2006年12月30日

アルティメット (Banlieue 13)

監督 ピエール・モレル 主演 シリル・ラファエリ
2004年 フランス映画 85分 アクション 採点★★★

何度も書くようではあるが、映画を楽しむポイントは決して一つではない。感動の物語を楽しむのもよし、情け容赦ない恐怖を楽しむのもよし。それこそ、景色だけ、美女だけ、筋肉だけを楽しむのでもよい。何を楽しむべき映画なのかを間違わなければいいだけの話である。『私の頭の中のなんとか』みたいな映画に、躍動感溢れる大胸筋の活躍を期待する方が悪い。ただ問題は、その楽しみ方に優劣が付けられがちな事で。「アクションやホラーよりも泣けるドラマの方が格が上」のような認識がまかり通ってしまっている。極端に言えば、「デ・ニーロの方がトニー・ジャーより演技が上手いから偉い」と言う意見は通っても、「トニー・ジャーの方がデ・ニーロより高く飛べるから偉い」とはならないようなもので。なんというか、寿司屋と大工を比べるような無意味さなんですが。

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【ストーリー】
2010年、パリ。治安の悪化により周囲を高い壁で封じ込められた13地区で育ったレイトは、持ち前の正義感で街のボス、タハに立ち向かうが、逆に警察に捕まってしまい、妹ローラもタハに連れ去られてしまう。半年後、輸送中の中性子爆弾がタハに強奪され13地区にあることを知った政府は、武術の達人である捜査官ダミアンに、投獄中のレイトを案内人に13地区への潜入を命じる。爆発まで時間は残り僅か。しかし、この事件にはある陰謀が隠されていた。

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自分が本当に観たい映画は後輩に作らせるベッソンが手掛ける、身体のバネ一本勝負の作品。
かねてから子飼いにしていた『トランスポーター2』などのスタントマン、シリル・ラファエリと、『クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち』のスタントマン、ダヴィッド・ベルらがあんまりにも凄いので、「一本作っちゃおうよぅ。この間観た『マッハ!』だってそんな映画なんだからぁ」とばかりに完成させた一本。彼らの身体能力を存分に発揮させられる、余計なことに頭を使わせない程よくスカスカの脚本を用意させたらベッソンはピカイチ。毎週欠かさず“ショービズ・カウントダウン”を見ているであろう新しい物好きのベッソンらしく、「『要塞警察』が『アサルト13』にリメイクされるんだって!これからは、ジョン・カーペンターなんだって!」と、『要塞警察』と『ニューヨーク1997』を土台に…というか、核ミサイル発射ボタンを持つ大統領をより明確に中性子爆弾に変え『パリ2010』として、お気に入りのコクヨ自由帳に脚本を書き上げたベッソン。もちろん神さまブルース・リーへの敬意も、僅かではあるが忘れてはいない。
そんな彼らにとって非常に動きやすい舞台設定の中、「なんでわざわざ現場で起爆装置を入れなきゃなんないの?」などという設定の不満なんて吹き飛ばす、常識外れの肉体技を繰り広げる彼らは素晴らしい。物語の展開以上に素早い彼らの動きに、感嘆の声をあげるばかり。しかしながら、彼らの技の撮り方があまりにも淡白。如何に凄いことをやっているのか明確にわかるワンカットでのロングショットが思いのほか少なく、妙な所でカット割りが入ってしまうのは興醒め甚だしい。また、“クドイのはカッコ悪い”とでも思ったのか、どんなに凄いアクションでも、スローなどで繰り返し「これでもか!」と見せることもなく、非常にアッサリしているのも食い足りない印象を与えてしまっている。

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マーシャルアーツのシリル・ラファエリに、『007/カジノ・ロワイヤル』で度肝を抜くアクションを披露したセバスチャン・フォーカンらと共に“パルクール”を創設したダヴィッド・ベル。それぞれの個性を活かしたアクションが見ものなのだが、特にダヴィッド・ベルが素晴らしい。彼の技もさることながら、ルックス、身体つきのどれをとっても非常にスクリーン映えのする役者だ。もちろん“泣かせの演技”など期待は出来ないが、“普段は見れないものを見せる”という映画の基本にのっとって考えれば、彼の肉体と技は充分に木戸銭を払って観る価値がある。どんなに偉そうなことを言ったって、「ほぇぇ!」と驚かせれば映画の勝ちなのだから。
どんな言語のどんな世代の人間にでも、映画の面白さをストレートに伝えることが出来るのは体の動きであることを証明したバスター・キートンやハロルド・ロイドらが蒔いた種が、ジャッキー・チェンを経由してフランスやタイで発芽したと考えるのは大袈裟かもしれないが、CGで塗り固められた背景の中にただ俳優が突っ立っているだけのアクション全盛の時代には、こういう映画は非常に快感でありますね。

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“バカになる”とはこういうこと

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2006年12月20日

硫黄島からの手紙 (Letters From Iwo Jima)

監督 クリント・イーストウッド 主演 渡辺謙
2006年 アメリカ映画 141分 戦争 採点★★★

仕事や日常生活を送る中で常に感じることなのだが、ほんの少し立ち位置を変えるだけでも、物事が大きく違って見えるもの。しかし、そのちょっとだけ違う見方、考え方、取り組み方というのは、それが見えない人にとっては到底受け入れがたいらしく、慣例やその人個人の常識をもって徹底抗戦されることもしばしば。その慣例によって、物事が悪化の一途を辿っているのにも関わらずだ。つくづく感じるのだが、“知らない”というのはある意味幸せなことなのだなぁと羨ましくも。

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【ストーリー】
1944年6月。悪化の一途を辿る戦況の中、日本固有の国土として最重要拠点であった硫黄島に新たな指揮官、栗林中将がやってくる。日本本土攻撃の拠点とするために硫黄島へ圧倒的な兵力で向かってくるアメリカ軍を迎え撃つべく、より合理的な作戦と体勢を整えようとする栗林だったが、古来のやり方に固執する古参将校たちの反発も大きく…。

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アメリカ側の視点から描いた『父親たちの星条旗』に続き、日本側の視点で硫黄島の戦いを描いた一本。先の『父親たちの星条旗』同様、本作においてもイーストウッドの演出はいたってドライで、そこには「戦争って悲惨だね。だから戦争反対!」といった安易なメッセージ性は垣間見られない。日米どちらかに肩入れしたバランスを欠いた描写もない。そこに描かれているのは、日本人のメンタリティと、如何に日本軍は負けていったのかという史実の再現である。進歩的な考えの持ち主である栗林中将を主人公に据える事によってより一層浮き彫りとなる、面子としきたりに拘り、“根性”と“大和魂”にすがり、追い詰められたら“散る”ことを潔しとする日本人の精神論がまざまざと映し出される。それも、最後の最後まで戦い抜いた上で“散る”のではなく、早い段階で“散る”ことこそ潔しとする姿をだ。その日本人のメンタリティとアメリカの国力を熟知し、日米開戦とは即ち敗戦を意味することを理解していた栗林の苦悩は計り知れないものであったのだろう。しかし、硫黄島を守る一日の重要性をどれほど知っていようが、如何に優秀な人物であろうが、一人の力では運命とその大きな流れに抗うことが出来ない無情さを、イーストウッドは見事に描ききっている。
物語が整理しきれておらず混沌としていた『父親たちの星条旗』と比べれば、一本の筋に沿って展開する本作は非常に入り込み易く、手紙を効果的に使った心情表現などどれを採っても先の一本より完成度は高い。しかしながら、あまりにドライ。無情さを客観的に描くのはここしばらく続いているイーストウッドの手法ではあるのだが、本作の題材を考えると、あまりに乾ききっている印象が拭えない。完成度が高い本作だからこそ、その冷たさが大きな不満を生んでいるのも事実。

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参加したことであたかも優勝が決まったかのような騒ぎっぷりだったワールドカップ同様、日本人俳優の活躍が褒め称えられている本作。確かに渡辺謙をはじめ彼ら俳優陣は非常に魅力的であったし、作品自体近年稀に見る面白さを持った“日本映画”であった。しかしながら、日本を舞台に日本人俳優を使って日本の原作を映画化したとはいえ、本作はれっきとしたアメリカ映画。“製作委員会”と称した責任逃れ集団が作り上げる日本映画ではないのだ。そこが悔しい。「ハリウッド並の金があれば、俺だってあれくらいの余裕で作れるよ」と豪語してきた日本映画人にとって、もう言い訳が通用しない物を突きつけられたとも言える。確かに23億円ほどの予算が掛かった作品ではあるが、予算以前の問題である表現力、物語の構成力に格段の差を見させられた感が強い。まるで日本映画界の現状を映し出したかのような本作であったが、この作品以降、日本映画がどのような反撃に出るのかが楽しみでもある。まぁ、別の言い訳を見つけそうな気もしますが

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その人となりだけはヒシヒシと伝わるのですが

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2006年12月15日

エンター・ザ・フェニックス (Enter The Phoenix)

監督 スティーヴン・フォン 主演 ダニエル・ウー
2004年 香港映画 104分 コメディ 採点★★★

当たり前のことなんですが、スターだって歳をとるんですよねぇ。いつまでも新作を出し続ける気になってても、よくよく考えれば大好きなイーストウッドの新作もあと何本観れるんだろうと寂しくも。大好きなスター達がいなくなってしまった後の映画ってのも想像し難いんですが、スター本人がそのことを考え、後継者育成に躍起になってる場合もあるようで。

【ストーリー】
香港裏社会の大ボスが亡くなってしまい、組織はその遺言に従い親元を離れてタイで暮らしていた息子を新しいボスとして迎えることに。ところがタイへ迎えに行った子分が、息子ジョージとルームメイトのサムを勘違い。孤児でボスになることが夢だったサムは大喜びで、一方ジョージにとっても、自分がゲイであることで父親に疎まれていたと感じていたため組織に関心がなく、好都合だとサムとともに香港へ。

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ジャッキー・チェン製作総指揮の下、錚々たる顔ぶれが勢揃いしたアクションコメディ。映画の楽しさがギューギューに詰まっていた『ドラゴン・プロジェクト』のスティーヴ・フォン初監督作。
ドラゴン・プロジェクト』同様、父子関係をメインのテーマに、大らか且つ大雑把なゲイネタを詰め込み、ちょっとでも隙があればアクションとギャグをすかさず挟む完全娯楽作品。とはいえ、くだらないギャグの数々をケタケタ笑っていると、突如ホロリとするいい話を挟んでたりする不意打ちもあるので、全く油断できない出来となっている。初監督でありジャッキーが製作総指揮ということもあってか、ジャッキー色が前面に出た形にはなってしまっているが、「香港の娯楽映画はオレが引っ張る!」という強い心意気がヒシヒシと伝わる快作。

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オープニングにドドーンとアップで登場するユン・ピョウ。「おぉ!久々に大活躍か!?」と思いきや、後は遺影での参加で。25年経っても全く顔が変わらないボス役であったものの、ユン・ピョウならありうると納得も。
ゲイ役が見事にはまっているダニエル・ウー、ジャッキーの姿がダブってしまうスティーヴ・フォンに、ニコラス・ツェーやサム・リーら“次期ジャッキー候補生”が勢揃いの本作。なんか、新日のヤングライオンを見ているかのようです。それぞれが持ち味を生かしたキャラクターを演じているものの、カレン・モクの箱入り娘役はちょっとばかり…。まぁそんな些細な不満も、ラストにまるで「ボクが作りましたぁ」と言わんばかりの笑顔で登場する御大の姿に、帳消しにされるんですが。『ドラゴン・プロジェクト』のアンソニー・ウォンのような、強烈なまでの存在感を放つキャラクターがいないのは残念でもあるが、満足感は決して低くはない。

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ジャッキーさんの跡は我々が

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2006年12月13日

ウィズダム/夢のかけら (Wisdom)

監督 エミリオ・エステヴェス 主演 エミリオ・エステヴェス
1986年 アメリカ映画 109分 ドラマ 採点★★★★

今月はエミリオ強化月間!」と言ってみたものの、話題作のみに占拠されたビデオ屋では、隈なく探してもなかなか見つかることのないエミリオ作品。まぁ、ブックオフとか行けば、必ずと言っていいほど『フリージャック』は見つかるんですけどねぇ。

【ストーリー】
何不自由ない家庭に育ちながら、高校時代に自動車泥棒を働いてしまったジョン・ウィズダム。その前科のせいで満足に仕事にも就けない現状と社会に苛立ちと怒りを募らせるジョンは、恋人のカレンと共に銀行強盗を行う。金は奪わず、貧しいものを苦しめている貸付証書を燃やす彼らの行動に民衆は沸き立つが、一つの殺人事件が全てを一転させてしまう。

wis5.jpgそんな名前と顔は知られているものの、作品に恵まれているとは言い難い現状に対する苛立ちか、次々とスターダムへ駆け上がっていくブラットパック勢を見つめているだけの焦りからか、当時まだ23歳だったエミリオ自ら脚本・監督を手掛けた意欲作。これは商業映画では最年少の記録だとか。
“エミリオ版『俺たちに明日はない』”の一言でまとめられ、然程高い評価も得られなかった本作。確かに展開はありきたりで、主人公らの行動はあまりに短絡的である。しかしその“短絡さ”は決して脚本の稚拙さからくるものではなく、視野の狭い若者ならではの行動を描いた結果である。戦争で人を殺せば英雄となるが、車を盗めば犯罪者として一生蔑まれてしまうことに対する矛盾と疑問、夢の叶う事がなく貧乏人がさらに仕打ちを食らう社会への怒りを感じつつも、どうすればいいかも、その問題の先にあるものも見えない若者の姿が非常によく描かれている。恋人を残し、ひとり警察隊の下へ向かう主人公の行動も、大人ならば取り残された方が酷い目に遭うことが分かっているのだが、自分ひとりの命で全てが解決できると、先の見えない過信をしがちな若者らしさに溢れている。「行動が短絡な理由はわかった。じゃぁ、物語がありきたりなのはなんでだい?」と言われましても…。まぁ、エミリオがそんな物語の主人公を張るのが夢だったのではと。
もう息子が家に戻ることはないことを悟った両親の描写や、派手なカーアクション、警察隊と対峙するクライマックスのスタジアムのシーンなど、23歳の初監督作とは思えないほど目を見張るシーンも多く、エミリオの力量に驚いてもみたが、案外その辺のシーンは、製作総指揮としても名を連ねている『ヒンデンブルグ』などのロバート・ワイズが手掛けていたのかも。

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wis4.jpg役者としてのエミリオは、相変らずヤンチャな子供にしか見えないのだが、相手役が当時まだ付き合っていたデミ・ムーアだけあって、二人の絡みはいつも以上にリラックスした雰囲気を醸し出している。ただまぁ、隙さえあればイチャイチャするシーンが挟まれてしまいますが。そんなまだまだ若くぷりっぷりしたデミ・ムーアの可愛らしさも見ものなのだが、本作で最も目を奪われるのが、エミリオの両親役を演じるトム・スケリットとヴェロニカ・カートライト。子供の世界が中心となるので出番はあまり多くはないが、一旦登場すれば画面を一気に引き締めるだけの存在感を放っている。ノストロモ号での仕事がない間は、地上で夫婦生活を送っていたんだなぁとの驚きもありましたし。
今ではティム・バートン作品でお馴染みのダニー・エルフマンが音楽を担当。この後爆発的に評価を高める彼を起用するとは、随分と目が利くなぁと。まぁ、案外単純にエミリオがオインゴ・ボインゴのファンだったって可能性の方が高いですが。

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もちろんエミリオ作品には、もれなくチャーリーがついてきます

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2006年12月07日

おじさんに気をつけろ! (Uncle Buck)

監督 ジョン・ヒューズ 主演 ジョン・キャンディ
1989年 アメリカ映画 99分 コメディ 採点★★★★

思いがけずに出来ちゃった子なのか、上とはむやみやたらと歳の離れた私でございます。ちょっとした親子並の歳の差です。それだけ歳が離れているせいもあって、3歳のころから叔父さんな私。叔父さん歴じゃぁ、そこらの叔父さん方には負けませんよ。

【ストーリー】
故郷の父親が急病で倒れてしまった為に、家を空けなければならなくなったラッセル家。両親の不在中に子供の面倒をみてくれる人を探すも見つからず、已む無く夫の弟で40歳独身無職&親戚中の鼻つまみ者バックに頼むことになったが、長女のティアはバックを毛嫌いし…。

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学園映画の雄として数多くの傑作を手掛けてきたジョン・ヒューズが、本格的にアットホームコメディへと移行していった一本。残念ながら日本未公開に終わってしまった作品で、ビデオ発売当時には「ありきたり」「他愛ない」との悪評も多かった一本。確かに、かつてジョン・ヒューズが手掛けた作品にあったホロ苦さと爽快さを期待すると肩透かしを食うが、“家庭への回帰”をテーマに、キチンと描かれた人物描写、笑い、子供たちの愛らしさのバランスが非常に良く、何度観ても初めて観た時と印象が全く変わらない安定感が出色。
シカゴへのこだわりにも、思春期を迎えた子供たちの大人に対する不信感や苛立ちの上手さにも、ジョン・ヒューズらしさが垣間見えるが、本作ではさらに子役の魅力を巧みに引き出す才能を見せている。この作品以降ファミリーコメディへの方向転換を果たすが、行き詰まりからか久しく監督作がないのは寂しい限り。

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その体型を武器に、厚かましくはた迷惑なキャラクターを演じさせれば右に出る者がいなかったジョン・キャンディも、同じくジョン・ヒューズ作品の『大災難P.T.A.』ではた迷惑だが孤独な人間という悲哀を帯びたキャラクターを好演。本作でも、図々しいくせに行動に筋が通っている女子高生にとって最大の敵とも言える主人公を演じながらも、時折見せる寂しげな眼差しで、全く憎めないキャラクター像を作り上げている。この方向で更なる飛躍が期待できただけに、早過ぎる死が非常に惜しい。未だに、ジョン・キャンディが死んでしまったことに対する実感がわかない
ジョン・キャンディの占める魅力以上に本作を楽しませてくれているのが、子供たちの愛らしさ。特にマコーレー・カルキンの芸達者ぶりは見もので、留守番に対する真剣な姿勢が、後に留守番の達人へと上り詰めることになるんだなぁと納得。

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『ホーム・アローン』は、これのスピンオフだったのか?

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2006年11月30日

アメリカン・ドリームズ (American Dreamz)

監督 ポール・ワイツ 主演 ヒュー・グラント
2006年 アメリカ映画 107分 コメディ 採点★★★★

いやぁ、みんな有名になりたいんですねぇ…

【ストーリー】
激戦を制し大統領選に再選した大統領は、読んだこともない新聞に目を通しビックリ。イラク戦争もなにもかも、自分がやってきたことは間違いだったと気付いた大統領は引きこもりになり、支持率も低迷。見かねた補佐官は、大人気TV番組“アメリカン・ドリームズ”の決勝戦の審査員として、大統領を出演させることに。優勝すればトップアイドルとなれるその番組の決勝戦に勝ち上がってきたのは、更なる視聴者の支持を得る為にはなりふり構わないサリーと、歌も踊りも全然ダメだがそこが人気のイラク移民のオマール。ところが、この素朴で純情なオマールには、ある重大な使命があった…。

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どっからどう見てもブッシュな大統領と、そのブッシュっぽいのをリモコンで操作するどっからどう見てもチェイニーっぽい補佐官。人気者になる為には好きでもない男のプロポーズをも番組のネタにしようとするブリトニーっぽい女と、皆に笑い者になりながらも人気者になっていくイラク人。しかも、テロリストときた
“アメリカン・アイドル”で最初に有名になった歌も踊りもダメな中国人についても、ブッシュもチェイニーも全く知らなく、そのブッシュの討論会での無線疑惑も、アメリカに蔓延する“有名になりたい病”についても全く知らなければクスリとも出来ない作品かも知れないが、ほんの少しでも知っていれば大爆笑間違いなしのブラックコメディ。大統領を笑いのタネにすること自体は別段珍しいことでもないのだが、その大統領を含め、9.11以降のアメリカの御時世と、結婚や死といった極々パーソナルなものまでショーにしてしまうアメリカを、ここまで痛烈に皮肉る作品も珍しい。しかも、トップスター揃いで。
その皮肉は、キャラクターの隅々にも行き渡っている。誰一人として愛することの出来るキャラクターが存在しない。どいつもこいつもエゴの固まりか、カラッポ。そんな誰にも愛されない人たちが、愛されることを目的にした番組に出場し、国民に愛され選ばれたのが実はテロリストというのも、強烈だ。しかも、そのテロリストが劇中一番まともな人間だったりするし。

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見れば見るほどブッシュに見えてくる大統領に扮するのは、同じくポール・ワイツ監督の良作『イン・グッド・カンパニー』に引き続き出演のデニス・クエイド。同じポール・ワイツ組からは、『アメリカン・パイ』など量産型キアヌとして重宝されていたクリス・クラインも。今回は顔のどこかが違うのか、見事なまでのマヌケ面を披露している。“見事”と言えば、ウィレム・デフォー。『インサイド・マン』での物足りなさを補っても余りあるどころか、もうこれ以上は頂けないほどの強烈な印象を与えてくれている。こんなデフォーが大好き。若干肉付きも良くなったせいか、以前にも増してオバサン化が進んでいるヒュー・グラントは、最近なにかといい人役ばかりであったが、本作では久々の本領発揮とも言える嫌味な二枚目男を熱演。
見所だらけでダレ場なしの一本なのだが、なぜだか日本では土壇場で劇場公開見送りに。ポール・ワイツは面白い映画ばかり撮っているのに、日本との相性はすこぶる悪いようで。配給会社が「こんなもの、日本の庶民に理解できるわけがない」と踏んだのかどうかは不明だが、きっとデフォーの姿に恐れおののいたんでしょうねぇ。

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ジョージとディックの秘め事

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2006年11月19日

エネミー・ライン (Behind Enemy lines)

監督 ジョン・ムーア 主演 オーウェン・ウィルソン
2001年 アメリカ映画 106分 アクション 採点★★★

落っこったパイロットを無線で「頑張れ♪」ってする映画っていうと、私の世代だと真っ先にジーン・ハックマン主演の『BAT★21/バット21』が浮かぶんですが、今の世代だとコレが浮かぶんでしょうねぇ。

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【ストーリー】
停戦間近のボスニア上空を偵察飛行していたクリス大尉は、停戦を無視してセルビア人民軍による虐殺行為を撮影してしまう。証拠隠滅のために撃墜されてしまったクリス大尉は、米軍の救援が届かない地で、たった一人取り残されてしまう。

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実体験をベースにした『BAT★21/バット21』はその原作本も愛読書であったため、ジーン・ハックマンが地味にヒーコラ逃げる姿にさえ内なる苦悩や叫びがヒシヒシと伝わる好きな映画の一本なのだが、本作からヒシヒシと伝わってくるのは、オーウェン
ボスニアの凄惨な民族紛争を背景にしておきながら、序盤の迫力重視の空中戦からも伺える通り、純粋に娯楽映画の枠内に収まった作品。娯楽映画にするにはいささか不謹慎な題材のような気もしないでもないが、その不謹慎さをあまり感じさせないのは、オーウェンの存在感によるものが大きい。絶体絶命の状況下においても、いっぱいいっぱいになったいつものオーウェンでしかなく、フニャフニャと喋るいつもの姿に「オーウェンならなんとかなるでしょ?」と安心感がわく。たとえ目の前に無数の地雷が設置された地雷原があろうとも、ダッシュボタン連打で切り抜けるシーンなんか、とってもオーウェンらしい。まぁ、言葉を変えればミスキャストとも言いますが。
当時の流行なので仕方がないのだが、迫力を重視した映像処理は若干うざったくもあるのだが、その力強い映像の中をフニャフニャと叫びながらずーっと走ってるオーウェンを観ているのは苦ではなかったので、概ね満足で。

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『許されざる者』以降、この時期のジーン・ハックマンは何を観ても同じ印象しか残らない俳優だったのだが、本作でもまぁ、だいたい同じ。「ベトナムの戦場を一人逃げ延びて、ここまで出世したんだなぁ」と脳内補完をすることで、キャラクターに深みも生まれましたが。
娘が炎の少女だったデヴィッド・キースなんかも出ているが、なんといってもこの作品はオーウェンに尽きる。どんな状況でも緊迫感を感じさせず、フニャフニャと喋る割に絶対譲らない頑固者で、他人の言うことをさっぱり聞かない5歳児のようなオーウェンを堪能。あんまり速く見えない走る姿も、逃げてるはずなのになんか楽しそう。
今となっては珍しい大作への出演だが、現場が大変だったのか、楽しくなかったのか、寒いのが嫌いなのか、本作以降はフラットパック道一直線になる嬉しいターニング・ポイントって意味でも重要な作品。短い髪は似合わないという重要な発見もありましたし。

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髪が短いと、なんかダディッツっぽい

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2006年11月02日

ウエディング・クラッシャーズ (Wedding Crashers)

監督 デヴィッド・ドブキン 主演 オーウェン・ウィルソン
2005年 アメリカ映画 119分 コメディ 採点★★★★

ボク、ナンパなんてしたことないですよ。本当ですってば。

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【ストーリー】
離婚仲裁人として働くジョンとジェレミーは親友同士。休日となれば二人で他人の結婚式に忍び込んで、飲めや歌えや口説けやの大騒ぎ。そんな結婚式荒しを満喫していた二人だが、財務長官の長女の結婚式で出会った長官の次女クレアにジョンが一目惚れ。一方ジェレミーは末娘グロリアに付きまとわられ…。

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全米で2億ドルを超える大ヒットとなったラブコメディ。こんな他愛のないラブコメディが、なんでそんなにヒットしたのかですって?そりゃぁ、オーウェンが可愛いからに決まってるじゃないですか!
オーウェン・ウィルソンとヴィンス・ヴォーン。“フラットパック”の中軸にして、プライベートでも大の仲良しで共に大の女好きだけあって、まるでドキュドラマを観ているかのような作品。演技なのか素なのか判別不能なほど楽しそうな彼らを観ているだけで概ね満足。“本当の愛”や“成長”と言ったありがちで汲み取りやすい要素こそ備えてはいるが、そこにこれ見よがしな押し付けがましさは一切なく、物語は彼らの本当に楽しそうな姿が生み出す凄まじい疾走感で突き進んでいく。裕福で変わり者揃いの財務長官一家との交流にしても、彼らは何ら影響や変化を与えるわけではなく、ひたすら翻弄されるばかり。その翻弄される彼らと一緒に、その状況を楽しむ観客参加型映画である。もちろん「楽しめる人だけ楽しんでいってね」という敷居の高さはなく、序盤からトップギアで笑い転げるオーウェンとヴィンスに知らず知らずのうちに巻き込まれ、気がついたら一緒の車に乗っている様なものなので、ご安心を。ただし、何にでも意味を見出そうと構えていると、置いてけぼりを食らう可能性大ですが。

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フラットパックの中で格段に目立つ仕事をしている訳ではないのだが、『アダルト♂スクール』『ドッジボール』『スタスキー&ハッチ』『ズーランダー』と、関わる作品全てが傑作揃いのヴィンス・ヴォーン。“どうでしょう班”におけるヤスケンの様な存在か?本作ではオーウェンの保護者として地雷処理に忙しかったヴィンスだが、2時間ぶっ通しでハイテンションな彼を観るのは新鮮。
作品選びの基準が“楽しそうな現場”に違いない『もしも昨日が選べたら』のクリストファー・ウォーケンの、もはや仙人の域に達しているマイペースさや、ツンとした鼻筋がキュートなレイチェル・マクアダムスも印象深かったが、やはり何をおいてもオーウェン・ウィルソンに尽きる。毎度毎度で申し訳ないのだが、オーウェンが可愛い。ソフトすぎる語り口の割に絶対に自分からは折れない頑固なオーウェンや、思いついたことは状況も考えず口に出さないと気がすまないいつものオーウェン以外にも、砂浜オーウェン、自転車オーウェン、自暴自棄オーウェン、どこから観始めても可愛いオーウェンが出てくる至福の2時間。オーウェン濃度のかなり高い作品であるので、オーウェンファン悶絶間違いなし。もし万が一…まぁ、そんな人が存在しているとは想像もつきませんが、予想外に甲高い声で早口に喋るヴィンスと、トロトロと喋るオーウェンが生み出すハーモニーに魅力を感じなくても、終盤“伝説の結婚式荒し”として登場するフラットパック随一の大物の魅力にはメロメロになることでしょう。背が高くて、毛むくじゃらで、目と目の距離が人よりちょっと近くて、ブヨブヨとしたアノ方の魅力に。

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これに釣られない方が難しい

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2006年10月26日

インサイド・マン (Inside Man)

監督 スパイク・リー 主演 デンゼル・ワシントン
2006年 アメリカ映画 128分 サスペンス 採点★★★

“完全犯罪”を考えようとすると、ツララで刺し殺すとか、氷の銃弾とか、どれもこれも水を凍らせたものばかりしか浮かばないたおです。知的レベルが容易に計り知れますねぇ。そんな脳細胞の持ち主なもんで、完全犯罪を目論む知的な作品には身を乗り出して興奮するか、見事に置いてけぼりを食らうのかのどちらかなんですが。

【ストーリー】
白昼のマンハッタンで発生した銀行強盗事件。現場に急行した交渉役のフレイジャー刑事だったが、犯人グループの冷静沈着な行動に事態は一向に改善しない。一見よくある強盗・篭城事件に思えたが、彼らの目的は銀行の金ではなく、この銀行に隠されたある秘密であった。

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人種問題を題材に、巧みな切り口と類稀なる映像センスで作品を撮り続けていたスパイク・リー。その人種問題の現状を切々と訴えるわけでも傍観させるわけでもなく、自らデモ隊の先頭に立ちプラカードを高く掲げ、メガホンを観客の耳元に押し当てて説教するかのような印象ばかりがあったスパイク・リーが、珍しく監督のみに従事して撮ったジャンルムービー。
人質全員が犯人と同じ恰好でワァーと逃げたら完全犯罪成立。『狼たちの午後』の二の舞にはならんぞと考え抜いたら『勝利への脱出』になった並に単純な手口ではあるが、映画的には説得力がある。犯人進入前の防犯カメラ映像を見れば犯人を絞り込めるだろうに、と言った余計なことを考える隙を与えないテンポの良さも見事。銀行内での攻防の緊張感も、さりげなく映し出されるニューヨークの風景の力強さも、時折挟まれるオフビートな会話の妙も、どれもこれも良く出来ている。非常にソツがない。全編ウェルメイド。しかし、そのどこを切っても及第点な作りに、猛烈な食い足りなさを感じるのも事実。まるで他人の店で料理をしている料理長のようなのだ。でしゃばらないようにした遠慮なのか、心が全くこもっていないのか、前後のバランスを壊してでも“コレを見せたい!”と言う強烈に印象に残るシーンがない。良く出来た脚本をそのまんま撮ったという力の弱さと言うよりは、インテリが書いた作品をインテリがサラリと撮り上げた印象が強い。それはそれで鼻につくのですが。確かに“白人=ホワイトカラー マイノリティ=ブルーカラー”な多民族国家の現状をゴリ押しするかのようなキャスティングや音楽の使い方にスパイク・リーの“作家性”を取り上げることも出来るが、それは借りてきた料理人が必ず持参してくるオリジナルブレンドのスパイスの様なものなのではと。
下品なまでの娯楽映画を撮り続けてきた監督であれば、ビックリするくらい面白い作品になったであろう本作。ジャンクフードにはジャンクフードの良さがあるんだなぁと。

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作風の控えめさは、キャスティングにも影響を。『マイ・ボディガード』のデンゼル・ワシントンを筆頭に、『シン・シティ』のクライヴ・オーウェン、『フライトプラン』のジョディ・フォスターと錚々たる顔ぶれなのだが、それぞれがその存在感やアクを前面に出すわけでなく、ソツなくその役柄に没頭。まぁ、あんまりエゴを前面に出してウザったいのもなんですが、あまりに控え目なため“この人ならでは”な印象が薄く、正直三人が誰を演じても同じなのではと。紅一点が宝塚の男形のような雰囲気さえ持つ演技のジョディですから、なおさらで。せっかく脇にクリストファー・プラマーとウィレム・デフォーという2大変態系俳優が陣取っているというのに、この二人までもが大人しいのは寂しい限りで。画面には映らないが、きっとデフォーの制服の下は女物の下着なんだろうなと脳内補完してしのぎましたが。
決してつまらない作品ではないし、どちらかと言えば面白い部類に入るのだが、題材の割には暑苦しいまでのエネルギーをあまり感じず厳しい採点に。

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結局こんな感じのキャスティング

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posted by たお at 17:11| Comment(40) | TrackBack(114) | 昔観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月28日

イーオン・フラックス (Aeon Flux)

監督 カリン・クサマ 主演 シャーリーズ・セロン
2005年 アメリカ映画 93分 アクション 採点★★★

「ミッキーさん、カッコイー!!」「オーウェン、かわいー!!」と、男優ばかり褒めちぎるブログではありますが、私個人は破壊的に女好きです。大好きです、えぇ。もちろん綺麗な女性が大好きですし、綺麗であれば綺麗であるほど、好き度もアップします。たまに「彼女ってキレイなだけじゃん?」と、陰口めいた戯言を聞くこともありますが、うーん…綺麗なのって才能なのではと。それと、努力。頭が凄くいいのと、さして変わらない気が。

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【ストーリー】
西暦2415年。400年前に起きたウィルスによる人類絶滅の危機を辛うじて逃れた500万人が暮らす都市“ブレーニャ”では、400年前の危機を救ったグッドチャイルド家による秩序維持を名目とした圧制が敷かれていた。その体制に疑問を抱く反政府組織“モニカン”は、政府の当主トレヴァー暗殺に最強の戦士イーオン・フラックスを送り込むが…。

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MTVで放映されていた人気アニメの映画化。
「どーせシャーリーズ・セロンのイメージビデオだろ?」と高をくくってたが、思いのほか面白い。まぁ、イメージビデオってのもあながち間違いでもないのですが。最近乱造されている“綺麗な女性が派手なアクションをする”一本として埋没している気もする作品ではあるが、『ウルトラヴァイオレット』や『アンダーワールド2』の様に、過剰なまでのアクションとエフェクトを見せるが他はガタガタという一連の作品群と異なり、破綻しない程度に盛り込まれた物語がシャーリーズの美しさの邪魔をせず、アクの全くないキャラクター達が、これまたシャーリーズの美しさの邪魔をしない、全てがシャーリーズを引き立てるために上手く機能している。物語といっても、結局のところ兄嫁が原因で勃発した400年を股にかけた兄弟喧嘩だし、“近未来の秩序国家といえば日本風味に決まってる!”と決め付けたかのような前時代的SFマインドも、心地がいい。だって、背景にゴチャゴチャと未来的建造物が乱立してたら、シャーリーズが目立たなくなっちゃうじゃないですか。「じゃぁ、なんだ?綺麗な女性が観れればそれでいいのか?」と言われそうですが、綺麗な女性が観たくて借りたので、「ハイ、そうです!」と。

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『モンスター』や『スタンドアップ』で女優としてのプライドを見せ付けるかのような汚れ役が続き、念願のオスカーも獲ってプライドも満たされたのか、本作でのシャーリーズ・セロンは急激に“綺麗な方”へシフトチェンジ。痩せ過ぎか加齢か、アップで目立つ小皺に「『マイティ・ジョー』の頃の愛らしさは何処へ…」との思いも去来するが、さすがそこは美人。映画が進むにつれ、全く気にならなくなる。監督をはじめ全スタッフが神経を尖らせていたのか、一瞬たりともシャーリーズ・セロンが綺麗じゃないカットがない。ちょっと振り返るシーンだろうが、ガラスにボンヤリと映りこむシーンだろうが、徹底的に美人。もうここまでくると、美しい風景を見せてくれるドキュメントにお金を払うのと同じ価値があるのでは?
共演者に『ガレージ・デイズ』のマートン・ソーカス、『ホテル・ルワンダ』のソフィー・オコネドー、『スタンドアップ』のフランシス・マクドーマンド、そして『ダーク・ウォーター』などの大のお気に入り俳優の一人ピート・ポスルスウェイトなど顔ぶれは非常に豪華なのだが、彼らの役割はただ一つ。“引き立て役”。きっと契約書にも書いてあったんでしょうねぇ。「あなたは引き立て役ですよ」って。

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ホラ、そこっ!私より前に出ない!!

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posted by たお at 00:07| Comment(52) | TrackBack(124) | 昔観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする