2007年12月25日

トランスフォーマー (Transformers)

監督 マイケル・ベイ 主演 シャイア・ラブーフ
2007年 アメリカ映画 144分 SF 採点★★★★

私が子供の頃のオモチャと言えば、精々ボタンを押すと手がピョーンと飛ぶくらいのギミックしかなかったものです。瞬く間に手を失くします。手がないロボットが、部屋中にゴロゴロしちゃいます。で、最近のオモチャとなると、あれやこれやがガチャガチチャと変形し、何がどうなってそうなったのかがサッパリ分からないスゲィ物ばかり。「ちょいとオジサンに貸してみな」とアレコレいじり倒してみるのですが、出来上がるのは本来あるべき姿からは程遠い不気味なものばかり。まぁ、それはそれで「何コレー!すげー!気持ちワリー!」と大評判ですが。

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【ストーリー】
中東カタールの米軍基地に未確認ヘリコプターが着陸、突如ロボットに変形し無差別攻撃を始める。一方、ようやく父親から車を買ってもらった高校生のサムはロボットに変形したパトカーに襲われるが、サムの愛車もロボットに変形し彼を救い出す。

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スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮の下、『アイランド』のマイケル・ベイが監督を務めた日米合作アニメの映画化。
車やらヘリコプターやら携帯電話やら、ありとあらゆる機器に姿を変えられる金属生命体が善と悪に分かれ人類の存亡をかけた戦いを繰り広げる本作。あまりにアレコレ一気に変化してしまうので何がどうなっているのかサッパリ分からないって点もあるのだが、白昼の市街地であろうとその実存感に全く違和感を感じないCGが見事。個々のロボットに対する色分けが不明瞭な為、バトルとなるとどっちがどっちなんだか分からなくもなるのだが、重量感も含めて迫力は満点で、何よりも身近な機器が題材なだけに「コレが欲しい!」「こんなのが居てくれたら!」「オレの車も是非トランスフォームを!」と思わせたもの勝ちであり、本作はその点で充分そう思わせるだけの力がある。

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スピーディな展開と、全編クライマックスかのような力強い画面作りが持ち味のマイケル・ベイ。題材さえ伴えばその持ち味は発揮されるのであるが、中身の薄さを補うかのようにやたらと力強さだけが画面から滲み出てくるクドイ作品ばかりが続いていた感も。本作でも勢いに任せたばかりに早朝が突然夜に変わってしまってたり、今にもエアロスミスが流れてきてしまいそうな常時クライマックス演出に暑苦しさを感じはするが、『宇宙戦争』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』ばりの大破壊と『E.T.』『ニューヨーク東8番街の奇跡』を髣髴させるハートウォーミングな異生物との交流といった相反する要素を併せ持つスピルバーグ色が色濃く出た本作との相性は、決して悪くない。
その破壊と交流のバランスの良い配分と、数多く出てくる「なんで?」を吹き飛ばす力強くスピーディな展開、そして何よりも『アイアン・ジャイアント』『ターミネーター2』大雑把に括れば『ラスト・アクション・ヒーロー』なんかもそうなのだが、男の子なら一度は夢見る“少年とロボット”が題材の本作を嫌いになれるわけもないので、この評価で。

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あまり女の子にモテない高校生役をジャスティン・ロングと取り合ってそうな『コンスタンティン』『ボビー』のシャイア・ラブーフを中心に、まんまラムズフェルドな雰囲気で登場する『ミッション:インポッシブル』のジョン・ヴォイト、出てくるだけでコーエン兄弟の映画を観ている気になるジョン・タトゥーロ、今回は下ネタをだいぶ控えた『最終絶叫計画4』のアンソニー・アンダーソン、父親としてはある種理想的な『ギャングスターズ 明日へのタッチダウン』のケヴィン・ダン、いくら面白いことをやっていても目がちっとも笑っていないので常に緊張を強いる『ヒップホップ・プレジデント』のバーニー・マックと、豪勢とは言い難いが非常に効果的な顔ぶれが揃った本作。マイケル・クラーク・ダンカンやウィリアム・フィクトナーといったお馴染みの顔が出てこないのは若干寂しい気もしますが、メガトロンの声を『Vフォー・ヴェンデッタ』のヒューゴ・ウィーヴィングが担当してたりするのが嬉しかったりもするので、チャラ。
“コンボイ司令官”といった方が何となくピンと来るオプティマス・プライムの声には、オリジナル同様ピーター・カレン。吹替え版での仲本工事ばりのオッサン声が非常に印象的な“くまのプーさん”で、イーヨーの声もやっているんですねぇ。

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腰は低いがちゃっかり居座る

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posted by たお at 16:14| Comment(14) | TrackBack(143) | 昔観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月21日

トリプルX (xXx)

監督 ロブ・コーエン 主演 ヴィン・ディーゼル
2002年 アメリカ映画 123分 アクション 採点★★★

どういうわけか“個性的人間”を自称している人に限って、全くもって型通りの人間だったりするんですよねぇ。服装や髪型、音楽の趣味なんかに特徴を出す工夫をしてはいるんですが、それも“個性的人間への一歩”みたいなマニュアル通りだったりも。似たようなので「俺も昔はワルかったんだぞ」と酒の席で自慢話に花を咲かせるお父さま方もよく見かけますが、まぁそれは放っておいてあげましょうよ。思い出くらいは美化させてあげないと。

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【ストーリー】
チェコで暗躍する犯罪集団“アナーキー99”へ対する諜報活動が失敗続きの国家安全保障局は“ワルにはワルを”の論理のもと、反社会的行動を繰り返すエクストリームスポーツのカリスマ的存在であったザンダー・ケイジに目をつけ、力ずくでスカウト。コードネーム“トリプルX”としてチェコに送り込まれたザンダーは、易々とアナーキー99の内部へと入り込むが…。

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ワイルド・スピード』のロブ・コーエン&ヴィン・ディーゼルによる、主人公は型破りだが物語はすっかり型通りのスパイアクション。
展開には全くと言って良いほど新鮮味がなく、火薬量も多くひたすらに派手ではあるが大味で大雑把なアクションが満載の本作。しかしながら、同年に製作された『007/ダイ・アナザー・デイ』が近年の主流に乗ったかのようなCGを多用した熱気の伝わらない凡庸なアクションを見せ場としていたのに対し、本来007が見せなければならなかった卓越した人間業(及びそれっぽいの)をベースにしたアクションを前面に打ち出した作品って意味では、評価に値する一本。徐々に広がってしまったジェームズ・ボンドと観客との距離を表すかのように、いかにもスパイ然としたエージェントが場違い丸出しのタキシード姿でラムシュタインのライブ会場に迷い込むオープニングは絶品。何よりも、ファミリー客がウロウロするシネコンの大スクリーンでラムシュタインの御姿を拝めたのは嬉しい限りでしたし。
スパイ映画らしくユニークなガジェットが満載ではあるのだが、よく見ればソニーのハンディカムを二つ横にくっつけただけの“透視機能付き双眼鏡”や、同じくハンディカムを緑に塗って何か筒みたいなのをくっつけただけの“熱探知ロケット”など、ソニー色は見事に打ち出されているが豪華さはちっとも感じられないのは如何なものかと。まぁそんな倹約家ぶりは多少気にはなるが、歴史の重みと可愛らしさが混在したプラハの街並は見ているだけでも楽しいですし、ボンクラ心をくすぐるセリフの数々も気が効いているので、ほぼ満足。

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本作が成功したほとんどの要因を握っているのは、『リディック』『キャプテン・ウルフ』のヴィン・ディーゼルのキャラクター性。“ワルだけどイイ奴”という非常に都合の良いキャラを得意とする彼だけあって、凄味のある声とタトゥーに愛くるしいお目々と撫で回したくなるツルンとした頭という相反する要素が、主人公をより魅力的に見せることとなっている。大味さも安易さも本作と大差なかった続編『トリプルX ネクスト・レベル』に然程魅力を感じられなかったのも、彼の不在によるものがほとんどの原因。
顔半分に施された傷跡のメイクよりも、海苔が張り付いたような髪型が気になって仕方がなかった『スネーク・フライト』『フリーダムランド』のサミュエル・L・ジャクソン、“退廃”って言葉を具象化したかのような退廃美に鼻の下を伸ばしてみるも、よくよく見ればお父さんソックリで萎えてしまう『ラストデイズ』『ランド・オブ・ザ・デッド』のアーシア・アルジェント、主人公のワルっぽさにすっかり隠れてしまった『イーオン・フラックス』『ガレージ・デイズ』のマートン・ソーカスなど印象に残る役者も多い中、最も強烈な印象を残すのが『デビルズ・リジェクト〜マーダー・ライド・ショー2〜』『俺たちニュースキャスター』のダニー・トレホ。まぁ別に何かをしてくれるってわけでもないのだが、登場するや否や主人公らに爆笑される様に不憫さを感じ。

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その頭のソレ、どこで買ったんスか?

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posted by たお at 02:22| Comment(10) | TrackBack(2) | 昔観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月18日

デジャヴ (Deja Vu)

監督 トニー・スコット 主演 デンゼル・ワシントン
2006年 アメリカ映画 127分 サスペンス 採点★★★★

「あれ?ここ、前に来たことがあるような…?」とか「あれ?この人、前に会ってる気が?」っていう経験をすることの多い私ですが、まぁ得てして私の物忘れの激しさがそうさせているだけで。人の名前と顔を覚えようとする努力を全くしませんし。映画を観ていてもそんな経験をすることが多いのですが、まぁそれはネタが被っている作品が多過ぎるってだけの話で。

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【ストーリー】
ハリケーン“カトリーヌ”の傷跡が今も深く残るルイジアナで、500名以上の死傷者を出すフェリー爆破事件が発生。FBIの特別捜査チームに招かれたATF捜査官ダグは、政府が極秘裏に開発していた過去の特定のエリアを自由に見ることが出来る特殊装置を使い、事件直後に遺体で発見された女性クレアの周辺を捜査し始めるが…。

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ネタバレをしない方向で前向きに検討はしてみますが、どうせ口先だけの約束になるのでアッサリとネタバレしますと断言を。
マイ・ボディガード』のトニー・スコットとデンゼル・ワシントンのコンビで贈る、過去と現在を巡るSFサスペンス。“4日と6時間前のある特定のエリアの状況を360度自由自在に見る事は出来るが、巻き戻しも早送りも出来ない上に録画は出来るがとんでもないエネルギーを消費するってんで、時間と場所をピンポイントで特定しないとダメ”という、やたらと長い前置きと約束事の多い特殊装置に頼りきった物語だけに、その装置をアリとするかどうかで評価が激変しかねない作品ではあるが、私は大アリで。監視社会に警鐘を鳴らしてるんだか面白がってるんだか分からなかった『エネミー・オブ・アメリカ』になってしまいそうな不安も、この装置で強引に回避してましたし。
まぁ要は過去にある程度干渉が出来るタイムマシンを使って死んだ女性に一目惚れをしちゃった主人公が、あの手この手でその女性を救い出そうっていう対象が既に死んじゃってる『張り込み』みたいな物語なのだが、『マイ・ボディガード』『ドミノ』とここ最近派手な映像処理を多用していたトニー・スコットにしては随分とシットリした撮り方をしているせいか、下世話感も然程しない。また、やたらと制限の多い装置が生み出すフラストレーションも主人公の焦りやサスペンスの盛り上げに上手く機能しており、やや長めのランニングタイムを退屈させない。確かに“過去に送ったもう一人とは誰でどうなったのか?”とか、犯人が災害時における国の対応の悪さに怒りを覚えた国民の一人なのかただの狂ったテロリストなのか等、謎がそのまんま放置されちゃってる部分も少なくはないのだが、表面こそ復興しているが内部はまだまだ災害の傷跡が深く残っているニューオリンズの目を瞠る映像や、ダレ場を作らない歯切れの良さ、高級車がバンバカ派手にクラッシュする以外は比較的裏方に徹している感の強いブラッカイマー仕事など、概ね満足で。

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で、この手の作品になると「SFにはチトうるさいぜ、ボクは」という方々が「タイムパラドックスがどーのこーの」とのたまわり始めるのだが、その辺がチンプンカンプンな私にはサッパリ何のことやらなので、作品中の“現在”は、干渉された“過去”から派生した現在であるんだなぁとボンヤリと理解を。過去に送りつけたメモなど“卵が先か鶏が先か”みたいな話は、きっと頭のいい人がどこかで解説してくれてるはず。主人公が迎える最期も“存在しなくなった未来”の主人公であるので、“新たに派生した現在”の主人公が消滅するわけじゃないでしょうし、「でも、4日後にまた…」と勘違いしちゃう人も少なくなかったようですが、その辺もまた“存在しなくなった未来”で片が付くようにも。確かにこの辺をキッチリと押さえた『プライマー』には息苦しいまでの独特な面白さがあったのだがあんまり息苦しいのもアレですし、何千万年前に踏んじゃった蝶が生み出した変化が、今頃になってブワブワーって文字通り津波の如く襲ってくる『サウンド・オブ・サンダー』の様に無頓着過ぎるのもアレだが、ある程度ワンパクな方が映画としては面白いのではとも。本作もワンパクな映画として観れば、映像に一目惚れしちゃって過去にわざわざやって来る主人公は『ターミネーター』のカイルに見えてくるし、そうなると防弾チョッキを着込んで自動小銃を両手に大暴れするテロリストが、ランス・ヘンリクセンが演じるはずだったターミネーターに見えてきて、ちょっと楽しいですし。

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その整った顔立ちと童顔さで“結局は良い人”の枠からはみ出せなかったデンゼル・ワシントン。『トレーニング デイ』でも「悪人役を一所懸命頑張ってますっ!」って感じだったのだが、『マイ・ボディーガード』『インサイド・マン』などで良くなった恰幅も相まって、程よく翳のある人物が似合うように。頭脳明晰だが感情の起伏が激しく、正義感は強いが車をぶつけても謝りもしないざっくばらんな主人公に、デンゼルはぴったり。
もう痩せる気は全くないのかデップリと大きくなっちゃったが最後のセリフは見事にカッコ良くキメた『マインドハンター』『キスキス,バンバン』のヴァル・キルマーや、観る度にアパムへの怒りがフツフツと蘇る『プライベート・ライアン』『ゾディアック』のアダム・ゴールドバーグ、“全く信用できない男前”をやらせたら右に出る者のいない『ザ・コア』『カポーティ』のブルース・グリーンウッドらお気に入り俳優らや、『オーロラの彼方へ』で過去にちょっかいを出しまくっていた『unknown アンノウン』のジェームズ・カヴィーゼル、『バタフライ・エフェクト』で過去にちょっかいを出されまくっていた飛べないアヒル』のエルデン・ヘンソンなど、題材にマッチしたキャスティングも印象深い本作。しかし、その中でもセピアがかった色彩で更に磨きが掛かるポーラ・パットンの見惚れてしまうその美しさが、本作の色と印象を決定付けたのかもと。

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何が何でも片想いを成就させる男

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posted by たお at 17:06| Comment(20) | TrackBack(84) | 昔観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月10日

DOA/デッド・オア・アライブ (DOA: Dead or Alive)

監督 コリー・ユン 主演 デヴォン青木
2006年 アメリカ/ドイツ/イギリス映画 86分 アクション 採点★★★

美女が大好きなたおです。美女が複数だったりすると、なお良しです。カンフーも大好きな私なもんで、美女がカンフーしてたりすると色んなものを投げ打ってでも見入ってしまいます。もちろん水着でってオプションは外せません。しかしながら、なまじ好きなものだけに上手い下手はさておいても、どうせやるなら頑張っている姿勢だけは見せていただきたいもので、以前TVで流れていた保険かなんかのCMで、モデルあがりの某タレントが披露していたメリハリもやる気も全くないヌルヌルのカンフーもどきなんかを見ると、著しく憤慨したりすることも。「こんなんでいーんでしょー」って姿勢でやるくらいなら、最初からその仕事を請けるなと。

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【ストーリー】
抜け忍のかすみ、女子プロレスラーのティナ、女怪盗のクリスティーらは、科学者ドノヴァンが主催する最強格闘トーナメント“デッド・オア・アライブ”に招待される。優勝賞金1000万ドルのこの大会に、世界各国から強豪が集まるが、この大会にはある陰謀が秘められており…。

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美女に水着に爆発にカンフーと、男の子の大好きなものばかりを集めて一本の映画にすれば、そりゃぁもう夢のような作品になるかと思いきや、得てして失望するのは分かっているのにTVでやる度に観てしまうアンディ・シダリスが作る映画のようになってしまうのが世の常。私の大好物であるズンダ餅とピザとおはぎをカレーで煮込んでも、素晴らしく美味しい物が出来上がるわけじゃないってのと同じで。きっとそれは概ねカレーですし。世の中そんなに甘くないってことです。
ところが、それら全てを取り揃えながらも絶妙なバランスで仕上げた奇跡の一本『チャーリーズ・エンジェル』が登場。世界中の美女&水着&爆発&カンフーファンが狂喜乱舞し、「諦めないで良かった!!これからも水着姿の美女が爆発をかいくぐりながらカンフーする映画を観続けるぞ!!」と心に誓うも奇跡はそうそう起こるものでもなく、3人組の美女っぽい人たちがヌルいカンフーをする映画に失望する日々が続くことに。

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で、本作。3人組の美女プラスからだであそぼが「ハーッ!!」と構えているジャケットで、もうこっちは騙される準備万端。まぁ、格闘ゲームの映画化ということで、自分のタイミングで昇龍拳を出せないのがどれ程苛立たしいのかだけを痛感させられた『ストリートファイター』を思い出させ、同じく格闘ゲームの映画化であった『モータル・コンバット』の経験を活かしたいのか、製作に『ソルジャー』のポール・W・S・アンダーソンが噛んじゃっている、いくら準備万端でも拭い去れない不安は残るのですが。ところが本作、“ニホン”というどっか遠くの国を舞台にしたオープニングから、なかなかの飛ばしっぷりで面白い。まぁ、このオープニングで「キーッ!!国辱的だわよ!!キーッ!!」ってなってしまう良識のある方々には全くオススメ出来ませんが。
ただし、この乱暴なまでの元気さはオープニングだけで、忍者、女泥棒、女子プロレスラー以外のキャラクターに“オーストラリア代表はカンガルーの袋の中に入った小人”といった国辱的だがインパクトだけはあるキャラクターが不在で、大雑把な展開と特色が出ていないゲーム的画面処理、ノリも愛想も悪くただ右往左往しているだけのエキストラと、目に付く所ばかりではある。とは言え、さすが『キス・オブ・ザ・ドラゴン』『トランスポーター2』のコリー・ユンだけあって、身体能力によって差は出てしまうがやらされているアクションのレベルは非常に高く、なによりも展開上全く必要性がないビーチバレーのシーンを延々と映し出す“わかってる”具合に★一つオマケを。

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ちょっと城を出ただけで抜け忍扱いという、おちおち外出も出来ないお姫さま役に『シン・シティ』のデヴォン青木。得意技は、相手の首に鍼を打つ“キス・オブ・ザ・ドラゴン(仮称)”。なかなかキレのある動きを見せてくれるのだが、やっぱり表情には動きが全くない。『シン・シティ』では役柄上然程気にならなかったその無表情さだが、ある程度感情表現をしている設定の本作においても喜怒哀楽を全て一つの表情で乗り切る様は、首から下のギャップも含め一枚の絵を顔に合成したかのようで怖い。そんな能面面のデヴォン青木を含め、なかなかいいハイキックを繰り出すジェイミー・プレスリー、“お色気担当”なのであまり難しい要求は出来ないホリー・ヴァランス、日本刀の持ち方がバットと一緒で横浜ベイスターズの種田みたいになっちゃってるナターシャ・マルテなど、まぁ美女軍団と言っても差し支えはない顔ぶれを相手にするのが、もの凄く久しぶりに見たエリック・ロバーツ。ジュリアの兄。筋肉映画にも出ていた経験を活かしたつもりなのか、奇怪な動きで攻めてくる様に、何故か寂しさすら感じることも。最強になるアイテムがサングラスという、使い勝手は良さそうだが考えるまでもなく落ちやすいアイテム選択に、若干疑問が残りますが。
WCWとWWFで活躍した『ロンゲスト・ヤード』のケヴィン・ナッシュが、まんまハルク・ホーガンな扮装で登場するのも印象に残っているが、やはりここはケイン・からだであそぼ・コスギで。念願だったハリウッドメジャーへの出演ってこともあってか、ハードな立ち回りと、童貞臭ぷんぷんの役作りを難なくこなす好印象ぶりなのだが、DVD特典として収められているインタビューで、舞台裏について聞かれているというのに延々と虫が嫌いって話しをし、DVDを観ている皆さんへの言葉が「ボクもDVD観るのとか好きです」と、人柄の良さだけは充分過ぎるほど伝わってくるのだが、それ以外については色々と心配になってくる彼。これから色々と大変なこともあるでしょうが、まぁ頑張って。

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まぁ、記憶に残るのはこんなとこばかりですが

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posted by たお at 03:08| Comment(10) | TrackBack(39) | 昔観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月03日

ダウト (Slow Burn)

監督 ウェイン・ビーチ 主演 レイ・リオッタ
2005年 アメリカ映画 93分 サスペンス 採点★★

私なんかがまさにそうなのだが、男って生き物は後先を考えずに短絡的なウソをついてしまうので、瞬く間にバレてしまうんですよねぇ。「あなた、ウソをついておりますね?」「ハイ、そうでございます。ゴメンなさい」と。それに引き換え、女性のウソってのはなかなか見破れないもので。ウソなんだろうなぁと感じていても、掴み所が見つからず、そのうちどうでもよくなってきてしまうんですよねぇ。

【ストーリー】
市長選を控えた検事のフォード・コール。ある夜、優秀な検事補であり恋人のノラが男を射殺し逮捕される事件が発生する。彼女はレイプされそうになったための正当防衛を主張するが、そこへルーサーという男が現れ、事件は計画された殺人事件であると証言し…。

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相反する証言に翻弄される男の姿を描くサスペンス。
食い違う証言から事実を探し出す物語に並行して、その事件の背後にいる誰もその姿を見たことがないというギャングのボス、ダニーは誰なのかを探る本作は、明らかに『ユージュアル・サスペクツ』の影響下にある一本。スタイリッシュなノワール映画的方向性を狙ったようだが、生憎やたらとモタつく展開と、裏付け捜査をすれば瞬く間にバレてしまいそうなウソの数々に、緊張感も驚きも然程ない作品に。終盤、これまで散りばめられていたヒントを集めた回想シーンで「あぁ、やっぱりコイツがダニーかぁ」と誰もが思う中、主人公一人が勘違いをし続けている展開には、大いに驚きましたが。「オレは人のウソをすぐに見破れるんだ!」「オレはソイツの秘められた人間性を見破れるんだ!」と豪語するフォードとダニーの二人とも、全く口だけだったと判明するオチのつけ方に非常にバツの悪い格好悪さだけはヒシヒシと伝わってきますが、色々とドサクサに紛れて終わらせてしまうのは如何なものかと。

