2012年12月05日

セルビアン・フィルム (Srpski film)

監督 スルジャン・スパソイェヴィッチ 主演 スルジャン・トドロヴィッチ
2010年 セルビア映画 104分 ホラー 採点★

よくホラー映画に対し「こんな映画を観るなんて信じられない!」「こんな映画を作るなんて人間としてどうかしてる!」って意見を述べる方がおられますが、観てる人も作ってる人も別に格段と特殊なわけじゃない普通の人なんですけどねぇ。もっと極端に言えば、民族浄化だなんだと先日までの隣人を虐殺するような人も、基本的には普通の人。頭ごなしに否定だけしても、それは「自分は違うんだ」って証明にはならないと思うんですよねぇ。

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【ストーリー】
スターポルノ男優を引退し、愛する妻と息子と共に平穏だが退屈な日々を送っていたミロシュ。ある日かつての仲間から高額の報酬が得られる大掛かりなポルノ撮影の仕事の依頼を受けた彼は、生活が困窮していた事もありその話に乗る。しかし彼を待ち受けていたのは狂気にまみれた悪夢のような世界で…。

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倫理観の欠片もない描写の連続が話題となった、スナッフフィルムを題材にしたセルビア産ホラー。
書くことが無い。と言うか、書ける単語が無い。子を持つ身としては不快を通り越して苦痛でしかない、言葉にすることすら躊躇してしまう描写の連続。
ただ、困ったことに映画としての出来は良い。セックスの持つ加虐性/被虐性を突き詰めたトーチャーポルノを更に突き詰めたスナッフフィルムを題材とした本作には、“チ○ポで目玉串刺し”みたいなイカした描写もあるが、それ以外はその変態性にある意味真面目に真正面から向き合った陰惨で凄惨でモラルを踏みにじった描写が満載。「ほら、不快でしょ?」と観客の神経を逆なでして喜んでいる底の浅いモラル遊びではなく、全ての行為に“性的興奮”が裏付けられてるってのも性質が悪いが真面目。これが変態先進国でもある日本やドイツ辺りが作ったのならば“やり過ぎた一本”で済ませられるのだが、“歴史”と呼ぶには日が浅く手にこびり付いた血がまだ乾いていないセルビアが作ったって意味は大きいのかと。人間性やモラルってのが如何に脆いものなのかを体験してきた国だからこそ。
出来の良し悪しか好き嫌いが基準での評価が常なんですが、本作に関しては得るべき最大の評価と目標点が★ひとつだと思うので、こんな感じの評価に。

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自分が納得する言い訳があれば、人は結構何でもする

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タグ: ホラー
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2012年12月03日

幸せへのキセキ (We Bought a Zoo)

監督 キャメロン・クロウ 主演 マット・デイモン
2011年 アメリカ映画 124分 ドラマ 採点★★★

わざわざ動物園まで足を運んで見るスター動物たちも可愛いんですけど、ふと道端で出会う動物たちも滅法可愛いですよねぇ。外で出会う猫なんて、ホント可愛い。懐っこい野良猫なんて時間を忘れてイジリ倒しちゃいますし。家に似たようなのがうじゃうじゃいるのに

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【ストーリー】
最愛の妻を亡くし悲しみに暮れていたコラムニストのベンジャミンと子供達。妻との思い出に溢れた街を離れ新天地での再スタートを決意したベンジャミンは、街から遠く離れた郊外に理想的な物件を見つける。しかしその物件には、前オーナーの死後2年間閉園となっていた動物園と個性的な飼育員がもれなく付いてきて…。

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イギリスのコラムニスト、ベンジャミン・ミーの回顧録をベースに、『バニラ・スカイ』のキャメロン・クロウが映像化したヒューマンドラマ。
妻を失った悲しみ、母親を亡くした悲しみに暮れる一家が、動物園の再建という難題に取り組みながら家族の絆をも取り戻していく様を描いた本作。死の悲しみから逃避し続けていた主人公が、動物の死と正面から向き合うことで“今やるべき事”“本来向き合わなければならない存在”というものに気付いていく過程を、正直ちょっとうざったい思春期の恋愛模様などを絡め、時にユーモラスに時にエモーショナルに描き出した一本。直球ど真ん中の物語が、心地良い感動を生み出していたのかと。
しかしながら、「動物園買っちゃった!」って割には動物と動物園の存在感があまりに希薄。ヒッピー・コミュニティのような飼育員たちの特異性も、特に活かされておらず。施設は主人公を経済的に追い込む以外に機能していないし、動物たちは特にドラマを生み出さない。家族の一員であるはずの飼い犬なんて空気でしたし。また、妻のセリフ「Why not?」に絡めて愛の深さを表現したいのは分かるのだが、動物たちの命を一身に背負うには、町にとっての動物園の存在やそれまでの過程が不明瞭ってのも相まって、動機付けとしては勢いだけの無責任さも感じてしまう。動物と人間を天秤にかけてしまうラストなんて、もう痛恨の一撃以外の何物でもありませんでしたし。

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ただ、『コンテイジョン』『アジャストメント』のマット・デイモン映画として観る分には、その辺の不満も多少は解消。100%善人ながらもあざとさのない面持ちと、ちょいアホちゃん的でもある本能的な真っ直ぐさ、これまたアホちゃん的な頑固さと、こちらが期待するマット・デイモン像をたっぷりと堪能できる一本。“マット・デイモンのヒューマンドラマ”ってのから想定できる範疇から一歩も逸脱していない作品ではありますが、こっちは端からそれ込みで手に取っているので文句もなく。
その他、園内一の猛獣だった気もした『アベンジャーズ』のスカーレット・ヨハンソンや、『スパングリッシュ 太陽の国から来たママのこと』のトーマス・ヘイデン・チャーチ、『リベリオン 反逆者』のアンガス・マクファーデン、『男と女の不都合な真実』のジョン・マイケル・ヒギンズらもキャスティング。
そんな中でも、思い出の中の良い部分だけが集まったかのような『奇人たちの晩餐会 USA』のステファニー・ショスタクの美しさと、ヒッピー・コミュニティのフシギちゃんって感じがハマってた『SUPER 8/スーパーエイト』のエル・ファニングが印象的だったかと。

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上手い具合に飼育されてたのは主人公の方だったりも

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posted by たお at 11:38 | Comment(6) | TrackBack(45) | 前にも観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月24日

セレニティー (Serenity)

監督 ジョス・ウェドン 主演 ネイサン・フィリオン
2005年 アメリカ映画 119分 SF 採点★★★

面白い物語を脚本という形にまとめ上げれる最低限の知識と技術、その脚本の面白さを際立たせられる演出力。“スター”ってのには色んな役割があるんで、まずはこの二つがしっかりと土台として機能してないと意味がないと思うんですよねぇ、映画に限らずTVドラマも。当たり前のことなんですが。ところが、ネットやTVを見れば“○○主演の話題のドラマ!”“○○のドラマ大コケ!”とか、いまだタレント頼りのあり様。なんと言うか、幼稚。「TVはオワコン」とシタリ顔で言うのがスマートな印象を与える風潮ですが、映画ファンとしてはTVがしっかりとしてくれないと、間違いなく映画にもどでかい影響を与えてしまうんで頑張ってもらいたいんですよねぇ。

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【ストーリー】
500年後の未来。宇宙の統一を目指す“同盟”と凶暴な食人種族“リーヴァーズ”、同盟の思想に反発する反抗勢力が争いを繰り広げる中、何でも屋稼業に勤しむ退役軍人のマルコム船長ら“セレニティー号”のクルー達。その中には同盟によって最強兵器に改造された少女リヴァーも乗っていた。しかし、そのリヴァーは同盟を揺るがす秘密を握っており、彼女を追って暗殺者が送り込まれ…。

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熱狂的なファンを生み出しながらも第1シーズンで打ち切りとなった伝説的TVドラマ“ファイヤーフライ 宇宙大戦争”を、クリエイターである『アベンジャーズ』のジョス・ウェドン自ら劇場映画初メガホンを握り映像化したSFアクション。
どこか“スター・トレック”を彷彿させるオールドスクールなSF劇をベースに、そう言い切るにはちょっと微妙ではある美少女アクションや、ジョン・カーペンター風味もあるウエスタン的町並みにホラーな怪人と、筋金入りオタク系監督であるジョスらしい素材に溢れんばかりの愛情が込められた本作。絶対悪の存在しない(リーヴァーズがいるが出生の秘密を知るとそうも言ってられなくなる)中で繰り広げられる、“人間性を消去してまでも平和な世界を作り上げたい同盟”と“人間の本質と向き合って自由を求める反抗勢力”の争いの構図や、しっかりと性格付けされたバラエティ豊かなキャラクター勢など、作品の世界観がしっかりと練り上げられているのも見事。なんだかんだと強い絆で結ばれたハグレ者たちが主人公ってのも好み。序盤の混乱を乗り越えられれば存分に楽しめる一本なのでは。
ただまぁ、TVシリーズのファンへ贈られたお中元みたいな作品なので、シリーズ未見の私のような人間には若干入り込みづらい一面も。知ってれば尚更面白かったんであろうことを思うと、ちょいと口惜しい気もしてくる作品で。ソフト化されないかなぁ。

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ややいい加減で口ばっかりな印象もあるが仲間想いでキメる時はしっかりキメる、なんかハン・ソロみたいな主人公マルコムに扮した『スーパー!』のネイサン・フィリオンを筆頭に、そうなるとポジション的にはチューバッカな『ジャッカー』のアダム・ボールドウィン、『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』のアラン・テュディックらオリジナルキャストに、『ソルト』のキウェテル・イジョフォーなどがキャスティングされた本作。
中でも目を引いたのが、『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』で少女型ターミネーターに扮したサマー・グロー。ただ立ってるだけだと「なんか極端に個性的な顔だなぁ」って程度の印象しかないんですが、バレエで培った柔軟性を活かした格闘シーンとなると美少女に見えてくる瞬間すらあるほど俄然輝きだす。特別表現力に富んだ女優ではないようで、無表情なロボット少女か無表情な人間兵器少女くらいしかハマる役柄がないようですけど、それをやらせれば相当なものなので是非色んな作品で活躍して欲しいなぁと。マギーQと共演するとか。
でもやっぱり本作の顔は、アホウドリを模したっぽいデザインがなんとも可愛らしいセレニティー号かと。他にどんな機能があってどんな活躍が出来るのかとっても創造力を刺激する船でしたので、重ね重ねソフト化してくれないかなぁと。

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口からちっちゃいメカがゾロゾロ出てきそう

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タグ:★★★ SF
posted by たお at 15:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月19日

スノーホワイト (Snow White and the Huntsman)

監督 ルパート・サンダーズ 主演 クリステン・スチュワート
2012年 アメリカ映画 132分 アドベンチャー 採点★★

知り合いに、私が他の女性と楽しげに会話していたり他の女性の話題を話したりすると、途端に不機嫌になる女性が。「あらヤダ!惚れられてんじゃないの?」と周囲は冷やかしますが、原因は別な所にあるんだろうなぁと踏む私。そこそこ綺麗な人ですし、実際そうなら悪い気はしないんですけど、多分あの方は自分の所属するテリトリーでは常に自分が一番じゃなきゃ嫌だってタイプの人だと思うんですよねぇ。なんか面倒臭そうな相手なので、お得意の“人見知りモード”を発動して接する私だったとさ。

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【ストーリー】
美しき王女スノーホワイトは、継母として王国にやって来た魔女ラヴェンナによって父親のマグナス王を殺され、自身も城の塔に幽閉されてしまう。7年後、城を脱出したスノーホワイトは黒い森へと逃げ込むが、ラヴェンナが送り込んだハンターのエリックに捕まってしまう。しかし、ラヴェンナに騙されていた事を知ったエリックはスノーホワイトと共に逃亡するが…。

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“白雪姫”を剣と魔法の世界の“剣”の部分に特化し映像化したアクション・アドベンチャー。メガホンを握るのは、本作が長編デビューとなるルパート・サンダーズ。
“父の仇と奪われた祖国のために白雪が刀を手に立ち上がる”、そんな武闘派白雪を描いたアプローチ自体は面白い本作。ただまぁアレンジ自体は大胆なのに、出来上がった代物は“ロード・オブ・ザ・リング以降”のひな型にがっちりとハマった新鮮味の全くない一本に。粗筋と登場人物を白雪姫に変えただけ。短い予告編から想定できる範囲から一歩もはみ出ず、“真説/珍説白雪姫”といった趣も特にないので、「そろそろ小人の登場かなぁ?」「そろそろリンゴかなぁ?」と思った頃にそうなる、別に白雪姫じゃなくてもこんなアプローチ方法じゃなくてもいい残念な仕上がりに。名物“お目覚めキス”にはちょっと捻りが加えられてましたが、それに至るまでに充分ヒロインとヒーローの関係が完成されてたので、「まぁ、そうだろうねぇ」って感じ。
ただ、迫り来る“老い”に恐れおののくラヴェンナの物語は面白い。男に対する復讐の武器として、自分を守る防具として“美”をとことん磨き上げ、唯一無二も美人として君臨し続けようとする姿は非常にドラマチックなだけに、もっと彼女をメインに描いた方が良かったのかなぁと。
因みに劇場版よりもちょい長い“エクステンデット・エディション”とやらでの観賞でしたが、如何せん劇場版を観てないのでどこがどうなのかは分からず。

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修羅雪までは行かないまでも充分に武闘派であったスノーホワイトに扮したのは、『ゴースト・ハウス』『アドベンチャーランドへようこそ』のクリステン・スチュワート。内面からも輝き出る美しさを誇るってよりはゴスっ娘がハマる彼女だけに、どんな白雪を演じるのか楽しみだったんですが、特に彼女らしさが出ているわけでもない役柄上“白雪”って感じがなんとも残念。
ただ、一方のラヴェンナに扮した『ヤング≒アダルト』『プロメテウス』のシャーリーズ・セロンは、加齢と戦い続ける自身を反映したかの如く見応え充分。若さと美を失う悲壮感は、彼女くらいの美女だからこそより一層高まるのかと。ただまぁ気合が入り過ぎたのか、いささか仰々しい彼女のパートと、ロマンス絡みになると途端に学芸会みたいになる若手パートの演出格差が目立っちゃいましたが。
その他、“複雑なことは単純に単純なことは複雑に”の男子特有の単細胞さが本作でも上手に出てた『アベンジャーズ』のクリス・ヘムズワースや、『ケース39』のイアン・マクシェーン、『必殺処刑人』のボブ・ホスキンス、『復讐捜査線』のレイ・ウィンストン、『宇宙人ポール』のニック・フロストに『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』のトビー・ジョーンズらもキャスティング。
それにしても、ボブ・ホスキンスらが7人の小人に扮してたんですけど、正直彼らである必要性はあまり感じられず。なんと言うか、小人俳優には小人俳優にしか出来ない仕事があると思うんだけどなぁと。

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ある意味ミンストレル・ショー

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2012年10月16日

スペシャル・フォース (Forces spéciales)

監督 ステファヌ・リボジャ 主演 ダイアン・クルーガー
2011年 フランス映画 109分 アクション 採点★★★

素朴な疑問なんですが、日本人が外国でテロリストなり軍人なりに拉致されたとか捕虜になり、交渉でもらちが明かず国連軍も同盟国も「今いっぱいいっぱいだから、自分とこでなんとかしてー」ってなっちゃった場合、誰が遠路遥々敵地まで来て助けてくれるんでしょうねぇ?やっぱりアレですか?アントニオ猪木ですか?

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【ストーリー】
フランス人女性ジャーナリストのエルサが、タリバン系武装組織により誘拐されてしまう。フランス政府はすぐさまコバックス率いる特殊部隊6名を現地に派遣し、エルサ奪還作戦を開始する。奪還自体は難なく成功するのだが、敵の執拗な追跡と猛攻により通信手段を失った彼らは完全に孤立。次々と仲間を失っていく状況の中、彼らは国境を超えるため極寒の高山へと向かうのだが…。

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「アメリカが『ネイビーシールズ』なら、うちはコレだぁ!」と作られたのかは定かじゃありませんが、まぁそんな感じの一本。製作/監督/脚本は本作が初劇映画となるステファヌ・リボジャ。
“女性を救い出す”、その任務を遂行する為だけに全てをなげうつ兵士たちの姿がなかなか燃える本作。“滅びの美学”を描くようなエモーション過多な演出は施さず幾分あっさり味の作品ではあるのだが、そのドキュメンタリーめいた手法が、どんな過酷な状況においても感情を押し殺し任務を全うする男たちの哀しいまでにカッコイイ姿をより浮き彫りにしている。戦闘の合間合間に見せる中学男子のような素顔も、これまたその効果を増す形に。
やたら色んな物が爆発するような作品ではないが、積み重ねられた訓練がそのまま実行されているかのような無駄のない戦闘シーンが魅力の本作。それだけが100分続いても別に文句はないんですが、“戦闘劇→逃走劇→サバイバル劇”と内容も舞台も変わっていくので退屈しない構成も悪くない。そして何よりも、ロケ地タジキスタンの美しいが同時によそ者を受け付けない厳しい自然が、本作のもう一つの顔として素晴らしい効果を。いやぁ、やっぱりちゃんとロケしている映画は良いなぁ!

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意志の強さがまんま顔に出た『アンノウン』『ラスト3デイズ 〜すべて彼女のために〜』のダイアン・クルーガーを筆頭に、『パーフェクト・スナイパー』『エラゴン 遺志を継ぐ者』のジャイモン・フンスー、『ナイト・オブ・ザ・スカイ』『クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち』のブノワ・マジメルに、ポジション的には『エネミー・ライン』のジーン・ハックマンと変わらなかった『キス・オブ・ザ・ドラゴン』のチェッキー・カリョなど、フランス国内外で活躍する錚々たる顔ぶれが揃った本作。
そんな中でも最も目を奪われたのが、ハンサムスナイパーに扮した『ぜんぶ、フィデルのせい』のラファエル・ペルソナーズ。迷彩では隠しきれないハンサムさや一撃必殺のスナイパーとしての仕事っぷりもさることながら、敵の大軍を一身に引き受け味方を守る心身ともにハンサムな活躍に、ハンサム芸が大好きな私の心は鷲掴み。やっぱりハンサムってのは人一倍苦労と努力をしてこそ輝くものだし、その裏付けがあるからこそ何をやっても様になるんだなぁとつくづく思ったもので。

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ハンサムが無意識に染み出るようになったら本物

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2012年09月27日

スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜 (The Ides of March)

監督 ジョージ・クルーニー 主演 ライアン・ゴズリング
2011年 アメリカ映画 101分 ドラマ 採点★★★★

メディアってのは「オレたちが世論を牛耳ってるんだ!」とでも言いたいのか、とにかく印象操作にだけは手間暇かけますよねぇ。数ある実績から“成し遂げなかったこと”だけを抜粋してみたり、私も患ってる潰瘍性大腸炎を“病気”ってのに一括りにして“下痢で辞めた人”ってイメージを付けたりとか。発症したての頃はホント洒落にならない病気なのに。まぁ、思想や政策や国家観ってのには好き嫌いもあるんでバッシングしたくなる気も分かるんですけど、ドキュメント風に加工された情報を丸まんま鵜呑みにして拡散しちゃうってのは嫌だなぁと。そこまで同調者や共感者を探したりせずに、「私はこの人の思想は相容れられないんで支持しません」でいいんじゃないのかなぁ。

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【ストーリー】
民主党予備選の最有力候補となったマイク・モリス。大統領への道を確固とする為には落とす事の出来ないオハイオ州決戦を目前に、ライバル陣営との熾烈なキャンペーン合戦を繰り広げていた。そんな中、モリスに政治家としての理想の姿を見出し心酔する若き天才広報官スティーヴンは、敵陣営から引き抜き工作を仕掛けられる。そしてそれが政治世界のエリートとして歩んできた彼の歯車を狂わせていき…。

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選挙スタッフとしての経験を基にボー・ウィリモンが書きあげた戯曲をベースに、『グッドナイト&グッドラック』のジョージ・クルーニーが製作/脚本/監督/出演を務め選挙キャンペーンの裏側を描いていくサスペンスドラマ。製作者の中にはレオナルド・ディカプリオの名前も。
国家の未来と理想、そして正義を熱く語る選挙戦の裏側で繰り広げられる不正や計略、裏切りや愛憎劇など、政治の世界の理想と現実をまざまざと描き出した本作。その政治の世界で理想が妥協へと変わっていく様を、短時間ながらも駆け足になり過ぎずスリリングにドッシリ描いた良作。ちょっとしたエゴや功名心に足をすくわれた若き主人公の自己チューっぷりも、これが通用してしまう政治の世界の現実と、政治の世界でしか生きられない人間の本質を映しだしているようにも。一般の社会では“堕落した”だが、政治的には“向上した”と言うか。
決して美しくない現実のみを描いた作品ではあるが、と言ってもそこに“理想は通用しない”って絶望感もない。理想を貫くのは非常に難しいし、思惑うごめくパワーゲームの中で形を強制的に変えられてしまう事も多々あるが、それでも“貫くことは不可能ではない”という僅かばかりの希望もうっすら見える感じも。そういった意味でも、厳しい現実を見据え目を逸らさないまま理想を信じるジョージ・クルーニーらしさが出た一本で。

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主人公のスティーヴンに扮したのは、『ドライヴ』『ラブ・アゲイン』のライアン・ゴズリング。溢れだす感情を大々的に演ずるタイプじゃないからこそ、感情の見えないエリートスタッフとしての前半と、感情に走る後半とに見事なギャップが生まれたのでは。表面的には穏やかだが、内側にとてつもないエネルギーを抱えているかのような面持ちにより、ラストカットに何を言い出すのか不安すら感じる複雑な感情を見せられたのかも。
その他、語っている理想がほぼイメージに合致しているせいか、まるで本人が立候補しているようだったラスト・ターゲット』のジョージ・クルーニーを筆頭に、『マネーボール』のフィリップ・シーモア・ホフマン、『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』のポール・ジアマッティ、『僕の大切な人と、そのクソガキ』のマリサ・トメイ、『ミッション:8ミニッツ』のジェフリー・ライトら実力者が勢揃いしているのも嬉しい。
そんな実力者によって演じられる感情なき冷たい笑顔が並ぶ世界の中、唯一生身の温度を感じさせ、だからこそ翻弄され人生を大きく狂わせられてしまうモリーに扮した『レスラー』のエヴァン・レイチェル・ウッドが大きな印象的を。どこかダイアン・クルーガーを彷彿させるクールビューティだが、若さゆえの不安定さが隠しきれないモリーを好演していたなぁと。

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全員がブルータス

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2012年09月04日

処刑山 -デッド・スノウ- (Død snø)

監督 トミー・ウィルコラ 主演 ヴェガール・ホール
2009年 ノルウェー映画 91分 ホラー 採点★★★

どんなに平和そうに見える土地でも、過去には忌まわしい出来事の一つや二つくらいあったりしますよねぇ。私の住む地元にも、その長閑な田園風景とは裏腹に“女殺し”と呼ばれる地名がありますし。まぁ、その由来については聞く人によってマチマチなんですけど、たぶん誰かは死んだんじゃないのかと。

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【ストーリー】
冬山にバカンスにやって来た医学生の若者たち。そこへ突如ナチスのゾンビが襲来。彼らは一人一人と血祭りにあげられていき…。

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ゾンビがナチスで阿鼻叫喚なノルウェー産ホラーコメディ。
“ナチゾンビ”のインパクト一発勝負のキワモノホラーではあるが、思いのほかしっかりとした因果関係作りや気合の入ったゴア描写、メリハリの効いたスピーディな展開に豊富なギャグと、案外堅実な作りが好印象な本作。“ナチスの秘宝”がカギを握ってるかと思えば案外そんなの関係なくゾンビが暴れてたり、笑いと恐怖が噛み合ってるとは言い難かったりと難も少なくないが、どんな映画が好きでどんな映画にしたかったのか手に取るように分かる、その好きな物に対する素直さが好き。なんか自己紹介代わりに映画作ったみたいな。また、笑わせながらもバッドエンドに持っていくセンスも好み。
「ナチスのゾンビが出てきたよ♪」って以外は特に書くこともない作品なんですが、勝負に出たそのインパクトは充分過ぎるほど効果があったので結構楽しめた一本で。それにしても、最近の北欧ホラーはホント元気が良いなぁと。
因みに、登場人物の一人が着ていた“Brain Dead”Tシャツは、ピーター・ジャクソンのアレじゃなくて『ブレイン・デッド 死霊の晩餐』の方なのでお間違いなきよう。

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ノルウェーっ子にとっちゃ、こんなの冬の内に入らないんでしょうねぇ

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2012年08月29日

ジュラシック・パーク III (Jurassic Park III)

監督 ジョー・ジョンストン 主演 サム・ニール
2001年 アメリカ映画 92分 アドベンチャー 採点★★★★

シリーズ物ってヒットした一作目のネームバリューもあるから、ビジネスとしてはリスクの少ない優等生なのかと。ただまぁ、基本的に完成されたレールの上を走らなきゃならないし、どうあがいても一作目と比較されてしまうんで、作り手としてはやり辛いんでしょうねぇ。でも、「もうどうでもいい!」と開き直りがちな三作目辺りって、そんな破れかぶれな感じもあって案外面白かったりするんですよねぇ。『ロボコップ3』とか『ランボー3/怒りのアフガン』とか。

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【ストーリー】
大企業の社長を名乗るカービー夫妻から、今では誰も立ち入る事の出来ないサイトB周辺飛行のガイドを依頼され、枯渇状態の研究費の事もあり渋々承諾する古生物学者のグラント。しかし、カービー夫妻の真の目的は島で行方不明となった息子の捜索で、グラントの忠告を無視し島へ強行着陸。そんな彼らの前に、野放しとなった恐竜らが現れ…。

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ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』に続くシリーズ第三弾。製作総指揮に回ったスティーヴン・スピルバーグに代わってメガホンを握ったのは、『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』のジョー・ジョンストン。
マイケル・クライトンの原作から離れ、オリジナルのストーリーで展開する本作。一作目がパイオニアとして神格化されたせいか何かと評判の悪い作品ではあるが、“見た目が怖い”ってんでティラノより強いって設定になったスピノサウルスや、二週間やそこらでゲリラ戦の達人となる少年、擬人化の極みを見せるラプトルなど、“娯楽”ってのに特化した作りがなかなか面白い。「どうせ比べられる…」ってのを前に小さくまとまらず、堂々と開き直った姿勢が潔くて好き。
下手に小難しいテーマを語らず、見せるべきものだけをテンポ良く見せ続けた手腕も見事。ここで言う“見せるべきもの”とは、もちろん恐竜と恐竜バトル。もう、そこ集中。おかげで中身はほぼ空っぽにはなったが、「パンパカパーン♪」と軍隊がやって来るラストまでその空っぽ姿勢を崩さなかったのも立派。そもそも本作が目指してたのは、“学術的に正しい恐竜映画”ではなく、“恐竜が出てくる怪獣映画”なんでしょうし。また、どんな状況でもどこか明るさが漂っているのも、娯楽職人ジョー・ジョンストンらしくて楽しかったなぁと。

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デイブレイカー』のサム・ニール扮するグラント博士が“一作目のアノ人”に収まっている、主人公としての押しの弱さが難点ではあるが、それを補うかの如く個性的なキャストが揃っているのも本作の魅力。
「大企業の社長です!」と登場してもすぐさま「いやぁ、それはないなぁ」と思えてしまう、配役そのものがネタバレだった『ザ・バッド』のウィリアム・H・メイシーや、この頃はまだ“量産型シャロン・ストーン”及び“モルダーの嫁”でしかなかった『ペントハウス』のティア・レオーニ、『アイズ』のアレッサンドロ・ニヴォラに、『ドロップ・ゾーン』のマイケル・ジェッターなど、好みの面々が登場。
その他にも、「最初からこの人に頼んどけば事足りたんじゃね?」と思えた『チェイシング/追跡』のローラ・ダーンや、逆に救助に行かなくても何とかなった気もする『シックス・センス』のトレヴァー・モーガンらもキャスティング。
もちろん見所は恐竜の方々なんですけど、中でも「その細い顎でティラノに勝てんの?」って疑問もちょっとあったスピノサウルスと、いよいよ登場する大御所プテラノドンを観れたのが嬉しかったかと。子プテラノ可愛かったですし。

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対決しちゃうのもさせちゃうのも男の子の性なのかと

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2012年08月05日

シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム (Sherlock Holmes: A Game of Shadows)

監督 ガイ・リッチー 主演 ロバート・ダウニー・Jr
2011年 アメリカ映画 129分 アクション 採点★★★

独身時代に遊びまくった友人でも、結婚した途端なんとなく疎遠になってしまうことがありますよねぇ。遊ぼうと思っても「アイツの嫁さんに悪いしなぁ」とか気が引けちゃったり、いざ遊んだとしても家庭の話題が出ちゃったりすると妙に幻滅したりも。やっぱりアレですかね?男同士の友情の根底には、なにか恋愛感情にも似た物が流れてたりするんですかねぇ?

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【ストーリー】
19世紀末。各地で爆弾テロが続発。誰しもが反社会勢力による犯行と考えていたが、名探偵シャーロック・ホームズだけは、その事件の背後に天才犯罪者モリアーティ教授が関わっていると確信していた。そんな折、新婚旅行中だった親友で助手のワトソン博士とその新妻メアリーがモリアーティ一派に襲撃されるが、間一髪ホームズによって救われる。そして彼らは、モリアーティ教授の陰謀を阻止すべくパリへと向かうのだが…。

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ホームズが武闘派になってて驚いた『シャーロック・ホームズ』の続編を、前作同様ガイ・リッチーがメガホンを握って作り上げたミステリー・アクション・アドベンチャー。
宿敵モリアーティ教授との対決を描いた『最後の事件』をちょいとかじった本作。愛読者の方々であれば、「滝のシーンでの抱きつきっぷりが、挿絵に似てるー♪」とかより一層楽しめるんでしょうけど、私のように「ホウムズ?あの帽子被ってパイプふかした頭良い人?」って程度の認識しかないにわかであっても楽しめる、とっても親切な作りが嬉しい一本。相変わらず小忙しい展開なので、一本筋が通った物語なのに雑な感じがしてしまう難点もあるが、ガイ・リッチーらしい独特な映像センスとリズムに、ジョエル・シルヴァーらしい派手さと大味さが良い具合に融合されているので、全くダレることなく最後まで楽しむことが出来る。特に、名チェスプレーヤー同士の試合の如く、卓越した頭脳と肉体が直結した天才同士だからこそ可能な“戦わずして結果を導く”クライマックスは、この作品ならではのスリルかと。まぁ、物語自体は「ワトソンが結婚しちゃうなんてヤダー!」ってのを世界危機レベルまで広げただけのものでしたけど、そんなラブラブっぷりをこっちは観たんで特に不満もなく。
ただまぁ、その小忙しさもそうなんですがアプローチ方法も絵的にも前作からほぼ変化がなく、半年も経てば前作と頭の中でゴッチャになってしまいそうな個性の無さが否めないのは残念かと。

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武術に通じジャンキーでエキセントリックと、考えてみれば原作に忠実なホームズに扮したのは、引き続き『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』のロバート・ダウニー・Jr。ジャンキーでエキセントリックな役柄に彼がハマらないわけはなく、その悪童ならではのいたずらっ子気質も駄々っ子ホームズにピッタリ。問題ばかり起こして一時はどうなるかと思いましたが、メジャー大作に仕事をシフトしてからというもの、こういう彼独自の持ち味を活かしながらのびのびとした仕事っぷりが続いているので一安心。
一方ホームズに追い回されるワトソンに扮したのも、前回から引き続き『コンテイジョン』のジュード・ロウ。どっちかと言えば“動”のキャラなのだが、ホームズがあんまりにもあんまりなので“静”な感じがしちゃって良いコントラストが生まれる見事なコンビネーション。ツンデレをツンデレで返す、“イヤよイヤよも好きのうち”的キャラを好演。なんか自分でも何を言ってるのか分かりませんが。
その他、モリアーティ教授に扮した『ザ・ウォード/監禁病棟』のジャレッド・ハリスや、もうちょっと活かしようがあった気もするミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』のノオミ・ラパス、あっさり退場するのが残念だった『ウエディング・クラッシャーズ』のレイチェル・マクアダムスに、ある意味ひとりで英国色を背負ってた感じもした『Vフォー・ヴェンデッタ』のスティーヴン・フライらもキャスティング。

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posted by たお at 11:24 | Comment(8) | TrackBack(56) | 前にも観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月29日

ジャッカー (Cohen and Tate)

監督 エリック・レッド 主演 ロイ・シャイダー
1988年 アメリカ映画 86分 サスペンス 採点★★★★

ペットがその家の力関係を瞬時に把握するように、幼い子供も家族内の力関係を理解して行動するんだなぁと、9歳になる長男の大切な物ばかりを狙い撃ちして壊す2歳の末っ子の姿を見ながら思った夏休み。絵日記なんか書いてたら、毎日2歳児に泣かされた話ばかりなんだろうなぁ。もうちょっとしっかりしろ、長男よ。

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【ストーリー】
証人保護下にあった両親を襲った二人組の殺し屋に誘拐されてしまった9歳のトラヴィス。ヒューストンへと向かう車中でマフィアのもとへ送られ殺されてしまうことを知ったトラヴィスは、元々仲の悪い殺し屋同士を更に仲違させ、なんとか生き延びようと心理戦を挑むのであったが…。

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ヒッチャー』『ニア・ダーク/月夜の出来事』の脚本家として一躍注目を浴びたエリック・レッドが、自身の脚本を初めてメガホンを握って作り上げたサスペンスアクション。
主要登場人物3人、メインの舞台が車中と絵面はほとんど“水曜どうでしょう”ながらも、細かく描き分けされたキャラクターらが置かれた状況により逐一変化していく心境を効果的に描いたことによって、シンプルながらも物語に深みが生まれた“無駄のない良作”の典型的な一本となった本作。
メインのストーリーラインは“トンチ坊やが機転を利かして生き残る”という容赦のないホームアローンみたいな物語なので、冷静に考えれば事態は好転していってるのだが、視点が思いっきり殺し屋寄りなので、事態がどんどん悪化するサスペンスとしての盛り上がりと同時に、“簡単な仕事が子供のせいで泥沼になっていく”不条理な怖さすら。子供の立場になってハラハラするというよりも、「そんなガキに騙されるな!しっかりしろー!」と殺し屋を応援してしまう、悪を魅力的に描くことに長けたエリック・レッドらしさというところか。

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老練の殺し屋コーエンに扮したのは、『2010年』『ブルーサンダー』のロイ・シャイダー。結果的に子供を救ってるが、別に良心に従ってるわけじゃなくプロ意識に則ってるだけのストイックさと、家族に手紙を送るほんの僅かなシーンで人間コーエンを少しばかり覗かせる渋み溢れる見事な仕事っぷりで好演。仕事に対し非常に偉そうなことを言ってる割に、肝心な殺しは全てミスしてる詰めの甘さにも機械的ではない血肉ある殺し屋って感じを。主導権を握ろうとするが如く、車のハンドルを離そうとしない意固地な感じとかも。
一方ガキのせいで散々な目に遭う、ある意味劇中最大の被害者でもあるテイトに扮したのは、『プレデター2』のアダム・ボールドウィン。前年の『フルメタル・ジャケット』を引きずったかのようなマッチョな殺し屋を怪演。残忍で何事にも動じないターミネーターのような怖さを持ちながら、テンパると泣いちゃうお子様のような不安定さが怖い。
ザ・フライ2/二世誕生』でエリック・ストルツの幼少期を演じたハーレイ・クロスに、これといった可愛げも憎々しげもない、とっても普通の男児だったってのが食い足りない部分なんですが、その辺を殺し屋二人が存分に補った好キャスティングかと。

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posted by たお at 11:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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