2015年04月11日

21ジャンプストリート (21 Jump Street)

監督 フィル・ロード 主演 ジョナ・ヒル
2012年 アメリカ映画 109分 コメディ 採点★★★

若返りの薬かなんかで好きな歳に戻れるってなったら、何歳ぐらいがいいかなぁ?もちろん、知識や経験ってのも戻っちゃう設定で。楽しいことしかなかった夏休みに限定すれば小学生ってのも良いし、乗り越えなければならない壁も多いが喜びと刺激も多い高校時代も魅力。一気に世界が広がった大学時代も捨て難いし、寝ながらウンコしようが微笑みひとつで概ね万人を幸せにする赤ん坊ってのも良いなぁ。そう考えると、なんだ中学時代ってのは?今思い返してみても不平不満ばかりだった記憶しかない暗黒時代。ウチの娘がソファーと一体化してトドみたいになってるのも、口を開けば同級生に対する不満ばかり言ってるのも、きっと中学生だからだ。そうに違いない。

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【ストーリー】
明と暗の真逆の高校時代をすごしたシュミットとジェンコの同級生コンビ。彼らは共に警察官となり、“見た目が若い”って理由だけで青年犯罪撲滅のため潜入捜査を行う特別捜査チームへと配属される。新型麻薬が蔓延る高校への潜入を命じられた二人だったが、学校生活の楽しさに没頭してしまい…。

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同名テレビシリーズを『LEGO(R)ムービー』のフィル・ロードがメガホンを握って映画化したアクションコメディ。生憎オリジナルシリーズを見たことがないので、“見た目が若いから学校に潜入”って大まかな枠組みが一緒ってのと、本作にノンクレジットで顔を出すジョニー・デップが出演してたってこと以外は全く知らず。
ザックリと言えば、ジョナ・ヒル版『25年目のキス』的な本作。あの姉弟を、ギークなジョナとジョックスのチャニング・テイタムに置換えた感じの。そこに、時代の変化とちょっとした手違いで立場が逆転する捻りを加えることで、本作独特の面白さを作り出すことに。また、この二人の掛け合いはどの場面も抜群の面白さ
ただまぁ、この舞台が特殊なのか、はたまた劇中で語られるように“glee/グリー”の影響なのかは判別できないんですが、なんともこの高校に魅力が感じられないのが痛い。麻薬が蔓延っているとは言え、隅々に配慮とバランス取りが行き届いた滅菌状態の、個人的には気持ち悪ささえ感じた学校描写のため、ジョックスがギークへと身を落としても然程過酷ではない大逆転の面白みに欠けた印象が。まぁ、これこそが私と“今”とのジェネレーションギャップなんでしょうけど。

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コメディアンとしてのみならずシリアスな演技や声優、はたまたクリエーターとしてもその才を存分に発揮する、『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』のジョナ・ヒル。本作でも製作総指揮と原案を兼任。イケてないグループ内での暴れん坊ってキャラ設定が多い彼ですけど、今回は相方に絵に描いたようなジョックス顔した『フォックスキャッチャー』のチャニング・テイタムいる分、その攻撃性を封印し、純粋にイケてない主人公を好演。もう、この二人の役割分担とバランス具合が最高。
それにしても、『僕の大切な人と、そのクソガキ』辺りの頃は太り過ぎてて心配になってしまったジョナでしたけど、本作では警官って役柄もあってか随分とスリム。急に痩せちゃったんで、それはそれで心配になっちゃったんですけど。
また、兄ジェームズ・フランコと共々に仲間内である『フライトナイト/恐怖の夜』のデイヴ・フランコや、“怒れる黒人”で検索すると上位5番目以内に出てきそうな『ゴースト・オブ・マーズ』のアイス・キューブ、もうちょっと出番が欲しかった『伝説のロックスター再生計画!』のエリー・ケンパーなんかも印象的で。
愚痴で締め括るのもアレなんですが、相変わらずこの国でのコメディの冷遇っぷりったら酷いもんですよねぇ。今ノリにノッてる二人のメガヒット作で、なんならジョニデを絡めて推すことも全然可能だと思うのに、劇場公開は案の定スルー。こっそりソフトは出るも、レンタル版は次回作の『22ジャンプストリート』と抱き合わせの様に最近やっとこ。どんな作品であっても劇場に足を運びたくなるような戦略を編み出すのが配給の仕事だと思いますし、それが成功すれば次の成功への可能性の幅が広がると思うんですけどねぇ。過去の名声とセンセーションに頼り切った今のやり方では、その可能性が狭まっちゃうのにと。たまに劇場に足を運んでも、何を観ようか悪い意味で迷ってしまう現状に、ついつい愚痴ってしまいましたよ。つうか、『キングスマン:ザ・シークレット・サービス』は公開しないのかい?

