2014年 イギリス/フランス/アメリカ映画 106分 サスペンス 採点★★★
体育会系か文化系かと言われれば、圧倒的に文化系な私。それなのに「へぇ、映画なんか好きなんだぁ?意外!」と言われることしばしば。それどころか“怒ると怖そう”“大酒飲みそう”“車の運転荒らそう”と、なんかもう暴れん坊の扱い。身長すら10センチほど高く思われてますし。イメージってのは勝手なもんですねぇ。

【ストーリー】
ニューヨーク発ロンドン行きの航空機に乗り込んだ、アルコール中毒でその言動がしばしば問題視される航空保安官のビル。そんなビルの携帯に、“指定口座に1億5000万ドルを振り込まなければ20分おきに機内の誰かを殺す”という脅迫メールが届く。犯人探しを始めるビルであったが、その口座が彼のものであることが判明し…。

たぶんうっかりネタバレしますからね。言いましたからね。
『アンノウン』『エスター』と、役者の見た目やイメージそのものをトリックに使う作品が多い気がするジャウマ・コレット=セラによる、飛行中の機内という密室で起こる殺人と、姿の見えない犯人との攻防を描いたサスペンスアクション。
この手の作品といえば、「犯人は誰?」「トリックは何?」って所にサスペンスの盛り上がりを持ってくるものだが、「この主人公怪しくない?」という主人公の信用性のなさにサスペンスの比重を持ってきた本作。役者のイメージ頼りって言えばそれまでだが、二面性を持つ役柄に定評のあるリーアム・ニーソンと、役柄的には問題ないのだが出てきた途端に作品そのものに信頼感がなくなるジュリアン・ムーアの組合せは、そういう意味で完璧。リーアムが「実はボクが犯人でしたー!テヘッ♪」とか言っても違和感ないですし、ジュリアン・ムーアに至っては、突然飛行機の屋根がバリバリーと破れて上空のUFOに乗客が「バビューン!」と吸い込まれる超展開することすら想定内。もう、この二人の組合せだからこその緊張感。
ただ、この二人の存在が大きすぎる故に、それ以外があまりに弱い。それこそ『殺人ゲームへの招待』みたいに全員が犯人になるバージョンがあってもおかしくないほど、真犯人の存在感は薄く誰とでも挿げ替え可能ですし、9.11に絡めた犯行そのものや主人公に対する動機も言い掛かり以外の何物でもない説得力のなさ。殺人のトリックも初っ端に主人公が大いにやらかさなければ成立しない、なんとも運任せなものばかり。演出が力強いだけに劇場ではその波に乗ってあまり気にもならないんでしょうけど、家でマッタリと観る分には粗が目立ちすぎの感は否めず。
ただまぁ、リーアム・ニーソンとジュリアン・ムーアだからこそっての面白さは十分に発揮されてましたし、そこが重要な作品でもあるんでしょうから、甘めの採点で。

主人公のビル・マークスに扮した、『THE GREY 凍える太陽』『バトルシップ』のリーアム・ニーソン。善と悪の両面性を巧みに演じ分ける役者だけに、本作の中心人物としてまさにはまり役。というか、それありきの作品なのかと。その信用の出来なさ以上に、事件そのものが妄想なんじゃないのかとすら思える精神的不安定さを見事に表現。
一方、『ラブ・アゲイン』『シェルター』のジュリアン・ムーアも、いるだけで劇中何が起きてもおかしくない緊張感を醸し出す好演。いや、彼女自身が演じた役柄にも演じ方にも全く問題がないどころか、相変わらず惚れ惚れしてしまうほど巧みにチャーミングに演じきってるんですけど、如何せん作品選びが独特すぎるのでこの緊張感が生まれてしまうのかと。まぁ、それも含めて大好きな女優なんですけど。冷たい青を基調とした画面に映える赤毛も美しかったですし。
その他、中心にぎゅっと寄った顔立ちが印象深い『ハンナ』のミシェル・ドッカリーや、『モンスターズ/地球外生命体』のスクート・マクネイリー、『NEXT -ネクスト-』のジェイソン・バトラー・ハーナーに、『ボーン・レガシー』のコリー・ストールなど、怪しげな顔立ちのキャスティングが集結して緊迫感を高めてますけど、子役のクイン・マコールガンが真犯人であってもおかしくはない作品なので、然程強烈な印象は残せず。

これくらい離さないとちょっと読めない
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