2015年02月06日

フライト・ゲーム (Non-Stop)

監督 ジャウマ・コレット=セラ 主演 リーアム・ニーソン
2014年 イギリス/フランス/アメリカ映画 106分 サスペンス 採点★★★

体育会系か文化系かと言われれば、圧倒的に文化系な私。それなのに「へぇ、映画なんか好きなんだぁ?意外!」と言われることしばしば。それどころか“怒ると怖そう”“大酒飲みそう”“車の運転荒らそう”と、なんかもう暴れん坊の扱い。身長すら10センチほど高く思われてますし。イメージってのは勝手なもんですねぇ。

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【ストーリー】
ニューヨーク発ロンドン行きの航空機に乗り込んだ、アルコール中毒でその言動がしばしば問題視される航空保安官のビル。そんなビルの携帯に、“指定口座に1億5000万ドルを振り込まなければ20分おきに機内の誰かを殺す”という脅迫メールが届く。犯人探しを始めるビルであったが、その口座が彼のものであることが判明し…。

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たぶんうっかりネタバレしますからね。言いましたからね。
アンノウン』『エスター』と、役者の見た目やイメージそのものをトリックに使う作品が多い気がするジャウマ・コレット=セラによる、飛行中の機内という密室で起こる殺人と、姿の見えない犯人との攻防を描いたサスペンスアクション。
この手の作品といえば、「犯人は誰?」「トリックは何?」って所にサスペンスの盛り上がりを持ってくるものだが、「この主人公怪しくない?」という主人公の信用性のなさにサスペンスの比重を持ってきた本作。役者のイメージ頼りって言えばそれまでだが、二面性を持つ役柄に定評のあるリーアム・ニーソンと、役柄的には問題ないのだが出てきた途端に作品そのものに信頼感がなくなるジュリアン・ムーアの組合せは、そういう意味で完璧。リーアムが「実はボクが犯人でしたー!テヘッ♪」とか言っても違和感ないですし、ジュリアン・ムーアに至っては、突然飛行機の屋根がバリバリーと破れて上空のUFOに乗客が「バビューン!」と吸い込まれる超展開することすら想定内。もう、この二人の組合せだからこその緊張感。
ただ、この二人の存在が大きすぎる故に、それ以外があまりに弱い。それこそ『殺人ゲームへの招待』みたいに全員が犯人になるバージョンがあってもおかしくないほど、真犯人の存在感は薄く誰とでも挿げ替え可能ですし、9.11に絡めた犯行そのものや主人公に対する動機も言い掛かり以外の何物でもない説得力のなさ。殺人のトリックも初っ端に主人公が大いにやらかさなければ成立しない、なんとも運任せなものばかり。演出が力強いだけに劇場ではその波に乗ってあまり気にもならないんでしょうけど、家でマッタリと観る分には粗が目立ちすぎの感は否めず。
ただまぁ、リーアム・ニーソンとジュリアン・ムーアだからこそっての面白さは十分に発揮されてましたし、そこが重要な作品でもあるんでしょうから、甘めの採点で。

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主人公のビル・マークスに扮した、『THE GREY 凍える太陽』『バトルシップ』のリーアム・ニーソン。善と悪の両面性を巧みに演じ分ける役者だけに、本作の中心人物としてまさにはまり役。というか、それありきの作品なのかと。その信用の出来なさ以上に、事件そのものが妄想なんじゃないのかとすら思える精神的不安定さを見事に表現。
一方、『ラブ・アゲイン』『シェルター』のジュリアン・ムーアも、いるだけで劇中何が起きてもおかしくない緊張感を醸し出す好演。いや、彼女自身が演じた役柄にも演じ方にも全く問題がないどころか、相変わらず惚れ惚れしてしまうほど巧みにチャーミングに演じきってるんですけど、如何せん作品選びが独特すぎるのでこの緊張感が生まれてしまうのかと。まぁ、それも含めて大好きな女優なんですけど。冷たい青を基調とした画面に映える赤毛も美しかったですし。
その他、中心にぎゅっと寄った顔立ちが印象深い『ハンナ』のミシェル・ドッカリーや、『モンスターズ/地球外生命体』のスクート・マクネイリー、『NEXT -ネクスト-』のジェイソン・バトラー・ハーナーに、『ボーン・レガシー』のコリー・ストールなど、怪しげな顔立ちのキャスティングが集結して緊迫感を高めてますけど、子役のクイン・マコールガンが真犯人であってもおかしくはない作品なので、然程強烈な印象は残せず。

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これくらい離さないとちょっと読めない

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posted by たお at 12:19 | Comment(10) | TrackBack(39) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月24日

ヒットマンズ・レクイエム (In Bruges)

監督 マーティン・マクドナー 主演 コリン・ファレル
2008年 イギリス/アメリカ映画 107分 コメディ 採点★★★

小学校に入るか入らないかの子供の頃、母親が作ってくれた出来立ての汁粉を鍋ごと引っくり返してしまった私。別にそれでこっぴどく叱られたわけでも、それ以外にもたくさん悪いことをしてきたのにも拘らず、「申し訳ないことしたなぁ…」ともう何十年も経ってるのに未だにふと思い出すことが。“罪”とまでは言わないんですけど、そういった罪悪感ってそうそう消え去ってはくれないもんなんですねぇ。

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【ストーリー】
ボスの指令によりベルギーのブルージュで潜伏することとなった、新米殺し屋のレイとベテランのケン。次の指令が下るまで観光を満喫するケンとそれに嫌々付き合うレイであったが、下った指令は非情なもので…。

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本作が長編デビューとなる、『セブン・サイコパス』のマーティン・マクドナーが脚本と監督を務めたクライムコメディ。「面白そうだなぁ」と思いつつも、「でもコリン・ファレル濃いしなぁ…」とかウダウダしている内にビデオ屋でDVDを見かけなくなり忘れていましたが、ひょんなことから手に入ったんで観てみた一本。
“贖罪”をテーマに描いた本作。殺し屋たちの姿を滑稽に描くと同時に、死と救いのイメージを濃密に漂わせていく物語にまず唸らされる。また、罪を背負った登場人物たちが迷い込む煉獄となる、ブルージュのクリスマスの厳かさも雰囲気抜群。状況こそ違えど、やり過ぎれば『ジェイコブズ・ラダー』になってしまうところを手前で留めたのも、この舞台があったからこそかと。この厳かさと直接的な死のビジュアルとの対比も強烈。
個人的にはサブキャラクターの天使と悪魔的立ち位置をもうちょい濃い目に出しても良かったかと思ったが、アメリカ人イジりの小ネタの数々や個性的なキャラクター達など十分楽しめた一本で。

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主人公のレイに扮したのは、『トータル・リコール』のコリン・ファレル。ちょっと濃すぎて正直好みの役者ではないんですけど、本作では特にそんな苦手さは感じず。それどころか、困り果てると8時20分になる眉毛がなんか可愛い。思ったことを顔にも口にも出す、役柄的にほとんど小学男子だったってのもその要因かと。殺し屋のくせに。
そんな小学生の引率というか保護者的立場にいたケン役に、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のブレンダン・グリーソンが。個人的に『28日後...』の父親役がドハマりだっただけに、責任感も包容力も優しさもある本作のような役柄が似合うなぁと。殺し屋のくせに
その他、冷酷さと間抜けさのバランスが見事だった『007 スカイフォール』のレイフ・ファインズや、油断するとマギー・ギレンホールになりそうなところを小動物的愛らしさでカバーするクレマンス・ポエジーなど、魅力的な顔ぶれが。

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アイスを食わせておけば概ね上機嫌

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2014年12月08日

ザ・ホスト 美しき侵略者 (The Host)

監督 アンドリュー・ニコル 主演 シアーシャ・ローナン
2013年 アメリカ/スイス映画 125分 SF 採点★★

「大きくなったらマーガレットやらニコラやらを読んだり、どこぞのアイドルなんかを追っかけて、お父さんなんかとは分かり合えなくなるんだろうなぁ…」と寂しく思ったりもした娘も、縦に横にすくすく育ち今では立派な中学生に。で、実際どうなったかといえば、コミックジーンとやらを愛読し、ウォークマンにはボーカロイドやら“〜歌ってみた”とやらがみっちみちに。これはこれで分かり合えないことに違いないが、なんか釈然とせず

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【ストーリー】
宇宙からやって来た知的生命体“ソウル”にほとんどの人類は寄生され、飢餓や犯罪はなくなり、秩序が保たれ礼儀正しい世界となった地球。数少ない人間たちは潜伏し反撃の機会を伺っていたが、劣勢を強いられていた。その中の一人の少女メラニーも抵抗敢え無く寄生されてしまうが、彼女の意思は消えず一つの体に魂が二つ存在することに…。

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“トワイライト”シリーズのステファニー・メイヤーによる原作を、『ロード・オブ・ウォー』のアンドリュー・ニコルが監督・脚本を務めて映画化したSFラブロマンス。原作者の名前に大きな不安を感じたが、『ガタカ』の監督だから大丈夫だろうとたかをくくった私が悪かった
無味無臭と化した世界と人間性の対比とか、人間の多面性や本音と建前的なものをえぐって描かれてるのかと思いきや、それっぽいのは冒頭のみで残りは「愛してるわー!」「愛してるよー!」「やっぱ愛っすね!」と“愛”の大バーゲン開催。感情表現は台詞で済ませ、人物像ってのもありそうで全くないペラッペラさ。
じゃぁ“一つの体に二つの魂”ってのが巧く活かされてるかというと、これがまた全然。特に人格的違いのない二つの心は「私はこの人が好きー!」「いやいや、私はこの人が好きー!」と恋愛事情を面倒臭くする為だけに機能し、それも結局「中身が大事ー!」「そうよ愛よ!」「愛っすね!」で解決する愛の大安売り。結局「私は一体何を観させられてるんだろ?」との疑問だけが頭を廻り続ける2時間ちょいに。隙さえあればキスしてるだけですし。
ただまぁ、いい歳したオッサンが少女マンガを読んで「つまらん!」と憤慨したり、アイドルのコンサートに行って「音楽とはなぁ…」とうんちくを垂れる行為の無意味さ同様、こればっかりは観た私が悪いとしか。そもそものマーケットが違うんでしょうし。

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主人公に扮したのは、『ラブリーボーン』『ハンナ』のシアーシャ・ローナン。ある種かつてのジェニファー・コネリー同様に撮り手を狂わせアレコレやらせたくなってしまう魔性の持ち主なのか、背景が現実離れすればする程映えるそのファンタジー顔がそうさせるのかは不明なんですが、今回も青天の荒野に一人立ち尽くしたり、額に惨い傷を付けながらも凛とした表情でカメラを見据えたりと、その彼女の持ち味を存分すぎるほど発揮。そんなシアーシャ・ローナンが観たいってのが本作を手に取った動機のほとんどなので、そういう意味では特に不満はなし。まぁ、画像を見てるだけでも事足りるんですけど。
その他、『アイ・アム・ナンバー4』のジェイク・アベルやら、ジェレミー・アイアンズの倅マックスやらといったトワイライト面した精子の薄そうな若手が出ているが、「なんか雑誌の表紙みたいだなぁ…」って以外は特に心に残らず。
ただ、『ラスト3デイズ 〜すべて彼女のために〜』『アンノウン』のダイアン・クルーガーや、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』『ロビン・フッド』のウィリアム・ハート、ただ居ただけだった感もある『告発のとき』のフランシス・フィッシャーら実力者勢が、その薄い若手と中身を補う好演を。特にウィリアム・ハートの深く優しい声がそのまま役柄となったかのような叔父役は印象的。
そう言えば、シアーシャの中からチンチクリンなのが出てきて驚いたエンジェル ウォーズ』のエミリー・ブラウニングや、『デビル』のボキーム・ウッドバインもちょろりと出てくるが、カメオ的な嬉しさは特になかったなぁと。

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女子高の学園祭の出し物を見せられてるが如く

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タグ:★★ SF
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2014年12月05日

バトルフロント (Homefront)

監督 ゲイリー・フレダー 主演 ジェイソン・ステイサム
2013年 アメリカ映画 100分 アクション 採点★★★

何やら「田舎で暮らしたい!」って人が少なからずいるようで。同じ顔ぶれがずーっと同じ場所に住んでいるから一旦形成された上下関係が半永久的に持続する環境下、新顔が自分より上か下かを最重要視するような住民らとパチスロや中学生的武勇伝の話題で盛り上がる濃密な人間関係や、買物はイオンかしまむら、外出先もイオン、外食はイオンか幸楽苑かそこらの居酒屋っていう、余計なことを考えなくても済む選択肢のなさなんかに憧れるんですかねぇ。「自然が豊か」って言っても、確かに山奥にでも行けばそういう場所もあるんでしょうが、人が住むような場所にある自然っていっても手入れされていない杉林か田んぼくらいですし、「子供がノビノビと」と言っても、どうせ部屋でゲームしてるだけですよ。

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【ストーリー】
麻薬潜入捜査官だったフィルは、ある事件をきっかけに現役を引退。一人娘のマディと2人で、亡き妻の故郷である田舎町で新たな人生をスタートさせる。そんなある日、マディが学校のいじめっ子と喧嘩をしてしまう。大した問題に思えなかったこの一件だが、そのいじめっ子が町を牛耳る麻薬密売人ゲイターの甥であったが為に、事態は思わぬ方向へと進み…。

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チャック・ローガンによる同名小説を、案外忘れられがちだが脚本家としても多くの作品を手がけている『リベンジ・マッチ』のシルヴェスター・スタローンが脚色と製作を務め、『サウンド・オブ・サイレンス』のゲイリー・フレダーがメガホンを握り映画化したアクション。
閉鎖的な町で新入りいびりに遭う主人公が家族を守るために単身立ち向かう、もうそれこそ西部劇の時代から描き続けられてきた王道のど真ん中を気持ちが良いほど突き進む本作。先の展開が手に取るように分かるが、それは別に悪いことではなく、お約束の連続だからこそ「ヨッ!待ってました!」となる楽しみが。それを楽しみたいから観るタイプの作品で。
唯一定番と違う点を挙げれば主人公がステイサムってのと、ステイサムだから端から強いってことくらい。負けるわけがない。そんなんだから耐えに耐えて爆発ってカタルシスには大いに欠けるが、そもそもそんなステイサムをこっちは観たいわけではない。やられたらすぐさま利子付きでやり返す、これもまたステイサムの定番を「ヨッ!待ってました!」楽しみたいが為に手に取ってるわけなんだから文句もない。

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これまでも“誰かを守る”って役柄が少なくなかった『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』のジェイソン・ステイサムですが、その対象が“愛娘”ってのが新鮮だった今回。思う存分暴れるのではなく、娘の存在が程よいブレーキになる良きパパという新たな一面を見れたのは収穫。今後更に幅が広がるであろうステイサム映画に期待。もちろん『アドレナリン』路線も忘れて欲しくはありませんが
また、南部の湿気をそのまま纏ってるかのような不快さが見事だった『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』のジェームズ・フランコや、『スター・トレック』のウィノナ・ライダー、出始めの頃の健康的な煌びやかさがどこか遠くへ行ってしまっていた『スーパーマン リターンズ』のケイト・ボスワースや、それまで何もしてこなかったくせに最後の最後だけは善人面する、ある意味劇中一番経ちの悪いキャラに扮した『カウボーイ&エイリアン』のクランシー・ブラウンら実力者が見事なまでにトラッシュ好演。
その他、「こんな先生が学校に居るんなら喜んでPTA総会に出るのに」と思わせたラシェル・ルフェーブルや、ステイサムの娘に扮したイザベラ・ヴィドヴィッチのどこか暗い眼差しも印象的で。

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和解したからと言っても友達付き合いしたいわけではない

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2013年04月30日

ホビット 思いがけない冒険 (The Hobbit: An Unexpected Journey)

監督 ピーター・ジャクソン 主演 イアン・マッケラン
2012年 アメリカ/ニュージーランド映画 169分 ファンタジー 採点★★★★

行った事もなければ見た事もない、もしくは見た事はあるけどちょっと何かが違う世界へ気軽に入り込めるってのが映画や小説の醍醐味の一つですよねぇ。物語の面白さ以上に、劇場を後にしてもしばらくはそこの住人ってほど入り込めるかどうかが、その作品のお気に入り具合を左右したりも。時にはその感覚と印象が自分の記憶の中に入り込んじゃってる場合もあるのか、ふとある情景を思い出し「あれぇ?何処だっけかなぁ?いつ行ったんだっけかなぁ?」としばらく頭を悩ませた後、それが大昔に読んだ小説の舞台だったことを思い出したりすることすら。

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【ストーリー】
旧知の魔法使いガンダルフとドワーフ13人と思いもしなかった冒険の旅に出る事となった、ホビットのビルボ・バギンズ。彼らの目的は、邪竜によって奪われたドワーフ王国を取り戻す事。オークに追われトロルに襲われる危険の連続の中、ビルボはゴラムという奇妙な人物と出会う。そして、ゴラムが大切にしていた指輪をひょんなことから手に入れてしまい…。

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“指輪物語”の前日譚ともなるJ・R・R・トールキンによる児童書“ホビットの冒険”を、“ロード・オブ・ザ・リング”シリーズのピーター・ジャクソンが再びメガホンを握って映像化したファンタジー・アドベンチャー。『ホビット スマウグの荒らし場』『ホビット ゆきて帰りし物語』へと続く三部作の第一弾。
“指輪物語”に比べれば気軽にサクっと楽しめる“ホビットの冒険”を、一本3時間の三部作にするってのに当初は正直不安を感じていた本作。原作に忠実に作ったはずがオリジナルの倍の尺になったキング・コング』ってのがあるだけに、思い入れだけが暴走した重々しい作品になってしまっていないかと。ただまぁ、結論から言えばそんなの杞憂に過ぎなかった、冒険に次ぐ冒険で繰り広げられるあっという間の3時間で。
オリジナルシリーズに感じた「こんな世界があったなんて!」って驚きこそないが、久しぶりにお気に入りの旅行地に戻ってきた“ただいま”感たっぷりの本作。暗雲が垂れこめる兆しこそあれど、程良く擬人化されたトロルらのお茶目っぷりにまだまだ平和だった頃の中つ国を感じさせ、それがまた“思い出の地”風情を漂わせてくれている。
指輪物語の影の主人公と言っても過言ではない悲劇のゴラムとの絡みもあり、今後の2作が非常に楽しみになった本作。まぁ、愛蔵版にするかどうかはその2作と、どうせ出るんであろうエクステンデッド版の出来次第ではありますけど。

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ガンダルフに扮しているのは、もちろん『X-MEN:ファイナル ディシジョン』のイアン・マッケラン。灰色の魔法使いとはいえ老化ばかりはどうする事も出来ないのか、『ロード・ロブ・ザ・リング』の60年前とは思えぬ老けっぷりではありましたが、胡散臭さと俗っぽさが色濃く残っていたガンダルフと当然の如く好演。ちょいと元気の無さを感じたのは、たぶん周囲にお好みが居られなかったからなのではと邪推。
一方のビルボに扮したのは、『ラブ・アクチュアリー』『銀河ヒッチハイク・ガイド』のってよりは、最近もっぱら“ワトソン”としてイメージ付いちゃってるマーティン・フリーマン。無邪気で陽気なホビットってよりは、神経質で人嫌いな“ちっちゃいイギリス人”って感じではありましたが、60年後にイアン・ホルムになるんだから当然の事かと。
またドワーフ勢には、単体だとちょっとドワーフには見えなかった『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』のリチャード・アーミティッジを筆頭に、メリー&ピピンのような一種の清涼剤的役割を果たしていたエイダン・ターナーとディーン・オゴーマンらも。
その他、「この人は本当にエルフと同じようにしか歳を取らないんじゃないのか?」と思えた『ハンナ』のケイト・ブランシェットや、ノスフェラトゥの如くやはり変わらない『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』のクリストファー・リー、『Vフォー・ヴェンデッタ』のヒューゴ・ウィーヴィング、ホビットそのものである『シン・シティ』のイライジャ・ウッドに、『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』のアンディー・サーキスら、オリジナルシリーズの面々が揃っているのも嬉しい一本で。

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「ただいま!」と同時に「いってらっしゃい!」

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2013年04月16日

フィラデルフィア・エクスペリメント (The Philadelphia Experiment)

監督 ポール・ジラー 主演 ニコラス・リー
2012年 カナダTV 89分 SF 採点★★

“「戦艦に高電圧をかけて消磁してレーダー上から見えなくしちゃおう!」という実験をアメリカ海軍が秘密裏に行ってた…”、ってな噂話が発端だと言われる“フィラデルフィア計画”。ただそれだけだとイマイチ面白くなかったのか、実験の影響で人が船にめり込んでたとか人体発火が起こった等の尾ひれが付き始め、やがて時空の割れ目を通ってタイムスリップしてキリストに会ったとか、火星の古代文明の怪物が繋がってしまったスターゲートを通ってやって来たなどなど、そもそもの話がなんだったのか分からなくなるほどの膨らみっぷり。与太話ここに極まれり

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【ストーリー】
1943年に行われた“フィラデルフィア計画”を基にした物体不可視化実験の結果、時空の割れ目からその当時の駆逐艦エルドリッジが現れる。で、なんだかんだと大変な目に…。

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そんな“キング・オブ・与太話”をTV映画化したSFパニック。メガホンを握ったのは、アルバトロスやプライムウェーブから出てるパニック映画のジャケットを見ると、結構高確率で名前が出てくるポール・ジラー。“ジョン・カーペンターが製作総指揮をした同名映画の完全リメイク!”とジャケットに書かれてますけど、モチーフが同じなだけの別物語なのでご注意を。
物語がどんどん『ファイナル・カウントダウン』に近づいてしまう、借り物競走でアイテムを間違ったまま自信満々にゴールするかの如きトンチンカンっぷりは目をつぶるとして、“70年前と同じ実験をしたら繋がってしまった時空”とか“タイムスリップ先で初めて出会う孫娘”など、アイディア自体はそんなに悪くはない本作。ただまぁ、それらを膨らませる工夫にも手腕にも乏し過ぎるのは痛恨の極み。とりあえず政府を悪役にしたいのは分かるが、事態を収拾する手段が“関係者全員の抹殺”ってのは頭が悪すぎ。ふつう機械が壊れたから修理技師を殺さないでしょうに。
まぁ、空いた時間枠を埋めるために作られたかのような作品なんでしょうから、空にバリバリーと稲光と共に裂け目ができ、そこに船が吸い込まれていく“ザ・プライムウェーブ”な見せ場を楽しみつつ暇をつぶすって意味では十分役割を果たす作品なのかと。“永遠のクライチェック”こと『マリオネット・ゲーム』のニコラス・リーや、84年版『フィラデルフィア・エクスペリメント』の頃と変わらぬハンサムっぷりと大根っぷりを披露するマイケル・パレ、B級映画の箔付け専門役者と化した『ハロウィン II』のマルコム・マクダウェルなど、キャスティングのほろ苦さも印象的でしたし。

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ある意味これもタイムスリップ

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タグ:★★ SF
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2013年02月11日

ハンガー・ゲーム (The Hunger Games)

監督 ゲイリー・ロス 主演 ジェニファー・ローレンス
2012年 アメリカ映画 142分 アクション 採点★★★★

王族や貴族が君臨していた封建社会と今の民主主義社会との違いを自分の生活レベルでざっくりと考えてみると、“自分の統治者を数少ない選択肢の中から選べる”“「あーチミチミ、今からちょっと殺すから」と戯れに殺されることがそうそうなくなった”“アホな位の年貢を納める必要が無くなった反面、「消費しろ!消費しろ!」と暗に強要されるようになった”“「夢を売るのが仕事です!」って人たちが夢の安売りをするようになった”くらいなもんですかねぇ。なんか、あんまり変わってない気も。

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【ストーリー】
強大な権力を誇る独裁者によって統治される国家パネム。その首都キャピトルに住む特権階級の人々は、12に分けられた貧民地区から搾取した物資で優雅な暮らしを送っている。独裁者は過去の反乱に対する罰と抑止を目的に、毎年各地区から12〜18歳の男女一組を選定し最後の一人になるまで殺し合いをさせる“ハンガー・ゲーム”を開催していた。そして今年。幼い妹の代わりに第12地区から出場することとなったカットニス。凄惨な殺し合いが続くゲーム中でも人間性を失わない彼女の姿に、虐げられていた大衆は僅かな期待を持ち始め…。

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同名ベストセラー小説を『カラー・オブ・ハート』のゲイリー・ロスが映像化した、全三部作の第一弾となる近未来アクション・ドラマ。『コンテイジョン』のスティーヴン・ソダーバーグが第二班監督として暴動シーンを撮ったってのもちょいと話題に。
自由と権利を謳いながらも、単に統治と搾取方法が巧みになっただけとも言える現代民主主義に対する警鐘も込めた本作。叶うはずもない甘い夢と刺激的な番組で大衆のガス抜きをし、富と権力が都市部の一部の人々に集中する現代社会を近未来独裁国家に置き換え描き出す。これだけであれば単に『バトルランナー』や『デス・レース2000年』で終わってしまうところなのだが(それはそれで好きですけど)、体型と髪型と親の財力が物を言うジョックスが君臨するプチ貴族社会的な学園生活の実態をしっかりと投影しているのが新鮮。愛する者と自分の身を守るために力ある者に擦り寄らなければならぬ様など、若者の複雑な心境も繊細に描き出せている。“近未来で若者が殺し合う”って設定自体は使い古されているが、そもそも社会設定やゲーム内容に目新しさを求める作品ではなく、その若者たちの置かれた状況と心の動きを描くべき作品だと思うので、そこのみならず周囲の大人の心の動きまでをも描けた本作は充分過ぎるほど合格点なのでは。
文章であればもっと伝えられたであろう片想い少年ピータの心境や、ゲーム展開に対する大衆の反応などがややゴチャゴチャしてしまった印象もあるが、次回作への繋ぎとは言え、一人が花火を打ち上げた位ではそうそう変わらないほど完成されてしまった社会の実態や将来に向けた不穏な空気、それでも消えないほんの僅かな希望を残す締め括りも非常に好みだった良作で。

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主人公のカットニスに扮したのは、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』でムッチムチのミスティークに扮したジェニファー・ローレンス。分かりやす過ぎる美人ではない分、能天気なジョックスとは正反対のカットニスにピッタリ。他人よりちょっとだけ早く成長してしまったかのような醒めた暗さってのも魅力的。
そのカットニスに片想い中のピータには、この後いろんな方向に転がりそうな卑屈さが仄かに香るジョシュ・ハッチャーソン、本命色男に『エクスペンダブルズ2』のリアム・ヘムズワースが。見た感じの適材適所なキャスティングで。
そんな若手衆を取り囲むベテラン勢も、素の反体制っぷりが隠れてない『ディフェンドー 闇の仕事人』のウディ・ハレルソンを筆頭に、好みの顔立ちが台無しになってた『崖っぷちの男』のエリザベス・バンクス、ジェニファー・ローレンスとは父娘ともに共演を果たしたこととなるレニー・クラヴィッツ、『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』のスタンリー・トゥッチに、『ゴーストライダー』のウェス・ベントリーらといった魅力的な顔ぶれが。
そしてやっぱり『メカニック』のドナルド・サザーランド。扱いに「やぁやぁ奥様!ご存知ドナルドですよ!」的な大物ゲスト感が拭えなかったものの、やや突拍子無い設定の突拍子無い役柄を演じさせたらドナルドに敵う者なし。期待通りのドナルドを観れたので大満足。

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まずは一矢を報いるところから

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2013年01月25日

ピラニア リターンズ (Piranha 3DD)

監督 ジョン・ギャラガー 主演 ダニエル・パナベイカー
2012年 アメリカ映画 83分 ホラー 採点★★★

オッパイが大好きなたおです。「年が明けてまだ程ないってのに何言ってんだ?」って気もしますが、好きなんだからしょうがなし。大きさ云々には特にこだわりはなく、とにかくそのものが好き。ただまぁ、バレーボールを入れてるみたいにまん丸い人造オッパイには全くそそられないんですよねぇ。どっちかと言えば萎える。「重力に逆らえない様が良いんじゃないか!」って私は思うんですけど、不自然オッパイの方々ってのはそんな男のエロ目線なんかじゃなく自分の満足の為にやってたりするんでしょうから、その不自然さこそが到達点なんでしょうねぇ。

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【ストーリー】
ビクトリア湖で発生した、古代ピラニアによる凄惨な事件から一年。遠く離れたクロス湖界隈で不可解な事件が続発。それは、ビクトリア湖とクロス湖が地底湖で繋がっていた為に古代ピラニアが来襲したが故であった。やがてピラニアの大群は、給水ポンプを伝って多くの来場者で賑わう巨大プール施設へとやって来て…。

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2D版での観賞。立体に関しては脳内変換で。
オッパイとチ○ポが盛大に飛び出す“正しい3D映画”であった『ピラニア』の続編。前作のアレクサンドル・アジャに代わり、『The FEAST/ザ・フィースト』のジョン・ギャラガーがメガホンを。
ピラニアによって水着姿の老若男女が血塗れになるってのをゴール地点にし、その合間合間にオッパイとチ○ポが飛び出る、基本構造は前作と何ら変わらない本作。じゃぁ別に観るまででもないかって言えば、そんなことはなし。エロとグロとバカさ加減は表向き一緒だが前作にあった突き抜けた明るさは姿を消し、どこか底意地の悪い暗さが見え隠れしている、再集結した“チーム・フィースト”らしい一本に仕上がっている。能天気さを期待すると肩透かしを食らうかも知れないが、ポジティブさとネガティブさが混在した味わいは本作特有の個性になっていたのではと。満面の笑顔で人を惨殺している殺人鬼を見ているかのような気味悪さと、その困惑した観客の顔を作り手が陰から覗き見して大爆笑しているような意地の悪さは嫌いじゃない。
映画内の常識を微妙に踏み外すのが上手い作り手だけに、「どうせ飛ぶんだろ?」と思ってたピラニアが全く逆の進化を遂げたり、首のもげた男の子がピクピク痙攣する様を延々と映し出したりと微妙に期待を外す意地の悪い作りも面白い。ただまぁ、こっちが期待している“オッパイ”に関してまで微妙に外されるたのには、「イヤイヤ、それは守ってよ!」と。これ見よがしに登場する人造オッパイが、結構薹の立ったお姉さまでしたし。何もそこまで意地悪しなくても

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ザ・ウォード/監禁病棟』『クレイジーズ』のダニエル・パナベイカーを筆頭に、『アドベンチャーランドへようこそ』のマット・ブッシュ、ちょっとクリスティン・テイラーっぽい『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』のカトリーナ・ボウデンら若手が物語の中心に立っているが、正直別に誰が出ていても然程変わらぬ印象が。
ただ、その反面前作同様ベテラン勢が元気良過ぎ。どうせなら“元サーファー”って肩書でも良かったかもしれない『プレデター2』のゲイリー・ビューシイと、監督の父親でもある『ヒドゥン』のクルー・ギャラガーがいきなり登場したかと思えば、前作から引き続き『わんぱくデニス』のクリストファー・ロイドと、『ソルジャーズ・アイランド』のヴィング・レイムスが登場し場を全てかっさらう活躍っぷり。確かに妙に豪華だった前作と比べれば顔ぶれは地味になった気もするが、『もしも昨日が選べたら』のデヴィッド・ハッセルホフがそれを補って余りあるインパクトを。本人役で“ベイウォッチ”ネタを披露してくれるのだが、その強烈さ故に観賞後はハッセルホフしか残らない存在感。ハッセルホフ好きには堪らない一本では。にしても、チャック・ノリスにしろハッセルホフにしろ、本人そのものがネタになる人って怖いものなしですねぇ。
そう言えば、“ピラニアの続編”っつったら『殺人魚フライングキラー』なんですが、その繋がりでランス・ヘンリクセンが出てたらいいなぁって淡い期待は叶わず。

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大好きなずんだ餡だと思ったらうぐいす餡だった時のガッカリ感

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posted by たお at 13:28 | Comment(0) | TrackBack(13) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月25日

バイオハザードV:リトリビューション (Resident Evil: Retribution)

監督 ポール・W・S・アンダーソン 主演 ミラ・ジョヴォヴィッチ
2012年 ドイツ/カナダ映画 96分 アクション 採点★★

あっちじゃアベンジャーズの面々が集結してみたり、こっちじゃウルトラ兄弟や歴代ライダーが勢揃いしたりと、なにやら昨今“大集結”ってのがブームのようで。まぁ、過去の遺産に頼るしかないほどのドン詰まりってのが真相なんでしょうけど、思い入れのあるキャラクターの活躍をまた観れるってのは嬉しいもので。ただまぁ、こちら側と作り手の思い入れに温度差があり過ぎると、ただ居るだけの扱いにガッカリさせられる危険性も高いんですが。

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【ストーリー】
アンブレラ社の実験施設内にある独房で目を覚ましたアリス。監禁され拷問されるアリスだったが、何者かの手助けによって独房からの脱出に成功する。やがてその手助けをした工作員エイダと行動を共にしたアリスは、海底深くにある施設からの脱出を試みるのだが…。

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前作『バイオハザード IV アフターライフ』の直後から始まる、“バイオハザード”シリーズ第5弾。監督と脚本は引き続きポール・W・S・アンダーソンが。
序盤に『ドーン・オブ・ザ・デッド』風の、ってかまんまの展開を見せ「お?ようやく本気を出したのかい?」と期待させるも、「お?」と思ったのはここだけで、あとは箱庭内での状況設定のみを頼りにした中身の伴わないアクションが延々と。『エイリアン2』のリプリーとニートの関係をアリスとそこらの子供に置き換えた、相変わらず“エイリアン病”を患ってるアンダーソンのようですが、換骨奪胎しきれない故の取って付けた感がハンパない、やっぱりいつものアンダーソン。ゲームで言うならアクションの難易度は高いが、シナリオがぺらっぺらなので達成感もへったくれもないアクションアドベンチャーをやってる感じ。クリア前に売るパターン
一作目『バイオハザード』の潜入チームが再登場したり、レオンやエイダといったゲームでお馴染のキャラが登場したりもするが、愛着も思い入れも特にないのか、ただ出てるだけって印象も。なんか、残念なコスプレを見させられてる気に。そこそこマニアックなのに、作品に心が入ってないいつものアンダーソン映画でしたよと。

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アリス役はもちろん『フェイセズ』『パーフェクト・ゲッタウェイ』のミラ・ジョヴォヴィッチ。ハマり役ですしアクションもキマる数少ない女優ではあるんですけど、そろそろ違う作品でも魅力を発揮してほしいなぁって気も。イメージやタイプの固定化を避け敢えて“アクションはバイオで”って決めてるのかも知れませんが、たぶん分かってる監督が撮れば更に魅力的なミラが誕生すると思うんですけどねぇ。
その他、最近復活ばっかしてる気もする『マチェーテ』『世界侵略:ロサンゼルス決戦』のミシェル・ロドリゲスや、元々のジルってどんな顔だったか思い出せなくなってきた『エラゴン 遺志を継ぐ者』のシエンナ・ギロリー、もったいない使い方にも程があった『リアル・スティール』のケヴィン・デュランドらもキャスティング。また、“残念なレオン”に『2012』のヨハン・アーブ、政治的発言以前に同じ“ビンビン”ならファン・ビンビンの方に出て欲しかった『ドラゴン・キングダム』のリー・ビンビンらがコスプレを。
内容的にもキャスティング的にも記憶に残らない本作でしたけど、過去作にも登場していた『デュース・ビガロウ、激安ジゴロ!?』のオデッド・フェールが一般人役をするとスゲェ怖いってのが分かったのがめっけものかと。あ、中島美嘉も出てましたけど、「そんなんでいいの?」と思いましたよ。

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やっぱりゲームは自分でコントロールしたい

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posted by たお at 10:53 | Comment(6) | TrackBack(31) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月20日

ハッピーニート おちこぼれ兄弟の小さな奇跡 (Jeff, Who Lives at Home)

監督 ジェイ・デュプラス/マーク・デュプラス 主演 ジェイソン・シーゲル
2011年 アメリカ映画 83分 コメディ 採点★★★★

小3になる長男が休日ずーっと家にいる。友達がいないわけでも身体を動かすのが嫌いなわけでもないのに、一歩も外に出ない。「○○にでも行ってみたら?誰かいるかも知れないよ」などいくつか提案してみても、全て却下で家滞在。「なんだい?早くも引き籠りかい?」と心配になりよくよく話を聞いてみると、「外で何したらいいのか分からない」「誰かいれば良いけど、いなかったらどうしよう…」など遊び方や余暇の過ごし方が分からないってのが原因のようで。うーん…こういうのはどう教えてあげたら良いんでしょうねぇ。

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【ストーリー】
30を過ぎても定職に就かず家でゴロゴロしているジェフは、日長一日人生の意味や“啓示”を考えていた。そんなある日、一つの間違い電話を何かしらの啓示であると感じたジェフは、間違われた名前“ケヴィン”を求めて外に出る。その道中、妻リンダとの関係がギクシャクしている兄のパットと出会い、兄と共にリンダの浮気調査を始めるのだが…。

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僕の大切な人と、そのクソガキ』のデュプラス兄弟による、ある一家のちょっと奇妙な一日を描いたコメディドラマ。製作には『ヤング≒アダルト』のジェイソン・ライトマンの名も。
宇宙人をバットで殴り殺す傑作SFサイン』に強烈な感銘を受け、“物事には全て意味がある”と堅く信じ人生の啓示を待ち続ける主人公ジェフを中心に、身勝手が過ぎて妻に三下り半を突き付けられた兄のパット、夫との死別後初めての恋の予感に心ならず浮かれる母シャロンらのちょいと痛々しい姿を、ドキュメンタリータッチの突き放し気味の視点で描いた本作。『僕の大切な人と、そのクソガキ』の時と同様、ポール・グリーングラスがコメディを撮ったみたいな不安定で緊張感ばかりが高まるその手法は正直好みではないのだが、何かを常に探し求めるジェフの心の目の動きや、基本屋外で展開される動きと変化のある展開との相性は良く、前回ほどの違和感は感じない。一家を冷たく見下していそうでいて、そのありのままの姿を温かく見守っている優しさが背後に込められているのも好印象。
ちょっとした奇跡を描いている作品ではあるが、それによる“変化”ではなく、“ありのままの今”を大切にする物語構成も良い。“今”を嘆くのではなく、“今”を受け入れ大切にし、ほんの少しの努力を惜しまずより良い“今”を過ごそうとする締め括りは非常に良い余韻を残している。映像作家としてのデュプラス兄弟は好みのタイプではないのだが、ストーリーテラーとしては非常に好きな部類で。

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ジェフに扮したのは、『ザ・マペッツ』『40男のバージンロード』のジェイソン・シーゲル。“心優しい怠惰な大男”ってのを演じさせたら右に出る者はいない彼だけに、社会との接し方に難を抱えるが独特の視点で世界を見つめるどこかフワっとしてジェフを見事に好演。脚本を手掛けてないだけにどんなジェイソン・シーゲルになってるのか気になってたのだが、蓋を開ければいつも以上にジェイソンそのものだったので安心。
一方、大まかに言えば“クズ”である兄パットに扮したのが、『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』のエド・ヘルムズ。振り回される側の役柄ばかり観てきたのだが、ザ・俗者の卑しさ全開の今回の役柄が意外に似合う。どこか別の次元に住んでるかのようなジェイソン・シーゲルとのコントラストも効果抜群。
その他、“ありのままの今”を受け入れる、ある意味本作の最重要キャラである母親役に『ラブリーボーン』のスーザン・サランドン、リンダ役に『ヴィレッジ』のジュディ・グリア、20年以上見ていないんだから仕方がないんですけど、なまじ当時の面影が濃厚なだけに老婆メイクをしているかのような姿に驚かされた『コマンドー』のレイ・ドーン・チョンらがキャスティング。スーザン・サランドンは全てのシーンに於いて素晴らしかったってのを念押しで。
因みに、良い作品にも関わらず公開を見送り、『ハッピー フィート』にあやかりたいのかなんなのか良く分からない邦題を付けてしまってる配給会社に関しては、もう愚痴る気にもならず

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一歩踏み出せば何かが始まる

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