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こっちの高校なら入りたい

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2015年03月12日

沈黙の処刑軍団 (Force of Execution)

監督 キオニ・ワックスマン 主演 スティーヴン・セガール
2013年 アメリカ映画 99分 アクション 採点★★

しばらくサブタレから遠ざかっていたんで、セガールに収める年貢が随分と溜まってしまいましたねぇ。例のTVシリーズを含めると結構な量が。セガールが美女に挟まれニンマリする姿を観る為だけに、コツコツと消化していきましょうかねぇ。

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【ストーリー】
政府の汚れ仕事を請け負ってきたセガールは、今では暗黒街の大物に。やがてその地位を狙う新興黒人ギャングが台頭してくるが、ご立腹のセガールにコテンパンにされる。

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沈黙の逆襲』以降セガールの第一舎弟みたいになったキオニ・ワックスマンによる、泥棒ヒゲのセガールが悪人ってのが新味のアクション。じゃぁヒゲなしのセガールは善人かって言えばそうでもないので、やっぱりいつものセガール映画。
“ギャングの抗争”ってシンプルな物語のはずなのにストーリーがサッパリ頭に入ってこないってのもいつものことであれば、入ったら入ったでスルスルすぐに抜け出てしまうのも相変わらずの本作。ストーリー展開の殆どと大変なアクションは若手に任せ、頭に海苔を貼り付けて基本座ってるセガールが時々立ち上がってオイシイ所だけをかっさらう様に、「やった!セガールが立った!」と喜ぶいつものアレ。「立った!」って喜ぶのはクララとチ○ポに対してだけでもなく
まぁ、実質主人公であるブレン・フォスターの格闘アクションには目を見張るものがありましたし、『マチェーテ』で共演済みのダニー・トレホや、60代のセガールと70代のトレホさんに挟まれ若造扱いだった『ピラニア3D』のヴィング・レイムスなど、いっぱしな顔ぶれも揃っていて面構えだけは映画っぽかった本作。唐突に呪術シーンが始まったり、要所要所にセクシー美女を配置したりとセガールを接待する気配りだけは十分だったので、まぁいいかと。もうここまで来たら、“セガールが楽しそう”ってのが最重要項目ですし。

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剥がし易そうだけど剥がしたらスゲェ怒られるんでしょうねぇ

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2015年03月06日

沈黙のSHINGEKI/進撃 (Gutshot Straight)

監督 ジャスティン・スティール 主演 ジョージ・イーズ
2014年 アメリカ映画 89分 サスペンス 採点★

予告編に騙され、ポスターに騙され、紛らわしいタイトルにまで騙されて。
最近はどうも無難な作品ばかりが氾濫しているぬるま湯状況に慣れすぎちゃってたのか、映画ってのはあの手この手で観客から金を毟り取ろうとする作り手と、「もう騙されるもんか!」って観客とのせめぎ合いだってのをちょいと忘れておりましたねぇ。いけないいけない。

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【ストーリー】
ラスベガスでギャンブル三昧のジャック。ある日出会った謎の富豪ダフィーに誘われたジャックであったが、あるトラブルでダフィーを殺してしまう。ダフィーの兄ルイスからも無理難題を押し付けられてしまったジャックは、にっちもさっちも行かなくなり、已む無くセガールに泣きつくことに。

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あれ?これ、セガールただのゲストじゃん。
“ギャンブル中毒が変わり者の金持ちに「女房と寝てるとこ見せてよー」と言われ断ったら面倒臭い事になる”ってプロット自体は悪くはないんですけど、展開がとにかくかったるい。車のエンジンひとつ掛けるシーンにしろ、金を借りるシーンにしろ「コレ、いつ終わるんだ?」ってほど長い。そんなんだから序盤20分位で済ませられそうなところが70分掛かり、残り10分少々で全て解決しなければならない破綻っぷりに。しかも、「まさか最後にセガール出てきてヨヨヨイノヨイって終わらせないよな?」と冗談半分に思ってたことが現実になってしまう、悪い意味で期待を裏切らない唖然展開。なんかもう、映画を撮るって名目でギャンブルしにベガスに行ってたんじゃないかと思えるほど、作品に誰もやる気が感じられない一本でしたねぇ。
でもまぁ、「ギャラ貰ってベガスに行けるよー!」って号令で集まったのか、『沈黙の断崖』のスティーヴン・ラングに『ヒルズ・ハブ・アイズ』のテッド・レヴィン、セガールのバーターって感じにもなってきた『沈黙の追撃』のヴィニー・ジョーンズや、手直しが過ぎたのか怪物みたいになっちゃってたウェインズ・ワールド』のティア・カレルといった、なんかこうガラの悪い顔ぶれが集まってたのが見所だったかと。
で、セガール。拘束期間が1日くらいだったのか、劇中4日ほどは経過してると思われるのにずーっと同じシャツを着て、基本座りっぱなしのとっても楽そうなお仕事っぷりでしたよ。楽に稼げて良かったね!

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こういう老後の過ごし方ってのは、ある意味理想

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2015年03月02日

ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日 (This Is the End)

監督 セス・ローゲン/エヴァン・ゴールドバーグ 主演 ジェイ・バルシェル
2013年 アメリカ映画 107分 コメディ 採点★★★

極限状態に陥ったり異常な状況下に置かれると、人間はその本性を現すそうで。私自身はそこまで追いやられた自覚がないんですけど、飲み水や食べ物の確保が非常に困難だった震災後の数週間がそれに近いのかなと。その当時を振り返ってみれば、一家全員で日長一日本を読み耽り、停電中なので日が暮れれば何の疑問も感じず寝て、日が昇れば起き出して朝食代わりの煎餅をかじり、また本を読み耽るだけの繰り返しでしたねぇ。「それがお前ら一家の本性だ!」と言われちゃうと、なんかのんき過ぎて恥ずかしい

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【ストーリー】
カナダ時代からの友人セス・ローゲンに会うためロサンゼルスにやって来たジェイ・バルシェル。大のロス嫌いで他のスターとの交流も苦手なジェイはセスの家でゆっくり過ごしたいのだが、セスに誘われ嫌々ジェイムズ・フランコの家で行われるパーティに参加することに。大嫌いなジョナ・ヒルも居て気が滅入るジェイはパーティを抜け出すが、突如黙示録に描かれる世の終わりが訪れ…。

