2006年08月25日

スーパーサイズ・ミー (Super Size Me)

監督 モーガン・スパーロック 主演 モーガン・スパーロック
2004年 アメリカ映画 98分 ドキュメンタリー 採点★★★

体質のせいか、ろくすっぽ筋肉も付いていないせいか、高校時代から大して太ることもなく同じような体重で歳だけとってきた私。20年近く似たような体重だったのだが、過去に一度だけ“太った”ことが。その昔、アメリカに2ヶ月ほど滞在していたのだが、到着後最初の食事が5人で行ったピザ屋で、5人分のピザを頼むと出てきたのが4人掛けのテーブル並の大きさの鉄板にのったピザと、バケツ級の大きさのピッチャーになみなみと注がれたコーラ。しかし、このボリュームに驚くのも最初のうちだけで、あとはナッツやらマシュマロやら余計な物ばかり入ったアイスをバケツ食いしたり、甘さのみを追及したお菓子を頬張り、カロリー重視のアメ車並に燃費の悪い食生活を続けた結果、あれよあれよと20キロ肥えることに。たった2ヶ月でこれですからねぇ。

【ストーリー】
「私らが太ったのはマックのせいだ!」と訴えた若い女性二人組のニュースを見たモーガンは、あたかも常識のように言われてはいるが“本当にマックばかりを食べると身体に悪いのか?”を実証する為に、一ヶ月間食事はマックのみに挑戦する。

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考えれば誰にでも分かりそうなことでも、体当たりで実際に挑戦する姿勢だけは評価に値するドキュメンタリー。
食事と飲料はマックにあるものだけを食し、スーパーサイズ(日本のLLサイズの大体倍を想像して)を勧められたら断らず、必ず完食するという過酷かつバカバカしい挑戦を描く作品だが、その裏にはアメリカが抱える肥満問題と、大企業の“消費者の健康より営利”という企業姿勢を問うテーマを孕んでいる。しかしながら、どうにも納得しがたい。確かに尋常じゃない太りっぷりの方々がウヨウヨとおり、タバコを吸う並みに食事が危険行為になりうるといった問題は非常に深刻なものであることは理解できるのだが、冒頭の「私らが太ったのはマックのせいだ!」という物語の発端に、アメリカ人ならではの責任追及というか責任転嫁術を見てしまい、作品に参加する意欲を失せてしまったことが要因の一つであろうが。
もちろん、企業の徹底したPR戦略によって洗脳されたが如く消費してしまう問題も描くことで、その辺はフォローされてはいる。現代の文明社会に住む人々は消費することを目的に存在し、そしてそれは一握りの大企業によってコントロールされている現状は『ゾンビ』や『マトリックス』でも描かれている問題であるが、そこへのツッコミの甘さも目立ち、よって体当たり芸映画の枠をはみ出せない結果になってしまっている。

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マイケル・ムーアの作品群が分かりやすい例になるのだが、深刻な問題を提示する場合には、まず笑いで集中力を持続したまま緊張をほぐし、一転笑いから一気に深刻な問題へと叩き落すことで、その問題の深刻さをより一層明確にすることが出来る。この作品も、つかみは笑いから始まる。でも、笑いっぱなし。さっぱり深刻じゃない。「やっぱり太っちゃいましたー」で済まされる問題ではないのに。
それでも、「やったら、どうなる?」という誰もが思いながらも踏み出せない一歩を踏み出し、過酷な挑戦をやり遂げたモーガン・スパーロックの無防備なまでの体当たり魂は賞賛に値する。まぁ、観終わった後にマックが無性に食べたくなるのはどうかと思うが。

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あぁ、フレッシュネスのハンバーガーを腹いっぱい食べたい…

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2006年08月13日

THE JUON/呪怨 (The Grudge)

監督 清水崇 主演 サラ・ミシェル・ゲラー
2004年 アメリカ/日本映画 98分 ホラー 採点★★★★

ようやく“呪怨祭り”も今日で終わり。やれやれ。ところで、人ってのは些細なことでも身近に変化が起きるのを嫌うようで。ご近所とか普段何気に通っている町並みとか、日常気にもしなかったようなものに変化が訪れると、強い拒否反応を起こしたりします。「この風景をずっと愛してきたんだ!」と急に愛を語り始めたり。大概はちょっと違和感を感じた程度のくせに、他人の尻馬に乗って騒いでるだけなんでしょうが。

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【ストーリー】
交換留学生として日本で福祉を学んでいたアメリカ人のカレンは、急遽同じく日本で暮らすアメリカ人一家の介護を頼まれる。その一家の家に着いたカレンだが、家には痴呆を抱えた老婆エマ以外の家族の姿がなく、已む無くエマの世話をしながら帰りを待つことに。しかしカレンはその家でとてつもなく恐ろしいものを見てしまう。そしてそれ以降、カレンの身の回りで次々と不吉な出来事が起きる。

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ご存知もなにも『呪怨 劇場版』をベースにしたリメイクなのだが、リメイクの意味合いが強いのは日本人の観客のみに対してであり、ほとんどのアメリカ人にとってはこれが呪怨デビューになることをよく踏まえないといけない。オリジナルシリーズとの公開時期も非常に近く認知度も高い作品の為か、オリジナルの出来を棚に上げた難癖ばかりが付きまとった感が強い。なんと言うか、「外国人力士が横綱になったのが面白くない」なんてレベルの難癖が。確かに既に何度も観させられた物語ではあるのだが、それを補って余りあるほどの完成度を持っているのも事実。同じ桃太郎でも、読み手が上手ければ聞き入ってしまうようなものだ。
この場合の“読み手”は、脚本のスティーヴン・サスコになるだろう。清水崇の物語は時折脳内で暴走し、辻褄や理屈を度外視した勢いで観客に迫ってくる。それが物語に不安定さを与え、観客に不安と恐怖を生み付けるのだが、観客を置いてけぼりに暴走し清水崇の脳内でのみ完結してしまう弊害もある。それを分かりやすくする為に、余計な説明を加えたり作品自体のテーマすら変えてしまい、映画全体を台無しにしてしまう傾向にあるアメリカ映画におけるリメイクであるのだが、この作品は『呪怨 劇場版』を揺るぎないベースとし、あくまで第一作目として描写の足りない部分を過去のシリーズから調達し、観客の集中力をとぎらせる混乱を生む展開を若干整理し直すだけに留めた結果、呪怨ワールドを崩すことなく改善することに成功を収めたと言える。もちろんオリジナルの要素も加えられてはいるが、リメイクというより修繕に近い作りと言える。90分間観客に集中力を切らさせずスクリーンに釘付けにする手腕は、さすが娯楽王国の作りだ。

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外国人が日本で生活している事自体に違和感を感じる方も多いようだが、日本で暮らす外国人の多さとその生活ぶりを考えると、然程不自然ではない。異国で暮らす孤独感や不安感も、この作品と相性は悪くないし。
伽椰子と俊雄君の掘り下げが全く出来ていなかったオリジナル版。おかげで伽椰子はただの理不尽モンスターで、俊雄君に到っては小柄でニャーニャーうるさいだけの存在に。あれじゃ、猫ひろしだ。その不満点を本作ではビデオ版の『呪怨』をブレンドすることで改善。伽椰子の生前の行動とその末路を見せることで、その粘着気質と事件の陰惨さに恐怖しつつも、彼女もまた被害者であることを思い起こさせる。その悲しみこそが、怪談映画に欠かせないものだ。オリジナル版になかった要素が、ハリウッド版にあるのは皮肉だが。

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アメリカ映画とはいえ、日本人スタッフとキャストによる日本を舞台とした本作の触感は日本映画そのものである。そしてこの“日本映画”をアメリカで成功させた功績は、清水崇はもちろんのこと、オリジナルに惚れ込み、改善という名の改悪をせず、アメリカ人にも受け入れられると確信した自分の感性を最後まで信じた製作者サム・ライミに由る部分が大きい。当然のことのはずなのに作り手たちに忘れられがちな“映画は面白い”という信念と、“面白い映画を作る”という情熱を忘れることのなかったサム・ライミの勝利だ。

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アイドルとしてかなりギリギリの所に立つサラ・ミシェル・ゲラーを主演に起用するのは、さすが清水崇。その吸血鬼には滅法強いサラ・ミシェル・ゲラーなんだが、なんというかとてもカワイイ。他に表現方法が見つからないのでバカみたいだが、カワイイ。衣装の着こなしなんて、非常にコケティッシュだ。意味をよく分からないで使ってみたが、大筋で合っているのではと。
オリジナルで柳ユーレイ演じる小林君にあたるピーター役を、こちらは宇宙人には滅法強いビル・プルマンが。「オレの役を出来るのは、ビル・プルマンくらいなもんよ」と自慢話に花を咲かせたんでしょうね、柳ユーレイ。しかしながら、ただずーっと憂鬱な顔をするビル・プルマンや、出ていたことをすっかり忘れていたクレア・デュヴァルやトム・クルーズの従兄弟などアメリカ勢を押しのけて強い印象を残すのが、石橋凌。演技力うんぬん以前に、画面負けしない力強い顔力を持っている。そこに立っているだけで雰囲気がある。また、何気に素顔での登場シーンも多かった伽椰子役の藤貴子だが、アメリカ人に与えたインパクトだけを考えれば、『ラスト・サムライ』でトムちんの隣に立っていただけで“国際女優”呼ばわりされた小雪を遥かに上回る。少なくとも、小雪でうなされる人は少なかっただろうし。
非常に小奇麗にまとまっているが故に然程印象に残るような作品ではないが、ご祝儀的意味合いも込めて★おまけ。

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でも幽霊には滅法弱い

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2006年08月11日

呪怨2 劇場版

監督 清水崇 主演 酒井法子
2003年 日本映画 92分 ホラー 採点★★★

はいはい、今日も『呪怨』でございますよ。すいませんねぇ。まぁ、やっつけで終わらせますので、少々辛抱くださいませ。季節モノですし。

【ストーリー】
ホラー映画女優の原瀬京子は、かつて凄惨な殺人事件が起き、その後関わったもの全てが不幸になると言われる“呪われた家”をレポートするTV番組のゲストとして参加する。しかしその帰り道に婚約者の運転する車で事故に遭い、妊娠中の子供も流産してしまう。番組に関わったものが次々行方不明になる中、京子は通院先の病院で未だ妊娠中であることを告げられる。

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気合が入りすぎたのか素材を持て余したのか、大きな穴の開いた風呂敷を広げ過ぎた感の強かった『呪怨 劇場版』。その前作は、伽椰子が如何にしてあそこまでの怨を持つに到ったかの経緯を省き、ドラクエにおけるロトの剣並みの重要アイテム“伽椰子ダイアリー”をないがしろにし、俊雄くんと親子である必然性まで希薄にしてしまったが故に、恐怖と物語が噛み合わないチグハグな作品となってしまった。その反省を活かしたのか、本作はだいぶマシな出来上がりとなっている。
歩いているか走っているしか移動描写がない為、非常に狭い範囲を舞台としておきながら位置関係の不明瞭さが目立ったこのシリーズだが、本作では“呪われた家”に固執せず行動範囲を広げることで、その“逃れようのなさ”に拍車をかけている。また、カメラワークも目線を意識した動的なものになっており、作品全体に動きも出ている。
また、出ずっぱりだった伽椰子も今回は大御所らしくどっしりと構えており、“静”と“動”の恐怖を上手に使い分けている。大御所が登場するまでの“静”の恐怖描写を今回も新耳袋より多く使われているが、その効果は抜群で、伽椰子が出なくてもじゅうぶん怖い。
エピソード毎に時系列をとっ散らかすのがこのシリーズの特徴であるが、今回は更にエピソード内でも時間軸をいじり倒す。“呪われた家”にまだ関わっていなくても、関わることが決定した時点で将来の運命が決定してしまう、腹立たしいまでに逃れようのない恐怖を生み出すことに成功。ただし、清水崇の筆が走りすぎたのか、物語が進むにつれ辻褄合わせすら放棄した暴走振りが玉に瑕であるが。

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賞味期限ぎりぎりのアイドルを撮るのが上手い清水崇とはいえ、酒井法子は相変らずアイドル臭ぷんぷんではあるものの、賞味期限以前の問題。まして代表作が“押入れにお婆ちゃん”という怖いのか怖くないのか想像し難い『呪いのフスマ』とやらが代表作の女優役だし。ただし、“母”を演じるのであれば話は別。
ワンパターンに容易に陥る伽椰子のキャラクターの薄さを補うかのごとく、本作では“母と子”の繋がりを重要なテーマとして描く。伽椰子と俊雄君の関係が未だ“親分子分”の関係から出ていないのは残念だが、主人公と母親、主人公と娘の関係に、親子の深さを描き出している。死してもなお我が子を見守る母親の想いと、どんな子であろうがその全てを無条件に受け入れる母親の愛といった湿った話は、やはり怪談映画には欠かせない。
高橋洋と黒沢清が離れたことでだいぶのびのびと作れたようだが、幾分のびのびとし過ぎたようで、クライマックスはやり過ぎ。使い古された感の強い方法で実体を得る伽椰子だが、その目的も必要性もイマイチ伝わらない。『呪怨』と言うよりは、なんか別の映画のような気もしましたが、それでもそのクライマックスさえなければ、もう少し良い評価だっただけ残念。まぁ、「おぎゃあ」と出てくるのが哀川翔なら満点でしたが

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一段と白くなったので、ブリーフとの境目が曖昧です

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2006年08月10日

呪怨 劇場版

監督 清水崇 主演 奥菜恵
2002年 日本映画 92分 ホラー 採点★★

なにげに“呪怨祭り”開催中。夏ですし。と言いつつも、早くも飽きてきましたが。手元にあと二本あるっていうのに。

【ストーリー】
介護ボランティアの理佳は、寝たきりの老婆・徳永の様子を見に行くことに。ゴミが散乱する家で一人放心状態の徳永の世話をする理佳は、その家の二階の押入れに閉じ込められた男の子を発見する。そしてそれを機に、不吉な事件が立て続けに発生する。

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オリジナルビデオ版で見せた凄まじい恐怖描写が評価されての映画化。オリジナル版である『呪怨』『呪怨2』を足してそのまま何となく豪華にしちゃえば“劇場版”に出来る安易な選択をせず、オリジナルストーリーで挑んだ姿勢は評価に値する。しかし、ビデオ版を観た前提で物語が進んでしまう為、不親切な設計に。みながみな伽椰子ファンというわけではないので、伽椰子の背景がバッサリと削ぎ落とされた本作では、伽椰子がなんでそんなに呪ってばかりいるのかが不明瞭だ。俊雄君に到っては、なんだかすら分からない。「あー、殺されたのね」ぐらいは分かる描写はされているものの、『呪怨』の恐怖は生前の伽椰子の粘着気質や事件の陰惨さが伝わってこそ発揮するものなので、本作においての彼らは、ほふく前進が得意な女性と色白のネコ好き少年のコンビにしか見えない。確かにあれだけスムーズに階段をほふく前進出来るのは大したものではあるが。
時系列をとっ散らかして因果関係をじわじわと浮き上がらせるのが『呪怨』シリーズの特徴。この作品でもとっ散らかしてはいるのだが、さほど機能しているとは思えない。別段因果関係が浮かび上がるわけでもないので、必要性すら疑問だ。伽椰子の行動範囲を広げ恐怖感を拡大したいのは分かるが、その家を訪れた者を無条件に呪う最低限のルールが破綻しているのも頂けない。主人公を導く為に彼女の友人をその家に引きずり込むシーンがそれだ。俊雄君が小学校行ってちゃおかしいでしょうに。まぁ、伽椰子が意外と手間隙かけるマメな女性だってことは分かりましたが。
奥菜恵扮する主人公が伽椰子と同化する展開も、監督の脳内でのみ完結しているだけで、見ていてさっぱり伝わってこない。同時に見せてくれる“そして誰もいなくなった”的シーンが不気味なだけ、非常に残念な締めくくり方で。

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伽椰子と俊雄君が思いのほか怖くない本作だが、「ばぁ!」と登場するまでの描写はなかなかのもの。怪談集の新耳袋からだいぶ頂いてはいるものの、実録ホラー的恐怖感を上げるのに成功している。まぁそれも、発声の仕方がおかしい俊雄君やゾンビ女子高生が台無しにしてくれるのですが。
輪廻』でも見せてくれたが、賞味期限ぎりぎりのアイドルを演出する術に長けている清水崇。本作でも、スター街道を駆け上がっていた伊東美咲をぶつけることで、奥菜恵のぎりぎり感を高めつつ「まだまだ可愛いんだ」ってのを強調している。もともと嫌いではないので、奥菜恵を見ているだけなら然程問題はないですが。本作において、小柄で大きな目をクリクリさせ幼い喋り方の割に意外と肉感的な奥菜恵が演じたキャラクターを、リメイク版である『THE JUON/呪怨』でサラ・ミシェル・ゲラーが演じることとなるのは、いたって自然な成り行きに思える。監督の好みの問題も大きいのであろうが、柳ユーレイがビル・プルマンになるよりは随分と自然だ。柳ユーレイは嬉しいでしょうけど、ビル・プルマンはどうだろう?

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そりゃあ他人の家の屋根裏覗けば、見たくないものの一つや二つ

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2006年08月06日

呪怨2

監督 清水崇 主演 大家由祐子
2000年 日本映画 76分 ホラー 採点★★

一言余計な人がいる。本人には全く悪気はなく、それどころか親切心からなのであろうが、いつも一言余計なのだ。その手の人は特別な嗅覚を持っているのか、問題解決の目処がたった頃合を計ったかのように現れ、全てを台無しにする一言を残し去っていく。いえいえ、私の事ではないですよ。私の場合、“一言多い”どころじゃすみませんし。

【ストーリー】
不動産を管理する兄に頼まれ、響子はとある物件を見に行くこととなる。家族が次々と死亡したり失踪したりするというその家で、響子は伽椰子の姿を見てしまう。一方響子の兄は、以前自分達の住んでいる団地の部屋で、小学校教師の小林の妻が伽椰子の夫により惨殺されたことを知り…。

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映画屋っていうのは、何でも見せないと気がすまない人種のようである。
前作『呪怨』において、時系列を散らかしたオムニバス形式で語ることによりぼんやりと因果関係を透かし見せるだけに留め、解明出来ない謎を残すことで防ぎようのない理不尽な恐怖を演出することに成功を収めていたのだが、その解説書的本作を出すことによって、せっかくの恐怖が台無しに。
前作に収まり切れなかったエピソードを寄せ集めたかのような本作では、“場所”の因果関係を明確にし、呪いの伝達方法を明らかにしている。関わった者全てにまんべんなく降り掛かる呪いの威力と、死してなお衰えることのない伽椰子のストーキング能力には感服するが、そこに生まれるのは恐怖ではなく笑いだ。描写自体はパワーアップしているが、やはり恐怖よりは笑いに直結してしまうのが残念。なによりも本作において一番怖いエピソードが、アメリカでは間違いなく公開出来ないであろう小林の妊娠中の妻殺害など前作と重複しているエピソードってのが問題。

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しかしながら、表現方法はなんであれ、本作によって別段失礼なことをしているわけでもなく、何ら因果もない人間であっても関わった以上は逃がさない安全圏のない恐怖を確立したことも事実。なんとなくやってくれそうな霊能力爺さんも歯が立たない伽椰子の圧倒的な底力を見せ、恐怖と笑いの狭間にある俊夫君の白塗りスタイルも確立し、その俊雄君が実は伽椰子が小林君の寝込みを襲った挙句に出来た子供であることを匂わせる描写がある点だけでも一見の価値はある。エンディングが劇場版に繋がってるっといえば繋がってますし。まぁそれでも、梅雨時のカエルのごとく雨に打たれて大合唱する伽椰子の集団が生む大爆笑シーンは帳消しに出来ないが。

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濡れると増えるギズモ式

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2006年08月05日

呪怨

監督 清水崇 主演 柳ユーレイ
1999年 日本映画 76分 ホラー 採点★★★★

5年以上も前、友人から「“ジュ”なんとかっつう、すっげぇ怖いビデオあるらしいぞ」と聞いたのが、事の始まり。友人曰く、「それに比べたら『リング』なんて『わんぱくデニス』だぞ!」とまで。それは観ねばならんと、近隣のビデオ屋をくまなく探すがどこにもなく、車で一時間程行ったビデオ屋でようやく発見。しかしレンタル中。諦めのつかぬ私はその店に通いつめ、二週間後にようやく手に入れることに成功。帰宅後、期待に胸膨らませ鑑賞するが、その余りの怖さに手元にあることすら嫌で、即日返却。「なんてモノを見せるんだ!」と、友人に怒りの電話を

【ストーリー】
小学校教師の小林は、しばらく登校していない一人の生徒宅を訪れる。散らかりきった家にいた少年は全身傷だらけで、小林が理由を聞いても何も答えようとしない。やむなくその家で両親の帰宅を待つ小林だったが、二階でその子の母親である伽椰子の死体を発見してしまう。

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他人に嫌がらせばかりしている私も、年に一度この作品を鑑賞し自分へ嫌がらせを。
この後、劇場版・ハリウッド版と肥大化を続けていく“呪怨”のオリジナルビデオ作品。後の作品でも描かれる描写のほとんどは既にこの作品で完成されており、予算と時間の関係上省かれた余計な要素がない分、濃縮された恐怖に満ち溢れている。最新作である“The Grudge 2”の予告編を観る限りでも、この作品の学校内でのシークエンスがそのまま使用されているように、この後の作品は、この作品を基に足したり引いたりしているだけで、伽椰子の暴走以外はなんら目新しくもない。
真夏の真昼間の部屋の中で他にも家人がいるというホラー映画上最も安全な場所で三輪ひとみが襲われるシーンは、これまでのホラー映画に対する宣戦布告のようだ。かといって、欧米ホラーの様な開けっぴろげを持っているわけでもなく、あくまでじっとりと湿った怪談劇の恐怖を保っている。“家に触れた者”を根こそぎとっちめるというルールに則りながらも、対象がいる場所なら家以外でも構わないルールの拡大解釈が、逃げ場のない怖さを増長している結果に。

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時系列をバラバラにした脚本も見事。同じ場所で別の時間に起きていた出来事を交差させることにより、怨念の根深さを強調し、同じ時間に電話越しで起きていたであろう恐ろしい出来事を想像させる事で、より一層の恐怖を演出している。低予算ゆえ見せられなかった部分や荒さが目立つ部分もあるが、想像力でじゅうぶん補える範疇であるため、さほど気にはならない。
栗山千明や三輪姉妹など、若い娘の撮り方はこの頃からすでに際立っており、そこにあまり若くない娘をかぶせることで彼女らをより輝かせる方法を確立していたようだ。ただ、劇中一番魅力的だったのが、あまり若くない方の大家由祐子だったりもするのだが。彼女が大活躍する『呪怨2』も、出来はともかく彼女だけを観る分には問題がない。
“呪怨一筋”の様相も出てきた清水崇だが、同じところを行ったり来たりする映画ではあるが、このまま20年くらい続けてみるのもよいのでは。もう既に飽きられてき始めてはいるが、あと数本も作れば勝手に“作家性”という冠がつくだろうし。

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生きている頃の伽椰子が一番性質が悪かったりもする

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2006年08月01日

殺人ゲームへの招待 (Clue)

監督 ジョナサン・リン 主演 ティム・カリー
1985年 アメリカ映画 88分 サスペンス 採点★★★

最近ではめっきりやらなくはなりましたが、結構ゲーム好きな私。“好き”と言ってる割には、PS2すら持ってませんが。その昔、歳の離れた兄がPC−8801を持っていて、“ブラック・オニキス”やら“夢幻の心臓”やらを夢中になってプレイしたものです。“ドアドア”すら四苦八苦の反射神経を持つ私は、アクションやシューティングよりもRPGやシュミレーションが好きで、たまに推理アドベンチャーなんかにも、ない頭絞って挑戦してました。ヤス、お前だったのか…。

【ストーリー】
謎の晩餐会の招待状を送られた人々が、とある豪邸に次々と集まってくる。彼らはお互いに知らない間柄だが、謎の人物“ボディ氏”によって脅迫されている共通点を持っていた。彼ら同様ゲストとして招かれたボディ氏であったが、一瞬の暗闇に乗じて、ゲストの内の何者かによって殺害をされてしまう。犯人は一体…?

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有名なボードゲームの映画化ということだが、やったことがないのでどんなゲームなのかは…。多分、何人かがそれぞれの容疑者になってカードを引いたりしながら「犯人は君でしょ?」とかいうゲームなんでしょうね。
ジョン・ランディスが製作総指揮と脚本を兼ねる本作は、純粋なサスペンスと言うよりはコメディの色が強い。実際、本気で犯人を推理しようにも手掛かりがあまりに少ないので推理のしようがない。それでもどうしても犯人を当てたい負けず嫌いの方は頑張っていただいても構いませんが、公開時、劇場毎に異なっていた三種類のエンディングが用意されていますので、努力が見事なまでに水の泡になるのではと。
しかし、コメディとしてはなかなか面白い。本作が公開された85年の時点で既に時代とズレ始めていたジョン・ランディスのコメディセンスではあるが、50年代を舞台とした本作では、その過剰なまでに誇張されたスラップスティック感覚がマッチしている。連鎖的に増えていく死体を巡る人々の描写もシニカルで面白い。非常にこじ付け的な物語ではあるが、『いとこのビニー』のジョナサン・リンによる派手さはないが堅実な演出が救っていると言える。

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俳優陣が、とにかくクドい
ブレイク直前と言うこともあり、クリストファー・ロイドはまだその個性を存分に発揮しているとは言い難いが、ティム・カリーが作品を牛耳っている。フランクン・フルター博士の100万分の1程度のクドさではあるが、それでも充分に濃い。彼が舞台を縦横無尽に駆け巡りながら事件をギトギトと解明するクライマックスは、脂っぽい映画ファン悶絶の時間。個人的にはあと2時間くらい続いても構わないくらいですが、「きゃー!!もっとやってー!!」と叫ぶ私ら“脂ファン”以外は「きゃー!!もうやめてー!!」と叫ぶことになるんでしょうね。

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付け合せに、牛脂などいかがですか?

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2006年07月31日

ジャーヘッド (Jarhead)

監督 サム・メンデス 主演 ジェイク・ギレンホール
2005年 アメリカ映画 123分 戦争 採点★★★★

小学校の頃、日曜の校庭で楽しそうに野球をする損に見事に騙されカブスカウトに入ってしまった私。夏はキャンプに冬はスキーと、楽しいイベントも多かったのだが、それ以外はひたすらロープ結びや旗信号の訓練。それも、イジワルな先輩方や鬼軍曹の如く厳しい隊長にしごかれながら。その後ボーイスカウトまで進んだのですが、よく何年もやってましたよ。協調性のなさは、全く矯正されませんでしたけど。

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【ストーリー】
虐待とも言える海兵隊新兵訓練を終えたスオフォードは厳しい選考の末、斥候狙撃隊に選ばれ、念願の戦地へと向かう。意気揚々とイラクへ到着したスオフォードらに待っていたのは、集合・待機・水分補給と延々と続く退屈な日々だった。

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湾岸戦争に従軍した兵士が書いたノンフィクションを原作に映画化。一兵士の目線から、戦争を描く。兵士達は、正義感や愛国心から入隊するわけではない。仕事も学もない貧乏人やマイノリティが、進学や資格のため、また行き場のない現実から逃れるために戦場へと向かう。その行き場のない社会を作り出した、一握りの富裕層を助けるために。
心意気とは裏腹に一発も銃弾を撃つことがない兵士の鬱憤と退屈にまみれた日々を、ドラマチックな展開やダイナミックな演出を排し描きつつ、男の子集団特有のユーモラスさを加味。アメリカ社会の底辺層住民である少数民族や貧乏人らが一部の金持ちのために命を懸けさせられる矛盾や、ベトナムで懲りたのか歩兵戦より安全圏からの遠隔攻撃に頼る戦法を好む割に、数字での牽制を意図したいのか数だけは送り込まれる兵士の存在意義の皮肉もたっぷりと。社会に適応できず、ようやく海兵隊に生きる道を見出すものの、犯罪歴によって除隊せざる得なくなったピーター・サースガード扮するトロイの絶望も、この矛盾と皮肉に溢れた作品をより一層際立たせている。
久しぶりに『プライベート・ライアン』の戦闘シーンに影響を受けていない戦争映画である本作は、徹底的に人称を固定している。その狭い視野が映し出す湾岸戦争は、もちろん全体像が見えない。目的も原因も現状も見えない若者たちが退屈し苛立ち暴走する様は戦場における特別なものと言うよりは、非常に日常的だ。
最も興奮する戦闘シーンが劇中上映される『地獄の黙示録』のワンシーン。それをワルキューレの騎行の大合唱で大騒ぎする彼らがとても可愛い。精神年齢が、見事なまでに中学生だ。そもそも、あの映画がもともと目指していた方向を考えれば、非常に正しい鑑賞の仕方だ。
湾岸戦争のみならず、今なお続くイラク問題、そしてアメリカの階級社会にも一石を投じる作品である。

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“緊急用トビー・マグワイア”としてスパイダーマンシリーズへの出演も検討されたジェイク・ギレンホールは、その作品選びの上手さもあってかいつの間にかハリウッドを代表する若手俳優の一人に。覇気の全く感じられない彼の空気が、現代の若者を演じさせた時に素晴らしい効能を果たすのであろう。
気が付けば、その出演作をもう5本も観ているピーター・サースガード。大活躍だ。もう“眠たいキーファー”なんて呼べないほどの活躍ぶり。仕事ぶりには定評のある彼だけに、本作においても社会の哀しみを一人背負ったかのような大仕事をこなしている。
ジェイミー・フォックスは、まぁアレでしたね。
何というか、サミュエルっぽかったです。

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“リアルな戦争描写”なのかどうかは、行った事がないのでわかりません

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2006年07月12日

サブウェイ・パニック (The Taking Of Pelham One Two Three)

監督 ジョセフ・サージェント 主演 ウォルター・マッソー
1974年 アメリカ映画 100分 アクション 採点★★★★★

映画は、設定が有り得なければ有り得ない程面白い。もちろん、その“有り得ない”物語に説得力を持たせるだけの力があり、目の前で具象化された時に限りますが。有り得ない話を丸投げされても困るだけですし。

【ストーリー】
ニューヨークの地下鉄が4人の男にハイジャックされる。彼らの要求は、身代金100万ドル。タイムリミットは1時間。出口のない地下トンネルの中で、ハイジャック犯はどう動くのか?警察は?

あと10年早く生まれてれば、劇場でコレ観れたのに
ttop1.jpg地下鉄をハイジャック。出口も進路も決まっている乗り物をハイジャックするというアイディアから、もう奇抜。後年『レザボア・ドッグス』でも採用された、色の名前で呼び合う同じ扮装をしたハイジャック犯たちが巧みに完全犯罪を目論む様は、何度観ても釘付けにされる。ウォルター・マッソーを地下鉄公安部の主人公に設定してあるので、ヒーローに絶対的な安心感が生まれず、市長を始め警察の面々までもがグダグダな為、犯罪者に圧倒的に分があり非常にスリリング。コミカルな警察側のストーリーと、緊張感溢れる地下鉄内のストーリーは対比もバランスも良く、序盤から非常にスピーディに物語も展開するので、ワンカットたりとも退屈なシーンがない。発想・脚本・演出・配役、どれをとっても不満のない娯楽映画の傑作と断言。

ttop3.jpg一つのアイディアに頼るだけではなく、犯行グループ内に不穏分子を入れ、人質の中に誰も知らない私服警官を配置することで、時限爆弾的サスペンスも高めてある。非常に至れり尽くせり。刑事コロンボかのように飄々としたウォルター・マッソーが、ふとしたきっかけでピンとくるラストシーンは、わかっていてもニヤリとする最高の幕引き。飛行機で子供がいなくなる映画も、これくらいの説得力が欲しかったものだ。
ウォルター・マッソーとロバート・ショウが脂の乗り切った名演を見せてくれるが、二人とも亡くなってしまったのは残念な限り。出演者の中に、芸風・顔つき・髪型・身長ともに、当ブログでお馴染みのベン・スティラーを彷彿させる俳優がいますが、やはり血筋。父親のジェリー・スティラーだ。遠目で見ると生き写しなので、フラットパックファンはお楽しみに。
昨今のリメイク事情から考えれば、以前TV用にリメイクされているとはいえ、いずれ間違いなくリメイクされるであろう本作。配役以外はワンシーンたりとも違わない作りが安全策であろうが、それはそれでつまらんので、お手並み拝見ということで。

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posted by たお at 01:38| Comment(6) | TrackBack(3) | 昔観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月10日

スパングリッシュ (Spanglish)

監督 ジェームズ・L・ブルックス 主演 アダム・サンドラー
2004年 アメリカ映画 131分 ドラマ 採点★★★★

親と子、夫と妻、友人同士。人と人の距離は非常に近いものであり、遠いものでもある。自分が相手に対し思っている距離が、相手と同様とも限らない

【ストーリー】
メキシコを離れ娘と共にロサンジェルスへと移り住んだフロール。英語が話せない彼女だったが、優秀なシェフであるジョン・クラスキー一家宅で家政婦として働くこととなる。裕福で一見幸せそうなクラスキー一家だったが、それぞれに多くの問題を抱えていたが、フロールの言動が徐々に一家に変化を与えていく。しかし、ジョンの妻デボラがフロールの娘をいたく気に入り干渉をし始め…。

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“Spanglish”
スパニッシュ系の人々が話す、スペイン語の言い回し・単語・発音の入り混じった英語。
家族想いで心優しくいつも遊び心を忘れないが、現状を維持することで手一杯で全てを胸に溜め込んでしまう夫。美しくエネルギッシュだが、自分の価値観が全ての基準と考えてしまう妻。そして、全てを捨ててまでも娘の為だけに生きようとする家政婦。この三人の物語を軸に、親子が抱える問題、夫婦が抱える問題、そして家族が抱える問題を時にユーモラスに、時にシビアに描く。監督・脚本のジェームズ・L・ブルックスは笑いを巧みに取り入れることで、重くなりがちなこの題材をしっかりと見せきっている。英語の話せないフロールが、英語を覚えると共に徐々に一家が抱える問題に深く関わっていき、娘との関係を見つめなおしていく構成は秀逸。それぞれが一方通行の思いを持ち、誰もが絵空事のような幸せを手に入れることのない物語でも、胸に残る後味は悪くない。ただし、面白いというのと、フローラが娘を想い取る行動が賛同できるかは別ですが。

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子供がそのまま大きくなったようなキャラクターが魅力のアダム・サンドラー。自身が製作にかかわることが多いのだが、本作は俳優業に専念している。その為か、キャラクターは非常にアダム・サンドラーにピッタリなのだが、はち切れ方はかなり控えめで、ロブ・シュナイダーら常連俳優も出ていない。ロブ・シュナイダーにピッタリの脇役がいるだけ、ちと残念。
モルダーの妻としてか、にせシャロン・ストーンとして映画の彩り要員的印象しかなかったティア・レオーニだが、本作で初めて“女優”ティア・レオーニを見た。“愛される自分でありたい”と思う一心で、他者に自分の価値観を押し付けてしまう典型的アメリカ中産階級女性を見事に演じている。その外へ対し自分を主張し続ける彼女と対照的に、干渉を嫌い娘との関係を守ろうとするフローラ役のパズ・ヴェガは、ラテン系の気の強さを前面に出しながらも、時折垣間見せるミューズ的魅力で、より深くフローラの人間性を見せている。パズ・ヴェガとアダム・サンドラーの間で芽生える恋愛感情を、サラリと書き上げているのもこの作品の後味のよさを一因であろう。
非常に魅力的な子供達のエピソードが描ききれていないなど若干の食い足りなさも感じる作品ではあるが、アダム・サンドラーの作る料理の数々(特にサンドイッチ!!)がものすごく美味しそうなので、この評価。

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序盤と結末が、繋がっているようで実は繋がってはいないんですが

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posted by たお at 02:43| Comment(14) | TrackBack(28) | 昔観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする