が全く無いわけでもなく、アフリカなのにヴードゥーっぽいゾンビとキョンシーが対決したり、ニカウさんがキョンシーに肩車してピョンピョン飛び跳ねたりと、組合せのインパクトのみではあるがそこを貪欲にしゃぶり尽くす見せ場もちらほら。特に栄養状態が良かったのか、尻をパンパンに膨らませたニカウさんにブルース・リーが降臨するシーンは驚愕で、ニカウさんが見せるドンピシャのタイミングで決めるブルース・リーの顔芸は、ある意味映画史に残る名シーンなのではと。
それにしても、“アフリカにキョンシー”“ニカウさんがブルース・リー化”とか、どこの誰がこんなネタを思いつくんだろうとクレジットを見たら、脚本を手掛けたのが『エボラ・シンドローム/悪魔の殺人ウィルス』のバリー・ウォンだった。あ、納得

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笑いの神も一緒に降臨

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2012年01月30日

ホール・パス/帰ってきた夢の独身生活<1週間限定> (Hall Pass)

監督 ピーター・ファレリー/ボビー・ファレリー 主演 オーウェン・ウィルソン
2011年 アメリカ映画 105分 コメディ 採点★★★

もし期間限定で独身生活を送れるとなったら、何をして過ごすんでしょうねぇ。“モテる/モテない”は既婚・未婚にあんまり関係なくその人そのものの魅力に因ると思うんで、独身になったからといって「女遊びだー!ヒャッホー!」とはなりそうにないですし。たぶん、一日中ゲームして終わりそうですねぇ。いつもの休日だ

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【ストーリー】
トキメキもなにもない結婚生活に疲れたリックとフレッド。そんなある日、妻たちは一週間限定で独身に戻れる“ホール・パス”を彼らに与える。「浮気し放題だー!」と喜び勇んで街に繰り出す彼らだったが…。

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期間限定の独身生活を手に入れた中年男の姿を描く、『2番目のキス』のファレリー兄弟によるコメディ。
独身時代の思い出が思い切り美化・誇大化され、ある意味それが心の支えにもなっている男の悲しい性を描いた本作。急に独身に戻っても何をしたらいいのか分からず右往左往する様や、夜の営みもままならず一人寂しくアレしなければならない実情など、既婚男性なら思わず共感してしまう可笑しいシーンも多し。
ただ、主人公に強烈な浮気願望があるわけでも独身願望があるわけでもなく、流れで手に入れてしまった特典だった為か、ほとんどの時間をフワフワ漂うだけで起伏のない展開はちょいと物足りない。良い人が、もっと良い人になって戻って来るだけの話のようにも。強烈な毒を纏いながらも純粋な物を描くファレリー兄弟にしては毒気も少なく、観賞中はファレリー兄弟の作品であることを忘れてしまう事もしばしば。まぁ、ちゃんとラストに思い出させるシーンをしっかり挟みこんでいますが。“独身になってもあんまりやる事はないよ”ってテーマの作品なのでこうなるのも仕方ないんですが、もうちょっと夢を見させてくれてもいいのになぁと、既婚中年男性の私が言ってみましたよと。

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全体がフワっとしてしまったのも、きっと主演が『ミート・ザ・ペアレンツ3』のオーウェンだったからじゃないのかと。アレコレあった上に次世代の突き上げもあって、自分のポジションを模索している感が強かった本作のオーウェンなんですが、しがない中年男役にしては可愛過ぎるのではないのかと。七三頭に中年太りで奮闘はしてましたが。浮気もしないし初体験の相手が今の奥さんって役柄は、可愛いですしオーウェンにもハマってたんですが、作品にはハマってなかったようにも。いっそのこと、男版『可愛いだけじゃダメかしら』を作ってみては?まぁ、タイトルだけでこじつけただけですけど。それだけオーウェンは可愛かったってことで。
その他、作品を一人体現してたかのような『ROCKER 40歳のロック☆デビュー』のジェイソン・サダイキスや、童顔のまま中年に差しかかった可愛らしさが印象的な『スリザー』のジェナ・フィッシャー、大学生がちょっと手を出したくなるのも分かる“大人の色気”を発していた『ビッグ・ヒット』のクリスティナ・アップルゲイトに、ある意味理想の大人像でもあった『モールス』のリチャード・ジェンキンスと、なかなかバラエティに富んだキャスティングが施された本作。その割に、これといって弾けてる印象もなかった面々なんですが、唯一『妖精ファイター』のスティーヴン・マーチャントは良かったなぁと。関わるシーンが全て面白かったですし。

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理想に自分がついて行けてない

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2012年01月25日

パニッシャー (The Punisher)

監督 ジョナサン・ヘンズリー 主演 トーマス・ジェーン
2004年 アメリカ/ドイツ映画 123分 アクション 採点★★

“復讐”とか“報復”って、聞こえはタフな感じがしますよねぇ。悲痛な思いを胸に秘めた男の姿が思い浮かびますし。でも、“嫌がらせ”となると一気にチンケな感じに。イメージはもうドブネズミ。やられてる相手からすれば、なんであれ嫌がらせに過ぎなかったりもするのに。

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【ストーリー】
裏社会の大物ハワード・セイントの息子が、武器取引の現場でFBIによって射殺される。悲しみに暮れるハワードは、息子の死の原因を現場に潜入していたFBI捜査官フランク・キャッスルにあるとし、キャッスル家が揃ったパーティに殺し屋を送り込む。一家全員を惨殺されたフランクは、ハワードに対し復讐を決意するのだが…。

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マーベルの同名コミックを、『NEXT -ネクスト-』などの脚本を手掛けたジョナサン・ヘンズリーが映像化したバイオレンスアクション。
パニッシャーと言えば、ドクロTシャツを着ていないドルフ・ラングレンがヤクザ相手に暴れまわるアレを思い出すが、今回のパニッシャーはしっかりドクロTシャツを。「こりゃぁ凄惨な制裁が期待できるな!」とワクワクするも、なんか様子がおかしい。悪玉の手下を捕まえスパイにし、組織のナンバー2に対しては盗撮写真を基に脅迫電話、悪玉の妻の車を勝手に乗り回し浮気を捏造するなど、やってる事が非常に姑息。その他にも売上金を燃やしたりゴルフ場を荒らしたりと、嫌がらせの三昧のパニッシャー。あんまりにもパニッシャーの底意地が悪いので、中盤頃には悪玉に同情してしまう始末。ホント、怒らせた相手が悪かった。
パニッシャー本人のマヌケぶりも相当なもので、身を潜めることなく住人が結構住んでるアパートに引っ越し、瞬く間に素性がバレるんで殺し屋が直々に来訪。住人がいい迷惑。全ての片が付いたから自殺を試みるもなんとなく断念し、「じゃぁ、パニッシャーとして街の悪党でも退治してよー」って飛躍も物凄い。パニッシャーを、姑息で底意地悪い主人公がコントのようなアクションを繰り広げながら、ご近所さんと珍妙な交流をする映画にしちゃう理由も分からない。まぁ、色んな意味で驚きの連続だったので、全く目が離せない作品に仕上がってはいましたが。

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せっせと浮気工作に勤しむパニッシャーに扮したのは、『ミスト』『キルショット』のトーマス・ジェーン。首を切り落とさない限り死なない長生きな人みたいな風貌が“能天気”にだけは見えないので、パニッシャー役に然程違和感がないんですけど、設定が設定なだけに非常に粘着質な人に見えちゃうことこの上なし。
一方のセイントに扮したのが、『パリより愛をこめて』『グリース』のジョン・トラヴォルタ。襟を広げたチンピラシャツの非常に似合う役者なので悪玉としては問題ないのだが、大物ってよりはやっぱりチンピラなので、幾分不相応な感じも。その辺も含めて、ついつい同情しちゃうキャラだったんですけど。
その他、ボスにだけはゲイであることを告げておけばよかったナンバー2役に『クロッシング』のウィル・パットン、フランクの父親役で『ブルーサンダー』のロイ・シャイダー、身体が青くないと何か印象が薄いX-MEN:ファイナル ディシジョン』のレベッカ・ローミン、筋肉担当だった『DOA/デッド・オア・アライブ』ケヴィン・ナッシュなど、思いのほか豪華な顔ぶれがほぼ使い捨てで登場。まぁ、今と然程変わらない印象だった『メカニック』のベン・フォスターを見れたのは嬉しかったですけど。