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2007年に出演した短編“Jay and Seth Versus the Apocalypse”をベースに、セス・ローゲンが『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』からの盟友エヴァン・ゴールドバーグと共に初監督に挑戦した黙示録コメディ。
バトルフロント』のジェームズ・フランコを筆頭に、『ピンチ・シッター』のジョナ・ヒル、『50/50 フィフティ・フィフティ』のセス・ローゲン、『魔法使いの弟子』のジェイ・バルシェル、『ピザボーイ 史上最凶のご注文』のダニー・マクブライド、『オフロでGO!!!!! タイムマシンはジェット式』のクレイグ・ロビンソンらが本人役で出演する本作。一応“極限状態でのスターの素顔”やら、“仲間内の本音と建前”、“善人が一番!”“セス・ローゲンの取り合い”ってなテーマは描かれているが、基本的には“仲良しが集まっての悪ふざけ”ってのが中心の一本。その他人が楽しんでる様を楽しめるかどうかが鍵になる作品ではあるが、私自身はカメオ出演するジェイソン・シーゲルの様にちょっと離れた所で微笑んで見ているって感じだったので問題なし。シモ関係にネタが集中しているが、男子が集まればそうなるのも当然なので不満もなし。ない方が気持ち悪いですし。
悪ふざけとは言っても、表向き清廉なジョナ・ヒルや下品なマイケル・セラ、他の作品イメージのまま下衆なダニー・マクブライドなど、本人役と言いつつもしっかりとしたキャラ作りがされていたり、アドリブの応酬の中で人間関係の本質を曝け出していったりと、セス・ローゲンの優れた観察眼と人物描写が巧みに出ていた作品でもあった本作。「コメディアンの観察眼ってすげぇんだな!」と再確認できた一本でも。

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先に挙げた名前以外にも、『40男のバージンロード』のポール・ラッドに『リベンジ・マッチ』のケヴィン・ハート、衝撃的にも程がある役柄で登場する『フォックスキャッチャー』チャニング・テイタムに、恥ずかしながら動いてるのを初めて見たエマ・ワトソン、インド映画的大団円を飾るバックストリート・ボーイズと、いちいち書いてたら名前だけでいつものレビュー以上の長さになるだけの顔ぶれが登場。一部を除いては基本的にセス・ローゲンと仕事をした仲間が集まっているんですけど、“フリークス学園”から僅か数年でこれだけの人脈を作り上げたってのは凄いなぁと。もちろん誇張もあるんでしょうが、やっぱり劇中で描かれてるようにセスは愛されキャラなんだろうなぁと。
なんだかんだ言っても、「あら、こんな所にリアーナが!」「ポール・ラッドが来たー!え?もう死ぬの?」とお馴染みの顔ぶれを含め大勢のスターが出てきては消えるのを楽しむ本作。コメディに縁遠い方にはちょいと楽しめないかと思いますが、マイケル・セラ&ジョナ・ヒル&クリストファー・ミンツ=プラッセの『スーパーバッド 童貞ウォーズ』トリオ再集結に大喜びできる私のような人間には楽しめる作品ではないかと。

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動く記念の一枚

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2015年02月28日

テッド (Ted)

監督 セス・マクファーレン 主演 マーク・ウォールバーグ
2012年 アメリカ映画 106分 コメディ 採点★★★★

映画に音楽にゲームといった娯楽だけじゃなく、食べ物から飲み物、女性の趣味に至る好きなものほぼほぼ全てが子供の頃から変わっていない私。好きなスポーツも、贔屓のチームや団体も変わっておらず。もう年齢的には十分過ぎるほど大人なんですけど、“大人になった”感がさっぱり湧かないのはこの辺に理由があるのかも。きっと好きなものが劇的に変わったり、大人になってから好きになったものが中心になれば大人の一歩なんでしょうけど、そんなのが全くないんですよねぇ。あ、ここで「大人になってから好きなものは女房です!」とか言っておくのが、大人の対応ってやつか!

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【ストーリー】
大好きなクマのぬいぐるみテッド以外は友達もいない孤独な少年ジョン。そんな彼に、あるクリスマスに奇跡が起こる。テッドに魂が吹きこまれ、人間のように動き話すようになったのだ。それから27年。中身が下品なオッサンと化したテッドと日々楽しく過ごしていたジョンであったが、ジョンの恋人ロリーはいつまでも子供じみたジョンに耐えられなくなってきて…。

