2016年06月21日

なんちゃって家族 (We're the Millers)

監督 ローソン・マーシャル・サーバー 主演 ジェイソン・サダイキス
2013年 アメリカ映画 118分 コメディ 採点★★★

いやぁ面白いですねぇ、“キャッスル/ミステリー作家のNY事件簿”。先にハマっていた女房が観ているのを傍らでツマミ観する程度だったんですけど、気が付いたら自分もガッツリとハマっちゃってましたねぇ。“誰が?”よりも“なぜ?”と“どうやって?”をミステリーの軸にしたドラマチックな展開ももとより、誰の目にも惹かれ合ってるのは明らかなのにくっつかない、「さっさとチューしちゃえよ!」と茶々入れたくなる主人公ふたりのじれったいラブコメ要素が面白い。この辺のじれったさを長きに渡って引っ張れるのは、“X-ファイル”にも深く絡んでいた製作総指揮のロブ・ボウマンの手腕なんでしょうねぇ。最近サブタレの更新が滞りっぱなしなのも、映画を観ないでキャッスルばっかり観てるからだったりも。

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【ストーリー】
いまだにマリファナの売人として生計を立ててる中年男のデヴィッドは、街の不良らにマリファナと売上金を奪われてしまう。元締めブラッドに上納する売上金を失ってしまったデヴィッドは、その穴埋めのためにメキシコからドラッグを密輸する仕事を請け負うことに。家族旅行を装えば怪しまれないと考えたデヴィッドは、同じアパートに住むストリッパーのローズ、気の良い童貞少年ケニー、ホームレス娘のケイシーを集め仲睦まじい一家に扮しメキシコへと向かったのだが…。

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麻薬密輸のためにメキシコへ向かった偽装家族の珍道中を描いた、『ドッジボール』のローソン・マーシャル・サーバーによるコメディ。大ヒットを受け続編製作のアナウンスはされてるようで。ちなみに、劇場版よりちょい長いエクステンデッド版で鑑賞。
ジェイソン・サダイキスとエド・ヘルムズが若干苦手なので敬遠していたんですが、観てみると評判通り楽しめた本作。家族というものから無縁のワケあり4人組が、偽装家族を演じていく中で家族の大切さや思いやりなんかに気づいていく安心印の物語を程よく下品で程よく荒っぽい笑いで包み込んだ一本。
犯罪者やストリッパーがメインにいるので笑いのタイプが下品で荒々しいんですけど、程よくエグ味を取り除いているので苦手な方でも楽しめる“ちょうど良さ”が特徴だった本作。その“ちょうど良さ”ゆえに強烈なインパクトや余韻に乏しい、来月の今頃はスッカリ忘れてしまってそうな一本ではあるんですけど、2時間弱をサクっと楽しむ分には不満もなし。家族の大切さに築くターニングポイントの置き方のさり気なさや、それぞれのキャラクターの問題解決の仕方など、展開の何気ない巧さってのも魅力でしたし。

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役柄がゲスいだけにハマってたけどやっぱり苦手なことには変わりなかった、『ホール・パス/帰ってきた夢の独身生活<1週間限定>』のジェイソン・サダイキスと『ハッピーニート おちこぼれ兄弟の小さな奇跡』のエド・ヘルムズはさて置き、『ウソツキは結婚のはじまり』のジェニファー・アニストンの奮闘っぷりには目を奪われた本作。ストリッパーという役柄なので「チ○ポ!」を連呼したりセクシーダンスを披露したりと本作の下ネタを一人で背負ってる半面、そこにエロさというか色気を全く感じられないというのはある意味致命的な感じもしましたが、隠しきれない鼻っ柱の強さが滲み出た肝っ玉母さんっぷりは見事なまでに似合ってたなぁと。また、“童貞・オブ・ジ・イヤー”を是非とも進呈したくなるほど見事な童貞っぷりを披露してくれた『リトル・ランボーズ』のウィル・ポールターや、『ヴィジット』のキャスリーン・ハーン、短い出番ながらも強烈な印象を残してくれた『ローグ アサシン』のルイス・ガスマンなど芸達者が揃ってたのも嬉しい一本。
でもやっぱり本作最大の見どころは、私が本作を手に取った唯一の理由でもある“キャッスル/ミステリー作家のNY事件簿”のモリー・クイン。キャッスルでは良い娘過ぎて現実味のないただの天使にしか見えなかったりもする彼女なんですけど、本作でもやっぱりただの天使。芸達者なキャストに圧倒されて棒立ちになってるようにしか見えない、役者としては随分とアレですけど自分の娘だったら全くもって文句のない良い娘っぷりを披露。まぁ見どころってほどでもないんですけど、なんか娘の学芸会を見に行ってる親の心境的なものに近かったのかと。

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本当の家族でも車に一時間閉じ込めておけばモメる

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2016年05月12日

ナイト・ビフォア 俺たちのメリーハングオーバー (The Night Before)

監督 ジョナサン・レヴィン 主演 ジョセフ・ゴードン=レヴィット
2015年 アメリカ映画 101分 コメディ 採点★★★

考えてみたら今現在、定期的に会う“友達”と言える存在がいない私。友達としてカウントしている人間には、もう何年も会ってないですし。たぶん、まだ生きてるはず。別に今が孤独ってわけじゃないですし、他者との接点を絶ってるわけじゃないんですが、“友達と遊ぶ”って行為が生活の中からすっぽりと消えちゃったなぁと。高校から大学を出る頃までをピークに、仕事で他県に行ったり結婚したり、子供が生まれたり育ったりしていく内に、ホントなんとなーく遊ばなくなっちゃったんですよねぇ。全力で遊びたいって気持ちは常にあるのに。

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【ストーリー】
両親を事故で亡くし孤独の身となったイーサンを悲しませないために、親友のアイザックとクリスはクリスマス・イヴを毎年3人で過ごしてきた。それから10数年。弁護士となったアイザックはもうすぐ父親に、クリスはアメフトのスター選手となった一方で、イーサンは未だ大人として自立しきれないでいた。そんな3人で過ごすクリスマスを今年で最後にする決意をした彼らは、最高の思い出を作ろうと伝説のパーティ会場を目指すのだが…。

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ジョナサン・レヴィンが脚本と監督を手掛けジョセフ・ゴードン=レヴィットとセス・ローゲンが主演する、『50/50 フィフティ・フィフティ』トリオが再度集結して贈るローラーコスター型クリスマスドタバタコメディ。セスの盟友エヴァン・ゴールドバーグがもちろん脚本と製作総指揮を。
大人になりきれないボンクラが騒動を通して自立と成長を果たす一方で、その変化により最高だった青春時代に別れを告げるセス映画でお馴染みのテーマを、『ホーム・アローン』や『ダイ・ハード』などのクリスマス映画遊びと、溢れんばかりのハッパ愛を込めて描いた本作。脚本を大枠に演者がアドリブで好き放題やっただけに、観ている側も一緒になって巻き込まれているかのような一体感や勢いが生まれているし、良く練られたパンチ力の高い笑いではなく程よい緩さが仲間内の身近さを味あわせてくれる。ただその一方で、最近のセス映画に顕著である“自分たちだけが楽しんでる”ってのも目立っていて、観ている側の気分次第ではただただ置いてけぼりになってしまう危険性も。
しかしながら、そんなハチャメチャな騒動を繰り広げながらも、父親になる潜在的な恐怖や、不釣り合いで見せかけだけの友人関係の不毛さ、居心地の良いぬるま湯状態から抜け出せない男の様など、描くべきものをしっかりと描き、それぞれの結末を最後にきちんと集結させてるのは流石だなぁと。
にしても、相も変わらず“俺たち”と最近目にするようになった“ハングオーバー”という、頭を捻った形跡の窺えない邦題が残念ですよねぇ。ただまぁ、映画のポスターなんかもそうなんですけど、情報過多にして一目でどんなものなのか分からないと興味を持とうとしない受け手の問題も大きいんだろうなぁとも。

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イーサンに扮したのは、ナイーヴをこじらせた男を演じさせたらピカイチである『ドン・ジョン』『ダークナイト ライジング』のジョセフ・ゴードン=レヴィットが。重大な局面からは逃げ続け、それが原因で振られた元カノに対して未練たらたらで、夢と理想は大きいけど特にそれに向かって頑張ってるわけでもないのに、自尊心だけは大きくてそれを守るために言い訳ばっか言ってる、まさに彼ならではの役柄。寂しそうな目と線の細い印象とは裏腹に、物言いは結構強めってのもぴったりだったなぁと。
一方のアイザックに扮したのが、『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』のセス・ローゲン。劇中のほとんどをクスリで飛んだままで過ごす役柄ながらも、ずうずうしく見えて案外気い使いしいだったり、どこか無理している感じを出す細やかさを。誰かの親友役ってのが本当に似合うなぁ。
また、クリス役には『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』『アントマン』のアンソニー・マッキーが。ちょっと意外な組み合わせって感じもしましたが、その“ちょっと違う”感じがまたスターになってちょっと変わったクリスって役柄に合ってた好キャスティングで。
その他、ジョセフ・ゴードン=レヴィットの相手役にはゾーイ・デシャネルっぽい子が似合うのか、『クローバーフィールド/HAKAISHA』のリジー・キャプランが元カノに扮し、『22ジャンプストリート』のジリアン・ベル、『憧れのウェディング・ベル』のミンディ・カリング、ハッパ神の使者役の『MUD マッド』のマイケル・シャノン、ナレーションも担当していた『ファンキーランド』のトレイシー・モーガン、マイリー・サイラスといった、気の合う仲間って感じの顔触れが集結。もちろん、セスの大親友である『バトルフロント』のジェームズ・フランコも本人役で登場し、嬉々としてチ○コネタを披露してましたよ

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変化は終わりではなく

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2016年04月16日

ナイトホークス (Nighthawks)

監督 ブルース・マルムース 主演 シルヴェスター・スタローン
1981年 アメリカ映画 99分 アクション 採点★★★

今年の3月に知らされたキース・エマーソンの突然過ぎる死は、プログレに然程詳しくない私ですら大いに驚かされたもので。ELPを熱心に聴いていたわけではないんですけど、本作やダリオ・アルジェントの『インフェルノ』、日本との関係性の深さを物語るひとつでもある『幻魔大戦』など、強い個性を放ちながらも映画そのものは決して破壊しないサントラの数々は、当時自分で作っていたサントラコンピのテープに必ず入れてたほど好きだったものです。今年はホントに出だしから悲しいニュースばかり

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【ストーリー】
欧州を中心に活動していた国際的テロリストのウルフガーが、整形を施しニューヨークへと渡ってくる。囮捜査で数々の手柄を立てていたニューヨーク市警のディークは、相棒のフォックスと共に対テロ特殊部隊に参加しウルフガーを追う。しかし、ウルフガーはロープウェイに大勢の人質と共に立て篭もり・・・。

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ウォリアーズ』のデヴィッド・シェイバーによる脚本を、『ハード・トゥ・キル』のブルース・マルムースがメガホンを握り映画化した、ヒゲ女装で始まりヒゲ女装で終わる衝撃のサスペンスアクション。
現在の小奇麗な姿しか知らない若い衆なら驚いてしまうかも知れないほど荒廃した犯罪都市ニューヨークを舞台に、冷酷非道の国際テロリストと二人の刑事の熾烈な戦いを描いた本作。本物のロープウェイや地下鉄を使用した大掛かりなアクションも見どころ。また、かつては戦場で殺戮マシン並の活躍をするも、現在は刑事として街の犯罪者を逮捕することを前提に働いている主人公が、そんな理屈の全く通用しない相手を前に自ら野獣とならねばならない葛藤も描かれているのが特徴かと。
ただ、スタローンによるヒゲ女装姿以外の個性に致命的に乏しいってのがなんとも惜しい本作。ルトガー・ハウアー本人の魅力もあってかウルフガーにはまだ輝きがあるものの、基本的に登場人物は自分の考えをベラベラ喋る割にどんな人なのかまでは分からず、結果主人公を始めキャラクターに魅力が生まれてるとは言い難し。
また、スタローンのエゴが爆発していた時期だってのもあってか、現場にやたらと口を出した揚句に自分を食いそうなルトガー・ハウアーの出番を削らせたそうで、そのせいもあってか起承転結のバランスや、2発しか撃ってないスタローンの弾丸がハウアーの身体に4つ穴を開けるみたいにシーン間の繋がりがすこぶる悪く、「なんかたるいなぁ」と思ってると唐突にクライマックスが訪れ、その緊張感を持続しないまま結末を迎えてしまうのも非常に惜しい。まぁ、その結末がヒゲ女装なんでインパクトだけは充分ですが。

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そんな女装ばっかしてるんならヒゲくらい剃った方がいいんじゃない?」って思っちゃう主人公に扮したのは、『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』のシルヴェスター・スタローン。『ロッキー』で一躍スターになるも、それ以外に当たり役がない焦りからか様々な役柄に挑戦していた迷走期ってのと、刑事役で成功してこそのアクションスターみたいな風潮ってのもあったのか、果敢に奇抜な個性のディークに挑戦しているが、正直なところ別にスタローンじゃなくても良い役柄だったかなぁと。まぁ、スタントを全て自分でこなした頑張りと、未だに語り草となる強烈な姿を見せてくれたって意味では、★ひとつプラスしていいほどのインパクトでしたが。
ただ、一方のウルフガーに扮した『ホーボー・ウィズ・ショットガン』のルトガー・ハウアーは、その冷たく妖しい魅力と言うか魔力を存分に発揮。本作がハリウッドデビューとなるのだが、この後『ブレードランナー』『ヒッチャー』にキャスティングされるのも納得の存在感と独特の色気が。
その他、年齢的にはスタローンより下なのに今見ると“前世代の女優”感が出ちゃって随分と年上に見えちゃうリンゼイ・ワグナーや、なんか最後に裏切りそうな感じが抜けきらない『ファンボーイズ』のビリー・ディー・ウィリアムズ、作品への箔付けとして今だったらブライアン・コックス辺りが演じそうなポジションだったナイジェル・ダヴェンポートや、見た目とは裏腹に面倒見が良いのか、なんだかんだとニューヨーク映画界の中心にいて初期のスタローンともよく絡んでいた『マニアック』のジョー・スピネルらもキャスティング。

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相反するポリシーのぶつかった結果

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2016年03月26日

NARC ナーク (Narc)

監督 ジョー・カーナハン 主演 ジェイソン・パトリック
2002年 アメリカ/カナダ映画 105分 サスペンス 採点★★★★

毎日どこかで必ず発生している殺人事件。相当センセーショナルな事件でもない限り、ざっくりとした事件の概要がニュースで伝えられるだけなんですけど、そういった事件に対して私たちが持つイメージって概ね“加害者が悪人で被害者が善人”ってものだったりしますよねぇ。もちろん犯罪を犯した人物はどんな理由があるとしても“悪人”に変わりはないんですけど、だからと言って犠牲者が“善人”であるとは限らないのではと。殺人に至らないケースでもこういうイメージを持ちがちで、時には“被害者は嘘をつかない”を前提に物事を決めつけたりも

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【ストーリー】
売人との銃撃戦で一般市民を巻き添えにしてしまい18ヵ月の停職処分となった麻薬潜入捜査官のテリスは、復職の条件として潜入捜査官カルベス殺人事件の捜査を命じられる。カルベスの元相棒で、粗暴なやり方で問題を起こしてばかりいるオーク警部補と共に捜査を始めるのだが・・・。

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長編2作目となる本作で注目を浴び『M:i:III』の監督に大抜擢されるも、方向性の違いやらなにやらでスタジオと衝突し降板して以降、なにかと浮き沈みの激しい監督って印象が強くなった『クレイジー・ドライブ』のジョー・カーナハンが監督と脚本を手掛けたクライムサスペンス。出演者のレイ・リオッタも製作者に名を連ね、本作に惚れ込んだトム・クルーズが製作総指揮を名乗り出た一本。
9.11以降ハリウッド映画がだいぶ内向きになっていたとは言え、まだまだ勧善懲悪を描く単純構造のヒーロー映画が求められていた時流に思いっきり反する、善と悪の境が紙一重でしかない刑事の姿をリアルで重厚に描き切った本作。物語展開はもちろんのこと、粗く冷え切った映像も70年代ニューシネマを彷彿させてくれるのも嬉しい。また、小手先に走りがちな若手が多い中、無駄のないカメラワークでどっしりと映像を収めながらも、要所要所で的確な映像的変化を与えることでダレ場を作らない手腕も見事。特に、荒々しく凄惨なオープニングシークエンスは、その後の映画の色を一発で決めさせた名シーンで。
タイプの異なる二人の刑事が未解決の警官殺し事件の真相を追うという、物語のベースとしては定番と言える本作ではあるが、真相が見えてくるにつれて観客が巧みにその定番の罠に嵌め込まれていく脚本がまず巧い。一人の女性を守りたい、守るためなら法なんてクソ食らえだという強い思いと、単純な善悪の物語ではないことが判明し、その後を主人公と観客の手に委ねられるラストが与えるインパクトと余韻は素晴らしいの一言。万人に愛される作品でも、今現在に至るまで表立って語られ続ける作品でもないのだが、21世紀を代表する刑事ドラマのひとつではないのだろうかと。

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主演こそテリスに扮した『ルーザーズ』『ロストボーイ』のジェイソン・パトリックだが、本作はやはり何といってもオークに扮した『デート&ナイト』『グッドフェローズ』のレイ・リオッタが素晴らしい。口ひげをたくわえ体重を増やしたことで、ブライアン・デネヒーに匹敵するほどの刑事っぽさを身に付けたレイ・リオッタ。その外見のみならず、犯罪者を追う役割ながらも単純な正義の味方なんかではなく、法を執行する側とされる側の違いでしかない善と悪の紙一重さ、狂気を孕みながらも独自のブレない正義感を持つ複雑な性格を内面から見事に表現。また、登場するだけで漂う独特な胡散臭さが物語のツイストを際立たせたりもする、レイ・リオッタなくしては作品が成り立たない圧倒的な存在感を誇示。もともと巧い役者ではあるが、本作でのパフォーマンスは彼のキャリアの中でもベストの一つに。
そんなレイ・リオッタに食われっぱなしのジェイソン・パトリックではあるんですが、その“食われっぱなし”ってのが役柄上重要なので、単に存在感の無い人ではなし。長年潜入捜査を続けた故に倫理観が揺らぎ始め、一般市民を犠牲にしたことで正義感までもが揺らぎ始めたテリス。善悪の間を漂うテリスだが、そこに彼を遥かに凌ぐオークが現れることでテリスは自分の立つべき場所を再確認する。そういった役柄である以上は一歩下がって然るべきであるし、そうすることで“刑事も人間である”ってのがより深く伝わる好キャスティング。
そんなタイプの異なる二人のバランスのとれた熱演のみならず、基本トロントでの撮影だがその寒々しさと、映し出されるのは僅かながらも舞台となるデトロイトの寂れっぷりやそこで暮らす人々の姿も作品の顔として強烈な印象を残していた一本で。

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法のみが善悪を定めてるわけではなく

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2016年02月12日

ナイトクローラー (Nightcrawler)

監督 ダン・ギルロイ 主演 ジェイク・ギレンホール
2014年 アメリカ映画 117分 ドラマ 採点★★★★

街行く人々のほぼほぼ全員がある種の撮影機器を持ってるようなもんなので、“一億総ジャーナリスト時代”とか“一億総パパラッチ時代”とか言われてたりしますねぇ。ただまぁ、別に発信した情報に責任を持ってるわけでも義憤なりの考えがあるわけでもなく、ただただ「スゴイでしょ!」と拡散して共感を得たいだけってのがほとんどなので、その称され方は当てはまらないような気が。なんと言うか、ただの野次馬なだけなのではと。

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【ストーリー】
ロサンゼルスで定職に付かず、コソ泥などでその日暮らしを続けるルイス・ブルーム。そんなある日、偶然出くわした事故現場でニュース映像専門のパパラッチ“ナイトクローラー”に出会った彼は、自身もナイトクローラーを生業にしようと決心。早速ビデオカメラを購入し夜の街に車を走らせるのだが…。

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ボーン・レガシー』の脚本を手掛けたダン・ギルロイが監督デビューを果たした悪党ドラマ。兄のトニー・ギルロイが製作を務め、双子のジョン・ギルロイが編集を手掛けたギルロイだらけの一本。
報道の自由やら伝える義務やらを笠に着て、プライバシーもモラルも無視し刺激的で過激な映像を撮り続けるナイトクローラーと、視聴率と自分の進退のためにその映像を高値で買い続けるTV局という、基本的にゲスな人種しか出てこない本作。その背後に居る刺激的な映像を求める一般視聴者の存在も同類。結局“野次馬代行人”でしかないメディアの現状と内幕を、美しい夜の映像とスピーディな展開で描き切った一本。
警察無線を傍受し、救急隊や警察より早く現場に到着して犠牲者を撮影する彼らの姿にはモラルの欠片もない。また、映像としての刺激性を高めるために死体を移動し、次なるニュース映像を得るために証拠映像を隠す様などは、モラル以前に犯罪でしかない。ただ不思議なことに、あくまで私個人の印象なのかもしれないが、そこに嫌悪感が然程感じられない。ゲスな商売なのは確かだが、ニーズに応えるプロの姿として清々しさと悪党ならではの暗い輝きを持って描かれているような感じすら。闇雲なメディア批判ではなく、人々の持つ暗い欲求と、それを生業とするダークヒーローの姿を正面から描いた作品という印象が。なんと言うか、「確かにオレはゲスだけど、その映像見て喜んでる君らはどうなの?」と突き付けてくる、清々しいまでの開き直りっぷりと現実を見つめる冷静で冷徹な視線みたいな。正直なところ、“死”をとことんボカし文字上の出来事としてしか伝えないメディアと、自分が不快に感じる物は一般論的な悪だと押し付ける視聴者、その一方で公人や著名人に対しては何をやってもいいという野次馬根性と私刑感情に溢れた日本のメディアとその周辺に比べれば、全然健康的だなぁと思えてしまう瞬間すら。

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そもそも、メディア批判ってよりも現代人の闇の方に注目した本作。「やだねぇ、怖いねぇ、でも自分じゃなくって良かったねぇ」と言いたいだけの野次馬視聴者はもちろんのこと、他者との深い関係性を築けず、知りたい知識のみをネットから得て、それだけで全てを知ったと勘違いするような人種。
そういう意味では、本作で製作も務めた『エンド・オブ・ウォッチ』のジェイク・ギレンホールのキャスティングは完璧。もともと空ろな眼をした覇気の無い現代っ子役がドハマリする役者だったが、そんな若者が他者との接触を持たないまま中年へと差し掛かってしまったかのようなルイスを、鬼気迫るなんて言葉が安易に思えるほどの熱演。これまた安易な例えで申し訳ないんですけど、まさに現代のトラヴィス・ビックル的な気持ち悪さとカッコよさが。
また、ダン・ギルロイの妻でもある『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』のレネ・ルッソの、虚勢と虚栄と過去の栄光にしがみ付いてる様を象徴するかのような怪物めいた厚化粧っぷりも、本作で描く闇を見事に表していたなぁと。
その他、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のビル・パクストンや、キューザック家の長女『ポイント・ブランク』のアン・キューザックらも印象的だった一本で。

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モラルはないが偽善でもない

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2015年10月09日

呪われたジェシカ (Let's Scare Jessica to Death)

監督 ジョン・ハンコック 主演 ゾーラ・ランパート
1971年 アメリカ映画 89分 ホラー 採点★★★

憧れの田舎生活を実現したは良いけど、地元民との軋轢やら不便さやらあれこれあって、結局都会に舞い戻るってケースが少なくないとか。尻の穴の皺の数まで知らないと気が済まないような濃密な人間関係や、文化的とは程遠い娯楽や会話にウンザリしてる身からすると「何を期待してわざわざ来るんだろ?」と不思議でしょうがないんですが、夢と希望は人それぞれなのでまぁいいかと。ただ、「田舎で暮らす!」って決断をする前に、せめて『脱出』と『わらの犬』を10回くらいは観ておいて欲しいなぁと。

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【ストーリー】
ニューヨークでの生活で神経を衰弱して入院してしまったジェシカは、退院後、夫とその友人と共にニューヨークから離れた田舎町へと引っ越すことに。新たな生活拠点である湖畔の別荘に無断で住み込んでいた謎の女エミリーも一緒の奇妙な共同生活を始めたジェシカだったが、ほどなく奇怪な出来事がジェシカを襲い始め…。

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囚人仲間と共にブロードウェイを目指すという、ニック・ノルティ主演の珍妙な映画『ウィーズ』がほんのり記憶の隅に残ってるジョン・ハンコックが、メガホンと別名での脚本を手掛けて作ったホラー。TVで何度か観た記憶はあるものの、はっきりとは覚えてないので“初めて観た”扱いで。
誕生して間もないモダンホラーや大ブレイク直前のオカルト映画の要素を持ちつつ、後のスラッシャー映画の風味も微かに漂うホラーの架け橋的一本。近い作品として一瞬『ローズマリーの赤ちゃん』が頭をよぎりますが、どっちかと言えば『テナント/恐怖を借りた男』の方が近い感じも。
最初の噂話がオチとなる、捻りも何もないストレートな物語ではあるんですけど、靄に包まれた景色や爺さんばかりの住人、精神的に不安定な主人公に「ビュワワワ〜ン」と鳴り響く不穏な旋律といった味付けが、劇中内の現実に程よい揺らぎを。「現実かどうかわからない」ってのは、主人公がしきりにそう言ってるからそう取れるだけだったりもするんですけど、常に微妙な半笑いで動き方も幾分アレなジェシカの挙動が、その言葉に絶妙な真実味を与えてたのも事実かなぁと。
やりようによっては『ゾンゲリア』や『シャッター アイランド』のような作品にもなりそうなところを、捻らず雰囲気で乗り切った本作。それが結果的に、観ている最中よりも鑑賞後の時間が経過するごとに印象だけが脳内で膨らみ、「なんか面白かった気がする!」って一本に仕上がったのかと。昨日観たばかりなので、今のところ私の中では“何か変な映画”で終わってますが、来年の今頃は“面白かった映画”に変わってる可能性大

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歓迎され過ぎるのもヤダ

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2015年04月09日

28日後... (28 Days Later...)

監督 ダニー・ボイル 主演 キリアン・マーフィ
2002年 イギリス映画 113分 ホラー 採点★★★★

子供の頃、両親に散々ねだって連れてってもらった『ゾンビ』。両親は観た事自体を後悔頻りだったようですが、いやぁ面白かったですねぇ。そして、怖かった。意味がさっぱり解らなくて怖かった。今でこそベースにマシスンの“地球最後の男”があり、更に遡れば吸血鬼があるってのを理解しているんですけど、当時は“惑星爆発の影響で〜”なんて説明が付いていようが、「死体が蘇るって何なの?怖い!」「噛まれたらゾンビになるって何なの?怖い!!」と、ショック描写の数々なんかよりもゾンビの存在そのものが理解不能で怖かったものでしたねぇ。最近じゃ、ウチの5歳児が気軽に「ゾンビゾンビ!」と口走るように、ゾンビも市民権を得て随分と認知されるようになりましたが、その反面あの頃のような理解できない怖さってのは味わえなくなったんでしょうねぇ。「パパ、またゾンビ観てんのぉ?」とウチでは日常会話化しちゃってますし

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【ストーリー】
ロンドン市内の病院で意識を取り戻したジム。しかし、院内は荒れ果て人の姿は全くなかった。状況を掴めぬまま街中へと向かったジムであったが、そこにも人の姿はなく、人を探す彼の叫び声も無常に木霊するのみであった。やがて古びた教会に辿り着いた彼が目にしたのは、床に積み重なった無数の死体と、その中で蠢く何者かの影で…。

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『ザ・ビーチ』『サンシャイン2057』のダニー・ボイル&アレックス・ガーランド組による、「どーせゾンビはウスノロだから、上手くやり過ごせば何とかなんじゃね?」という甘い考えを木っ端微塵にした“走るゾンビ”の先駆け的サバイバルホラー。厳密に言えば“ゾンビ”ではなく“感染者”だが、生きてるか死んでるか以外に違いはないので以下ゾンビに統一。入力も楽ですし。
ゾンビじゃなくても何かが全速力でこっちに向かってくれば十分過ぎるほど怖いのだが、それに頼りっきりではない本作。“走るゾンビ”は、あくまで更なる緊迫感と逃れようのない絶望感を生み出すために機能している。また、無人の街に響き渡る「ハロー!」の呼び声や軍宿舎内に飼われているゾンビなど、『死霊のえじき』の影響もそこかしこに見られるが、それをなぞってるだけでもなし。ゾンビそのものよりも、それによって生み出される社会の変化と恐怖にしっかりと的が絞られている。そもそもの発端となった“レイジウィルス”ってのが、血と暴力に彩られた人間の歴史の凝縮体というか、人間の暗部そのものであるというのも興味深い。
同じように、動物愛護の為なら法もそっちのけのエコテロリストが、救い出した猿に襲われた途端に躊躇なく猿を殺そうとする様に見える欺瞞性や、後半に登場する軍隊の、指揮系統の守られた集団がおかしな方向に進んでしまった時の恐怖など、社会の二面性や脆さを巧みに盛り込んだ舞台設定も面白い。

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そして何よりも、人間ドラマを描くのに重きを置いているってのが良い。
中でも、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のブレンダン・グリーソン扮するフランクと、この後映画に出ている気配がないのはもったいないミーガン・バーンズが扮したハンナとの父娘関係の描写は絶品。特に人間の負の面が全面に出ている中、フランクの優しくて前向きで、悲しさと苦しさを心の中に秘めながらも笑顔を忘れない、劇中で唯一の希望を感じさせる存在はどのキャラクターよりも大きい。自ら感染し、残り数秒しかない正気の間に可能な限りの愛を娘に伝えようとするシーンは何度観ても胸を締付けられるし、この作品を思い出す時は必ず一緒に思い出す名シーン。本作以降どの作品でブレンダン・グリーソンを見ても、必ずこれを思い出しますし。また、昏睡状態の息子の為に脱出ではなく自宅に留まる選択をし、その息子を想いながら自らの命を絶つ両親のシーンも、非常にさり気ないながらも胸を打つ名シーンで。
このブレンダン・グリーソンを前にすると、主演である『ダークナイト ライジング』のキリアン・マーフィの線の細さはそのまま存在感の薄さに繋がってしまう。ただ、元々ユアン・マクレガーやライアン・ゴズリングにオファーされてたことから分かるように、何も出来ない文明人が極限状態で野生に帰る、『脱出』や『サランドラ』のような側面も持つ物語であるので、この薄さは正しい選択で。
デジカメを使用したチャカチャカとしたダニー・ボイルらしい映像は、正直なところ好みの部類ではないのだが、それを補っても余りある深みと恐怖を味わえる名ゾンビ映画の一本で。

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同じ方向に一緒に走ってればバレないかも

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2013年02月06日

ネイビーシールズ (Act of Valor)

監督 マイク・マッコイ/スコット・ウォー 出演 シールズの皆様方
2012年 アメリカ映画 110分 アクション 採点★★★

非常にざっくりと言っちゃえば、“面白い映画”って要は“嘘の上手い”映画だと思うんですよねぇ。脚本、名演、特殊効果などなどの嘘を駆使して、たとえ科学的にも物理的にも間違っていようが劇中の世界では真実であると納得させるだけの嘘の上手さ。表向きには“真実”とされてるドキュメンタリーだって、作り手にとって都合の良い事実のみを切り出す嘘の上手さってのが必要でしょうし。

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【ストーリー】
麻薬王とテロリストとの関係を探るべくコスタリカに潜入していた女性CIAエージェントが、何者かに捕らわれてしまう。すぐさま精鋭揃いのシールズが奪還に向かい成功を収める。しかし、彼女の得た情報によりアメリカが大規模なテロ攻撃の危機に晒されている事を知り、シールズは再び過酷な作戦を開始するのだが…。

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“人間爆弾大量密入国”ってあり得なくもない危機に立ち向かうシールズの姿を、現役シールズに本物の兵器、戦闘機やら潜水艦やらあれもこれも本物で描き出したアクション。ドラマ部分のセリフ回しがいっぱいいっぱいだったり、誰が誰なのか把握し辛いって本物起因の難点もあるが、戦闘シーンに漂う並々ならない緊張感がその辺をチャラ。“誰が誰だか”って部分も、基本的にチームの物語なので概ねチャラ。
英雄として大々的に讃えられるわけでもないのに、仲間の為、国の為にその身を躊躇なく擲つ男たちの姿を描いた本作。その姿に私の男子魂は「ただただ凄いよ、キミらは」と感嘆しっ放しではあったが、その凄い男たちの物語として映画を完成させるには作り手の表現力不足が否めず。本物の料理人が絶品料理を作るも、映像からその美味しさが伝わらないみたいな。どちらかと言えば、スタントマン特有の本物志向のみが全面に出たH・B・ハリッキーみたいな作品、及びFPSゲームの映画化の範疇に収まったのが残念でも。

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生き様ってのを体現できる仕事

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2011年05月27日

ニュー・ガイ ハイスクール★ウォーズ (The New Guy)

監督 エド・デクター 主演 DJクオールズ
2002年 アメリカ映画 89分 コメディ 採点★★★★

如何せん6年間似たような顔ぶれがクラスに勢揃いしている中高一貫校出身なもんで、“高校デビュー”ってものに全く縁がなかった私。したところで、「どうしたの、今日?」って言われて終わりですし。でも、巷では結構やってるようですねぇ、高校デビュー。デビューをされた皆様、この時期はそろそろほころびが出てくる頃ですので、注意が必要ですよ。まぁ、笑い話のネタとしても良く出る“高校デビュー”や“夏休みデビュー”ですけど、自分の意思で自分を変えようとするその行動は、非常に前向き&建設的だと思いますけどねぇ。

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【ストーリー】
高校デビューを図るも見事に失敗してしまった冴えない高校生ディジー。辛い高校生活を覚悟していた彼は、ひょんなことで入ってしまった刑務所で知り合った囚人ルーサーの指南を得て、転校先の高校で華々しいデビューを果たす。女子にもモテモテで学校を代表する人気者となった彼だが、前の高校のいじめっ子が彼の正体に気付いてしまい…。

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高校デビューの大変さを描く学園コメディ。ディズニー絡みの作品の脚本も多いエド・デクターの、今のところ唯一の監督作。
自分を偽って人気者になろうとする主人公が、なんだかんだあった結果本当の幸せに気付いたり気付かなかったりする、まぁ良くある物語の本作。主人公の影響で、荒れ放題だった高校が劇的に変化をしたり、冴えない子にとっては地獄絵図の高校生活など、描かれる内容も定番中の定番である。ただ、その定番ならではの面白さに溢れた作品でもある。随所に設置された笑いが功を奏しているのも、物語の土台が定番だからこその強固さを誇るからなのではと。
もちろん、ベタでありきたりで無個性な作品なんかではない本作。DJクオールズが主演って時点で、もう充分個性的ですし。そのDJクオールズのビジュアルインパクトだけでも十分だっていうのに、隙を見せればエディ・グリフィンが強烈なネタを捻じ込んでくるし、その二人の強烈さから目を逸らそうとすれば、エリザ・ドゥシュクが水着ショーを始めちゃうので目が全く離せない盛り沢山っぷりも嬉しい。90分もないコンパクトな作品だというのに、意外な顔ぶれが大挙して出演してるってもの注目で。

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主人公に扮するのは、『ロード・トリップ』『ザ・コア』のDJクオールズ。その残念な猛禽類のような顔立ちと、枯れ木のような体型を存分に活かした好キャスティング。ワルに変身して一瞬カッコ良くなったような気にもなるが、良く見るまでもなくいつものDJクオールズであるというブレない個性も見事。
そのDJクオールズだけでも十分なのに、実のところ自分もデビューしたてである指南役として、出てるシーンの全てが面白いデュース・ビガロウ、激安ジゴロ!?』のエディ・グリフィンや、可愛い絶頂期にいた『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』のエリザ・ドゥシュク、腋毛ボーボーで登場する『(500)日のサマー』のゾーイ・デシャネルに、かつてジュリア・ロバーツとの電撃婚で世界中を驚愕させたライル・ラヴェットらという、満腹覚悟の顔ぶれが出演。
ただ本作は、満腹になるだけでは許してくれない。突然『ウォンテッド』のジーン・シモンズが出てきたかと思えば、モトリー・クルーのトミー・リー、もうクールじゃなくなったヴァニラ・アイス、『クライモリ デッド・エンド』のヘンリー・ロリンズ、好きな人の間では有名なトニー・ホークと映画畑以外からの意外な顔ぶれのみならず、『ダーティファイター』のジェフリー・ルイス、ジェリーとチャーリーのオコンネル兄弟、トドメに『もしも昨日が選べたら』のデヴィッド・ハッセルホフといった顔ぶれが矢継ぎ早に登場し、ごちそうさまをさせてくれないエンドレスなサービスっぷりが凄い。凄過ぎてリバースしそう。

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何もしないよりは全然イイ

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2011年02月20日

NEXT -ネクスト- (Next)

監督 リー・タマホリ 主演 ニコラス・ケイジ
2007年 アメリカ映画 95分 SF 採点★★★★

カツ丼が食いたかったはずなのにメニューの写真にそそられ天丼を頼んでしまったり、ビアンカじゃなくフローラを嫁にしちゃったりと、どうにもウッカリとした選択をしがちな私。それでも後悔さえしなければ問題ないんですが、その辺はしっかりと後悔する。ミチビキエンゼルがあったら良いのになぁ。

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【ストーリー】
ラスベガスのマジシャンであるクリス・ジョンソンは、2分先の未来が見える能力を持っていた。その能力に目を付けたFBIは、テロリストによって仕掛けられた核爆弾の捜索協力を依頼するが、自分に関わる未来しか見えないクリスはその依頼を断る。そんな折、かねてから自分の未来以外で唯一見る事ができた美女と出会い、やがて惹かれ合うのだったが…。

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フィリップ・K・ディックの“ゴールデン・マン”を『トリプルX ネクスト・レベル』のリー・タマホリが映像化した、SFアクション。主演のニコラス・ケイジが製作にも携わっている。
“2分間”という、役に立たなそうでギリギリなんとかなる時間設定が絶妙な本作。身の回りの事に利用するなら充分役立つ能力ながらも、大規模な事件相手には使い物になりそうにない所を、巧みにやりくりしながら事件解決に邁進する様はかなり面白い。なんと言うか、カリスマ主婦の収納術を見ているような感じ。多分、ちょっと違う
未来は決まっているものではなく、選択によって変化するものであるという設定の本作。様々な選択によって変化する2分後を、ストレート過ぎるにもほどがある映像表現で見せる本作だが、基本的にワンパクな作品であるのでそのストレートさはピッタリ。テロリストの正体や、首謀者が主人公を恐れる理由、FBIが主人公の能力を知った理由など、本来映画にとっては重要な情報が全く描かれていないが、主人公が知らない情報は観客も知る必要がなく、そこがビックリする結末にも繋がっているので、ワンパクなだけに思えて結構マメな所も感じられる脚本も面白い。自分に関する事は2分後までしか見えないが、彼女の事だけはもっと先まで見る事が出来るという基本ルールを忠実に守っておきながらも、彼女に関するルールを明確に記憶に残させない作りをしているので、乱暴なだけに感じられがちなオチにも結構計算高さが見える。超能力者が世界を救う映画ならこの作りは乱暴だが、先の選択肢を見る事が出来る男の物語としては、この締めは正しいのでは。まぁ、確かに初めて観た時は腹立たしさすら感じましたが、観直してみたら結構イケる。トンデモない映画には変わりはないですけど。

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ニコケイ映画史上、一二を争う変な髪型で登場する『ノウイング』のニコラス・ケイジ。もうちょっと深めに被るなり、思い切って剃っちゃうなりすればいいものの、額の広さだけはそのままに髪だけが長いので、なんか頭にモスマンがとまってる感じ。それか、コレ。そこがまた作品のトンデモなさを増長しちゃった結果なのかも。まぁ、そんな変な髪型をした主人公が、その辺を誰にもつっこまれず颯爽とした二枚目風に事件を解決していくのも、ニコケイ映画を楽しむ醍醐味であるんですけど。
また、ヒロイン役には最近急激に劣化し始めた感じもあるが、この頃はまだギリギリ愛嬌と色気が絶妙なバランスで留まっていた『バレンタインデー』のジェシカ・ビールが。その他にも、テロリストに扮する『キング・コング』のトーマス・クレッチマンや、動いている所を見るのは物凄く久しぶりだったピーター・フォークなどが出演。その中でも、作品を一番締めていたのはやっぱり『シェルター』のジュリアン・ムーア。ニコケイ同様トンデモない映画でばかり見ているような気がする彼女だが、クールビューティー仕様でキメていた本作での存在感は圧巻。主人公に全幅の信頼をおきバッタバタとテロリスト共を倒していく様はすこぶるカッコ良く、このコンビの活躍だけで一本の作品を作って欲しくなるほど魅力的。まぁ、作ったところでトンデモない映画ばかりに出るキングとクイーンが揃うんだから、とてつもなくトンデモない映画になること間違いなしなんですけど、それでも観たいと思わせたカッコ良さに★オマケ。

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私なら選択肢に迷っている内に2分が過ぎる

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posted by たお at 01:27 | Comment(6) | TrackBack(34) | 前にも観たアレ■な行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする