2012年05月14日

アクシデント (意外)

監督 ソイ・チェン 主演 ルイス・クー
2009年 香港映画 86分 サスペンス 採点★★★

どう見ても事件性ありありなのに、自殺や事故として処理されるケースがあるとか。怖いですねぇ。そう処理せざるを得ない事情があるってのも怖いですけど、「なんか捜査すんの面倒くせー!」ってんだったら、それはそれで怖いなぁと。

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【ストーリー】
偶然の事故に見せかけターゲットを確実に消し去る、ブレイン率いる4人の暗殺集団。しかし、ある依頼の遂行中に、仲間の一人が事故死してしまう。「それは本当に事故だったのか?」と疑念と疑心暗鬼に陥ったブレインは、自分を狙う何者かの存在を調査し始めるのだったが…。

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ザ・ミッション 非情の掟』のジョニー・トー製作で贈るノワール・サスペンス。メガホンを握ったのは、トー作品で第2班監督も務めたことがある『ドッグ・バイト・ドッグ』のソイ・チェン。
事故を装って暗殺する特殊過ぎる職業と環境ゆえに、自分の身に降りかかった事故を単なる事故に思えず疑心暗鬼に陥る様を描いた本作。狙った方向性は『カンバセーション…盗聴…』なのかと。しかしながら、なんとも全体的にボンヤリ。“ピタゴラ暗殺集団”ってアイディアは非常に面白いのだが、その手法に“偶然狙いの一発勝負”的な雰囲気を出してしまっている為、主人公らに降りかかる“事故”が「圧倒的な緻密さや高い技術力によって作り出された“事故”かも?」という説得力が生まれず、観る側を巻き込みきれていないってのが惜しい。
ただまぁ、観ている側まで息苦しくなる主人公のパラノイア的な様や、低い温度で統一された映像美、全てが明らかになる無常なオチなど見所も多い作品ではあったので、なんだかんだと楽しめた一本ではと。

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ピタゴラ暗殺集団のリーダー“ブレイン”に扮したのは、『コネクテッド』『導火線 FLASH POINT』のルイス・クー。緻密に計画を練り上げ、確実にターゲットを始末する冷静沈着さと怖さってのを感じさせる一方で、一旦歯車が狂い始めると仄かに醸し出し始める“情けなさ”ってのを非常に巧く出せる役者だなぁと。
その他、『ブレイキング・ニュース』のリッチー・レンや、『エレクション』のラム・シュー、『新Mr.Boo!アヒルの警備保障』のフォン・ツイファン、『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』のミシェル・イェらも出演。中でも“ふとっちょ”に扮したラム・シューは絶品。ルイス・クーとは逆に、だらしなさや情けなさの中に“凄味”や“怖さ”を出すのが上手いラム・シューがいたからこそ、ちょいと突飛さが目に付く本作にある種のリアリティが生まれたのかなぁと。まぁ、そのラム・シューにおんぶに抱っこってのも少なくなかったこともあってか、彼の退場と同時に映画の面白味も退場しちゃうって残念感も大きかったんですけど。

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どんな事故も大体は“意外”

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2012年05月02日

アンボーン (The Unborn)

監督 デヴィッド・S・ゴイヤー 主演 オデット・ユーストマン
2009年 アメリカ映画 89分 ホラー 採点★★

ちょいと困ったことになっても、すぐに周囲の人が助けてくれる人っていますよねぇ。「どうしたの?大丈夫?手伝おっか?」って。で、なんだかんだで上手く行く。いいなぁ、そういうの。やっぱり普段から人見知りが激しく、知らない人が近くに居るだけで完全バリアを貼ってしまうような私みたいな人間には声を掛け辛いんでしょうねぇ。今から人見知り治せっかなぁ?

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【ストーリー】
ある悪夢を切っ掛けに、不可解な現象に悩まされるようになった女子大生のケイシー。そんな中、幼い頃に自殺した母親の遺品から、自分には胎内で死亡した双子の兄がいたことを知ったケイシー。そして、その双子の兄の死は、彼女の祖母から続く呪いのせいであることも知った彼女は…。

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臨死』『ブレイド3』のデヴィッド・S・ゴイヤーが脚本と監督を手掛けた、この世に生れ出ようとする悪魔と女子大生の戦いを描いたオカルトホラー。製作には『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』のマイケル・ベイも。
オーソドックスながらもおどろおどろしい雰囲気を持つ好発進を見せる本作。子供やそれにまつわるエピソードの使い方も上手い。地味ながらも面白いホラーになりそうな気配こそあったのだが、その地味さにマイケル・ベイが痺れを切らしたのか、因縁が明らかになる後半から途端に見せ場ばかりが派手になり、それと同時に話が散らかり始める残念さったら。クライマックスなんか、ほとんど悪魔と肉弾戦みたいな感じでしたし。そういう映画にしたかったのなら、最初っからレニー・ハーリンとかに任せれば良いのに。そんな支離滅裂さもあってか、結局自分の一族に関わる問題なのに、不用意に他人を大勢巻き込む女の話にしか見えなくなることこの上なしって感じの一本に。

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やたら他人を巻き込む主人公に扮したのは、『クローバーフィールド/HAKAISHA』のオデット・アナブル。「あれ?こんなにスタイル良かったっけ?」って思えるほど抜群のスタイルを持っていた彼女ですけど、作り手もその辺をよく分かってるのか、これでもかってほど彼女の全身をカメラに捉えてたのが見所だったかと。
一方、そんな彼女に巻き込まれたユダヤ教のラビに扮したのが、『ザ・ウォーカー』のゲイリー・オールドマン。エキセントリックな役柄が多い彼ですが、子供の頃から変わってなさそうなクシャっとした笑顔が素敵なんで、こういったソフトで優しい役柄も非常に似合うんですけど、如何せん何のドラマもない役柄だったので「なんでゲイリー・オールドマンに?」って疑問ばかり募る、非常に残念なキャスティング。
その他、『パンドラム』のカム・ジガンデイや、二人暮らしの父娘の設定なのに途中から存在が空気になるX-MEN:ファースト・ジェネレーション』のジェームズ・レマー、『マイティ・ソー』のイドリス・エルバに、『ファースター 怒りの銃弾』のカーラ・グギーノらといった、なかなか豪華な顔ぶれが。まぁ、概ね巻き込まれてただけでしたけど。

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これが本作最大のクライマックスなのかと

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タグ:★★ ホラー
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2012年04月11日

エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE (Tropa de Elite 2 - O Inimigo Agora É Outro)

監督 ジョゼ・パヂーリャ 主演 ヴァグネル・モーラ
2010年 ブラジル映画 115分 アクション 採点★★★★

どんなに崇高な目的があって志の高い人たちが集まったとしても、人と物が複雑に絡み合ったシステムが動き始めると、必ずどこかに歪みが生まれてくるんですよねぇ。如何せん人間、自分の損得には敏感ですし。で、いざそのおかしくなったシステムを直そうとすると、作った時以上に難しくなってたりするんですよねぇ。ダンジョンの如く複雑怪奇になっちゃってて。

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【ストーリー】
リオ・デ・ジャネイロ。刑務所暴動事件での失態を受けて特殊部隊BOPEの隊長職を解任され、公安局へ異動となったナシメント。そんな折、犯罪の温床となっていたスラム街にある警察署から武器が大量に強奪される事件が発生。その地区を支配するギャングの仕業として警察とBOPEが現地へと向かうが、その事件の背景には巨大な陰謀が隠されている事をナシメントはまだ知らなかった…。

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麻薬犯罪が社会問題となっているブラジルを、警察腐敗という視点から描いた快作『エリート・スクワッド』の続編。アクションベースのポリティカルサスペンスとなった本作の脚本・監督を手掛けたのは、前作同様ジョゼ・パヂーリャが。
犯罪組織と腐敗した警察組織の双方に戦いを挑むしゃれこうべ軍団BOPEの姿を描いた前作であったが、今回は更に深い政治の世界にまで踏み込んで、ブラジルを蝕む悪しき“システム”の実態と、それに対し孤独な戦いを挑む男の姿を描き出した本作。自動小銃を抱え街を我が物顔で歩くギャングの姿に戦慄を覚える一方で、どこか他人事である地球の裏側の物語でもあった前作であるが、再選することのみが目的でその為なら誰かれ構わず手を結び、住人を“票の数”としか見ていない政治家の姿や、全ては権力者の為だけにしか機能していない政府機関の描き方に、とても他人事とは思えない恐怖すら感じる内容に。
銃の力でシステムに立ち向かおうとする若きBOPE隊員に、知性と理性でシステムと対峙する人権派の政治家、そしてかつては銃の力を信じながらも、それだけではシステムに立ち向かえない事を身をもって感じ始める主人公と、キャラクターの描き分けもそれが生み出すドラマも非常に成熟味があり秀逸であるし、重苦しい内容ながらも最後までグイグイと観る者を惹き込む手腕も見事。充分過ぎるほど面白かった前作が、まるでこれを生みだす為だけに存在したのではと思えるほど、よくある“なんちゃってハリウッドアクション”の一つと思って敬遠するにはもったいないにも程がある傑作に仕上がっている。「官僚と戦う!」と意気込んで財務省なんかに乗り込んだ割に、瞬く間に洗脳されて官僚の言いなりになってるどこぞの国の政治家の皆さんに是非とも観て頂きたい一本で。

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“銃の力”や“政治の力”同様に、“映画の力”ってのもあると信じたいもので

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2012年03月21日

エリート・スクワッド (Tropa de Elite)

監督 ジョゼ・パヂーリャ 主演 ヴァグネル・モーラ
2007年 ブラジル/オランダ/アメリカ/アルゼンチン映画 115分 ドラマ 採点★★★★

オリンピックやワールドカップ開催を機に街を浄化しようって話を、最近よく耳にしますねぇ。そのやり口にどうかと思う点も多々ありますし、イベント終了後にきちんと維持され続けるのかって疑問もありますが、なにかと問題を抱える暴れん坊の国々にとってはこういう機会も大切なのかなぁと。まぁ、個人的にはオリンピックもワールドカップも結局金の話に行き着きがちなので、毎回ホスト国は変えても開催地はどっか中立な場所に固定した方が良いと考えてる口なんですが。

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【ストーリー】
ローマ法王来訪に向け、犯罪密集地区となったリオデジャネイロのスラム街一掃作戦を命じられた、ブラジル警察のエリート特殊部隊BOPE。そんな中、BOPEの隊長ナシメントは、過酷な任務による強度のストレスと妻の妊娠により引退を決意、腐敗しきった警察に反発する正義感の強い新人警官ネトとマチアスを自分の後継者として訓練を始めるのだったが…。

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リメイク版ロボコップの監督に抜擢された事でも話題になったブラジルの新鋭ジョゼ・パヂーリャによる、ブラジルの麻薬犯罪と警察腐敗の実態を描き出した犯罪ドラマ。
軍隊並みの装備と組織力を持つ麻薬ギャングの実態や荒廃しきったスラム街の描写も強烈だが、組織全体が腐敗した警察描写にただ驚かされる本作。“警備料”名義で市民から賄賂を徴収し、その縄張りを身内で奪い合い、裏切り者の身内は丸腰でスラム街へ放り出し殺害されるように仕向ける、話としては耳にしていたが映像になって目にすると呆れるを通り越して、ある意味感心してしまうほどの腐敗っぷり。同じ悪行でもギャングのそれとは大きく異なり、所轄で事件が増えると上司に怒られるから、見つかった他殺体は他の所轄のエリアに移動させて知らんぷり。でも、そっちの所轄でも困るからこっそりまた死体を移動させる“死体ラリー”のように、全てが非常に公務員らしい慣習と怠惰とことなかれからきているのも興味深い。ダメな方にシステムが完成されており、しっかりそれが回転してしまってるから改善のしようがないってのも、まさに公務員のそれ。
一方、そんな警察を軽蔑する特殊部隊BOPEも相当なもので、事件は現場で解決させる要は“処刑部隊”に過ぎない描写。一方を否定し他方を肯定する勧善懲悪的な視点で描くのではなく、現状やその周辺のシステムが変わらない以上は“これはこれで仕方がない”必要悪として映し出されているのも面白い。ギャング・警察・BOPEに対しある一定の批判的視点で描かれてた本作だが、一番批判的かつ軽蔑にも近い視線を向けられていたのが、小遣い稼ぎ程度の感覚で麻薬密売に手を染め、TVで見聞きした情報のみを鵜呑みにし、安全圏に身を置いたまま社会や権力に対し声を高らかに上げる中流階級以上の人々だったりするもの、非常に印象に残る描き方で。
『フルメタル・ジャケット』の新兵訓練がサマーキャンプに思えてくるほど過酷なBOPE訓練風景や、警察側も含めスラムと直面する人々のドラマ、ネタの強烈具合など非常に見応えのあった本作。販売元がトランスフォーマーなんで、ついついいつもの“なんちゃってハリウッドアクション”だと思いがちだが、そんな見た目のみで敬遠するにはちょっと惜しい作品だなぁと。

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“男の職場は戦場”って、これ位のレベルじゃないと言えないのでは?

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2012年03月10日

ザ・ウォード/監禁病棟 (John Carpenter's The Ward)

監督 ジョン・カーペンター 主演 アンバー・ハード
2010年 アメリカ映画 89分 ホラー 採点★★★

ロブ・ゾンビの『ハロウィン』や『アサルト13 要塞警察』など、一時リメイクバブルに湧いてたジョン・カーペンター。それはそれでカーペンターが再認識されるって意味では嬉しかったんですけど、どうせならその予算をちょっと分けて新作を作らせればいいのになぁと思ったりも。で、『ゴースト・オブ・マーズ』以来10年振りとなる劇場用新作が遂に完成。期待に胸ふくらませて観てみたんですが…、これって本当にカーペンターなの?

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【ストーリー】
1966年。放火の容疑で逮捕され、精神病院の監禁病棟に収監されたクリステン。同世代の4人の少女が収監されたその場所に、何か不気味な存在が潜んでいる事を感じ取るクリステンは脱走を試みるのだが、そんな彼女の前に恐るべき存在が立ちはだかり…。

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男臭いアウトローを中心に描くわけでも、遂にデジカメに手を出してしまった為かパナビジョンの横幅を一杯に使った映像を見せるわけでもなく、仕舞いには「あのベンベンとこのベンベン」の違いは分かる人にしか分からないカーペンター節も流れてこない本作。ロボトミー手術がまだ行われていた60年代後半の精神病院を舞台に、“アノ人もコノ人も実は○○”って使い古されたネタにも、カーペンターらしさを見出すのはちょっと難しい感じも。
ただまぁ、『アイデンティティー』同様大嫌いなタイプのネタではあるものの、程良いテンポでショック描写を挟みこみながらコンパクトに収める職人技は健在で、“どこぞの誰か”の作品であれば充分に楽しめる一本にはなってるのかと。KNBのグレゴリー・ニコテロらによる“アリス”の特殊メイクも不気味だし、見舞いに来るのが遠くから見つめるだけの悲しげな夫婦だけだったり、この手の作品だと看護師は得てしてサディスティックなもんだが、本作ではそうでない理由も理に適ってた筋書きも悪くはない。ロボトミー手術に頼らず、患者を無害化するのではなく治療するために新たな治療法を模索する意志の姿も同様に。まぁ、女子しか出てこない監禁もので、シャワーシーンもあるのに“エロさ”が微塵もないってのはどうかと思いますけど。

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主人公のクリステンに扮したのは、『ドライブ・アングリー』『ゾンビランド』のアンバー・ハード。“下品”ってのが持ち味の彼女だが、本作でも存分に下品。これでもうちょっとイヤラシさってのが出てれば完璧だったんですけど、まぁそこはカーペンターだし
その他、顔のパーツが全て中心に集まった、なんかミサワっぽいメイミー・ガマーや、若い頃のレイチェル・ワイズみたいな『クレイジーズ』のダニエル・パナベイカー、ロリキャラ作りに努力の跡が見えるローラ=リーに、顔の特徴を覚える前に消えてしまった『キック・アス』のリンジー・フォンセカらも主人公を熱演。数少ない男性キャラとして物語の中心に立っていた『レディ・イン・ザ・ウォーター』のジャレッド・ハリスも、隠しきれない善人臭を上手く使った好演だったのかと。
それにしても、不満のほとんどが「カーペンターのくせに!」って所に行き着いてしまうのかと思う本作。ただまぁ、並のホラーならまだ撮れるだけ腕は鈍ってないってことも、エロさはさて置きとりあえず普通に女性も撮れるってことも証明出来たし、長いブランクを埋めるためのリハビリ的作品だと思えば腹も立たないのかと。是非とも次回は『パラダイム』『ゼイリブ』『マウス・オブ・マッドネス』に続く“世界の終り”物か、『ゴースト・ハンターズ』の続編を手掛けて頂きたいなぁと。誰か酔狂な金持ちが大枚叩いてくれないかなぁ

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この病院では主治医によるマンツーマンの親身な診療を心がけております

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2012年02月22日

インシディアス (Insidious)

監督 ジェームズ・ワン 主演 パトリック・ウィルソン
2010年 アメリカ/カナダ映画 103分 ホラー 採点★★★

子供の頃に観たホラー映画って、すげぇ怖い物として記憶に残ってたりしますよねぇ。物語をちゃんと理解出来てない分、不気味な雰囲気やショッキングなシーンにより恐怖を覚えたもので。まぁ、物語を理解出来る様な歳になってから観直してみたら、案外怖くなかったりもするんですけど。

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【ストーリー】
新居に越してきた、3人の子供を持つジョシュとルネの夫婦。しかし引っ越し早々、怪現象が彼らを襲い始める。そんなある日、長男のダルトンが原因不明の昏睡状態に陥る。家に原因があると考えた夫婦は再度引っ越すのだが、そこでも同様の怪現象が起き始め…。

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怪現象に襲われる家族の姿と恐怖を描いた、『狼の死刑宣告』のジェームズ・ワンによるホラー。製作には、『パラノーマル・アクティビティ』のオーレン・ペリが。
“ソウ”シリーズと“パラノーマル・アクティビティ”シリーズのクリエーターが組んだ作品ってんで、てっきり偏屈老人に監禁された若夫婦の寝相を延々ホームビデオで収める作品かと思いきや、思いのほかストレートな心霊ホラーに仕上がってたんで驚いた本作。新しいホラーを開拓しようってよりも、「あの映画怖かったよねー!」って盛り上がったのであろう二人の思い出話をそのまんま映像化したような感じで、画面の後ろを何かがスゥーっと横切ったら音楽が「ガガーン!」って鳴って「ギャー!」ってなる、非常に古典的な作りが特徴。まぁ、ほとんど「ガガーン!」の部分で驚かせてるって感も否めないのだが、「スゥー」と「ガガーン!」のタイミングが非常に絶妙なので、単調にならず恐怖感を維持してるのは立派。ホラーのクリシェのみで一本作ってみる実験的意味合いもあったのかも知れないが、皮肉や自嘲に走らず、真面目にアナログホラーを作り上げようとした姿勢も好印象で。

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別の意味で非常に寝相の悪かったジョシュに扮したのは、『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』のパトリック・ウィルソン。男前なのだが人間的温かみをあまり発していない印象もあってか、最終的に何かしでかしてくれそうな程良い緊迫感を与えてくれる好キャスティング。ただビックリさせるだけでしかない結末も、彼独特の信頼感の無さでシックリきたのかと。
また、妻のルネには『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』のローズ・バーンが。こっちは3人の子持ちに見えないってのもあってか、ただただ憔悴し困惑しているだけの印象も。まぁ、純粋に被害者だったんで仕方がないんでしょうけど。
その他、『ポルターガイスト』の学者と霊媒師を足したような役柄だった『スネーク・フライト』のリン・シェイや、『エンティティー/霊体』で幽霊にアレコレやられてたバーバラ・ハーシー、本作でも脚本を手掛けてるジェームズ・ワンの相方リー・ワネルらが出演。ただ、アナログ幽霊さんたちのワンパクな存在感を前に、随分と印象が薄れてしまいましたが。だってアイツら、幽霊の分際で前へ出過ぎなんですもの。

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これじゃぁ、思い出から消し去りたくもなる

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2012年02月15日

ウソツキは結婚のはじまり (Just Go with It)

監督 デニス・デューガン 主演 アダム・サンドラー
2011年 アメリカ映画 116分 コメディ 採点★★★

そんな必要もないのに、ただただ嘘をつく人っていますよねぇ。辻褄合わせなんて考えず、息を吐くように嘘をつく。ガリガリの身体で面接にやって来て、前職を聞くと「水泳のインストラクターです!」と真顔で答える。その場所を聞けば「もう潰れたんで、誰も知らないと思います!」と頑なに答えない。つく意味すら分からない嘘

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【ストーリー】
不幸な既婚男性に成りすまし、女性の同情心に付け込んだナンパを繰り返す美容整形外科医のダニー。そんなある日、ダニーは絶世の美女パーマーと出会い真剣な交際を考えるが、小道具の結婚指輪が見つかってしまい、ついいつもの既婚者であるという嘘をついてしまう。困ったダニーは、助手でシングルマザーのキャサリンに協力してもらい離婚目前の夫婦を演じるのだが、事態は思わぬ方向へと進みだし…。

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フランスの舞台劇を映画化したラブコメディ。アダム・サンドラー主演とくれば、もちろん監督は『アダルトボーイズ青春白書』のデニス・デューガン。
“理想の人を見つけたと思ったら、本当に愛すべき人は隣にいた”っていう、いつものアレが描かれる本作。アダム・サンドラーとジェニファー・アニストンの主演二人の魅力もあってか、嫌味も少なくサクっと楽しめる一本には仕上がっている。それぞれのシークエンスでの笑いも、アダム作品として充分及第点なので楽しめる。
ただまぁ、物語自体はメタメタ。そこを突っついたら元も子もないんですが、既婚男性に成りすましている最中に運命の人に出会ったわけじゃないんだから、素直に指輪のワケを話せば済むだけの所を、わざわざ大騒動にしてストーリーを進行させようとする無理やり感は否めず。本当に大切な人の存在に気付いてからの展開も、一悶着あって双方それなりに傷付くわけでもなく、単に理想と思ってた人が突然結婚を切りだして重たい女になるってだけの身勝手な展開も好きになれず。結果ありきで全てを動かすのが映画とは言え、あまりにそこが目立ち過ぎるとやっぱり気持ちが入り込めないもので。そもそも、元々モテそうなポジションにいる主人公が、後腐れのない交際のためとはいえワザワザ既婚者を騙ることに必然性すら感じられませんでしたし。その逆ならなんか分かりますが
まぁ、部分部分を切り取れば充分に面白いですし、役者も魅力的で、やたらとポリスばっか流れてくるのもファンとしては嬉しかったので、甘めに★ひとつオマケで。

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考えるまでもなく無責任かつ無節操な主人公に扮したアダム・サンドラーだが、持ち前の嫌味の無さで結婚の責任をまだ負いたくないヤンチャ坊主に見えるのが救い。相手が子供だろうが大人だろうが対応の変わらない、いつものアダム。1995年以降の音楽は受け付けない、私ら同世代の鑑のようないつものアダム。ただ、アダム主演のアダム映画にもかかわらず、今回の彼は然程印象に残らず。
っていうのも、たぶん本作はジェニファー・アニストン推しの意味合いが強い作品だったからなのではと。それだけ本作の彼女は魅力的に収められている。もともと気さくで親しみやすい美人なだけに、気兼ねなく何でも話せるし一緒に居ると楽しい反面、その距離感を壊したくないが為に恋愛までは発展しづらいって役柄がドハマリ。交友が長い割にアダムとの共演は初めてだった本作なんですが、そんなことを感じさせない相性の良さも観ていて楽しかったなぁと。タマゴ顔が二人並んでるだけで、なんかお似合いでしたし。
また、そんな彼女の同級生役として『デイズ・オブ・サンダー』のニコール・キッドマンも出演。かつてのクラシカルな美しさの面影なんぞどこにもない、非常に下品な顔立ちと役回りで、扱いは完全にジェニファー・アニストンの引き立て役。好きだったんだけどなぁ、唇が厚くなる前は…。
その他、“美人”って以外はこれといって印象がないブルックリン・デッカーはさて置いて、ニック・スウォードソン、ケヴィン・ニーロン、アレン・コヴァート、ジョナサン・ローラン、ピーター・ダンテに嫁サンドラーといういつもの顔ぶれも当然集結。しかしながら、ロブ・シュナイダーの姿は無し。最後の最後にうってつけの出番があるっていうのに。内容云々以上に、そこが一番残念だったなぁと。

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選択肢にいるってよりも、土下座してでもお願いしたいレベル

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2012年02月01日

アイ・アム・ナンバー4 (I Am Number Four)

監督 D・J・カルーソー 主演 アレックス・ペティファー
2011年 アメリカ映画 110分 アクション 採点★★

小説を一字一句映像化するのは無理ですし、何よりも無駄だと思っている私。観る行為と読む行為は別物ですし。もちろんだからと言って好き勝手していいわけでもなく、省略と再整理と膨らましを施して一本の映画としてスムーズな流れを作りつつ、“何を描くべきか?”を見誤らないようにするってのが重要なのかと。原作のテーマの大切な部分だけは踏襲しつつ、「へぇ、これ映画オリジナルじゃなかったんだ!」って思えるほど楽しませれるかどうかが、作り手の腕の見せ所なんでしょうねぇ。

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【ストーリー】
モガドリアンによって滅ぼされた惑星ロリアン。番号を割り振られた生存者9人は、彼らを守る保護者と共に地球へ飛来し、正体を隠しひっそりと暮らしていた。しかしモガドリアンの執拗な追跡により、彼らの3人は番号順に殺されてしまう。その頃、オハイオ州の田舎町で高校生として過ごしていたナンバー4の身に変化が表れ始め…。

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人気SF小説“ロリアン・レガシーズ”の一作目を映像化した、『イーグル・アイ』のD・J・カルーソーによるSFアクション。
元々の原作がそうなのか、はたまた作ってる最中に「なんか『トワイライト』流行ってるらしいから、ウチもそうすっぺ!」となったのかは不明ですが、SFアクションってよりは、ジョックスが支配する学園でジョックスの元カノと恋に落ちたり、いじめられっ子のギークと仲良くなったりする、非常によくある学園物の色合いが濃い本作。それはそれで何かしらの特色があるなり、本腰入れて王道を邁進していれば面白くもなるんですけど、印象はありものの寄せ集め。ロリアンとしての物語も馴染み切っていないので、“歩く懐中電灯が思春期患って面倒臭くなる”って物語みたいにも。
壮大な設定や背景をナレーションやダイジェストで済ませることに関し不満はないのだが、本作は全てに関しとってもダイジェスト。主人公を守るべき守護者が知らん内にそこらのオッサンに捕まってたり、監視カメラがあるだけでテロリスト扱いされたり、いつの間にか地球を守る話になったり、御主人を守るために犬が命を賭けて戦ってるのに、御主人は全くその事を意に介してなかったりと、非常に大雑把過ぎる展開も目に余る。画に力がないせいもあってか、観終わった後の印象は“シリーズ化を果たせなかったパイロット版”って感じ。何人か出てこないロリアンもいますし、シリーズ化にする気満々の締め括りを見せてますけど、作るならその辺をギューっと60分位にまとめたダイジェストでもういいかなと。

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“歩く懐中電灯 兼 充電器”という、なんか後方支援型の宇宙人である主人公に扮したのは、『アレックス・ライダー』のアレックス・ペティファー。独特の色気を発する綺麗な顔立ちをした少年だった彼も、いつの間にやら端正な顔立ちのオッサンに。端正って以外の個性なし。顔立ちも演技もこういう雰囲気の若手が非常に多いせいか、ババーンと登場してもナンバー1〜3のどれかかと思ってしまう、主演俳優としての説得力の無さも残念。
その他、なぜどっちか一方の髪を黒くするなりしてキャラ被りを減らさなかったのか不思議な、TV畑のダイアナ・アグロンと『魔法使いの弟子』のテリーサ・パーマーのヒロイン二人に、「今はギーク役にも可愛げが必要なのかい?」と思ったカラン・マッコーリフ、遠慮がちないじめっ子だった『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』のジェイク・アベルと、本作がTVのパイロット版に見えてしまっても仕方がない面々が。
しかしながら、わざわざ変装してスーパーのレジにちゃんと並ぶ、地道な努力を惜しまない潜伏生活っぷりが涙ぐましいモガドリアンの長に扮した『リアル・スティール』のケヴィン・デュランドと、モガドリアンには強いがオッサンには弱い守護者に扮した『クレイジーズ』のティモシー・オリファントが、なにかと浮ついた本作に映画らしい重さを与えてくれる好演を。特に、保護者としての厳しさと優しさ、そこにいたずらっ子のようなお茶目さまでをも感じさせてくれたティモシー・オリファントの存在は大きい。まぁ、思いのほか出番が少ない上に途中退場しちゃうんで、もう台無しなんですけど。

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夜道は先頭に立ってて欲しい

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2012年01月14日

アリス・クリードの失踪 (The Disappearance of Alice Creed)

監督 J・ブレイクソン 主演 ジェマ・アータートン
2009年 イギリス映画 101分 サスペンス 採点★★★

“犯罪映画”って、計画の緻密さや犯行の手際良さ、追手をかいくぐる機転の良さなど、それ自体がメインのテーマじゃなくても、犯行がしっかり描かれていると俄然リアリティが生まれて面白くなるんですよねぇ。まぁだからこそ、その逆もあるんですが。

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【ストーリー】
富豪の娘アリス・クリードを誘拐した、ヴィックとダニー。周到に練り上げられた計画に則りアリスをアパートの一室に監禁し、あとは身代金の受取りをするのみであった。しかし、首謀者のヴィックが知らない秘密を、アリスとダニーが抱えていて…。

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プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』のジェマ・アータートン、『明日へのチケット』のマーティン・コムストン、『シャーロック・ホームズ』のエディ・マーサンの三人のみで繰り広げられる、『ディセント2』の脚本を手掛けたJ・ブレイクソンの長編初監督作となる愛憎と欲が入り乱れる犯罪サスペンス。直接的なネタバレは避ける方向で前向きに善処するつもりですが、きっとバレると思いますからおおらかな気持ちでお読み頂ければと。
アリス・クリードの“誘拐”ではなく、“失踪”ってとこがちょいと捻られてた本作。完璧に思えた計画が、誘拐犯と被害者の間に“悪女”ってのが紛れ込んでたおかげで散々な羽目になる様を、大きく物語を二転三転させながらスリリングに描き切っている。三人以外はエキストラも登場しない限定しまくった状況も、“愛と嘘”を描く上で功を奏していたとも。様々な感情と思惑が交差する物語を、上手く文章でまとめ上げたなぁって印象。“映像”ではなく、“文章”で

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この、“良く書けた脚本を丁寧に撮った”だけにも見える、この映画ならではの個性が見当たらないのが、本作の弱みかと。また、本作に仕込まれた仕掛けも、ビックリさせるのと物語を成立させるためでしかなく、整合性に乏しいのも難点。新人なら許されるが、ベテランだったら怒られるタイプのネタかと。
人間の愚かさに仄かなユーモアも感じさせる本作にはコーエン兄弟の影響も見え隠れするが、かと言って彼らほど人間を突き放す(若しくは見下す)わけでもなく、前後の印象を吹き飛ばすバランス度外視の強烈なショットがあるわけでもない。道を踏み外さないよう丁寧に慎重に撮った結果、灰汁を取り過ぎたスープのような風味のない作品に。意地悪な見方ではあるんですが、偏執的ですらあるほど緻密に誘拐準備を描いてた割に、最も難しい身代金受け渡しのシーンをスルーしてしまった様に、“犯罪を描くのがメインのテーマじゃない”から描かなかったのではなく、浮かばなかったから描けなかったようにも思えてくる。その辺を上手く誤魔化して逃げおおせたって感じ。
まぁ、体当たりの熱演の割には“被害者”の枠からはみ出れなかったジェマ・アータートンはさて置き、“ヤサ男/クズ男/淑女/悪女”をほんのちょっとのシフト変更で見事に表現しきったマーティン・コムストンと、愛に真っ直ぐな故に利用されてしまうエディ・マーサンの熱演が、本作を随分と締めてくれてたのかなぁと。

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優位に立ってると思わせるのが悪女の技

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posted by たお at 10:07 | Comment(2) | TrackBack(16) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月05日

WANTED/ウォンテッド (Wanted: Dead or Alive)

監督 ゲイリー・シャーマン 主演 ルトガー・ハウアー
1986年 アメリカ映画 107分 アクション 採点★★★★

男子小学生のなりたい職業トップ3って、“スポーツ選手”“医者”“学校の先生”なんだそうで。これが中学男子になると、“スポーツ選手”“会社員”“コンピュータ関係”になるとか。んー…、男子ならそこは“私立探偵”“傭兵”“賞金稼ぎ”じゃないのかい?

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【ストーリー】
かつては政府組織に属し、現在は凄腕賞金稼ぎとして活躍するニック・ランドルのもとに、アメリカに秘かに潜入した国際爆弾テロリスト、マラク・アル・ラヒムを捕まえるよう依頼が入る。ラヒムを追うニックであったが、ラヒムもまたかつての怨恨からニックの命を狙っており…。

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ゾンゲリア』のゲイリー・シャーマンが贈る、かつてのTVシリーズ“拳銃無宿”でスティーヴ・マックィーンが演じたジョッシュ・ランドルの孫が活躍するって設定のバウンティハンター・アクション。流石に“拳銃無宿”を観ていたほど歳は取ってないので、その辺の感慨深さは特になく。
初めに断っておくと、本作は80年代に乱造されたアクション映画の一本に過ぎない、非常に他愛のない作品である。キレの悪いアクションや、“アラブ人=テロリスト”という単純過ぎる設定、親友と恋人が殺されたばかりだというのにその恋人のことはすっかり頭から消え去っている主人公など、残念な個所も少なくない。
でもこの映画大好き。何年かに一度は観返したくなるほど好き。それもこれも全て、主人公に扮した『ザ・ライト -エクソシストの真実-』のルトガー・ハウアーがカッコ良いから。もう、これだけ。ルトガー・ハウアー好きには胸を張ってオススメできる、「四の五の言わず、ルトガー・ハウアーを堪能しろ!」って一本。それ以外の方にはまぁ、時間つぶしには最適な一本かなぁってことで。

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『ブレードランナー』や『ヒッチャー』でもプンプン醸し出していた妖しげな香りを、本作でも存分に放っていたルトガー・ハウアー。追っている犯罪者の名前を囁きながら迫ってくるオープニングからして既にそうなのだが、口元に冷たい笑みを浮かべて見つめる眼差しや、やたらと後ろから抱き締めてくるその仕草から発せられる妖しさに、悶絶してしまうことこの上なしったらありゃしない。“男が好き”“女が好き”って区別などなく、“別にどっちでも構わない”って退廃的ですらある佇まいが素晴らしい。冷酷で精悍な顔立ちからは想像できない身体付きのアンバランスさは相変わらずではありますが、そんなものを凌駕する“美しさ”すら感じさせたその存在感は圧巻で。本作を観たことがある人は、壁に投げ跳ね返ってきたバスケットボールを腕で上に跳ね上げる仕草を、きっと一度は真似したはず。私はした。今もたまに。
一方の宿敵ラヒム役には『ニュー・ガイ』など役者としての活動も多い、キッスのベーシスト/ボーカリストとして絶大な人気を誇るジーン・シモンズ。もちろん素顔で登場。舌も出さない。素顔だととっても中東顔なので、安易ながらもハマったキャスティングなのではと。
ジーン・シモンズという大物を引っ張り出しておきながらも結局ルトガー・ハウアーしか印象に残らないキャスティングではあるものの、スティーヴ・ザーンとコリン・ファースを足しっぱなしにしたようなウィリアム・ラスが扮した、如何にもアメリカ人的な親友ダニーと、如何にもヨーロッパ人的なルトガー・ハウアーとの掛け合いは、短い時間ながらも印象的だったなぁと。妙に妖しげな雰囲気も含め

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友達以上、恋人未満

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posted by たお at 11:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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