2011年 アメリカ映画 154分 アクション 採点★★★★
猛烈にお腹が空いている時って、一つのメニューに絞り切れずついつい食べたい物を二つ頼んじゃうことってありますよねぇ。「カレーも食べたいけど、このチーズハンバーグも食べたい!じゃ、両方だ!!」みたいに。ただ、テーブルにそれらが並んだ瞬間や食べてる最中はちょっとした贅沢気分を味わえるんですけど、食べ終わった後に残ってる印象はどっちか一方のみなんですよねぇ。概ねカレーが。じゃぁ、ハンバーグカレーの大盛りで良かったんじゃないのかと。

【ストーリー】
月面で発見されたオートボットの宇宙船。中からオートボットの前指揮官センチネルと、柱状の謎の物体が運び出される。一方、サイバトロンらと二度に渡り地球の危機を救ったサムは、そんな活躍とは裏腹に仕事が見つからず、新しい恋人のアパートに間借りする生活を送っていた。ようやく見つかった仕事先も、恋人の務める会社社長の口利きであったことを知ってふて腐れるサム。しかし、それもこれも全てが虎視眈々と地球征服を狙うメガトロンの陰謀で…。

『アイランド』のマイケル・ベイとスティーヴン・スピルバーグのコンビで贈る、“トランスフォーマー”シリーズ第三弾。規模も上映時間も更にスケールアップ。
“少年とロボットの交流”という大好き要素が満載だった『トランスフォーマー』の面白さも、早過ぎて何が起こってるのかさっぱり分からないロボットバトルに終始した、マイケル・ベイの悪い部分が如実に出てしまった『トランスフォーマー/リベンジ』で消え失せてしまっただけに不安だった本作だったが、これが意外と面白い。もちろん、人類とデストロンとの直接対決を描くテーマや、“実写で撮れるものは実写で撮る”マイケル・ベイの力強い絵力もそうなのだが、それ以上に商業映画の常識を軽く踏み外した奔放さが面白い。
やたらとエキセントリックな人物ばかり出てくるサムの物語と、メガトロンの回りくどい策略に踊らされるオプティマスらの姿を描く、まるで違う2本の映画を強引にくっつけた様な印象を受ける本作。くっついたらくっついたで、今度はちょっとした映画一本分の長さのクライマックスがやってくる。もう、なんたる無駄遣い。普通は褒め言葉じゃないんですが、“無駄遣い”こそがマイケル・ベイの持ち味であるし、その持ち味を存分に発揮した本作は評価に値する。この長尺を、疲れこそするがダレさせないってのも流石。
確かに観賞後に一晩寝てしまうと、内容がかなりアヤフヤになってしまう本作。観賞したのが昨日なので、もう全然アヤフヤ。明確に覚えているのがケン・チョンの出ているパートのみなんですが、そのケン・チョンのインパクトは素晴らしいを通り越して恐ろしいほど。私の頭の中では既に“ロボケン・チョンがマルコヴィッチを引き連れてシャイア・ラブーフを追いまわす映画”にトランスフォームされてる作品ではあるんですが、それはそれで高評価になる内容なので評価は変わらず。

シリーズを通して登場する『コンスタンティン』のシャイア・ラブーフや、『かぞくはじめました』のジョシュ・デュアメル、口は災いのもとだったのか、降板したミーガン・フォックスに代わって登場する如何にもモデル然としたロージー・ハンティントン=ホワイトリーら、主要キャラの印象が思いのほか薄い本作。まぁ、ヒロインの安っぽさは2時間半を掛けても慣れませんでしたが。じゃぁ、その分トランスフォーマーの面々が強烈な印象を放っていたかと言えば、案外そうでもなく。大暴れの限りを尽くしてはいましたが、バンブルビーとサムの交流など期待するシーンは然程なく。
出ずっぱりのはずである主要キャストやオートボット以上に本作で強烈な印象を放っているのは、繰り返しにはなるがやはり『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』のケン・チョンを筆頭としたサイドキャラの面々たち。現実離れしたロボットバトルに現実味を帯びさせるための日常描写なのに、そこに何食わぬ顔でケン・チョンが紛れ込んでいる恐怖たるや。その他にも、レギュラーながらもアダム・サンドラー映画に出てるかのようなモードで登場するジョン・タートゥーロや、完全にコメディ映画内での変人バージョンだった『RED/レッド』のジョン・マルコヴィッチ、これまたコメディモードだった『イーオン・フラックス』のフランシス・マクドーマンドに、いつも通りだった『ドッジボール』のアラン・テュディックと、『スター・トレック2/カーンの逆襲』のレナード・ニモイがセンチネルの声をやってる事や、バズ・オルドリン本人が出ている驚きを軽く凌駕するエキセントリックな顔ぶれが集結。
第4弾も噂される本シリーズですが、その前に製作費を本作の10分の1程度で、上映時間を半分にして、アパトー一家の誰かに監督させたスピンオフをこの面々で作って欲しいなぁと。

勝ち馬に乗る才能に秀でたお二方
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