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声優やアニメ作品のクリエーターとして活躍する『妖精ファイター』のセス・マクファーレン長編監督デビュー作となる、男なら標準装備されているはずの幼児性をオッサンのクマの形に具象化したコメディ。監督自身がテッドの声も担当。
セス・ローゲン絡みの作品でもお馴染みの男同士のグダグダした日常にブロマンス、そこに女性が入り込むことで強いられる変化、気を利かせた字幕でかえって分かり辛くなってしまっていたが細々とした映画ネタの数々に、劇中イジられる『スーパーマン リターンズ』同様事前の期待を大きく外したガッカリ映画の帝王フラッシュ・ゴードン』が隙あらばぶっこまれ、ジャン=リュックによるナレーションに何故か要所で駆り出されるトム・スケリットなど、成分の全てが面白いものと大好きなものだけで出来ていた一本。詰め込みすぎなのに疾走感が全く損なわれない作りに感嘆。
ぬいぐるみと人間の組合せ且つ、恋愛と同時に変化と成長を促される物語なので傑作『ザ・マペッツ』を髣髴させるが、仕事も車も全て自分より上の彼女に対し無理に背伸びするわけでも変化するわけでもなく、結局ありのままの自分を受け入れさせる主人公の姿に、ほぼ忘れかけていた『2番目のキス』を思い出すことに。そこに男にとっての都合の良さってのを多少感じるが、恋愛パートになると主人公がジョン・ヒューズなんかの時代のヒロインと化すので、然程気にならず。まぁ、良いも悪いも全部ひっくるめて認め合える相手が一番ってことですねぇ。
思えば、ヒッピーの時代なんかは『2001年宇宙の旅』のスターゲートのシーンがハッパのお供として知られてたんですけど、90年代頃になると“テレタビーズ”になり、本作ではそれが『フラッシュ・ゴードン』に。やったことがないので、もう一度言いますが、やったことがないので分かりませんが、やっぱり“原色でビカビカー!”ってのが良いんでしょうか?

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彼女からフラれてるはずなのに、どさくさに紛れて自分からフッたみたいになってる主人公兼ヒロインのジョンに扮したのは、『ローン・サバイバー』『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』のマーク・ウォールバーグ。40を超えてもそこらの気の良いあんちゃん役が似合う彼なので、責任感と知性はアレだが優しいことには違いない主人公にピッタリ。役柄的にセス・ローゲンやジェイソン・シーゲルなんかもハマりそうなんですけど、見た目の愛くるしさとは裏腹に中身はエロと毒気しかないテッドと絡むには、場をまろやかにするマーキー・マークが丁度よいのかと。
そんなマーク・ウォールバーグとテッドに意識が集中しがちだが、ヒールに堕ちそうなところを懐の深さで回避した『寝取られ男のラブ♂バカンス』のミラ・クニスや、下品になったジョシュ・デュアメルっぽかった『ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して』のジョエル・マクヘイル、作品上のアクセントとして機能していた『パーフェクト・ストレンジャー』のジョヴァンニ・リビシ、“ミレニアム”ファンとしては久しぶりに見れて嬉しかった『ザ・スナイパー』のビル・スミトロヴィッチなど、印象的なキャストも大勢。
その他、『デンジャラス・ラン』のライアン・レイノルズや、ノラ・ジョーンズ、『ホワイトアウト』のトム・スケリットに『クリープショー』のテッド・ダンソン、『スター・トレック/叛乱』のパトリック・スチュワートなど、ゲストの豪勢さも魅力。
そしてなんといってもサム・J・ジョーンズ。正直『フラッシュ・ゴードン』でしか見たことがないんですけど、相変わらず脳細胞の大半を知的なこと意外で使ってる感じが素敵。本国では今年の6月に公開予定の『テッド2』にも出ているようで。まさかこの時代にフラッシュを立て続けに拝めるとは思いもよらず。

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私の“思い出し笑いリスト”に「デブが走る音がする!」を追加

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2015年01月26日

闘魂先生 Mr.ネバーギブアップ (Here Comes the Boom)

監督 フランク・コラチ 主演 ケヴィン・ジェームズ
2012年 アメリカ映画 105分 コメディ 採点★★★★

“一発当てる”って夢ですよねぇ。妻もよくソファーと一体化している私に「何かやって一発当てなよ!クリスマスソングとか作ればいいんじゃない?」とか言ってきますが、「ハッピバ〜スデ〜ジ〜ザ〜ス♪」くらいしか浮かばない私に何を言ってるのやら。“一発当てる”って、目的に向かって努力して苦労して負け続けてきた状況が、ある事柄で大逆転することだと思ってるので、私自身そのスタート地点にすら立っていないと思いますし。でもまぁ、夢ではありますよねぇ。そういう夢を持つのは良い事だなぁと。ただ、お金を消費しているだけのギャンブル中毒が言うのは、ちょっと違うんじゃないのかなぁとも思いますけど。

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【ストーリー】
かつては最優秀教師にも選ばれるも、今ではその熱意を全て失いだらだらと日々を過ごす公立高校の生物教師スコット。そんなある日、学校の経営難により音楽活動の廃止と顧問のマーティの解雇を知ったスコットは、怒りのあまりつい自分が5万ドル近くの大金を集めると言い放ってしまう。もちろん案など何も浮かばないスコットだったが、ひょんなことで観た総合格闘技の試合で負けても大金が手に入ることを知り…。

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アダム・サンドラーのハッピー・マディソンが贈る、『Mr.ズーキーパーの婚活動物園』『もしも昨日が選べたら』のフランク・コラチ監督による闘魂コメディ。主演のケヴィン・ジェームズが製作と脚本も。
「教師が流行の総合格闘技をやる、イロモノコメディでしょ?」と思われそうだが、全くそんなことはない本作。確かにケヴィン・ジェームズがリングに立つ違和感が笑いの重要要素であるし、「負けても大金貰えんならいいんじゃね?」と志も著しく低い。しかし、その低い志ですら叶えるためにすら大きな努力と苦労が必要な様をしっかりと描いているし、主人公はそれを貫き通す。こう見えて王道のど真ん中を突き進む痛快作に仕上がっていた一本。今回も含め複数回鑑賞しているんですけど、その都度面白さに変わりがないのもこの“ど真ん中”故かと。
また、生徒たちとの交流はもちろんのこと、予算削減が教育現場にまで侵食し学びの機会すら失われつつある現状や、多民族国家であるというアメリカの基本を物語に盛り込み、それらが最後までストーリーに絡み続ける脚本の巧みさや、映画栄えを施しながらも思いのほかしっかりしていた試合描写など、テーマや題材を粗末にしない製作姿勢も好感度高し。これらがしっかりしているからこそクライマックスに興奮し、負けることから勝つことへと目標が変わる様に感動を覚える仕上がりになったのでは。

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主人公のスコットに扮したのは、『チャックとラリー おかしな偽装結婚!?』『アダルトボーイズ青春白書』のケヴィン・ジェームズ。太めのコメディアンというと“いい人”っぷりを全面に打ち出すことが多い気もするんですが、彼の場合は“でも実はいい人”ってな控えめ具合。程よくゲスで、程よく善人。それが役柄の幅や物語の幅に繋がるんですけど、本作でもそこが抜群。ぐうたらから熱血への変移も、低い志とその一貫性も、彼だからこそのハマり具合。アダム・サンドラー絡みの役者の中では、ずば抜けた巧さってのを持ってるよなぁと。
また、ここ最近アダム映画の常連と化してきた『フロム・ダスク・ティル・ドーン』『ダイヤモンド・イン・パラダイス』のサルマ・ハエックや、これまた常連である『リトル★ニッキー』のヘンリー・ウィンクラー、実兄でケヴィン作品にもれなく付いてくるゲイリー・バレンタインなど、安心印のキャスティングも魅力。
もちろん題材が題材なだけに、ケヴィンとの絡みも多いバス・ルッテンやクシシュトフ・ソシンスキー、ヴァンダレイ・シウバにマーク・デラグロッテ、石井慧などなど本物の方々も登場。
それにしても、数年前に予告編を見た時から日本での劇場公開は諦めてましたが、やっぱりこういった誰にでも楽しめる作品の鑑賞機会を著しく減らしてしまっている現状は納得いかないですよねぇ。洋画の場合は字幕と吹替えでスクリーンを二つ使うって問題と、メジャーな人が出てないと人が来ないってのもあるんでしょうが、少なくても後者に関しては宣伝する側の努力次第じゃないのと。まぁ、いつもの愚痴なんですけどね。

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棚からぼた餅が落ちてくるのを待ってるくらいなら作ったほうが早い

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2014年12月10日

天使の処刑人 バイオレット&デイジー (Violet & Daisy)

監督 ジェフリー・フレッチャー 主演 シアーシャ・ローナン
2011年 アメリカ映画 88分 アクション 採点★★★★

嫌いな人や物に対して徹底的に距離をとる様や、その物言いのなどから“好きなもの以外は全て嫌い”な人間と思われがちな私。でも逆なんですよねぇ、実際は。「似たようなもんじゃん!」と言われそうですが、“嫌いなもの以外が好き”なんですよねぇ。人に当てはめると、嫌いなタイプってのはその理由も含めて全くブレずに決まっているんですが、好きなタイプとなるとその時々で大きく変わることも。まぁ、好きになるってのは大方そんなもんなんでしょうが。

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【ストーリー】
10代のバイオレットとデイジーは、ニューヨークで一緒に暮らす仲良し二人組。仕事は犯罪組織から依頼されたターゲットをお気楽に殺すこと。そんな二人に新たな仕事が入るが、彼女らはイマイチ気が乗らず。しかし憧れのアーティストの新しいドレスが欲しいが為に仕事を請けるが、目の前にしたそのターゲットの様子がどうにもおかしく…。

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『プレシャス』の脚本でオスカーを獲得したジェフリー・フレッチャーが、自身の脚本を初めてメガホンを握り映像化したオフビートなクライムコメディ。
一言で言えば“下手”としか言いようのない本作。アクションはヌルヌルで、展開はスケッチの継ぎ接ぎ。父親と疎遠な娘たちと娘と絶縁状態の父親との関係の中から“父性”ってのをボンヤリと浮かび上がらせようとはしているが、目指していただろうスタイルよりも更にボンヤリとしてしまう結末。
また、わざと間の抜けたシークエンスを放り込んだりして、風変わりでスタイリッシュなアート系作品を作ろうとしている様子は伺えるのだが、如何せんヘタウマの“ウマ”の部分が身に付いていないので「背伸びして頑張ったね!」って印象しか残らず。

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「じゃぁ何で★4つの高評価なんだい?」って言われれば、そりゃぁもう私のツボを刺激しまくっていたから。ただまぁ、「どこが?」と言われると非常に困る。正直わからない。書くのが面倒くさいのじゃなくて、本当にわからない。これを書くために一晩置いてみたが、それでもやっぱり理由が浮かばない。
ただ言えるのは、いびつな間の空き方や緩い展開、少女たちの他愛ないにもほどがある会話とその声のトーンなどなど全てが、私にはどうしようもなく心地良く、目が離せず惹きこまれてしまったってことのみ。なんと言うか、動画サイトで関連動画を追ってるうちに辿り着いたホントにどーでもいい動画に訳もなく心を奪われてしまったり、深夜のテレビで流れているイメージ映像をぼーっと見ているうちに夜が明けてしまったりする、それにちょっと近い感情なのかもと。

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ただひとつだけハッキリしているのは、主人公の一人デイジーに扮した『ザ・ホスト 美しき侵略者』『ハンナ』のシアーシャ・ローナンの存在感がとてつもなく大きかったってこと。もう、本作の成分はほぼコレ。吸い込まれそうな青い瞳もさることながら、純粋から軽く足を踏み外しアホをこじらせたデイジーが発した抗いようのない魅力は彼女だからこそ出せたもの。もうなんと言うか、想像上の理想の娘。昨年惜しくも亡くなられたジェームズ・ガンドルフィーニがとてつもなく大きな包容力を見せてくれたのも、彼本人の力にこの“理想の娘”ってのが乗っかってきたからなのではと。これだけ優しく哀しげで、そして大きなガンドルフィーニを見れたのも非常に嬉しい
そんな二人を前にバランス取りに徹してしまった感もあったが、ラストに見せる心を通わせる友人同士だからこそ気付きたくないが悟ってしまった複雑な表情が印象的だった『シン・シティ』のアレクシス・ブレデルや、おもむろにシアーシャと手遊びを始める衝撃的シーンのためだけに登場する『マチェーテ・キルズ』のダニー・トレホらも良い味を出していた一本で。

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外で何をしていようが子供は可愛い

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2013年04月20日

トールマン (The Tall Man)

監督 パスカル・ロジェ 主演 ジェシカ・ビール
2012年 アメリカ/カナダ/フランス映画 106分 サスペンス 採点★★★

娘の同級生に、何週間も同じ服を着て学校に来る男子が。夏場になると異臭を発し始めるそうなのだが、クラスメイトたちは気を遣って何も言わないんだとか。修学旅行の際はさすがに違う服を着てきたらしいのだが、パジャマは持ってきておらず、翌日着る予定の服を着たまま寝たとのこと。その子のお母さんには私も何度か月光で会ったことがあるんですけど、極端に生活が困窮している感じも、田舎に多いギャンブルと酒の話題しかないようなタイプではなく、ごくごく普通の人って感じ。「じゃぁなんで?」と思ってしまうのですが、きっとただ単に息子に対し関心が全く無いのかなぁと。この子も親が違っていたらたぶん全く違う人生を送れたのになぁと、ちょっとばかし切なく思ったりも。

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【ストーリー】
鉱山の閉鎖によりすっかりと寂れてしまった鉱山町コールド・ロック。そんな町で幼い子供達が忽然と姿を消す失踪事件が続発。一連の事件が謎の人物“トールマン”によって引き起こされていると噂される中、診療所で働く看護師ジュリアの息子が何者かに連れ去られてしまう。しかし、この連続失踪事件には驚くべく秘密が隠されていて…。

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観てから書いてるですから、そりゃぁネタバレもしますよって
その多くがちょっとした家で出会ったり離婚した両親間のトラブルに巻き込まれたものであっても、年間何十万人もの未成年者が失踪し、内千人程が何の痕跡も見つからないままだと言われるアメリカの失踪事情をモチーフに、『マーターズ』のパスカル・ロジェが大胆な展開で描き出したサスペンススリラー。
フォーガットン』や『フリーダムランド』風の出だしから、あれよあれよと『ジーパーズ・クリーパーズ』等都市伝説ホラー的な香りが漂い始め、気が付いたら『ゴーン・ベイビー・ゴーン』に着地していた本作。その二転三転どころか、転がり落ちて前後不覚になったかのような大胆な展開に目が行ってしまうが、取り扱っているテーマの重さとリスキーさがなかなかに興味深い。
“大人の都合で左右される子どもの幸せ”“子供にとって必要なのは環境?/親の愛情?”などに深く切り込み、下手をすれば「なんだい?貧乏人は子どもを持っちゃいけないのかい?」と穿った見方をされてしまうリスクを恐れず問題を観客に投げかけた姿勢はアッパレ。失踪事件が大々的なニュースになってる割に意外と近くで子供らが堂々と暮らしていたり、子供達が置かれている環境の過酷さがイマイチ上手く描けていなかったりと詰めの甘さもあるが、観賞後しばらく考えさせられる一本に仕上がっていた。また、世界中にあることではあるが、殊アメリカで顕著な“児童失踪”“都市伝説”“都市部と地方の格差”を外国人の視点から眺めているって感じも印象的で。

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モラルや法ってのを度外視して“子どもの幸せ”のみを考えるのならばその行動も理解できなくもないが、でもやっぱり否定もしたい、そんな問題提起の塊のような主人公ジュリアに扮したのは『トータル・リコール』『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』のジェシカ・ビール。資金難で頓挫しかけた本作を、私財とギャラを投入して完成させたことで製作者にも名前を連ねている。基本的に善人のイメージが強い彼女の持ち味を活かしたからこそ、本作のどんでん返しが功を奏したのかと。いつもの明るいイメージを抑え、低いトーンでの好演も良かったなぁと。
また、自ら進んで親元を離れるが、新しい養母の希望をかなえる事ばかりを考えるその姿に幸福感が感じられない一方で、実家では治る事の無かった心因性発声障害がすっかり改善している様に、これまた深く考えさせられるジェニー役に『ケース39』のジョデル・フェルランドが。
その他、『インモータルズ -神々の戦い-』のスティーヴン・マクハティ、“キャンサーマン”こと『ゴースト・ハウス』のウィリアム・B・デイヴィス、『マリオネット・ゲーム』のサマンサ・フェリスなど、くせ者ぞろいのキャスティングも特徴的で。

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強硬派のあしながさん

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2013年02月02日

デンジャラス・ラン (Safe House)

監督 ダニエル・エスピノーサ 主演 デンゼル・ワシントン
2012年 アメリカ/南アフリカ映画 115分 アクション 採点★★★

出世欲のない若手が多いってのもアレですが、口では散々偉そうなこと言ってたのに、いざ責任あるポジションに就いた途端に「思ってたのと違う…」と逃げ出す若手が多いのも困りものですねぇ。思い通りにいかないのをなんとかコントロールすることが面白いのに。

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【ストーリー】
南アフリカ、ケープタウン。CIAの隠れ家の管理を任されていた若手職員のマットは、何事も起こらない退屈な職務に不満を募らせる毎日。そんなある日、かつてはCIA最高のエージェントと称えられながらも、今では最悪の裏切り者として恐れられていたトビン・フロストが連行されてくる。ほどなく謎の武装集団に襲撃され、トビンを連れ命からがら逃げ出したマットであったが…。

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CIAの新米職員が最重要危険人物である元凄腕エージェントとの逃亡劇に巻き込まれる様を描くサスペンスアクション。メガホンを握ったのは、本作が初ハリウッド作となるスウェーデン出身のダニエル・エスピノーサ。
明らかに“ジェイソン・ボーン”シリーズの影響下にある本作。「この人はボーンで言ったらあの人かな」と、キャラクターもほぼそこにすっぽりとはめ込むことが可能。そこから逆算的に黒幕が容易に判明してしまう弊害も。
じゃぁボーン観てれば事足りる亜流作品かと言えば、そんなことはなし。退屈な日々に不満を募らせる若者が元ベテランエージェントと出会った事で散々な目に遭い、その中で一人前となっていく男の成長物語として思いのほかシッカリとした内容に。マットが求める理想の仕事の行く末がトビンであり、トビンが失ってしまったかつての自分がマットであるという対比や、「こんな田舎じゃなくパリとかベルリンとか都会に行きたいよー!」と嘆くマットの前に、「いいなぁケープタウン。都会じゃん!」と羨む更に僻地の隠れ家を管理する職員が出てくるなど、テーマを明確にする要素も上手く織り込まれている。サスペンスとしての甘さや、苦みのない締め括り、組織の伏魔殿的な怖さがイマイチ活きていないって難点もあるが、骨太の成長物語として楽しめた一本だったかと。

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元凄腕エージェントであるトビンに扮したのは、『アンストッパブル』『ザ・ウォーカー』のデンゼル・ワシントン。出だしこそはなんかモーガン・フリーマンみたいな頭で登場し「今日のデンゼルはお爺ちゃんモードなのかなぁ…」と不安を覚えたが、髪を刈り上げてからはキメキメのカッコイイモードへと変貌するので一安心。見た目重視のアクション指導なのか、プロなのに銃の撃ち方がギャング撃ちってのはどうかと思いましたが、全体的には怖さと頼もしさが融合した良いデンゼル仕事。
一方のマットに扮するのは、『[リミット]』『アドベンチャーランドへようこそ』のライアン・レイノルズ。若手の中にいれば兄貴分な彼だが、今回は相手がデンゼルなんですっかり小童。まぁ、もともと強烈な個性を発揮するようなタイプではないんで、デンゼルを前に一際存在感が薄くなり過ぎてたってのはちょいと残念。
その他、『ミッション:8ミニッツ』のヴェラ・ファーミガや、『グリーン・ゾーン』のブレンダン・グリーソン、役柄がまんま『ボーン・アルティメイタム』のデヴィッド・ストラザーンにスコット・グレンを足しっ放しにした感じだった『ステルス』のサム・シェパードら、実力者が揃った本作。また、『センチュリオン』のリーアム・カニンガムや、『ネバー・サレンダー 肉弾凶器』のロバート・パトリック、『プレデター2』のルーベン・ブラデスらがワンスークエンスのみ登場するという、非常に贅沢なキャスティングも楽しめた一本で。

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隠れ家に守られていたのは、実は自分

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2012年12月31日

007 スカイフォール (Skyfall)

監督 サム・メンデス 主演 ダニエル・クレイグ
2012年 イギリス/アメリカ映画 143分 アクション 採点★★★

007に何を求めるのか?”ってのは人それぞれでしょうから私なんぞが「007とはこれだぁ!」と決めつけるのはおこがましいんですが、個人的に007に求めてるのって、案外“変わらなさ”だったりするんですよねぇ。その時代時代の流行をかじりながらも、全体的には時代錯誤とも言える変わらなさ。『トリプルX』でコケにされようが、『ボーン・アルティメイタム』によって新しいスパイアクションの時代が幕開けようが、イマドキの映画にとっては「コレいらねぇんじゃね?」って要素がしっかりと入ってる感じと言うか。その変わらなさがあるからこそ、それこそ名人芸を観た如く「待ってました!」と声を挙げれるのかと。

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【ストーリー】
何者かによって世界中に潜入しているエージェントのリストが盗まれ、Mの命令によりジェームズ・ボンドがそれを追跡。しかし作戦の失敗により、ボンドは銃弾に倒れてしまう。程なくリストを盗んだ者の手によりMI6本部が爆破され、ボンドの死と本部爆破事件によりMは窮地に立たされてしまうが、そんなMの前にボンドが再び現れる。ボンドは一連の事件の首謀者を追うが、その正体はMと因縁関係にある意外な人物で…。

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ネタバレを避ける気なんざさらさら無い方向で
製作会社の財政難など山積みだった問題を乗り越え完成した007シリーズ第23弾。今回メガホンを握ったのは、『ジャーヘッド』のサム・メンデス。細かい話でアレなんですが、“007”とタイトルの間に“/”がないのは1969年の『女王陛下の007』以来で、数字が半角なのは初なのではと。
シリーズの中でも異例の連作だった『007/カジノ・ロワイヤル』『007/慰めの報酬』とは、物語上直接的な繋がりのない本作。観終わった後でこそ「で、クァンタムはどうなったの?」と思ったりもするが、観賞中は全くそんな事を感じさせないどころか、“ボンド倒れる!”“MI6大爆破!”“ボンドの生家も大爆発!”など衝撃的な展開の連続に身を乗り出しっぱなし。クライグ版ボンド、通称“ダニボン”に付きものの辛気臭さも“悲壮感”として物語に重みを与えており、その重みとパワフルなアクションとの相性も良し。
“世代交代”“再生”ってのが中心に描かれていた本作。Mが本来の立ち位置に戻り、若きQとマニーペニーの登場、基本サイバー戦を挑む敵に対し時代錯誤を物とせず肉体で立ち向かうボンドと、時代の移り変わりと共に変化せざるを得ないもの、それでも変化を拒み続けるものを描いている。また、エキゾチックなロケーションと、そのエキゾチックさが具象化したかのような悪女、身体的に欠損をした悪役にアストンマーチン・DB5まで登場させ、“ボンド映画”そのものの再生をも試みる。スパイアクション映画単体としての面白さのみならず、ボンド映画への原点回帰を果たそうとした快作なのではと。
ただまぁ、ここまでやっていただいてアレなんですが、「これぞボンド!待ってました!」とはならない不思議

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それもこれも、唐突さが拭いきれない取って付けた感にあるのかと。
007/ゴールデンアイ』以降ジュディ・デンチに代わり存在感が増したはいいが、結局はボンドの足を引っ張る以外なんの機能も果たしていなかったMに対し常々「ボンドが倒すべき相手はMなんじゃね?」と思ってた私にとって、今回の“Mのリセット”は非常に有難い出来事であるんですが、過去2作との繋がりを捨ててまでの原点回帰は、その積み重ねの無さもありやはり強引。音楽の使い方もそうなのだが、今回から変わったトーマス・ニューマンによる如何にもイマドキのアクション映画風のスコアを散々流しておきながら、アストンマーチンの登場と共に突然“ジェームズ・ボンドのテーマ”が流れるってのには、「待ってました!」って喜びよりも「コレだろ?コレが欲しいんだろ?」と上から言われているような感覚を。なんと言うか、扱い方が“ネタ”
また、先に挙げたボンドガールや悪役に往年のボンド映画らしさを再現したのと同時に、ボンドもまたシェイクしたドライマティーニを嗜み、ユーモアを忘れず、無精髭をそって英国スーツに身を包む“ザ・ボンド”として再現。ただこれもまた、“ようやくスタートラインに立ったボンド”と言うよりは“カリカチュアされたボンド”という感覚を。
そもそもダニエル・クレイグにはボンドが似合わない。ただ、逆に言えばその“ボンドにだけは見えない”ってのがダニボンの強みであり個性でも。ボンド映画でありながらボンドそのものを破壊する、邪道ならではの面白さがダニボンにはあった。だが、その邪道が王道のリングに立ってしまうと、そこにあるのは違和感のみ。ダニエル・クレイグにしか出来ないボンド映画を否定し、ダニエル・クレイグには出来ないボンド映画へと向かっている印象が。ってか、何度スタートラインに立てば気が済むんでしょうか?
とまぁ厳しい事は言いつつも、“ダニボンをどう転がすか?”ってのがテーマでもあったここ数作同様新たな試行錯誤としては興味深かったですし、否応がなしに次回作へと期待を膨らまさせる作りも上手かったので、好き嫌いはさて置き否定はしない方向で。

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ボンド映画のお楽しみの一つでありながらも、ここしばらくは随分と小粒な印象しかなかった悪役。ただ『ノーカントリー』のハビエル・バルデム扮する今回のラウル・シルヴァは、そのヌメヌメした生理的嫌悪感も含め存在感抜群。緻密な計画な割には最終的に直接勝負を挑んでしまう様に「シアン化合物がちょいと脳に効き過ぎたのかな?」と思わざるを得ませんでしたが、もうちょっと掘り下げればボンドのダークサイドにもなり得た稀有な悪役だったなぁと。
また、レギュラーとして固定されるのであれば、決して出しゃばらないが出る時はキッチリとハンサムにキメて欲しい上司役に『タイタンの逆襲』のレイフ・ファインズ、マニーペニー役には、健気で控えめだが、それでいてボンドとの軽妙なやり取りの中に懐の深さも感じさせてくれたロイス・マックスウェルが印象的過ぎるだけに、正直「これがマニーペニーかぁ…」とガッカリもさせられた『フェイク シティ ある男のルール』のナオミ・ハリスが。そしてえらく若返ったQ役には、『パフューム ある人殺しの物語』のベン・ウィショーがキャスティング。Rはどうした?
その他、悪女としての見た目が完璧なだけにもうちょいドラマが欲しかったセヴリン役に大抜擢のベレニス・マーロウ、ボンドの子供時代を知るという、ある意味衝撃的な役回りに『ボーン・レガシー』のアルバート・フィニーが。毎度お楽しみの主題歌に関しては、今回は特に。「あぁ、らしいなぁ」って程度で。

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一度下げた暖簾を上げ直すのは結構大変

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posted by たお at 13:46 | Comment(6) | TrackBack(63) | 前にも観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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