2012年07月08日

人喰いトンネル MANEATER-TUNNEL (Absentia)

監督 マイク・フラナガン 主演 ケイティ・パーカー
2011年 アメリカ映画 91分 ホラー 採点★★★

子供の頃に読んだ絵本や童話って怖くて不条理な物語が案外多いんで、妙に記憶に残ってたりするんですよねぇ。一種のトラウマ。最近はヤワな時代なんで子供にそんな怖い思いをさせる絵本なんか淘汰されたのかと思いきや、ちょいと夜更かししただけで幽霊に連れ去られてしまう絵本がいまだロングセラーのようで。情操教育に“恐怖”ってのは必要なんですねぇ。「じゃぁ、ウチの子供らにもばんばかホラー映画を見せてやろう!」と勘違いした私だとさ。

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【ストーリー】
7年前に忽然と夫が失踪した姉トリシアを訪ね、ロサンゼルスにやって来た妹キャリー。夫の死亡証明書が発行される日が近づくにつれ夫の幻影に悩まされるトリシアだったが、それは夫を見捨てることに対する罪悪感と思っていた。そんなある日、ジョギング中に近所のトンネルを通ったキャリーは不気味な男と遭遇。それを切っ掛けに、奇妙な出来事がキャリーの近辺でも続発し始め…。

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上手い具合に言いくるめられたトロルがギッタンギッタンにされる“三びきのやぎのがらがらどん”をモチーフにした不条理ホラー。監督・脚本・編集を手掛けたのは、TV畑のマイク・フラナガン。
失踪事件の背後に潜む魔物の恐怖を、都市伝説風味も交えて描いた本作。いささか作り手の脳内だけで完結してしまってる感もあるのだが、シンプルな画面構成が心霊番組の再現ビデオを見てるかのような不気味さがなかなか良い感じ。単純に異世界ホラーの世界を描くのではなく、一つの失踪事件に対し事件・事故など一般的な可能性を提示することで現実社会と接点を保つ作りも上手い。なまじ登場人物がワケアリなだけに「まぁ実際はこんな理由なんだろうなぁ」と思わせながらも、ほんの少し「でも、もしかして…」の余地を残す作りというか。
説明を省くサジ加減を誤ったのか、なんとも舌っ足らずの作品であるし粗も少なくないのだが、ホラー映画として程良い後味の悪さも味わえる、まずまずの一本なのでは。因みに、被害者の一人で『パンズ・ラビリンス』のダグ・ジョーンズが素顔で登場してるのも見所かと。

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「次にもっと太って美味そうなのが来るよ」と言い忘れ

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posted by たお at 13:08 | Comment(0) | TrackBack(2) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月04日

フライトナイト/恐怖の夜 (Fright Night)

監督 クレイグ・ギレスピー 主演 アントン・イェルチン
2011年 アメリカ映画 106分 ホラー 採点★★★

自分が高校の頃って、経済力があって車を持ってて、遊び方と遊ぶ場所を知ってる大人が羨ましく思える一方で、どうやっても敵わない憎らしい敵って感じでしたねぇ。彼女のバイト先なんかにそんな大人が居たりすると心中穏やかなんかじゃなく、デート中なんかにバイト先の話題が出るだけでヤキモキしちゃったもので。「オレも大人になったら若造にヤキモキされるぞぅ!」と誓って早数十年。未だその誓い果たせず

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【ストーリー】
脱オタクを果たし美しい彼女も出来た高校生チャーリーの家の隣に、謎めいた色男ジェリーが越してくる。女手一つで育ててくれた母親も好意を寄せてしまう男性の登場に心中穏やかじゃないチャーリーのもとに、かつてのオタク仲間エドが「奴は吸血鬼だ!」と警告しにくるが、そんな警告に耳を貸さなかったばかりに…。

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1985年の、未だにJ・ガイルズ・バンドによるテーマ曲のサビの部分が突然頭の中で流れたりする『フライトナイト』を3Dでリメイクしたホラーエンタテイメント。メガホンを握ったのは、『ラースと、その彼女』のクレイグ・ギレスピー。
要約すれば“隣に吸血鬼が越して来てスゲェ嫌だ”って本作。もうちょっと深めに掘り下げれば、脱オタクを果たし身の丈に合ってない彼女が出来たはいいが、そのポジションに居続けることへのプレッシャーと居心地の悪さを感じる車すら持っていない主人公の隣に、イケイケドンドンの色男が越して来てスゲェ嫌だって話。重要なのは“吸血鬼”ってとこじゃなく、車も経済力もルックスも何もかもが自分より勝ってる色男が来てしまったってとこ。“彼女も母親も奪われてしまうんじゃないか?”“背伸びしてる事がばれちゃうんじゃないか?”って不安と、到底敵わない大人をモンスター視する思春期っぷりをしっかりを収めた前半部は面白い。オリジナルから抜き出すべき部分を理解した作りも嬉しい。
ただ、面白いのはここまでで、後は追いつ追われつの単なるホラーバトル映画に成り下がってしまう。“隣人が吸血鬼であることを周囲が信じる/信じない”の溜めがほとんどないまま「やぁ!私が吸血鬼です!」と本人がネタバラシをしてしまうので、主人公が孤立して精神的に追い詰められるって見せ場は皆無で、唯一の大人の協力者であるピーター・ヴィンセントも、“なりたくはないけど、結局自分もこんな風になっちゃうんだろうなぁ”って大人の象徴から単なるケバい人になっちゃったんで、“子供対大人”の構図が一気に弱まってしまう、なんとも残念な展開。まぁ、“ホラー映画を作ろう!”ってのよりも、“『フライトナイト』をモチーフにしたホラーアトラクションを作る!”って意味合いの方が強い作品なんでしょうから、こうなるのも仕方がないんでしょうねぇ。

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主人公のチャーリーに扮したのは、『スター・トレック』のアントン・イェルチン。ピープル誌の“最も美しい100人”にも選出されたことがあるそうですが、本作から受ける印象は“理数系に強そうなちょいとイケメンなDJクオールズ”って感じだったので、役柄的にはピッタリかと。努力でモテたギークって感じで。
その他、オリジナルに模した扮装と特殊メイクも披露してくれた『センチュリオン』のイモージェン・プーツや、是非とも狼男に変身して欲しかったエド役に、ギーク役者の代表格となった『キック・アス』のクリストファー・ミンツ=プラッセ、『リトル・ミス・サンシャイン』のトニ・コレットに、オリジナルの役柄のままゲイリー・オールドマンにやらせれば良かったのにと思ってしまったピーター・ヴィンセント役にデヴィッド・テナントがキャスティング。オリジナル版でジェリーに扮したクリス・サランドンも、新ジェリーに襲われるドライバー役でちらりと登場。
ただやっぱり本作の目玉は、吸血鬼ジェリーに扮した『マイアミ・バイス』のコリン・ファレル。吸血鬼のくせに“主食が肉”って感じがプンプンするのはどうかと思いましたが、高校男子にとって歓迎できない隣人としてはこのくらいのギラギラギトギトが丁度良いのかと。“草食vs肉食”って感じも。実際、コリン・ファレルとかマシュー・マコノヒーとか隣に越して来られたら、夜中とか非常に騒々しそうですしねぇ。自分の彼女を最も紹介したくないタイプでもありますし。

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要はコリン・ファレルが越して来たらスゲェ嫌だって話

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2012年07月02日

ペントハウス (Tower Heist)

監督 ブレット・ラトナー 主演 ベン・スティラー
2011年 アメリカ映画 104分 コメディ 採点★★★

絶対王政や封建制度下にあった中世を舞台にした映画とか観てると、「貴族さんに好き放題されて、この当時の庶民は大変よのぉ」とか思ったりするんですが、よくよく考えればそのシステムは現代も変わってないどころか、搾取の仕方がより巧みになってるだけだと気がついてちょいと憂鬱な気分になったりしますねぇ。

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【ストーリー】
一握りの成功者しか住む事の出来ない超高層マンション“ザ・タワー”。管理マネージャーのジョシュとスタッフらは、そこに住むセレブらの生活をサポートしていた。そんなある日、住人の大富豪アーサーが証券詐欺で逮捕されてしまう。しかもアーサーはジョシュに委託されていたスタッフの年金までをも横領。責任を感じたジョシュは幼馴染の泥棒スライドを仲間に引き入れ、アーサーのペントハウスに隠されているはずの大金を盗み出す為、難攻不落のザ・タワーに忍び込もうとするのだが…。

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出演するエディ・マーフィ自身も製作に携わった、なんか最近元気のない人たちばかりが集結しちゃった感もある犯罪アクションコメディ。メガホンを握ったのは、これまた最近ちょっと元気のない『ラッシュアワー3』のブレット・ラトナー。
富と権力を独占する一部の貴族階級に手痛い仕返しをお見舞いする庶民の姿を描いた本作。エディ・マーフィにとっては“『大逆転』をもう一度”ってところなんでしょうか。とは言ってもそんな小難しい社会批判はほどほどに、“悪い奴から奪うのは概ねOKの範囲内”を本筋に豊富な笑いと軽妙なテンポで楽しませるブレット・ラトナーらしい仕上がりの一本。厳重なはずのザ・タワーの警備がザルだったり、エレベーターがハンパない積載量を誇ってたり、計画過程が不明瞭なんで展開が突飛だったりする問題も多い作品ではあるものの、持ち前の手際の良さでその辺を気にさせないのもブレット・ラトナーらしいところかと。観ている最中は面白いものの、観終わった途端にするすると消え去るところもそうでしたが。
因みにブルーレイ/DVD共に別エンディングが収められてたんですけど、個人的には“その後”を描いてストンと綺麗に落とす別バージョンの方が好きでしたねぇ。

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主人公のジョシュに扮したのは、『ミート・ザ・ペアレンツ3』のベン・スティラー。今回はヒステリックなキャラ芸ではなく、もう一方の得意技“生真面目で神経質な都会っ子”ってので主人公を好演。若干大人しいのが気になったんですけど、その足りない部分は『ビバリーヒルズ・コップ』のエディ・マーフィが補う役割分担を。まぁ、このコンビから生まれるプラスアルファーが然程なかったのはアレでしたけど、エディはまだまだ充分面白いってのを確認できただけでも嬉しかったなぁと。
その他、なんかジョン・タートゥーロみたいになってきた『ゴーン・ベイビー・ゴーン』のケイシー・アフレックや、この人を見るといまだにウディ・アレンも出てきそうな感じがするアラン・アルダ、『ピザボーイ 史上最凶のご注文』のマイケル・ペーニャら、なかなか好みの顔ぶれが出演。
中でも、あの調子で成功を易々と掴み取るもののあっさりと転落してしまった“その後のフェリス・ビューラー”を見てるみたいだった『プロデューサーズ』のマシュー・ブロデリックと、『オー!マイ・ゴースト』のティア・レオーニの登場は嬉しい。特に女優としての絶頂期にあるのか、カッコ良さと可愛げと美しさのブレンド具合が絶品だったティア・レオーニは存在感は見事。もっと出番を増やして欲しかったもので。

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取り戻したかったのはかつての勢い?

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2012年06月22日

ポルノ☆スターへの道 (Bucky Larson: Born to Be a Star)

監督 トム・ブラディ 主演 ニック・スウォードソン
2011年 アメリカ映画 97分 コメディ 採点★★

“人は誰しも取り柄がある”とは言いますが、それは他人が見出すもんなんで、自分ではなかなか気付かないんですよねぇ。私の取り柄ってのを自分で考えてみても、“他の指を曲げないで小指だけを曲げられる”ってくらいしか思いつきませんし。まぁ、自分で「私の取り柄は○○です!」って言い切るのもアレですけどねぇ。

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【ストーリー】
オハイオの田舎町に住む冴えない青年バッキーは、ひょんなことから両親がかつてポルノ映画のスターだったことを知る。「うわぁ!ボクの両親はスターだったんだ!ってことは、ボクもスターになれるはず!」とうかれ上がったバッキーは、運命を信じロサンゼルスへ。しかしバッキーのアレは、ポルノスターになるにはあんまりにも粗末で…。

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アダム・サンドラー作品でお馴染のニック・スウォードソンを主演に据えて贈るコメディ。製作と脚本にアダム・サンドラーとアレン・コヴァート、メガホンを『ホット・チック』のトム・ブラディが握る強力布陣。
アレがビッグなのでポルノスターになる『ブギーナイツ』とは真逆に、アレがあんまりにもあんまりなのにポルノスターになろうとする男の姿を描いた本作。短小と早漏とザー○ンに笑いを集中させる、ひたすら下品でひたすら幼稚で、良識派の方々であれば御立腹間違いなしの一本。まぁ、自称も含め良識派の人が、このジャケットとタイトルの作品を手に取るとは到底思えませんけど。
ただまぁ、アダム・サンドラー映画に共通する“優しさ”ってのは充分に感じられる本作。前向き過ぎる主人公にしろ、アレが小さすぎる故に見た人々が勇気づけられる様にしろ、どんな落ちこぼれであろうとすくい上げようとする優しさが、そこかしこに描かれている。そんな“優しさ”に★ひとつオマケしようかと思いましたが、作品自体が中途半端な悪ふざけとしか成立していない残念な出来でしたので、この評価でも充分甘めかなと。

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バッキーに扮したのは、『エージェント・ゾーハン』や『がんばれ!ベンチウォーマーズ』など、アダム関連作品で非常に良い仕事をしていたニック・スウォードソン。ただまぁ、主演を張るにはまだ圧倒的なクドさというか危険な香りのする面白味ってのが足りない印象も。まぁ、アダム一派にはロブ・シュナイダーという核弾頭が存在しているから、ことさらそう思えちゃうのかも知れませんが。
でも、その主演の一歩足りなさを補って余りあるキャストが揃っちゃってる本作。その姿を見るだけで何か危険なものを観ている気になってくるアフターライフ』のクリスティナ・リッチを筆頭に、還暦過ぎとは到底思えぬ色気を発していた『マチェーテ』のドン・ジョンソン、なんかアクセル・ローズみたいだった『ブレイド』のスティーヴン・ドーフと、まぁこれも悪ふざけの一環なのかも知れませんが、凄い顔ぶれ。ドン・ジョンソンの男前っぷりだけは一見の価値アリかと。
その他、ケヴィン・ニーロンや嫁サンドラー、イードゥ・モセリにピーター・ダンテらアダム映画でお馴染の面々が登場する本作。「あれ?今回はジョン・タートゥーロ出てないんだ?」と思ってると弟のニック・タートゥーロが出てきたり、ちょっとボーっとしてると『2番目のキス』のジミー・ファロンが出てきたりするんで、ウカウカ油断もできないキャスティングで。

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“大きけりゃ良いってもんじゃない”とは言いますが、“小さけりゃ良い”とは言わない

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2012年06月13日

パラノーマル・アクティビティ3 (Paranormal Activity 3)

監督 ヘンリー・ジュースト/アリエル・シュルマン 主演 クリス・スミス
2011年 アメリカ映画 94分 ホラー 採点★★★

場所とか因果関係とかが明確じゃない怪談話って怖いですよねぇ。“明日は我が身”的な怖さがあって。逆に場所が限定されてたり因果関係がハッキリしてると、物語としては面白くても、やっぱり他人事な感じが。ジェイソンに会いたくなければ、クリスタルレイクに行きゃなきゃいいだけですし。まぁ、奴はたまにニューヨークなんかにお出かけしたりもしますけど。

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【ストーリー】
1988年。恋人のジュリーと、彼女の娘たちであるケイティとクリスティと共に暮らす、ビデオカメラマンのデニス。ある日、家の中から聞こえる奇怪な音が気になったデニスは、部屋にビデオカメラを設置。カメラは驚くべく現象を捉えていた。やがて怪奇現象はエスカレートしていき、耐えきれなくなった彼らはジュリーの母親の家へと逃げるのだが…。

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超低予算ながらも大ヒットを記録した事で話題となった“おわかりいただけただろうか?”系ホラー、『パラノーマル・アクティビティ』の第三弾。前作から製作に回ったオーレン・ペリに代わってメガホンを握ったのは、新鋭ヘンリー・ジューストとアリエル・シュルマンのコンビ。
前2作の主人公であるケイティとクリスティ姉妹の幼少期へと時を戻し、彼女ら一族の呪われた系譜を更に深く掘り下げた本作。小さな音に聞き耳を立ててると突然大きな音がしてビックリする、「そりゃぁ誰でもビクっとなるよ!」的な怖がらせ方は相変わらずなのだが、そのタイミングや怪奇現象のエスカレーション具合などが絶妙なので、決して単調に陥らない巧い作り。鏡の中からトニー・トッドが出てきそうな“ブラディ・メアリー遊び”のシークエンスや、首振りカメラの映像の隅っこに何かが見切れるなど、基本に忠実ながらも工夫が凝らされた見せ方をしているのも良い。ワンパク度合いが増した『ポルターガイスト』みたいだった台所のシーンなんかは、思わず「巧い!」と声を出してしまったほどで。
確かに“魔女”ってのが全面に出てしまったので心霊的な怖さは激減してしまったのだが、その分“逃れられない因習”のような陰湿な怖さが醸し出され始めた印象も。第四弾も製作されているこのシリーズ。劇場まで足を運んで観る自信はないんですけど、DVDでは追っかけておきたいなぁと。
そう言えば、今回はブルーレイに収められてたちょいと長めな“完全版”とやらで観賞。まぁ、観比べたわけじゃないんで、どこがどう完全なのかは分からず。稀にそういうソフトもありますけど、“ここが足されたシーンだよ!”的なマークでも出てくれれば便利なんですけどねぇ。

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“魔女一家に散々な目に遭わされる男たち”を描くシリーズになってきた感じが

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2012年05月30日

ハンバーガー・ヒル (Hamburger Hill)

監督 ジョン・アーヴィン 主演 ディラン・マクダーモット
1987年 アメリカ映画 110分 戦争 採点★★★

中学の時に英会話の先生として出会って以来いまだに交流のある元アメリカ陸軍の方がいるんですが、当時一緒にこの映画を観た時に、「“ハンバーガー・ヒル”ってのは聞いたことないけど、朝鮮戦争の頃“ポークチョップ・ヒル”ってのがあったなぁ」って言ってましたねぇ。戦場に肉料理の名前が付くと、なんとも生々しいなぁと思ったもので。

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【ストーリー】
1969年、南ベトナム。戦況が激化する中、フランツ軍曹らの部隊は937高地へと送られる。激戦のあまり兵士が挽き肉状にされてしまうことから“ハンバーガー・ヒル”と恐れられている場所で、最も過酷な10日間が幕を開け…。

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『プラトーン』の大ヒットを受け、雨後のタケノコの如く製作されたリアル系ベトナム戦争映画群の中でも一際輝きを放っていた、『戦争の犬たち』のジョン・アーヴィンによる一本。
ストーリー性を一切排除し、ひたすら過酷な戦闘を描くことで戦争の悲惨さや無常さを描いた本作。過酷な割に作戦そのものの目的が見えない様にも、戦争の不毛さや上層部と現場との遊離っぷりを伺わせている。また、断片的な会話や日常描写によって国の為にその身を捨て戦っているにもかかわらず、国内では全く歓迎されていない理不尽な社会状況や、戦争に行かざるを得ない環境に置かれた若者たちの現状を浮かび上がらせる手法が上手い。戦争を通して人間ドラマを描いた『プラトーン』に対し戦争そのものを描こうとした本作は、『プライベート・ライアン』に対する『ブラックホーク・ダウン』のような存在だったのかと。
ほとんど見えない敵に向かってひたすら丘を登ったり降りたりするだけの本作だが、腕がもげてモツがはみ出し、顔面が盛大に破裂するなど豊富なショック描写で展開を単調にしないのも魅力の本作。新兵を説教している背後から、ロケット砲構えた泥だらけのベトナム兵がにじり寄って来る珍妙なシーンもあるが、これまた魅力の一つかと。

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無名の若手が演じる事でリアリティを生みだしてた本作ですが、今観ると意外な顔ぶれがチラホラと。
頼れる軍曹役に扮した『ゴースト・ハウス』『ザ・シークレット・サービス』のディラン・マクダーモットを筆頭に、『スティーヴン・キングのデスペレーション』のスティーヴン・ウェバー、『ファイナル・デッドブリッジ』のコートニー・B・ヴァンスらが出演。
中でも目玉は、やっぱり『アイアンマン2』『クロッシング』のドン・チードルかと。これといって印象に残る役柄ではなかったんですが、一目でドン・チードルと分かるその変わってなさに驚いたなぁと。25年も前なのに。
そう言えば、ベトナム戦争映画ってロックがガンガン流れてるイメージがあるんですけど、本作で流れてたのはオーティス・レディングやパーシー・スレッジ、テンプテーションズにスペンサー・デイヴィス・グループとソウルミュージック寄りだったのが印象的だったなぁと、最後に記しておこうかと。

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忘れたい戦争の忘れちゃいけない人たち

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タグ:★★★ 戦争
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2012年05月24日

フィリップ、きみを愛してる! (I Love You Phillip Morris)

監督 グレン・フィカーラ/ジョン・レクア 主演 ジム・キャリー
2009年 フランス/アメリカ映画 97分 コメディ 採点★★★

深夜のファミレスなんかに行きますと、時折周囲どころか我をも失っているカップルの方々を見掛けることがありますよねぇ。普通に食事に来た私が場違いに感じるくらい。でもまぁ、誰しも人を好きになる時ってのは通常の精神状態にないんでしょうから、あんまり指を差して笑ったりしないのが宜しいのかと。常々指を差したくなる衝動に駆られる私が言うのもなんですけど。

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【ストーリー】
妻子と共に幸せな生活を送っていた警官のスティーヴンは、交通事故を切っ掛けに自分に正直に生きることを決意し、ゲイとしての人生を歩み出す。しかし、思いのほか金の掛かるゲイライフを維持するために詐欺師に転向するも、程なく逮捕され投獄されてしまう。そんなある日、刑務所でフィリップという運命の人に出会ったスティーヴン。出所後ふたりでの生活を送るのだが、スティーヴンはより幸せな生活を実現するため再び詐欺に手を染め…。

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ラブ・アゲイン』のグレン・フィカーラ&ジョン・レクアによる、実話をベースにしたラブコメディ。製作総指揮に『アデル/ファラオと復活の秘薬』のリュック・ベッソンが携わっているが、別に脚本にまでは手を出していないので、おてんば娘にカンフー使いが振り回されるいつものベッソニズムは欠片もなし。
愛する人と一緒に居るために詐欺と脱獄を繰り返した、なんともバイタリティ溢れる主人公の姿を描いた本作。“実話”ってのと“ゲイ”ってのに目を奪われてしまいがちだが、ちょいと変わった人生を送る主人公が恋に狂う、そもそもの物語自体が非常に面白く仕上がってた一本で。確かに中年男が監獄内でラブラブなのは見ていて痛々しいが、それは深夜のファミレスでチュッチュしてるカップルに対しても同じような印象ですし。見てくれのみに頼らず、その行動に笑いを生みだすサジ加減も上手いなぁと。
あの手この手でフィリップと一緒になるスティーヴンのポジティブさを表面にまといながらも、全てを捨て自分に正直に生きる決意をした割にその人生が嘘に塗れている様や、オチにも効いてくる“よりによってテキサスで”という皮肉も上手に織り込まれた佳作で。

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スティーヴンに扮したのは、『ブルース・オールマイティ』のジム・キャリー。こっちの都合も考えずにグイグイ来る感じが苦手な役者だったんですけど、思い付きで動いている割になんだかんだと上手く行く天才肌特有の落ち着きの無さや、恋に浮かれて躁鬱が激しくなる様が非常にハマった、とっても丁度良いジム・キャリーだったなぁと。
一方のフィリップに扮したのは、『ゴーストライター』『アイランド』のユアン・マクレガー。このユアンは素晴らしい。もともと初老の人の傍に寄り添ってる様が非常に似あう仔犬系の可愛らしさを持つ彼なんですけど、本作ではそこに可憐な少女の可愛らしさまでプラス。多少あざといくらいが可愛く見えるってのを熟知した好演で。コピーを見る限りジム・キャリーが熱望した映画ってことらしいんですが、実は“ユアンに恋する乙女を演じさせたいってのが発端にあるんじゃないのか?”って思えてしまうほど。
その他、“実は旦那はゲイでした”ってのが妙に似あう、『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』『ビッグ・ダディ』のレスリー・マンや、“夢に出てくる彼氏”ってのを突き詰めていくとゲイっぽくなるってのを体現した、『300 <スリーハンドレッド>』『ラブ・アクチュアリー』のロドリゴ・サントロなど、脇も良くハマったキャスティングで。

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こんなんが道端に捨てられてたら、衝動的に拾ってしまいそうで

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2012年05月05日

ブルドッグ (A Man Apart)

監督 F・ゲイリー・グレイ 主演 ヴィン・ディーゼル
2003年 アメリカ/ドイツ映画 109分 アクション 採点★★★

選択を強いられる場面って色々あるんですけど、誰の目にも明らかなほど確実な選択肢があるにも関わらず、ついつい突拍子もない選択をしてしまいがちな私。「次世代ゲーム機を買いに行くー♪」と出掛けて、買ってきたのが3DOだったみたいな。まぁ、本人的にはご満悦なんですけどね。

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【ストーリー】
メキシコを牛耳る麻薬組織の大物ルセロを逮捕した、麻薬取締局DEAのショーン。これでアメリカに流入する麻薬が激減するかと思いきや、“ディアブロ”と呼ばれる新興勢力が躍進。そしてショーンもディアブロに襲撃され、最愛の妻を殺害されてしまう。怒りに燃えるショーンは、ルセロの情報を基にディアブロ壊滅に向かうのであったが…。

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完全なる報復』のF・ゲイリー・グレイによる、巨大麻薬組織に戦いを挑む麻薬捜査官の姿を描いたサスペンス・アクション。主演のヴィン・ディーゼルが製作総指揮も兼務。
ワイルド・スピード』『トリプルX』とメガヒット作を連発し引く手あまただったヴィン・ディーゼルが、それらの続編や様々な企画を蹴って主演した本作。これがまたなんとも地味なんだが、安易な続編企画に出演してイメージを固定するよりも、自分がやりたい題材を自分で選んで作り上げたってところに、ヴィンヴィンの生真面目さが如実に出た結果での地味さなのではと。微妙に説教臭いのも、たぶんヴィンヴィンの真面目さからでは。
“復讐に燃える捜査官”ってのが主人公だけに、ハードなバイオレンスアクションになりそうな雰囲気の本作。しかしながら、如何せん美味しい題材を台無しにしがちなF・ゲイリー・グレイ作品なので、表面的雰囲気以外はスッカスカ。腰が重いのか軽いのか分からないチグハグな演出も目に余る。ただまぁ、“元ワル”って役回りの似合うヴィン・ディーゼルの個性が役柄と舞台にガッチリハマってたこともあって、なんとなく魅力のある作品に思える場面も少なくない。

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そんな、作品の魅力を一手に担った感もあった『ワイルド・スピード MEGA MAX』のヴィン・ディーゼル。“酒瓶&タバコ&無精ヒゲ”でヤサグレ感を演出する安易さも凌駕する、“元ワルの捜査官&優しい愛妻家”って設定のハマり具合が見事。ツルンと剃り上げてないので、いつものムチムチ感が堪能できないってのは残念でしたが。
一方、本作を手に取る要因の一つだったのが、『アイ・アム・ナンバー4』のティモシー・オリファントの出演。鈍器のようなヴィンヴィンに対し、研ぎ澄まされたナイフのようなティモシー・オリファントがどんな絡みを見せるのか非常に楽しみだったんですけど、如何せん開花前ってこともあってか“チンピラのように見えて実は大物かと思いきや、やっぱりチンピラ”という残念な役回り。まぁでも、懐っこい笑顔のまま人を殺しちゃう凄味を見せる場面もあったので、途上中の彼を確認できただけでも嬉しかったかと。
その他、思いのほか歳がいってて驚いた『デュース・ビガロウ、激安ジゴロ!?』のジャクリーン・オブラドースや、『処刑人ソガの凄まじい人生』のファン・フェルナンデス、『クラッシュ』のラレンズ・テイトらも共演。

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望まれてる事とやりたい事は、得てして一致しない

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2012年04月29日

バトルシップ (Battleship)

監督 ピーター・バーグ 主演 テイラー・キッチュ
2012年 アメリカ映画 131分 アクション 採点★★

とりあえずロシアを悪役にしておけば事足りた冷戦時代とわけも変わり、最近のハリウッド映画は悪役探しに難儀しているようですねぇ。カラクリがミエミエだってこともあってか、胸を張って中東を悪役に出来ないようですし。そうなると宇宙人ってのは便利な存在ですよねぇ。いがみ合ってた者同士が手を結び理由にもなりますし、多少無碍な扱いをした所でクレームが来る心配もありませんしねぇ。便利便利。

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【ストーリー】
ハワイ沖にアメリカや日本など各国の海軍が集まり、大規模な合同演習が行われる。そこへ突如宇宙から巨大な物体が襲来。アメリカ海軍と海上自衛隊の3隻が偵察に向かうが、物体が発した強力なバリアに閉じ込められ彼らは孤立してしまう。そしてそのバリア内で、地球の命運を掛けた壮絶な戦いが繰り広げられるのであったが…。

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紙と筆記用具を用いて行う海戦パズルゲームを基にしたとは言うものの、ちょっとそれっぽいシーンこそあるが、どこをどうやればこういう映画になるのか若干不明なSFアクション。メガホンを握ったのは、『ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン』のピーター・バーグ。
各国の海軍が集まる合同演習海域に宇宙船が襲来!”。なんともまぁ燃え上がる設定。戦闘力も科学力も遥かに上回るであろう未知なる敵に対し、戦略と知力と根性を振り絞って対抗する地球連合軍の姿が描かれてるに違いない!「自衛隊が思いのほか活躍する」って噂も耳に入ってたので、囮役を買って出た自衛艦が敵の集中砲火を浴びながらも敵に背を向け全速力で進み、そこへ島の陰なんかに隠れていた砲台をこちらに向けた他国の戦艦が、囮に気を取られていた宇宙船のどてっ腹に集中砲撃。見事敵を撃破!最後は戦艦ミズーリの艦上で、戦死した仲間たちに向け険しい顔で敬礼をするセガールのアップで締め括る!もう、これは今年最高の作品に違いないと期待に胸をパンパンに膨らませ劇場へと向かったんですけど、そんな期待は何一つ叶えてくれない普通のアクション映画が目の前に。まぁ、私の期待した方向が間違ってただけなんですけど。

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ハイスピードバトルに走りがちな宇宙人との戦いを海戦形式で描いたってのは新鮮である上に、「トランスフォーマーの製作チームが作りました!」ってのも納得のド迫力SFXも見事。努力することを嫌い何一つ成し遂げてこなかった青年が、熾烈な戦いを通して成長するって物語も、定番ながら作品の質に合っているので感情移入もしやすい。普通のSFアクションを期待するのであれば、特に不満の出る事もない上々の出来。
ただ、この設定でこの内容ってのはどうかと。各国の軍隊が集まっているという状況設定はほぼ蔑ろにされ、登場人物に日常生活でははぐれ者だが戦場では頼りになる的な軍人臭がせず、派手なエフェクトで迫力は生み出されているが、これといって戦力的な描写がされていないので“撃った→外れた→撃たれた→当たった”と戦闘描写が非常に単調。とどのつまり、“戦争映画”になっていない。「いやいや、これはSFアクションだから」って声もあるんでしょうけど、「じゃぁ、この設定じゃなくてもいいじゃん」と。もしこの設定を“世界寿司職人コンクール会場に宇宙人”ってのに変えたら、やっぱり江戸っ子な寿司職人がマグロとかワサビとかを駆使して宇宙人を撃退するって内容を期待するじゃないですか。
そして何よりも、艦に対するこだわりや愛ってのが然程感じられないのが辛い。“海”に対してもそんな感じ。クライマックスに影の主人公とも言える退役した戦艦ミズーリと老兵達が戦いに向かうシーンを、マイケル・ベイ風アドレナリン自動上昇演出で描いているが、如何せんそれまでの積み重ねが皆無なので取って付けた感も強い。もうこの辺に関しては、優れたSF映画のみならず、優れた海戦映画でもあったスター・トレックシリーズを見習って欲しかったなぁと思った次第で。あっちは艦に対する愛情もハンパないですし。

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主人公のアレックスに扮したのは、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』『コベナント 幻魔降臨』のテイラー・キッチュ。下品にしたブランドン・リーみたいな風貌も役柄も好みじゃなかったってのが本作にイマイチ気持ちが入らなかった要因ではあるんですけど、YouTubeでも話題になったマヌケな空き巣を再現した序盤のシーンだけはハマってたなぁと。
そんな主演に対する不満を補ってくれたのが、「こっちの方を主役にして欲しかった!」とまでは強烈な存在感を示せなかったものの、基本出ずっぱりで意外と活躍してた『マイティ・ソー』の浅野忠信と、『ロシアン・ルーレット』のアレキサンダー・スカルスガルド。特にアレキサンダー・スカルスガルドが放っていた、凍てつくような色気は絶品だったなぁと。流石、ステラン・スカルスガルドの息子。
その他、お色気担当のエキストラかと思ったらメインキャストの一人だった、『ウソツキは結婚のはじまり』のブルックリン・デッカーや、本作で本格的な女優デビューを果たしたリアーナらも出演。若干浮ついたキャスティングを締めるためか、『アンノウン』のリーアム・ニーソンがデデーンと出演してますけど、劇中は文字通り蚊帳の外だったんで扱いは丹波哲郎的なアレだったかと。
それにしても、『世界侵略:ロサンゼルス決戦』とか『スカイライン-征服-』とか、最近詰めの甘い宇宙人ばっかり侵略しにやって来てますけど、本作の宇宙人も例に洩れず詰めが甘かったですねぇ。偵察隊とはいえ敵意のない者は攻撃しないって姿勢は紳士的なれど侵略者としては問題ありますし、人工衛星にぶつかったぐらいで大破する宇宙船ってのもどうかと。まぁ、やる気が実力に見合ってない人ってどこにでもいるんで、そういう意味では親近感の湧く宇宙人だったのかと。

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見かけ倒し

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posted by たお at 14:55 | Comment(6) | TrackBack(59) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月27日

ピザボーイ 史上最凶のご注文 (30:Minutes or Less)

監督 ルーベン・フライシャー 主演 ジェシー・アイゼンバーグ
2011年 ドイツ/カナダ/アメリカ映画 83分 コメディ 採点★★★

田舎に住んでいて不便だなぁと思うことは色々とありますけど、近所にピザ屋が一軒もないってのもその一つですねぇ。一番近いピザ屋がもし配達してくれるとしても、注文後到着が2時間後とかになりそうですし。こっちに戻って来る前までは、休日と言えばLサイズのピザにバケット一杯のフライドチキン、1.5リットルのコーラをテーブルに並べて、日長一日カウチに横になりながらDVDを観て過ごすってのが楽しみだったんですけど、もう何年もそんな休日を過ごしてないですねぇ。

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【ストーリー】
“宝くじで大金を手にした父親を殺そう→殺し屋を雇おう→殺し屋への報酬10万ドルを誰かに用意させよう→じゃぁピザ屋に!”ってな計画を思い付いたドウェインとトラヴィスに捕らえられ、時限爆弾を巻き付けられてしまったピザ配達人のニック。友人チェットの助けを借り、銀行強盗で10万ドルを手に入れたのだったが…。

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ゾンビランド』のルーベン・フライシャーによる、なかなか危険なネタを放り込んだブラック風味なコメディ。製作には『ミート・ザ・ペアレンツ3』のベン・スティラーの名も。
否応がなしに首輪爆弾事件を思い出させる“ピザ配達人に爆弾仕掛けて強盗させる”って言う物騒なネタを軸に、怠惰な生活を送っていた青年が自身の人生を見つめ直し成長する様を描いた一本。人生を変えるには、背中をこれだけ強烈に押してもらわないとダメだってことですかねぇ。そんな様を、細かい映画ネタの数々やコンビの掛け合いの妙で描いた本作。まともな思考回路を持つ人間が誰一人居ないが故に事態が歪んでいく展開も非常に面白く、どんな状況でもだらだらしたダメ人間が生み出す笑いも好みってのもあって、最後までケタケタ笑いながら過ごせた一本で。
ただまぁ、楽しかったのはその場その場のネタのみって感も。なんと言うか、“ダメ人間の成長を後押しする時限爆弾”って強引な仕掛けを、単発の笑いで誤魔化してるみたいな。ある意味爆弾の助けを借りる形で好きな人に想いを告白したり、ダラダラ続けていたバイトを辞めることが出来てるので“再出発”って物語が完成しかかるんですけど、結局強盗して丸儲けって所に着地しちゃうんでなんか台無し。王道な笑いとブラックの笑い両方手にしようとした欲張り具合が、全体的に浅くてシックリこない結果に繋がったのかなぁとも。

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主人公のピザ配達人に扮したのは『ゾンビランド』に続いてルーベン・フライシャーとのタッグになる、『ソーシャル・ネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグ。神経質そうでいながら覇気もない、そんな今時の若者役がハマる彼だけに、進んで行動はしないくせに愚痴だけは一人前の主人公にピッタリのキャスティング。具体的にどこがってのは自分でも分からないんですが、彼を見てると若い頃のダスティン・ホフマンを思い出したりも。
一方、友人のチェットに扮したのは、『40男のバージンロード』のアジズ・アンサリ。けたたましく喋る芸風は好みが分かれる所だとは思うんですが、私のツボにはハマってしまったこともあって、本作で面白かった部分はほとんど彼のパートだったりも。
また、彼らに強盗をさせるダメ人間コンビには、『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』のダニー・マクブライドと、『ウソツキは結婚のはじまり』のニック・スウォードソンが。『俺たちステップ・ブラザース -義兄弟-』でウィル・フェレルとジョン・C・ライリーが演じた義兄弟を更にダメにした感じが絶品だったので、このコンビで一本作ってもらいたいなぁと。
その他、『世界侵略:ロサンゼルス決戦』のマイケル・ペーニャや、『10日間で彼女の心をうばう方法』のフレッド・ウォードらが出演。なんだかんだと“我らがレモ”ことフレッド・ウォードの出演作を、コンスタンスに観れているってのが嬉しかったりも。

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とどのつまり“ピザ配達人<銀行強盗”ってこと?

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posted by たお at 11:30 | Comment(2) | TrackBack(15) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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