2015年05月02日

インターンシップ (The Internship)

監督 ショーン・レヴィ 主演 ヴィンス・ヴォーン
2013年 アメリカ映画 119分 コメディ 採点★★★

IT産業やその周辺を描く映画には、結構な割合でインド人が登場してきますよねぇ。なんか、一昔前のビジネス映画には必ずと言って良いほど日本人が出てきて、大抵酔っ払ってカラオケしてる並にイメージが定着している感じも。確かにインドではIT産業が急成長しているようなんですけど、なんでだろうと調べてみたらカースト制が根底にあるようですねぇ。なんでも、IT産業はまだ出てきて間もないからカースト制度上規定がなくて、最底辺のカーストに属していてもそこで成功するチャンスがあるからだとか。そりゃぁ頑張りますよねぇ。

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【ストーリー】
セールストークだけは抜群の営業マン、ビリーとニックが勤めていた会社が倒産。アナログ人生を歩んできた二人だったが、「これからはデジタルだ!」とばかりにグーグルのインターンになることを決意。全米から集まってきた親子ほど歳の離れた優秀な若者に混じり、正社員となるため奮闘する二人であったが…。

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人生、サイコー!』のヴィンス・ヴォーンが主演/原案/脚本/製作を務め、『リアル・スティール』のショーン・レヴィがメガホンを握った再就職コメディ。
私のようなオッサンにとっては、やってることも社風も何もかにもが理解の範疇を優に超えてるグーグルに、そんなオッサンらが挑んでみちゃうという、ヴィンスお得意の世代ギャップコメディであった本作。若者と時代に抗いながらも互いに刺激し合い共に成長していくという安定したネタを、ショーン・レヴィお得意のそつがない演出で見せてくれるので最後まで安心しっ放しで楽しめた一本。
しかしながら、ギャップの対象となる若者に付け入る隙があれば素直に笑えるのだが、今回は前時代代表の主人公らと若者らとの間に広がる溝が歳と能力を含めあまりに広がっているので、観ていて居た堪れなくなる瞬間も少なくなし。アウェイっぷりが面白いジャンルなんですけど、今回はアウェイ過ぎちゃったかと。なんだかんだ上手く行っちゃう結末も、そのせいあって無理矢理感強し。
ただ、同年代の主人公らがその超アウェイで頑張ってる姿に笑い以外のエネルギーを感じさせたのも確かで、「よっしゃ、頑張って新しいことしてみようかな」と私のようなオッサンをほんのちょっとは奮い立たせる力はあったかと。まぁ、だからといって「オレもアマゾンに挑戦すっか!」とまではなりませんけど。

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主人公コンビに扮したのは『エイリアン バスターズ』のヴィンス・ヴォーンに、『グランド・ブダペスト・ホテル』のオーウェン・ウィルソン。口八丁担当のヴィンスと愛嬌担当のオーウェンという、お馴染みのコンビ芸存分過ぎるほど楽しめたって意味では、期待を全く裏切らない作品だったとも言えるかも。
そして、何と言ってもオーウェンがカワイイ。いつもオーウェンのことをカワイイと言ってはいるんですけど、今回はホント久しぶりにオーウェンらしい可愛げを堪能。頑固でアホちゃんで遊ぶ時は全力で遊ぶくせに、さり気なく努力家でちゃっかり彼女も見つけるしたたかさを兼ね備えた、私が期待するオーウェンを見れたってのは満足極まりなし。隣に引率のヴィンスがいたってのも大きいんでしょうけど、こんなオーウェンをずっと待ってた
そんなオーウェンの相手役には、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』のローズ・バーンが。ひと回り近く歳が下なのにオーウェンが尻尾振って付いて行く感じが、なんかとっても丁度良かったなぁと。
そして、ノンクレジットながらも登場場面を全て自分色に染めちゃった『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』のウィル・フェレル。5分程度の登場時間なのに、ちょっとした短編を観た並みの充実感と疲労感を与えてくれる濃さに悶絶。
あ、そうそう。ヴィンス&オーウェン&フェレルに気が取られて忘れてましたけど、同じくノンクレジットで『アルゴ』のジョン・グッドマンも出てましたよ。

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確かに“人に好かれる”ってのは類稀なる才能だよなぁ

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2015年04月21日

愛と死の間で (Dead Again)

監督 ケネス・ブラナー 主演 ケネス・ブラナー
1991年 アメリカ映画 107分 サスペンス 採点★★★★

年に1・2回は同じ場所の夢を見るんですよねぇ。それも、ある決まった瞬間の夢。ちょっと広めの道路の路肩に車を停めてUターンするだけの夢と、夕暮れの高台から眼下に広がる港町の家々に電灯が点いていく様を見つめるだけの夢。どちらの場所も行った記憶はないんですが、たぶん忘れても全然構わないような小さな出来事が記憶のどっかに引っかかってるのか、子供の頃に見たTVか映画のワンシーンなのかも知れませんねぇ。でも、その夢を見た日は何とも言えない懐かしさと温かさの余韻に包まれて、結構一日ご機嫌だったりも。

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【ストーリー】
記憶と声を失った女性の身元調査を行うこととなった私立探偵のマイク。手掛かりも殆どなく調査が難航する中、女性に対し記憶を遡る逆行催眠治療を実施することに。いつしか心が惹かれあう関係となった二人であったが、逆行催眠により彼らが40年前に起きた殺人事件の被害者と加害者であることが分かり…。

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ゲット・ショーティ』のスコット・フランクによる脚本を、『マイティ・ソー』のケネス・ブラナーが監督/主演を務め映像化した輪廻転生サスペンス。製作総指揮を『3人のゴースト』のシドニー・ポラックが務めているが、シェークスピアばっかの印象あるブラナーに対し「アメリカの現代劇はこんな感じだよ」と指南でもしてたんでしょうかねぇ。
40年前に愛する妻を惨殺し死刑となった夫。彼らの生まれ変わりが現代に出会い運命に導かれるが如く愛し合うも、過去の惨劇までもが繰り返される。そんな、シーンが進む度に「あらま!あらやだ!」と昼ドラ鑑賞中の奥様のような声を上げてしまう、二転三転してまたちょっと捻る物語が魅力の本作。催眠術中の狭い視野の中で自分の正体が判明する場面なんて、その見せ方の巧さに唸る以前に「あらぁー!」と素直に驚きの声を上げちゃいましたし。
公開当時でもちょっと時代からズレた古さを感じる作品では確かにあるが、ヒッチコック熱を拗らせたデ・パルマが撮ったかのような王道演出は、終戦後の煌びやかだが急速に病みつつあるアメリカを舞台にした場面の多い本作に措いて、ピッタリのクラシカルさではと。まぁ、老人が文字通り飛び掛ってくる演出には、「さすがにないよなぁ…」とは思いましたけど。

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また、当時はまだおしどり夫婦として有名だったブラナーと『パイレーツ・ロック』のエマ・トンプソンとの息の合いっぷりも見事で、夫婦がイチャイチャしてるだけでもあるんですが、“運命に抗えない”感は出ていたかと。確かに「アメリカ人ってなんかオーバーで声がでかいよね!」ってイメージだったのか、現代のシーンでも普段の細やかさからは想像できないオーバーアクションに驚かされましたが、舞台が過去になった途端にいつもの二人に戻り輝きだすのは流石だなぁと。
しかしながら、本作で強い印象を残すのは案外主演のふたりではなく、『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』のアンディ・ガルシアと、『ナイト ミュージアム2』のロビン・ウィリアムズだったりも。
色男真っ盛りのアンディ・ガルシアはその色気全開に間男疑惑のジャーナリストを好演し、ロビン・ウィリアムズはスピード全開のコメディ役者から、真面目な役柄もそして更に狂気を孕んだ役柄も出来る役者へとシフトし始めていた時期だけに、道を踏み外すと同時にネジも外れ始めた元精神科医役を熱演。当時はこのロビン・ウィリアムズに大いに驚かされたもので。
その他、現代の場面に時代劇感を強烈に出させていた『ヒア アフター』のデレク・ジャコビや、『ジュラシック・パーク』のウェイン・ナイト、『ラブソングができるまで』のキャンベル・スコットらも印象的な一本で。

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来世では上手くいけばいいですね

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2015年04月03日

エンド・オブ・ウォッチ (End of Watch)

監督 デヴィッド・エアー 主演 ジェイク・ギレンホール
2012年 アメリカ映画 109分 ドラマ 採点★★★★

事件と鉢合わせした刑事が草々に犯人を追跡し、激しい銃撃戦を展開した後に犯人射殺。または、市民からの通報で現場に駆けつけた刑事がその足で捜査を開始し、あれやこれやで犯人射殺。刑事アクションなんかで見慣れた展開なので特に違和感など感じないんですが、実際のところ通報を受けて現場に最初に到着するのも、被害者と最初に接点を持つのも、場合によって犯人に出くわすのも現場の制服警官なんですよねぇ。映画ばっか観てると、そんな当たり前を忘れてしまうことも。

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【ストーリー】
重犯罪多発地帯、ロサンゼルスのサウスセントラル地区。ヒスパニック系ギャングと黒人ギャングが日々激しい抗争を繰り広げるこの地域で巡回パトロールに当たっているのが、白人警官のテイラーとメキシコ系警官のザヴァラ。彼らは固い絆で結ばれた署内でも有数の検挙率を誇る名コンビであったが、ある出来事をきっかけに、メキシコの巨大麻薬カルテルに命を狙われてしまい…。

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サウスセントラルの現実と警官の日常を非常にリアルに描いた、『フェイク シティ ある男のルール』のデヴィッド・エアーによるクライムドラマ。
警察の内部とストリートの実情を描かせたら、他から頭ひとつふたつ抜きん出た才能を発揮するデヴィッド・エアー。同様の題材を繰り返し描いてきたエアー作品の中でも、ある種の到達点にあるのがこの作品。“善と悪”という大まかな枠組みこそあれど、日々の些細な行動や他愛のない会話を緻密に積み重ねることで、彼らは単に法を守る側と破る側に分かれただけである同じ人間だという当たり前の事実を、当たり前だけどなかなか表現が難しい事実を、しっかりと描き切ることに成功している。ピッタリな表現が思いつかないので申し訳ないんですけど、登場人物に“人間感”がちゃんとある。
また、リアルさだけを追求するなら“警察24時”とかを見てれば事足りるのだが、本作にはそのリアルさと同時に荒唐無稽になり過ぎない程度のドラマチックな展開を施してあり、ドキュメンタリーなどでは味わえない映画的ダイナミズムをしっかりと堪能させてくれている
このリアルと映画的ダイナミズムのバランスの絶妙さは映像にも活かされている。“たまたま誰かが撮っていた”っていう主観映像モノってのは、例え傑作であった『クロニクル』のような作品であっても“やり過ぎ感”ってのが拭えないのだが、本作ではその主観映像はあくまで日常や現場の空気感を作り出すためだけに集中され、さり気なくも効率よく第三者視点ってのを挿入しているので、自然さを求めてやり過ぎた結果かえって不自然になるという本末転倒な状況に陥ることなく作品を完成させている。優れた脚本家としての実力に目を奪われがちだったデヴィッド・エアーでしたが、その脚本を映像で見事に表現できる優れた映像作家でもあることを知らしめた一本。

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描いていること自体は非常にシンプル。白人警官テイラーとヒスパニック系警官のザヴァラの絆。警官の妻の苦悩や地域との繋がり、組織としての警察などもちろん様々なことも盛り込まれているが、中心として描かれているのはここ一点。その濃さたるや
友情、家族同然、それどころか夫婦同然と表現しても全然物足りない、互いに命を守り合う関係でしか生まれ得ない濃密な関係。職務が終われば良き夫であり良き恋人である彼らが、いざ現場へと出れば相棒に向けられた銃口の前に躊躇なく立ちはだかり、また躊躇なくその相手に向け弾丸を撃ち込む。戦友同様、この状況だからこその関係性を見事に描ききっていた。
そういう意味では、『ミッション:8ミニッツ』のジェイク・ギレンホールと、『ペントハウス』のマイケル・ペーニャの組み合わせは完璧。どこが現実社会からずれた、そこに上手く居場所を見出すことができない役柄で輝くジェイク・ギレンホールが扮する、理知的だが一般社会で生きる社会人としては何か大切なものが欠けている感じのするテイラーに、マイケル・ペーニャ扮する知性よりも先に相手に対する思いやりで動く圧倒的な包容力を持つザヴァラの、複雑なピースが完璧な形で組合わさったかのようなコンビネーションが絶品。
その他、ラスト近くに見せる警察官の妻である現実に初めて気付いたかのような表情が印象的だった『50/50 フィフティ・フィフティ』のアナ・ケンドリックや、優しさと厳しさを兼ね備えた良き上司の見本のようだった『バトルフロント』のフランク・グリロ、叩き上げで上り詰めた男の強さを感じさせたハイメ・フィッツシモンズなど、画と物語に負けない顔が揃ってたのも嬉しい一本で。ラストに流れる、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ、ゼム・クルックド・ヴァルチャーズのジョシュ・オムによる“Nobody To Love”の艶やかさも非常に好きな部類の一曲でしたし。

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何を生業にするかってのも大事だが、誰と働くのかってのも大事

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2015年04月02日

X-MEN:フューチャー&パスト (X-Men: Days of Future Past)

監督 ブライアン・シンガー 主演 ヒュー・ジャックマン
2014年 アメリカ/イギリス映画 131分 SF 採点★★★★

大小様々な選択の積み重ねってのが、今の自分を作り上げちゃったんですよねぇ。本質まで変わるとは思っていませんが、選択次第によっては全く違う人生を送ってたんだろうと。でもまぁ、それぞれの選択はなんだかんだ自分で選んだことですし、結果に不満や不平はあれど、それと釣り合う程度に楽しいこともあるんでヨシとしようかなぁとも。ちょっと欲しかったけど、やっぱいらないな。ミチビキエンゼル。

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【ストーリー】
2023年。対ミュータント兵器“センチネル”はミュータントばかりか人間をも標的とし、ミュータントと人類は滅亡へと向かっていた。この事態にプロフェッサーXとマグニートーは、発端となった1973年にウルヴァリンの意識をタイムスリップさせ、違う未来を実現せんとするのだが…。

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シリーズの再始動というよりも、「これぞ真の第一作目だ!」と唸ってしまう最高のスタートを切ってみせた『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』の続編。前作では製作を務めた『ワルキューレ』のブライアン・シンガーが、監督として久々にシリーズ復帰を果たしたSFアクション。
前作にあった歴史の裏で暗躍するミュータントという架空史劇の面白さや、クールで混沌とした70年代カルチャーの魅力を継承しつつ、過去と未来という時間軸のみならず、オリジナル三部作までをも股にかけた壮大なスケールが魅力の本作。舞台スケールの大きさと、好き放題やれそうでそうでもないキャラクターの行動制限とのバランスも良し。無機質なのにどこか生々しいセンチネルのデザインや、ミュータントそれぞれの能力を活かしたアクションシーンの迫力と構成も見事。いささか元気がなかったのが気になる所ではありましたが、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のパトリック・スチュワート扮するプロフェッサーと、『ホビット 思いがけない冒険』のイアン・マッケラン扮するマグニートーが手を組んで同じ敵に立ち向かってる様は、やはり興奮せざるを得ない。
オリジナルシリーズを含めて再整理って意味合いが強い分、設定のバランス取りに重点を置いてプロフェッサーXとマグニートーの濃密な時間に対する時間配分が随分と減ってしまったのは残念であるし、変更された未来にいまいちシックリ来なかったのだが、“マイノリティとしてのミュータント”というシンガーらしさがしっかりと出ている上に、そもそも変更が加えられた未来がシンガー的にもシリーズ的にもミソの付いたX-MEN:ファイナル ディシジョン』が中心だったので、まぁいいかと。あれは無かった事にしても特に問題なさそうですし。

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リアル・スティール』のヒュー・ジャックマンがトップにビリングされているが、スター・トレックでいうところの『ジェネレーションズ/STAR TREK』的な“新旧バトンタッチ”の意味合いが強い本作に措いては、ナビゲーターや架け橋って役割であったウルヴァリン。ウルヴァリンファンにとっては物足りない活躍だったのかも知れませんが、キャラクターの特性的にもヒュー・ジャックマンの年齢的にもまだまだ絡んでいける便利な存在なので、その辺はエンドクレジット後にもちょろりと触れられる来年の公開が予定の次回作“X-Men: Apocalypse”か、再来年予定のウルヴァリンの新作に期待しようかと。アダマンチウム合金の件がどうなったのかも興味津々ですし。
で、やはり本作の中心となるのは若きプロフェッサーXとマグニートーの物語。理想を追い続けることこそが強さの源である分、行動が地味になりがちなプロフェッサーに対し、目的のためには妥協をせず手段も選ばないので、やることなすこと派手で大胆なマグニートー。ハト派とタカ派、キング牧師とマルコムX、「旦那にするならプロフェッサーだけど、恋人ならマグニートーかなぁ?」のように、正反対を向いているようでいて本来のゴール地点は同じであった二人の、相思相愛ながらも結ばれることのない悲運のラブストーリー如き物語は見応えあり。70年代顔である『ラストキング・オブ・スコットランド』のジェームズ・マカヴォイの、神経質で脆さも感じさせる雰囲気も良かったが、やはり『プロメテウス』のマイケル・ファスベンダーの、イアン・マッケランと線で繋がる艶っぽさは素晴らしいなぁと。

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そして、その二人の間に立ちこれまで以上に物語上の重要な鍵を握った、『ハンガー・ゲーム』のジェニファー・ローレンスによるミスティークの存在感たるや。立ち位置的にはかなり悪よりだが、気分次第では善にもなるワイルドカード的というか不二子ちゃん的魅力が堪らない。惜しむべきは、ジェニファー・ローレンスにオリジナル版のレベッカ・ローミン=ステイモスや、ジーン・グレイとして本作に再登板する『96時間』のファムケ・ヤンセンのような、抗うことが出来ない悪女の魔性がまだ付いてないってことかと。
また、新旧シリーズの主要キャラが勢揃いしてるってのも見所の本作ですが、中でも“ただ居るだけ”って無造作な扱いが逆に目を引いてしまった『パーフェクト・ストレンジャー』のハル・ベリーや、そうは見えないが実はヒュー・ジャックマンよりもデカイ『ウォーム・ボディーズ』のニコラス・ホルト、興行成績における中国市場の勢いってのを感じさせた『導火線 FLASH POINT』のファン・ビンビンなんかが印象的。
そう言えば、コミック版ではマグニートーの息子であり、映画ではアベンジャーズの一員として『GODZILLA ゴジラ』のアーロン・テイラー=ジョンソンが扮し次回作“Avengers: Age of Ultron”にも登場するクイックシルバー。本作では『キック・アス』でアーロン・テイラー=ジョンソンと共演済のエヴァン・ピーターズが扮してましたが、なんだかんだ言ってスピードこそが全てを制すると考えてる私なので、あの能力は素晴らしいなぁと。ただまぁ、相手の手なんかをソフトタッチで動かしちゃったりしてましたが、あれって凄まじい速度でぶん殴ってるのと同じことなんですよねぇ。

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ハゲんの?オレ、ハゲんの?

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posted by たお at 14:18 | Comment(6) | TrackBack(47) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月27日

アポロ18 (Apollo 18)

監督 ゴンサーロ・ロペス=ガイェゴ 主演 ウォーレン・クリスティー
2011年 アメリカ/カナダ映画 86分 SF 採点★★

実家の自分の部屋から出てきた中学時代の愛読書“人類は地球人だけではなかった”を、最近になってまた読み耽っている私。如何せん元ネタがフェイクドキュメンタリーの傑作『第三の選択』なもんで読み返すとだいぶアレな内容なんですが、アポロやジェミニ計画の宇宙飛行士が目撃した怪異を管制官に伝えるやりとりの緊迫感は、この歳になってもワクワクする仕上がり。矢追純一の文才って、案外侮れないんですねぇ。

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【ストーリー】
公式には17号で終了していたはずのアポロ計画であったが、偶然見つかった映像には存在しないはずのアポロ18号によるミッションが映っており…。

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オープン・グレイヴ 感染』のゴンサーロ・ロペス=ガイェゴによるSFホラー風味のフェイクドキュメンタリー。『ナイト・ウォッチ/NOCHNOI DOZOR』のティムール・ベクマンベトフが製作を務め、主演には『沈黙の宿命 TRUE JUSTICE PART1』のウォーレン・クリスティーが。
“極秘裏にアポロ18号がぁ!”“月になんかいる!”“国家による隠蔽!”と大好物がてんこ盛りなのにも関わらず、ビックリするほど面白くない。満腹の時でさえアンコ餅の3つや4つ軽く平らげられるのに、この作品はさっぱり喉を通らない。ファウンド・フッテージの形式は臨場感や緊迫感を高めるってよりは低予算っぷりを際立たせるのみで、ドキュメンタリー風味で陰謀の全体像を見せていないとは言っても“何かいた→死んだ”だけで終わる物語はお粗末極まりなし。そもそもドキュメンタリーにしろモキュメンタリーにしろ、映像素材を組み立ててテーマなり主張なり物語を形成しなきゃならないのに、本作はホントただただ「なんかいたねー、怖いねー」って言ってるだけ
また、計画する側がそこに何かがいることを知って送り出したのかどうかすら定かじゃない。たぶん知ってるっぽいんですけど、それにしては「感染したから戻ってこなくていいからネ」はあまりに乱暴。「一体何がしたいの?」と。細菌だか月ヤドカリだか分かりませんが、宇宙飛行士がどうのこうのよりそっちを持ち帰る方が大事なんじゃないのか?
まぁ、不満だらけの作品ではありましたけど、きっとこの後なんとかして地球に帰還した宇宙飛行士が、細菌により顔をドロドロに溶かしながら田舎町で数人殺して歩くんだろうなぁ、ってなちょっと楽しい妄想も出来たので★一つオマケで。

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月の影が蟹に見える国もありますしねぇ

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タグ:★★ SF
posted by たお at 11:32 | Comment(2) | TrackBack(4) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月04日

オープン・グレイヴ 感染 (Open Grave)

監督 ゴンサーロ・ロペス=ガイェゴ 主演 シャールト・コプリー
2013年 アメリカ映画 102分 サスペンス 採点★★

アイディアって、ひらめいた瞬間とか概要を短くまとめた状態の時は輝いてますよねぇ。「オレ天才じゃね?」と夜中に一人部屋で小躍りするほどに。ただまぁ、会議の場などの為にそのアイディアを文章化していくと、もうみるみるその輝きが失せて行くんですよねぇ。と言うか、二番煎じ三番煎じどころじゃない使い古しであることに気づいちゃう。

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【ストーリー】
夥しい数の死体が山積みされた穴の中で目覚めた男。記憶を失い名前もこの場所も思い出せない男を、一人のアジア人女性が助けの手を差し伸べる。彼女を追い森の奥の一軒家にたどり着いた男は、そこで彼同様記憶を失っている4人の男女と出会う。果たして彼らの正体は…。

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異常な状況下に置かれた人々の姿を描くサスペンススリラー。『アポロ18』のゴンサーロ・ロペス=ガイェゴがメガホンを握り、『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』『第9地区』のシャールト・コプリー、『ワルキューレ』のトーマス・クレッチマン、『ドラゴン・プロジェクト』のジョシー・ホーらが出演。
記憶を失った登場人物たち、至る所に括り付けられた死体、狂人と化し襲い来る住人ら。導入部は非常に見事。国際色豊かなキャスティングが土地の特定を拒み、ミステリー度合いを更に増させている。この状況を作り上げた加害者なのか、はたまた被害者なのかすら分からない『unknown アンノウン』にも似た設定はその力強い絵力もありグイグイと観る者を惹きつけるのだが、残念ながら面白いのはここまで
邦題が豪快にネタバレをしている“感染”の存在が明らかになると、あとはもう『28日後…』や雑多のゾンビ映画の別アングル版と成り下がり、ミステリーの解明も登場人物のフラッシュバックに頼るのみで観客はただただ置き去りに。力強い導入部、テンションを下げない演出力、余韻を残す結末と良い部分も多いだけに、肝心のストーリー部分での失速が非常に痛かった何かと惜しい一本で。

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忘れちゃいけないことに限って忘れる

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posted by たお at 17:28 | Comment(0) | TrackBack(5) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月02日

オール・ユー・ニード・イズ・キル (Edge of Tomorrow)

監督 ダグ・ライマン 主演 トム・クルーズ
2014年 アメリカ/オーストラリア映画 113分 SF 採点★★★

難易度が高めな上にミスってもリセット出来ず、コンティニューがないくせに残機が一機。ゲームだったらこれ以上ない鬼畜さですよねぇ、人生って。クリア出来る気が全くしない。ただその一方で、責任やら何やらが付きまとうとは言え自由度は抜群に高いですし、工夫次第では裏技もたくさん見つかり、シングルでもマルチでもプレイ出来、なんと言っても膨大な種類のマルチエンディングが控えてる。やっぱり魅力的ですねぇ。

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【ストーリー】
圧倒的な攻撃力を有する謎の侵略生命体“ギタイ”によって滅亡寸前まで追いやられた人類。そんな中、司令官の怒りを買ってしまったことでフランスの最前線へと送られてしまった広報担当のケイジ少佐は、戦地であえなくその命を落とす。しかし、次の瞬間ケイジが目を覚ますと出撃の前日へと戻っていた。同じ一日を何度も繰り返していく内に戦闘力を高めていくケイジは、伝説的女戦士リタと出会い…。

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桜坂洋による原作を『ボーン・アイデンティティー』のダグ・ライマンが映像化した、タイムループを題材とするSFアクション。脚本を手掛けたのは、『ワルキューレ』『アウトロー』とトムちんとの仕事も多いクリストファー・マッカリー。それにしてもヒドイ邦題だなぁと思ってたら、原作自体がこのタイトルだったんですねぇ。
死んで覚えるゲームってありますよねぇ。むかし私がドハマリした“アウターワールド”なんかもそうだったんですが、何も分からないまま右に曲がってみたら瞬時に死に、立ち止まってたら立ち止まってたで死ぬ。それを繰り返している内に、死なないルートや敵攻略を見出していくってやつ。本作がまさにそれ。しかも、途中セーブやチェックポイントがないから死んだら強制的に1-1から再スタートで、会話などのムービーシーンがスキップ出来ない過酷仕様っていう。ゲームなら即日ゲオにでも売りに行けば済むが、如何せん自分がプレーヤーそのものだからそうもいかない。
もちろんそんなことを描いた作品ではないし、それなりにテーマや物語っぽいのも添えられてはいるが、様々な作品で見聞きした事のあるモチーフが雑めに継ぎ接ぎされ、それをスピード感やら迫力やらでウヤムヤにするその様は非常にゲーム内世界的でもあったため、単純にそう観ることで楽しめた一本で。

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主人公のケイジに扮するのは、『オブリビオン』『ロック・オブ・エイジズ』のトム・クルーズ。序盤こそがに股でヨタヨタ歩くはヘルメットは曲がってるはで何とも格好悪いトムちんでしたが、レベルアップをすると戦闘力と共にハンサム力も上がってくる、いつも通りのトムちんが観れたので安心。レベルアップ時のパラメーターを、ハンサムに若干多めに割り振ってる感じでしたし。
共演には正直得意なタイプの女優ではないんですが、好きな作品でよく顔を見るので作品選びの基準の一人ともなってる『憧れのウェディング・ベル』『ザ・マペッツ』のエミリー・ブラント、『フレイルティー/妄執』『マイティ・ジョー』のビル・パクストン、『デンジャラス・ラン』『グリーン・ゾーン』のブレンダン・グリーソンらが。
その他、しばらく見ない内になんかクリント・ハワードみたいになっちゃってたガレージ・デイズ』のキック・ガリーや、『プロポジション -血の誓約-』のノア・テイラー、初見ではどこに出てるのかさっぱり分からなかったが、隈なく探したら最後のシーンでトムちんの隣で微笑んでるだけの役柄だった、“SHERLOCK”のアイリーン・アドラーことララ・パルヴァーらも出演。

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課金した

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2014年11月30日

オブリビオン (Oblivion)

監督 ジョセフ・コシンスキー 主演 トム・クルーズ
2013年 アメリカ映画 124分 SF 採点★★★★

オッサンだからでしょ?」と言われればそれまでなんですが、どうにも昨今主流のCGの嵐映画ってのが苦手な私。ロケーション撮影に付きまとう様々な問題もクリア出来るし、イマジネーションをそのまま映像化出来るってメリットも分かるんですが、個人的には手品をアニメで観ているかのような感じでイマイチ感動も没入感も味わえず。「こんな所があるんだ!スゲェ!」「そんな所に役者がいるんだ!スゲェ!」っていう基本的な驚きと現実感に、映画ならではの非現実が混ざり合っているのがやっぱり好きなんですよねぇ。

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【ストーリー】
2077年。地球はエイリアンの攻撃により壊滅状態となり、数少ない生存者たちは他の惑星へと移住して行った。死の星となった地球で、無人偵察機ドローンのメンテナンスとパトロールを行うジャックとヴィクトリアの二人。そんなある日、未確認の宇宙船が墜落し船内から一人の美女を救出する。しかし、彼女との出会いがきっかけでジャックの消されていた記憶が蘇り始め…。

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トロン:レガシー』のジョセフ・コシンスキーが手がけたグラフィックノベルを自ら映画化したSFアクション。
圧巻のビジュアル。生命の息吹と死の静寂が共存するアイスランドの絶景に混ざりこむニューヨークの破片が、言葉にせずともそこに至るまでを雄弁に物語っている。この風景がなければ、異星人来襲→月破壊→天変地異多発→人類壊滅っていうちょいと吹っ飛んだ舞台設定に説得力は生まれなかったのでは。
また、最小限の登場人物による限られた視点が生み出すトリックと、それらが二転三転して仕舞いには大どんでん返しをする60年〜70年代風王道SF的な展開に「久々にSF観た!」と実感させられた本作。機能的だが温かみの感じられない小道具の数々や、M83によるどこか懐かしみの感じるアンビエントなサウンドも然り。
それにしても、『トロン:レガシー』を観る限り映像に走って物語を描けない監督とばかり思っていたジョセフ・コシンスキー監督ですけど、映像で雄弁に語ったかと思えば短いセリフのみで背景を浮かび上がらせたり、異星人の宇宙船に吸い込まれるシーンのようにその後をブツりと切ることで絶望的なまでの恐怖を描いたりと、本作ではそのストーリーテリングの手腕を如何なく発揮。「こりゃぁ次回作も期待できるな!」と思ったんですけど、どうやら次もまたトロンみたいですねぇ。ちょっと微妙…

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主人公のジャックに扮したのは、『ロック・オブ・エイジズ』『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』のトム・クルーズ。ハンサムの達人。以前『マイノリティ・リポート』でも未来ハンサムに挑戦していましたが、描き込まれた絵の中ではそのハンサムがいまいち映えない自然派のトムちんなので観る前は幾分不安だったんですが、先に挙げた通り本作の舞台は荒々しいまでの自然。トムちんのハンサム芸が映えに映えまくる。やっぱりトムちんにはロケが合う。
ちょいとネタバレにはなるんですが、本作では“トムちんvsトムちん”というなんともヴァンダミングな見せ場が。そこらの役者がこれをやっちゃうと、「エゴが炸裂したんですねぇ…」と冷めちゃうところなんですが、ハンサム道の追求者トムちんは流石に違う。劇中語られるように、やる気になれば何千人ものトムちんが大挙してスクリーンをハンサムで埋め尽くす阿鼻叫喚な映像も撮れるのに、敢えてそこはストーリー上最低限必要な二人に抑えるトムちん。きっとこれがハンサム道の掟“一劇一ハンサム”なんでしょうねぇ。そんな掟があるかどうかは定かじゃありませんが。

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姿を隠していても声を出せばすぐ誰なのかバレる『ダークナイト ライジング』『ザ・バッド』のモーガン・フリーマンを筆頭に、女性的な柔らかみが俄然増した『センチュリオン』のオルガ・キュリレンコ、吸い込まれそうな瞳が印象的だった『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のアンドレア・ライズブローなど、トムちんを囲む顔ぶれも魅力的だった本作。
その他にも、“北欧ハンサム”で検索するとトップで出てきそうな『MAMA』のニコライ・コスター=ワルドーや、『イコライザー』のメリッサ・レオ、せっかくの身体能力がさっぱり活かされず残念だった『デス・プルーフ in グラインドハウス』のゾーイ・ベルらも印象的。
しかしながら、一番目を惹いたのはやっぱり無人偵察機“ドローン”で。様々な作品からネタを集めてきたかのようなオリジナリティの欠片もないメカではあるんですが、敵と見方の判断の仕方がイマイチ信用ならなかったり、やたらと「ヴゥヴゥ♪」鳴く様がなんかカワイイ。『ロボコップ』のED-209的な可愛さというか。ちょっと一匹欲しいなぁとも思いましたが、いつ敵認定されて殺されるか分からないのでやっぱりいらないや。

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迂闊に背中を見せられないが、リード付けて散歩に連れてきたい

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posted by たお at 10:45 | Comment(6) | TrackBack(51) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月15日

イコライザー (The Equalizer)

監督 アントワーン・フークア 主演 デンゼル・ワシントン
2014年 アメリカ映画 132分 アクション 採点★★★★

セガールって凄いよなぁ。アクション映画の主人公の“強さ”ってのに説得力を持たせるのには、その役者のこれまでのキャリアであったり筋肉量であったり演技力だったりするのが常ですよねぇ。ところがどっこいセガールは違う。薄毛なで肩のどこの馬の骨かも分からない中年のオッサンの分際で、いきなりアクションスターデビュー。一本限りで消えるんであれば“ハリウッドの気の迷い”で済むんですが、その後も虫の居所の悪いセガールに悪党が散々な目に遭わされるって作品を延々と作り続け、今では“セガール”としか分類しようのないジャンルを確立。いやぁ、ホント凄いなぁセガールは。

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【ストーリー】
ロバート・マッコールはホームセンターで働く気の良い男。眠れぬ夜を近所のカフェで読書で過ごし、顔見知りの少女娼婦テリーとの短い会話を楽しんでいた。そんなある日、テリーが元締めのロシアンマフィアによって暴行され重傷を負ったことを知る。怒りを爆発させたマッコールは自ら封印していた過去とその技を解き、単身ロシアンマフィアに戦いを挑むのだが…。

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80年代に放映されていた同名のTVシリーズ(邦題は“ザ・シークレット・ハンター”)を、『クロッシング』『ザ・シューター/極大射程』のアントワーン・フークアが映画化したアクション。主演のデンゼル・ワシントンも製作者の一人に。
なにこれ?なにライバックなのこの人?
ただただこの一言が鑑賞中頭の中をグルグルしてしまっていた本作。重厚かつ丁寧な演出にキメまくるカメラワーク、そのビシリとキマった舞台をバックに心底気持ちよさそうに無敵のヒーローを演じるデンゼル。その重厚感とデンゼルの存在感によって何か深い意味を持つ作品に見えてしまいそうだが、と言うかあるのかも知れないが、見れば見るほどこれはセガール。それも非常に完成度の高いやつ。もうそうにしか見えない。デンゼルの後頭部にポニーテールすら見えてくる
そうなると主人公の敵に対する仕打ちが嫌がらせ以外の何物でもないことにも、そこらのスラッシャーホラーより捻りの利いた過剰なまでの殺しっぷりにも納得がいく。ちょいとフワっとしていた復帰の動機も、見せ掛けの平穏さに嫌気が差してて虫の居所がたまたま悪かっただけのように思えてくるし、あれだけの逸材が好き勝手暴れてるのにCIAが放っておいてるのも納得が。だって、セガール映画はセガールが絶対神ですから。下手にCIAが近づこうものなら、きっと鬼の形相で追い回すでしょうし。
スクリーンからにじみ出る緊張感と重々しさからどうやってもわだかまりが残りそうな展開を、びっくりするくらいスパーンと痛快に締めくくった本作。シリーズ作を持たないデンゼルではありますが、こればかりは是非ともシリーズ化してもらいたいと切に願った一本で。

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ロバート・ライバックマッコールに扮するは、『デンジャラス・ラン』『ザ・ウォーカー』とここ最近アクションずいてるデンゼル・ワシントン。善人/悪人両方向に対し見事な表現力を誇る彼だけに、心の奥底にダークマンを飼っている主人公を好演。ってか、もうとにかくカッコいい。すべてのアクションシーンのみならず、動作の一つ一つ、表情の一つ一つがビシリとキマってる。なんでしょ?最近のリーアム・ニーソンもそうなんですが、還暦周辺ってのが一番脂が乗ってるんでしょうかねぇ?どうりで私はまだまだヒヨっこなわけだと無理やり納得。
その他、よりムッチムチとなりその肩幅に一層凶暴さが増したモールス』のクロエ・グレース・モレッツや、その歯が立ってないぷりにだんだん可哀相にすらなってきた『イーオン・フラックス』マートン・ソーカスと『グリーン・ホーネット』のデヴィッド・ハーパー、『ザ・ファイター』のメリッサ・レオに、ただノホホンとしていただけだったがそれがピッタリはまってた『THE JUON/呪怨』のビル・プルマンらが共演。また、娼婦役の一人に『ラブソングができるまで』のヘイリー・ベネットが。あらあら、ずいぶんと育ちましたこと。

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ホームセンターじゃ誰にも負けない

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posted by たお at 07:37 | Comment(6) | TrackBack(26) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月13日

エクスペンダブルズ3 ワールドミッション (The Expendables 3)

監督 パトリック・ヒューズ 主演 シルヴェスター・スタローン
2014年 アメリカ/フランス映画 126分 アクション 採点★★★

あらあらまぁまぁ。気がついたら前の記事から余裕で一年半ばかし経過しちゃいましたねぇ。「そろそろ書こうっと!」と「まーた今度にしようっと!」を繰り返しているだけの一年半だったんで特に変化も報告もないサブタレでございますが、次の一年半後までの間には必ず何かもう一本くらいはレビューを書こうと緩く決心をいたしておりますので、よろしくお願いいたします。頑張れ、オレ!

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【ストーリー】
バーニー・ロス率いる最強消耗品軍団“エクスペンダブルズ”の次なる任務は、かつての創設メンバーであり今は大物武器商人となったストーンバンクスの確保。この最大の敵を前に苦戦を強いられてしまったバーニーはもう若くはない仲間達の身を案じ、身の程知らずの若手を集め片道切符の戦いへと挑むのだったが…。

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2年に一度の筋肉祭り映画“エクスペンダブルズ”の第三弾。カンガルー・ウエスタンの快作『レッド・ヒル』で注目されたパトリック・ヒューズがメガホンを。
90年代であれば夢のまた夢でしかありえなかった豪華筋肉の揃い踏みのみならず、その筋肉らがガツンゴツンとひたすらぶつかり合う、まるで無駄な味付け無用の巨大骨付き肉にかぶりつくかの如き贅沢感が堪らないこのシリーズ。今回もウェズリー・スナイプスによる“番長タイム”が繰り広げられるオープニングから重量感溢れるアクションが連続し、もちろんその合間合間には洗練を拒絶し続ける不良筋肉中年らによる筋肉無駄話が楽しめる男子専門サロン的というか床屋に置いてある、そこでしか読まない漫画本を読んでいるかのような面白さも、だいぶ薄まってしまったとはいえ辛うじて継承。本来ならこれだけで「よーし、あと2年頑張って待ち続けよっ!」となるのだが、今回はどうも何かが違う。なんと言うか、華々しさがない

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“新旧アクションスター競演”の“新”の部分が既にベテランってのもあってか、今回はプロボクサーのヴィクター・オルティスや女性総合格闘家のロンダ・ラウジー、『インモータルズ -神々の戦い-』のケラン・ラッツら若手が大々的に起用されているのだが、残念ながら彼らが出ている間はお楽しみのスターらが見れなくなってしまう弊害しかなく、物語上に於いても“デジタルvsアナログ”や「やっぱ若さだよね!」も「もっと肉食え!」も感じられないなんとも中途半端な扱いが残念。
まぁ確かに前作『エクスペンダブルズ2』がお祭りの部分が突出し過ぎていた分もう一度映画としての土台を固めたかったのかも知れませんが、そもそもこのシリーズはベテラン筋肉スター勢揃いを堪能するこのお正月特番的お祭り作品なんだから、今回のこの若手枠ってのは別にいらなかったんじゃないのかなぁと。まぁ若手ばかりの責任ってよりは、ウェズリーやメルギブのような問題を抱えた大物をスクリーンに復帰させる互助会の臭いが強く出てしまったってのも大きいんですけど。
また、前2作以上に施されている感が強かったCG処理も絵面を汚くしているだけで、これもまた「あぁ、予算のほとんどが互助会に消えたのねぇ」と思わせる残念さに繋がる結果と。

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ただまぁ、顔ぶれだけはやっぱり豪勢。脱税ネタで登場する『ゲーム・オブ・デス』のウェズリー・スナイプスに、やっぱり小悪党が似合う『キック・オーバー』のメル・ギブソンといった問題児組に、久しぶりに見たせいかすっかりご老人となっててビックリした『カウボーイ&エイリアン』のハリソン・フォードはギャラで揉めたブルース・ウィリスに代わって登場。また、コミックリリーフなのになんかずっと怖かったマチェーテ・キルズ』のアントニオ・バンデラスなどゲスト勢は流石の顔ぶれ。当然レギュラーゲストと化した『コマンドー』のアーノルド・シュワルツェネッガーも登場。今回も意外と出番多し。
リベンジ・マッチ』のシルヴェスター・スタローンを筆頭に、『バトルフロント』のジェイソン・ステイサム、今回はコミックリリーフが別にいたので出番が少なめのドルフ・ラングレン、ウェズリーに気を利かせた形になったテリー・クルーズ、敵方に目立つ格闘家がいないんだからロンダ・ラウジーと一戦交えて欲しかったランディ・クートゥア、前回より更に登場時間が減った分、変な見せ場を最後に持ってきた『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』のジェット・リーらレギュラー陣もゲストの豪華さに全く負けておらず。
楽しみにしていた分不満も大きかったが、とりあえず観たいものは観れましたし、スタローンの仕上がりっぷりは相変わらず驚かされるばかりでしたので採点は甘めに。

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次はチャーリー・シーンあたりを救いに

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posted by たお at 12:28 | Comment(10) | TrackBack(30) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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