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自分には甘く、他人には厳しく

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posted by たお at 17:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月16日

バニラ・スカイ (Vanilla Sky)

監督 キャメロン・クロウ 主演 トム・クルーズ
2001年 アメリカ/スペイン映画 136分 サスペンス 採点★★★

夢と現実がごっちゃになることはないんですが、あんまりにも楽しい夢を見ている最中にふと目を覚ましてしまった時って、その気分がなかなか抜けない事もありますよねぇ。そんな時は、続きを見ようとその夢の事を考えながら二度寝を試みるんですが、その夢を見たいと思ってる夢を見るだけだったりして、もう台無しなんですけど。

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【ストーリー】
大金持ちの上にハンサムという、誰もが羨む人生を送っていた出版界の若き実力者デヴィッド。しかし、交通事故によって大怪我負ってしまい、彼の顔は醜く変貌してしまう。それを機に彼の人生は狂い始め…。

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リメイク元である『オープン・ユア・アイズ』はなかなか面白かったものの、あまり良い評判を聞かなかったし、ロックインテリがうん蓄を披露してるような感じが好みではないキャメロン・クロウ作品だってんで、なんとなく敬遠していたハンサムミステリー。今回もわざわざボブ・ディランのアルバムジャケットを模してみたり、引っ切り無しに流れてくる楽曲の選曲にロックインテリ臭さを感じるが、“主人公の心境が好きな曲やイメージとして流れてくる”って設定が面白いので、そんなには鼻につかず。
オリジナル版では大金持ちでハンサムって大前提すら作られたイメージである可能性を匂わせていたのだが、本作では全く揺るがない。ハンサムありき。だってトム映画だから。『トータル・リコール』がシュワの筋肉映画になってしまったのと同様に、本作もトムちんのハンサム映画に。“美しい夢の世界より、現実の世界で地に足付けて生きる”とか“多少の苦労は人生に必要”とか教訓めいたことを語ってはいるが、結局のところ描いているのは“ハンサムの人生は楽しい!”ってことのみ。もう、ごもっとも。反論できません。

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主人公がハンサムな上に一目惚れした女優と共演する口実が出来るってんじゃ、『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』のトムちんが躍起になって本作を製作するのも当然のことかと。敢えて醜い顔を披露してハンサムっぷりを際立たせようとしておりますが、如何せんまだ“ハンサムはルックスのみで成立するものではない”と気付いていない、ハンサム道追求途中の作品なので、「整った顔でニカって笑ってればハンサムなんでしょ?」って安易さは目に付くのは残念かも。まぁ、髪の長さとかはこの位が一番似合うとは思いましたが。
そんなトムちんに一目惚れされちゃったのが、『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』のペネロペ・クルス。当時からそうだったんですが、改めて今見てもトムちんとペネロペは一緒に居るのが似合わない。とてもトムちんの手に負えそうなタイプの女性ではないのかと。まぁ、トムちんが一方的に浮かれただけで案の定な結果に終わってしまいましたし、その反省は今に活かされてはいるようですが。
その他、「ハンサムはこれ位の女性じゃ満足しない」ってことなのか、可愛さ絶頂期にいた『ナイト&デイ』のキャメロン・ディアスや、「アメリカの理想の父親像ってのは、まず顎がシッカリしてることなんだねぇ」と再確認した『デス・プルーフ in グラインドハウス』のカート・ラッセル、基本的な立ち位置はいつものケヴィン・スミス作品と変わらなかった『コップ・アウト 刑事(デカ)した奴ら』のジェイソン・リーに、いつ見てもそのカッコ良さにシビれてしまう『コンスタンティン』のティルダ・スウィントンなど、かなり豪勢な顔ぶれが嬉しい。そう言えば、『マイノリティ・リポート』と撮影時期が近かったせいか、スピルバーグもちらりと顔を出しておりましたねぇ。あと、いつものウィリアム・メイポーザーも。

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そりゃぁ、楽しいでしょうよ

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posted by たお at 11:26 | Comment(2) | TrackBack(1) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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