2015年04月30日

死霊館 (The Conjuring)

監督 ジェームズ・ワン 主演 ヴェラ・ファーミガ
2013年 アメリカ映画 112分 ホラー 採点★★★★

私が住んでる家と同じ敷地内に一軒の廃屋が。元々は私の両親が「店舗兼住居じゃなにかとしんどいから家建てんべ」と建てた2階建ての一軒家なんですけど、そこに住んでいた期間は一年あるかないか。最初からその家は何かおかしかった。玄関から台所と応接間の間を通り風呂場やトイレへと向かう廊下は一日中薄暗く、暖炉がある応接間は異様に居心地が悪いので家族は大抵その隣の居間に集合。二階にある二部屋の内東側にある部屋には誰も入りたがらず、ある日従兄弟たちが泊まりにきたので皆その部屋で雑魚寝をしていると、一人の従兄弟が唐突に「ドアの所に誰か立ってる!睨んでる!」と言って深夜にもかかわらず自分の家に帰ってしまったことも。その後姉夫婦や、付き合いのあった人たちに貸したりもしたが、揃いも揃って一年余りで引っ越す始末。何かが出るとかって話はその従兄弟以外からは聞いたことないんですけど、“嫌な家”ってのはあるんですよねぇ。

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【ストーリー】
1971年、ロードアイランド州。ロジャーとキャロリン夫妻と5人の娘たちのペロン一家は、町外れの古びた一軒家を購入する。しかし越してきて早々に様々な怪現象に悩まされた一家は、数々の心霊現象を解決してきた超常現象研究家エドとロレイン・ウォーレン夫妻に助けを求める。早速現地で調査を始めたウォーレン夫妻であったが、その家に宿る力は余りに強力で…。

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アミティヴィル事件に関わった事でも有名な超常現象研究家エド&ロレーヌ・ウォーレン夫妻が体験した事件を基に、『インシディアス』のジェームズ・ワンが映像化したオカルトホラー。
“死霊”ときて“衝撃の実話”とくれば、もう危険な香りしかしないと言うか丸見えの地雷な作品が多いのですけど、結論から言うとこんな怖いホラー映画久々に観た。視点の変わったホラーや泣けるホラー、笑えるホラーにアクションとして楽しむホラーは随分と観てきましたが、「やだよもぅ、怖いんだよぅ」となるのはホント久しぶり。
聴覚と視覚をそれぞれ刺激する静の緊迫感に直接的な動の恐怖という、緩急の効いた恐怖演出が見事であった本作。“緩急”と言っても油断させてからのびっくらかしのパターンではなく、ジワジワと圧迫してからの痛恨の一撃を食らわせられる、どこにも逃げ場のないパターンだってのがこれまた優秀。そこにセイラムの魔女裁判やらアナベル人形やらアミティヴィル事件といった、その手の好事家には定番のネタを何気に盛り込むことで、真偽はさて置きある種のリアリティを生み出すことに成功し、恐怖が絵空事ではなくより身近に感じれる結果に。また、『ヘルハウス』や『ポルターガイスト』なんかもその影響下にあったのか、霊媒師の自主申告というか見えざる能力のみに頼るのではなく、科学的アプローチも含めたチーム戦で悪霊に挑むってのも非常に興味深い。

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ウォーレン夫妻に『ミッション:8ミニッツ』のヴェラ・ファーミガと、『ヤング≒アダルト』のパトリック・ウィルソン、ペロン夫妻に『奇人たちの晩餐会 USA』のロン・リヴィングストンと、『クロッシング』のリリ・テイラーが。
“知”の夫に“力”の妻というウォーレン夫妻も、5人の子供全員娘ってのがそれはそれで怖いペロン夫妻も共に、互いを信頼し合い強い絆で結ばれている家族。そして彼ら理想の家族が最も恐れる“子を失う恐怖”に対し、邪悪なる力がピンポイント且つ全力で攻めてくる恐怖や、その邪悪な力に抗えず意思に反し自らの手で子供を殺めてしまった者たちの悲痛な叫びと、隠し部屋などの家に秘められた背景が明らかになるにつれ募る哀しさもまた、この西洋怪談ともいえる本作の物語に直接的な恐怖だけではない深みを持たせた結果なのでは。
60〜70年代のオカルト映画をしっかりと研究し消化した成果が表れた演出と、描かれている舞台に負けない力強い演者、霊の介在なくても本能的に感じる恐怖の根源と著名なネタを巧みに盛り込みつつシンプルにまとめ上げられていた脚本、それらが非常にいい具合に交じり合った作品であったなぁと。タイトルに警戒しすぎて手に取ってなかったのをちょいと後悔した一本で。

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見えないからこその怖さ

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2015年04月17日

ジャッジ・ドレッド (Dredd)

監督 ピート・トラヴィス 主演 カール・アーバン
2012年 アメリカ/イギリス/インド/南アフリカ映画 95分 アクション 採点★★★

相変わらずリメイクやらリブートやらが盛んでございますねぇ。まぁ、最近は前回の反省を活かしてオリジナルよりちょい面白くなってたりするので、「オリジナルが一番!」と言い張るつもりはなし。ただ、良い意味でも悪い意味でも最初の演者のイメージが強過ぎちゃったりもするんで、いくら新しい方のが面白くても微妙な居心地の悪さってのも感じるんですよねぇ。「あ、そうだ。クリストファー・リーヴじゃねぇんだ。」みたいな。

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【ストーリー】
核戦争により荒廃したアメリカ最大の都市“メガシティ1”。8億もの人間で溢れかえったその街では犯罪が多発していたが、秩序は警察と司法の権限を持ち、その場で刑も執行する“ジャッジ”らによって辛うじて守られていた。そのジャッジの中でもずば抜けた能力を持つドレッドは、新人女性ジャッジのアンダーソンと共に高層マンションで起きた殺人事件の捜査に向かうのだが、そこは冷酷な女ギャング“ママ”によって支配されており…。

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イギリスの人気コミックを、『バンテージ・ポイント』のピート・トラヴィスが映像化したバイオレンスアクション。脚本には『28日後...』のアレックス・ガーランドが。
サイズが合ってるようには思えない小さめのヘルメットに、スタローンの顔がみっちみちに詰まってた『ジャッジ・ドレッド』しか知らないのでどの程度原作に忠実なのかは見当つきませんが、そんなドレッド素人の私にも存分に楽しめた本作。
確かに“警察が司法を通さず刑を執行する”という現実にあったら最も恐ろしい問題点には触れられてはいないし、『ロボコップ』的世界で『ザ・レイド』のようなヤクザマンションに閉じ込められるという、なんか見覚えだけで出来ている印象も拭えないんですけど、予想以上に激しい暴力描写と美しくさえあるスローモーションが織り成すスタイリッシュな映像や、限定空間での一直線な物語が生み出すスピード感がそれらを相殺。ミュータント化によるマインドリーディング能力ってのも、やや一辺倒な物語に程よいスパイスを。

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ドレッドに扮したのは『リディック:ギャラクシー・バトル』のカール・アーバン。濃い顔立ちなのに他の役者に食われてしまう微妙な存在感の持ち主だけに、ヘルメットを被りっ放しのドレッド役に若干の不安がありましたが、原作のモデルともなったダーティ・ハリーのイーストウッドばりにひしゃげた口元とドスの利いた声色で熱演。ただまぁ、ドレッドが“融通の利かないタフな人”って以外は分からない作品だったせいもあるんですけど、ジャッジ同士の争いになるともう誰が誰だか分からなくなってしまう、いつものアーバンらしい微妙な存在感であったとも。
そんな途中で役者が替わっててもすぐには気づかなそうなドレッドではありましたが、凛々しく美しい顔を汚しまくってギャング役を熱演した『300 <スリーハンドレッド>』のレナ・ヘディや、新米ジャッジに扮した『ユナイテッド93』のオリヴィア・サールビー、ドレッドの乗るバイク“ロウマスター”のカッコ良さはなかなか。特に、『ロボコップ』におけるナンシー・アレン的ポジションであったオリヴィア・サールビーの、古い例えでアレですけどシンシア・ギブを髣髴させる可愛らしさが印象的。まぁ、「カワイイ!好み!」と思って画像検索してみたら、なんか魚類な感じの画像ばかりでガッカリしちゃったんですけどね。

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ジャッジの選択画面

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2015年04月13日

サボタージュ (Sabotage)

監督 デヴィッド・エアー 主演 アーノルド・シュワルツェネッガー
2014年 アメリカ映画 109分 アクション 採点★★★

何年か前にデュラン・デュランがオリジナルメンバーでアルバムを出し注目された時、その話題性に乗っかるかの様に80年代のアイドルグループがこぞって再結成しましたねぇ。まぁ、さして話題になるわけでもなく消えてしまいましたが。そもそも、デュラン・デュランは解散していたわけでも活動休止していたわけでもなく、根本的な音楽性を変えるわけでもないままコンスタンスにアルバムをリリースし続けていた“現役のアイドル”なんですよね。考えると、それって凄いことなんですよねぇ。

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【ストーリー】
麻薬組織に最愛の妻と子供を惨殺された、麻薬取締局の伝説的捜査官ジョン。その8ヵ月後、ジョン率いる最強チームはとある麻薬カルテルのアジトを急襲。表向きは摘発であったが、そこに眠る闇資金から1000万ドルを密かに奪いチームで山分けをする裏の目的があった。目的は達成したかに思えたが、奪ったはずの大金は忽然と消えてしまい、不正の嫌疑を掛けられたジョンも閑職へ追いやられてしまう。やがて嫌疑も晴れチーム復帰を果たしたジョンであったが、それと同時にチームのメンバーがひとりひとり何者かによって惨殺されていき…。

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エンド・オブ・ウォッチ』のデヴィッド・エアーによるサスペンスアクション。
いきなりでアレだが、シュワってのは稀代のポップスターである。盛り過ぎた筋肉に一向に矯正されない強烈なオーストリア訛り、プレデターのコレクター魂を強く刺激する骨格。その強烈な存在感は映画内の日常や常識を破壊し、全てをシュワ世界に染める。たとえ100万のペルシャ軍をシュワ一人で相手にする『1 <ワン>』という荒唐無稽な映画が作られたとしても、シュワならなんか納得してしまう、そんな常識なんてのが通用しないスターがシュワだった。
しかしながら、シュワも人間。歳も取れば身体も弛む。長いブランクの後に登場した『エクスペンダブルズ』でも、「なんか、シュワちっちゃくなったなぁ」って印象が。そんなこともあって、本格的に映画復帰を果たしてからもイマイチ食指の動かなかったシュワ映画だったんですが、これがなかなか悪くない。
拷問を受ける妻の映像を怒りと悲しみと恐怖の感情露に見つめる冒頭、不正を厭わぬ人物像、そしてこれまでのシュワに最も似つかわしくない“”が漂う結末。このおよそポップスターとは思えぬキャラ像が、自身の老いとかつての最強の名残と絶妙に融合し、これまでにない上に違和感もない新しいシュワ像ってのを作り上げている。ますますチャールトン・ヘストンに近づいたというか、煌びやかな衣装でアリーナを沸かせたスターが、長いブランクの後ギター一本でクラブのステージに立ったら、案外それも良かったみたいな感じ。このシュワなら、ゾンビ化進む愛娘を救おうと奮闘するゾンビ映画“Maggie”にも期待が出来るなぁと。

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ただ、映画の内容がそのシュワに全く付いて行けていないのが致命的な本作。
法を執行する側とされる側でしかない善悪描写や、警察と政府組織との確執、チーム内で育まれる家族のような関係性や、そのチームの作戦行動のリアルさなどデヴィッド・エアーらしさがそこかしこに描かれるも、ストーリー展開とその鍵となるミステリー描写が全くダメ。家族惨殺の直後に何食わぬ顔での1000万強奪が来るので繋がりが容易に想像できるし、その1000万が消えた後に仲間の惨殺が始まるので、“見えない殺人者”ってのより「この中の誰かなんでしょ?」と絞り込みも容易。ましてや、その強面チーム内に一人だけ芸達者で名も知れた『フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い』がいるもんだから、それはもう益々。点と点が線で繋がるのは良いんですが、繋がりの唐突さとその線の短さったらありゃしない。この『プレデター』にプレデターが出てこないような捻りと工夫の無さは、『ダイ・ハード/ラスト・デイ』『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のガッカリ脚本家スキップ・ウッズの本領発揮といったところかと。
とは言っても、先に挙げた新シュワの存在感や、そのシュワと唐突なキスという衝撃的シーンもありつつもクールな顔立ちで通した『ゴーストライター』のオリヴィア・ウィリアムズのカッコ良さ、『ターミネーター4』で叶わなかったシュワとの共演を果たした『崖っぷちの男』のサム・ワーシントンのトラッシュっぷりなど、見所と驚きも少なくはなかったので★ひとつオマケの甘めな採点で。まぁ一番驚いたのは、見事なジャンキーっぷりだったミレイユ・イーノスがアラン・ラックの奥さんだったってことでしたけど。

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結局シュワのひとり相撲

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2015年03月26日

人生、サイコー! (Delivery Man)

監督 ケン・スコット 主演 ヴィンス・ヴォーン
2013年 アメリカ映画 105分 コメディ 採点★★★★

街で見かけた元カノが、別れた時期と年代が合致するなんか目元とか口元とかに鏡で見慣れた特徴のある子供を連れ歩いてたりしない限りは、公式に3人の子持ちの父親である私。女・男・男の、上は中2で下が年長さん。こいつらがまぁ、性格から容姿までてんでバラバラ。同じ両親から生まれたとは思えないほどバラバラ。まぁ、同じ正確に同じ顔がゾロゾロ居られても怖いだけなんで、これくらいが丁度いいんでしょうけどね。

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【ストーリー】
家族経営の精肉店で働くデヴィッド。彼は多額の借金で首が回らない上に、その無責任な性格に妊娠した恋人にも見切りをつけらるダメ中年男。そんなある日、彼にはかつて行った精子提供により生まれた子供が533人もいることが判明。しかも、その内142人に身元開示の訴えを起こされていることを知る。親友の弁護士ブレットと共に裁判に挑むデヴィッドだったが、資料にあった子供たちのプロフィールに興味を持ち、父親であることを隠し次々と会いに行ってしまう…。

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2011年にケン・スコットが脚本・監督を務めたカナダ映画『人生、ブラボー!』を、ハリウッドでセルフリメイクした人情コメディ。如何せんオリジナルを観ていないので、キャストと場所が違うってのと、フランス語が英語になったって以外の違いは判らず。
唐突に「お前に子供がいるよ」と言われると驚き以上にちょっとした恐怖すら感じちゃいそうなもんですけど、「533人な」となるとそんな恐怖を通り越して「フフッ」と間の抜けた笑い声しか出なさそうな状況の中、ひとりひとりの子供と触れ合うことで、これまで避けてきた一人前の男としての成長を果たしていく様をフンワリとした笑いで包み込んで描いた本作。当然それぞれの子供たちはそれぞれ個別の人生の中で育っているので、そこには敢えて避けてきた人生を複数のパターンで追体験するって意味合いも。タイムリバースものやリピートもの、若しくは『素晴らしき哉、人生!』なんかと同系列に捉えていい物語なのかなと。
そんな追体験ものの主演としては、『エイリアン バスターズ』のヴィンス・ヴォーンほどハマる役者はそうそういない。そのデカイ図体からは程々の頼り甲斐と程々のだらしなさが醸し出され、それと同時に無責任と神経質という正反対の性格も共存。尚且つ“前世代の代表格”というイメージがあるので、大人になって然るべきなのに若者に対抗しようと足掻くキャラにビシリとハマる。オリジナル抜きで考えると、この“主演ヴィンス・ヴォーン”ってのが本作最大の成功要因なのかと。

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精子提供を受けるってことは、夫婦及びパートナー間の概ね男性側に何かしらの問題があるか、子供は欲しいけど男はいらんってパターンになるかと思うんですけど、その“法的な親”ってのが全く出てこない本作。題材的にもそこに触れないってのはどうかと思いながらの鑑賞だったんですが、結果から言えば全く問題なし
生物学的親子関係を描く作品ならば避けられないが、本作の中心はあくまでデヴィッド。その彼が避けてきた人生を追体験することで成長する物語なので、法的な親が出てきて物事を複雑にする必要は特にない。まぁ確かに我が子が父親を求めて裁判を起こすってのは親として非常に複雑な心境ですし、悲しくもあるんですが、それはもう別の題材なので中途半端に触れるくらいなら触れないほうが潔い。
そんな重くなりげな所を華麗にスルーしさっくり楽しめる作風を保ちつつも、ぼんやりと考える余地や余韻を残した本作の満足度は高し。ハンサムになったジェマ・アータートンみたいな『アベンジャーズ』のコビー・スマルダーズのエージェント顔は非常に好みでしたし、やっぱりこれくらいポッチャリしてた方がカワイイ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のクリス・プラットなど、キャスティングにも満足度が高かった本作。ヴィンス・ヴォーンの部屋にさり気なくボウイのデビューアルバムが飾ってあったので、恒例のボウイ・アドバンテージを加えてこの評価に決定。

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4人に1人くらいはヴィンスと同じ顔がいそう

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2015年03月24日

死霊のえじき (Day of the Dead)

監督 ジョージ・A・ロメロ 主演 ロリ・カーディル
1985年 アメリカ映画 102分 ホラー 採点★★★★

2006年の1月から書き始めて、なんやかんやと9年以上も続けてしまったこのサブタレ。ま、他のものに興味が移ると平気で記事と記事の間を2年空ける性分なんで、実際の期間はもっと短いんですが、9年存在してたのだけは間違いなし。記事数もこの記事でちょうど1500本目。日記すら続けられないくせに、よくもまぁ似たようなのを1500本も書いたものだと自ら驚きを。で、前回1000本目の記事に思い入れ映画ナンバーワンである『ランボー』を選ばせてもらったので、今回はやっぱり“死霊”だろうと。なにが“やっぱり”なのかは不明ですけど、とりあえず“死霊”。“死霊の○○”とか好きですし。「好きですし」と言いつつも、これまで一本も“死霊”と付く作品レビューがないことに今気が付きましたけど。まぁ、これが1500本目になることすらさっき気が付いたんですけどね。

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【ストーリー】
蘇った死体は増え続け、今では地上を全て埋め尽くすまでとなっていた。一方、辛うじて生き残った軍人と科学者の少人数グループは地下施設内でゾンビ対策の研究を続けていたが、苛酷な環境の中で彼らの間の不協和音は日増しに大きくなっていき…。

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サバイバル・オブ・ザ・デッド』のジョージ・A・ロメロによる、『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』『ゾンビ』に続くリビング・デッド三部作の最終章。この後『ランド・オブ・ザ・デッド』で再始動しますけど、そっからの三本は別物として捉えた方がいいのかなと。メイキングドキュメンタリーの中でロメロが「三部作の中でこれが一番好きだという変わり者もいる」と仰っておられましたが、ハイハイ私がその変わり者。夢と妄想がバンバン膨らむ『ゾンビ』も大好きですが、陰惨さ際立つ本作がやっぱり一番好き。
当初は700万ドルの予算で、多くの野外シーンやゾンビと軍の壮絶なバトルも描く予定で脚本を完成させるも、一気に予算を半分の350万ドルにまで減らされ、ピッツバーグに実在する山を削った地下倉庫内で、軍人と科学者が延々と丁々発止を繰り広げる作品へとスケールダウンを強いられることとなったのは有名な話。もちろん理想通りに作られていれば、それまで観たことのないスケールの大きなゾンビ映画が完成していたであろうし、それを目にした観客は大きな驚きと興奮に包まれていたかも知れないが、映画に限らず物作りは厳しい制約の下で試行錯誤と四苦八苦を積み重ねた物の方が良品であったりすることが多いのも事実。本作もまた、苦肉の策での密室劇であったからこそ、人類の置かれた状況の過酷さや全く見えない将来への展望に対する絶望感、当時の世相を表したドン詰まり感がより一層深く出せたのではないかと。

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政治的にクリーンで人権派を標榜しながらも、『アルゴ』でも描かれた“イランアメリカ大使館人質事件”では、その弱腰っぷりから解決の糸口すら見出せなかった大統領ジミー・カーター。その理想こそ高いが現実的な解決策や実行力に乏しいリベラル政治にウンザリしたアメリカ人が次に選んだのが、俳優出身でタカ派のロナルド・レーガン。しかしながら、その強硬的な姿勢から中南米政策は混沌を極め、日本製品の大躍進もあり国内経済も疲弊。右を向いても左を向いてもドン詰まりだった80年代のアメリカ。前2作もそうであったが、その世相がこれまた色濃く出た本作。
本作には3種類の人種が登場している。
ゾンビに対する根本的解決策を模索するも、時間と物資を浪費するだけで解決策が全く見つからない上に、仕舞いには「飼い馴らせばいいんじゃね?」と、物理的にも現実的にも実現不可能な理想論をぶち上げる科学者。
銃を振りかざして威圧するだけでこれまた解決策など何もなく、ヘリに乗って何処かへ逃げればいいと考えてるようだが、何処に逃げればいいのかは分かっていない、いや、逃げ場などもうないことは分かっているが、その現実を認めたくはないだけの軍人。
そして、彼らから課せられた仕事以外での接点を絶ち、自由気ままな地下ライフを満喫するパイロットと技術者。
人類存亡の危機を救う目的は虚無に覆われ、彼らはただ己の主張だけを叫んでいがみ合う。希望などほとんど残っておらず、事実彼らの前には明るい未来はない。こんな陰鬱な世界で唯一の希望の光となっているのが、生きているころの記憶と習慣が僅かばかりに残っているゾンビ“バブ”だという皮肉。こんな人間たちに任せるくらいなら、ゾンビの方がまだマシだという強烈なメッセージが突き刺さってくる。

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それにしても、このバブが素晴らしい。バブを発明したことが本作を成功させた最大の要因であると同時に、この後のゾンビ映画にとっても最高の発明だったのでは。
生きてた頃はそれなりに立派な大人だったであろうに、ゾンビになったらちょいとイカレた博士に首輪を付けられ飼われるバブ。そもそも“バブ”って本名じゃないのに。この、スタート地点から既に切ないバブの、身体の自由がまだ上手く利かない赤子のような動きや表情が見事。擬似父子関係として描かれる博士の一挙一動を目で追い、博士が望んでいることを足りないにも程がある脳で必死に考え、褒美の肉のためとは言え博士の喜ぶ顔に彼自身喜びを感じる様を、微に入り細に入り表現して見せたシャーマン・ハワードは見事。彼の思いつきとアドリブから生まれたという、バブが音楽を聴き驚きの表情を見せるシーンなどは、ゾンビに人間性が生まれる瞬間を描いたまさに名シーンである。
また、序盤にもゾンビが恐怖するシーンが描かれているが、やはりバブが博士の死を知り慟哭するシーンは衝撃的。細かいことではあるが、知性も感情もないただ“食べる”という本能だけで動いている死体が、博士という個体を認識し、それが生きていないこを認知し、“悲しい”という感情が生み出される。これはウチの猫が唐突に「オイ、飯くれや」と話しかけてくる以上に衝撃的だ。リチャード・マシスンの“地球最後の男”が『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』に与えた影響を考えれば当然なのだが、本作が種の逆転の物語であることがここで決定的になる。繁殖もしないので反映も難しいし、なんといっても臭いがきつそうな世界ではあるが、まさしく“死者の日”がやってくることを高らかに宣言したのが、この慟哭のシーンと後のクールすぎるバブの敬礼姿なのだろうなぁと。

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本作を語る上で、やはり忘れてはならないのがトム・サヴィーニによる特殊メイク。
13日の金曜日・完結編』『クリープショー』などなど、これまでも様々な作品を血塗れにしてきたトム・サヴィーニだが、本作での仕事っぷりは自他とも認める彼の最高傑作。
オープニングに登場する、下顎が欠損し舌がデロリンと垂れ下がった“ドクター・タン”や、スコップで切断された頭部の目玉がギョロギョロ動くメカニカルなものから、腕切断シーンに見られるシンプルながらも観客の思い込みと目の錯覚を利用したものまで、彼のテクニックをこれでもかと堪能できる、これぞトム・サヴィーニ大百科。それも、オールカラー。
その中でも、ベッドから起き上がるゾンビの腹部から内臓がボタボタとこぼれ落ちるシーンの衝撃たるや。初めて劇場で観た時は、「え?どっからどこまで生身なの?メカなの?」と大いに驚き混乱したもので。これもまた、サヴィーニお得意の思い込みと錯覚を利用したエフェクトなのだが、このよりリアルな物やグロい物を作ろうってよりも、如何に観客を驚かせる物を作ろうとするサヴィーニのエンタメ精神が大好き。例えば『ローズマリー』での頭に短刀が突き刺さるシーン。突き刺さって血が噴出すだけで十分ゴアで「ウェッ!」となるのだが、サヴィーニはそこから犠牲者の目玉をグリンと白目に回転させて観客を驚かせる。そのもう一歩先に行こうとするスタイルに敬服止まず。
因みに、今では特殊メイク界の最大手となったKNBエフェクトグループの創設者の一人グレゴリー・ニコテロが、役者として軍人の一人、またサヴィーニのアシスタントとしても参加。最近は役者サヴィーニとしてしか見ていないのは寂しい限りなんですが、その遺伝子はしっかりと受け継がれているんだなぁと。

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死者の惑星ビギニング

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2015年02月04日

スウィング・オブ・ザ・デッド (The Battery)

監督 ジェレミー・ガードナー 主演 ジェレミー・ガードナー
2012年 アメリカ映画 101分 ドラマ 採点★★★

20代の頃、その時勤めていた会社の気の合う同僚と二人であちらこちら旅行にばっか行ってた時期が。それなりの観光地に行ってたんですが、やってる事といえば結局職場や勤務後の飲み屋でやってるのと変わらない無駄話ばかり。長時間移動の車中であろうが、ヘベレケになった宿の部屋であろうが、観光客で賑わう景観地であろうが、ずーっとくだらない無駄話。無駄話オンリーの二泊三日。でも、それが一番楽しかったんですよね。今、同じ状況で同じことをやろうとしても、もうあれと同様の楽しさってのは味わえないんでしょうねぇ。

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【ストーリー】
ゾンビが溢れ返り荒廃してしまった世界。二人の元野球選手ベンとミッキーは、安全な場所を求めて旅を続けていた。時折出会うゾンビ以外は何も起きない退屈な日々を、釣りやキャッチボールでやり過ごす二人。そんなある日、拾ったトランシーバーに別の生存者の通信が入り込み…。

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新鋭ジェレミー・ガードナーが製作/脚本/監督/主演を務め、友人ら10人からせしめた6000ドルの予算で撮り上げたロードムービーのゾンビ和え。各国のファンタ系映画祭でずいぶんと話題になったとか。
ゾンビにより世界が壊れてしまったことを受け入れられず、ヘッドホンで音楽を聴くことで殻に閉じこもるナイーブなミッキーと、それはそれで日々を楽しむベン。そんな両極端な野球のバッテリーコンビの姿を描いた本作。ポール・ラッドとセス・ローゲンの共演作、若しくはジョゼフ・ゴードン=レヴィットとセス・ローゲンの共演作と例えるとイメージし易いのかと。ブロマンスの要素が前に出ている分ゾンビ映画としては変化球にも思えるが、その状況下における人間ドラマを描いているって意味ではこれも正統派なのではと。

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あらゆる面でまだまだ至らない点があるのも確かな作品。厳しい言い方をすれば素人仕事。しかしながら、敢えて「友情!友情!」とわざわざ連呼せずとも分かり合える、及び我慢し合える男同士の繋がりってのをしっかりと捉えていますし、若い巨乳ゾンビが現れれば逃げる前に一人でおっぱじめてしまう、あまり見たことはないけど「分かる!」ってなる素晴らしいシーンを収めるなど、作品に対する明確な目的とそこからブレずに撮り終えた姿勢はじゅうぶん賞賛に値するのではと。ナイーブなだけでは生きていけない厳しさから目を背けてないのも見事でしたし。
「これだから映画漁りは止められない!」と思わせた拾い物の良作であると同時に、今年観た中では一番のゾンビ映画であったのも確か。まぁ、まだこれしか今年はゾンビ映画観てませんけど。満足度からすればもうちょっと甘めの採点でもいいですが、まだまだ出来るんじゃないかなぁって期待も込めて厳し目の★3つで。

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愛の巣

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2013年05月14日

人生の特等席 (Trouble with the Curve)

監督 ロバート・ロレンツ 主演 クリント・イーストウッド
2012年 アメリカ映画 111分 ドラマ 採点★★★

この春から中学生になった長女がソフトボール部へ入部。小学校時代はずっとブラスバンドに勤しんでいた反面スポーツとは無縁だった娘なので、ボールの投げ方がなんかこう砲丸投げ。「それじゃぁイカン!」とキャッチボールに付き合ってるせいか、筋肉痛が日常化している私でございます。まぁ、息子より先に娘とキャッチボールをするようになったってのはちょいと予想外ではありますが、それはそれでなんか嬉しい今日この頃で。

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【ストーリー】
多くの名野球選手を発掘してきた伝説的な老スカウトマン、ガス・ロベル。しかし、視力の衰えとデータ分析が主流となった時代の流れにより、来シーズンの契約更新は微妙なものとなっていた。そんな中、疎遠となっていた弁護士の娘とともに、ある目玉新人をスカウティングする旅へ出ることになるのだが…。

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多くのイーストウッド作品で製作や助監を務めてきたロバート・ロレンツが初メガホンを握った、父娘の絆を描くヒューマンドラマ。
表に出さなかったわだかまりを、旅の中で少しずつ溶かしていく様を描いた本作。成功と挫折、デジタルとアナログ、それにちょいとした恋模様などを織り交ぜつつ綺麗にまとめ上げた、「なんか良い映画を観た」って気にはさせる一本。
ただまぁ、物語の背景として扱われている“野球”の描き方がどうにも上手くない。「あんな分かり易い弱点に気付かないスカウトマンっているの?」って細かい疑問をさて置いても、扱いの大きさに対し中身がフレーヴァーとしての風味付けから一歩も出ていない薄さは気になるところ。結局『マネーボール』に唾ペッペしたいだけって印象も。まぁ、過去の事件に関するシーンだけイーストウッドらしいドロっとした空気が流れる以外これといって個性の無い作品だけに何かしらの目印を付けたかったんでしょうけど、あまり功を奏しているとは思えない“可もなく不可もなく”って一本に。

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役者としては『グラン・トリノ』以来、他監督もとで役者専念作としては『ザ・シークレット・サービス』以来20年ぶりとなるクリント・イーストウッド。とは言ってもマルパソ製作の作品なので、今回は完全なるホーム戦って感じ。そんな気心知れた仲間との作品だからか、“昔堅気の頑固じじい”という今観ていて最も安心できるイーストウッド像を。強いだけでも正しいだけでもない、そんな人生の紆余曲折の果てを見事に表現していたかと。
また、娘役には『ザ・マペッツ』のエイミー・アダムス、その恋の相手役として『ソーシャル・ネットワーク』のジャスティン・ティンバーレイク、ガスの親友兼上司として『アルゴ』のジョン・グッドマンらがキャスティング。その他、年々良い顔立ちになっているデンジャラス・ラン』のロバート・パトリックや、『スペル』のチェルシー・ロス、『キック・オーバー』のボブ・ガントン、あまりの扱いの小ささに「似てる人?」とまで思った『ロンゲスト・ヤード』のエド・ローターら、イイ顔揃いのキャスティングが嬉しい。で、イーストウッド作品といえば公式/非公式問わず自分の子供がちょいと顔を出してるってお楽しみがあるんですけど、今回ももちろんその中の一人スコット・イーストウッドが出演。なんかもう、つくづく男の中の男だなぁと。

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家族だから核心に触れれない

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2013年04月03日

SAFE/セイフ (Safe)

監督 ボアズ・イェーキン 主演 ジェイソン・ステイサム
2012年 アメリカ映画 94分 アクション 採点★★★

役者や怪獣の名前はいっぱつで覚える上になかなか忘れないってのに、イマイチ関心のない物事に関しては何時間にらめっこしても覚えない私。日本史に出てくる人物名なんてまずゴチャゴチャで、「“藤原家”の誰かの名前を挙げろ」と言われても「藤原って言ったら喜明だろうが!」って始末。今のところ戦国武将の名前に関しては、その手のゲームにハマってるうちの子供らに完敗のお父さんでございます。

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【ストーリー】
格闘技の八百長試合でしくじり、ロシアン・マフィアに妻を惨殺された元特命刑事ルーク。全てを失い自ら命を絶つところまで追い詰められていた彼の前に、ロシアン・マフィアに追われる中国少女が現れる。彼女を救ったルークは、ロシア/中国の二大マフィアや汚職警官グループに追われることとなり…。

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大きな秘密を握る少女を救った事で二大マフィアの抗争に巻き込まれる男の姿を描いたハードめなアクション。メガホンを握ったのは『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』の脚本も手掛けたボアズ・イェーキン。
マーキュリー・ライジング』や『サウンド・オブ・サイレンス』など80〜90年代アクションに70年代風硬派な男臭さを加え、そこにたっぷりとステイサム汁を放り込んだ本作。禿げあがった無精髭の主人公が、ロシア/中国系マフィア相手にニューヨークの街中で派手に暴れる様は、なんか“グランド・セフト・オート4”の実写版を観ているかの印象も。
別々の物語が一つに集約するオープニングは手際が良かったのに、主人公の背景など風呂敷を広げ過ぎてモシャクシャしてしまう展開や、“猛者&子供”の意味合いが大して効果なかったりと難点も多いが、ニューヨークの街並みを硬派な作品のトーンに上手く活かしているし、その中で存分にステイサムがステイサムらしい暴れっぷりを見せてくれるので“ステイサム映画”を観たかったこっちとしては特に不満もなし

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なにやら物騒な背景を持つ主人公のルークに扮したのは、『エクスペンダブルズ2』『キラー・エリート』のジェイソン・ステイサム。幼い子供をステイサムがどう相手するのか興味津々でしたが、蓋を開ければ気に入らない相手はとりあえず蹴り飛ばすいつものステイサム仕事。すこぶる強いからって、一緒にいれば安全ってわけじゃ全然ない感じとかも。どんな状況下にあってもステイサムで居続ける、この下手に媚びない姿勢が好き。
その他、可愛げや愛らしさってのよりは何か悪いものに憑かれてるって顔立ちが印象的だったキャサリン・チェンや、“チャイナタウンの顔役”ってのはお手の物である『ゴースト・ハンターズ』『地球が静止する日』の大御所ジェームズ・ホン、『ロボコップ3』で空を飛ばされたり『スティーヴン・キング/痩せゆく男』でジプシーに呪いを掛けられたりと、なんか散々な目に遭ってばかりいる印象が強いロバート・ジョン・バークに、『フライトナイト』『チャイルド・プレイ』のクリス・サランドンらといった80年代色強いキャスティングも魅力的だった一本。

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“守る”つもりはなし

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2013年02月13日

スクワッド 荒野に棲む悪夢 (El páramo)

監督 ハイメ・オソリオ・マルケス 主演 フアン・パブロ・バラガン
2011年 コロンビア/アルゼンチン/スペイン映画 107分 ホラー 採点★★

「UFOや幽霊は“脳の錯覚”で全て説明できる!」ってことなんですけど、まぁそうなんでしょうねぇ。ただそれじゃぁ、なんともつまらん。ロマンってか心の潤いがないというか。自然現象から妖怪を感じるって楽しみ方くらいは、いくら科学が進歩しても残しておいた方がいいと思うんですよねぇ。楽しいですし。

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【ストーリー】
霧に包まれた山間の基地との通信が突如途絶える。ゲリラによる攻撃と考えた軍部は、現地に9人の特殊部隊を送り込む。しかしそこには兵士の姿は無く、ゲリラであれば盗むであろう武器類と夥しい血痕が残されているばかりであった。やがて彼らは壁の奥に繋がれた謎の女性を発見。それを機に、予想だにしていなかった恐怖が彼らを襲う…。

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ソリッド・シチューエーション・スリラーとやらで“人の心の弱さ”ってのをよく描かれるが、それを屈強な身体と重装備の兵士に置き換える事で“いくら体を鍛えても心はついて行ってない”ってのをより明確にしようってのが新味のミリタリー・ホラー。
異常な状況の現場、不安定な指令系統、過去の忌まわしき事件を抱えた兵士達といった一種の火薬庫と化した緊張状態の中に、“魔女”って火種を放り込んだ結果起こる惨劇を描いた本作。状況さえ揃えば、わざわざイボガエルを煮込まずとも魔法や呪いを掛けられたが如く人々が狂い出す様を、不穏な空気と緊迫感漂う映像で収めている。
ただまぁその狙いは良いのだが、あまりに単調。画面に緊張感はあるが物語に起伏が無いので強烈な催眠効果を発揮し、それに負けて30分ほど気を失ってから観賞再開しても、気を失う前と同じシーンが続いてるのかと思えるほど単調。なんと言うか、絶妙なコースに投球するも、球威が全く無いので容易にボールを見極められてしまうような感じが非常に残念な一本で。

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緊張だけでは睡魔に勝てず

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タグ:★★ ホラー
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2013年01月19日

ソルジャーズ・アイランド (Soldiers of Fortune)

監督 マキシム・コロスティシェフキー 主演 クリスチャン・スレイター
2012年 ロシア/アメリカ映画 94分 アクション 採点★★★

子供の頃、「金持ちってその気になれば島国くらい買えんじゃね?」って思ってましたが、大富豪がよってたかって金出せば、ちょっとした大陸すら買えるんですよねぇ。すげぇな、金持ち。「やぁ!ちょっと持て余してるから、3億円くらいあげるよ!」とうちに来ないかなぁ。

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【ストーリー】
豊富なレアメタルを独占せんとする暴虐独裁者によって島民が苦しめられている、黒海に浮かぶ小さな島。島民たちは状況を打開するため、富豪相手の戦争体験ツアーを企画し、その収入によって反乱軍の軍資金にしようと計画する。富豪たちの安全確保とサポート役を、数々の武勲をあげるも不名誉除隊となった元特殊部隊クレイグに依頼するが…。

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“大富豪の戦争ごっこ”と着眼点はちょいと目新しいが、やってることは非常に古臭いと言うチグハグさが絶妙な戦争アクション。監督は、本作が初メガホンとなるマキシム・コロスティシェフキー。“フキー”の部分がちょっとカワイイ。
“恵まれた環境にいる大富豪が過酷な現実を知る”“圧政に苦しむ島民”“名誉ある不名誉除隊”など、掘り下げればいくらでも面白くなりそうな題材の数々を、見事なまでに掘り下げない本作。訓練を通して真人間になっていく様や友情を育む様を描くわけでも、金持ちを過酷な状況に放り込むリアリティTVのような面白さを描くわけでもなく、その辺をかすりながらも単純に“富豪版『荒野の七人』”をメナハム・ゴーランが作ったかのようなバタ臭さに溢れた一本に。なんか、30年前の映画みたい。この“外国から見たアメリカのイメージ”って部分を上手く出せてれば皮肉も効いたんでしょうが、その辺は残念ながら。
ただまぁ、「やるなぁ、コイツぅ」とブツリと終わるエンディングなど、全編に漂う時代錯誤感は嫌いになれず。土曜の午後にTVでやってたのをついつい最後まで観てしまう、そんな感じの作品で。

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キャストが特殊な意味で豪華ってのも、嫌いになれない理由の一つ。
アクションシーンに人一倍古臭さを感じさせる『マインドハンター』『カフス!』のクリスチャン・スレイターを筆頭に、『サロゲート』のジェームズ・クロムウェル、『ピラニア』のヴィング・レイムス、“メリアドク・ブランディバック”ことドミニク・モナハン、『伝説のロックスター再生計画!』のコルム・ミーニイに、『レディ・イン・ザ・ウォーター』のフレディ・ロドリゲスといった錚々たる面々が。
そしてなにより、『30アサルト 英国特殊部隊』のショーン・ビーン。背景が良く分からない謎の富豪として美女を引き連れ颯爽と登場。人一倍似合う軍服姿と銃を構える様に、「お?今回はやるのか?」と期待をさせる役回り。もちろんその期待は守られるわけもなく、特に活躍しないままいつの間にか裏切り者として怪しまれ、特に努力しないままその疑惑も晴れてしまうので怪しまれ損のショーン。クライマックスにそれぞれ因縁の相手との対決シーンがあるのだが、それに乗っかろうとショーンも独裁者を追うも何故か転んで大いに出遅れ、やっと追い付いたら独裁者は殺されてたので、しょうがないんでオクサナ・コロスティシェヴスカイヤという、名前を覚える気にならない上に物語上縁もゆかりもない木の実ナナ似のヒロインを助け出して何となく成し遂げた風のショーン。エンディングでは人一倍頑張ったみたいな顔してます。さすが!
そんな“正しいショーンの扱い”ってのも見れたので、なんだかんだとこの評価で。

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楽しそうなショーンを見てるのが楽しい

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posted by たお at 10:04 | Comment(6) | TrackBack(2) | 前にも観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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