2013年 アメリカ/フランス映画 85分 サスペンス 採点★★
大雑把なイメージでしかないんですけど、欧米のというか一人の神様の影響下にある人々の倫理観って、“悪いことをしたら罰がある”ってのがベースにあるような感じが。もちろん日本人の倫理観にもそれが大きいんですけど、それ以上に“世間様の目”とか“恥”というのが根底にあるような気も。海外の暴動なんかを見ていて首をかしげちゃうのも、その辺の違いなのかなぁと。

【ストーリー】
一年のうち一晩だけ殺人を含む全ての犯罪が合法となる“パージ法”により、犯罪発生率も失業率も劇的に改善され平和が訪れた近未来のアメリカ。そんな中、セキュリティシステム会社のエリート販売員ジェームズは、堅牢なシステムに守られた自宅で家族とパージの夜を穏やかに過ごそうとしていた。しかし、長男が助けを求める見知らぬ男を自宅に招きいれてしまう。やがて、その男を標的としていた若者集団が現れ…。

『交渉人』や『アサルト13 要塞警察』など、なんか立て篭もる話ばっか書いてる気もするジェームズ・デモナコが監督/脚本を務めたサスペンスホラー。製作者にはマイケル・ベイの名も。
無さそうでよくある“殺人もOKな日”という設定を用いた本作。それでも、その一晩を過ごせば次の朝からはまた普通の日という特殊な状況が社会に与える影響や、その世界観なんかをしっかりと膨らませてれば面白い作品になるんでしょうけど、本作はその設定に頼りっきりの骨組しかない感じの一本に。最後の最後にようやく触れられてはいますが、ご近所付き合いの変化とか、犠牲者の遺族の存在、特権階級が君臨する疑似封建社会の様子などには基本的に触れず、風変わりな設定を持つ良くあるシチュエーションスリラーになってしまったのは惜しい。
また、パージを行う側にある種のそう快感とか疾走感があればそれなりに皮肉が効いてくると思うのだがそれはなく、かと言ってされる側や否定する側もイライラさせるだけの存在なので観ている方としては視点の置きようがなく困ってしまう一面も。色ボケして大事やらかす娘の彼氏など、登場人物が少ないのにやらかす結果が後半に意味を成していないキャラがいたりする、やはり膨らませの足りない物語が気になった一本で。

状況を考えると間違えたことは何一つしてないにもかかわらず、なんとなく気まずい空気を常時漂わせてしまう主人公に扮してたのは、『プリデスティネーション』『フッテージ』のイーサン・ホーク。笑顔に付きまとう厭らしさが、一見親しげでも心は通わしてない主人公には合ってたかと。
また、最後は決めてくれるがそれまではどっちつかずでイライラさせられた妻役に、『ジャッジ・ドレッド』『300 <スリーハンドレッド>』のレナ・ヘディが。美人ながらも根っこの強さが漂うだけに、イーサン・ホークとの組合せはちょいと合わなかった感じが。
特に印象に残る役者は少なかったものの、『セッション』のクリス・マルケイにちょいとカッコいい瞬間があったのは嬉しかった一本でも。

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