2016年02月13日

ゾンビーバー (Zombeavers)

監督 ジョーダン・ルービン 主演 レイチェル・メルヴィン
2014年 アメリカ映画 77分 ホラー 採点★★

ダメな作品を笑い飛ばす楽しみ方ってありますよねぇ。で、そういう作品って、作ってる方が真剣であればある程面白くなったりも。若しくは、金のために仕方なくホラー映画を撮ってたりする場合に醸し出される嫌々感や恨みつらみなんかも、狙っては出せない得も知れぬユーモアが感じられたりするんですよねぇ。でも、そういった作品を器用な人が狙って作ったり、腕が付いてきてない人が逃げの方法で作ったりすると、途端に面白味がなくなったりする場合も。

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【ストーリー】
湖畔へキャンプにやって来た女子大生三人組。それぞれの彼氏らも合流し乱痴気騒ぎを楽しんでいたが、そこへ突然医療廃棄物の影響で凶暴なゾンビと化したビーバーが襲ってくる。山小屋に立て篭もる彼らだったが、ゾンビーバーはその小屋を取り囲み…。

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バラエティ番組の放送作家なんかをやっていたジョーダン・ルービンの長編デビュー作となる、ゾンビなビーバーが大暴れするホラーコメディ。
基本悪ふざけだけで出来ている本作。「ビーバーがゾンビになるんだよぅ!そのビーバーは出来そこないのパペットなんだよぅ!面白いでしょ!」ってな姿勢なんですが、如何せん全力で悪ふざけをしてるんではなく、「別にふざけてるだけだし」と言う感じの逃げの姿勢が垣間見えちゃって全然ノレず。10分程度の1コーナーコントであれば存分に楽しめたんでしょうけど、長編としては笑いも怖さも全て及第点以下の代物に。せめてどちらか一方に特化してくれれば良かったのになぁと。もっともう一方のビーバーの意味をイジリ倒すとか。
ただまぁ、ホラー映画の典型的なキャラ配置とロケを用いつつ最初に死にそうなアバズレキャラを最後まで奮闘させたりする捻りや、繋がりの良いオチ、意外とよく出来てた感染者メイクと見どころも少なくないので★はオマケ気味。“ZOMBEE”っていうストレートすぎるダジャレも嫌いじゃなかったですし。
そう言えば、オープニングとエンディングに出てくる運搬業者、てっきりビル・ヘイダーかと思ってたらミュージシャンのジョン・メイヤーだったんですねぇ。

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ビーバー&ビーバー

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タグ:★★ ホラー
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2016年02月07日

死霊のしたたり (Re-Animator)

監督 スチュアート・ゴードン 主演 ジェフリー・コムズ
1985年 アメリカ映画 85分 ホラー 採点★★★★

一人の異常者と、それに対する分かりやすい理由と原因を求める識者やメディアによってホラーが悪者にされて久しいですねぇ。犯罪を助長するいかがわしい代物としてバッシングを受け、店頭からも劇場からもブラウン管からもホラーが消え、直接的な人体損壊描写の少ない比較的安全な作品ばかりが残ることに。その一方で、『プライベート・ライアン』みたいに、低予算のホラー映画なんか目じゃないくらい凄まじい人体破壊がメジャー映画で繰り広げられてたりもしますが。まぁ、「ホラーはいかがわしくない!美しいんだ!」なんて擁護をするつもりなんてさらさらないですし、ことスプラッター映画なんかは根っこの部分でポルノと同じ映像的快楽に繋がってるのも実感として理解出来るんですけど、だからと言って“いかがわしいものをすべて排除するのが当然”みたいな心の狭すぎる世の中ってのは嫌だよなぁと。他人が何を好んでいようが別に良いじゃないの

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【ストーリー】
死体蘇生薬の開発に成功した医学生ハーバート・ウェストはルームメイトのダンと共に死体安置所で実験を行うが、蘇った死体は凶暴なゾンビと化し暴れ出し、そこへやって来た学長ホルジーを殺してしまう。彼らはホルジーの蘇生にも挑むが、ホルジーもまた凶暴なゾンビと化してしまう。そんなホルジーの診断をした脳外科医のヒルは死体蘇生薬の存在を嗅ぎつけ、それを奪おうとウェストのもとを訪れるが…。

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H・P・ラブクラフトによる原作“死体蘇生者ハーバート・ウェスト”を、本作が劇映画デビューとなった『フロム・ビヨンド』のスチュアート・ゴードンが映画化した、日本公開時に“ZOMBIO(ゾンバイオ)”なるなんとなく言いたいことが分かるタイトルを頭に付けられていた、ゴシック風味のゾンビホラーのコメディ和え。製作総指揮には、本作以降ホラーファンの間で一躍その名を知られることになるが、作る作品作る作品基本的にアレなので、“ヤツの映画だからしょうがない”と諦めと大らかな気持ちで挑む覚悟の象徴にもなるブライアン・ユズナが。本作だったか『ドールズ』だったかどの作品なのかは忘れちゃいましたが、当時劇場で巨大ロボット同士が戦ってたり、アマゾネスが荒廃した惑星の檻に閉じ込められてたりする魅惑的なイラストが切手シートタイプのチラシにびっしり描かれた“近日公開予定”チラシを貰ったのも良い思い出。その大半が作られもしなかったってのも、今となっては良い思い出の一つ。さすがエンパイア・ピクチャーズ
80年代のスプラッター映画ブームを語る上で外すことの出来ない本作。決してそのブームのど真ん中に立つ作品ではないが、埋もれて消え去っていた数多くの作品とは異なり、独特なユーモアと暴走するゴア描写が織りなす強烈な個性がいまだ輝き続ける一本。

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その見せ場だけを簡単にリストアップすると、
■筋肉ムキムキゾンビがチ○チ○をぶらぶらさせながら大暴れ!
■首を切断された男がブロッケン伯爵ゾンビになる!
■性欲を暴走させるブロッケン伯爵が裸にひんむいたヒロインに生首ク○ニ!
■その生首を怒ったヒロインのパパゾンビが捻りつぶす!
■チ○チ○ぶらぶらさせたゾンビ集団がスクリーンを埋め尽くす!
■腸が元気いっぱい飛び出し人間に絡みつく!
■バーバラ・クランプトンの柔らかそうなオッパイ!
ほら、もう文字だけでも魅惑的。妄想を爆発させた中学男子が前かがみになってビデオ屋直行。
そんな、特殊メイクを学ぶ学生たちを「現場体験できるよ!」って甘い言葉でタダ働きさせて作り上げた創意工夫溢れるゴア描写と、惜しげもなくその揉み心地の良さそうなオッパイをさらけ出すバーバラ・クランプトンの体当たりエロ描写(一部の好事家向けにダルダルに太ったオバサンのヌードも!)といった、文字通りエログロが炸裂する作品ではあるんですが、本作の魅力はそこだけに集中しているわけではあらず。

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本作や『キャッスル・フリーク』のイメージから、ブレーキの壊れたダンプカーの如く暴走と破壊を繰り広げる作風の監督、若しくはチ○チ○ブラブラさせるのが好きな監督と思われがちなスチュアート・ゴードンですが、元々舞台出身でゴシックホラー好きってのもあり、本作でもゴア描写以外の演出は基本的にゴシック調で非常に手堅い。舞台こそ現代だが、どこかハマーフィルムのような香りすら。その丁寧で手堅い演出から一転、ゴア描写になると大暴走するローギアとトップギアしかないふり幅の極端さが魅力。どっちか一方に偏ってたり、段階を踏んだエスカレートでは味わうことの出来ない極端すぎる緩急が本作をここまで輝かせている。
また、作品の雰囲気こそはかけ離れているが、ラブクラフトの原作からポイントだけはしっかりと押さえていたり、男のキャラクターが新しい生命の創造に躍起になる中、唯一生命創造の鍵を握る女性キャラがだけがそれに異を唱えたりと、原作に対するリスペクトと独自のテーマ性を確立している点も見事。「イヤイヤ!」といちゃついてるシーンから「いいわ!いいわ!」とベッドシーンへと繋がるように、何気に編集も気が利いていて巧い。
本国ではコメディとして認知されている本作。ただ、それは端から狙った笑いではなく、やり過ぎと不器用さから自然発生的に生まれた笑いがほとんど。特徴的なのは、さっきまで身綺麗で厳格だった学長がゾンビになると同時にコント髪のアホになってしまうシーン。場面の意味合いも演者もシリアスなのに、絵面がコントだからなんともシュール。そんな狙いすぎない自然な笑いも本作の魅力で。

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当たり役を手にしシリーズを象徴する役者になっただけではなく、ホラーアイコンとして数々の作品に起用され作り手の通っぷりをアピールする丁度いい人材となった『さまよう魂たち』のジェフリー・コムズを筆頭に、ハーバート・ウェストがふっ飛んでる分、観客の心の拠り所として機能していたブルース・アボット、“揉みたいオッパイランキング”なるものが存在すれば間違いなく上位に君臨してたであろうバーバラ・クランプトンなど、この後しばらくジャンル的にお馴染みとなる顔触れが揃ってるのも嬉しかった本作。そんな若手の奮闘と、この後程なくして亡くなってしまったデヴィッド・ゲイルの怪演が強い印象を残した一本で。
個人的な思い出話でアレなんですが、当時本国で話題になってることは専門誌などで知ってはいましたが、日本公開のめどは立っておらず幻の作品だった本作。そんな折、街角の小さなビデオ屋で直輸入の海賊版ビデオを発見。レンタル料金が軽く1000円を超えてた時代、本作に限っては3000円の値が。友達から金を集めていざ皆で鑑賞すると、劇場のスクリーンを直で撮ったようで観客の声から頭からなにもかにも入り込んでる上に、やたら青い画面のピントも合ってない粗悪な代物。そんなものでも期間中繰り返し観たのは良い思い出で。数年後に初めて劇場で観た時、全てのシーンをすっかり覚えていたせいか、バーバラ・クランプトンのオッパイの白さに一番驚いたってのも、今となっては良い思い出で。
因みに、最初に出てくるムキムキゾンビに扮していたのが、『ターミネーター』から『ジングル・オール・ザ・ウェイ』まで14作連続でシュワルツェネッガーのスタントダブルを担当したピーター・ケントだってのと、ボウイがこの作品のファンだったっていう小ネタをねじ込んでおしまい。

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“揉めるけど見れない”ってのと“見れるけど揉めない”ってのではどっちがいいかなぁ

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2016年01月29日

ジャッジ 裁かれる判事 (The Judge)

監督 デヴィッド・ドブキン 主演 ロバート・ダウニー・Jr
2014年 アメリカ映画 141分 ドラマ 採点★★★★

“家族だから何でも許せる”と思われがちですけど、逆に家族だから許せない問題や残り続けるわだかまりってのも多いですよねぇ。相手が他人なら最悪距離を置けばいいだけなんで「ま、いっか」と諦められる事柄でも、家族となるとそうもいきませんし。親子になると尚更で。

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【ストーリー】
母の葬儀に出席する為、帰郷を果たした凄腕弁護士のハンク。久しぶりの家族の再会であったが、ほとんど絶縁状態にある地元で判事を務める父ジョセフとの折り合いは相変わらず悪いままで、ハンクは早々と引き返そうとしていた。そんな中、父が殺人容疑で逮捕されるとの一報が入る。父の弁護を受け持とうとするハンクだが、ジョセフはそれを頑なに拒み…。

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ウエディング・クラッシャーズ』のデヴィッド・ドブキンによる、わだかまりと葛藤を抱える家族が再生する様を描いたドラマ。製作には、主演を務めるロバート・ダウニー・Jrとその妻スーザンの名も。
法と正義に対してのみならず家族に対しても厳格な父親ジョセフと、正義よりも法の抜け穴を探し出しどんな悪人でも無罪を勝ち取ることに重きを置く息子ハンクの対立とこじれた感情を中心に、野球選手として将来を展望されながらも、弟ハンクが起こした交通事故によりその夢が破れ、今では地元に残り精神薄弱者である末弟の面倒をみる兄の心の中でくすぶり続ける怒りと遣る瀬無さ、バラバラになっている家族の現状を心の底から悲しみ、美しかった思い出の象徴である8ミリカメラを片時も手放さない末弟、そしてハンクのかつての恋人と、逆算すると種主がどうもあやしいその娘など、複雑に入り乱れて織りなされる人間模様をどっしりと腰の据わった演出で見せてくれた本作。そもそもそういう作品ではないんですけど、丁々発止と劇的展開が楽しめる法廷劇を期待すると肩透かしを食らうが、そんな勝手に外した期待を補って余りあるほどの重厚な人間ドラマを堪能できる一本。
コメディ作家の印象が強いデヴィッド・ドブキンだが、コメディ映画の監督は演者がリラックスして様々なアプローチを試せる環境を作り出し、その中からベストの演技を引き出すことに長けている人が多いってことを考えると、実力派が勢揃いしながらもエゴのぶつかり合いにならず見事なアンサンブルを見せてくれた本作は、コメディ監督だからこそなし得た結果なんだろうなぁと。久々の兄弟の再会が、抱き合うでも殴り合うでもなく、駐車スペースの話題という差し障りの無いもので距離を確認し合う名シーンなどに見られる、演者のアドリブを上手に引き出せたのも、彼だからこそなんでしょうねぇ。

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ハンクに扮したのは、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のロバート・ダウニー・Jr。今ではほぼほぼ“=トニー・スターク”って印象になってるが、その口八丁な軽薄さを残しつつ、子供の頃から持ち続けるわだかまりがそのまま主人公の少年性に繋がる、曲者実力派の本領を久々に発揮する名演を。
また、『アウトロー』のロバート・デュヴァルや、『ラン・オールナイト』のヴィンセント・ドノフリオ、『ゼロ・ダーク・サーティ』のジェレミー・ストロングらの好演も見事。特にロバート・デュヴァルの、法と正義を遵守する生き様と家族を愛する思いが自分の中でぶつかり合う熱演は絶品。
その他、個人的に苦手な役者なんですけどその苦手さがキャラ的に丁度良かった『ファースター 怒りの銃弾』のビリー・ボブ・ソーントンや、田舎に残り続けるちょいと品の無い女性役ってのが新鮮でしたが、それを全く自然にものにしていた『死霊館』のヴェラ・ファーミガ、一服の清涼剤のような存在だったダックス・シェパードの存在も忘れ難し。
作品そのものも見ごたえ十分でしたが、ブルーレイの映像特典に収められていた、演者たちがそれぞれの役柄に対するアプローチ方法や演技法を語り合う特典映像もなかなか興味深く楽しめた一本で。

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家族だからこそ見失う距離感

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2015年12月26日

しあわせはどこにある (Hector and the Search for Happiness)

監督 ピーター・チェルソム 主演 サイモン・ペッグ
2014年 ドイツ/カナダ/イギリス/南アフリカ映画 120分 ドラマ 採点★★★★

他人の悪いところばかりに目が行く人っていますよねぇ。で、会話の切り出しは得てして誰かの悪口。どういう心理状態がそうさせるのかはちょいと分りかねますけど、そういう人って自分より劣ってる部分を見つけだすことで優越感とか幸福感を味わってるんでしょうかねぇ。比較することによって得れる幸せって、なんかあっという間に手からこぼれ落ちそうな気が。

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【ストーリー】
ロンドンに暮らす精神科医のヘクターは、美しい恋人クララと共に何不自由ない生活を送っていた。しかし、患者たちの不満を聞き続けている内に自分までもが幸せなのかどうか分からなくなってしまう。意を決して本当の幸せを調べるため、イギリスを飛び出し旅に出たのだが…。

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精神科医フランソワ・ルロールによるベストセラー“幸福はどこにある 精神科医へクトールの旅”を、『マイ・フレンド・メモリー』のピーター・チェルソムが映画化したコメディドラマ。
様々な幸せの形を巡った末にたどり着く“本当の幸せ”が、思いのほか説教臭くも宗教臭くもない、目に見える形も含め非常に分かりやすく腑に落ちる形で示してくれた本作。“笑い6:真面目4”のドラマバランスも安定感抜群。そんな作品の出来自体も悪くないんですけど、やはり本作の良さは『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』のサイモン・ペッグがほぼほぼ全て
その素直さ故に日常に不満を感じることもなく、ある種流されるままホワンと生きているヘクター。なんかラッコ。攻撃的になることも他者を見下すこともないその性格が様々な人たちのと出会いを生み、その人たちの言動を素直に正面から受け入れる。一方でアホちゃん的な頑固さを持ち合せ、一度自分で決めたことはどんな状況に陥っていてもやり遂げないと気が済まない。また、表立って頑丈を高ぶらせることもないが、それは心の中に子供時代の自分をシェルターとして持ってるからだったりも。
ホワホワンとした人当たりとアホちゃん要素、困り顔の入り混じった笑顔と残る子供っぽさ。そんなヘクターを、サイモン・ペッグが“TOP3可愛いペッグ”に入る持ち前の可愛らしさで抜群の好演。悪くないが記憶に残りにくい一本を、印象深い可愛い映画に仕上げてくれていたなぁと。

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そんなほぼサイモン・ペッグで出来ていた作品ではありますが、共演陣の充実っぷりと妙演も忘れ難し。
中でもヘクターの恋人クララに扮した、ペッグとは『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』でも共演しているロザムンド・パイクが素晴らしい。恋も仕事も好調なクララ。母親的な懐の深さと物事を順序立てて進めれるだけの心の余裕を持ち合せているようでいて、実のところ常に追い詰められて心がパンク寸前の状態にいるって様を、冷たさと怖さを感じさせる貼りついた笑顔で好演。“不安”ってのを表現するのが非常に上手い女優だなぁと。
また、男女間での時の流れ方の違いってのを明確過ぎるほど分かりやすく表現してくれた『フライトナイト/恐怖の夜』のトニ・コレットや、基本的にはゲスな人種なのだが、ヘクターと接する中で抑え込んでいた人の良さが漏れ出てしまう様を巧みに見せてくれた『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のステラン・スカルスガルドや、『バレッツ』のジャン・レノ、老いたヒッピーというかグルのような雰囲気すらあった『ドラゴン・タトゥーの女』のクリストファー・プラマーらも印象的だった一本で。

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この状況全部が幸せの塊

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2015年12月16日

呪怨 -ザ・ファイナル-

監督 落合正幸 主演 平愛梨
2015年 日本映画 89分 ホラー 採点★★

プロレスラーの引退宣言同様、映画の“ファイナル”ってのも全く当てにならない言葉ですよねぇ。シレーっと続きが作られたりしますし。まぁ、「次回を乞うご期待!」と終わりながらも、あれこれあって作られなかった作品も少なくないですけど。『レモ/第1の挑戦』とか。そんな言ってみただけの“ファイナル”であっても、とりあえず最低限それっぽくアレコレ解決してみせるもんですよね。普通は

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【ストーリー】
小学校教師をしていた妹の失踪を不審に思った麻衣は、妹が不登校児の佐伯俊雄の家を訪れていたことを知る。手掛かりを得るため佐伯家を訪ねる麻衣だったが家はすでに解体され、そこに居た男性から「これで呪いが断ち切られた」と告げられる。しかし、呪いは終わっておらず…。

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呪怨 -終わりの始まり-』の続編。前作同様、落合正幸がメガホンを握り、清水崇と高橋洋はノータッチ。
前作とほぼ同じ不満しか浮かばないので、正直書くことのない本作。と言うか、更に悪い。同じことを繰り返してるだけで何がどう“ファイナル”なのかもサッパリですし、前作の締めくくりであった“新ママ佐々木希”ってのもないがしろ。俊雄君をメインに据えるのは目先を変えるって意味ではいいのだが、スープの中でクラゲのように俊雄君が漂ってたり、エレベーター内にミッチミチに俊雄君が詰まってたりと、本気で怖がらせようとしてるとは思えぬ珍シーンばかりの連続で根本的に怖くない。俊雄君がこうだから伽椰子に期待をすれば、やっぱり前作同様ただのおばちゃん。ちょっと怖いおばちゃん。フレディやジェイソンがさっぱり怖くない作品にシリーズの冠を被らせる意味がないように、伽椰子がちっとも怖くない本作に呪怨を名乗らせる意味がない。

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相変わらず音響がただただ喧しく、女子高生がさっぱり女子高生に見えないだけだった本作。ビデオ版『呪怨』が好きだっただけに劇場版『呪怨』のパワーダウンにがっかりしたものですけど、本作後に観てみると、静寂と間の使い方の巧みさ、呪いのビデオや新耳袋などからのネタの持ち込み方の上手さなど改めて感心させられる描写が多いこと。特に伊東美咲の襲われるシーン。テレビキャスターの顔が奇怪に歪み、恐怖のあまりベッドにもぐると手には落としたはずのキーホルダー。恐る恐る布団の中をのぞくと、そこに伽椰子。そのリズムの素晴らしいこと。清水崇の恐怖演出ってのはスゲェんだなぁと再確認。他の題材であればちょっと分かりませんけど、正直なところ落合正幸に呪怨は向いてないんだなぁってのだけは伝わった一本で。

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呪怨だと思ったら呪怨的な別物だった時のヘタリ感

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タグ:★★ ホラー
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2015年12月15日

呪怨 -終わりの始まり-

監督 落合正幸 主演 佐々木希
2014年 日本映画 91分 ホラー 採点★★

好きなもの同士を掛け合わせたからって、それがより素晴らしいものになるとは限らないんですよねぇ。私の大好物2強であるピザとずんだ餅を合体させても、ただただ心の荒むピザが出来上がるように。また、フィールドの違う二種類を掛け合わせれば何か生まれそうな希望はありますけど、似たようなものの掛け合わせには予想を超えるものは生まれにくいのかも。ポテチのうす塩とコンソメを掛け合わせても、ただしょっぱいコンソメになるみたいに。そんなことを、最近公開された『貞子VS伽椰子』の予告編を観ながらふと。

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【ストーリー】
小学3年生のクラスを急遽担当することとなった結衣は、不登校児である佐伯俊雄の自宅を訪ねることに。しかし俊雄には会えず、そこには様子のおかしい母の佐伯伽椰子がいるだけだった。だが、その日を境に結衣の周囲で怪異が巻き起こる。一方、呪われた家として有名な一軒家に肝試しに入った女子高生の七海ら4人。彼女らの周辺でも異変が起き始め…。

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オリジナルビデオ版の一作目『呪怨』のリブート的意味合いを持ちつつ、劇場版『呪怨2』の要素も交えた本作。呪いの発生源が伽椰子ではなく俊雄君だってのが新味。ただ、肝心の俊雄君が持つ凄惨な生い立ちを物語に活かし切れてないため、これまでの伽椰子が放ってた強烈な怨ほどの力が感じられず。また、三下に成り下がって出番が減った伽椰子に代わって出ずっぱり俊雄君だが、先に挙げた怨が描ききれてない為か、オカッパ頭にパンツ一丁で白塗りの子供が画面に見切れているだけという、恐怖よりも珍妙さが前に出てしまった結果に。全身白塗りにブリーフ一丁の男子で観客が震えあがると本気で思ったんでしょうか?
まぁ、これでも恐怖演出さえ冴えてれば俊雄君でも十分いけたんでしょうが、肝心の恐怖演出がダメ。Jホラーを代表する監督の一人である落合正幸だけに期待したんですが、ただただでかい音が鳴り続けるという、怖いというより喧しい作品に。清水崇と高橋洋が居ないとこんなにも違うのかと。巨大女子高生とか、実は笑わせにかかってるのかと思った描写も少なくないですし。
時系列を散らかすことで全てが合致した際に「おぉ!」と思わせる物語構成はいつも通りではあったんですが、重要な初代俊雄君パートが少なくて、トリンドル玲奈がメインに立つ別になくても成立する女子高生パートが長いという配分面でも難があった、好きなシリーズだけに残念な一本で。まぁ、佐々木希を愛でる分には損のない作品ではありましたが。

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数ある候補から佐々木希を“新ママ”に選ぶなかなかのやり手

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2015年12月04日

さまよう魂たち (The Frighteners)

監督 ピーター・ジャクソン 主演 マイケル・J・フォックス
1996年 ニュージーランド/アメリカ映画 110分 ホラー 採点★★★★

ムーが愛読書だった子供の頃、“あなたの守護霊に会おう!”とか“オーラの色を確認しよう!”なんて記事を目にしたらもれなくお試ししてみた私。行動範囲内に「あそこ出るってよ!」って場所あれば、ホントに出たらちょっと困るので昼間に行ってみたりもしましたし。結局なにも見えないし会えなかったんですけど、それでも「霊が見たい!」と思ってたものです。見えたら見えたで「怖い!」となるだけなのに。なんでしょうねぇ、“死んでも終わりじゃない”ってのを確認したかったんでしょうかねぇ。

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【ストーリー】
知り合いの幽霊と共謀したインチキ悪霊払いで生計を立てているフランク。一方、町では謎の心臓発作により人々が次々に死んでいく怪事件が続発していた。そんな中、仕事で知り合った女医リーシーの夫の額に謎の数字が浮かび上がるのを見たフランクは、その数字と町を跋扈する死神との関連性を知り…。

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本作がハリウッドデビューとなった、“ロード・オブ・ザ・リング”シリーズのピーター・ジャクソンによるホラー・コメディ。製作総指揮にはロバート・ゼメキスが。
最新映像技術と既存のエフェクトを巧みに混ぜ合わせ、目新しいのにどこかクラシカルな雰囲気を作り上げるピーター・ジャクソンらしい独特の世界観がハリウッドにおいても霞むことなく表れていた本作。年月と共に急速に古びてしまうCG映像を補う、『狼男アメリカン』のリック・ベイカーによるゴーストメイクも見事。
また、この後に流行るCGゴーストが派手に暴れまわるだけの怖くないホラーアトラクション映画とは異なり、霊的・人的な怖さってのをしっかりと描き込んでいるのも良い。この怖さの土台があるからこそ、連続殺人鬼ってだけでも怖いのにそれが幽霊だってんだから手に負えないという、怖さと特殊なユーモア感覚のブレンド具合が効いてるのかと。丁寧に伏線を回収しながらツイストの効いた結末に持っていく脚本にしても、力強くスピーディに進む演出にしても、どれを取っても今なお楽しめるエンタメ作品の快作で。

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主人公のフランクに扮したのは、『ハード・ウェイ』のマイケル・J・フォックスが。この後パーキンソン氏病であることを公表し一線から退いたため、本作がメジャー映画主演最後の作品に。意識をして見れば多少の影響が垣間見られるが、当時はちょっと元気のなかったマイケルが持ち味の軽妙さと幼さを残しつつ陰と皮肉っぽさを織り交ぜた新しい姿を披露し、「お?ちょっとこれから楽しみだぞ!」と思ってただけに映画でその姿を見れなくなったのは正直残念で。
その他、「あら、E.T.ママがこんなんなっちゃった!」と驚いたディー・ウォーレス=ストーンや、エンパイア・ピクチャーズ作品の時となんら変わらない怪演っぷりが嬉しい『フロム・ビヨンド』のジェフリー・コムズ、怪優ゲイリー・ビューシイの“怪”の部分のみを受け継いだジェイク・ビューシイ、庶民的ヴァージニア・マドセンっぽいトリニ・アルヴァラードに、『フルメタル・ジャケット』のまんまなR・リー・アーメイといった個性的過ぎるキャスティングも魅力だった一本で。
ちょいとズレますが、天国で最愛の人と再会するってな映画や話って多いですよねぇ。でも、親子のように揺ぎ無い関係であれば分かるんですが、それが奥さんや恋人だったらどうなんだろうと。例えば、心の底から愛してた奥さんと死別してその後自分も死んだなら双方に“再会”の喜びがあるんでしょうけど、もし同じくらい愛してる人と出会って再婚してたりしたら、どっちと再会するんだろう?待ってる立場としてもどう立ち振る舞えばいいのかなぁと。ギスギスしそうなんで間を取って親元に行くのが無難そうですけど、結局親も他人同士の結婚で成立してるから揃ってるとも限らないよなぁとか、そんなことを考えちゃうんですよねぇ。

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死んだ時の容姿しか選べないのかなぁ?

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2015年11月21日

シグナル (The Signal)

監督 ウィリアム・ユーバンク 主演 ブレントン・スウェイツ
2014年 アメリカ映画 97分 SF 採点★★

独占レンタルって、なんか気分悪いね!」と感情的には感じながらも、この厳しい時代に競合他社との差別化を図るビジネス的な意味合いでは理解も出来る私。これで、顔触れが地味だからとか配給会社が売り方を思いつかなかったとかの理由でお蔵入りした隠れた名品なんかを中心にリリースしてくれたら、映画ファンとしては嬉しいものなんですけど、結構な割合で在庫処分的な作品が多かったりするんですよねぇ。

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【ストーリー】
謎のハッカー“ノーマッド”を追いネバダ州にある廃墟へと辿り着いた、MITの学生ニックとジョナ、そしてニックの恋人であるヘイリーの三人。しかし、彼らはそこで不可解な現象に遭遇して意識を失い、目を覚ますと政府機関の隔離施設に監禁されていた。デイモンと名乗る責任者とおぼしき人物に、地球外生命体に接触した為に何かに感染してしまったと告げられたニックは…。

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『地球、最後の男』のウィリアム・ユーバンクによる、異星人と接触した若者たちの顛末を描いたSF。主演には『オキュラス/怨霊鏡』のブレントン・スウェイツが。
たぶん監督の頭の中に浮かんだ“UFOキャッチャーの中に囚われた人間”ってイメージを、好きな作品なのであろう数々のSF映画のモチーフを拝借しながら映像にまとめたって感じの本作。「これ、なんか○○っぽいよね?」って展開を、如何にもサンダンスっぽいセンス良さげな映像で飾り立てた“ぽいぽいづくし”な作品で。
深いテーマを持ってそうな雰囲気だけを楽しむ分にはまぁよいが、ちゃんと話を追おうとするとその支離滅裂さに頭が痛くなってくる本作。『未知との遭遇』みたいにシグナルを受け取った人間が「お分かり頂けたであろうか?」みたいに映り込む異星人と接触し、ちょいと改造されちゃうってのはまぁ良し。足に障害のある主人公がスーパー足を手に入れるってのは、もう一人の男の改造理由が不明ってのと、彼女がどうなってるのかさっぱり分からないってのはさて置いて、なんとも粋な計らいですし。で、それを理由に監禁されるのも、脱走しちゃうのも納得。
ただ、そっから突然『ダークシティ』になられちゃうと、さすがにわけが分からない。作品に重みを与えるためだけに存在する、『コンテイジョン』のローレンス・フィッシュバーンが扮していたデイモンの言ってること全部辻褄合わなくなるし、そもそも嘘をつく必要も監禁する必要もないですし。もう、この宇宙人と分かりあえる気がしない
この支離滅裂さが計算のうえでなら付き合えるんですけど、なんか「雰囲気だよ!」と開き直っちゃってる感がちょいと嫌だったなぁと。「ボク、こんなことが出来ます!」っていう10分程度のPR映像なら傑作になり得るが、映画となると考えものの重厚な空っぽ映画で。まぁ、やっぱり宇宙人は牛に興味があるってとこは面白かったですけど。

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やっぱり牛が好き

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タグ:★★ SF
posted by たお at 13:49 | Comment(2) | TrackBack(9) | 前にも観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月20日

スティーブン・キング 血の儀式 (Mercy)

監督 ピーター・コーンウェル 主演 チャンドラー・リッグス
2014年 アメリカ映画 79分 ホラー 採点★★★

両親が何かと忙しかったため、日中ほとんどの時間を祖父母と過ごしていた子供時代の私。常に穏やかだった祖母と、寡黙で孫と戯れてる姿を見られるのは少々気恥かしいと思ってるカッコつけしいのくせに、私の運動会にはコッソリと必ず観に来ていた祖父。私の名付け親であり、あれこれあって私の出産を諦めていた母をひと押ししてくれた存在でもあるそんな祖父母を、亡くなって久しいまでも大好きな私。ただまぁ、激動の時代を生きてきたはずなのに、若い頃の話ってほとんど知らないんですよねぇ。祖父は泳ぎが得意だったから河童って呼ばれてたとかいう、どうでもいいエピソードばかりが記憶に。

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【ストーリー】
養護施設を退所させられる祖母マーシーの世話をするために祖母の古い屋敷へとやってきた、お婆ちゃんっ子の少年ジョージに母と兄の3人。やがてジョージは、マーシーの悲惨な過去と一族にまつわる因縁、そして土地に潜む邪悪な存在のことを知り…。

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スティーブン・キングによる、ブクブクと太って呪文みたいな意味不明の言葉ばかり発する婆さんが怖くてしょうがない少年が、婆さんの中に潜んでいた邪悪な存在に乗っ取られるっていう後味悪い短編“おばあちゃん”を、『エクトプラズム 怨霊の棲む家』のピーター・コーンウェルが映像化したDVDストレートのホラー。“ウォーキング・デッド”のチャンドラー・リッグスが主演し、共演には『ゴースト・ハウス』のディラン・マクダーモット、『モール・コップ ラスベガスも俺が守る!』のシャーリー・ナイトらが。また、製作者の中には『チャーリーズ・エンジェル』のマックGの名も。
古の時代から存在する土着の邪悪な存在や、一族にまつわる因縁、少年にしか見えない善なる存在や家族愛など、原作とは異なる展開ながらもキングらしさってのがそこかしこに描かれていたのが嬉しい本作。大きな愛が生み出した悪に対し、やはり大きな愛が生み出す善で立ち向かうという、愛の両面性を描いているのも興味深い。
ただ、演出にあまりにもメリハリがないせいか、その因果関係や邪悪な存在の目的に立ち位置など、肝心な事柄がモヤモヤしてなんとも分かりづらい。理解不能な恐怖を演出する為に何がどうなってるのか分からないなら良いのだが、どうにも意図的とは思えない混沌っぷり。60年代の回想から幕を開けるが、映画の終盤にパソコンが現れるまでその回想がダラダラと続いているかのような印象も。“婆さんが怖い”ってだけのネタからの膨らませ方が悪くないだけに、この平坦過ぎる演出が惜しい。
まぁ、プレイする度に私を号泣させた名作ゲーム“ラスト・オブ・アス”でサラ役だったハナ・ヘイズが、主人公だけに見える“隣の家の少女”という思いのほか重要な役柄で出ていた嬉しさもあったので、採点は甘めに。

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身内のダークサイドって、わざわざ語り継いだりしないよなぁ

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posted by たお at 12:38 | Comment(2) | TrackBack(2) | 前にも観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月09日

料理長(シェフ)殿、ご用心 (Who Is Killing the Great Chefs of Europe?)

監督 テッド・コチェフ 主演 ジョージ・シーガル
1978年 アメリカ/イタリア/フランス/西ドイツ映画 112分 サスペンス 採点★★★

独身の頃は、「あそこの店、美味しいよ〜」と聞けば気軽に食べに行ってたもので。味や香りに苦手なものが少ないので、どこの国の料理であろうがホント気軽に。ただまぁ、結婚して子供が親の数を超えた今はそう簡単に外食が出来なくなっちゃいましたねぇ。味よりも値段と量重視。そんなんだから、田舎者にとっては見たことも聞いたこともない街のお店を紹介するグルメ番組なんて、まったくもって他人事なんですよねぇ。

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【ストーリー】
料理雑誌の出版社を経営し自身も大の美食家であるマックスが選出した“世界一の料理人4傑”。しかし、その選ばれた料理人が、それぞれ得意とする料理の調理法に倣った方法で殺されていく。その4人に選ばれたパティシエのナターシャは、元夫のロビーと共に犯人探しを始めるが…。

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ランボー』『地獄の7人』とゴツゴツした作品ばかり撮ってる印象が強いが、本作でも主演したジョージ・シーガルの『おかしな泥棒ディック&ジェーン』や『バーニーズ/あぶない!?ウィークエンド』など、洒落ながらも多少ドタバタしたコメディにも才を発揮するテッド・コチェフによるミステリー・コメディ。
オーブンで丸焼きにされたり圧搾機で頭を潰されたりと殺害方法こそはかなり猟奇的だが、作品自体は洒落たコメディに仕上がっている本作。丸焼きの死体を前に「こんなに焦がす料理人がいるわけない」と言ってみたり、被害者=認められた料理人ってことになるんで死ぬ名誉を選ぶか無視される恥辱を選ぶか悩んだりと、独特なユーモアセンスも魅力。ミステリーとしてはちょいと粗すぎるが、想定内からほんのちょっとズレた所に犯人を設定したりする、サクっと楽しむには丁度いいさじ加減も良い感じ。一般人の口にまず入ることのない料理を芸術や文化として尊ぶマックスと、そんなマックスに忌み嫌われる低価格フランチャイズ店ばかりオープンさせるロビーとの対比もなかなか面白い。ちょっと憂鬱な気分にさせておいてからライトに戻すオチの丁度良さもなかなか。
そしてなによりも、登場する料理がなんとも美味そう。この辺は料理人一家に育ったテッド・コチェフのこだわりなんでしょうけど、ダイエット中や深夜に観るのは非常に危険な食欲促進映画に。

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そんな料理の数々以上に目を奪われるのが、『ドミノ』のジャクリーン・ビセットの美貌。さすがに『ザ・ディープ』の水濡れスケスケ白Tシャツほどのインパクトはないが、全体的に紗のかかった映像によりその美貌の際立つことったら。
その他、マックスに扮したロバート・モーレイや、『オリエント急行殺人事件』のジャン=ピエール・カッセル、『ニュー・シネマ・パラダイス』のフィリップ・ノワレ、『リーサル・ウェポン2/炎の約束』のジョス・アックランドといった、贅沢気分味わえる料理やロケ地に負けない欧州役者の顔触れも魅力だった一本。
ちょいと話はズレますが、私の世代にとってはTVの映画番組の恒例プログラムだった本作。今回も鑑賞中、滝口順平や鈴木弘子の声が脳内で自動再生されたりも。ただ、残念ながらDVDには日本語吹替えは収録されておらず。確かに、吹替え版のビデオが出てない作品の吹替え音源を捜すのは大変な作業だと思うんですよねぇ。権利が切れてれば放送局は処分してしまってるケースも多いでしょうし、新録するには金が掛かり過ぎる。まぁ、ユーザーの勝手気ままな要望でしかないんですけど、洋画劇場の雰囲気をもう一度楽しみたいってジャンルの作品も少なくないんで、当時の録画テープを持ってる人を探し出して音を拾い起すとか、そんな努力もして欲しかったなぁと。決して安い価格設定でもないんですし。

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食い気も色気も手の届かない所に

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posted by たお at 14:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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