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『ハンニバル』で頭をパカパカさせていたレイ・リオッタが、主人公のクセに一人だけ蚊帳の外に置かれた検事に。ふてぶてしさが増したせいか、年々法の執行官役が似合うように。そろそろ“レディーはクールなジェームズを愛してる”って名前が照れ臭くなってきたのか、今回は本名のジェームズ・トッド・スミスでクレジットされている『マインドハンター』のLL・クール・Jや、『ドーン・オブ・ザ・デッド』の名物“赤ちゃんゾンビ”のパパだったメキー・ファイファー、『トゥモロー・ワールド』『ラブ・アクチュアリー』のキウェテル・イジョフォー、『誘拐犯』『リベリオン 反逆者』のテイ・ディグス、『インサイダー』『いとこのビニー』のブルース・マッギルなど、一癖も二癖もある顔ぶれがヒネろうと努力はしたがヒネり切れなかった本作を何とかフォロー。これだけ見応えある顔ぶれが揃うのも、なかなかないですねぇ。

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あまりウソは上手じゃないようで

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2007年08月02日

トータル・リコール (Total Recall)

監督 ポール・ヴァーホーヴェン 主演 アーノルド・シュワルツェネッガー
1990年 アメリカ映画 113分 SF 採点★★★★

朝目覚めた直後の、先ほどまで見ていた夢が現実の出来事としてまだ記憶に残っている僅かな時間ってのが結構好きだったりも。どんどんと消えていく夢の記憶を追いながら、夢であったことに失望したり安堵したりしながらベッドの中でウダウダとしている時間は、目覚めの一連の儀式のようなもので。時折ふと、「現実を“現実”として脳が認識している以上、夢もある意味現実だよなぁ」と考え込んだりもしますが、こんな考えから抜け出せなくなったら、それは分裂症というんですかねぇ。

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【ストーリー】
2084年。夜な夜な火星の夢を見ていた建築現場で働くダグは、実際に火星を訪れる代わりに望みの記憶を植えつけてくれる“トータル・リコール社”に出向き、火星旅行を疑似体験することに。しかしその装置がダグに秘められていたある記憶を呼び戻してしまい、途端に彼は謎の組織に追われることに…。

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“自分の記憶は本当に自分自身の記憶なの?”といった分裂症気味のテーマが多いフィリップ・K・ディックの短編小説“追憶売ります”を、“人間ってのは暴力とエロと血と臓物が詰まった肉袋なんだ”ってのを描き続けるポール・ヴァーホーヴェンが映画化。当初の予定通り『ヒストリー・オブ・バイオレンス』のデヴィッド・クローネンバーグが監督をしていれば、火星の空をバックにハッピーエンドを迎えたように思わせて、次のシーンではダグがトータル・リコール社の装置に座ったまま口から泡を吹いて痙攣を起こしている“今までのは全部植えつけられた記憶なんですよ”っていう真のエンディングを迎えていたのだろうが、ヴァーホーヴェンはその辺をバッサリ。結果、土方が火星でドンパチする作品になってはしまったが、これはこれで面白い。白い光に包まれるエンディングも、「これはやっぱり夢なのかも」と思わせ、辛うじてディックらしさも保ってますし。

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トップスターを主役に据えた莫大な予算をかけたハリウッド製“ご家族でも安心のSFアドベンチャー巨編”のようにも思える本作だが、開始早々シュワルツェネッガーの目玉がカニの目のように飛び出し、銃弾を避ける為に盾にされた通りがかりの一般市民はズタズタにされ、死体をブチュリと踏み躙り、まるで性病患者のように顔が崩れ落ちているミュータントが跋扈するアムステルダムの歓楽街のような街並を舞台とし、またも目玉が飛び出す本作は思いのほか血生臭く、「オッパイ3つある人とか出てて面白かったね、パパ!」と目をキラキラさせて喜ぶ息子に「そうだね」と即答しかねて狼狽する親御さんたちを続出させることに。これだからヴァーホーヴェン映画は堪らない。確かにあまりに都合が良すぎる展開の目白押しではあるが、如何せん本編そのものが作られた夢ですので、そこに目くじらを立ててもしょうがないかなと。

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税関を通り抜ける為にしては、プログラムされた語彙が「二週間よ」しかないのはどうかと思うオバサンスーツから、ダミーヘッドになっても然程違和感の感じない骨格を持つシュワルツェネッガーが登場するシーンが有名な本作。そのシュワルツェネッガーといえば“筋肉があれば大体は大丈夫”の筋肉演技が魅力なのだが、その反面“なんでそんなに筋肉が付いているんだ?”という理由付けも必要になることも。これまでもロボットだったり、“東欧の人は大体こんな感じなんだよ”と理由付けをされてきたが、今回は“土方だから”で一件落着。演技力云々を全て筋力で払拭する彼は、今回も当初はぎこちない台詞回しや、期待に胸を膨らませる表情を「ワクワクした感じの顔をして」と言われたままにやってみただけの表現力に不安感を募らせてくれるが、筋肉が活躍し始めるとそんな不安も一気に消し飛んでしまう。さすが大胸筋。
『ロボコップ』の時とほとんど同じキャラで登場する『キャノンズ』のロニー・コックスや、「『ロボコップ』ん時と同じキャラだからヤダ」と断られたカートウッド・スミスの代わりに頭頂部を含め色々似ていたからか、『ダブルボーダー』『マシニスト』のマイケル・アイアンサイドが筋肉の周りでギラギラギトギトと輝いているのだが、そんな彼ら以上のギラギト感をスクリーン上でもその裏でも放っていたのが、『ブロークン・フラワーズ』『ボビー』のシャロン・ストーン。色んな頑張りが『氷の微笑』でのブレイクに繋がったんだから、大したもんですねぇ。

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無害のフリをするしたたか者

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2007年07月30日

デュース・ビガロウ、激安ジゴロ!? (Deuce Bigalow: Male Gigolo)

監督 マイク・ミッチェル 主演 ロブ・シュナイダー
1999年 アメリカ映画 89分 コメディ 採点★★★

“ジゴロ”。いやぁもう、甘美な響きですねぇ。もちろん、そんな甘いもんじゃないんでしょうが、どうやったらなれるんですかねぇ。

【ストーリー】
女にモテない上に貧乏な水槽清掃人のビガロウは、ひょんなことから知り合ったジゴロのアントワンの家で留守番をすることに。ところがうっかりアントワンの部屋をメチャメチャにしてしまい、その修理代を稼ぐ為にジゴロになろうとするが…。

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“Hが出来る上にお金まで貰える”。そんな迷惑メールの文面のような甘い考えを、初っ端に登場するジャバ様が粉砕するアダム・サンドラー製作総指揮による一本。
“ロブ・シュナイダーがジゴロ”ってのが既にオチのエロコメを髣髴してしまうが、そこはアダム・サンドラーのハッピー・マディソン・プロダクション。縦幅と横幅が然程変わらなかったり、目と地面との距離が異常に離れていたり、一言が多過ぎたり、一本何かが足りなかったりする様々な女性のコンプレックスを主人公が克服させていく、主人公自身も含めた敗者復活戦的優しさを持った一本に仕上がっている。若干空回りをしているギャグや、今見ると背筋が凍る思いをする『マトリックス』のパロディなど目に付く部分も少なくはないが、『スカイ・ハイ』同様こじんまりとはしているが無難にまとめ上げたマイク・ミッチェルの手腕と、ブロンディーや10CCなどアダム映画らしい楽曲の使いどころが、安心感と居心地の良さを生み出した一本。とっくに完成している続編も是非観たいものなのだが、日本版のDVDはもちろん出ないんでしょうねぇ…。

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アダム映画ではいつ飛び出してくるのかハラハラさせまくりのロブ・シュナイダー。『がんばれ!ベンチウォーマーズ』など主役となるとさすがに瞬間的な破壊力こそ控え目にはなるが、その反面、細かい芸や普段は見れない優しげなキャラクターを存分に楽しめることも。まぁ、「You Can Do It!」を90分やられても辛いですし。そんな若干大人しめのロブを支えるのが、“黒い『オースティン・パワーズ』”の趣もあった『アンダーカバー・ブラザー』や『ニュー・ガイ』のエディ・グリフィンと、“ハムナプトラ”シリーズで砂丘の上なり山の上なり常に高い所に立ってた印象があるオデッド・フェール。エディ・グリフィンの芸達者ぶりはいつもながら感心させられてしまうのだが、その彼の存在感すら霞んでしまうオデッド・フェールの「ヨチヨチヨチヨチ、魚ちゃーん♪」は強烈。もう、反則
今回は『ホット・チック』の時のようなアダム・サンドラー自身による援護射撃はないものの、そこはアダム映画。アレン・コヴァートはシッカリと登場。そこが一番嬉しかったりも。

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常に場違い 常にアウェイ

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2007年07月25日

ダイ・ハード4.0 (Live Free Or Die Hard)

監督 レン・ワイズマン 主演 ブルース・ウィリス
2007年 アメリカ映画 129分 アクション 採点★★★★

子供の頃から映画を観続けてきて、その登場人物らに理想の大人像なり男像を見出してきちゃってた私。まぁ、どれもこれも理想のまま終わり充分に育ちきっちゃったんですが。ただ一つ、「あんなに他人を怒らせられるのは、あの人しかいないわ」と言われるような大人にはなれましたけど。

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【ストーリー】
娘に会う為にたまたまニュージャージーに来ていたニューヨーク市警のマクレーンは、その頃FBI本部で起きていたハッキング事件の容疑者の一人マットが近くに住んでいるということで連行する羽目に。しかし、マットの部屋に入るや否や、謎の集団の襲撃を受け…。

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“不運”がウリの大人気シリーズ“ダイ・ハード”の12年ぶりとなる新作。干支一回りぶりにマクレーンが戦う相手は、サイバーテロ集団。
アンダーワールド2 エボリューション』のレン・ワイズマンがメガホンを握るってことで、アクションだけは派手だが後はメタメタって映画になってしまうのかという不安もあったが、結論から言えば娯楽アクション大作“ダイ・ハード”の看板を背負うことに概ね成功した一本。これだけ前作との期間が開いてしまうと、マクレーンの“老い”ってのがテーマになってしまい、ゲホゲホと咳き込みながらヨタヨタと若いテロリストを殺しまくり、「この歳ではキツイよ」とぼやいて若者に後を託すような物語になっているかと思いきや、頑固度こそ増したが“老い”は全く感じさせないマクレーンが悪党を問答無用で殺しまくっている。元気そうでなによりです。一事が万事システム化されネットワークで結ばれた結果脆弱となってしまった社会を舞台に“デジタルVSアナログ”の対立構図で世代差を表現はしているが、極端な老いを感じさせない分、ブランクも感じさせない。

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“ダイ・ハード”シリーズと言えば、運悪くたまたま居合わせたマクレーンが大事件に巻き込まれ、助けも得られない状況でボヤきながら事件を解決するってのが基本ラインであり、その運の悪さとボヤきに笑いが生まれていたのだが、本作のマクレーンはいい加減その運の悪さに慣れたのか、然程ボヤかない。結果、人が発するユーモアが欠落してしまっているのは否めない。また、これこそ世代差によるものなのであろうが、後のデジタル処理の為になのか青味の抜けたいかにも“これがデジタルでござい!”な画像にも陰鬱さを感じてしまう。その“ユーモアの欠落”がレン・ワイズマンの持ち味であるのだが、その反面もう一つの持ち味“やり過ぎのアクション”が“やり過ぎればやり過ぎるほど面白くなる”本シリーズにおいて功を奏している。パトカーでヘリを撃墜し、変電所を爆破して、ハイウェイが全壊する本作のカタストロフ度の増加は凄まじいものがあり、その惨状の中を基本気合一つでくぐり抜けていくマクレーンの姿に独特な笑いが生まれ、その派手さも相まって概ね「ダイ・ハードを観た!」という実感が生まれている。『ティアーズ・オブ・ザ・サン』がダイ・ハードにならなくて、ホっといたしました。

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派手なアクションを撮るのに忙しくて人物描写なんてやってられないのか、パっと見で大体分かってしまう適材適所なキャスティングが光る本作。サイバーテロの首謀者には、理数系のビル・パクストンっぽい『ドリームキャッチャー』『ガール・ネクスト・ドア』のティモシー・オリファント、ハッカー役には外にいる時間より部屋にいる時間の方が年間を通してはるかに長そうな『ギャラクシー・クエスト』『ドッジボール』のジャスティン・ロングと、見事なキャスティング。その他にも『サンシャイン2057』のクリフ・カーティスや、気合が自慢の豪の者マクレーンをしなやかにいなしてくれそうな『M:i:V』『80デイズ』の幸の薄そうな顔立ちがとっても好みなマギー・Q、さすがに『ホステージ』の時のようにブルース・ウィリスの輪郭にデミ・ムーアのパーツを付けちゃったんで余白が随分と出来ちゃった実の娘を使うのは気が引けたのか、娘役には『ファイナル・デッドコースター』『ボビー』のメアリー・エリザベス・ウィンステッドを起用するなど、隅々もほとんど文句がない。ただし、せっかくテロリストの一人に素晴らしい身体能力を持つ『アルティメット』のシリル・ラファエリを使っているというのに、アクションを撮る際のカット割りがあまりに激しすぎるので、どんなに凄いことを彼がやっていても、全てCGに見えちゃうのはいただけない。多少前後とのバランスが崩れても、「この人はこんな凄いことを出来るんですよ!」とジックリ撮らないともったいない。身体を使ったアクションの撮り方に不満の多いハリウッド映画とは言え、『007/カジノロワイヤル』では出来てたんだから。

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で、ブルース・ウィリス。『シックス・センス』以降“憂い”ってのを武器にして、『16ブロック』『ラッキーナンバー7』などここ最近はどの作品でも終始沈痛な面持ちでいることが多かったのだが、さすがにジョン・マクレーンが終始幽霊のように憂いてたんじゃオカシイと思ったか、かつてのB型三枚目気質を若干取り戻した感がある。まぁあくまで“若干”なので、かつての「イヒヒ」と笑う下品さが堪能できるってわけではないんですけど。すっかりと頭を剃り上げちゃってるんで、プチブルースに見えることもしばしば。
締めを主役のブルース・ウィリスではなくケヴィン・スミスで終わらせるってのもアレな気もしますが、本作を劇場で観ようと思わせた要因のほとんどが彼の出演なので、まぁいいかなと。で、彼が扮するのは、スター・ウォーズ狂いでハッカー界のジェダイマスターと呼ばれ、いい歳こいて親と同居で地下室に篭りっきりという、ケヴィン・スミスのためだけに存在するような役柄。実際にスター・ウォーズマニアであり、ネット住人と『マグノリア』の寸評を巡り一戦を繰り広げ、そのウサを『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』で晴らした彼だけに、役柄というよりはほとんど素。そんなサイレント・ボブ全作品を合わせたよりもセリフが多いケヴィン・スミスの登場が本作の目玉でもあるのだが、せっかくオープニングのクレジットでSmithの“m”の字を消してSithに見えるように気を利かせたんだから、役柄の居住地もニュージャージーにしなきゃと、細かい不満を。

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DVD化の時に微調整でもして“4.2”とかにするんですかね?

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posted by たお at 01:14| Comment(32) | TrackBack(169) | 昔観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月10日

ディパーテッド (The Departed)

監督 マーティン・スコセッシ 主演 レオナルド・ディカプリオ
2006年 アメリカ映画 152分 サスペンス 採点★★★

気まぐれでムラッ気もあるもんで、映画を観てもこれといって心に残らないとさっぱり筆が進まないこともしばしば。そんな時はレビューの書き方自体を忘れちゃってることも多く、自分の昔のレビューを読み返して何となくそれっぽいのでお茶を濁すことも。

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【ストーリー】
ボストン。ヤクザな家系と決別すべく警官となったビリーと、マフィアのボスであるコステロによって育てられ、スパイとして警察に送り込まれたコリン。やがてビリーは潜入捜査官としてコステロの下へと送られ、一方コリンはマフィア撲滅を任務とする特別捜査隊に赴任する。しかし、警察もマフィアも内部に内通者がいることを嗅ぎつけ…。

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「『グッドフェローズ』のマーティン・スコセッシが『インファナル・アフェア』をリメイクする」って聞いた時は、小躍りして喜んだものでしたが…。まぁ、出来るだけオリジナルを抜きにしたレビューを。
畳み掛けるようにトントンと状況を説明していくオープニングから、パンチの効いた暴力描写を随所に挟み込み、一大叙事詩を手際よくまとめ上げる様は、非常にスコセッシっぽい。楽曲の選曲や使い方もスコセッシっぽければ、ドン詰まりの状況で主人公らがテンパっていく様もスコセッシっぽい。でも、“っぽい”だけ。この企画に対して気持ちが乗っていないのは当初からスコセッシ自身が口にしているのだが、それにしても“他のマフィアとの対立構図”とか“コステロの組織の規模”“重厚な闇の人間関係”など、本来スコセッシが得意としている描写が皆無なのは如何なものかと。そういった状況描写や人物関係描写が非常に大雑把なため、身分を偽ることで、命だけではなく自分自身そのものを失いかけるビリーと、偽った身分に新しい自分を見出すコリンの切羽詰った状況に深みが生まれてこない。慌てて帳尻を合わせるかのようにバタバタと人が死んでいくだけのクライマックスもアレだが、重荷を背負って生きる苦しみを味あわせることのない結末にも、随分と肩透かしを。

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羽目を外しきれないディカプリオや、監督のコントロールを振り切って羽目を外しまくるジャック・ニコルソン、全くもっていつも通りのマット・デイモンら、初めてポスターを見た時に浮かんだ予想から全く外れない主演陣。一方、リメイクに際し最も不安だった“誰がアンソニー・ウォンの役をやるのか?”なのだが、さすがにイカしててイカレてるアンソニー・ウォンに匹敵する俳優が見つからなかったのか、『カサンドラ・クロス』のイカしたマーティン・シーンと、『ザ・シューター/極大射程』のイカレたマーク・ウォールバーグの二人掛りで。このマーク・ウォールバーグが素晴らしい。『ビッグ・ヒット』にしろ『フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い』にしろ、ここ最近は気の良い兄ちゃん役に本領を発揮していた彼だが、今回はまるで何かの呪いでもかけられたかのように口を開けば毒を吐く強烈なキャラクターを演じている。髪型七三ですし。口の悪さの裏に仁義と愛情がタップリと含まれているマークのキャラに、★ひとつオマケ。『シャドー』のアレック・ボールドウィンも観れましたし。
で、アレコレ賞を獲得した本作。ベースにある面白さは無論オリジナルにある面白さであるので、功労賞的意味合いが強いとは言え世界一メジャーな映画賞を獲るのは如何なものかとも思ったものだが、まぁ作品のクォリティを競うというよりはお祭りの意味合いの方が強くなった賞なので、いいのかなと。

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やーめーろーよー

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posted by たお at 23:53| Comment(21) | TrackBack(106) | 昔観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月05日

沈黙の奪還 (Shadow Man)

監督 ミヒャエル・ケウシュ 主演 スティーヴン・セガール
2006年 アメリカ/イギリス/ルーマニア映画 95分 アクション 採点★★

「懲りずにまたセガールですか?」といい加減呆れられてしまいそうではありますが、またセガールです。懲りてません。年貢のようなものですし。にしてもセガール、Vシネのような作品ばかりとはいえ、映画作りには随分と精力的で。演技は面倒くさそうですが。本作を含め2006年に3本、これ以降には4本も控えてる。しかも、そのうち一本は『沈黙の要塞』以来久々の監督作。うわぁ。色んな意味でゾクゾクしますねぇ

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【ストーリー】
亡き妻の故郷であるルーマニアを訪れた元CIAのジャック。先に着いていた義父と娘に出迎えられるも、義父の乗った車が大爆発。娘も何者かに誘拐されてしまう。事件の背後に国際的な陰謀があることを知ったジャックは、大変不機嫌に。

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セガールのいつものアレ”との一言で済んでしまう作品ではあるが、それだけじゃぁなんですので、ちょっとばかし頑張って書いてみることに。
やたらと風呂敷を広げた挙句にセガールの脳内世界を詰め込んで収拾がつかなくなった脚本を、センスと才能が著しく欠如した監督が撮るっていうのがここ最近のセガール映画の特徴であったのだが、本作も大体そんな感じ。とはいえストーリーは思いのほかシンプルにまとめられているし、セガールが口を挟んだのであろう気功術などのセガーリズムも比較的控え目なので、作品全体が完全に破綻しているところまでは言っていない。まぁシンプル過ぎて、事件が発生してから解決するまでの1時間以上の間、物語が遅々として進まないってまどろっかしさは耐え難いですが。ソダーバーグのマネをしてみたものの、センスがないためにウザったいだけだったジャンプカットや手持ちカメラのブレなど技術的な問題点や、拳銃で戦闘ヘリを撃墜する『マクベイン』ばりのシーンの爆発シーンが非常に大雑把な合成だったり、何の脈略もなく登場した人物が解決のカギを握っていたり、何の脈略もなく裸の女性が登場してセガールと抱き合ったりする意味不明なシーン(セガールの自身へのプレゼント)、セガールの満面の笑顔で唐突に終わるエンディングなど、問題も非常に多かったりするが、ここ最近の作品の中ではまだ我慢できる範疇だったので★おまけで。まぁ、いい加減慣れてきたんでしょうけど。

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何本かのまとめ撮りなのか無頓着なのか、『沈黙のどれか』で観たことがあるような衣装で登場するセガール。“積極的に動かないアクションスター”としてその地位を確立しつつあるセガールは、今回も動きたがらないようで。駆け足程度であれ、ちょっとでも機敏に動かなければならないシーンは全て後姿か顔が切れている不自然極まりない構図で撮られているセガール。流石です。肝心のセガール拳も、技の巧みさよりも相手の派手な吹き飛びっぷりに重点が置かれているようで、みなさんライガーの掌底を食らったかのようにクルクル舞っております。極力動かないで強く見せることに余念のないセガールは、いよいよ気功術にも着手。次の作品あたりでは、構えただけで相手が吹き飛ぶ電波投げあたりを取得しちゃうんじゃないでしょうか。
喋るのも面倒くさいのか、座ると身体に付いた脂肪が声帯を塞いでしまうのか、「モシャシャ、モシャシャ」と何を言っているのかサッパリ分からないセガールではあったが、無意味なまでに胸の大きな女優をキャスティングする努力だけは怠っていないようで。以前来日した際には胸よりもお尻のほうが好きだと言ってたセガールだが、ウソをつきましたね?

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女優選びはセガールにとって最も重要な仕事

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posted by たお at 02:41| Comment(2) | TrackBack(5) | 昔観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする