2016年 アメリカ映画 115分 アクション 採点★★★
一般常識とはちょっとズレた、職場独自の習慣や風習ってのがあるって話をよく聞きますよねぇ。私自身はそこまで独特な社風の会社に勤めたことがないんですけど、強いて言えば、今の会社は外資のせいか、使う資料に写ってる人物が皆満面の笑顔で親指を突き上げてる外人だってのが、ちょっとヤダ。ポジティブを押し付けられてるようで、なんかヤダ。自己啓発セミナーに感じるような胡散臭さが、どうにもヤダなのよ。
【ストーリー】
凶悪犯罪が多発するアトランタ。ロシアンマフィアとの関係を絶とうと考えていた、元兵士や悪徳警官らで構成される強盗グループのリーダーであるマイケル。それを許さぬマフィアの女ボスのイリーナは、マイケルの息子を人質に、厳重な警備に守られた国土安全保障省の施設を襲撃する仕事を命令する。追い詰められたマイケルらは、警官が撃たれた際に街中の警官がその現場へ駆けつけることを最優先とする緊急コード“トリプル9”を利用することを思いつく。その標的として、新たに赴任してきた実直な刑事クリスに目を付けるのだったが…。
『ザ・ロード』のジョン・ヒルコートによる、群像サスペンス・アクション。なんかいっぱいいる音楽担当の中には、トレント・レズナーとの仕事で知られる『ゴーン・ガール』のアッティカス・ロスの名も。
法や道徳、世間一般の常識とは異なる犯罪者と警察官の道義と、それを踏み外してしまったがために起る混乱と悲劇を描いた本作。ザックリといえば風変わりな作風のジョン・ヒルコートにしては非常にオーソドックスな作りだったので、安堵半分、肩透かし半分って感じも。
プロの強盗グループと、それを追う警察の姿を二部構成のように描く、要は『ヒート』な本作。冒頭の強盗シーンや、警察による襲撃シーンに見られる、訓練を受けた者たちだからこその無駄のない美しさすらある動きが、犯罪都市である現場の空気感も含め非常にリアルに描かれているのが見どころ。ただ、そのリアルさに物語がさっぱりついて行ってない印象も。欲望や裏切りだけではなく絆の深さも描かれる、犯罪者グループがメインとなる前半はタイトな作りで良いのだが、警察が絡んでくる後半になると、バタバタと雑になった上に物語がフワフワしてしまう。主人公ポジションにいるはずのクリスは、振り返ってみると物語に絡んでそうで絡んでませんし。この警察描写の弱さは、作品のバランスを崩しているだけではなく、“警察の問題は警察内で処理をする”という独自の道義で締めくくる結末の持つ意味も弱めてしまっているのがなんとも残念。
随所に素晴らしい描写があり、非常に良い顔触れが揃っていただけに、「もう少しなんとかならんかったのかなぁ…」って印象が残る、なんとも惜しい一本で。
強盗団のリーダーを涙目で熱演していた『オデッセイ』のキウェテル・イジョフォーを筆頭に、単に真面目なだけではなく、斜めから冷めて皮肉めいた視線で物事を見つめているような眼差しが警官役にピッタリだった『ゴーン・ベイビー・ゴーン』のケイシー・アフレック、根っこの明るさが悪党になり切れない警官役にハマっていた『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のアンソニー・マッキーに、“欲”が前に出ていた『PARKER/パーカー』のクリフトン・コリンズ・Jrと、非常に良い顔触れが揃っていた本作。
そのメインどころのみならず、なにかキメこんだまま出てきちゃってたような『セブン・サイコパス』のウディ・ハレルソンや、下品さ丸出しだった『コンテイジョン』のケイト・ウィンスレットら大物勢に、『ブレイキング・バッド』のアーロン・ポール、持ち前の色気を封印していた『X-ミッション』のテリーサ・パーマー、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のガル・ガドットといった、若手勢にも良い顔揃いの本作。
中でも、監督自身も早期退場を惜しんでシーンを増やしたと語っていた、強盗団の心の要のようなラッセル役に扮した『ウォーキング・デッド』のノーマン・リーダスが素晴らしい。ホント、退場もうちょっと後でも良かったんじゃないかなぁ。
ヒルコート作品に出演するのがステイタスなのか、なんか最初に声掛けた人が全員快諾したかのような顔触れを一気に見れるだけでも価値ある作品ではありますが、その反面「もったいないなぁ」って感じも拭えなかった一本で。
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