2016年11月08日

COP CAR/コップ・カー (Cop Car)

監督 ジョン・ワッツ 主演 ケヴィン・ベーコン
2015年 アメリカ映画 88分 サスペンス 採点★★★

親であれ教師であれ、近所の口うるさいオッサンであれ、子供にとって大人って懲罰者として君臨する存在ですよねぇ。そうすると、警察官ってそんな大人にとっての懲罰者ってことだから、キング・オブ・ザ・懲罰者なんですねぇ。道理で、親の言うことをさっぱり聞かないウチの子供らも、「お巡りさんに連れてってもらうからね!」と言うと途端に大人しくなるわけだ。

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【ストーリー】
家出中の悪ガキ、トラヴィスとハリソンは、空き地で一台のパトカーを発見。周りに誰もいないことをいい事に、「ヒャッホーイ!」と乗り込み公道を大暴走。一方、パトカーの持ち主である保安官のミッチは、ある秘密をトランクに隠してあったパトカーが盗まれたれたことに気づき大慌て。無線で悪ガキどもに呼びかけるが…。

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来年公開予定の『Spider-Man: Homecoming』が控え、出世街道驀進中である『クラウン』のジョン・ワッツが脚本と監督を務めた、悪徳保安官のパトカーを盗んでしまった悪ガキと保安官の追っかけっこを描いたクライム・サスペンス。とってもナチュラルな子役を相手に、製作総指揮も務めた『ラブ・アゲイン』のケヴィン・ベーコンによる、カートゥーンの悪役じみた怪演が見どころ。ちなみに、無線係として嫁ベーコンのキーラ・セジウィックが声のみで出演。
ヒッチャー』や『ジャッカー』のエリック・レッドが注目を浴びてた頃の、レッド風味の亜流を観ているかのような懐かしさがちょいと嬉しかった本作。サスペンスの中心が子供たちではなく、まずいことになった保安官に集中していたり、子供らが運転するパトカー並みの微妙なスピード感の展開や、劇中の大半を遊びで過ごしながら、結末間際になってようやく遊びじゃ済まなくなってしまう構成の配分など、独特な味わいが特徴。
ただ、そんな懐かしさや、作り手の滲み出すぎる個性に頼り切ってるわけでもなし。「チンコ!オッパイ!」と口に出してるだけで楽しいって様や、銃口を覗き込んだりAEDを胸にあてたりと知らぬ内に死にに行っちゃうみたいな、男子ならではの特性ってのをしっかりと描き出してたりも。また、劇中では全く語られてはいないが、髪形や服の汚れ、セリフの些細な個所から家出に至った子供らの置かれた状況が垣間見れるのも巧かったなぁと。

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大人から解き放たれる時間も重要

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2016年10月15日

グリマーマン (The Glimmer Man)

監督 ジョン・グレイ 主演 スティーヴン・セガール
1996年 アメリカ映画 91分 アクション 採点★★★

経済的な豊かさを得、巨額の金額が動く仕事に携わることでプライドが満たされる一方で、本当にやりたいことではなくても個を押し殺して歯車に徹し、成果への称賛は個人に対するものではない有名大企業で働く人生と、食い扶持を繋ぐのが精一杯の自転車操業ながらも、個人営業主としてやりたいことに万進し、結果は何であれフィリピンパブやロシアンパブで「シャッチョーサン、アイシテルヨー!」と夜な夜な称賛される人生。セガールって、メジャーへの階段を駆け上る途中で迷うことなく後者を選んだ猛者なんですよねぇ。

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【ストーリー】
“ファミリーマン”と呼ばれる猟奇的連続殺人犯の恐怖に包まれていたロサンゼルス。ニューヨークから赴任してきたジャック・コールは、相棒のジム・キャンベルと共に捜査を進めるが、新たな殺人事件が発生。その特徴的な手口からファミリーマンによるものと思われたが、ジャックはその手口を真似たプロの犯行であると考え…。

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猟奇殺人事件の背後に潜む陰謀を、元CIAの凄腕刑事が暴いていく様を描いたアクション・サスペンス。メガホンを握ったのは、手話ゴリラ映画『ケイティ』のジョン・グレイ。製作をセガール自身と、ハリウッド時代のセガールの盟友ジュリアス・R・ナッソーが。
「『セブン』流行ってるから、なんかそんなの作れや。愉快な黒人を相棒に、笑えるバディ映画風味も忘れずにね!」というスタジオの注文にセガールが素直に応じちゃったという、今では到底考えられないハリウッドスターとしてのセガールの葛藤がハッキリと表れた本作。そもそも、演技派でもなければハンサムなわけでも肉体美を誇るわけでもない、そんなハリウッド基準から大きく外れていることがセガールの個性であるのに、如何にもハリウッド的な作品を作ってしまうということは、作品としては当然のことながら、肝心のセガール映画としての個性も殺してしまう、良いことなしの結果になることはもう観る前明らかな結果で。
雨ばっか降っている、如何にも『セブン』風の雰囲気こそ漂ってはいるがサスペンスとしてはメタメタで、お楽しみのセガール拳もムードと噛み合っていない上に、アップとカットの多様で流れるような美しさを台無しにしちゃってる、至る所が非常に残念な本作。しかしながら、ロシア美女が全裸で死体安置所に並んでる中、セガールがおもむろにその胸を触ってみたりする後の“セガール・ハッピータイム”の片鱗が伺えたり、最近のセガール映画では味わえない“普通の映画の面白さ”ってのを感じられたりもするので、採点はやや甘めに。両方の鼻の穴から綺麗に真っすぐ鼻血を流すという、セガール映画史上最もあられもない姿を晒す記念碑的作品でもありますし。

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現在から比べればだいぶスリムだが、劇場で観た当時はその太りっぷりに大いに驚かされたセガール。自身のアクションにもスタントを多用してたり、同じアクションカットを何度も使いまわしたりと、近年のセガールに繋がる省エネアクションスターとしての気配を感じさせ始めてたりも。ただ、スタジオの言うことを素直に聞いているようでいて、自前の服としか思えないアジア趣味全開のジャケットや数珠を身に着けてたり、劇中曲も何気に自分で手掛けたりと、やりたいことだけをやろうとするセガールらしさを残しているのは流石。例の鼻血は別にして。
そんなセガールの相棒役には、うじゃうじゃいるウェイアンズ兄弟のひとり、『最‘新’絶叫計画』のキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズが。典型的な“愉快な黒人”役であるせいか、似たような顔で似たような役柄に扮した『ラスト・ボーイスカウト』のデイモン・ウェイアンズと頭の中でゴッチャに。未だどっちがキーネンで、どっちがデイモンだったか即答できず。
その他、『アルゴ』のボブ・ガントンや、『ピクセル』のブライアン・コックスら大物勢に、ジョン・カーペンター作品の常連であるピーター・ジェイソンや、『追撃者』のジョニー・ストロングなど、この前後でちょこちょこ顔を見た“映画っぽい”顔ぶれが揃ってるのも、最近のセガール映画では味わえない醍醐味でも。

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グリマーって、“閃光の如く鼻血を出す”って意味なんですかねぇ

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2016年08月08日

ザ・ガンマン (The Gunman)

監督 ピエール・モレル 主演 ショーン・ペン
2015年 アメリカ/スペイン/イギリス/フランス映画 115分 アクション 採点★★★

リーアム・ニーソンやデンゼル・ワシントンみたいに、非アクション系の演技派俳優が50代を迎えて突如アクションに開花するパターンが増えてきましたよねぇ。“強くてカッコいいオレを見ろ!”というかセガール化というか。不惑の40代とは言いますが、私なんかもそうなんですけど迷走に迷走を重ねた40代を通過すると、何か開き直りの境地にでも達するんでしょうかねぇ。てことは、私も50になったら突然限界突破の筋トレとか始めちゃうんでしょうかねぇ。なんか楽しみになってきた、50歳。

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【ストーリー】
コンゴの大臣暗殺の任務を遂行した特殊部隊の傭兵ジムは、最愛の恋人を現地に残したままアフリカの地を去る。8年後、NGOのメンバーとしてアフリカに戻り慈善活動を行っていた彼のもとに、突如謎の襲撃者が現れる。自分を襲った敵の正体を知るべく動き出したジムであったが、その背後には彼自身の過去が大きく関わっていて…。

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過去にアラン・ドロン主演の『最後の標的』としても映画化された、ジャン=パトリック・マンシェットの“眠りなき狙撃者”を『96時間』のピエール・モレルがメガホンを握って再映画化したアクション・サスペンス。主演のショーン・ペンが製作と脚本にも名を連ねている。
「いよいよショーン・ペンが50男アクションに!」と驚かされたが、そこは流石ショーン・ペン。途上国における欧米企業の悪行三昧やら、巨大な社会悪にその歯車であった男が挑むみたいな彼らしいジャーナリズム的な香りも漂う一本に。ざっくりと言えば“セガール版『ナイロビの蜂”的な、見応えある一本に。
しかしながら、その“見応え”はテーマや役者の重厚感に因るものが大きく、アクション・サスペンスとしては中身がメタメタ。“過去の悪行の記録”ってのが事件の発端となっているのだが、その記録が残ってる理由が“病気で物覚えの悪い主人公がたまたま何でもメモする癖があるから”ってな唖然とする代物だし、敵はすぐ探せる割に残した恋人に会うためにトンチンカンな場所で井戸掘ってたり、クライマックスの対決に至ってはたまたま開けたドアから飛び出てきた暴れ牛が解決するという、作品の雰囲気に誤魔化されているが、よくよく考えれば珍妙なシーンの連続。社会問題を提起する主張ばかりが先に立ってしまい、最も肝心な面白い映画作りってのを疎かにしちゃった感じの残念な一本で。

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凄腕だけど忘れっぽい主人公に扮したのが、『カリートの道』のショーン・ペン。狂犬のような顔立ちや若い頃から何気に鍛え込んでいた肉体など、もともとアクション映えする役者ではあるので全くもって違和感なし。ドラマ部分のみならず、身のこなしや銃さばきなどアクション部分でも彼らしいのめり込みっぷりを見せてくれてたのは流石だなぁと。
そんなショーン・ペン以外にも、ヌメっとした憎々しさが相変わらず見事かつ嫌だった『007 スカイフォール』のハビエル・バルデムや、裏社会の熱い男気を飄々と表現していた『X-ミッション』のレイ・ウィンストン、終盤になって突然絡んでくるだけの割に扱いが大きかった『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』のイドリス・エルバ、主人公同様に狙われる立場のはずが「会社に気に入られてるから!」ってだけで主人公を追う立場に居座れてる不思議な悪役に『ブリッジ・オブ・スパイ』のマーク・ライランスが配されるなど、実力派の顔触れがその力量をしっかりと発揮していた本作。そんな役者の存在感が生み出した重厚感に★ひとつオマケしますけど、「なら、もうちょっとちゃんと作ろうや!」って思いも募っちゃう一本で。

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ある意味ショーン・ペン流ナルシス爆発映画でも

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2016年05月13日

キリング・サラザール 沈黙の作戦 (Killing Salazar)

監督 キオニ・ワックスマン 主演 スティーヴン・セガール
2016年 ルーマニア映画 90分 アクション 採点★★

ここ数年のセガール映画を大きく二つに分けると、“セガールが動く映画”と“セガールが動かない映画”に。本来アクション映画の主演スターが“動かない”ってのはあり得ない話なんですけど、セガールにはあるんですよねぇ。で、動く方のセガール映画はそれぞれのシーンの舞台になる場所にちゃんとセガールが出向いているので、主人公が物語に絡む比較的普通の映画に近い仕上がり。アクションシーンも基本的にセガールがやってるので、お楽しみであるセガール拳を堪能できたりも。ただ、一方の動かないセガール映画が食わせもの。基本同じ部屋の椅子に座りっぱなしなので主人公なのに物語にはさっぱり絡まないし、肝心のアクションも若手に任せっぱなしでクライマックスにようやく「ヨヨヨイッ」とダルめのセガール拳を披露。しかも首から下しか映らなかったり、妙に細身の後ろ姿ばっかだったりも。

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【ストーリー】
麻薬カルテルのボスであるサラザールを確保し裁判で証言させるために高級ホテルで保護していた所に、裏切りを許さないカルテルの殺し屋集団が襲撃。連邦保安官のトムらは、次々と襲い来る武装集団からサラザールを守り抜かなければならなかったのだが…。

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で、これは残念ながら“動かない”方のセガール映画。監督はもちろん『リターンド・ソルジャー 正義執行人』のキオニ・ワックスマン。
基本的には籠城劇で、悪党を更なる悪党から守る中で生まれてくる絆という鉄板ネタを描いているのでタイトでそれなりに面白い作品になりそうなんですけど、そう簡単に行かないのがセガール映画の魅力。襲撃事件の生き残りの回想って形式を取ってしまったが為にテンションもテンポもぶつ切りで、現在と過去の行き来に手間を割く割には人物や状況描写は一気にテロップで済ませちゃうので、ただただもう混沌。そのくせ、画に変わり映えがないので20分くらい気を失っていても展開が進んでいるとは思えないかったるさ。

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これでせめてセガールが動いてくれれば救いがあるんですが、先にも言ったように本作はセガールが動かない方の映画。前の晩にちょっと飲み過ぎちゃったのか、目が開いてるのかどうかも分からぬほど顔をパンパンに腫らしたセガールが座ってるだけ。もちろんたまには「ヨヨヨイッ」と動きますが、基本的には座りっぱなし。顔パンパンで不機嫌な泥棒ヒゲのお爺ちゃんとにらめっこをしてるかのような、なんともマニアックな90分。
物語の進行を『デス・レース2』のルーク・ゴスに任せ、主演なのに物語に絡まない一番楽なポジションに居た今回のセガール。主人公とか悪役とかその他大勢とかのカテゴリーにはまらない、扱いがもう“大御所”。また、お気に入りの美女が居ないと現場に出たがらないのか、座ってるだけのシーンなのにすぐ横に台詞もない謎の胸元強調美女を配置。でも、それ以外のシーンにも妙にエロい美女が随所に配置されてたんで、ただ演技やアクションするのが面倒くさいだけで、現場にはまめに足を運んでいたんでしょうねぇ。これで食べれてるんだから、ホント理想の老後だなぁと。

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立つだけでご褒美がもらえる

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2016年05月01日

グッドナイト・マミー (Ich seh ich seh)

監督 ヴェロニカ・フランツ/ゼヴリン・フィアラ 主演 エリアス&ルーカス・シュヴァルツ
2014年 オーストリア映画 99分 ホラー 採点★★★

うちの子供らが歳も性格もバラッバラなもんでちょっと分からないんですけど、やっぱり双子って顔も性格もそっくりなもんなんですかねぇ。想像すると単純に「わぁカワイイ!」ってなるんですけど、中学生にもなって「足が速くなるらしい!」と、一日中外で友達とケンケンパをし続けるうちの長男みたいなアホが2人いると思うと、ちょっと荷が重いなぁ。で、声変わりして無精ひげなんか生やしたむさ苦しい野郎なんかに成長しちゃったら、なんかもう手一杯。双子うんぬん以前に、アホは一家に一人で十分

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【ストーリー】
人里離れた豪邸で母親の帰りを待つ9歳になる双子の兄弟。しかし、帰って来た母親は整形手術を受け顔全体を包帯で覆われた姿であった。その日以来別人のように冷たくなった母親に対し、兄弟らは何者かが母親のフリをしているのではと疑念を感じ始める。そして彼らは母親の正体を暴こうと行動に出るのだったが・・・。

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予告編がスゲェ怖いってので話題となった、オーストリア産のサイコスリラー。“パラダイス3部作”の脚本を手掛けたヴェロニカ・フランツがゼヴリン・フィアラと共に脚本/監督を。そのまま役名にもなった双子の兄弟エリアス&ルーカス・シュヴァルツと、パッと見美人なんだけどよく見るとジョン・マルコヴィッチにも見えてくるズザンネ・ヴーストらが出演。
端から隠すつもりがないのか結構大きめのネタが開始早々割れるので、ここでもネタバレ方向で。
予告編を観る限りは母親が“悪”で子供らが犠牲者って感じでしたが、その予告編自体が一種のミスリードでもあった本作。ザックリと言えば、現代版『悪を呼ぶ少年』みたいな感じ。
母親が本物じゃないと信じてしまう子供と、子供に信じてもらえない母親という、一つの恐怖を両面から描いた本作。自分の心と体の半分を失ったのと同様の悲劇と罪悪感に押しつぶされるエリアスが、そこから逃れる手段として生み出したかのような“ルーカス”。その悲劇から早く立ち直りたい、また私の憶測ではあるんですが、その状況から逃げ出し(若い女のもとにでも)去って行った夫への決別の意味も含め整形を施した母親。決して多弁ではないが、惨劇に至るまでの精神状態も含めた状況描写の積み重ねも効果を上げている。
ただ、物語で怖がらせようってのよりも、子供ならではの悪意なき残虐性の矛先が母親に向かう倫理的不快感を追求したって感じが強い印象も。好きか嫌いかはさて置いて、子を持つ親としては物凄い不快感を感じたって意味ではその目的を達した作品なんでしょうから、オマケ気味のこの評価で。

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親の心子知らず

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2016年04月25日

クリード チャンプを継ぐ男 (Creed)

監督 ライアン・クーグラー 主演 マイケル・B・ジョーダン
2015年 アメリカ映画 133分 ドラマ 採点★★★

ランボー』をこよなく愛する私ですけど、じゃぁランボー関連で『ティーズル保安官の大冒険』とか『トラウトマン/最後の戦場』とか作られたら観たいかと言うと、ちょっと微妙。「ランボーも出るよ!」と言われれば少しそそられますが、こっちはランボーをメインで観たいんでやっぱり微妙。まぁ、それでもそのキャラクターに主人公としての存在感や魅力、説得力さえあれば問題ないんでしょうけどねぇ。

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【ストーリー】
かつてロッキーと死闘を繰り広げた、ライバルにして無二の親友であるアポロ・クリードの隠し子アドニス。施設を転々とする荒れた少年時代を過ごした彼だったが、アポロの妻メアリー・アンに養子として迎え入れられ、恵まれた環境の中立派な青年へと成長していた。しかし、ボクシングへの夢を諦められないアドニスは義母の反対を押し切り単身フィラデルフィアへと向かい、ロッキーにトレーナーを依頼するのだったが・・・。

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言わずと知れたロッキーの永遠のライバル、アポロ・クリードの息子を主人公に据えた“ロッキー”シリーズのスピンオフ。メガホンを握ったのは、自ら手掛けたこの脚本をスタローンに持ち込み直談判したという、本作が長編2作目になるライアン・クーグラー。
これまでのシリーズのほとんどでメガホンを握り、全ての作品の脚本も手掛けたスタローン。ロッキー像もその世界観も全てスタローン一人で築き上げたと言っても過言ではないのだが、本作は初めてスタローン以外の人間による脚本を映像化した一本。スタローンも共演しているとは言っても正直不安も大きかったのだが、そんな不安が杞憂に過ぎなかったほどロッキーの世界観を忠実に継承していたことにまず驚いた。人物像や作品の構造のみならず、街とその住人たちがチャンプを育て上げる、忘れられがちだが重要な要素までをも漏れずに継承。
また、主人公を置き換えただけのお手軽作品ではなく、主人公が偉大なるチャンプの愛人の子(しかも本妻に育てられる)というパンチの効いた生い立ち設定を持ち、その会ったこともない父親に対する愛憎交えた葛藤や、その名のために過剰に加護されたり比べられてしまう苦悩、認められたいという強い思いなど独自の物語も生み出している。そこに愛する家族を失い、自らも重病を患ってしまうロッキーが絡むことで、多層的で重厚なドラマも生まれていた。もちろん試合のシーンは白熱するし、お馴染みのシーンや曲が流れれば鳥肌が立つほど興奮もする。ファンなら喜ばないわけがない作りをしていた一本で。

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しかしながら、“ロッキー的な何か”はある程度楽しむことが出来たんですけど、それがこの映画そのものの面白さだったかと考えてしまうと、その辺は微妙な感じも。興奮もしたし感動もしたが、それは全てロッキーの遺産を利用したものに対してであって、アドニスが生み出したものに対してではなかったのかなと。ロッキーの存在が大前提のスピンオフとは言え、サイドにいるには存在感も役割も大き過ぎてロッキーがメインの物語が観たくなってしまうだけですし、それを求めるには微妙に役割が小さい。なんと言うか、ハンバーグが食べたいのに出てきたのがおからハンバーグだったみたいな。
また、アドニスが置かれた状況に対する葛藤や苦悩は確かに描かれてはいたが、それでも(本人は不本意ながらも)偉大な父親の名前と血を受け継ぎ、伝説的なチャンプをセコンドに付けそれらのおかげでプロ2戦目でしかないのに世界戦に挑戦できる主人公は、やはり恵まれ過ぎている印象は拭えず。これで対戦相手がバブリーな嫌な奴であったり戦闘サイボーグのような奴であれば多少バランスも取れたんでしょうが、ボクシングの世界でしか認めてもらえない荒くれという純ボクサーだっただけに、「やっぱりオレにはボクシングしかない!」って意気込みは立派ですが、豪邸で立派な義母に育てられ何不自由なく生活し、それなりに立派な会社内でも仕事を認められる主人公ではやはりバランスが悪い。意地悪な見方ではありますが、そんな主人公が自分の気持ちだけでフィラデルフィアに赴き、生活とトレーニングスタイルをロッキーに似せる様は、ワーキングクラス・ヒーローの衣を着たセレブに見えてしまう印象も。
素直に「ロッキーが戻って来た!わーい!」と喜んでいれば良かったんでしょうが、なまじロッキーに色々と寄せてしまってる分、この辺が気になってしまいイマイチ気持ちが入ってこなかった一本で。ま、私がへそ曲がりだからってのも大きいんでしょうけど。

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アドニスに扮したのは、『クロニクル』『ファンタスティック・フォー』のマイケル・B・ジョーダン。二日ほど前に本作を観たんですが、今となっては正直どんな人だったのやら。また、ロッキーとエイドリアンのドラマを模したんでしょうけど、ゴミ溜めの恋というか過酷な環境下におけるオアシスという物語上重要な位置づけにまでは至っていなかった恋模様の相手となる、『ストレンジャー・コール』のテッサ・トンプソンも印象がボンヤリ。
まぁそれもこれも、『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』『リベンジ・マッチ』のシルヴェスター・スタローンが素晴らし過ぎたからなんですけど。自身が作りだし長年演じてきたキャラクターだから素晴らしいのは当然とはいえ、家族を失い孤独に苛まれ、重病を患う老いたロッキーというより深まったキャラクターを、素朴で気の良い町の兄ちゃんって雰囲気を残しつつ哀愁を漂わせる見事な熱演を披露。肉体派アクションスターの宿命か演者として低く見られがちなスタローンだが、これまでもそうだったようにハマる役柄にはとことんハマる。アカデミーにもノミネートされ話題にもなりましたが、如何せん他のノミネートされた作品を観ていないので受賞を逃したことに関しては判断できず。ただ、もし逃した理由が「スタローンだし」とか「いつものロッキーだし新鮮味がぁ・・・」といった理由ならば、それこそそんな賞を相手にする必要なしかと。
その他、スタローンとは『ランボー 最後の戦場』でも共演済みであるグレアム・マクタヴィッシュや、重要度が高まったせいか、過去2度クリード夫人を演じたシルヴィア・ミールズからバトンタッチしたフィリシア・ラシャドらが共演。
それにしても、『ロッキー3』ではミッキー、『ロッキー4/炎の友情』ではアポロ、『ロッキー・ザ・ファイナル』では妻エイドリアンと、作品を重ねる度に誰かが死んでる感もあるシリーズですが、本作では遂にポーリーが死んじゃってた。不景気に打ちのめされたフィラデルフィアを象徴する人物とは言え、こっちが引いてしまうほどのダメ人間だったポーリー。でも、いざ出てこないと寂しいこと寂しいこと。ポーリーの存在がこんなにも大きかったことを痛感させられたことが、案外本作最大の収穫だったかも。

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死ぬにも死ねない

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2016年04月21日

グリーン・インフェルノ (The Green Inferno)

監督 イーライ・ロス 主演 ロレンツァ・イッツォ
2013年 アメリカ/チリ/カナダ映画 100分 ホラー 採点★★★

なにやら本作の予告編が劇場で流された際、観客が「不快だ!」とクレームを付けたせいで予告が差し替えになったとか。これがクレヨンしんちゃんとか妖怪ウォッチとかやってる際の予告編なら理屈はまだ分かるんですけど、どうやらそうでもなさげ。なんだい?もうこの国ではホラーは予告編ですら許されない存在になっちゃったのかい?自分が不快に思うものは全て“悪”なのかいと。かつて『食人族』が『E.T.』と興行成績を競い合った所と同じ国とは思えないほど、世の中は変わっちゃったんでしょうかねぇ。

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【ストーリー】
未開のジャングルに暮らす先住民ヤハ族を企業の開発工事から守る抗議活動に参加するため、活動家グループと共に南米ペルーへと赴いた女子大生のジャスティン。その活動は成功に終わり大きな成果と共に帰路に付く彼らだったが、乗り込んだセスナ機が墜落してしまい彼らはアマゾンのジャングルに放り出されてしまう。辛うじて一命を取り留めた彼らだったが、突如現れたヤハ族に捕えられてしまう。集落に連れてこられた彼らを待っていたのは、おぞましい食人の儀式で・・・。

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ホステル2』以来久しく劇場長編の監督業から離れていたイーライ・ロスが、食人映画に対する愛を爆発させながら作り上げた“俺の食人族”的ホラー。主演は“俺の嫁”ロレンツァ・イッツォ。
金のために嫌々仕方なくホラーを撮った人の映画って、そのやる気の無さや現状への怒りが反映されるのか、不条理で不快で、自分もそうだからか観客を楽しませようなんて気配りがない作品になりがちですよねぇ。一方、ホラーを愛してやまない人が撮る映画はその逆で、ホラー映画ファンが楽しんでくれるような作品を作る。本作は明らかに後者で、私個人が好きなのは生憎前者
人肉晩餐会はもちろんのこと、眼球くり抜きに四肢切断などありとあらゆる人体破壊に下痢とゲロという、お下劣なグロ描写満載の本作。ちょっとしたゴア描写でも一切手を抜かない、さすがホラー愛好家の作品っていったところで。ただ、そのそれだけのことをやっておきながらも、やっぱりどこか能天気な感じが漂ってしまっているのも事実。臓物を素手で触るかのようなヌメっとした不快感がないというか。自分自身が楽しんでいるのと同様にホラーファンを心底楽しませようとする姿勢は素晴らしいと思うんですけど、食人映画に求めてるのはそれじゃないんだよなぁって感じも。

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しかしながら、文明社会から先住民の文化を守ろうと言ってる一方で割礼は野蛮だからやめさせようと騒ぎ立てる、文明人のエゴと思いあがりといった、作品の本質と言うかテーマを見失っていないのは流石イーライ・ロス。そんな“自分が信じてる大義や価値観こそ全て”という宗教的な胡散臭さ満載の信条と、“自分たちが助けなければ”って思いあがりを胸に呼ばれてもいない他人の土地にズケズケと上がり込み、マスターベーションでしかない活動に満足する輩が助けてると思っていた部族にばんばか食われていく様は、ある種痛快ですら。
また、ゴアのみに走るのではなく、アクションにサスペンスに笑いにアドベンチャーとありとあらゆる娯楽要素を盛り込み、しかもそれら全てが思いのほかしっかりとしているイーライ・ロスの“巧さ”ってのも堪能できた一本。
続編狙いの結末は蛇足な感じが否めなかったんですが、妙に和気あいあいとした部族の婦人会による人肉調理シーンや、男子の馬鹿さ具合は万国共通なんだってことを痛感させられた、白人娘にほだされた部族の男子が委員長的部族の女子に叱られる名シーンがとっても楽しかったので採点は若干甘めに。

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身体を張ったボランティア

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2016年04月08日

キャノンフィルムズ爆走風雲録 (The Go-Go Boys: The Inside Story of Cannon Films)

監督 ヒラ・メダリア 出演 メナヘム・ゴーラン他
2014年 イスラエル映画 89分 ドキュメンタリー 採点★★★

100万ドルで作った映画だろうが1億ドルで作った映画であろうと、概ね同じ料金で楽しめるってのが映画の素晴らしい所の一つですよねぇ。ただ、本来なら老若男女気軽に楽しめる大衆娯楽のはずが、こと日本ではおおよそハンバーガーのセット3個分、牛丼なら5杯分に匹敵する料金設定もあってか、“映画に行く”ってのがイベント化しちゃってなかなか気軽に楽しめなくなってきた感じも。そうなってくると上映される作品や観に行こうとする作品も料金に見合うものに偏ってきちゃって、バラエティにも品質のふり幅的にも乏しくなってきたなぁと。

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【ストーリー】
イスラエル映画界で成功を収めた映画監督のメナヘム・ゴーランと、従兄弟でプロデューサーのヨーラン・グローバスは渡米し、映画の都ハリウッドで新興映画会社キャノン・フィルムズを立ち上げる。低予算娯楽映画を大量生産し巨万の富を築き上げた彼らは、巨額予算作品やアート系など映画全方位に手を広げていくのだが・・・。

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80年代ハリウッドで大旋風を巻き起こしたキャノン・フィルムズの繁栄と衰退、そして形は違えど映画に対し情熱を燃やすゴーランとグローバスの姿を描いたドキュメンタリー。
とりあえず出だしにキャノン・フィルムズに対する思い入れとか思い出とかを書いて、ノスタルジックなレビューにでもしようかと思ったんですけど、どう頭を捻っても特に思い入れなど出てこない。いや、別に全く無関心なわけなんかじゃなく、ざっと調べただけでもその特定の時期に映画館なりビデオなりで観たキャノン映画の数が50本近いという、あまりに当たり前の存在過ぎて書くことが浮かばず。80年代の映画体験のかなりの割合がキャノン。もう、ほぼほぼただの日常。なので、特に書くことなし。
ただ、今の若い子なんかはキャノン映画と言われてもピンと来ないでしょうから簡単に特徴を説明すると、概ねチャック・ノリスとブロンソンとニンジャで出来てる映画。時折ゴダールやシェークスピアに手を出しちゃったりもしますが、それと同時にスタローンやトビー・フーパー、そしてやっぱりチャック・ノリスとブロンソンも手掛ける、“面白ければ別に良いじゃん”的会社。例えるなら量が多くて味付けが濃い目の大衆食堂って感じでしょうかねぇ。

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そんなキャノン・フィルムズを作り上げたゴーランとグローバスの姿と会社の盛衰を描いた本作。当人たちやジャン=クロード・ヴァン・ダム、ジョン・ヴォイトら関係者のインタビュー、当時の映画製作の舞台裏、社会や業界の反応などで構成された本作は、キャノン・フィルムズの歴史のみならず80年代映画史の一側面をうかがい知ることが出来る、懐かしさに頬を緩めながら非常に興味深く楽しめた一本で。
もともとキャノン帝国の滅亡と共に袂を分かったゴーランとグローバスの再会をメインにした作品であるためか、80年代業界史としてもキャノン映画史としても満遍なく抑えている分ある特定の分野に特化した深みはなく、「もうちょっと知りたい!」という欲求が出てしまうのだが、その辺は同時期に製作されたキャノン・フィルムズに関するドキュメント“Electric Boogaloo: The Wild, Untold Story of Cannon Films”やもろもろの映画本で補完も可能なので、その方面の知識を深めたい方々の導入編としては十分な一本。
メジャー会社が牛耳るハリウッドに風穴を開けかけた、本作の完成後程なく惜しくも亡くなってしまったメナヘム・ゴーランの映画製作に対する情熱、そして暴走するそんなゴーランを後ろでしっかりと守り続けたヨーラン・グローバス。この二人のエネルギッシュな姿に、今の映画に足りないものがなんなのかという答えが一瞬頭をよぎる感じもした一本でしたねぇ。まぁ、それが『スーパーマン4/最強の敵』じゃないことだけは確かですけど。

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失敗を悔いない姿勢は見習いたいなぁ

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posted by たお at 18:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■か行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月19日

コードネーム U.N.C.L.E. (The Man from U.N.C.L.E.)

監督 ガイ・リッチー 主演 ヘンリー・カヴィル
2015年 アメリカ/イギリス映画 116分 アクション 採点★★★★

ちょっとした疑問なんですけど、なんでこのタイトルになったんでしょうかねぇ?TV版と同じタイトルを持つ原題を使うわけでもなければ、一定の世代には定着している“ナポレオン・ソロ”を使うわけでもなく、微妙にありきたりな“コードネーム”ってのを付けちゃったこのタイトルに。やっぱりアレですか?“ナポレオン”ってのが何かイヤなんですかねぇ?あ、そう言えば『バス男』も・・・。

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【ストーリー】
冷戦最中の1960年代前半。核兵器を巡る国際的陰謀に巻き込まれていると見られる天才科学者を父に持つ、東ベルリンの女自動車工ギャビーの確保へ向かったCIAの凄腕エージェント、ナポレオン・ソロ。同じ思惑で動いていたKGBの凄腕イリヤの追手を掻い潜り確保に成功したソロだったが、世界的危機を前に米ソが手を組んだため共に協力し合う羽目となる。反発し合いながらもテロ組織を追うソロとイリヤだったが・・・。

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往年のTVドラマ“0011ナポレオン・ソロ”を、『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』のガイ・リッチーが製作・原案・脚本・監督を兼ねて映画化したスパイアクション。製作総指揮に『ジャッジ 裁かれる判事』のデヴィッド・ドブキンが。
如何せんオリジナルシリーズは何話かつまみ観しただけなので「うわーい!ナポレオン・ソロだー!やっほーい!」とも、「そうそう、コレコレ!」とまでもならない私ですけど、それでも思う存分楽しむことが出来た本作。スパイ活劇にとって最高の舞台となる冷戦下で、敵同士として描かれやすい米ソが手を組みナチの残党と戦うって設定も盛り上がることこの上なし。また、60年代ファッションや音楽、小道具などが織りなすカラフルさと、ガイ・リッチー特有のリズム重視の演出の相性も抜群で、映画的快感に溢れたずーっと楽しい2時間弱
“U.N.C.L.E.ビギニング”的な作品なのでアンクル・カーなどのイカしたガジェットは出てこないが、その分キャラクターの性格や魅力を伝える部分に注力した感がある本作。ルックス・知性・能力全て兼ね備えたナポレオン・ソロが前に出ているようでいて、なんだかんだとイリヤがオイシイとこ取りしてたり可愛げを発揮してたりするコンビバランスの絶妙さや、CIAよりもKGBの方がテクノロジーが発達しているパワーバランスの面白さが素敵。今のところシリーズ化のアナウンスはないが、十分する価値がある魅力作りに成功していた一本だったなぁと。

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持ち前のちょいと悪いクラーク・ケント風クラシカルなハンサム顔を活かし、絶対的な安心感や信頼感にはやや欠けるソロに扮した『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のヘンリー・カヴィルも、鉄のカーテンからやって来た冷酷マシンなのに、ちっちゃい女子に良い様に振り回される様がなんとも可愛いイリヤに扮した『ソーシャル・ネットワーク』のアーミー・ハマーも、共にキャラクターを演じる分には全く問題ないキャスティングだった本作。ただまぁ、それが“ハマり役”だったかと言うとちょっと微妙なのかも。なんと言うか、完成されてるキャラクター像を邪魔しないキャスティングみたいな。ジェイソン・ボーンとマット・デイモンがイコールのような、またそれとはちょっと違いますけどイーサン・ハントをトムちんが丸呑みしたような“彼ら以外に考えられない”ってとこまでは至ってなかったかなぁと。もちろん回を重ねればその印象も変わってくるんでしょうけど。
ただ、『噂のモーガン夫妻』のヒュー・グラントは絶品。基本的にはいつも通りのヒューなのだが、その似合わなさが英国諜報部員の“食えない奴”っぷりを強調する見事なキャスティング。活劇ってのに縁のないヒューですが、この路線であればヒューがメインのスパイアクションってのを観てみたい。
その他、華奢で可愛いから守ってあげたいと近付くも、実は自分よりも全然強くてばつの悪い思いをしちゃいそうなアリシア・ヴィカンダーや、もうちょっとネットリした悪女っぷりを見せて欲しかったエリザベス・デビッキ、『ザ・ウォード/監禁病棟』のジャレッド・ハリスらがキャスティング。デヴィッド・ベッカムも初っ端に顔を出してますけど、まぁ話題作りのカメオってことで。

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確かに顔の印象が薄い方がスパイには向いてますが

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posted by たお at 20:57 | Comment(6) | TrackBack(46) | 前にも観たアレ■か行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月10日

キアヌ・リーブス ファイティング・タイガー (Man of Tai Chi)

監督 キアヌ・リーヴス 主演 タイガー・チェン
2013年 アメリカ/中国/香港映画 105分 アクション 採点★★★

アメリカでは何かっつうと銃撃戦と爆発が起きて、イギリス人はとりあえずパブ。香港人は皆カンフーの達人で、インド人は踊りだす。そんな大雑把なイメージが各国の映画にありますよねぇ。それが持ち味であり特徴であり文化でもあるんですけど、時代や環境の変化でそういったものが薄れていってしまうことも。でも、その薄れていってるってことに敏感に気付いて取り戻そうと動く人って、案外地元の人間ではなく、外からその文化を愛してた方々だったりするんですよねぇ。タランティーノやベッソンみたいに。

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【ストーリー】
太極拳を学ぶ真面目な青年タイガーのもとに届いた招待状。それは闇格闘技大会を主催する謎の男ドナカからのものだった。師匠の教えに背くこととは知りながらも、師匠のお寺を再開発から守るため参加を決意するタイガー。しかし、連戦連勝を続けるうちに“力”に魅了されたタイガーは・・・。

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ジョン・ウィック』のキアヌ・リーヴスが初監督を務めた、米中港合作のカンフーアクション。今にもズンドコ節を歌い出しそうな主人公に扮したのは、“マトリックス”シリーズでスタントを務めたタイガー・チェン。アクション監督に『酔拳 レジェンド・オブ・カンフー』のユエン・ウーピン、カースタント・コーディネーターにブルース・ロウが配される、アクション面では鉄壁の布陣。
どういう経緯でこの映画が作られることになったのかは分からないんですけど、役者仲間よりもスタントマンとの交流の方が密接なキアヌのことだから、『マトリックス』の現場なんかでユエン・ウーピンらと“夢のカンフー映画”の話題で盛り上がり、それがなんだかんだと形になっていったのかなぁと憶測。
そのせいか、今回のキアヌは役者としても気合十分。アクションは全く問題ないが主演となるとまだ役不足なズンドコを補うかの如く、普段の無感情能面演技とは打って変わって感情むき出しのフルスロットル演技を披露。上手いかどうかは別にしても、こんなに喜怒哀楽を明確にしたキアヌは久しぶりに見た。
また、“師匠”といったらユエン・シャオティエンの次に浮かぶ『少林寺』のユエ・ハイや、久しぶりに見たけど加齢をさっぱり感じなくて驚いた『エンター・ザ・フェニックス』のカレン・モク、『アイスマン 超空の戦士』のサイモン・ヤムといった趣味の良いキャスティングも良かった一本。楽しみだった『ザ・レイド GOKUDO』のイコ・ウワイスの暴れっぷりが少々消化不良に終わったのは残念でしたけど、まぁその辺は面子を保つために仕方なかったのかと。

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役者の話から入ってしまいましたけど肝心の映画の出来はと言えば、これも全然及第点に達する一本。
欧米人が絡むとクロースアップを多用しがちなカンフーシーンも極力全体像を映し出すことに注力し、それぞれのクォリティも決して低くない。舞台も対戦相手のバラエティも豊かなので、単調に陥らず最後まで勢いを持続。
物語自体も、心技体の“心”を忘れダークサイドに堕ちそうになる若者が我に返るまでというシンプルなものだし、舞台も“謎の大物が主催する闇武闘大会”というお馴染みなもの。その安定感によりメインのテーマ、矢継ぎ早に挿入される対決シーン、警察vs闇組織らの要素が互いに邪魔をしない丁度良いバランスで楽しめる一本に。
確かに、手足が長く身体も決して柔らかくないキアヌのカンフーは相変わらず腰痛持ちのカンフーみたいで“美しさ”は感じられないし、主人公のズンドコも闇試合で好き放題やってたくせに、いざ“殺し”を目の前にした途端にヘタレて警察に駆け込み、でも違法に入手した財産は手放さないなんとも狡賢い奴に見えてしまう難点もなきにしろあらず。ズンドコのまる儲け。
ただまぁ、作り手の“こういうのが好きなんです!やりたかったんです!”って気持ちが全面に溢れ出ている作品を揶揄する気には到底ならないので、その程度の難点では満足度も評価も低くするまででもなく。

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ドラマも現実も「あ、彼いいねぇ」から始まったのかと

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posted by たお at 14:42 | Comment(4) | TrackBack(5) | 前にも観たアレ■か行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする