2011年10月30日

ウルヴァリン:X-MEN ZERO (X-Men Origins: Wolverine)

監督 ギャヴィン・フッド 主演 ヒュー・ジャックマン
2009年 アメリカ映画 108分 アクション 採点★★

その人のキャラとか持ち味って、周囲との比較で成立してたりしますよねぇ。お坊ちゃん学校で暴れまわっていた不良も、工業高校に行ったら優等生になっちゃうみたいな。

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【ストーリー】
特殊能力を持つローガンは、同じく特殊能力を持つ兄ビクターと共に支え合いながら150年もの間戦場を渡り歩いていた。やがて、謎の軍人ストライカーにスカウトされ特殊部隊“チームX”に参加する二人であったが、部隊の非人道的な行為に反発したローガンは兄とも対立し、チームを離れるのだが…。

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映画版“X-MEN”シリーズで実質的な主人公であったウルヴァリンの生い立ちを描く、シリーズからのスピンオフ第一弾。
『ツォツィ』のギャヴィン・フッドだけに、ミュータントが直面する“差別”って問題を掘り下げるのかと思いきや、特に何にも触れない安全運転な本作。過剰なこだわりなど無用な、無難なアクションエンターテインメントを目指したんでしょうかねぇ。まぁ、確かにそれだけで考えれば、派手なアクションと軽快なテンポで描かれた本作は、最後まで飽きることなく観る事が出来る。ほんのりほろ苦い物語も、良いアクセントに。
ただ、これといった個性の無さが登場人物にも当てはまってしまうのはちょいと辛い。ミュータントも数が絞られている割に、見た目と能力と悪人って以外の区別がありませんでしたし。また、何をウルヴァリンに期待するかにもよるんでしょうが、オリジナルシリーズで一人グレーゾーンに立っていたヤサグレっぷりがすっかり鳴りを潜めた、とってもイイ子ちゃんになってたのは寂しい。一枚看板である以上、ヒーロー側に大きくシフトしてしまうのは仕方がないのかも知れませんが。

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もちろんウルヴァリンに扮するのは、『X-MEN:ファイナル ディシジョン』『プレステージ』のヒュー・ジャックマン。この当たり役の新作に、自身も製作者として名を連ねる気合の入れよう。
また、ウルヴァリンの兄セイバートゥースには、『ソルト』『レポゼッション・メン』と最近良く見るような気もするリーヴ・シュレイバーが、いつもの胡散臭さを封印しストレートな悪役を好演。『X-MEN2』にも登場していたストライカーには、「あぁ、確かにブライアン・コックスをちょっと若くするとこんなんかなぁ」って感じだった、『30デイズ・ナイト』『ロビン・フッド』のダニー・ヒューストンが。
その他、序盤に見せ場を貰った以降はぞんざいな扱いになってたミュータント軍団には、『[リミット]』のライアン・レイノルズや、『レギオン』のケヴィン・デュランド、旅の仲間のメリーらが。
そう言えば、最後にチョロリとプロフェッサーXが妙にツヤツヤした顔立ちで登場しますが、まぁ「あれ?プロフェッサーXが歩けなくなったのって、そんなに最近の事だっけ?」と思ったぐらいで。

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とどのつまり“女に騙された”ってことじゃ、そりゃあ口も重くなります

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2011年10月29日

狼たちの街 (Mulholland Falls)

監督 リー・タマホリ 主演 ニック・ノルティ
1996年 アメリカ映画 108分 サスペンス 採点★★★

浮気って、結局のところ誰も得しない行為ですよねぇ。どうせするなら誰が見ても「この相手だったらしょうがねぇ」ってなる人を選べばいいのに、得てして「よりによって…」って相手を選んじゃうんですよねぇ。

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【ストーリー】
50年代初頭のロサンゼルス。郊外の荒れ地で、全身の骨が砕けた女性の変死体が発見される。捜査に乗り出した対組織犯罪特別捜査班のリーダーのフーバーは、その女性を見て驚愕する。彼女は彼の浮気相手であった。やがてこの事件に、思わぬ巨大組織が関与している事が判明し…。

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NEXT -ネクスト-』のリー・タマホリによる、帽子率の非常に高いハードボイルド・クライム・サスペンス。
令状もなしにギャング宅に乗り込み、殴る蹴るの挙句にマルホランドの滝(つうか崖)から容疑者を叩き落とし、事件もろとも闇に葬る特別捜査班と言う名の要はヤクザ集団が、一つの殺人事件を切っ掛けに軍部の核開発の陰に隠れた闇と対峙していく様を描いた本作。変死体からどんどん話が広がっていくと言えば聞こえは良いのだが、正直なところどんどん話が散らかっていくって印象の方が強い。主要人物が何食わぬ顔で出て来なくなったり、主人公を含めた登場人物が抱えてそうな大きな闇には目もくれず、最大の危機を迎えるクライマックスを相棒のハルク暴れ頼りで解決したりと、細かいことは勢いで乗り切ろうとする大雑把さが気になる、如何にも“タマホリ!”って感じの作品。まぁ、煙草の煙が漂う舞台をソフト帽の男たちが行き来する、なんと言うか、“暗黒のL.A.四部作”からは漏れちゃった的なエルロイ風映画をサクッと楽しみたい時には、まぁ丁度良いざっくばらんさかと。

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タフの象徴と言うか、もう“タフ神様”としか言いようがないタフネスぶりを発揮していた『ダブルボーダー』『ホテル・ルワンダ』のニック・ノルティを筆頭に、『ブロンクス物語』のチャズ・パルミンテリ、“西のホタテマン”こと『シン・シティ』のマイケル・マドセン、全身に怒りスイッチを付けてるかのような『キス★キス★バン★バン』のクリス・ペンらが特別捜査班の面々に。もう、バッチを付けたヤクザ。バッチを付けてる分、更に性質が悪い。
その他にも『ボディダブル』のメラニー・グリフィスや、『ヴァンパイア/最期の聖戦』のダニエル・ボールドウィン、『1941』のトリート・ウィリアムズ、『RED/レッド』のジョン・マルコヴィッチといった錚々たる面々が周囲を固め、『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』のアンドリュー・マッカーシーに『ウソから始まる恋と仕事の成功術』のロブ・ロウというかつての青春スターに、『メイフィールドの怪人たち』のブルース・ダーンや『炎の少女チャーリー』のルイーズ・フレッチャー、『ロンゲスト・ヤード』のエド・ローターといった顔ぶれが一瞬顔を出す、謎の豪華キャスティングも見所。
しかしながら、やっぱり一番の見所は回想シーンのみの登場となる『地球が静止する日』のジェニファー・コネリーではと。最近は随分と痩せてしまいましたが、この頃はまだまだ肉感的で、その童顔とは全く釣り合わないダイナマイト過ぎるボディが圧巻。その圧巻な肉体が披露されるのがモノクロフィルム上だってのには軽い苛立ちを覚えますが、嬉しい事には変わりないので★ひとつオマケで。

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「これなら浮気しちゃっても仕方がないか…」と、小さな声で呟いてみたり

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2011年10月23日

X-MEN:ファースト・ジェネレーション (X-Men: First Class)

監督 マシュー・ヴォーン 主演 ジェームズ・マカヴォイ
2011年 アメリカ映画 131分 アクション 採点★★★★

時々、自分の思想がリベラル寄りなのかタカ派寄りなのか考えたりする私。同性婚は認められるべきだと思うし、信教や表現、中絶の権利や自由も守られるべきと考えてる一方で、責任を負わない自由は認めるべきではないと考えたりも。また、国益の為だけに他国に対し強硬な態度に出ることは反対だが、国益を損なう敵対行動を取る相手に対しては、如何なる手段を用いてもその行動に対応すべきじゃないのかなぁと思ってたりも。まぁ結局のところ、一つの思想を貫く為の犠牲を全く払っていない、ごくごく“普通”の小市民でしかないんだなぁと。

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【ストーリー】
ソビエトと冷戦の緊張下にあった60年代のアメリカ。特殊能力を持つミュータント集団を率いたセバスチャンは、両国を刺激し戦争を誘発させ、それに乗じて世界征服を企んでいた。CIAの依頼でセバスチャンを追っていた強力なテレパシー能力者チャールズは、幼い頃セバスチャンに母親を殺された能力者エリックに出会う。共に行動する中で友情を育んでいく彼らであったのだが…。

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後にX−MENを率いるプロフェッサーXと、ブラザーフッドを率いるマグニートーの若き日と出会いを描いた、“X−MEN”シリーズ第一章的位置付けにあるSFアクション。メガホンを握ったのは、『レイヤー・ケーキ』『キック・アス』のマシュー・ヴォーン。これまでのシリーズとの関連性をちらつかせながら、若い頃にやってそうな事をちょちょいと描く安易なフランチャイズ映画になってしまっているかと思いきや、「これが第一作目だったら!」と事後承認したくなるほどの面白さに溢れる、これはとっても嬉しい誤算な一本。
米ソの緊張状態が極限にまで達したキューバ危機を舞台に、物理法則を無視したミュータントの能力合戦を描くというよりも、往年のスパイ活劇の面白さがたっぷりと堪能できる本作。ブロフェルドもジェームズ・ボンドもミュータントみたいな。その程よく誇大され程よく荒唐無稽なスパイ映画的設定は、“歴史の陰にミュータントあり”と言われても何となく納得してしまうほどミュータントの存在と相性が抜群。
そんな活劇としての面白さのみならず、“普通とは違う”故に自らその姿を恥じ、“普通の人々”から嘲笑と恐怖と迫害に晒されるミュータントの悲しみをしっかりと描いているのも見事。この辺はやはり、久しぶりのシリーズ復帰となる『ワルキューレ』のブライアン・シンガーの存在が大きいのではと。同性愛者も含めたマイノリティの葛藤がミュータントの葛藤とリンクする辺りに賛否が分かれるところであろうが、私はブライアン・シンガーが描くX−MENが好き。

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物語の中心に立つのは、『ラストキング・オブ・スコットランド』のジェームズ・マカヴォイ扮するプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアと、『センチュリオン』のマイケル・ファスベンダー扮するマグニートーことエリック・レーンシャーの二人。恐れられ差別されようとも人類との共存を目指すチャールズと、人類を淘汰しミュータントの世界を作り上げようとするエリック。共にミュータントの幸せを目指しているが、思想と手段の全く異なるこの二人は、非常にベタな例えではあるがマーティン・ルーサー・キングとマルコムXのようである。
チャールズの友愛精神は、何不自由のない暮らしを送る裕福さがその背景にある。盗みに入ったミュータント一人養ったところで痛くも痒くもない彼の環境だからこそ、その理想は実現可能だ。だが、そうではない人間にとっては耳触りの良い絵空事でしかない。プロフェッサーXが如何なる困難にも負けずその理想を貫く人物であることは、過去のシリーズを観れば分かることではあるが、本作ではまだ理想論の枠を抜け出していない。理想実現のために唯一無二の親友と決別せねばならなかったエリックを前にしてしまうと、重みも存在感も一歩下がった印象があるだけに、次回作以降では、髪の毛が抜け落ちる以外の犠牲と困難に苦悩する彼の姿を見せて頂きたいもので。
一方、怒りと哀しみがその背景にあるエリックの思想は、非常に現実的で共感せざるを得ない。しかしその共感には、独裁者誕生の瞬間に感じる興奮と高揚感にも似た危険な香りが。もちろん、その危険な香りこそ抗う事が出来ないマグニートーの魅力である。このヒーロー以上に輝く、カリスマたっぷりのヴィランを描けた功績は非常に大きい。おさがりのヘルメットを、真っ先に自分色に染めるオシャレさんぶりもポイント高し。次回作では是非ミュータント軍団を前に大演説を打って頂きたいもので。
この思想の異なる二人の出会いと別れを描いた本作。そこには、恋愛感情にも似た単なる友情以上の濃密な感情が見て取れるような感じも。もう少しその濃い感情を前面に押し出しても良かったような気もするが、あまりやり過ぎないこの位の方が脳内妄想で補完する余地が生まれるのかなぁとも。

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スケールのドデカイ企てを姑息な手段で実現しようとする、まさに007の悪役っぽいセバスチャン・ショウに扮したのは、『パーフェクト・スナイパー』『狼の死刑宣告』のケヴィン・ベーコン。ドイツ語もナチスに居るってのも似合っているとは言い難かったものの、キャラから漂う狡賢さとヨットで漂々としている様はバッチリ。腰かけ程度でナチスにいただけなんで仕方がないんですが、もっと第三帝国色を打ち出した扮装だったら無闇やたらにとんがっててカッコ良かったのかなぁとも。まぁ、一人だけマンガ色全開で浮いちゃうんでしょうけど。
また、数少ないミュータントの理解者であるCIAエージェントに扮したのが、『ノウイング』のローズ・バーンと、『紀元1年が、こんなんだったら!?』のオリヴァー・プラット。ローズ・バーンの下着姿も嬉しかったですが、何気にオリヴァー・プラットをここ最近またよく見るようになったってのがちょいと嬉しい。
一方、第一世代のミュータントに扮したのは、その名の通り凍てつく視線がなんとも堪らなかったフロスト役に『アンノウン』のジャニュアリー・ジョーンズを筆頭に、スーパーモデル体型のミスティークも若い頃はムチムチだったと確認できたジェニファー・ローレンス、『アバウト・ア・ボーイ』のあの子が知らん内に成長していたニコラス・ホルト、よく見るとやっぱり父親似のゾーイ・クラヴィッツ、恥ずかしながら全く気が付かなかった『タイタンの戦い』のジェイソン・フレミングらがキャスティング。
その他、『ツイン・ピークス』のレイ・ワイズや、『ダブルボーダー』のマイケル・アイアンサイド、『RED/レッド』のジェームズ・レマーといった強面が周囲を固めているのも印象的。そういや、若き日のエリック役で『リトル・ランボーズ』のビル・ミルナーが。なんか縦方向に急激に成長しておりましたねぇ。
あ、そうそう。ヒュー・ジャックマンとレベッカ・ローミンが出ておりましたねぇ。ちょっとした贈物みたいな感じで、素直に嬉しかったですよ。

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蜜月

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2011年09月29日

アンノウン (Unknown)

監督 ジャウマ・コレット=セラ 主演 リーアム・ニーソン
2011年 イギリス/ドイツ/フランス/カナダ/日本/アメリカ映画 113分 サスペンス 採点★★★★

携帯電話を持つようになってから、ホント電話番号ってのを覚えなくなっちゃいましたねぇ。昔は前の前の彼女の電話番号くらいなら全然余裕で覚えていたのに、今じゃ家族の携帯番号ですらかなりアヤフヤ。大抵アドレス帳からかリダイヤルをピピッで済んじゃうから覚えてないんですが、これじゃぁ見知らぬ土地で携帯を失くした時に大変困っちゃうんでしょうねぇ。まぁ、その時はその時で。

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【ストーリー】
学会出席のため、妻と共にベルリンへとやって来た植物学者のマーティン・ハリス博士。ホテルに到着するも忘れ物に気付いた彼は、妻をホテルに残しタクシーで空港へと戻るが、その道中事故に遭ってしまい4日間もの昏睡状態に陥ってしまう。意識を取り戻した彼は混濁する記憶の中ホテルへと戻るが、妻はそんな彼を見知らぬ男として拒絶。傍らにはマーティンを名乗る別の男性もおり…。

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エスター』『蝋人形の館』のジャウマ・コレット=セラによる、異国の地で不可解にも程がある目に遭う主人公を描いたサスペンススリラー。ネタバレしないで書こうとすると「面白かったですよ」としか書けないので、概ねバレる方向で
タイトルの“アンノウン”って、観客にとって主人公がアンノウンな人だって事なんだなぁと妙に納得した、“観客は主人公を信用する”って心理を巧みにミスリードに用いた本作。妻をも巻き込むデッカイ陰謀の割には冒頭の事故はあまりに偶発的過ぎるし、じゃぁニセモノは実は本物で主人公が単なるアレな人って展開にするには、主人公が詳細を知り過ぎているし、なんと言ってもリーアム・ニーソンだし。じゃぁ、スーパーナチュラルな方向へ行っちゃうのかなぁ。それはヤダなぁ。とかなんだかんだ思い巡らせている内に、予想外の地点に着地する心地良い翻弄を味わえた本作。とどのつまりジェイソン・ボーンな人の物語で、裏の裏は表でしかないオチなんですが、「アイツは確かにニセモノ。でも、本物もいないよ」ってコロンブスの卵的な発想とトリックが衝撃的。振り返って考えてみても理に適う、整合性ある丁寧な物語も魅力。ふと、タイトルが同じでトリックも似た感じの『unknown アンノウン』も、きちんと作ればこうなったのかなぁと思ったりも。
確かに、あれだけの事が出来る組織ならもうちょっと確実な方法を取れる気もするし、主人公を精神的に追い込むほどには“異国”ってのが活用されていない感じも。また、せっかく個性的な美女を二人キャスティングしておきながら、その映し方が非常に凡庸だってのも残念。ただまぁ、老スパイが顔を合わせるシーンに漂う尋常ならない緊張感はここ数年でも随一のものがあったので、全体の満足度は高い。

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自分にとっても観客にとってもアンノウンな主人公に扮したのは、『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』『アフターライフ』のリーアム・ニーソン。ここ最近、彼の事を書く際に“二面性”と“ダークマン”ってキーワードばかり使ってる気もしますが、今回も概ねそんな感じに。理知的で物腰の穏やかな姿に親しみを感じさせる一方で、真剣な時の眼差しに本能的に危険を感じてしまう彼らしさが非常に良く出た好演かと。『96時間』のイメージがあったからこそ、このミスリードが効いたんでしょうねぇ。
一方そんなリーアム・ニーソンを取り囲む二人の美女には、『ラスト3デイズ 〜すべて彼女のために〜』『ナショナル・トレジャー』のダイアン・クルーガーと、『パイレーツ・ロック』『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』のジャニュアリー・ジョーンズ。一見冷たそうだが案外面倒見の良いダイアン・クルーガーと、明るさと気さくさを振りまきながらも、関心のない相手には汚物を見るかの如く冷たい眼差しになるジャニュアリー・ジョーンズのコントラストも面白い。なんかこう、ジャニュアリー・ジョーンズの見下しっぷりにはちょっとゾクゾクしちゃいますねぇ。いやいや、その手のフェチはないですからね。
その他、つい先日20数年前の姿を観たばかりなのでその変貌ぶりに驚いた『張り込み』のエイダン・クインや、『運命のボタン』のフランク・ランジェラ、『ブラックブック』のセバスチャン・コッホらが好演を見せているが、やはり一番印象的だったのは劇中最も緊迫感のあるシーンを熱演した『ヒトラー 〜最期の12日間〜』のブルーノ・ガンツなのではと。下手をすれば荒唐無稽な方向に爆走してしまいそうな本作に、老スパイならではの妙な説得力と重みをもたらした功績は大きい。まぁ、個人的に“老スパイ”ってキーワードが大好きだってのもあるんですが。

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記憶を失くすと皆善人に

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2011年09月19日

アジャストメント (The Adjustment Bureau)

監督 ジョージ・ノルフィ 主演 マット・デイモン
2011年 アメリカ映画 106分 SF 採点★★★★

日々なんてものは偶然の積み重ねでしかないはずなのに、何をやっても上手くいく時期や、その反対に何をやってもダメな時期が続いたりしますよねぇ。特にダメな時期なんて、もう「誰かが操ってるんじゃないのか?」って思えてしまうほど、全てにおいて巡り合わせが悪かったりも。でもまぁそれは運命なんかじゃなくて、自分の習慣や性格が招いてしまった偶然でしかないんですよねぇ。

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【ストーリー】
幼い頃に家族を失うも、今では将来を嘱望される若き政治家となったデヴィッド。しかし彼の人生は、運命調整局という謎の組織によって書かれたシナリオにより、知らぬ内に監視・調整されたものであった。そんな中、エリースという女性に出会い心を惹かれるデヴィッド。だが、彼女との出会いはシナリオに無い運命から逸脱した出来事であったため、運命調整局により強引に調整されるのだが…。

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NEXT -ネクスト-』『マイノリティ・リポート』のフィリップ・K・ディックの短編を、『ボーン・アルティメイタム』『ザ・センチネル/陰謀の星条旗』などの脚本を手掛けたジョージ・ノルフィが初めてメガホンを握り映像化した、ラブロマンスの色合いが濃いSFサスペンス。
“運命は偶然なんかじゃなく、神とか宇宙人とか何かそんな高度な存在によってコントロールされたものなんだ!”と非常にディックらしいパラノイア満載のネタを出発点とし、なんだかんだと“人生は自分で切り開く”と至極真っ当な着地点へと軟着陸する手際の良さが光る本作。“大統領になるか、惚れた女と一緒になるか?”という天秤で考えちゃうと人生を女で狂わせた男の物語になっちゃうが、“恵まれてるが作られた人生か、困難も多いが自分の決める人生か?”で考えれば、非常にアメリカ人らしい志向が見えて興味深い一本に。
太古の昔より監視・調整し人類を進化させてきた、とどのつまりシムアースのプレーヤーみたいな存在を描いている割に、風呂敷を広げ過ぎないというか、思いのほかこじんまりとしているのも好みの本作。調整役も更に上の存在からの指令で動く只のサラリーマンにしか過ぎないような描き方だし、帽子という身近なアイテム一つで全てのドアがどこでもドアになるアイディアも素敵。ただ便利なだけじゃなく、どのドアを開ければ何処に行けるのかを覚えなければならない煩わしさもしっかりくっ付いてくる感じも好き。
手の込んだ大作を期待すると肩透かしを食らうかも知れないが、昔の少年SFマンガを読んでいるかのような感じも味わえた本作は好みの出来だったので、まぁこの評価で良いかなと。

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主人公のデヴィッドに扮しているのは、『グリーン・ゾーン』『インフォーマント!』のマット・デイモン。昔ワルだった政治家としての役作りなのか、単に40男の哀しい定めなのか、随分と良い肉付きで登場する本作のジミーちゃん。想像を軽く超えた存在が目の前に現れたってのに疑うことなく素直に受け入れる一方で、そんな存在が相手なのに言う事は一切聞かないピュアで真っ直ぐな感じはジミーちゃんにピッタリなのではと。ジェイソン・ボーンもそうだったのだが、こうと決めたらひたすら真っ直ぐに動く、葛藤の無い役柄が非常に似合う。
一方、そんなジミーちゃんと切っても切り離せない運命的な繋がりを持つエリースに扮したのは、『ウルフマン』のエミリー・ブラント。決してずば抜けた美人ってわけではないのだが、ちょっと風変わりな女性が醸し出す抗い難い魅力を感じさせる好キャスティング。
その他、『ディフェンドー 闇の仕事人』『完全なる報復』のマイケル・ケリーや、『ワルキューレ』のテレンス・スタンプ、『アイアンマン2』のジョン・スラッテリー、本人役で登場する『ビッグ・ダディ』のジョン・スチュワートらが出演。中でも肝心な所で寝過ごすハリーに扮した『フリーダムランド』のアンソニー・マッキーの、あれやこれや調整したウィル・スミスみたいな雰囲気が印象的で。

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やっぱり共産圏の人が観たらピンと来ないのかなぁ

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2011年09月10日

アンダーカヴァー (We Own the Night)

監督 ジェームズ・グレイ 主演 ホアキン・フェニックス
2007年 アメリカ映画 117分 ドラマ 採点★★★

うちの子供たちは、何度口を酸っぱくして言っても部屋を片付けない。早起きしてもテレビを見る時間が長くなるだけで、時間ギリギリになって顔も洗わず学校へ行こうとする。ネコや末っ子の面倒は見ないし、開けたドアは決して閉めない。親としては「こんなんで世の中に出れるのか?」と心配でしょうがないんですが、自分の子供の頃を思い返してみると、案外外ではちゃんとやってたりするんですよねぇ。ただ、家ではやりたくないだけ。甘えとか面倒臭いとかそんなこんなで。

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【ストーリー】
1988年のニューヨーク。警察署長の父バートとエリート警官の兄ジョセフを持つボビーは、折り合いの悪い家族のもとを離れ、素性を隠しロシアンマフィアに通じるナイトクラブのマネージャーとして働いていた。そんな中、ロシアンマフィア撲滅に動くジョセフは、ボビーのクラブに入り浸るニジンスキーを追っていた。しかし、そのニジンスキーの手によって銃撃されジョセフは重傷を負い、次なる標的が父バートであることを知ったボビーは、警察の囮としてニジンスキーに近づくのだが…。

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ホアキン・フェニックス、マーク・ウォールバーグ、ジェームズ・グレイという『裏切り者』トリオが再集結して作り上げた犯罪ドラマ。
“ロシア移民”“厳格な家族と犯罪”“反抗と和解”といったジェームズ・グレイお馴染のモチーフを、どっしり腰の据わった演出で描き出す本作。ありきたりの題材と静かな展開ながらも、要所要所に生々しい犯罪描写を挟み込む事でメリハリを生み、決して冗長な印象を与えない作品に仕上がっている。反発し、また疎まれていながらも強い絆で結ばれている主人公と家族の関係にも、胸が熱くなる場面が多く描かれている。
ただ、完全に巻き込まれただけの主人公の彼女の存在がおざなりになっていってしまったり、主人公や家族の心の変移があまりに唐突だったりと、人物周辺のドラマに時間を割いている割には描き込みの浅さが気になるところ。主人公にとってもう一つの家族であるロシアンマフィアのボス一家との交流も、序盤こそは描かれているが、後は立ち消え状態に。二つの家族を対比することで主人公にもっと葛藤が生まれただろうし、テーマももうちょっとはっきりとしただけに、ちょいともったいない。この“あと一歩”の惜しさが為に、“よくある題材のよくある作品”の範疇に収まってしまった印象が。

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主人公のボビーに扮しているのは、『ホテル・ルワンダ』『ヴィレッジ』のホアキン・フェニックス。「あんな一家とはやってらんねぇぜ!」と強がりながらも、いざお兄さんが撃たれ父親に危険が迫ると「お兄ちゃんがー!お父ちゃんがー!」と慌てふためく、とっても思春期な主人公を熱演。滑舌が猛烈に悪いのがちょいと気にはなったが、片想いにも似た家族に対する想いや、隠しきれない心の弱さなど見事に表現。最近は奇行の面でしか話題を耳にしない彼ですが、役者としての完全復帰を心待ちにしたい所存で。
一方、エリート警官の兄役には、『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』『ラブリーボーン』のマーク・ウォールバーグが。映画になると途端に良い人役ばかりになるマーキーマークだが、今回も典型的な良い人。これはこれで非常に似合うし、観ていて安心出来るのだが、もうそろそろ『ディパーテッド』のような同じ良い人でも一癖ある役柄を観たいなぁとも。
その他、“プエルトリカンの美女”を絵に描いたような『ゴーストライダー』のエヴァ・メンデスや、“厳格な父親”を絵に描いたような『ザ・ロード』のロバート・デュヴァルらの熱演も忘れ難し。また、格闘技好きとしては『プレデターズ』のオレッグ・タクタロフも印象深い。なんだかんだとコンスタンスに映画の仕事が舞い込んでいる彼ですけど、やっぱりアレですか?格闘家として知名度があるだけに、ポジション的にはガッツ石松的なアレですか?

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この仕事を選んだのは、お兄ちゃんがいたからです!

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2011年08月24日

エンジェル ウォーズ (Sucker Punch)

監督 ザック・スナイダー 主演 エミリー・ブラウニング
2011年 アメリカ/カナダ映画 110分 アクション 採点★★★

妄想と現実逃避が大好きな私なんですが、年々その現実逃避の逃避距離が短くなってきた感じが。大金持ちになる妄想をしてても、その金額が徐々にリアルなものになってきちゃったみたいに。なんでしょう。乳首の位置が確実に下がってしまったのと同様、これも老いなんでしょうかねぇ。

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【ストーリー】
亡き母の遺産を独り占めにしようとする継父の陰謀により、精神病院へと送られてしまったベイビードール。ロボトミー手術を5日後に控えた彼女は、同じ境遇にいた4人の少女と共に精神病院からの脱走を計画する。醜悪な現実に唯一抵抗できる妄想を武器に。

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300 <スリーハンドレッド>』のザック・スナイダーが製作・監督・原案・脚本を手掛け、彼の脳内天国を映像化したアクションファンタジー。邦題がなんかアンディ・シダリスの映画みたいになっちゃってるのは、まぁご愛嬌ってことで。
過酷な状況に置かれた少女たちが、空想世界を舞台に奮闘する様を描いた本作。主人公がクネクネ踊り出すや否や幕を開ける空想世界の圧巻のビジュアルと、甘えと妥協の無いアクションが見応え充分。ユーリズミックスの“スイート・ドリームス”のカバーが流れる中、辿り着く場所がレノックス精神病院だったりする楽曲の使い方もなかなかにユニーク。院長の名前がスチュワートだったら、尚更良かったんですが。
ただまぁ、脳内天国を描いている割には、印象は随分と堅い。題材的にシリアスな印象になるのは当然なのだが、それでも弾けの面がイマイチ足りない感じが。『DOA/デッド・オア・アライブ』のような破れかぶれの開き直りも随分とアレだったが、ここまで堅いのもちょっとアレ。なんと言うか、凄まじく絵の上手い人が描いたギャグマンガを読んでるかのようで、あくまで好みの問題ではあるのだが、個人的にはこれといって快楽中枢を刺激されず。人工的なちょいと大きめの箱庭映像にもいい加減飽きてきたってのも、このノリ切れない理由として大きいのかも。

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クネクネ踊る主人公に扮するのは、アニメキャラクターを具象化したと言われればそうなのかも知れないが、どちらかと言えば低い身長と大きな頭ばかりに目が行ってしまうチンチクリンさが印象的だった、『ゴーストシップ』のエミリー・ブラウニング。「これが“萌え”なんですよ!」と言われたら、「へぇ、そうなんですか!」って程度の印象。
そんな主人公を始めとした女性キャラクターが、なんとも「バランス良く配置しました!」って感じで印象が薄いのだが、その中でもマリア・ベロを若くしたかのようなアビー・コーニッシュと、真っ直ぐな歯並びに目が行くジェナ・マローンが若干印象的でも。
ただまぁ、『ロビン・フッド』のオスカー・アイザックや、『ボーダー』のカーラ・グギーノ、『ザ・タウン』のジョン・ハムなど、メインキャラクターの薄さを補うかのように周囲に濃い顔ぶれが揃ってるのは嬉しい。特に、主人公らを導くワイズマンに扮した『ボーン・アルティメイタム』のスコット・グレンの存在感は抜群。『ザ・キープ』の頃からそうなのだが、どこか神秘的な香りを漂わせる役柄を演じさせると、ホント光る役者だなぁと。

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確かに色々と不意打ちの映画

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posted by たお at 11:01 | Comment(12) | TrackBack(39) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月16日

エクスタミネーター (The Exterminator)

監督 ジェームズ・グリッケンハウス 主演 ロバート・ギンティ
1980年 アメリカ映画 105分 アクション 採点★★★★

最近の映画って、映像も音響もそれなりに迫力もあって綺麗だし、テンポの良い編集に筋道を段階的にしっかり吟味した脚本を器用な監督が撮ってるんで、ビックリするくらい外すってことはないですよねぇ。ただその反面、全体的に小粒と言うか、良い意味でも悪い意味でも驚かされるってことが少なくなってきたようにも。一見自由奔放な映画も、“ワンパク映画”というカテゴリー内に収まってる感じもしちゃいますし。

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【ストーリー】
犯罪都市ニューヨーク。気の良い男ジョンは、職場の同僚でありベトナム時代の戦友であるマイケルが街のチンピラによって全身不随にされたことをきっかけに、「この街の害虫どもは全てぶっ殺す!」と処刑人へと変貌。チンピラやマフィア、変態どもを次々と血祭りに上げていく。しかし、この事態を快く思わない政府は、ジョンを事件ごと闇に葬り去ろうとCIAの殺し屋を送り込み…。

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四の五の言わず見せるべきものだけをしっかり見せる映画作りに定評がある、『マクベイン』のジェームズ・グリッケンハウスの名を一躍世界に轟かせた処刑人アクション。
そこらの採石場を「暗いから分かんねぇべ!」とばかりにベトナムと言い張り、ガソリン量を見誤ったかのようなド派手な爆発と共に幕を開ける本作。普通の復讐アクションであれば、@事件発生→A怒りと悲しみに震える主人公→B警察が役立たず→C復讐を決意→D武器調達&犯人捜索→E実行→F良心の呵責って流れになる所を、「そんなのかったるい!」とAからDを丸々カット。事件が発生したら即復讐という、なんとも荒々しい作品の完成。無論ウジウジと悩むこともなし。潔いことこの上なし。
街の処刑人となる経緯は全くもって不明瞭だが、「戦友の家族もこれから大変だろうなぁ」と思ったら即座にマフィアを拉致する、一事が万事直観的&雪崩式の行動力も魅力。処刑方法も、“人間ミンチ”に“人間丸焼き”など、直接的描写は全く無いが文字にすると胸が躍るバラエティ豊かな方法が取られているのも、これまた魅力。確かに演出にも物語にも褒めれる点が少ない作品ではあるが、今観ても大いに驚かされる冒頭の首切りシーンと、なんか良い映画を観た気になるエンディング曲で作品の起結をしっかりと締め、あとは見せ場をポツポツと配置して乗り切るやりくり上手っぷりも非常に好印象。
この作品に諸手を挙げて喝采するのは品位を疑われてしまいそうなものだが、今更品位を上げるのも手遅れなので、この評価は変わらず。

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エクスタミネーターに扮しているのは、2009年に惜しくも亡くなってしまった『ハーレーダビッドソン&マルボロマン』のロバート・ギンティ。特に男前なわけでも華があるわけでもなく、アクションにキレがあるわけでもない“無い無い尽し”の彼だが、ぷっくらホッペで黙々と処刑人稼業に勤しむ姿を見ている内に、「何はともあれ、行動力ってのが大切なんだなぁ」と思えてきてしまう不思議魅力の持ち主。仕事を頑張ってる人を見ると、「あら、カッコ良い!」と思ってしまうような心理なんでしょうか。この作品の後数多くのアクション映画に出演しておりますが、この“無い無い尽し”は変わる事の無い一貫した姿勢が魅力。
一方、処刑人を追う刑事役には、『グリズリー』『地獄の門』『ブラッド・ピーセス/悪魔のチェーンソー』と、晩年のフィルモグラフィがとっても魅力的なクリストファー・ジョージ。ネームバリューもあってか、クレジットではロバート・ギンティを抑えトップにビリング。その他、『デルタフォース』『マクベイン』のスティーヴ・ジェームズや、『ランボー/怒りの脱出』のジョージ・チェンなど、非常にらしい面々が揃っているのも嬉しいもので。

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悩む前に動く

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posted by たお at 11:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月15日

アデル/ファラオと復活の秘薬 (Les aventures extraordinaires d'Adèle Blanc-Sec)

監督 リュック・ベッソン 主演 ルイーズ・ブルゴワン
2010年 フランス映画 107分 アドベンチャー 採点★★

小学生の頃、マンガ好きの後藤くんの影響で、「ちょっくら自分でも描いてみるか!」と無謀にもマンガ作りに挑戦してみた私。しかしながら、残念な絵心の持ち主の私なもんで、思った通りにさっぱり描けずあっさり断念。でも、やっぱり自分で思い描いた物語をマンガとして読みたい気持ちが強かったので、絵の上手い後藤くんにお願いして描いてもらうことに。あれこれ注文を付けてようやく完成したその作品は、自分の思ってた世界がしっかり描かれてて大変満足な仕上がりだったんですが、今思えば無理やり描かされてた後藤くんにとっては、面白くもなんともない作業だったんだろうなぁと。ゴメンなぁ。

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【ストーリー】
最愛の妹の命を救うため、復活の秘薬と医師のミイラを求めエジプトにやって来た、不思議系ジャーナリストのアデル。ミイラを見つけパリに戻って来ると、死者を蘇らせる研究をしていたエスペランデュー教授が蘇らせてしまった翼竜が大暴れしており、パリの街は大騒ぎ。妹を救うためにはミイラを復活させる力を持つ教授の助けが不可欠であったのだが、教授はこの一件で死刑判決を受け拘留されてしまった。なんとか教授を救い出そうとするアデルであったが…。

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キス・オブ・ザ・ドラゴン』や『クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち』などベッソン・プロデュース作品の評判を見てみると、「ベッソンがこんな作品を作るなんて!」「一体どうしちゃったんだ、ベッソンは?」など、ベッソンの格が非常に高い所にあるかのような意見をよく目にするんですが、ベッソンの本質ってこういったプロデュース作品にこそ一番良く表れていると思うんですよねぇ。『レオン』とか『ニキータ』が引き合いに出されますが、あれも根っこは一連の作品と丸っきり一緒なんじゃないのかと。なんと言うか、深夜のファミレスに後輩を集めて、自慢のネタ帳を広げながら「この殺し屋はなぁ、普段植木とかに水やってる大人しい奴なんだけどなぁ、敵が来るとババババァッとやっつけるスゲェ奴でなぁ…」とか興奮しながら話すタイプだと思うんですよ。童貞中学男子みたいに。女の趣味も童貞臭いですし。で、自分の妄想を映画化して、その作品を自分が真っ先に楽しみたいってタイプ。ただ、アクション映画を撮る上では不器用な部分もあって、その不器用さが独特の間や味わいを生み出しちゃってただけなんじゃないのかなぁと。
そんな不器用さを補う為に器用な後輩に作らせたのが、ベッソニズム溢れる一連の作品なのでは。直接手を煩わせることなく自分の妄想を映像化し、その完成した作品を誰よりも先に試写室で観る事が、ベッソン最大の幸せの瞬間なんだろうなぁ。まぁ、作らされる方はたまったもんじゃないんでしょうが。

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で、本作。フランスの人気コミックをベッソンが直々に映画化した作品ではあるが、なんともベッソンらしさが思いっきり出た作品に。不器用さの方がですが。
「誰もが楽しめるように」との狙いがあるのであろうが、その敷居の下げ具合を見失ってしまったのか、思考能力を不要とするまでに下げてしまった本作。このワンパクにも程がある物語にしても、身勝手の限りを尽くす主人公の描き方にしても、さじ加減というのを見誤ってしまっている“鈍った勘”具合がなんとも居た堪れない。わざと笑いをハズしているだけならまだしも、ハズそうとした狙いごとハズしちゃっているので、もうただ“下手”としか言いようがない。なんかもう、金持ちの老人が道楽で作った映画みたい。まぁ、原作本の表紙を見る限りでは、物語に関しては概ねこんな感じなんでしょうけど。
シリーズ化を目論んでいるのか、アデルと『007/慰めの報酬』のマチュー・アマルリック扮する宿敵と因縁をこじつけ、タイタニック号に乗り込むラストに「次回の冒険に乞うご期待!」感ありありの本作ですが、どうせ作るなら次回は是非器用な後輩に作らせていただきたいと切に願うもので。その方が、ベッソンとしても心おきなく試写室で楽しめるでしょうし。
何かと厳しい言葉ばかり並べてはしまいましたが、お転婆で喧しいが脱ぎっぷりは良いという、典型的なベッソン・ミューズであるアデルに扮したルイーズ・ブルゴワンが、私の好みを直撃していたので★ひとつオマケで。もちろん脱ぎっぷりもそうですが、小さめの目が若干離れた位置に付いた、美人とブサイクの間を行ったり来たりする顔立ちが好み。吉瀬美智子とか、AV女優の花野真衣とかの顔も大好きですし。

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寸劇付きのファッションショーだと思えばまぁ…

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posted by たお at 01:52 | Comment(6) | TrackBack(35) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月22日

ウォーター・ホース (The Water Horse)

監督 ジェイ・ラッセル 主演 アレックス・エテル
2007年 アメリカ/イギリス/オーストラリア映画 112分 ファンタジー 採点★★

UFOも大好きですが、UMAも大好物な私。携帯のアドレスも、某有名UMAの名前をまんま使ってますし。最近は随分と新作が出て来なくなっちゃいましたが、UMAの写真や動画を見ながら夢をパンパンに膨らませる時間が大好き。有名なネッシーの写真やビッグフットの動画のカラクリが解明されちゃったりもしてますが、インチキなのは大半の人が気付いてる事なので、その辺はやっぱりロマンを残すためにも、大人の対応でアレしていただけたらなぁと

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【ストーリー】
第二次世界大戦中のスコットランド。戦地に赴いた父の帰りを待つ少年アンガスは、家の近くにあるネス湖のほとりで大きな卵を発見する。中から生まれてきた見た事もない生き物にクルーソーと名付けたアンガスは家族に内緒で飼っていたのだが、みるみる大きく成長してしまったクルーソーを已む無く湖に放す事に。しかし、クルーソーを目撃した人たちの間でモンスター騒ぎが起こってしまい…。

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これが実話なら、“のび太の恐竜”だって実話になっちゃうんじゃない?」と、何を以て“実話”と言い張るのかいささか不明なネッシーファンタジー。
言動に一貫性の全くない母親に何をしたいのかさっぱり分からない軍人と、「ファミリー映画だから…」って甘えなのか、主人公の障壁となるべく大人たちの描き方が随分とざっくばらんな本作。クライマックスで、敵襲と勘違いした軍隊が何も見えない状況の中、何に向かって撃ってるのか分からないまま湖面を砲撃し続ける様もアレだが、デタラメに撃ってる砲撃の着弾点にピンポイントで居続けるネッシーも随分とアレ。それでもせめてネッシーとの交流にホッコリとする物があれば救われるのだが、多少騒動を起こしただけで勝手に大きくなっちゃうので、観る側も一緒になって育てたって繋がりも感じない。じゃぁ、ビジュアル面だけでも驚かせてもらいたいところだが、背景も含め実在感の無い大雑把なCG合成のてんこ盛りと来た。何よりも、ネッシーを題材にしておきながらその題材に愛情が込められているわけでもなく、単にネッシーで物語を成立させるためにあちこちからネタを拝借して設えた感ありありなのが、どうにもこうにも。

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ヌルヌルしてそうなネッシーに掴まって湖底に潜る様からも、結構な握力の持ち主と想定されるアンガスに扮しているアレックス・エテルや、ふっくらしたせいか、顔のパーツがより一層中央に集まった感じがする『リベリオン 反逆者』『プロポジション -血の誓約-』のエミリー・ワトソンなど、顔に特徴のある役者が揃っている反面、役柄には個性が全くない本作。せめてもの救いが小さい頃はなんとも可愛いクルーソーなんですが、すぐに大きくなっちゃうのでそこも然程堪能できず。“小さい頃は可愛い怪獣”って言うと『小さき勇者たち〜ガメラ〜』を思い出しますが、あっちは隣に夏帆が住んでたんでガメラの圧勝。
まぁ、その辺の色々な薄さをカバーするかのように『RED/レッド』『ゾディアック』のブライアン・コックスが駆り出され、作品にほどほどの重みを与えてくれてたのがちょいと印象的で。

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飼うならピー助

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posted by たお at 02:13 | Comment(0) | TrackBack(2) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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