2011年10月08日

ツイン・ピークス/第1章 (Twin Peaks Episode #1.2)

監督 デュウェイン・ダナム 主演 カイル・マクラクラン
1990年 アメリカTV 46分 サスペンス 採点★★★

家でお酒はほとんど飲まないので、喉が渇いた時はもっぱらコーラかコーヒーの私。どうやら“コー”って付くのがお好き。夜にDVDを観ながらコーラを飲んでると「なんかしょっぱいのが食べたいなぁ」とポテチを食べ始め、「口の中がしょっぱいなぁ」と今度は甘いケーキを食べ始める。そうすると無性にコーヒーが欲しくなるので飲んじゃうと、さぁもう寝れない。で、夜中に腹が減って来ちゃって、コンビニにカップラーメンを買いに行っちゃう。見た目こそ太ってませんが、結構ポッチャリし始めた今日この頃。

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【ストーリー】
クーパーは人目を忍んでローラと付き合っていたジェームズの事情聴取を開始するが、彼の身の潔白を確信し釈放する。そのジェームズはローラの親友ドナと恋に落ち、共に恋人を奪われた形になったボビーとマイクは御立腹。一方その頃、丸太おばさんの丸太が事件について重要な事を知っていると聞かされたクーパーだが、如何せん相手が丸太なので話にならず。そんな中ローラの母サラは、あの日娘の部屋に何者かが潜んでいた事を突然思い出し…。

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ツイン・ピークス/序章』を経て、いよいよ本格始動したツイン・ピークス。その第一弾では、クーパーが世界一美味しいコーヒーと不味いコーヒーを一気に味わうことになる。
DV男のシャツに付いた大量の血痕や、ローラの隠された男性関係、キラー・ボブの登場など事件の核心に迫りそうなモチーフが色々と出てくるが、肝心のクーパーはコーヒーとチェリーパイに対する情熱を雄弁に語り、警察署ではドーナツが山盛りと、事件は一向に進展する気配がない。まぁ、エピソードを積み重ねていっても、さっぱりミステリーの解決に向けて進展しないのが本シリーズの特徴ですからねぇ。そもそも、順序立ててミステリーを解き明かすってよりは、一つの殺人事件を切っ掛けに、善良ぽかった住人達の化けの皮を剥がしていく方向にどんどん脱線するってのが主題のシリーズでもあるので、この脱線振りを楽しむのがよろしいかと。
無音のカーテンレール作成に執念を燃やすネイディーンや、役名があだ名でしかない丸太おばさんなど、エキセントリックなキャラクターが早々と全面に出始めるのも嬉しい。クーパーに対し「キャー!都会の男ー!」と舞い上がるオードリーが、踊りながら登場し始めるのもここから。
それにしても、結構な数のキャラクターが一気に出てくる本シリーズ。それぞれが飛び抜けた個性の持ち主なんで覚えるのは容易なんですけど、さすがに作り手としてはこの数は持て余すようで、重要キャラの家族の一員であっても忽然と姿を消すのがこのシリーズの特徴。今回は早速ドナの妹がいなくなっておりましたねぇ。

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当時は「あれ?こんなの出てたっけ?」と何度もパイロット版を観返したものです

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2011年10月05日

ツイン・ピークス/序章 (Twin Peaks Episode 1: Pilot)

監督 デヴィッド・リンチ 主演 カイル・マクラクラン
1990年 アメリカTV 113分 サスペンス 採点★★★★

私が住んでいる人口一万人程度の小さな田舎町でさえも、極稀に殺人や強盗などの凶悪事件が発生することが。大体は「いつか何かしでかすと思ってた」って言われる人が犯人なんですが、「まさかあんな事をする人だとは思ってもいなかった!」と驚かれる人が逮捕される事も。ただまぁ当然のことなんですが、その善人そうな人が家で一人どんなことを考え、何をしてたかまでは誰も知らないんですけどね。

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【ストーリー】
山間の小さな田舎町ツイン・ピークス。ある静かな朝、湖のほとりで町一番の人気者であった美少女ローラ・パーマーの遺体が発見される。町中が悲しみにふける中、近隣で発生していた連続殺人事件との関連を疑ったFBIは、特別捜査官デイル・クーパーを派遣する。クーパーは保安官と共に捜査を開始するが、徐々に町が抱える闇が見え隠れし始め…。

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まるでノーマン・ロックウェルの作品のように美しい街並み。白いフェンスと色鮮やかな花々に囲まれた住人は皆笑顔で幸せそうな、まさに善なる世界。しかし、その足元にカメラがズームしていくと、地中では無数の蟲が蠢いている。このオープニングでテーマを見事に言い切ってしまった『ブルーベルベット』のデヴィッド・リンチが手掛け、全米のみならず日本においても社会現象にまでなった“ツイン・ピークス”のパイロット版。すっごい久しぶりに観たが、やっぱり面白い
美しい自然の風景の片隅にビニールシートに包まれた美少女の死体が転がっている、もうこのイメージだけで何かとんでもないタブーが潜んでいる事が伝わってくるオープニングからして見事な本作。一見普通だがどこか風変わりな登場人物たちが抱える秘密が徐々に明らかになっていく過程も、誇張したメロドラマのような演出の効果も相まって、他人の家庭を覗き見しているかのような下世話な興奮をも味わえる。
テレビだからリンチ濃度が薄まってるかと言えば、全くそんなことはない本作。もちろん性的・暴力的な描写は直接的には避けられているが、“美少女の死体”“連続殺人”“乱れた人間関係”などのキーワードが散りばめられているので、わざわざ直接的に描かなくても充分過ぎるほど伝わってくる。それらの題材をアンジェロ・バダラメンティの耽美なメロディで包み込んだ、案外いつもよりもリンチ濃度が高めの作品に仕上がっているのではとも。また、死体安置所でクーパーが医者に席を外してくれと言ってるのに「あ、ジムです」と名乗られちゃったり、当たり前のように机の上に鹿の剥製が転がってたり、尾行中「見つかったか?」「ドーナツをくれ!」「見失ったな…」と全く噛み合わない会話を披露したりと、豊富なリンチギャグも非常に嬉しい一本で。

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風変わりな登場人物が多い本シリーズにおいて、最もユニークな個性を発揮しているクーパーに扮したのは、雰囲気が似ている事もあってか、『砂の惑星』以降リンチの分身としてリンチ作品に立て続けに出演した『ヒドゥン』のカイル・マクラクラン。FBIのイメージを誇張したキッチリピッチリの髪型や服装とは裏腹に、どこか他の惑星から落ちてきたかのようなフワフワしたキャラクターがなんとも魅力的。そう言えば、このキャラクターのまま缶コーヒーのCMもやっておりましたねぇ。何でもレコーダーに記録する記録魔で、刑事コロンボにおける“かみさん”のような存在である“ダイアン”にその記録したテープを送っているようなんですが、「どこどこのチェリーパイは絶品だよ!」みたいな記録を延々と聞かされるダイアンの身になって欲しいなぁとも。
また、“世界一美しい死体”と呼ばれたローラ・パーマーに扮する『ヴァンパイア/最期の聖戦』のシェリル・リーや、クラシカルなセクシーさを持つ顔立ちとは裏腹に、寸詰まりな体型が仄かにフリーク臭を漂わせる処刑ライダー』のシェリリン・フェン、コメディでその魅力を存分に発揮する『ウェインズ・ワールド』のララ・フリン・ボイル、早々とDV男と結婚してしまう田舎の美人のなれの果て感が良く出てたメッチェン・エイミックなど、それぞれが特徴あるエロティシズムを漂わせる美女が数多く出演しているのも嬉しいところ。
その他、『ウェドロック』のジョアン・チェンや、『トラウマ/鮮血の叫び』のパイパー・ローリー、『ア・フュー・グッドメン』のジェームズ・マーシャル、怪優ラス・タンブリン、リンチ作品の常連であったジャック・ナンス、『暴走特急』のエヴェレット・マッギルなど個性的なキャストが勢揃い。あまりに個性的なので、個々についてはシリーズのレビューを書くことになった時にでも。

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今となって思えば、リンチがお茶の間に垂れ流されていた事自体が事件のような気も

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2011年09月21日

デイズ・オブ・サンダー (Days of Thunder)

監督 トニー・スコット 主演 トム・クルーズ
1990年 アメリカ映画 108分 アクション 採点★★

車には全く興味の無い私。「カッコ良いなぁ」って思う車もあることにはありますが、基本的には停まりたい時に停まって曲がりたい方向に曲がってくれれば文句はなし。ただまぁ、この辺が特に田舎だってのもあるんでしょうけど、車に興味がないだけで同性と全く話題が合わなくなってしまうのは困りもので。更に家で好んで酒を飲むわけでも、パチンコが好きなわけでもないとなると、「何も楽しみがないの?」的な事を言われる事も多々。いやぁ、それ以外に楽しみが一杯あるだけなんですけどねぇ。

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【ストーリー】
ストックカーレースの世界に颯爽と現れた若き天才ドライバー、コール・トリクル。彼は伝説的なクルーチーフ、ハリーのもとで次々と勝利を飾っていくが、あるレースで激しいクラッシュを起こしてしまう。その事故によって初めて死の恐怖にとり付かれたコールであったが…。

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『トップガン』のウハウハをもう一度って目論見だったのか、トム・クルーズの原案をドン・シンプソン&ジェリー・ブラッカイマー製作の下、『ビバリーヒルズ・コップ2』『ラスト・ボーイスカウト』のトニー・スコットがメガホンを握った、“チーム・トップガン”再集結の青春カーアクション。
「トップガンの二番煎じじゃん」と揶揄する声も多い本作だが、概ねそんな感じ。若き天才の主人公が登場してから、ライバルとの争いと友情、初めての挫折と恋、そして復活と、徹底した教科書通りの王道ストーリーは別に悪いとは言わないが、その全てが薄っぺら。まるでタイムキーパーが時間を見ながら「ハイ、こっから恋愛!」と言ってるかのようなぶつ切り具合で、その過程での心情の変化などは全く分からない。と言うか、何にも分からない。エンジン音とスピード感溢れる編集で迫力を出してはいるが、「これがレースだ!」と劇中で言ってる割に「どれが?」って感じに全体像が分からない。まぁ、絵と音と勢いだけで逃げ切る、非常に彼ららしい作品ではあるんですけど。

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主演を務めるのは、『ナイト&デイ』『ワルキューレ』のトム・クルーズ。当時は気の迷いで脱ハンサムを目指してた頃だが、本作ではまだアイドルトムちんの面影を感じさせている。まぁ、まだ歯の矯正が完全ではないのでだらしなく開いた口元と、似合ってるとは言い難いチリチリ頭のせいで野暮ったいことこの上ないが、田舎のレースバカというか、単なるアホちゃんを演じるには丁度良い野暮ったさかと。付き合う相手としてはとっても退屈しそうなキャラでしたが。
そんなトムちんの相手役を務めるのは、この後トムちんと結婚して姉弟のようなオシドリ夫婦として知られることとなる、『奥さまは魔女』『アザーズ』のニコール・キッドマン。本作でもすっかり保護者。「きゃっほーい!」と鼻垂らしながら走り回るトムちんを、「やれやれ…」と見つめてる感じが非常に様になる。この真っ白な肌にピッタリの、冷たさすら感じる薄い唇がとっても素敵だったんですけどねぇ。
その他、『ザ・ロード』『アンダーカヴァー』のロバート・デュヴァルや、『処刑ライダー』のランディ・クエイド、『スリザー』のマイケル・ルーカーなど、保護者的な顔ぶれをキャスティングしているのも印象的。『プリンセス・ブライド・ストーリー』のケイリー・エルウィズが新たなライバルとして登場してますけど、なんか陰湿な人ってしか印象に残ってないのはアレだなぁと。

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なんか、高校時代の恥ずかしい写真を見ているかのような感じも

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2011年09月17日

沈黙の宿命 TRUE JUSTICE PART1 (True Justice : Deadly Crossing)

監督 キオニ・ワックスマン 主演 スティーヴン・セガール
2011年 カナダ/アメリカTV 90分 アクション 採点★★

何事においてもやりたい放題のセガールが初のアクションTVシリーズに挑むってんで興味をそそられた本作。最近のセガールと言えばDVDストレートがメインだっただけに、アメリカのお茶の間もセガールの傍若無人っぷりに驚いただろうなぁと反響を調べてみると、アメリカで放映された形跡が見つからない。全13エピソードの内、スペインとイギリスではこれともう一本が放映されたっぽいけど、あとのエピソードは日本のようにいつものセガール映画っぽい装いでDVDリリースされるとか。相変わらずセガールは好き放題だなぁ。

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【ストーリー】
シアトル。精鋭を集めた特別捜査隊を率いるケインことセガールは、ある殺人事件を切っ掛けに、背後にいたロシアンマフィアの麻薬王を「よよよいのよい!」とやっつける。

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で、その実態の良く分からないTVシリーズの第一弾となる本作。監督を務めているのはセガールの子分の中では“ミヒャエル・ケウシュよりはマシ”って立ち位置に居る、『沈黙の逆襲』『沈黙の鉄拳』のキオニ・ワックスマン。
いかにもTV的な顔立ちをした若手を率いたセガールが、最近のセガールのお気に入り題材である“ロシアンマフィア”と対決するのだが、別にロシアンマフィアじゃなくても全然大丈夫な薄い作りが特徴で。チームを描いているからといってセガールがアンサンブルに徹するわけもなく、ストーリー進行や走ったりするセガールにとって大変面倒臭い事柄を若手に任せ、要所要所の美味しい所にセガールが「よよよいのよい!」と出てきてプチ暴れする、とってもセガールに優しい作り
無駄に時間を前後させてわけ分からなくしたり、後ろ姿になった途端にセガールがやせ細ったり、セガールの頭がM字に切った海苔を貼ってる様にしか見えなかったりと問題が多い作品ではあるが、それはまぁいつものことなので然程気にならず。最後に唐突に現れる美女と突然セガールがチューし始める、いつものセガール・ハッピータイムにも驚かされるが、「なんともまぁ理想の老後生活を送ってるなぁ」と単純に羨ましく思えるだけなので、“面白いか面白くないか”で問われれば“面白くない”だが、“好きか嫌いか”であれば“好き”な一本。

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好きなものから傍に置き

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2011年09月12日

トロン:レガシー (TRON: Legacy)

監督 ジョセフ・コシンスキー 主演 ギャレット・ヘドランド
2010年 アメリカ映画 125分 SF 採点★★

“映像革命”とか“全く新しい映像体験”とか言った宣伝文句をよく耳にしますが、稀に斬新な映像表現を用いた作品こそあれど、ほとんどはエフェクト率が高くなれば自動的に宛て込まれる文言のような気も。やっぱりそういう文言は、既にある技術のバージョンアップにではなく、「どうやって撮ってるんだ?」と心底驚かされる作品に使って欲しいなぁと年寄りのボヤキをぽつりと

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【ストーリー】
デジタル業界の革命児として名を馳せたケヴィン・フリンが忽然と姿を消してから20年、ケヴィンの息子サムのもとにケヴィンから謎のメッセージが届く。そのメッセージをもとに父が経営していたゲームセンターにやって来たサムは、父の秘密の研究部屋を発見する。父の手掛かりを探すサムだったが、突如コンピューターシステムの世界へと吸い込まれてしまい…。

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「これが最新鋭の映像でござい!」って謳い文句につられて劇場に足を運んでみたら、蛍光色の直線がピーって引かれていく様を延々と見せつけられ、なんとも釈然としない気持ちのまま劇場を後にした1982年の『トロン』から、30年近くの歳月を経て製作されたまさかの続編。前作の監督スティーヴン・リズバーガーは製作者に名を連ね、新鋭ジョセフ・コシンスキーがメガホンを握る。
前作のレトロな雰囲気もしっかりと継承された美しい映像に、ジェフ・ブリッジスとブルース・ボックスライトナーの再登場が嬉しい本作。そこを観る為だけの作品であれば、充分満足できる仕上がりなのではと。劇場の大画面やIMAXで楽しむ、最新鋭映像のプレゼン的意味合いが強い作品でもあるでしょうし。ただ、そこ以外に関しては幾分残念な感じが。
エキセントリックなキャラクターやちょっとした笑いも平板な演出で活かしきれず、これといった波も生まれない2時間は冗長な印象が。また、重要なキャラクターであるはずのトロンの扱いのぞんざいさも気になる所で、敵側に堕ちていたトロンが我に返る様もあまりに唐突。現実社会の描写や映像にも現実味の無い、ある意味アニメの部類に入れてもおかしくない作品とは言え、互いが引き立つメリハリが効いていないのも残念。また、“ゲームの世界に入る”ってよりは“別世界・別システムに入る”って意味合いが強い為、ゲームそのものに重きを置いていないのは仕方がないとはいえ、事前にゲーム機としてのトロン描写がほとんどない為に、ゲームシーンに“今あそこに居る”って実感がイマイチ湧かない。いきなり放り込まれたゲームなのに、主人公がさくさくファイナルステージまで進んでしまうのも、事前情報が少ない為に都合が良過ぎる感も。確かに前作を観てればある程度解決するが、連続性を持たせるには年月が空き過ぎかと。
音楽を担当するダフト・パンクにも触れた方が良いのかもしれないんですが、まぁありがちな組み合わせだなぁと。

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主人公のサムに扮しているのは、『フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い』『狼の死刑宣告』のギャレット・ヘドランド。いじめっ子っぽい顔立ちだなぁって以外は、正直然程印象に残らず。『紀元1年が、こんなんだったら!?』のオリヴィア・ワイルドに関しても似たような印象なんですが、ハッキリクッキリのデジタル顔ってこういうのなんでしょうかねぇ。
ただ、やっぱり嬉しいのは前作と同じ役柄で再登場する、『ヤギと男と男と壁と』『キングコング』のジェフ・ブリッジスと、『カフス!』のブルース・ボックスライトナーの出演。ブルース・グリーンウッド並みの男前っぷりを披露しておきながら、思いのほか扱いの小さかったブルース・ボックスライトナーに関してはちょいと残念でしたが、その服装といい数珠のようなブレスレットといい、なんかデジタル世界にヒッピーが紛れ込んだかのような違和感が見事だったジェフ・ブリッジスには、非常に満足を。なんと言うか、デジタルをとことん追求したら、内宇宙に辿り着いちゃったみたいな。その浮世離れした雰囲気も相まって、天使の輪っかが背中に付いてる生き神様のような感じにも。若返ったデジタル・ブリッジスはまぁ、最初は良いんですが観ている内にだんだん気持ち悪くなってくるのがちょっと。
その他、『アンダーワールド2 エボリューション』のマイケル・シーンや、『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』のボー・ガレット、『グレッグのダメ日記』のオーウェン・ベストらも出演。そう言えば、会社内の会議のシーンに『インセプション』のキリアン・マーフィが紛れ込んでましたねぇ。

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ファミコンのソフトをPS3でリメイクしたような感じが

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タグ:★★ SF
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2011年07月25日

ザ・タウン (The Town)

監督 ベン・アフレック 主演 ベン・アフレック
2010年 アメリカ映画 150分 ドラマ 採点★★★★

私が生まれた田舎町は、県内で一番大きな街である仙台まで電車一本で行けるってこともあってか、駅前にはサラリーマン族や商店などちょっと裕福な人が集まり、線路を挟んだ反対側には、長屋のようなボロボロの公営住宅に住む貧困層が住む、小さいながらも真っ二つに分かれていた町。同じ小学校に通いながらも双方ほとんど交流はなく、私の両親も口には出さないものの、「向こう側の子とは遊んじゃダメだよ」って雰囲気を常に感じさせてたもので。何かの用でその長屋街を通る時は、知らず知らずのうちに誰にも目が合わないように俯きながら急ぎ足で通り過ぎる癖が付いていたものです。それでも時折彼らの生活の様子が目に入り、開け放たれた窓の奥の物やゴミで散乱した部屋の中、その隙間を縫うように真昼間から寝転がる両親をしり目に、ボーっとテレビを見続けている同級生の姿を見た時は、子供ながらに哀しい気分になったものです。子供ってのは、親を選べないのと同様に住む町も選べないんですよねぇ。

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【ストーリー】
ボストンのチャールズタウン。強盗多発地帯であるこの街で生まれ育ったダグは、かつては持っていた夢に破れ、今では獄中にいる父親同様に強盗を生業とするプロの犯罪者になっていた。そんなダグら強盗チームはとある銀行を襲い強盗を成功させるが、已む無く女性支店長を一時的に人質としてしまう。程なく彼女を解放するも、彼女が同じ街の住人であったことから自分たちの正体がばれてしまう不安に駆られたダグは、探りを入れる為に彼女に接触するも、図らずも恋に落ちてしまう。彼女と新しい人生を歩む為に足を洗おうとするダグであったが、街の顔役はそれを許さず…。

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ゴーン・ベイビー・ゴーン』で映像作家として素晴らしい才能を発揮したベン・アフレックが、今度は主演も兼任し犯罪地区に暮らす住人の生き様を見事に描き出した犯罪アクションドラマ。
マイケル・マンであればその美学なり散り様に注力しそうな題材だが、港町に住む人間がごく普通に漁について熟知しているのと同様に、犯罪が身近を通り越して生活の一部になっている様を、“街”にこだわりを持つベン・アフレックらしいタッチで描き出す本作。
歴史感じる美しい街並みとは裏腹に、特産品が“強盗”という特異な状況下にありながらも、街の生活を詳細に描くことで、強盗が特異ではなくごくごく日常の一部でしかないと描き出す。しかしながら、それが日常と感じているのはあくまでその街の犯罪者だけであり、すぐそばに住む一般人にとっては異常な状況には変わりない。目と鼻の先で暮らしながらも、基本的に交わることはなく、交わる時は概ね被害者と加害者の関係に。その加害者側であるダグと被害者側であるクレアの間に恋愛感情が生まれ、共に大きな変化を迎えていく様は犯罪ドラマに限らず定番な流れではあるが、街の顔役の存在こそあれど、あくまでダグが囚われているのは組織ではなく、生まれ育った“街”であるというテーマが非常に興味深い。
そのドラマや状況を丁寧に描きながらも、要所要所にリアルで見応えのあるアクションシーンを挟み込み、幼少期に別れた母親に対して持っていた美しい幻想が脆くも崩れ去る現実の残酷さや醜さまでをも盛り込みながら、決して崩れる事の無いバランス感覚で描き出したベン・アフレックの手腕は見事。オレンジ(タンジェリン)一個で、ダグとクレアの間に細いながらも一本の線を結んで締める幕引きも非常に上手い。また、利便性からも合成が主流になりつつある映画製作においても、現地野外ロケにこだわるスタイルも、そしてそこから得れる結果も非常に好みの仕上がり。ボストンに対して、レッドソックスと紅葉と絞殺魔くらいしかイメージがなかったんですが、これからはそこにベン・アフレックを加えなきゃなぁと。

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監督・主演を見事に兼任した今回のベン・アフレック。何を言おうが所詮犯罪者でしかない主人公を、持ち前の下級生を苛めて喜んでそうな実直さと卑しさが混じった顔立ちで好演。「あー見えて頭が良い」ってのは常に言われてた事ですが、二本の監督作を観る限り、勉強が出来る秀才肌ってのより、何事に対しても要領の良い天才肌の持ち主なんだろうなぁと。
そんなベン・アフレックを筆頭に、『28週後...』のジェレミー・レナーや、『ゴーン・ベイビー・ゴーン』でも気の良いギャングを好演していたスレイン、出てくる度に「あ!コビャヤシだぁ!」と得した気分になって嬉しくなるんで大好きな役者であったが、残念ながら今年の初めに亡くなられてしまった『インセプション』のピート・ポスルスウェイトなど、“犯罪者らしく見える”という基本に則った前科がありそうな良い顔立ちの役者が集まっているのも好印象。
その他にも、『地球が静止する日』のジョン・ハムや、『プレステージ』のレベッカ・ホール、『かいじゅうたちのいるところ』のクリス・クーパーらが共演。中でも、司法取引で子供を手元に置けたとしても、あの様子じゃ遅かれ早かれ子供は施設行きなんだろうなぁと思いを馳せてしまった、『クリープス』のジェイソン・ライヴリーを兄に持つブレイク・ライヴリーのトラッシュっぷりが印象的。『ゴーン・ベイビー・ゴーン』にしろ本作にしろ、ベン・アフレックってトラッシュの描き方が上手いなぁ。
今回は、劇場公開版に20分以上のシーンを追加したエクステンデッド・バージョンで観賞。状況や関係図を描く前半に多くのシーンが加えられてたんですが、150分という長尺さを感じさせないテンポの良さで。そう言えば、ブルーレイだと未公開シーンになると、画面の上に“ここが未公開でござい!”ってなマークが出るんですねぇ。観比べるってことを考えると、あれは良いなぁ

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祖母の実家がウォーターメロンだったらバッグがパンパンに

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2011年07月24日

チェイシング/追跡 (Tenderness)

監督 ジョン・ポルソン 主演 ラッセル・クロウ
2009年 アメリカ映画 101分 ドラマ 採点★★

優しくしているつもりでも、相手が求める優しさと合致しないと“優しい”ってことにはならないんですよねぇ。どおりで、なかなか“優しい人”という代名詞を得れないわけだ。相手が求める優しさってのを考える努力も必要なんですねぇ。まぁ、お互いに。

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【ストーリー】
両親を殺害した少年エリックが出所してくる。更生し新たな人生を歩みだしたようにも見えるエリックであったが、事件の担当刑事であったクリストフオロは、二件の未解決殺人事件にもエリックが関与していると疑い、執拗に彼の後を追う。一方エリックは、少年院で知り合った少女マリアに会う為に車を走らせるが、その車の中にはエリックに会いたい一心で家を飛び出した16歳の少女ローリが乗り込んでおり…。

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『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ』のジョン・ポルソンによるサスペンスドラマ。
連続殺人犯である青年を追う刑事の追跡劇をイメージさせるタイトルだが、蓋を開ければ人として大切なものを欠落した青年と、問題を抱える少女との交流を“優しさ”というキーワードで描いた本作。全身麻痺となった妻を献身的に看病する刑事、甥に姉を殺されても尚、その甥を家族として招き入れる叔母、そして殺害することでその手に優しさを感じ取る青年と様々な優しさを交えながら、望まぬ死を目前にすることで初めて人間性を取り戻す青年の姿を丁寧に描き出しているように思える
しかしながら、“思える”と書いたのも、原作を読んでいないってこともあるのだが、それを差し引いても何を言いたいのかサッパリ不明瞭だから。考えさせるための不明瞭ではなく、完全に物語を整理しきれていない不明瞭。死にたがりの少女に付きまとわられた揚句に、勝手に死なれて大迷惑する殺人鬼の話にすら見える。それならそれでとっても面白そうなんですが、そうじゃないから困りもの。

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刑事役には、『ロビン・フッド』のラッセル・クロウが。主演としてトップにクレジットはされてますが、如何せん拘束日数が9日間なので、要所要所で沈痛な面持ちを披露しているだけって印象を。それでも、もう回復する事はないであろう妻に、きっと彼女が大好きであったのであろう料理を丁寧に作り上げるシーンは良い感じ。
一方、ロビン・フッドを差し置いて弓使いの主人公に扮しているのは、『パンドラム』のベン・フォスターの弟ジョン・フォスター。ちょっぴり社交的なクリスピン・グローヴァーっぽい風貌に、独特なフェチを持つ殺人犯っぽい雰囲気が。ミラ・クニスなんか見ちゃったら、殺したくて堪らなくなっちゃうんでしょうねぇ。また、そんな彼に執拗に付きまとう、ある意味この邦題は彼女の為にあるんじゃないかとすら思える少女役に、ソフィー・トラウブ。10代らしい場を読めない言動の数々に、絶妙な苛立ちを与えてくれる好演。我慢したエリックに、よく頑張ったなぁと称賛を与えたいほどイライラさせられる。
その他、『ディフェンドー 闇の仕事人』のマイケル・ケリーや、個人的にその泣き顔がとっても好みであるローラ・ダーンも出演。そんなローラ・ダーンを久しぶりに観れたってところに、★ひとつオマケ。泣きはしてませんでしたが。

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そんな顔したくなる気持ちもよく分かる

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タグ:★★ ドラマ
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2011年07月05日

太陽を盗んだ男

監督 長谷川和彦 主演 沢田研二
1979年 日本映画 147分 サスペンス 採点★★★★

どこが発表したのかすっかりと失念してしまいましたが、クーデターの起こる危険性がある国として日本がリストアップされてたってのを以前読んだ事があった気が。物騒な話だなぁと思う反面、そんな危険性を孕んでいるように思われるのも当然だなぁとも。ただまぁ、実際それが起こったとしても、ここまで悪い方向にシステムが完成されちゃった国だけに、何処を標的にしたらいいのか分かんなくなっちゃうんじゃないのかなぁと。拳を振り上げても、振り下ろす相手が分からない。政治に経済に教育と問題山積のこの国ですが、個人的には真っ先に改善しなければならないのはメディアじゃないのかなぁと思ってたりも。まぁ、この辺は書き始めるとすっげぇ長くなりそうなので、いずれ気が向いた時にでも。

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【ストーリー】
かつては熱血教師として知られた城戸だったが、今では授業中に居眠りをするぐうたら教師となっていた。そんなぐうたらな顔とは裏腹に、彼は自宅のアパートで秘かに原子力発電所から盗み出したプルトニウムを使い、原子爆弾を製造していた。そして遂に完成した原爆を武器に、城戸は警察に脅迫電話をする。「ナイター中継を最後までやれ!」と…。

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“原爆製造”に“バスジャック皇居突入”とかなり危険なブツをぶっ込みながらも、高い娯楽性も兼ね備えたサスペンスアクションの傑作。
原爆という絶大な力を手にしながらも、それをどう使ったらいいのかさっぱり分からない主人公の姿を、迫力溢れるアクションと、“鉄腕アトム”を歌いながら原爆を作ったりする独特なユーモアで描く本作。その“何かはしたいが、何をしたいのか分からない”具合は、全共闘の時代が終わりしらけ世代が台頭した当時の時代を見事に切り取っている。不満もあるが、その不満の原因が分かりづらい様も、成長そのものが目的だった高度成長期が終わり、バブル期を前にした安定期の社会状況を映し出しているのかと。この世代よりはほんのちょっとだけ若いんで、当時の状況はそんなに詳しくないんですが、このモヤモヤしきった具合は逆に今に通じる物がある気も強く。
皇居前や国会議事堂でのゲリラ撮影など、神話的な逸話が数多く残されている本作。当時でさえ充分リスキーな題材に加えこの危険極まりない撮影方法には、映画が娯楽であると同時に“表現”であるという作り手の思いがひしひしと伝わって来る。そしてその双方が成り立ってしまっているのだから、もう感服したとしか言いようがない。よくこの作品に関して「今では作れない」って言葉を聞くんですが、“作れない”んじゃなくて“作ろうとしない”ってのが正しいんじゃないのかなぁと思うんですよねぇ。

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主人公の城戸に扮しているのは、『魔界転生』の沢田研二。失望を原因とした無気力・無感動な主人公を、絶妙なスカし具合と皮肉めいた眼差しで好演。ガイガーカウンター片手にボブ・マーリーを歌い踊るシーンのカッコ良さもさることながら、ラストカットの諦めの奥に強い怒りと絶望すら感じられる表情が絶品。
一方その城戸を追う刑事役には、城戸とは正反対に気力と熱さに溢れる菅原文太が扮している。このコントラストの妙も見事なのだが、やはり圧巻なのはクライマックスの二人の対決。菅原文太のイメージを極端にカリカチュアライズしたかのような一挙一動は強烈で、その無敵のゾンビと化した菅原文太の姿は、一度観たらそうそう忘れられないものに。たまたまそのシーンだけを観たウチの女房は大爆笑しておりましたが。
その他、世代的に“色っぽい人”というと真っ先にこの人が浮かんでしまう池上季実子や、ちょいと顔を出す水谷豊に西田敏行といった錚々たる面々が顔を出してるが、やっぱり一番の大物と言えば名前だけで登場するローリング・ストーンズかと。行きましたねぇ、初来日公演。まぁ、行きつけの飲み屋のマスターに「チケットあるけど、行く?」って言われたから行っただけなんで、今では全然覚えてないんですが。開園を待ちながら、「チャーリー・ワッツがこっそりスティーヴ・ガットに代わってたら面白いよね」って話をしきりにしてた事は覚えてるのに。

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逆に今観なければならない映画なのかも

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posted by たお at 02:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月29日

地中海殺人事件 (Evil Under the Sun)

監督 ガイ・ハミルトン 主演 ピーター・ユスティノフ
1982年 イギリス映画 117分 サスペンス 採点★★★

天候やら移動やらアレコレと面倒事が多いせいか、ロケに行かず合成で済ませるのが主流になっておりますねぇ、最近の映画。予算も抑えられるし修正も楽ってのは分かるんですが、画面から得れる感触がなんか違うんですよねぇ。「何が?」と言われれば「知らん!」ですが、被写体がハッキリし過ぎてるのか遠近感が均一的過ぎるのか、なんかその場に一緒に居るって感覚が得れない。まぁ、オッサンのぼやきでしかないんですが。

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【ストーリー】
地中海の小島にあるリゾート地で、舞台女優のアリーナが何者かによって殺されているのが発見される。その地のホテルに宿泊していた客は全て彼女と縁がある人々で、尚且つ全員が彼女に対し何らかの恨みを持っていた。この難事件を、たまたま別件でこのホテルを訪れていた名探偵ポアロが調査するが、容疑者全員に完璧なアリバイがあり…。

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アガサ・クリスティ原作の“白昼の悪魔”を、『レモ/第1の挑戦』のガイ・ハミルトンがメガホンを握って映像化した推理ミステリー。昨日の『ミラクル・ワールド/ブッシュマン』に続いて空から空き瓶が降って来る話ですが、それはたまたまってことで。
白い砂浜と青い海の地中海を舞台に、コール・ポーターの楽曲と番傘や着物をアレンジしたアジア風味のファッションで彩られた、“これぞリゾート!”な本作。もう、ザ・リゾート。豪華な舞台設定の割に動機が安っぽかったり、緻密そうに見えてアリバイ工作が結構運任せだったり、オープニングの事件と絡めた解決方法がやや力任せな印象もあるが、やはりトリックが明かされていくクライマックスで感じられる、まるでパズルがパタパタと目の前で完成していくかのような快感は、そうそう得れるものではない。そして何よりも、繰り返しとはなるがリゾート地を舞台としたからこそ得れる贅沢感が堪らない。まぁ、強いて言えば“食事”ってのにも贅沢感を感じさせてくれてればなぁと思いますが。
そう言えば、当時地元では同時上映の片っぽだった本作。最初にこれを観て地中海での贅沢気分を存分に味わった後に始まったのが、肌に突き刺さるような寒さがヒシヒシと伝わってきた『ランボー』。脈絡は全くないが、贅沢極まりのないカップリングでしたねぇ。

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主人公のポワロに扮するのは、『ナイル殺人事件』に続いて2度目のポアロ役となるピーター・ユスティノフ。嫌味さとほど良いゲスさ加減が原作のイメージに近かったアルバート・フィニーと異なり、随分とソフトなイメージを感じるポアロだが、ユーモラスで憎めないキャラとして彼のポアロが結構好き。陰口が「嫌味なチビデブ」でまとめられてしまうのも、なんとも可愛らしいですし。
容疑者となる面々に、今ではバッグの名前として知られるジェーン・バーキンが『ナイル殺人事件』に続いて出演しているのを筆頭に、これまた『ナイル殺人事件』に続いての出演となるマギー・スミス、オネエキャラで熱演する『ヘルハウス』のロディ・マクドウォール、『死霊伝説』のジェームズ・メイソンらと、豪華キャストにも程があった『オリエント急行殺人事件』と比べるとゴージャス感に若干欠けてしまうが、実力者が揃った同じ劇団による連作を観ているかのような安心感と言うか“待ってました!”感が嬉しい。それでも足りない豪華さは、背景が充分に埋め合わせしてくれてますし。

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“たまたま”の連続なのは御愛嬌

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posted by たお at 02:13 | Comment(0) | TrackBack(1) | 前にも観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月16日

導火線 FLASH POINT (導火綫 Flash Point)

監督 ウィルソン・イップ 主演 ドニー・イェン
2007年 香港映画 87分 アクション 採点★★★

今も昔もアクション映画ってのは数多く作られてますけど、“アクションも出来るスター”こそ増えましたが“アクションスター”ってのはめっきり少なくなりましたねぇ。で、“アクションも出来るスター”と“アクションスター”の違いってなんだろうと漠然と考えてみると、劇中で強く見えるという当たり前のことは双方共通してるとして、スクリーンの外でも本当に強いんじゃないかって思わせる説得力の有無なんじゃないのかなぁと。なんと言うか、ジェイソン・ボーンと葉問はいい戦いを繰り広げそうだけど、マット・デイモンとドニー・イェンじゃ話にならないみたいな。

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【ストーリー】
返還を目前に控えた香港。正義感が強過ぎるあまり犯人に過度な暴行をしてしまうマー刑事は、ベトナム人三兄弟によって組織される犯罪グループを追っていた。組織に潜入していたマーの相棒ウィルソン刑事の働きもあり、組織の長兄を裁判にかける事に成功したが、他の兄弟が次々と証人を殺していき、ウィルソンにもその魔の手が迫っていた…。

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イップ・マン 葉問』『SPL/狼よ静かに死ね』のウィルソン・イップ&ドニー・イェンコンビで贈るポリスアクション。
ストーリー部分のほとんどをルイス・クーに任せドニーさんはひたすら暴れまわるという、全体的に若干チグハグな印象も覚える本作。ただ、やられ役とやり返し役がハッキリしている為か、“いつドニーさんの怒りの導火線に火が点くか?”とワクワクする一方で、火が点いたら点いたで収まる事のないドニーさんの暴れっぷりにハラハラするという、独特な面白味が生まれる結果に。
組みついてから相手を引き倒し腕挫十字固を決める柔術ベースの戦い方や、サッと背後に回り込んでジャーマンを決めたりと、カンフーのみならずバリエーション豊かな格闘スタイルを披露し、そのどれもが非常に高いレベルに達していることに驚きの声を上げてしまう本作。確実に相手の動きを止める事を目的とした実用的な格闘術ながらも、きちんと“見せる”工夫が施されているのも、このコンビだったら当然の事なのかもしれないが、やはり流石と。

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イップ・マン 葉問』では穏やかな表情で人格者を演じていたドニーさんですが、全身から二枚目オーラを力ずくで発しながら、鬼の形相で暴れまわる本作のようなドニーさんの方がやっぱり好き。あのでっかいサングラス姿も、似合う似合わないを通り越して、ドニーさんだから納得してしまうって力強さが好き。そんな“自分大好き”っぷりも含めて、ちょっと鍛えればリング上でもいい試合を繰り広げるんじゃないのかと思わせてくれる、非常に貴重なアクションスターだなぁと。
一方、ストーリー部分をほとんど丸投げされ、ひたすら酷い目に遭い続けるだけだったウィルソンに扮しているのは、『コネクテッド』『柔道龍虎房』のルイス・クー。もう、なんとも居た堪れない役柄ではあったのだが、その居た堪れなさが似合うんだからしょうがない。
その他、『SPIRIT スピリット』のコリン・チョウや、烏龍茶のCMでも印象的だったファン・ビンビンなども出演。それにしても、誕生日を一人で過ごしたくないルイス・クーが、片っ端に知り合いに電話するも断られ、最後に電話してやっと来てくれたのがファン・ビンビンって、レベルが高過ぎるんじゃないのかと。私だったら、ファン・ビンビン一本で電話し続けますが。

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何で10年前の設定なんだろ?

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posted by たお at 15:08 | Comment(4) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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