2010年 セルビア映画 104分 ホラー 採点★
よくホラー映画に対し「こんな映画を観るなんて信じられない!」「こんな映画を作るなんて人間としてどうかしてる!」って意見を述べる方がおられますが、観てる人も作ってる人も別に格段と特殊なわけじゃない普通の人なんですけどねぇ。もっと極端に言えば、民族浄化だなんだと先日までの隣人を虐殺するような人も、基本的には普通の人。頭ごなしに否定だけしても、それは「自分は違うんだ」って証明にはならないと思うんですよねぇ。
【ストーリー】
スターポルノ男優を引退し、愛する妻と息子と共に平穏だが退屈な日々を送っていたミロシュ。ある日かつての仲間から高額の報酬が得られる大掛かりなポルノ撮影の仕事の依頼を受けた彼は、生活が困窮していた事もありその話に乗る。しかし彼を待ち受けていたのは狂気にまみれた悪夢のような世界で…。
倫理観の欠片もない描写の連続が話題となった、スナッフフィルムを題材にしたセルビア産ホラー。
書くことが無い。と言うか、書ける単語が無い。子を持つ身としては不快を通り越して苦痛でしかない、言葉にすることすら躊躇してしまう描写の連続。
ただ、困ったことに映画としての出来は良い。セックスの持つ加虐性/被虐性を突き詰めたトーチャーポルノを更に突き詰めたスナッフフィルムを題材とした本作には、“チ○ポで目玉串刺し”みたいなイカした描写もあるが、それ以外はその変態性にある意味真面目に真正面から向き合った陰惨で凄惨でモラルを踏みにじった描写が満載。「ほら、不快でしょ?」と観客の神経を逆なでして喜んでいる底の浅いモラル遊びではなく、全ての行為に“性的興奮”が裏付けられてるってのも性質が悪いが真面目。これが変態先進国でもある日本やドイツ辺りが作ったのならば“やり過ぎた一本”で済ませられるのだが、“歴史”と呼ぶには日が浅く手にこびり付いた血がまだ乾いていないセルビアが作ったって意味は大きいのかと。人間性やモラルってのが如何に脆いものなのかを体験してきた国だからこそ。
出来の良し悪しか好き嫌いが基準での評価が常なんですが、本作に関しては得るべき最大の評価と目標点が★ひとつだと思うので、こんな感じの評価に。
自分が納得する言い訳があれば、人は結構何でもする
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