2007年 アメリカ/カナダ映画 90分 ホラー 採点★★★
今私の住んでいる家がある小高い丘の敷地内には、数十年前に一時だけ住んでいた二階建ての家が廃墟となってそのまんま建っておりまして。窓が外れボロボロになったカーテンが風になびく様は、きっと近所の小学生らの間で怪談を生成させるほど不気味でございます。私自身はその家で変なものを見た記憶はないんですが、子供の頃イトコが泊まりに来た時「部屋の隅に変な人が立ってる!」と夜中に泣き出し、それっきり二度と遊びに来なかったりはしましたねぇ。

【ストーリー】
家族それぞれが問題を抱え、心機一転のためにシカゴからノースダコタの農場へ越してきたソロモン一家。しかし、長女のジェスと3歳の弟は越して間もなく家の中に不気味な気配を感じ始め…。

『the EYE 【アイ】』『リサイクル −死界−』のパン兄弟が、サム・ライミ率いる“ゴースト・ハウス・ピクチャーズ”に招かれ手掛けた、ハリウッドデビュー作。
おぼろげな存在が生み出すジットリとしたアジア風味の恐怖と、ダイナミックに直接攻撃を加えてくるハリウッド風味の恐怖表現を巧みにブレンドした演出が持ち味のパン兄弟。本作でもその間接的・直接的を巧みに交えた演出を見せているものの、脚本や編集には携わらず監督にのみ徹した言うなれば雇われ仕事であるためか、表現の面白さが映画の面白さに直結していない。“失踪を遂げた一家”“日に日に大きくなる壁の染み”“床からどす黒い液体が染み出てくる地下室”“徐々に苛立つ父親”など、『悪魔の棲む家』を挙げるまででもなく使い古された物語が先を容易に予想させてしまい、その予想通りの物語を退屈させないだけの気の効いた見せ場が少ないのは痛い。亡霊たちも訴えたいことがあるのは分かるが、訴え方も間違っている上に相手も間違ってますし。
随所に滲み出るような不気味さを感じさせはしてくれているが、全体的に見ればチーズバーガーの中にひっそりとパクチーが混じっているようなもので、全体のバランスを敢えて崩してまで印象を残すほどでもない。

“希薄な家族関係”が主たるテーマとなっている本作ではあるが、家族にだけはどうやっても見えないって意味では、本作のキャスティングは成功かと。『ザ・シークレット・サービス』のディラン・マクダーモットと、劇映画では非常に久しぶりに見た気がする『シャドー』のペネロープ・アン・ミラーは辛うじて夫婦に見えるのだが、そのペネロープと長女役のクリステン・スチュワートが全くもって親子に見えない。末息子とのツーショットにも母親らしさを感じることが出来ず、てっきり継母なのかと思ってしまったほど。
そんなこんなで不満も多い作品ではあったが、『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』の優男ぶりを微塵と感じさせないどころか、テッド・レヴィン並の胡散臭さを醸し出すジョン・コーベットや、“不気味”というスパイスの役割を存分に発揮した“キャンサー・マン”ことウィリアム・B・デイヴィスらの存在感が作品をだらけさせず、何よりも『パニック・ルーム』の時限爆弾少女がこんなにも可愛い子に育ったのかとの驚きも大きかったので、★一つオマケで。えぇ。可愛い子には甘いんです。

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