2011年12月17日

トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン (Transformers: Dark of the Moon)

監督 マイケル・ベイ 主演 シャイア・ラブーフ
2011年 アメリカ映画 154分 アクション 採点★★★★

猛烈にお腹が空いている時って、一つのメニューに絞り切れずついつい食べたい物を二つ頼んじゃうことってありますよねぇ。「カレーも食べたいけど、このチーズハンバーグも食べたい!じゃ、両方だ!!」みたいに。ただ、テーブルにそれらが並んだ瞬間や食べてる最中はちょっとした贅沢気分を味わえるんですけど、食べ終わった後に残ってる印象はどっちか一方のみなんですよねぇ。概ねカレーが。じゃぁ、ハンバーグカレーの大盛りで良かったんじゃないのかと。

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【ストーリー】
月面で発見されたオートボットの宇宙船。中からオートボットの前指揮官センチネルと、柱状の謎の物体が運び出される。一方、サイバトロンらと二度に渡り地球の危機を救ったサムは、そんな活躍とは裏腹に仕事が見つからず、新しい恋人のアパートに間借りする生活を送っていた。ようやく見つかった仕事先も、恋人の務める会社社長の口利きであったことを知ってふて腐れるサム。しかし、それもこれも全てが虎視眈々と地球征服を狙うメガトロンの陰謀で…。

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アイランド』のマイケル・ベイとスティーヴン・スピルバーグのコンビで贈る、“トランスフォーマー”シリーズ第三弾。規模も上映時間も更にスケールアップ。
“少年とロボットの交流”という大好き要素が満載だった『トランスフォーマー』の面白さも、早過ぎて何が起こってるのかさっぱり分からないロボットバトルに終始した、マイケル・ベイの悪い部分が如実に出てしまった『トランスフォーマー/リベンジ』で消え失せてしまっただけに不安だった本作だったが、これが意外と面白い。もちろん、人類とデストロンとの直接対決を描くテーマや、“実写で撮れるものは実写で撮る”マイケル・ベイの力強い絵力もそうなのだが、それ以上に商業映画の常識を軽く踏み外した奔放さが面白い。
やたらとエキセントリックな人物ばかり出てくるサムの物語と、メガトロンの回りくどい策略に踊らされるオプティマスらの姿を描く、まるで違う2本の映画を強引にくっつけた様な印象を受ける本作。くっついたらくっついたで、今度はちょっとした映画一本分の長さのクライマックスがやってくる。もう、なんたる無駄遣い。普通は褒め言葉じゃないんですが、“無駄遣い”こそがマイケル・ベイの持ち味であるし、その持ち味を存分に発揮した本作は評価に値する。この長尺を、疲れこそするがダレさせないってのも流石。
確かに観賞後に一晩寝てしまうと、内容がかなりアヤフヤになってしまう本作。観賞したのが昨日なので、もう全然アヤフヤ。明確に覚えているのがケン・チョンの出ているパートのみなんですが、そのケン・チョンのインパクトは素晴らしいを通り越して恐ろしいほど。私の頭の中では既に“ロボケン・チョンがマルコヴィッチを引き連れてシャイア・ラブーフを追いまわす映画”にトランスフォームされてる作品ではあるんですが、それはそれで高評価になる内容なので評価は変わらず。

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シリーズを通して登場する『コンスタンティン』のシャイア・ラブーフや、『かぞくはじめました』のジョシュ・デュアメル、口は災いのもとだったのか、降板したミーガン・フォックスに代わって登場する如何にもモデル然としたロージー・ハンティントン=ホワイトリーら、主要キャラの印象が思いのほか薄い本作。まぁ、ヒロインの安っぽさは2時間半を掛けても慣れませんでしたが。じゃぁ、その分トランスフォーマーの面々が強烈な印象を放っていたかと言えば、案外そうでもなく。大暴れの限りを尽くしてはいましたが、バンブルビーとサムの交流など期待するシーンは然程なく。
出ずっぱりのはずである主要キャストやオートボット以上に本作で強烈な印象を放っているのは、繰り返しにはなるがやはり『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』のケン・チョンを筆頭としたサイドキャラの面々たち。現実離れしたロボットバトルに現実味を帯びさせるための日常描写なのに、そこに何食わぬ顔でケン・チョンが紛れ込んでいる恐怖たるや。その他にも、レギュラーながらもアダム・サンドラー映画に出てるかのようなモードで登場するジョン・タートゥーロや、完全にコメディ映画内での変人バージョンだった『RED/レッド』のジョン・マルコヴィッチ、これまたコメディモードだった『イーオン・フラックス』のフランシス・マクドーマンドに、いつも通りだったドッジボール』のアラン・テュディックと、『スター・トレック2/カーンの逆襲』のレナード・ニモイがセンチネルの声をやってる事や、バズ・オルドリン本人が出ている驚きを軽く凌駕するエキセントリックな顔ぶれが集結。
第4弾も噂される本シリーズですが、その前に製作費を本作の10分の1程度で、上映時間を半分にして、アパトー一家の誰かに監督させたスピンオフをこの面々で作って欲しいなぁと。

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勝ち馬に乗る才能に秀でたお二方

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2011年12月12日

ドライブ・アングリー (Drive Angry)

監督 パトリック・ルシエ 主演 ニコラス・ケイジ
2011年 アメリカ映画 101分 アクション 採点★★

ニコラス・ケイジって、ホント自分の好みに素直な人ですよねぇ。何を犠牲にしても、自分のやりたいことをやり通してますし。素敵だなぁと思う反面、「誰か周りに止める人はいないのか?」と思ったりも。

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【ストーリー】
娘夫婦を惨殺し幼い孫を連れ去ったカルト教集団から孫を取り戻す為、ジョン・ミルトンは地獄の底からやって来る。しかし、そんな彼を謎の追跡者が追っていて…。

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『ドラキュリア』シリーズばっかり撮ってる印象のあるパトリック・ルシエによる、狙いは分かるが形に成り切らなかったお下劣アクション。
ニコケイを始め大物キャストが揃ってるとは思えぬほどペラッペラのCGと、こっちはニコケイが出てるのも納得の中坊の妄想的物語に驚かされる本作。手足が吹き飛びバットは頭を貫き、果てや『シューテム・アップ』ばりのハメ撃ちまで披露する下品シーンのオンパレード。いやぁ、楽しい!面白いかどうかはさて置いて、楽しい!
ただまぁ、このニコケイ版グラインドハウスなのであろう本作を、“分かってる人”が撮ってれば“楽しい”に“面白い”も加わった『マチェーテ』に成り得たんでしょうが、残念ながらそこまでは至ってないので薄っぺらさばかりが際立つ結果に。また、キリストに対し「あの大工、実は短髪の方が似合うんだよね」とか面白いセリフはあるものの、どっかで理性が働いてしまったのか、“地獄からの脱走犯”“地獄の追跡者”“カルト集団”“テキサスビッチ”と美味しい題材が揃っているのに、弾け切れずに程良い下品さに収まってしまったのも惜しいところで。“自分のはらわたで悪党を絞め殺す”とか、やたらとカーペンターズの曲ばっか流れてくるとか、作り手の正気を疑うようなシーンがあってもいいのに。

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“失楽園”のジョン・ミルトンから頂いたのであろう同名の主人公に扮しているのは、自分がカッコイイと思うシチュエーションを演じることに至福を感じるのであろう、『バンコック・デンジャラス』『キック・アス』のニコラス・ケイジ。今回も炎上する車をバックに悠然と立ち去ったり、アクロバティックな銃さばきを見せたりと、いつも通り“カッコ良い道追求”に余念がないんですが、如何せんあまりに小汚い。ヅラが不自然なのはいつもの事だからいいとしても、深酒後の寝起きみたいな風貌はどうかと。
そんなニコケイを中心に、実のところ劇中の面白い部分を全て背負っている、この作品のオアシスのような存在だった『ウルトラヴァイオレット』のウィリアム・フィクトナーに、『ザ・ロック』のデヴィッド・モースといった、マイケル・ベイ組の同窓会のような顔ぶれが揃った本作。その他にも、それなりに活躍したのにも関わらず生足しか印象に残らなかった『ゾンビランド』のアンバー・ハードや、カーペンター作品の常連でもあった『クリープス』のトム・アトキンスらも共演。この顔ぶれを見ると、つくづく程良い下品さに終わってしまったことがもったいないなぁと。
因みにエンディングに流れる曲は、先ごろパーソナルトレーナーにボコボコにされたことでも話題になったニコケイの息子、ウェストン・ケイジが歌ってるようで。まぁ、色んな意味でそこが一番下品だったかと。

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あれこれウヤムヤにする生足

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2011年12月08日

デビル (Devil)

監督 ジョン・エリック・ドゥードル 主演 クリス・メッシーナ
2010年 アメリカ映画 80分 ホラー 採点★★★★

振り返ってみると、“許す”って行為をあんまりした記憶がない私。もちろん些細な事はその場ですぐに許しますけど、大概は怒るのに疲れてしまってどうでもよくなってしまうか、時の経過と共に自然鎮火するかのどっちか。怒りがピークの時に“許す”ってのは、本当に難しいことですよねぇ。

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【ストーリー】
見ず知らずの5人の男女が乗り合わせたエレベーターが突如故障。彼らは閉じ込められてしまう。やがてエレベーター内の電源が一時的に消え復帰すると、その中の一人が何者かによって殺されていた。彼らの内の誰かが犯人。駆けつけた警官がモニターを見つめる中、電源が落ちる度に一人ずつ殺されていき…。

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ハプニング』のM・ナイト・シャマランが自身のアイディアを新進気鋭のスタッフに映像化させる、なんかベッソン映画みたいなプロジェクト“ザ・ナイト・クロニクル”の第一弾。アガサ・クリスティの“そして誰もいなくなった”にインスパイアされた今回のネタを担当するのは、『REC:レック/ザ・クアランティン』のジョン・エリック・ドゥードル。
悪魔をモチーフに描かれる本作。住所が333(666の半分)にあるビルの、6号機エレベーターが23階から42階(2×3=6、4+2=6)で停止し、42階に行きたい乗客と39階(9−3=6)に行きたい乗客らが閉じ込められる様を、TVでホッケーの試合を1分42秒(4+2=6)の所まで観ていた警備員が気付く、なにやら“6”を必死にアピールする悪魔が登場。
そんな自己顕示欲の強い悪魔の話題はさて置き、密室に閉じ込められた5人と事態を収拾しようと奔走する刑事の姿を、80分という非常にタイトな時間で描き切った本作。5人の素性が分かるにつれ、刑事も含めた彼らがある意図を以て“この場に集められた”ことが明らかになっていく物語が非常に面白い。“悪魔”ってのがぶら下がっている以上、観賞しながら犯人捜しをする気が起きないミステリーとしての欠点や、次々と先の展開をネタバラシするナレーションも、実は巧みにミスリードを促す上手い構成だったってのにも唸らされた。

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“幽霊”“宇宙人”“植物の反乱”など、とってもムー愛読者っぽいネタを手掛けるシャマランだけに、『ヴィレッジ』の次に作る予定だったとも言われる本作の“悪魔”ってネタも違和感がなさそうなのだが、これまでの作品がピュアで善なる世界をベースとして描いていたり、特定の宗教観に縛られない作風だっただけに、実は違和感が大きい。また、“贖罪”を振りかざし犯罪者を密室に閉じ込める如何にも“ソウ”的なやり口も、似合っているとは思えず。
ところが本作、蓋を開ければとってもシャマラン。悪魔も登場するし結構血生臭いのだが、『レディ・イン・ザ・ウォーター』でピークを迎えたシャマラニズムの片鱗を伺える、非常にシャマランっぽい作品。やはりそれは、“贖罪”以上に“許し”と“救済”をメインに描くピュアさ故ではないのかと。このシャマラニズムが伺える本作は、シャマラニストとしては満足のいく一本で。“シャマラニスト”って言葉を久々に使えたってのも嬉しいですし。
一部始終を眺める事しか出来なかったのにも意味があった刑事に扮したクリス・メッシーナを始め、『復讐捜査線』ボヤナ・ノヴァコヴィッチや『ビッグ・ヒット』のボキーム・ウッドバインなど、TVを中心に活躍する気鋭のキャストが集められた本作。
シャマラン本人が出ていないのはちょいと寂しいが、代わりにって言ったらアレだが、『デス・レース』のジェイコブ・バルガスがピュア要員として警備員役にキャスティング。「パンを落とした時、ジャム塗ってる面が下になっちゃうのは悪魔がいるからだ!」と、日常の些細な出来事を例に悪魔の存在を必死にアピールする様が、なんとも可愛らしかったなぁと。そうすると、私がパンを落とす時は常にトッピング面が下になってしまうのも、塗ってる面が重いからそうなるんじゃなくて、悪魔の仕業だったんですねぇ。“常に”ってことは、私の周囲に悪魔が常駐してるってことなんですねぇ。それはイヤだなぁ。

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こういうケース、“臭い”ってのが最大の敵だったりも

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2011年10月20日

ツイン・ピークス/第7章 (Twin Peaks Episode #1.8)

監督 マーク・フロスト 主演 カイル・マクラクラン
1990年 アメリカTV 47分 サスペンス 採点★★★★

【ストーリー】
ローラ殺害容疑でジャックを逮捕したクーパーらは、もう一人の容疑者レオの捜索を始める。そのレオは妻シェリーの浮気に激怒し、彼女を製材所に縛り付け自動発火装置を仕掛ける。しかし、家に戻ったレオはハンクに撃たれてしまう。その頃、病院で治療中だったジャックはリーランドによって殺害され、ホテルの戻ったクーパーも何者かによって銃撃されてしまう…。

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「久しぶりにツイン・ピークス観てみようかなぁ」と深い考えもなく“序章”を手に取ってしまったが最後、ズルズルと再びこの世界(及びシェリリン・フェン)に惹き込まれ、結局ツイン・ピークス三昧となってしまったんですが、とりあえず第一シーズン最終話の本章で一区切りと。
メインとなるクーパー銃撃、ジャック殺害とレオ銃撃以外にも、ネイディーンの自殺未遂に炎に包まれるシェリーとキャサリン、ナンシーの不機嫌な理由判明など、「さぁ、どうなる?」がてんこ盛りとなった本作。一番納得し易い人物をローラ殺しの容疑者に設定しながらも、どうにも釈然としない感じを残す作りも上手い。人物関係や置かれた状況が更にドロドロした誇大メロドラマ化する中、そのウブさがなんともイライラするドナとジェームズの見せ場がどんどん小さくなるのは仕方なしかと。
これだけ関心を引っ張られながらも、次の放送まで4カ月も我慢しなければならなかった当時の視聴者は、相当ヤキモキしたことでしょうに。私も「これで一区切りにしとこー」と言いつつ、シェリリン・フェン断ちする自信が全くありませんし。

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誘惑されない自信がないってことだけは、自信満々に言い切れる

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2011年10月19日

ツイン・ピークス/第6章 (Twin Peaks Episode #1.7)

監督 キャレブ・デシャネル 主演 カイル・マクラクラン
1990年 アメリカTV 47分 サスペンス 採点★★★

【ストーリー】
大人の余裕で難なくオードリーをやり過ごしたクーパーは、ブックハウス・ボーイズらと共に“片目のジャック”へと潜入する。一方のオードリーもまた、手にした手掛かりをもとに“片目のジャック”へと向かった。その頃、ドナとジェームズとマデリーンは、ローラが自身の秘密を録音したテープを手に入れる為に、ジャコビー医師の家に侵入しようとするが…。

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第一シーズンのフィナーレを目前に、前章より更に慌ただしくなる本作。因みに監督を務めているのは、『ライトスタッフ』『ナショナル・トレジャー』などで撮影監督を務め、『(500)日のサマー』のゾーイ・デシャネルの父親としても知られるキャレブ・デシャネル。
最終話を前にレオとジャックに捜査の的が絞り込まれる一方で、ジェームズのバイクに麻薬が仕込まれたり、か弱い被害者と思われてたジョシーの意外な一面が伺えたり、相変わらずルーシーの機嫌が悪かったりと、ばたばたと風呂敷を畳み始めるどころか、一気に風呂敷を広げてきた感が強い。ただ、慌ただし過ぎてお馴染の遊びが少ないってのは、やっぱり寂しいなぁと。まぁ、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』のレイ・ワイズ扮するリーランドの憔悴しきった遺族っぷりには当時大いに騙されましたし、大人らしい優柔不断な恋模様を広げている『暴走特急』のエヴェレット・マッギル扮するエドの変な扮装も観れたので、まぁ良しと。

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他人の金でやるギャンブルは楽しいでしょうねぇ

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ツイン・ピークス/第5章 (Twin Peaks Episode #1.6)

監督 レスリー・リンカ・グラッター 主演 カイル・マクラクラン
1990年 アメリカTV 47分 サスペンス 採点★★★

【ストーリー】
手掛かりを探す為に父親のデパートで働き始めたオードリーは、このデパートと“片目のジャック”との繋がりを発見する。一方、寝不足でご機嫌斜めのクーパーは、犯行現場である“ジャックの山小屋”の捜索を開始。道中丸太おばさんの助言を受けつつ、遂に山小屋を発見。大きな成果にご機嫌でホテルに戻ったクーパーだが、部屋のベッドでオードリーが全裸で待ちうけていて…。

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第一シーズンのフィナーレへ向けて、急に慌ただしくなってきたこのシリーズ。最有力容疑者にレオ・ジョンソンとジャック・ルノーが絞り込まれ、物語が一つの目的に向かってスピーディに展開するのは小気味良いのだが、ツイン・ピークスのお楽しみである大脱線振りが鳴りを潜めているのはちょいと寂しい。
とは言っても、シリーズきってのクズ男であるレオがただのチンピラに成り下がっていく様は痛快だし、オードリーの歪んだお転婆っぷりも観ていて楽しい。関わるとちょいと面倒臭そうなオードリーではあるが、あんな綺麗な子に付きまとわられるのもまんざらでもないなぁと、観ながらデレデレしていた私でしたとさ。

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万が一こんな状況に出くわしたら、一秒たりとも迷わない自信あり

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2011年10月15日

ツイン・ピークス/第4章 (Twin Peaks Episode #1.5)

監督 ティム・ハンター 主演 カイル・マクラクラン
1990年 アメリカTV 47分 サスペンス 採点★★★

【ストーリー】
ローラの母セーラが見たという幻の男の似顔絵を作成すると、それはクーパーの夢に出てきた“キラー・ボブ”と同一人物であった。同じく夢に出てきた片腕の男の居所を突き止めたクーパーらは、彼の滞在先を急襲。事件との関与は認められなかったが、意外な手掛かりを発見する。一方、クーパーにメロメロのオードリーは、彼の助けになる為に父親のデパートで働く事を決心する。その頃、保安官補のアンディは何故ナンシーの機嫌が悪いのか分からず悶々としていた…。

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煽りとスカしを交互に繰り返す本シリーズ。如何にも怪しげな片腕の男を捕まえたと思いきや、事件が進展するわけもなく「ママ!」と泣かれて終わっちゃうこの具合の素晴らしさたるや。それでいて全然話が進まないかと言えば、しっかりと新たな手掛かりを見つけ出しミステリアス具合を更に広げる巧みさに唸る。
今回は事件そのものよりも、周辺の人物関係に焦点が。早くして結婚した田舎の美人の旦那は往々にしてクズだってのは万国共通なんだなぁと、シェリーとノーマを見ながら痛感していたのだが、その二人の夫が意外な繋がりを持っていた事が判明する本作。まぁ、悪人同士なんで当然っちゃぁ当然なんですけど。また、クーパーは過去の恋愛話とずば抜けた銃の腕前を披露。銃を構えた姿が『ヒドゥン』の時と同じ顔でカッコ良いなぁと。
クーパーにメロメロのオードリーや、何故かプンスカ怒ってるナンシーの可愛らしさも際立つ本作ですが、一番印象に残るのはナンシーが夢中になって見ている“愛の招待状”とやらの安そうなメロドラマ。なんか、先が気になる
あ、そうそう。声だけですがリンチ本人が扮するクーパーの上司ゴードンも登場。

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中に宇宙人が入ってるとしか思えない腕前

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ツイン・ピークス/第3章 (Twin Peaks Episode #1.4)

監督 ティナ・ラズボーン 主演 カイル・マクラクラン
1990年 アメリカTV 47分 サスペンス 採点★★★

【ストーリー】
ローラの検死を巡り口論となったハリーはアルバートを殴り、ローラの葬儀ではボビーとジェームズが乱闘を繰り広げる荒々しい一日。ローラのいとこで瓜二つのマデリーンがツイン・ピークスにやって来る。その夜、RRダイナーにクーパーを呼び出したエドとハリーらは、自分たちは森の奥に潜む闇の存在と戦う“ブックハウス・ボーイズ”であることを告げ…。

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前章を「犯人が分かった!」で締め括り期待を大いに煽るも、物語が先に進むわけではなく、ひたすら横に広がり続ける本章。犯人についても、「夢で見たんだけど、覚えてないやー」で済ましちゃう。そもそも、夢の話にもかかわらず誰一人ツッコミを入れない世界観が素敵。これだからツイン・ピークスは堪らない!
闇の存在と代々戦い続ける“ブックハウス・ボーイズ”の存在や、夢をベースにした捜査方法など物語が別世界の方向へと突き進む一方で、シェリル・リーが二役で演じるマデリーンや、『クローバーフィールド/HAKAISHA』のクリス・マルケイ扮するノーマの服役中の夫ハンクも登場し、ただでさえ複雑な人物相関図が更に複雑に絡み合い始める本作。それでいて過度な集中力を要するわけではなく、自然と広がりと繋がりを理解できる構成も上手い。声を出して笑っていいのかどうか判断に迷うリンチギャグも健在で、今回は取り乱したリーランドがローラの棺に飛び乗り、その重みで棺が上下運動を繰り返す変なシーンを披露。
キャラクターの意外な一面が見え始めるのもこの頃から。今回は引退後移住する事を考え始めるほどツイン・ピークスに惚れこんでいるクーパーが、他人の恋愛関係を一目で見抜く能力を見せる。以前にもそんなシーンはあったが、今回からは賭けの対象になるほど凄いってことで、ほとんどネタ扱いに。

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奇人たちのお葬式

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2011年10月13日

トゥルー・グリット (True Grit)

監督 ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン 主演 ジェフ・ブリッジス
2010年 アメリカ映画 110分 西部劇 採点★★★

批評家やマニアの受けはすこぶる良いコーエン兄弟。何かしらの映画祭で話題になりますよねぇ。「映画祭向けに作ってんじゃないのか?」って思うほど。でも、確かに好きな作品も何本かはありますが、大概は題材やキャラクターの突き放し具合や、狙い澄まして「で?」で終わらせてるっぽい構成がどうにもあざとく感じて好きになれないんですよねぇ。なんかこう、「理解した!」って言っても言わなくてもインテリに鼻で笑われてるような感じ。

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【ストーリー】
雇い人であったチェイニーに父親を殺された少女マティは、父の仇を撃つ為に酔いどれで老齢だが“真の勇者”として評判の高い隻眼の保安官コグバーンを雇い、法の及ばぬインディアン領に逃げ込んだチェイニーを追う。同じくチェイニーを追うテキサスレンジャーのラビーフも加わり、過酷な旅の末にようやくチェイニーを捕えるのであったが…。

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ジョン・ウェインに念願のオスカーをもたらした『勇気ある追跡』の原作を、『ノーカントリー』のコーエン兄弟が再度映画化した西部劇。製作総指揮には、スティーヴン・スピルバーグが。ジョン・ウェイン版のリメイクではないので、ギャースカあれこれ比べるのは違う気も。アイパッチの位置も逆ですし。ただまぁ、「どっちが好きか?」と問われれば『勇気ある追跡』の方かなと。で、エンタメ度が増した軽妙さが楽しめる『オレゴン魂』は、それよりもうちょっと好き。
一本の筋道通りに物語が展開するってよりは、追跡劇を軸に小さなエピソードが散らばる叙事詩のような本作。それらのエピソードが最終的に何かを物語るかって言えば、相変わらず「で?」って感じになっちゃってはいるのだが、非常に美しく捉えられた荒野を背景に、独特なユーモアを交えて描かれる生きていくのに必死な生活描写が堪能できる一本に仕上がっている。
ただ、もちろん意図的なのではあろうが、キャラクターに然程関心が払われていない作りがやはり気になる。自分で言ってる通り及び他人に言われている通りの人物像か、何を考えているのかさっぱり分からないかのどっちか。コグバーンに関しては、彼独特の基準ではあるがブレのない正義感や、過去に失敗した子育てを背景にしたマティに対する感情ってのが薄っすらと見えるのだが、肝心のマティの感情が見えない。生前の父親の姿が全く描かれていないだけに、コグバーンに対してそれを求める描写がもっとあってもいいと思うのだが、その辺は華麗にスルー。最後に彼女が取る行動を見ればその辺は理解出来るのだが、“理解する”のと“感じる”のは別物だと思うんですよねぇ。
まぁ、厳しい意見ばかり述べてはしまいましたが、美しい荒野に馬の蹄の音が鳴り響く非常に西部劇らしい佇まいは堪能できたので、評価は甘めで。

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隻眼のガンマンであるコグバーンに扮したのは、『トロン:レガシー』『ヤギと男と男と壁と』などここ数年何気に大忙しなジェフ・ブリッジス。もともと西部劇も似合う上に、主流から外れてマイルールで動く男を演じさせたらピカイチな役者だけに、本作のような法の上に生きるアウトローな役柄がばっちりとハマっている。“結局コイツもアウトローである”って事に焦点を当てるって意味では、非常に理に適ったキャスティングではと。
一方マティに扮したのは、当時14歳で劇映画初出演となるヘイリー・スタインフェルド。なんかもう、とっても14歳らしい耐えがたいまでの小生意気さを見事に表現。“表現”なのか素なのかは不明ですが。それにしても、なんでしょう?この世代は“ヘイリー”って名前が流行ってるんでしょうか?
また、コミックリリーフなのか二枚目役なのかイマイチ分からなかったラビーフ役に、『アジャストメント』『グリーン・ゾーン』のマット・デイモンが、ボストンレッドソックスのBの字を模ったダブルのバックルを帽子に付けて登場。ヒゲともみあげで西部男っぽさを頑張って醸し出しているが、最近の役者の中では最も西部が似合う『プラネット・テラー in グラインドハウス』『インビジブル』のジョシュ・ブローリンに押され気味。まぁ、相手がジョシュじゃ仕方なし。
その他、マイケル・ビーンもオーディションを受けたというネッド役に、『unknown アンノウン』『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』のバリー・ペッパーが、見てはいけないものを一杯見てきたかのような暗い眼差しで好演。『勇気ある追跡』でロバート・デュヴァルがなで肩を目立たせながら演じたメインキャラだったのだが、今回はどんな人間なのかよく分からない小さな役だったのは、ちょいと残念でしたが。

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リメイクじゃなくても、ウィンチェスターをクルクル回しては欲しかったなぁ

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2011年10月12日

ツイン・ピークス/第2章 (Twin Peaks Episode #1.3)

監督 デヴィッド・リンチ 主演 カイル・マクラクラン
1990年 アメリカTV 47分 サスペンス 採点★★★

【ストーリー】
クーパー捜査官の奇抜な捜査理論に保安官らは面食らうが、その過程で国境近くで経営される違法カジノ店“片目のジャック”の存在が浮かび上がってくる。一方、娘の死のショックからか、父親のリーランド・パーマーは奇怪な行動を取り始める。その夜、クーパーは“赤い部屋”の夢を見、その夢をもとにローラ殺しの犯人が分かったと確信するのだが…。

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小人がクネクネと踊る真っ赤なカーテンに仕切られた“赤い部屋”がいよいよ登場する本エピソード。チベットがどうたらこうたらと言うクーパーの捜査方法や、何を言ってるのかサッパリ理解できない夢の住人たちなど、世界観が凄まじい勢いで奇怪な方向へと突き進み、これはただの殺人事件じゃないと言うか、そもそもこれは普通のミステリードラマなんかじゃないってことを強烈に印象付けさせてくれる。まぁ、こんなに皆が皆ヒソヒソと話すドラマもないですし。
本作から『ロボコップ』のミゲル・ファーラー扮する、口はすこぶる悪いが根っこはイイ奴であるアルバートが登場。また、オードリーの叔父として『コマンドー』『クロウ/飛翔伝説』のデヴィッド・パトリック・ケリーも登場。相変わらずのチンピラ臭が堪らない。
それにしても、どんな場所であろうが熱々のコーヒーと山盛りのドーナツをしっかりと用意してくるルーシーは、ホント優秀な助手だなぁと思った事もメモっておこうかと。

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どのジュークボックスにも自分のテーマ曲が入ってるって、羨ましいですねぇ

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