2011年02月05日

ナイト&デイ (Knight and Day)

監督 ジェームズ・マンゴールド 主演 トム・クルーズ
2010年 アメリカ映画 109分 アクション 採点★★★★

ハンサムって良いですよねぇ。何をやっても様になる。髪をかき上げる仕草にしたって、ハンサムがやれば「キャーッ!カッコ良いー!」ですけど、非ハンサムがやれば「なに?頭かゆいの?」ってなる。お腹に軽く手を当てうなだれるポーズも、ハンサムがやれば「悩み事でもあるのかしら?」ってなるのに、非ハンサムがやると「なに?下痢?」ってなってしまう。いいなぁ、ハンサム。

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【ストーリー】
空港でロイと名乗るハンサムと出会ったジェーン。機内で話も弾みロイに心惹かれるジェーンであったが、ちょっと席を外した間にロイは襲いかかる乗客と大乱闘。パイロットを含め全員殺してしまう。事態を知ったジェーンはパニックに陥るが、飛行機は辛うじて不時着。ロイはその場から姿をくらますが、その日以降ジェーンに危機が迫るとどこからともなく現れジェーンを救うロイ。このハンサムの正体は…?

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『3時10分、決断のとき』のジェームズ・マンゴールド監督による、ハンサムアクション。これ以降、“ハンサム”と“トム・クルーズ”ってキーワードが乱舞するが、それを除いちゃうと何にも書けなくなっちゃうのでご容赦を。
ハンサムスパイのハンサムぶりを心ゆくまで堪能できる本作。“ハンサムスパイ”の代名詞でもあるトム・クルーズのセルフパロディと言うかトム版『ラスト・アクション・ヒーロー』とも、『オースティン・パワーズ ゴールドメンバー』のオープニングを100分に伸ばした作品とも、トムちん破れかぶれの一本とも言えそうな作品ではあるが、実際のところハンサムであるだけで概ね無敵のハンサム無双状態や、白馬の騎士に代表されるハンサム幻想を笑い飛ばしながらも、最終的に正統派ハンサム道に着地するハンサムファンタジーなのではと。そういう意味でも、本作の主演はトムちん以外に考えられない、トムありきの作品。それ以外のハンサムがやっても、バカバカしくなるか嫌味になるだけなのではと。主演候補に挙がっていたクリス・タッカーやアダム・サンドラー、ジェラルド・バトラーが演じているのを想像してみても、やはりトムちんに軍配が。
ハンサムが最も輝くシチュエーション作りに余念がなかった本作。ストーリー展開上は必要だが、ハンサムが特に輝くわけでもない七面倒臭いだけの移動シーンや脱出シーンをバッサリカットし、ハンサム音楽の代表格であるタンゴをバックにハンサムシーンだけを撮り続けた姿勢も潔い。その絶対的ハンサム世界の中トムは、振り返っては「ニカ!」、飛び降りては「ニカッ!」、銃を撃っては「ニカーッ!」とハンサムスマイルを振りまきまくり。その屈託なさ過ぎる笑顔とキャラのせいで若干アホちゃんに見えること多々あるが、その辺も含めトムちんの魅力なので問題なし。肝心のストーリーに関しても、確かに決して褒められるような代物ではないが、こっちはそんな大層な物語を楽しみにしているのではなく、ハンサムなトムちんを観たいが為に本作を選んだんだから、その辺も全く問題なし。というか、トムちんがハンサムだったんで、文句もなし。

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主役のハンサムに扮するのはもちろん、『ミッション:インポッシブル』『ア・フュー・グッドメン』のトム・クルーズ。これまで、“ハンサム侍”や“ハンサム殺し屋”“ハンサムアイパッチ”と、ハンサムと職業の掛け合わせを数多く演じてきたトムちんだが、今回演じるのは“ザ・ハンサム”。一応スパイと設定付けはされているが、そんなものを超越したハンサムぶり。王道ハンサムとお笑いハンサムの両方を使いこなせる数少ないハンサム芸人なだけに、本作のように時折「この人はアホなんじゃないんだろうか?」と思わせる屈託のないキャラが似合う。鍛え上げられたおじいちゃんみたいな身体つきになってて若干ショックを覚えたが、服を着ている分にはまだまだ大丈夫。なので、もう服は脱がなくて結構です。
一方、ヒロインに扮するのは『運命のボタン』『チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル』のキャメロン・ディアス。「そろそろトムちんの一枚看板は厳しいなぁ」って映画会社の判断もあっての起用だとは思うのだが、役者のキャラ任せな作品だけに、これまた屈託のない明るさと若干のアホちゃんぶりがピタリとハマる好キャスティング。期待通りのキャメロンというか、リクエスト通りのキャメロンというか。正直、スタイルの良い熟女然としたビキニ姿やアップじゃなくても目立ち始めた皺に、「そろそろこういう役はキャサリン・ハイグルに譲った方が…」とよぎりもしたが、持ち前の明るさに上手く誤魔化され「やっぱり、こういうキャメロンはいいなぁ」と。
その他にも、“眠たいキーファー”こと『エスター』のピーター・サースガードや、『リトル・ミス・サンシャイン』のポール・ダノらが出演しているが、まぁトムちんとキャメロンの引き立て役に徹した感じが。もちろん、この手の作品では徹してもらわないと困るんですが。

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身長差にも細かい配慮が

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2011年01月11日

ニュースメーカーズ (Goryachie novosti)

監督 アンダシュ・バンケ 主演 アンドレイ・メルズリキン
2009年 ロシア/スウェーデン映画 103分 アクション 採点★★★

以前の職場が漁港の近くだったせいか、結構な頻度でロシア人御一行様が来店。一方的に思ってた陰気な乱暴者のイメージとは裏腹に結構陽気な輩ばかりで、どういうわけか気に入られてしまった私に「この酒飲めやぁ!」「この菓子食えやぁ!」と引っ切り無しに声を掛けてくる。もちろんロシア語なんてさっぱり分からない私に、腕の刺青やら家族の写真やらを見せながら嬉しそうに喋ってる。きっと楽しい話をしているんでしょうが、如何せんロシア語。にこやかに話しかけられていても、なんともコンコンと説教をされているような気分になっちゃうんですよねぇ。

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【ストーリー】
白昼の市街地で突如発生した、警察と強盗グループとの激しい銃撃戦。その事件が大々的に報道され、警察のイメージは悪化。その事態を憂慮した警察は、逆にメディアを利用し巨大アパートに立て篭もった犯人グループ襲撃作戦を生中継し、イメージアップを図ろうとするのだが…。

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ジョニー・トーの傑作アクション『ブレイキング・ニュース』を、モスクワを舞台にリメイクした犯罪アクション。監督は『フロストバイト』のアンダシュ・バンケ。
日本ブームの頃のロシアに舞台を移した以外は、驚くほどオリジナルに忠実な本作。ストーリーラインをトレースするだけではなく、アウトロー同士の絆や、緊張と緊張の間にポンと挟みこまれる抜けたユーモアなど、オリジナルの中核を担っていた面白味までも再現。当初は一犯罪者にしか過ぎなかった強盗団のリーダーが、徐々に男気度を上げていき堂々たる主役になっていく経緯や、いかにもラム・シュー的ダメ親父が登場したり、料理が絆を生み出すきっかけになったりと、料理が中華料理からロシア料理になった以外はほぼ同じ。忠実すぎるのもどうだろうと思いはしましたが。
単品作品として観ても、ロシア作品だからかあまり見慣れない銃器類による銃撃戦はかなりの迫力で、そのアクションの迫力と随所に挟まれたユーモラスな場面のバランスも良い。功を焦る女性警官と、いかなる状況下でも冷静に行動する犯罪者グループとの対比も上手く効いている。ただ、犯罪者同士の心の流れやキャラクター描写の掘り下げがされておらず、それがラストシーンに深い余韻を残さない要因となってしまっているのは残念。終盤のバタバタ具合も同様。あと一歩のところではあったものの、それ以外に関しては概ね満足できる出来。やるなぁ、ロシアアクション。

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ハリウッドに作られる前に、『ザ・ミッション 非情の掟』のリメイクを撮っちゃえば?

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2010年12月09日

ニューヨーク1997 (John Carpenter's Escape from New York)

監督 ジョン・カーペンター 主演 カート・ラッセル
1981年 アメリカ映画 99分 アクション 採点★★★★★

映画におけるニューヨークのイメージって、今では随分と変わっちゃいましたねぇ。私なんかは真っ先に、バット片手にペイント顔のギャングらが跋扈する『ウォリアーズ』の世界を思い浮かべちゃうんですが、やり口の好みは別にして、前の市長が徹底的に街の浄化をしたせいか、今ではすっかり“セレブの街”ってイメージが定着しちゃっているようで。そんなイメージのギャップのせいか、「サラ・ジェシカ・パーカー主演の『セックス・アンド・ザ・シティ』!」って言われてもさっぱりピンとこない。どんな映画なのかも想像できない。「パム・グリア主演の『セックス・アンド・ザ・シティ 』!」と言われれば、どんな映画なのか手に取るように想像できるし、観たくて観たくてしょうがなくなるのに

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【ストーリー】
1997年。爆発的な犯罪発生率の増加により島全体が巨大な監獄となったニューヨークのマンハッタン島に、過激派に乗っ取られた大統領専用機が墜落。大統領は囚人の頭領デュークに捕えられてしまう。大統領の生命を案じ大々的な救出作戦が出来ない警察は、元特殊部隊出身の伝説的な犯罪者スネーク・プリスキンを恩赦と引き換えに救出に向かわせるが…。

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男の子なら一度は通過しておきたい、『ゼイリブ』『遊星からの物体X』のジョン・カーペンターによる傑作SFアクション。
状況を説明するオープニングのハッタリからシビレまくる本作。“1997 NOW”のテロップの入るタイミングなんて、もう完璧すぎる。“街全体が監獄となった無政府状態の中に大統領専用機が墜落。救出に向かうのが筋金入りのアウトロー”ってプロットだけでも燃えるっていうのに、その燃える要素を全て的確に映像化しちゃってるんで、堪らない。最後までアウトローとして軸がぶれない主人公と、シャンデリア付きのピンプカーに乗るハイパーピンプと化した頭領らを筆頭とした個性溢れ過ぎるキャラクター達や、主人公の“スネーク”を始め“ロメロ”“クローネンバーグ”といかしたセンスを見せるネーミング、ジェームズ・キャメロンも参加していた想像力を刺激するマットペインティングやミニチュアワーク、体内爆弾によるタイムリミットが生み出すスリル、四角いジャングルで行われるデスマッチ、『クローバーフィールド/HAKAISHA』にも影響を与えたポスターデザインなどなど、どれもこれもが男の子心をいたく刺激し、まるで男の子魂を試すリトマス試験紙のような作品に仕上がっている。もう、反応しまくり。
ゾンビのように無言で襲いかかって来る暴徒の恐怖や、婦女子お断りのアウトロー美学、画面の手前か奥をサッと何かが横切るお馴染のアレなど、カーペンター作品独特のお楽しみも満載な本作。そしてもちろん、カーペンター作品でお馴染のお楽しみと言えば、自身の作曲によるカーペンター節溢れる音楽。「あのベンベンとこのベンベンの違いが分からない!」って不満もちらほら聞こえるカーペンター節ではありますが、本作のオープニングに流れるジワジワと盛り上がるベンベンは、数あるカーペンター節の中でも傑作の一曲。自分がプロレスラーだったら、是非とも入場曲に使用したい一曲で

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アイパッチというアイテム一つで本作の男の子度を一気に跳ね上げた主人公スネークに扮するのは、『デス・プルーフ in グラインドハウス』『ソルジャー』のカート・ラッセル。自らの命を掛けて救出した大統領が、本当にそれだけの価値ある男なのかを問うた答えに、ミエミエの落胆をするわけではなく黙って立ち去る男の中の男スネーク役に、トミー・リー・ジョーンズやチャールズ・ブロンソンを強く推すスタジオの意見を押しのけて、カーペンターが捻じ込んだカート・ラッセル。それまでの“ディズニー子役上がり”のイメージを見事に払拭するだけではなく、もうスネークにしか見えない素晴らしいハマりっぷり。
そんなカート・“スネーク”・ラッセルだけでも十分過ぎるほどカッコ良いのに、『黒いジャガー』の主題歌でも有名なアイザック・ヘイズに、マカロニウエスタン好きには堪らないリー・ヴァン・クリーフ、“イイ顔をした役者”で真っ先に思い付く『北国の帝王』のアーネスト・ボーグナイン、『ハロウィン』に続いての登板となるドナルド・プレザンス、『若き勇者たち』『沈黙の断崖』のハリー・ディーン・スタントンら、まさに男顔のキャストが集結。本作の骨太感を、強烈に印象付けている。紅一点が当時の嫁エイドリアン・バーボーってのも、その骨太感増強に。
一時期『ハロウィン』や『アサルト13 要塞警察』など、やたらとリメイクが続いたカーペンター作品。当然のように本作もリメイクが決定したようなんですが、きっとカーペンターならその予算でいつものカーペンター映画を5本は作ってくれるんだろうから、もうちょっと好きに映画を撮らせて欲しいなぁとも。まぁ、リメイクも面白ければ全く文句はないんですが、そのリメイクよりも、スネークがニュージャージーから抜け出せなくなるインディー映画、“Escape from New Jersey”の方に興味が。

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会う人会う人みんなに「死んだはずじゃ?」と言われて初めて一人前

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2010年12月03日

寝取られ男のラブ♂バカンス (Forgetting Sarah Marshall)

監督 ニコラス・ストーラー 主演 ジェイソン・シーゲル
2008年 アメリカ映画 111分 コメディ 採点★★★★

惚れるのも飽きるのもずば抜けて早いくせに、立ち直るのはとっても時間が掛かるたおです。グズグズです。明確に原因があってフラれてるんだからその問題を見つめればいいのに、「誰と?いつ?なにを?」と、今となってはどうでもいいことばかり気にしちゃうんですよねぇ。さっさと前へ進めばいいのに、「こっちは一人寂しく過ごしてんのに、今頃彼女は…」とグズグズ。男ってのは、常に下半身を中心に物事を考えちゃう傾向にありますよねぇ。困った困った。

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【ストーリー】
突然TV女優のサラにフラれたミュージシャンのピーター。その失恋から全く立ち直れない彼は、気分転換の為に一人ハワイへと向かう。しかし、そこで新しい恋人とバカンスに来ていたサラと鉢合わせ。ますます落ち込むピーターだったが、ホテルのフロント係の美女レイチェルといい関係になっていき…。

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自身の経験も織り交ぜながら書かれたジェイソン・シーゲルの脚本を、ジム・キャリー作品の脚本家としても知られるニコラス・ストーラーが監督をしたラブコメディ。製作はもちろんジャド・アパトー。最近まとめて再観賞しているアパトー関連の作品だが、本作もこれまた何度観ても面白い作品
失恋から立ち直れずグズグズになっている主人公が、そもそも失恋した男が一人で行くには最も向いていないハワイで、南国ホスピタリティーをあれこれ見舞われる様を描く本作。フラれ男のグズリっぷりは大いに笑えるのだが、その行動や心理はとても他人事とは思えぬ見事な捉えっぷりで、爆笑しながらもどこか記憶の奥の方をチクチク突き差す痛さも。フラれた男にとっては、振った彼女と新しい男が諸悪の根源でいてもらいたいと思いたがるものだが、本作ではその辺は冷静。双方に問題と原因があることをしっかりと描かれている。常識のベクトルが凡人とはだいぶ違う方向を向いちゃってるが、新しい彼氏はかなりの良い奴ですし。双方の問題をフラッシュバックで振り返りながら、徐々に新しい恋に向かって進んでいく経緯も上手い。
確かにネタが結構下半身の方向に向いてる部分もあるので、「下品ですわ!」の一言で済まされてしまう可能性もあるのだが、その下半身の部分も含め「案外そんなものだよねぇ」と大いに納得できるほど恋愛の一面を正面から描いている本作。主人公が新しい恋に心が向いている事を知るきっかけも、女性からすればバカバカしいと思われるかもしれない事だが、男の私からすると「あれだけやられてスタンバんなかったんだから、本物だ!」と大いに納得。そんなもんなんです。男って。

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ぶらんと全裸で始まり、ぶらんと全裸で終わる主人公に扮するのは、“アパトー・ギャングの脱ぎ担当”としても知られる『40男のバージンロード』のジェイソン・シーゲル。その絶妙に締まりのない身体から発せられるノンビリとした空気が、彼女の言うことは基本何でも聞く優しい男だが、反面肝心な事には気付かない鈍感さを持つ主人公にピッタリ。何をするにも、バネを思いっきり後ろに引かないと動かない様も然り。
悪気はないものの、自分の価値観を押し付けてしまう傾向にある元カノ役である『ファンボーイズ』のクリステン・ベルも、その幼く勝気な顔立ちが役柄にハマっているし、同じ勝気な顔立ちでも、ネコ系の奔放さを持つことでクリステン・ベルとは正反対の役柄を演じた『ザ・ウォーカー』のミラ・クニスもハマり役。冷静に考えると、主人公羨まし過ぎるほどモテる。
その他にも、扱い的には“友情出演”だが、その“友情”の部分に嘘偽りがない『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』のポール・ラッドや、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』のジョナ・ヒル、『アドベンチャーランドへようこそ』のビル・ヘイダーら、もうサークルみたいなお馴染の顔ぶれに、なんかお久しぶりのウィリアム・ボールドウィンと嬉しい顔ぶれが揃った本作だが、やはり凄まじく強烈な存在感を放っているのが、ロックスター役のラッセル・ブランド。“良い意味での気持ち悪さ”って意味が通じる言葉なのかいささか不明だが、そういう風にしか表現できない気持ち悪さ。でも、憎めない。でも、関わりたくはない。イイ奴だけど。そのラッセル・ブランドとジョナ・ヒルコンビで贈る、本作のスピンオフ“Get Him to the Greek”。まぁ、日本ではDVDが出てくれるだけでも御の字な感じの作品ではあるんですが、待ち遠しいですねぇ。

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火花散る品定め合戦

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2010年08月30日

ニア・ダーク/月夜の出来事 (Near Dark)

監督 キャスリン・ビグロー 主演 エイドリアン・パスダー
1987年 アメリカ映画 96分 ホラー 採点★★★★

人生も概ね折り返し地点を越え、「あと何回カブトムシを追っかけられるかなぁ」と残り回数が気になり始めた、たおです。あんだけうるさかった蝉はもう鳴いていませんが、相変わらず暑いですねぇ。で、『ハイランダー/悪魔の戦士』や『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』とか観ていていつも気になるのが、“永遠の命”ってやつ。まぁ、永遠ってのも大変そうですが、長生き出来るってのは魅力的。歳も取らないで。ただ、いつの時点から永遠の命を手に入れるかで、その先が大きく変わりそうな気も。永遠の年寄りってのも大変そうだけど、永遠の子供ってのも何か嫌だ。永遠の中年ってのも永遠に肩身が狭そうなので、やっぱり20代位ってのが一番良い感じ。となると、もう吸血鬼に出会うには遅過ぎちゃいましたねぇ、私。

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【ストーリー】
美少女メイと出会い恋に落ちたケイレブ。しかしメイは吸血鬼で、彼女に噛まれたケイレブも吸血鬼と化してしまう。人間でなくなったケイレブは、ジェシー率いる吸血鬼の一団に連れ去られ仲間入りを強要されるが、人を殺す事が出来ないケイレブは…。

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ヒッチャー』のエリック・レッド脚本による、西部劇風味のアクションホラー。『ハートブルー』『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグローの、初単独監督デビュー作。
十字架や蝙蝠など従来の吸血鬼に付き物であるゴシック風味を徹底的に排除し、荒野をバンで爆走するアウトローな吸血鬼の姿を、歯切れ良くスタイリッシュなアクション描写満載で描く本作。正直なところ、物語自体はいたって雑。肝心の吸血鬼の扱いにしても、献血でなんとかなっちゃう雑さだし、ロマンスに関しても結構いい加減。これら映画にとって重要な部分が非常に雑であるのにもかかわらず、本作が強い魅力を放っているのは、やはり吸血鬼一団の描写の素晴らしさに限る。
吸血鬼になってもいつまでもウジウジしている主人公の物語ではなく、『デビルズ・リジェクト〜マーダー・ライド・ショー2〜』同様にアウトロー一家の姿を描いた本作。主人公は、あくまで彼らの引き立て役でしかない。一般的なモラルからは大きくかけ離れているが、独自のルールとモラルに則って行動する彼ら。遺伝子的繋がりこそないが、己の役割を理解し仲間に全幅の信頼を置く彼らの姿は、下手な家族よりも家族らしい。何気に画面上ではならず者ばかりを殺している彼らの何事も躊躇しない潔さは、ダークヒーローとしての魅力を存分に輝かせており、その輝きが、作品全体の魅力となっている。
どこまで進んでいるのか分かりませんが、リメイクの話が出ている本作。うっかりロマンスの部分にばかりうつつを抜かしたりせず、しっかりとアウトローの魅力を描いてくれればいいんですが。

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順番的にはエイドリアン・パスダーがトップになっているが、本作の主役は間違いなく吸血鬼一家。
ジェームズ・キャメロンが口利きしたわけではないそうだが、『エイリアン2』からビショップとハドソンとヴァスクェスが揃って出演。撮影中の扮装のままドライブに出かけ、スピード違反で切符を切った警官に拳銃を握らせるほど尻込みさせた凄味を効かせる『ミレニアム』『ハード・ターゲット』のランス・ヘンリクセンにしろ、これでもかって程の悪童ぶりを見せる『フレイルティー/妄執』『マイティ・ジョー』のビル・パクストンにしろ、心の底で妻であり母である事を熱望する女吸血鬼の悲哀を演じたジャネット・ゴールドスタインにしろ、皆が皆見事なまでの適材適所。決して『エイリアン2』からの安易な移行ではなく、彼らにしか出来ないアンサンブルを見せてくれる。初見の時はランス・ヘンリクセンのカッコ良さばかりにやられてしまったが、観る回数を重ねる度に、ランス・ヘンリクセンのカッコ良さはそのままに、他のキャラクターの魅力が増してくる作品。『ランナウェイ/18才の標的』『ハードカバー/黒衣の使者』で10代の私をメロメロにしたジェニー・ライトも、この一団の中では若干浮いてしまっているが、そこはそこで何か良い。というか、この歳になっても相変わらずジェニー・ライトを見るとメロメロになるってことを、再発見。
因みに、「もう大人なんだ!」って言ってる割に、子供っぽい言動が目につく子供吸血鬼を演じたジョシュア・ミラー。本作と同じ年に製作された『ロストボーイ』で、成りかけ吸血鬼を演じたジェイソン・パトリックは異母兄弟だそうで。まぁ、ちょっとした偶然。

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まぁ、確かに他人の家の食事はなかなか口に合わない

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2010年07月17日

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀 (Night of the Living Dead)

監督 トム・サヴィーニ 主演 トニー・トッド
1990年 アメリカ映画 90分 ホラー 採点★★★★

ゾンビが走れば、そりゃぁ怖いに決まってる。というか、走って追っかけてこられれば、もうゾンビじゃなくても怖いですし。曲がり角からこちらへ向かって、二足歩行の赤ちゃんが一心不乱に走ってきたら、間違いなく一旦逃げます。やっぱりゾンビはウスノロで、そののろさに油断かましていると知らんうちに囲まれてしまっちゃうという、もう責任の所在が自分にしかない遣る瀬無さが怖いんですよねぇ。

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【ストーリー】
兄と共に母の墓参りにやって来たバーバラ。そこに突如現れた奇怪な人物に兄は襲われ、バーバラは命からがら一軒家に逃げ込む。ほどなくその家に逃げ込んできたベンの口から、恐ろしい真実が語られる。「死者が蘇って襲ってくる」と。やがてその家は、生ける屍たちに囲まれ…。

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モダンゾンビの誕生作でもある傑作『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』のリメイク。特殊メイクアップ界の鬼才トム・サヴィーニが初監督作を務め、オリジナル版の監督であるジョージ・A・ロメロが脚本と製作総指揮を務める。
“『死霊のえじき』や『悪魔のいけにえ2』で、凄まじいまでの人体破壊を繰り広げたトム・サヴィーニが初めて監督を務める!しかも、ゾンビ!”となれば、画面上のどっかで常に人体が壊れちゃってる作品になってるのではと想像してしまうが、本作には、そんな映画の流れや雰囲気をないがしろにしてまで出しゃばるゴア描写はない。というか、必要がない。必要がない物は撮らない、トム・サヴィーニの初監督とは思えぬ作品コントロール術が素晴らしい。
度々書いてしまってるが、ゾンビ映画の真の恐怖の対象はゾンビではなく、異常な状況下におかれた人間の行動が怖い。それを知り尽くしたロメロとトム・サヴィーニによる本作は、オリジナル同様シンプルに練り上げられた無駄のないストーリーを、丁寧に丁寧に撮り上げている。少人数であっても協力し合えない登場人物らが、パニックのあまり些細なことすら見落とし、その結果更なる混乱と困難を生み出していき、最終的に争い合ってしまう。そんな剥き出しとなった人間の本性とその変移を、無駄なく効果的な人物描写を基にスムーズかつ違和感なく描いた手腕も見事。ゾンビこそ出ていないが、それでも素晴らしい“ゾンビ映画”だったミスト』もそうなのだが、“この人はどんな人?”をさらりと分からせる無駄のない人物描写が出来ている映画ってのは、観ていて物語に没頭できて良いもので。

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オリジナルからいくつかの変更を施した本作。中でも大きく変更されたのが、エンディングとバーバラの人物像。
オリジナルではひたすら騒がしいだけだったバーバラも、時代の流れか、本作では誰よりも頼もしい強さを持つ女性に変貌を遂げる。それも決して闇雲な強さではなく、正気と狂気の間をふらつきながらも辛うじて踏ん張っている不安定さが、誰を頼りにして良いのか分からない本作にぴったりマッチしている。そんなフラフラとした変貌を、しっかりと演じきったパトリシア・トールマンは見事。さりげなく身体を張った演技も、さすがスタントウーマンとして活躍しているだけある。ショートカットに凛とした顔立ちなんて、モロ好みですし。『デビルズ・リジェクト〜マーダー・ライド・ショー2〜』のビル・モーズリイじゃなくても、「バ〜バラ〜」って追っかけたくなる
高貴な顔立ちを歪ませて常に涙目だっただけに、なにやら腹の底に鬱屈を溜めこんでいる感がヒシヒシと伝わった『キャンディマン』のトニー・トッド扮するベンと、明らかな言動には出さないが、南部の上流階級には未だ根強く残る人種差別意識がプンプンと臭い出している『デビルズ・リジェクト〜マーダー・ライド・ショー2〜』のトム・トウルズ演じるハリーが迎える結末も、オリジナルと大きく異なるが、伝えようとしている事は然程変わらない。と言うよりも、ベトナム戦争と人種問題が色濃く出ていたオリジナルから20年以上経ってもなお、さっぱり変わっていない人間をより冷徹に見つめているような気さえ。
俳優陣も素晴らしいが、もちろんゾンビも素晴らしい本作。なんと言っても、ゾンビが非常にゾンビらしい。やっぱり、死んだ時の様子が伺える、それぞれが個性とドラマを背負っているゾンビってのは良いですよねぇ。
にしても、若造役で出演していたウィリアム・バトラー。今では監督や脚本家として活躍しているようだが、本作のように素晴らしいゾンビ映画の現場を経験しておきながら、書いた脚本が『バタリアン4』と『バタリアン5』ってのは、如何なものか。もう一度勉強し直すように

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ゾンビに囲まれるより、人に囲まれる方が怖かったり

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2010年06月25日

ナイト ミュージアム2 (Night At The Museum: Battle Of The Smithsonian)

監督 ショーン・レヴィ 主演 ベン・スティラー
2009年 アメリカ映画 105分 コメディ 採点★★★

絵画や写真についてこれといって知識があるわけでも、特別な興味があるわけでもないんですが、見ている分にはそれなりに幸せな時間を過ごすことが出来る私です。とは言っても、その主題について「へー」だの「ほー」だの言っているわけじゃなく、写真であればその隅ーっこに写ってる家の窓から漏れる明かりなんかを見て、その中でどんな人がどんな会話をしてたり、日常を送ってたりしているんだろうなぁと、主題とは全く関係のない興味を膨らませているだけなんですが。どんなことに対しても、主題からずれてしまうんですねぇ、私ってば。

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【ストーリー】
ニューヨーク自然史博物館での大騒動から数年後、警備員だったラリーは発明品で成功をおさめ、今では会社の社長の座に就いていた。そんな中、ニューヨーク自然史博物館の改装によりワシントンのスミソニアン博物館に移送されたミニチュアカウボーイのジェデダイアから、ラリーに助けを求める電話が入る。急きょワシントンに飛んだラリーだが…。

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動いたら面白そうな物が動いているって時点で既に面白かったナイト ミュージアム』の続編。監督は前作に引き続き、『ピンクパンサー』のショーン・レヴィ。
模型や彫像のみならず、絵画まで動き出す本作。あまりにありとあらゆる物が動き出すので、『バタリアン』の半分犬みたいなのまで出てきちゃうんじゃないかとハラハラいたしましたが、さすがはファミリー映画。引く所はきっちりと引いております。そんな、画面中を動いちゃいけない連中が縦横無尽に動きまくっているせいで、ベン・スティラーすら「展示物のひとつなんじゃないのか?」とすら思えてきてしまう本作の見所は、やはり“何でも動きます!”って点と、動いたら動いたでなにかと面倒くさい相手に対し、全く動じず果敢に絡み続ける『ズーランダー』『スタスキー&ハッチ』のベン・スティラーが生み出す安定感ある面白さに尽きる。まぁ、その2点に集中し過ぎちゃったのか、せっかく動いても“動きっぱなし”であるキャラの多さや、“本当の幸せ”ってテーマがぼやけてしまっている点は、少々残念でしたが。
ニューヨーク自然史博物館、スミソニアン博物館と、動いたら面白い物がギューギューに詰まった場所を舞台にしてきたシリーズだが、パート3があるとすれば、今度はどの辺がいいでしょうねぇ。マダム・タッソー蝋人形館?

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“何が動くか?”以上に“誰が飛び出してくるのか?”ってのが楽しみな本シリーズ。『インソムニア』のロビン・ウィリアムズや、『ホット・ファズ』『80デイズ』のスティーヴ・クーガン、神経質な引きつき笑いが堪らない『エキストラ』『オー!マイ・ゴースト』のリッキー・ジャーヴェイスら続投組の出番が随分と減ってしまったのは残念だが、その分新規参入組が鬱陶しいくらい濃い。しかも、キャラが揃いも揃って面倒くさい
ミステリー・メン』でもベン・スティラーと共演済みであるハンク・アザリアの言い分の面倒くささに泡を食っていると、ナイジェル・タフネルが隣に立っていてビックリしたり、ジョナスブラザースが空飛んでたり、ちょっと油断すると『スーパーバッド 童貞ウォーズ』のジョナ・ヒルとビル・ヘイダーが飛び出してきたり、なんかクリント・ハワードが潜んでたりと、もう大変。そんな中でも、いちいち面倒くさいが、反面とても魅力的なアメリア・イヤハートに扮した『タラデガ・ナイト オーバルの狼』のエイミー・アダムスが印象的。まぁ、実際に近くにいたら、間違いなく苦手なタイプなんですが。
さて、お待ちかねのオーウェン。もちろん、みなさんもお待ちかねでしたよね?
前回の“出ずっぱりの特別出演”からレギュラーの格上げとなったオーウェンなんですが、鳥かごにしまわれたり、砂に埋まったりと元気がない。でも、可愛かったですよ。それが、なにか?

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やっぱり、これ1個欲しい

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posted by たお at 03:04 | Comment(8) | TrackBack(53) | 前にも観たアレ■な行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月16日

ノウイング (Knowing)

監督 アレックス・プロヤス 主演 ニコラス・ケイジ
2009年 アメリカ映画 122分 SF 採点★★★★

「ハイ、明日で世界が終わりです。さぁ、あなたならどうする?」なんて質問をたまに耳にしますが、どうするもこうするも。アワワアワワと一日中慌てふためいて終了です。

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【ストーリー】
MITの宇宙物理学者ジョンの息子が、50年前に埋められたタイムカプセルに入っていた手紙を手にした。数字の羅列しか書かれていない手紙であったが、ふとしたきっかけでその手紙に記された数字が、この50年間に起こった大惨事を予兆していたことを知り…。

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ネタバレしますよ。いいですね?
クロウ/飛翔伝説』『ダークシティ』のアレックス・プロヤスによる、世界の終末を描いた一本。
未だ根強い支持を持つ“神さま=人間より遥かに進んだ存在=宇宙人”説を屋台骨に、“偶然と必然”“選択”“家族愛”を描く本作。ネタだけを見れば、『フォーガットン』のようなトンデモない作品と同等の作品であるし、肝心の手紙が主人公をパニくらせる以外は、メッセージを受け取った選択される側にとって然程意味がない代物であったりする粗もあるのも事実。そもそも、“神=宇宙人”“宇宙人=全ての解決策”というのも、いささかリスキーである。しかしながら、その乱暴とも言えるネタにしっかりと正面を向き、そのネタに頼り切るのではなく、逃れられない運命を前にした主人公らがその運命を受け入れるまでの心情変化をじっくりと描いた功績は大きい。もちろん見せ場でもある災害描写の迫力も十分なのだが、その派手な見せ場を前面に打ち出すのではなく、あくまで人の物語を中心に据えたうえでのスパイスとして終始バランスを保った結果、最悪の状況下で最良の選択をする主人公らのみならず、画面には映らない一足先に逃れられない運命を知ってしまった海洋大気局の方々にまで、観終わった後しばらく思いをはせる作品となったといえる。

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2分先のことならオマカセ♪」の『NEXT -ネクスト-』やら、劇中の大半がツルッツルだった『ゴーストライダー』など、ここ最近もう“ニコラス映画”としか形容しがたい作品が続いているニコラス・ケイジ。ネタだけ見れば、今回もその地雷探知機ぶりを如何なく発揮しているのだが、本作ではのべつまくなし「アガガガガガーッ!」と騒いでいるわけでもなく、何というか丁度いい。頭が良さそうに見えるかどうかは別にしても、頭が良いから先に判っちゃって落ち込んでる感や、父親として苦渋の選択を下す苦悩はヒシヒシと伝わるのは、さすが。もちろんこのまま落ち着いたトーンを突き通したり、『バーディ』の頃のような一癖演技派に安易に戻るニコラスなわけはないので、次回作の『Kick-Ass』に期待。まさか、公開しないってことは…。
そんなニコラス・ケイジを筆頭に、皆が皆落ち着いちゃっている本作。『サンシャイン2057』でも太陽にしてやられてたローズ・バーンも印象的だったのだが、D・G・マロニーの“天使=宇宙人”のハマリっぷりがなかなか。まぁ、扱いが『ダークシティ』の黒ずくめ男とあんまり変わりませんでしたが。

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こうしかできない

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posted by たお at 02:51 | Comment(8) | TrackBack(69) | 前にも観たアレ■な行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月29日

28週後... (28 Weeks Later)

監督 フアン・カルロス・フレスナディージョ 主演 ロバート・カーライル
2007年 イギリス/スペイン映画 104分 ホラー 採点★★★★

先日TVで「金持ちなんて奴は、相当運が良いか、悪いことをやってる奴らなんだ!」と言ってましたが、やっぱり真面目やいい人なだけじゃ、世の中生き残れないんでしょうかねぇ?

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【ストーリー】
感染すると凶暴化し他の人間を襲い始める“レイジ・ウィルス”によって壊滅状態に陥ったイギリスも、米軍主導の復興作業により再建の兆しが見えてきた。そしてウィルス発生から28週後、海外に出ていて無事だった姉弟と災禍を生き延びた父親ドンが再会。しかし、死んだと思われていた母親が発見されたことから事態は急変。彼女は感染しながらも発症しない特殊なキャリアであったがために、再びウィルスが猛威を振るい始め…。

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懲りることなく繰り返される人間の暴力と殺戮の歴史を凝縮した“レイジ・ウィルス”によって壊滅状態に陥ったロンドンで、凶暴化した感染者から逃れながら生き延びようとする人々を描いた一本。
「ハロー」の叫びが廃墟となった市街地に虚しく響き渡るオープニングから、軍の拠点で鎖に繋がれた感染者まで、随所に『死霊のえじき』の影響が見られた前作『28日後...』は、走るゾンビ映画の先駆けとしてだけではなく、ゾンビ化した感染者のみが恐怖の対象となるのではなく、感染者は社会や世相を映し出す鑑として、そして主人公らを窮地に陥らせる為の障害物やタイムリミットとしても意味合いが大きい存在として描かれ、真の恐怖は極限状態に陥った人間の狂気に満ちた行動であることを描いた、まさに“正しいゾンビ映画”としてゾンビ映画復活ののろしを上げた重要な一本でもあった。もちろんここで言う“正しいゾンビ映画”とは、“ロメロ型ゾンビ映画”としての正しさですが。好例としては、自堕落な生活を送る主人公らと死者の境目が曖昧となる『ショーン・オブ・ザ・デッド』などが。
その前作では、不条理な状況と狂気に満ちた登場人物に翻弄されながらも、発症までの僅かな時間の内に娘への溢れんばかりの愛情を伝えようとする父親の姿や、他人同士ながらも擬似家族的関係を持つ主人公らの、人と人の繋がり、他者への愛情など、人間の持つ“善の部分”が作品に救いをもたらしていたのだが、その後の日々を描いた本作には、そんなものは全くない

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先の見えない面白さが、日焼け男が大暴れすることで台無しになってしまった『サンシャイン 2057』を撮るので忙しかったのか、前作で監督を務めたダニー・ボイルと脚本のアレックス・ガーランドは一線を退き、『10億分の1の男』で注目を浴びたフアン・カルロス・フレスナディージョが監督と脚本を務めた本作。そのフアン・カルロス・フレスナディージョが見つめる本作の世界は、『エラゴン 遺志を継ぐ者』のロバート・カーライル扮するドンが感染者に襲われる妻を見捨て一人逃げ去るオープニングを始めとして、善行や人間性に溢れる選択が全て最悪の結果を導き出し、善人から片っ端に死んでいく無情さに溢れている。人類を救う為に施されたはずの選択が結果的に更なる災害を巻き起こすだけという、遣る瀬無さだけが残る本作は、全力疾走のゾンビ共にちょっとしたスリルと興奮を味わいたい観客をゲンナリさせること請け合いであるが、世の終わりを描く上でこの選択は非常に正しい。

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その目は目としての役割を果たしておらず、そこからは何も読み取ることが出来ない。そして、その口からは意味ある音は発せられず、延々と地獄の扉から漏れ出す叫びのような音しか発さない。ゾンビにしろ感染者にしろ、姿形こそは人間に似ているが、如何なる感情も交わせず、説得も懇願も聞き入れられず、ただひたすら怒りや原始的な食欲を行動原理に迫ってくる、顔があっても顔が見えない所に恐怖を感じさせるもの。前作では主人公らを取り囲む恐怖の壁として存在した感染者であったが、本作においてはその役割は非常に小さなものとなっていると言える。あくまで恐怖を選出する上でのエキストラであり、パニックを誘発させる道具でしかない。ロバート・カーライルのパパゾンビにいたっては、まるで明確な意図があるかのように子供らを追い回し、意図と顔を持ってしまったが故に恐怖を半減させることにもなってしまっている。

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本作が前作同様感染者の恐怖をメインに据えているのであれば、ただのビックラカシでしかない本作の感染者の描き方は問題であるのだが、本作での最大の恐怖の対象は、感染者ではない。避難地域で突如発生し爆発的に広がる感染を食い止めたいものの、逃げ惑う群衆の中から感染者と非感染者を見分けられず地上にいるもの全てを掃射し、街中を劫火で焼き尽くし、とどめに生物兵器を放つ地獄絵図の様相を作り上げる軍隊が、本作最大の恐怖である。理不尽なだけであるのならばそこまで感じることのない恐怖であるが、全く人道に反しているがあまりに合理的なその所業に理解が出来てしまうからこそ、底知れない恐怖を感じてしまう。無機質で感情がなく、ただひたすら合理的な人間の顔が見えないその恐怖は、『カサンドラ・クロス』や『クレイジーズ』の防毒服の男に感じるものと通じるものがあり、それがパニック映画としての側面と非情さを強く打ち出すこととなっている。
前作ほどではないものの、スタイリッシュに散らした画像処理は鬱陶しく、やや場当たり的な展開がリズムを崩してしまっている感もあるが、先に挙げた避難地域の地獄絵図や、ヘリコプターのプロペラで感染者の集団を切り刻む『ブレインデッド』の芝刈り機ジェノサイドもかくやの素晴らしい描写も多く、21世紀型ゾンビ映画の傑作の一つとして満足度の高い作品となっている。

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仲間入りした方が楽なような気にすら

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posted by たお at 16:03 | Comment(2) | TrackBack(38) | 前にも観たアレ■な行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月14日

ネバー・サレンダー 肉弾凶器 (The Marine)

監督 ジョン・ボニート 主演 ジョン・シナ
2006年 アメリカ映画 92分 アクション 採点★★★

80年代に一世を風靡した筋肉映画。爆風に吹き飛ばされようが弾丸が雨のように降り注ごうが“筋肉がついているから”ヘッチャラな主人公が、どんな高度な乗物だろうが機械だろうが“筋肉がついているから”何でも使いこなし、絶世の美女や子供たちから“筋肉がついているから”喝采を浴びながら、悪党どもをビッタンビッタン筋肉フル活用で成敗する筋肉映画は些か女性陣には不人気ではありましたが、長い労働を終えた男どもがビールを片手にソファーで長くなって観るにはうってつけの映画でも。汗だくになって働いて心身ともに疲れきってる時に、テオ・アンゲロプロスとかの映画は観る気になりませんしねぇ。

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【ストーリー】
イラクでの作戦中、仲間を救い出すためにちょっとばかしやりすぎちゃった海兵隊員のジョンは、それが原因で海兵隊を除隊。一般人の生活にイマイチ馴染めないジョンは気晴らしに妻とドライブに出かけるが、立ち寄ったガソリンスタンドで逃走中の凶悪宝石強盗団に遭遇。妻を誘拐されてしまう。

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トップレスラーであるケインをメインに据えた筋肉ホラー『シー・ノー・イーヴル 肉鉤のいけにえ』でのツボをきちんと押さえた作りが好印象だったWWEフィルムが、今度はジョン・シナを主演に迎えたストレートな筋肉アクション。
独断での英雄的行動が原因で海兵隊を去らざるを得なくなるオープニングのホロ苦さこそは今日的ではあるが、あとはもうそんなことがあったなんてスッカリと忘れ去らせてくれる筋肉映画の基本に忠実な展開が目白押しの本作。思いのほかギャグが多く、その笑いとアクションのキレとのバランスがイマイチ上手く取れていないので緊張感が皆無のまま映画が進行してしまうが、ダラける前にとにかく何かしらかが大爆発をするので退屈せず。“筋肉さえ付いていれば大方大丈夫”というお約束事もシッカリと守られており、多少そこにオンブにダッコの感も強いが、とりあえずツボだけは押さえた作りになっている。
“筋肉ホラー”“筋肉アクション”と、WWEで培った演出法と顧客のニーズに対するノウハウが存分に活かされた作品を作り上げたWWEフィルムであるが、今後はそこだけに留まらず、奥手な筋肉が美女相手に四苦八苦する“筋肉ラブコメ”や、凶悪なエイリアンに筋肉が襲われる“筋肉SF”、寝たら死ぬ奇病を患った筋肉が主人公の“お涙筋肉”など、素材を生かして題材を台無しにする作品を手掛けて頂けたらと心の底から熱望。

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巨大な身体を持っているだけで、その人は映画の中で異様なまでの存在感を示すもの。そういった意味ではその巨体の見せ方に秀でたレスラーを大勢抱えるWWEは、まさに宝の宝庫。『シー・ノー・イーヴル 肉鉤のいけにえ』のケインも、道理は通じないがお母さんの言うことだけはシッカリと守りそうな愛嬌すら感じる風貌が魅力的だったが、今回のジョン・シナもなかなかのもの。ちょっとでも難しい話をしようものなら瞬く間に思考回路がどっか遠くへ旅立ってしまいそうな風貌ではあるが、人だけは良さそう。ドアを開けるのにイチイチ蹴破る不器用さも、まぁ人の良さってことで。
無論ひたすら真っ直ぐ走る筋肉マット・デイモンみたいなジョン・シナだけでは映画を一本もたせるには辛いが、その辺はドゲッツこと『ファイヤーウォール』『父親たちの星条旗』のロバート・パトリックが充分にカバー。あまりに飄々と楽しそうに演じているんで、悪役であることを忘れてしまう瞬間もありますが、そんな時用にターミネーターネタを用意してある周到さも嬉しい。持ち前の芸幅の広さで、作品をシッカリと締めてくれる良い仕事を今回も披露する彼。流石、ブルース・ウィリス、スタローン、シュワの“プラネット・ハリウッド三羽烏”に殺された唯一の男ですねぇ。

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何でこんな状況に陥ったかは、もちろん覚えていない

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posted by たお at 02:12 | Comment(6) | TrackBack(6) | 前にも観たアレ■な行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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