2015年09月25日

アレクサンダーの、ヒドクて、ヒサンで、サイテー、サイアクな日 (Alexander and the Terrible, Horrible, No Good, Very Bad Day)

監督 ミゲル・アルテタ 主演 スティーヴ・カレル
2014年 アメリカ映画 81分 コメディ 採点★★★

「あそこの店員、態度スゲー悪いんだよねぇ」と酷い接客をされた経験を語る人って、色んなお店でそういう経験をしてるんですよね。ホントもう、至る所で。休み明けに会うと、まず休み中に行ったお店の文句。でも、自分が行った時のことを思い出すと、別にそんなに悪いお店じゃない。これでその不満を言ってる人の理想が高いだけなら良いんですけど、往々にしてそういう不満や経験が多い人って、その人の人柄に問題があったりも。その人の言動が問題を生み出し、その問題がその人に返ってくるみたいな。そんなことを、不平不満ばかりを口にする長女の姿を見ながら思った今日この頃。

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【ストーリー】
12歳の誕生日を目前に迎えた、クーパー家の次男アレクサンダー。彼は、何をやっても裏目に出て上手く行かない日常と、何があっても前向きで幸せな日々を送っている家族に対し強い不満を持っていた。そして誕生日前夜、そんな自分の不幸を家族にも味あわせたいと一人祈るアレクサンダー。すると、その願いが叶ったかのような不幸の連続がクーパー家を襲い始め…。

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ジュディス・ヴィオーストによる同名児童本を、TVを中心に活躍するミゲル・アルテタが映画化したファミリー・コメディ。製作に『インターンシップ』のショーン・レヴィや、ジム・ヘンソンの娘リサ・ヘンソンの名も。
ディズニーらしいというか、一昔前でいうところのブエナビスタっぽい当たり障りなくそつのない作りと、子供が巻き起こす騒動で一家が団結していくという、ジョン・ヒューズがプロデュースした佳作の数々を思い起こさせるテーマで描かれた本作。とどのつまり「ポジティブに!」「家族大事!」「なにはともあれポジティブに!」と元気の押し売りをしてるだけの作品ではあるんですけど、要所要所に挟まれた笑いの丁度良さと、けっこうな苦境なのにそうは感じさせないウェルメイドさもあって、サクっと楽しめる一本に。押し売りではあるけど、「さぁ!みんな一緒に手をつなごっ!」的な圧迫感やあざとさがないってのも好印象で。

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タイトルになってるアレクサンダー役のエド・オクセンボウルドに可愛げもへったくれもないってのは辛いんですが、置かれた状況を耐え忍んでいる悲しみが滲み出てた『フォックスキャッチャー』のスティーヴ・カレルの存在がそこを存分にカバー。ペーソス溢れたローギアの笑いから、唐突にトップギアの笑いへと変貌する芸達者っぷりを堪能できたのも嬉しい。
また、『ウソから始まる恋と仕事の成功術』のジェニファー・ガーナーや、『プリズナーズ』の時同様に根の良い子さが出てたディラン・ミネット、『マネーボール』のケリス・ドーシーらもなかなか印象的で。
そんな中でも、劇中ではヒール扱いだけど、考えてみれば家族じゃないのに騒動に巻き込まれる被害者でしかないセリアに扮した、『子連れじゃダメかしら?』のベラ・ソーンのゴージャスで挑発的な美しさが強烈な印象を残してたなぁと。

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釣り合わない彼女を繋ぎ止める努力って大事だと思うんですけどねぇ

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posted by たお at 23:27 | Comment(0) | TrackBack(3) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月24日

インヒアレント・ヴァイス (Inherent Vice)

監督 ポール・トーマス・アンダーソン 主演 ホアキン・フェニックス
2014年 アメリカ映画 148分 サスペンス 採点★★★

時代を象徴するもの、若しくは思い起こさせるものって人それぞれですよねぇ。音楽であったり映画であったり、その当時のTV番組や文化と様々。私にとっての80年代って当時の音楽が密接に結びついているんですけど、それより前の70年代となると、また別のものだったりも。それが、日曜洋画劇場を見ていると決まって流れていたレナウンのCM。曲調自体は能天気なんですけど映像がなんとも悪夢的というか、高熱でうなされてるときに見る幻覚のような感じで、いまだにその不気味な印象だけが強烈に脳裏に。ふいにあの曲を思い出すと当時のことをまざまざと思い出すんですけど、どういうわけか悪い思い出しか思い出さないんですよねぇ。

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【ストーリー】
1970年、ロサンゼルス。ヒッピーくずれの私立探偵ドックのもとに、別れた恋人のシャスタが相談にやって来る。その内容は、大富豪の不動産王ミッキー・ウルフマンと愛人である彼女を、ミッキーの妻とその浮気相手が罠に嵌めようとしているとのことであった。気の進まないドックが渋々調査を始めると、その背後に巨大な陰謀があることが判明し始め…。

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トマス・ピンチョンの探偵小説“LAヴァイス”を、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・トーマス・アンダーソンが脚色も手掛け映画化したハードボイルド・スリラー。
音楽はもちろんのこと、ファッションや会話の内容、小道具の数々から役者の顔立ちまで、溢れ出さんばかりの70年代情報に初っ端から圧倒される本作。何も知らずに画面だけを見たら、たぶん70年代の映画と勘違いしそうなほど。時代背景、題材、ロケーションと、非常にポール・トーマス・アンダーソンらしい上に、まったりゆったりと時にユーモラスに進みながらも、画作りが異様なまでに力強いってのも彼らしい。
ロスに集うアウトサイダーの生き様を緻密に描きながら、その能天気な気候とは真逆のドロドロとした謀略と立ち向かうには強大過ぎる力を描いた本作。ハッパが効いてるが如く散漫な展開をしつつ、覚めた時というよりは最高潮に効いてる時の集中力の如く物語が急展開する緩急も心地よく、ダラけながらも長尺さを感じさせない巧い作り。しがない探偵に出来ることと出来ないことがハッキリしている、ユーモラスながらもハードボイルドな骨格を保っているのも好印象。
ただまぁ、ちょいと散漫過ぎて警察内部まではびこる悪の存在と愛人となった恋人、“固有の瑕疵”と“内なる悪”なんてテーマがボヤけてしまい、風変わりな友情物語みたいになってたのは惜しかったかなぁと。

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主人公のドックに扮したのは、『ホテル・ルワンダ』のホアキン・フェニックス。すっかり壊れちゃった役者ってイメージもありましたが、そのイメージと自身のルーツでもあるヒッピー文化との相性の良さ、ファッションのハマりっぷりなどが見事に融合し、“70年代のそういう人”感が見事なまでに出ていた好演を。
また、そのドックの守護天使であり、唯一の友人であるドックに対する感情表現が独特なビッグフットに扮した『メン・イン・ブラック3』のジョシュ・ブローリンも見事で。現在のハリウッドで最も70年代が似合う役者であるので、これまたハマりまくったキャスティング。
その他、眉毛をモジャモジャにすればたぶんお父さんにソックリなのであろうキャサリン・ウォーターストンや、濃い演者に押され気味だった『デビルズ・ノット』のリース・ウィザースプーン、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のベニチオ・デル・トロ、『エンジェル ウォーズ』のジェナ・マローン、『エクスペンダブルズ』のエリック・ロバーツに、劇映画で見るのは久しぶりで嬉しかった『インナースペース』のマーティン・ショートといった錚々たる顔触れが集結。
そんな中でも、やはり『クーデター』のオーウェン・ウィルソンの存在が忘れ難し。基本いつも通りのオーウェンなんですけど、1970年代から2010年代までのどの時代でもビーチに居でボーっとしてそうなオーウェンだからこその似合いっぷりだったのかと。

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聖書の時代のビーチに居ても違和感無さそう

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posted by たお at 14:42 | Comment(4) | TrackBack(12) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月11日

アメリカン・スナイパー (American Sniper)

監督 クリント・イーストウッド 主演 ブラッドリー・クーパー
2014年 アメリカ映画 133分 ドラマ 採点★★★★

戦争映画なんか観てると、大抵の戦闘シーンは目視できる敵兵に対し射撃し、撃った弾が当たって死ぬまでをもその目で見てますよねぇ。まさに“殺し合い”って感じ。ただ、たまに目にするヘッドカム映像なんかの実際の戦闘の様子を見ると、大体の位置関係以外は何処に居るのかサッパリ分からない敵兵に向かって一斉に制圧射撃してたりも。当然、当たったかどうかもよく見えず。でもそういう近代戦においても、スナイパーってのは敵の姿からその死までをもその目で見つめてるんですよねぇ。キツいなぁ。

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【ストーリー】
2001年の同時多発テロを目にしたカイルは強い愛国心から軍に入隊、精鋭部隊ネイビー・シールズの狙撃手として過酷な訓練を受ける。イラクへと向かったカイルはその類稀なる狙撃の才を発揮し多くの仲間を救い、レジェンドとして称賛を浴びていく。帰国し愛する妻と子供らと平穏な生活を送るカイルであったが、戦場での体験は静かに彼の心を蝕んでいき…。

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イラク戦線で160人以上の敵兵を殺害した伝説の狙撃手クリス・カイルの回顧録を、『人生の特等席』のクリント・イーストウッドが映画化した実録戦争ドラマ。主演に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のブラッドリー・クーパー、共演に『フォックスキャッチャー』のシエナ・ミラーらが。
公開から随分と経ち内外の評価が出揃った印象もある本作ですが、それらをざっと見てみると“愛国的英雄譚”と捉える方もおられれば“反戦映画”として捉える方もいる。また、“アメリカ至上主義のアラブ蔑視映画”と捉える人もいるかと思えば、“戦意高揚映画”として観る方も。まるでリトマス試験紙のように、観る人の思想傾向を反映するかのような様々な意見が。そんなことを頭に入れながら鑑賞してみたが、なるほどこれは分かれるわけだ。
9.11の追悼式典でのイーストウッドのスピーチを真に受けるのであれば、彼自身テロリストへの報復に対しては肯定的だ。これまでの作品を観る限り、愛国心に関しても揺ぎ無い。だが一方で、如何なる理由であっても“殺人は罪である”という考えも。本作にはその二つの考えがクッキリと表れている。

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家族を愛し国を愛するカイルは善人だ。そして母国とそこに住む人々の命を守るためにイラクへと出向き、仲間の命を救うために敵兵を葬ってきた彼は英雄でもある。しかし、仲間を救うためとはいえ、彼の行った行為は“殺人”でしかない。そこには“イラク人から見たら”という但し書きもいらない
生ある者がそれを失うまでをスコープを通して見つめるカイル。生かすか殺すかは彼自身の選択で、そしてそれは指先一つで決定される。繰り返される善なる理由付けをされた殺人の中で、静かに少しずつ病んでいくカイルの心。その一方で、彼の才能が最も輝き、多くの仲間たちに囲まれ英雄として称賛される戦場を欲するカイル。その心の動きを、イーストウッドはいつも通り静かにフラットに見つめているが、その静かさとは裏腹に激しい動きが手に取るように分かるドラマチックな描き方をしている。もちろん、“ドラマチック=過剰”ではなし。

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どこか撮り急いでいるかのような印象もある昨今のイーストウッド作品には、題材選びにちょっと疑問を感じる作品も少なくないんですが、本作はまさにイーストウッドらしい題材。英雄として数多くの極悪人を葬り去る一方で、殺人の罪の重さを見つめてきたイーストウッドだからこそ描けたともいえる一本。
異なる思想を持つ者同士の議論は、双方が都合の悪い部分を隠し聞こえの良い部分のみで争いがち。そのやり方だと、一方にとってはカイルは完全なる英雄で、一方にとっては愛国心を利用された殺人者に過ぎなくなる。しかしイーストウッドは、それらのど真ん中に立ってカイルを見つめている。もちろん私の思想なり考え方が反映しているんでしょうが、本作のカイルは紛うことなく英雄である。しかし、殺人という行為も肯定していない。その重すぎる罪を背負っている。守るべきものは守らねばならない。しかしながら、如何なる理由であっても殺人と言う罪は肯定されないし、してはいけないという現実をありのままにまざまざと描きだした一本で。

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右や左からじゃなく、真上から見た現実

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posted by たお at 16:43 | Comment(10) | TrackBack(67) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月17日

アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン (Avengers: Age of Ultron)

監督 ジョス・ウェドン 主演 ロバート・ダウニー・Jr
2015年 アメリカ映画 141分 アクション 採点★★★

アイアンマンにハルクにマイティ・ソー、そんでもってキャプテン・アメリカ。それぞれが一枚看板級であるヒーローがただ集まって「どう?豪勢でしょ?」で終わらせるのではなく、集まって戦わざるを得ない事態を背景に、各々の持ち味を見事なバランス感覚で描いていた『アベンジャーズ』。結局のところそこに繋げる為の壮大な番宣的意味合いがあるとはいえ、一本一本が独立した作品として価値を持っていたってのも、『アベンジャーズ』に“滅多にないお祭り”のような有り難味を感じさせていたんでしょうねぇ。

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【ストーリー】
ヒドラの残党からロキの杖を取り返したアベンジャーズ。トニー・スタークは、その杖にはめられた宝石内に人工知能らしきものを発見。彼は再度現れるかも知れない宇宙からの脅威より地球を守るために、その人工知能を利用した“ウルトロン”による平和維持プログラムを開発するが、ウルトロンはアベンジャーズと人類を地球の敵と認識。ウルトロンのアイアンソルジャーとアベンジャーズの全面戦争に発展していく。

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マーベル・シネマティック・ユニバースの集大成ともいえる“アベンジャーズ”シリーズ第二弾。監督/脚本は、前作『アベンジャーズ』に引き続き『セレニティー』のジョス・ウェドンが。
トニー・スタークのダークハーフ的存在ウルトロンとアベンジャーズとの苛烈な戦いと、その間にちょろちょろと絡んでくる改造人間兄妹を描いた本作。世界規模で繰り広げられるど派手なアクションを堪能できたことだけは確かな一本でも。
ただまぁ、集大成感というかメインイベント感というか、お祭り感に乏しいのはなんとも寂しかった気も。確かにウルトロンは強敵ですし地球規模の危機を生んでいたんですけど、そもそもの発端はスタークですし、ウルトロンもスタークの暗部のような立ち位置。“ダーク・アイアンマンvsアベンジャーズ”って構図も悪くはないんですけど、「別にこれ『アイアンマン4』でいいんじゃない?」って印象が強い。ロキの杖がキーアイテムなのに、ソーの役割がほとんどないですし。というか、アベンジャーズじゃないとダメだって切迫感が薄いんですよねぇ。
また、最後の最後に「やっぱオレが出ないとダメか」みたいに、サノスがその重すぎる腰をようやく上げるシーンが挿入されて終わってますが、ここまで来るとなんかもう「続きはウェブで」みたいだなぁと。まぁ、こう文句を言いつつも2018年と2019年に前後編として公開予定の次回作、『Avengers: Infinity War - Part I』『Avengers: Infinity War - Part II』が楽しみでしょうがないのも事実なんですけど。相変わらず商売上手だなぁ、マーベルは。監督が『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のルッソ兄弟に替わるってのも、どんな変化を生み出すのか興味津々ですし。

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ある意味、このマーベル・シネマティック・ユニバースの最重要人物であるロキが登場しないのは寂しい限りなんですけど、レギュラーのヒーローのみならず関連作に登場したキャラの多くが登場して何かと賑やかだった本作。ただ、わらわらと顔を出すだけなので作品を散漫にしているだけの効果しかなかったんですけど。捻じ込まれた感すらある新キャラまでいますし。まぁ、このアベンジャーズ二軍が次回作でどれだけレギュラー陣に食い込んでくるのか期待したいところで。
そんな新参キャラの中でも大きな役割を背負ってたのが、『X-MEN:フューチャー&パスト』では『キック・アス』のエヴァン・ピーターズが扮していた、クイックシルバーとスカーレット・ウィッチの兄妹。本作ではアーロン・テイラー=ジョンソンとエリザベス・オルセンの『GODZILLA ゴジラ』夫妻が扮してましたが、敵対する存在から共闘へと変移するジョーカー的な存在としてなかなか興味深かったキャラで。トニー・スタークが武器商人であった消せぬ過去を象徴する重要なキャラなんですけど、登場人物が多すぎてバタバタしちゃったせいか描き込みが足らず、なんか「両親がトヨタの車に轢かれて死んだから、トヨタの社長を殺す!」みたいな判らなくもないけど理不尽さも強い印象になったのは残念だったかなぁとも。
しかしながら、前作での最大不満点であったホークアイの扱いが格段と大きくなってたのは嬉しい限り。どこか都会人的な冷たさやスノッブさを感じさせるアベンジャーズの面々ではあるんですが、そこに南部人っぽさも感じる気さくさと人間くささってのを持ち込み、超人集団の中に(十分人間離れはしてるが)人間が混じっているって意味と価値を明確にした今回のホークアイの扱いは良かったなぁ。バトルマシーンのイメージも強いんですけど、ジェレミー・レナーって気さくでちょいと抜けてるところもあり、なんか小さな牧場で馬に乗ってそうな、今回のような役柄も似合うんですよねぇ。本作でようやっと“クリント・バートン”の顔が見れて嬉しかったなぁと。
あ、そうそう。これまで声でしか登場しなくて寂しかったポール・ベタニーが、ヴィジョンとしてようやっと顔出ししてたのを忘れるところで。コミック自体あまり詳しくないので判りませんが、ヴィジョンってなんか『ウォッチメン』のDr.マンハッタンに似た、絶対にわかり合う事は出来ない気持ち悪さを感じるキャラだなぁと思いましたよってのを、最後に手短にと。

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家族にとって最高のヒーローって時点でもう無敵

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posted by たお at 14:20 | Comment(8) | TrackBack(40) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月17日

アイスマン 超空の戦士 (冰封俠 重生之門)

監督 ロー・ウィンチョン 主演 ドニー・イェン
2014年 中国/香港映画 104分 アクション 採点★★

“ロード・オブ・ザ・リング”三部作はもう必然の結果だったんですけど、最近どうにも洋画邦画問わず二部作みたいなのが増えてきましたねぇ。「前・後編に分ける必要あるの?」と疑問の作品も多いですし。まぁ、前向きに考えれば“原作の面白さを損ねないように”ってな意向もなきにしろあらずなんでしょうけど、映画好きからの意見としては600ページに及ぶ原作を2時間以内のスゲェ面白い映画にするってのが作り手の腕の見せ所だと思ってますし、そもそも「1.5本分の予算で2本分の収益ってウハウハじゃね?」な感じの浅はかさとか、「オチを知りたければ、もう1800円払いな!」みたいな姿勢はやっぱり嫌いだなぁ

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【ストーリー】
400年に及ぶ冷凍状態から目を覚ました明の錦衣衛ホー。彼は朝廷に持ち帰るよう命じられた天竺の秘宝を探そうとするも、何もかにもが違う現代の世の中に大いに戸惑ってしまう。一方、ホー同様目覚めた二人の錦衣衛と、警察署の副署長であるチョンらは執拗にホーを追い続け…。

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予告編やパッケージデザインを見ると「お?ドニーさん主演の本格武侠ファンタジーか?」と期待してしまうが、そんな期待は1ミリも叶えてくれないアクションコメディ。登場するや否や凄まじい勢いで立ち小便するドニーさんの姿を見て、瞬時に気持ちを切り替えられるかどうかが本作を楽しめるカギかと。ここで“ウンコ”とか“おっぱい”とかばっか書いてる私はもう全然セーフでしたけど、楽しめたかどうかは微妙
“昔の人が現代に来てアワアワする”っていう思い返してみればそこそこ数のある定番ネタを、大らかなCGとざっくばらんな合成で彩り、要所要所でオナラとウンコで笑わせようとしてくる、小学生男子の心鷲掴みな本作。もともと3Dなので色んな物が手前に飛んできますが、しっかりウンコも飛んできますし。それもドニーさんの
もちろん見所はウンコのみではない。今回のドニーさんは『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』の時の様なロン毛なんですが、どうもロン毛の時のドニーさんはナルシスを爆発させるようで、格闘スタイルがいちいちハンサム。突きを決めては前髪なびかせカメラ目線、蹴りを決めては前髪なびかせカメラ目線。もう、いちいちハンサム。さっきはニヤニヤしながらウンコしてたのに。

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とまぁ、場面場面では楽しめたんですけど、如何せん全体を通すとどうにもかったるい。本作は二部作の前編なんですが、どうも最初から想定して作られてる様子はなく、場面はコロコロ展開するのに物語はサッパリ進まない水増し感ハンパなし。水増しし過ぎてストーリー自体も薄まったのか、観ている最中にもかかわらず登場人物の目的を忘れてしまうこと多々。一本で完結していれば間違いなくあらゆる意味で記憶に残る作品になっていただけに、なんとも残念。
まぁ不満も多く言いましたが、一応本編終了後に次回作への繋ぎが入るんですけど、なんか間を思いっきり端折ったのか繋がってる感じの全くしないそれに妙にそそられてしまったので、次回作ももちろん観ますよ。こういうドニーさんも好きですし。

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ロン毛への憧れ隠し切れず

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2015年06月11日

オオカミは嘘をつく (Big Bad Wolves)

監督 アハロン・ケシャレス/ナヴォット・パプシャド 主演 リオル・アシュケナージ
2013年 イスラエル映画 110分 サスペンス 採点★★★★

普段は可能な限り想像したくないんですけど、痛ましいニュースを見聞きすると頭をよぎる“もし自分の子供が殺されたら?”って想像。凄まじいまでの怒りと悲しみに飲み込まれながら、たぶん“復讐”って選択肢が浮かぶと思うんですよねぇ。正当化は出来ないけど“子供を殺されたから復讐する”って目的と、“犯人に同じ苦痛と絶望を味合わせたい”って理由は響きとして間違っていない感じも。ただ、そのそれぞれの行動の理由と目的を屁理屈にならないようとことん突き詰めていくと、結局行き着くのが“自分の憂さ晴らし”になっちゃうんですよねぇ。「俺がこんな辛い思いをしてるのはお前のせいだ!」って。もう、響きからしておかしいことに。

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【ストーリー】
連続少女誘拐殺人事件を捜査する刑事ミッキは容疑者ドロールに対し非道な取調べを行うが、その様子をネットに流されてしまい担当を外されてしまう。警察組織そのものの威信が揺らぎかねない事態を回避するため、ミッキは単独でドロールを追い詰め自白させようとするが、そこへ被害者の父親ギディが現れドロール共々拉致されてしまい…。

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『ザ・マッドネス 狂乱の森』のアハロン・ケシャレスとナヴォット・パプシャドとのコンビによるサスペンススリラー。
被害者の父親、事件を捜査する刑事、そして曖昧な目撃証言によって目をつけられた唯一の容疑者。その三者が、復讐や自己保身といった基本的に“自分の為だけ”に行動し、その結果どんどん常軌を逸していく様を描いた本作。それぞれの人物に対し同調や共感も出来なくはないが、その反面全員に対し嫌悪感も生まれる、観ている側の内側にある二面性をも同時にさらけ出していく様な人物描写や、“自分のためだけ”に動いたが為に“本来守るべき者”の存在が忘れられていく物語構成が非常に巧い。
また、情報として与えられる事件の概要や、直接的に描かれる拷問の様子などかなり血生臭いが、その一方で凄惨さが増すと同時にユーモラスさもが増していくという一風変わった味わいが印象的。状況が状況なだけに笑っていいのか迷うがやっぱり笑ってしまう、なんというか葬式中に笑いたくなるようなこの性質の悪いユーモアは案外好み。
事件としては若干疑問も残る描写が少なくはないが、“真実”を求めているようでいてそこは全く重要なテーマではないので問題はなし。ただし、重要ではないとは言え“嘘をついている”ってのは観客をミスリードする上で重要な仕掛けでもあるので、巧いことを言ってるようでいて全て台無しにしちゃってる邦題には難ありかと。

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悪いオオカミしか出てこない赤ずきん

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2015年06月08日

アウトロー (Jack Reacher)

監督 クリストファー・マッカリー 主演 トム・クルーズ
2012年 アメリカ映画 130分 サスペンス 採点★★★

どこを歩いていようが、“綺麗な人”“可愛い人”“概ね綺麗な人”“捉え様によっては綺麗な人”と、道行く女性に振り返ってばかりの私。見ているだけで幸せな気分になれるんで、前を向いてる時間と振り返ってる時間がほぼ一緒。ただ、振り返ってばかりいないで、一度でいいから道行く女性に「アラ!イイ男♪」と振り返られてみたいもんですよねぇ。そんな人生とっても楽しそう。まぁ、うちの小学生の長男みたいに、道行くどっか中間に属するお兄様方に「アラ!カワイイ男子♪」と振り返られてばかりいるのは楽しいのかどうか不明ですけど。

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【ストーリー】
ピッツバーグ近郊で発生した、5人の男女の命を奪う無差別狙撃事件。現場に残された証拠から元米軍狙撃手ジェームズ・バーが逮捕されるが、彼は黙秘を続け“ジャック・リーチャーを呼べ”のメモを残したまま、護送中に起きた暴行により昏睡状態となってしまう。リーチャーの素性を掴めない警察の前に颯爽と現れたリーチャーは、ジェームズの弁護士のヘレンに協力し事件を調べ直すが、あまりに整いすぎた状況と証拠に違和感を感じ…。

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トムちんのハンサムスパイシリーズ第5弾、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』が控える『誘拐犯』のクリストファー・マッカリー監督/脚色による、リー・チャイルドの“ジャック・リーチャー”シリーズ第9弾“アウトロー”を映画化したサスペンスアクション。トムちん自身も製作に携わり、リー・チャイルドは警官役としてチラリと出演。
ジャック・リーチャーは凄い!”ってのに主眼が置かれてしまっているせいか、どんな難局もサラリとかわす主人公の格好良さが伝わる反面、これといってハラハラすることはない本作。巨大な闇が隠されてそうな悪役の背景にも特に触れず、そんな巨悪に対してすらずんずん真正面から攻め込んでくるジャックの凄さを描くことに集中。「なんだぁ。またトムちんのコスプレ映画かぁ」と言われてしまっても、特に反論は出来ず。
じゃぁ“つまらない”のかと言われると、全くそんなこともなく。
一見無差別に見えた事件のカラクリが明かされていく様は非常に刺激的だし、狙撃シーンは銃撃戦におけるマッカリーらしいこだわり、本来ならNGシーンになるところをそのままOKシーンとして使用したカーアクションなど見所は豊富。主人公が完璧な分逆に個性に乏しく、観終わると同時にスルスルと記憶から消え去る弊害こそあれど、忘れきったころに観直すとやっぱり面白いという一本には仕上がってるのではと。

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拭いきれない印象の薄さは、やっぱり『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のトム・クルーズが珍しくキャラを掌握し切れていなかったからなのかと。ハンサムスパイにハンサム侍、ハンサムパイロットにハンサム吸血鬼と、業種にハンサムを加えることで成立するトム映画にしては、今回のハンサム具合はいささが地味。「えーっと今日のトムちんは、ハンサム……なに?」って感じ。そこが“リーチャー=トムちん”くらいまで練りこまれれば別なんですけど、なんか銃の腕前も頭脳も格闘術も全てにおいて無敵のハンサム風来坊って以外に特徴なし。まぁ、十分過ぎるのかもしれないんですけど。
とは言いつつも、すれ違う女性は全て「ウフーン」と振り返り、「リーチャーって誰なんだ!?」と騒いでいる抜群のタイミングで現れるハンサム登場、どっからどう見ても凶悪犯状態なのに見ず知らずの人々が助けてくれる上に、善悪問わず女性に向こうから惚れてくるハンサム魅了術など、トムちんらしい見せ場が豊富であったので、アナウンスだけはされている次回作ではもうちょいこなれて、リーチャーのコスプレをもっと着こなしてくれるのではと期待。マッスルカーとトムちんの組み合わせも悪くなかったですし。

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そんなトムちん以外にも、カトリーヌ・ドヌーヴの輪郭にローラ・ダーンのパーツを組み込んだと言うか、恐れ戦きながらも蔑んでいるかのような冷たい眼差しと柔らかそうな肉体のアンバランスさが魅力的だった『ゴーン・ガール』のロザムンド・パイクや、その顔ひとつで全てを物語ったヴェルナー・ヘルツォーク、『キャビン』のリチャード・ジェンキンスに『インターステラー』のデヴィッド・オイェロウォ、『SAFE/セイフ』のジョセフ・シコラといった重心の低めなキャストが揃っていた本作。
中でも『ザ・ロード』のロバート・デュヴァルが絶品。
トムちんとは『デイズ・オブ・サンダー』以来の共演となるが、「結局陸軍野郎が最後に泣きつくのは、俺ら海兵隊なんだよな」ってセリフに臭さが全く付きまとわない、老兵というかサバイバー役を飄々と好演。決して悪くはないがこれといって決め手のなかった作品に決定打を与えた、非常に素晴らしいキャスティングだったのではと。映画化が予定されている原作シリーズの第18弾“Never Go Back”に出ているとは思えないんですけど、このキャラだけは是非ともねじ込んで欲しいと思った次第で。

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モテモテと同性に目の敵にされるって天秤だったら、迷わずモテモテを取ります

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2015年06月05日

インターステラー (Interstellar)

監督 クリストファー・ノーラン 主演 マシュー・マコノヒー
2014年 アメリカ/イギリス/カナダ映画 169分 SF 採点★★★★

馬頭星雲やら木星の大赤斑、最近のお気に入りでもあるわし星雲なんかの画像をボーっと見ている時間が好きな私。ぱっと見静かで美しいその空間でいったい何が起こってるのか想像するだけで、スケールの大きさなんかに頭がクラクラしてくる感覚が好きなんですよねぇ。宇宙を題材にした映画なんかもそうで、この“クラクラする感覚”を味わえるか否かが好き/嫌いポイントに大きな影響を与えたりも。

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【ストーリー】
環境の悪化により人類滅亡の瀬戸際に立たされた地球。そんな絶望的な状況下、NASAは秘密裏に居住可能な惑星を求め、遥か彼方の宇宙へ調査団を送っていた。その先発隊から送られてくる信号を唯一の手がかりに、最後の調査団が送られる。パイロットに選ばれた元は優秀なテストパイロットで今は農民であるクーパーは、もう二度と再会することはない家族と別れ遠く宇宙へと旅立つのだが…。

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ダークナイト ライジング』のクリストファー・ノーランによるSF大作。
静かに死に行く地球、ワームホール超光速航行、苛酷な環境の外宇宙惑星、無機質な外見とは裏腹に妙に人間臭いロボットなど、往年のSF映画の風味をたっぷりと含んだ世界をバックに、“種の救済か家族の集合体である人類の救済か?”及び“個の救済”という葛藤を描いた本作。
いささか長尺であるし、“家族愛”ってのが大げさに前に出すぎているきらいもあるが、圧巻の宇宙描写を背景に描くミニマムな人間ドラマというバランス感覚や、“事象の地平線”“相対性理論”重力うんぬんで時間がどーこーっていう“ウラシマ効果”など、科学的にどこまで正確なのかはチンプンカンプンですが、映像としてしっかり映画内に収めたその映像センスが素晴らしい。
また、冷静に考えると混乱してくる時系列の問題や、オマージュが過ぎて“映画体験”というより“映像体験”に収まってる感の強さ、登場人物が揃いも揃って格言めいたことを言いたがったり、“五次元が閉じてー”とか観ているこっちが置いてかれて「ちょっと待って!冷静に話し合おっ!」となる筆の暴走も垣間見られるが、映画脚本的な禁じ手や反則を恐れないというか敢えてそこを攻めるジョナサン・ノーランらしいストーリー展開と、雰囲気は重厚で高尚だが娯楽映画のツボをしっかり押さえるクリストファー・ノーランの演出がその辺を全部ウヤムヤにしてくれるので、大した問題でもなく。
受け取り方が正しいのかは別にして、似て非なる新故郷に居場所のない主人公が、自分と世界を共有した現存する唯一の人物を求め旅に出る締め括りや、歴史ってのが如何に都合良く改竄されていくのかをさり気なく描いていたのも好みの一本で。

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主人公のクーパーに扮したのは、一時の元気の無さが嘘のような復活っぷりを最近見せている『サラマンダー』のマシュー・マコノヒー。テキサス男ってイメージが強すぎてインテリってのがなかなか直結しない彼なんですけど、知識と知性に裏打ちされた冷静さと、犠牲を厭わず最善の決断を下す力強さを併せ持つクーパー役が思いのほかそのまんまで違和感なし。自分本位さや弱さを隠しきれていないってのも、旨く消化されてたなぁと。
その他、正直苦手な女優の一人である『ダークナイト ライジング』のアン・ハサウェイや、ちょっとブライス・ダラス・ハワードと見分けがつかなかった『MAMA』のジェシカ・チャスティン、ボーンシリーズ再始動までに相当身体を絞らなきゃならないんだろうなぁと心配になった『幸せへのキセキ』のマット・デイモンらもキャスティング。
また、ノーラン作品でお馴染みの『狼たちの処刑台』のマイケル・ケイン、『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』のジョン・リスゴー、『ハリーとトント』のエレン・バースティンらも印象深く。特に、豊かさを享受していた前世代に苦難の現世代、そして滅びが確実な次世代と“世代”ってのもテーマに描かれているだけに、次世代に“死”を置き土産にしたくない焦りと諦めを巧く表現したマイケル・ケインとジョン・リスゴーは絶品で。
まぁ、鑑賞後ちょっと時間を置いてみると、いま一番印象に残ってるのはモノリスとHAL 9000を足したかのようなTARSの、まるで中に人が入ってるかのような妙な可愛らしさだったりするんですけど。

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気が遠くなる位の長い時間を過ごす相手としては人間よりも良いのかも

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posted by たお at 11:01 | Comment(2) | TrackBack(63) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月04日

アイアンマン3 (Iron Man 3)

監督 シェーン・ブラック 主演 ロバート・ダウニー・Jr
2013年 アメリカ/中国映画 130分 アクション 採点★★★★

初めて『アベンジャーズ』を観た時は、それまで散々じらされてたこともあって「これから毎年アベンジャーズを!」とちょっとした興奮状態にあった私。ただまぁ、それなりにお腹いっぱいにもなったので、その後関連作品はご無沙汰に。一応予告編にも目を通してはいましたが、シリーズ作にありがちな“続編はなんか深刻っぽい”っていう辛気臭さも気になったってのも食指が動かない一因に。でもやっぱり『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』は観たいので、シリーズ作を取り揃えただいま絶賛予習中。なんか、夏休み最終日の追い込みみたい

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【ストーリー】
アベンジャーズの一員として人類滅亡の危機に立ち向かったアイアンマンことトニー・スターク。しかしながら、その過酷な戦いは彼の心身を深く蝕んでいた。その頃、テロリストの“マンダリン”による連続爆破テロが相次いでおり、トニーの自宅も襲撃されてしまう。辛うじて何を逃れた彼は、マンダリンに立ち向かうべくアイアンマンスーツに身を包むが…。

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心に深い傷を負ったアイアンマンの姿を描くシリーズ第三弾。前二作の監督を務めたジョン・ファヴローに代わり、ロバート・ダウニー・Jr完全復帰の足掛かりの一つとなった『キスキス,バンバン』のシェーン・ブラックがメガホンを。
非常に当たり前のことではあるんですけど、ソーはソーだしハルクはハルク。たとえソーが全身緑色の巨人になったとしてもそれは緑色のソーでしかないし、ハルクがミョルニルのハンマーを手にしたとしても、それは単に暴れん坊具合が増しただけ。ハルクの原動力は“怒り”だが、その怒りはバナーの根源的なものであっり、キャプテン・アメリカは自ら志願し行動した結果がキャプテンたらしめている。
じゃぁ、“アイアンマン”はどうなんだろうと。そのスーツを造ったのも、基本的に中に入っているのもトニー・スタークなんだからイコールになりそうな気もするが、“スーパーマン=クラーク・ケント”や“バットマン=ブルース・ウェイン”のそれとはちょっと違う感じも。事実、ウォーマシンはほぼほぼアイアンマンだし、本作には遠隔操作や自動操縦のスーツが登場し、ペッパー・ポッツがスーツを着用するシーンもある。これらは中身がトニーのアイアンマンとほぼ性能は一緒。ってことは、スーツさえ着てれば誰でもアイアンマンになれるってことになってしまう。そうすると、映画版だけに限って言えば“トニー・スターク=アイアンマン”とする決定打が見当たらなくなる。ちょっと分かりづらいが、鉄人28号と正太郎君がイコールではないのと同様な感じが。

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そんなキャラクターの関係性を四作目(アベンジャーズ込)にして見直したのが本作。
多少やり口は強引だし、「私こそがアイアンマンだぁ!」と断言されてもストンと落ち切らない弱さもあるのだが、徹底的にトニーが生身で戦う様を描くことでスーツ抜きのアイアンマンを作り上げようとした意思と目的が見えてくる。たまにスーツが出てくりゃポンコツですし。そこに集中しすぎちゃったせいで悪側の印象がフンワリとしちゃった感もあるが、最大の目的が“トニー=アイアンマン”とすることなので、仕方がないのかなと。
で、とことん追い詰められたトニーという重くなりそうな題材(事実予告編はウンザリするほど重苦しかった)なのだが、意外にも実に軽妙。というか、重さと軽さのバランスが絶妙。深刻な事態に深刻さを感じさせないエキセントリックなキャラやその役者のイメージを巧みに用いたり、出番こそ少ないが効果的なサイドキックや、バディアクションの要素、ど真ん中からちょっとズレた所に多数配置された笑いのポイントなど、さすが『リーサル・ウェポン』のシェーン・ブラックだなぁと唸らされた一本。
当初こそは「えぇ?シェーン・ブラックがぁ?」と驚かされたが、考えてみれば最近のマーベル作品って意外な監督を選びながらもその持ち味を活かす作品が多いので、これもある意味当然の結果だったのかなぁとも。

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“トニー=アイアンマン”になれたかどうかはさて置き、“トニー=ロバート・ダウニー・Jr”ってのだけは決定的だった本作。ずば抜けた頭脳ととてつもないエゴの持ち主で、尊大かつ軽薄で「クスリでもやってんじゃないのか?」と思えるほどキテレツ。なんかもうロバート・ダウニー・Jrそのものって感じ。
そんなロバート・ダウニー・Jrを筆頭に、今回はバディ色が強まっていた『クロッシング』のドン・チードル、トニーの尊大さが生み出したモンスターらしい卑しさが絶品だった『ロックアウト』のガイ・ピアース、『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』のベン・キングズレーといった、マーベル・シネマティック・ユニバースが本格始動する以前のアメコミ映画では考えられぬ顔ぶれが揃っていた本作。ただ揃っていただけではなく、ハマり切っているのだから見事。
ただまぁこればかりは個人の趣味なのかもしれませんが、相変わらず「グウィネス・パルトローがペッパー・ポッツ?」って印象は拭えず。出てこられても別に嬉しくないですし。中身の感じられないセレブ臭だけはばんばん伝わるんですけど、善と悪の双方に取り合いされるような才女には全く見えなかったなぁと。
その他、『ザ・タウン』のレベッカ・ホールや、さりげないながらも作品に大きな影響を与えていた『スリーデイズ』のタイ・シンプキンス、お馴染み御大スタン・リーや最後に登場するハルクことマーク・ラファロなども印象的ではありましたが、やっぱりなんといっても『マチェーテ・キルズ』のウィリアム・サドラーと『ロボコップ』のミゲル・ファーラーが強烈。この二人が大統領と副大統領って、どんなならず者国家なんだよと

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中身が無い者同士って意味ではお似合い

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posted by たお at 13:40 | Comment(2) | TrackBack(44) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月15日

俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク (Anchorman 2: The Legend Continues)

監督 アダム・マッケイ 主演 ウィル・フェレル
2013年 アメリカ映画 113分 コメディ 採点★★★

近頃じゃ地上波であっても何かしらの番組がほぼ24時間放送されてるんですけど、全放送が終わった後の試験電波の時間帯が案外好きな私。カラーバーかどっかの定点カメラの映像をバックに音楽が流れてるアレ。特にここらは田舎なもんでそんな時間帯は物音ひとつしない、まるで全世界の人が寝静まった若しくは居なくなってしまい自分が一人ぼっちになったかの感覚に浸る中、テレビから流れる音楽がどこか遠くにある放送局の暗いブースの中に、少なくても自分のほかにもう一人は起きているのかもと想像させてくれる、そんな時間が好きなんですよねぇ。

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【ストーリー】
サンディエゴの放送局で看板キャスターとして活躍していたロンと妻のヴェロニカ。しかし、妻がゴールデンタイムのアンカーウーマンに出世した一方で、ロンはクビを宣告されてしまう。自暴自棄となり家族も捨てたロンであったが、史上初の24時間ニュース専門チャンネルの放送局に誘われ、かつての仲間たちと共に再起を賭けニューヨークへと向かったが…。

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フェレル一人でも疲れるっていうのに、ポール・ラッドにスティーヴ・カレル、デヴィッド・ケックナーに豊富すぎるゲスト陣が笑かせにくるので、笑い疲れて最終的に無表情となってしまう俺たちニュースキャスター』の続編。製作にジャド・アパトー、監督/脚本に『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』のアダム・マッケイと前作と同じ布陣が再集結。
今回も疲れる。フェレルが話術に動きにあれこれ全力で襲ってくる片隅で常にカレルが反則ギリギリの笑いを生み出し、ポール・ラッドで一息ついたかと油断してるとケックナーにしてやられる。中盤過ぎる頃にはすっかり脱力感に浸ってるのに、リーアム・ニーソンにウィル・スミス、ジム・キャリーやらジョン・C・ライリーやらヴィンス・ヴォーンといった豪華ゲスト勢登場しお馴染みの大乱闘。「あれは誰なんだろう?」と画面の片隅に映った人を調べてみればキルステン・ダンストだったりする、もうギブアップの許されないわんこそばを食べてるかのようなお腹一杯っぷりを堪能。
キャンピングカー横転のシーンで見せるここ数年で最高のスローモーションシーンのように、全て笑わせる為だけのデタラメな作品のようでいて、シッカリとメディア凋落の様を端的に捉えてたりもするので侮れない一本に仕上がってるのは流石だなぁと。でも、やっぱり疲れる。

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主要キャストがそれぞれ好き勝手やっているようで実は絶妙なバランスを取っていたり、先に挙げたゲスト陣の他『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』のハリソン・フォードや『オー!マイ・ゴースト』のグレッグ・キニア、『宇宙人ポール』のクリステン・ウィグに『運命のボタン』のジェームズ・マースデン、『ゾンビーノ』のディラン・ベイカーといった顔ぶれが持ち味やイメージを活かした(若しくは巧みに崩した)役柄を演じる、キャスティングの業ってのが非常に利いていた本作。
キャスティング同様にその時代のカルチャーってのがもう一つの顔になってるシリーズではあるんですが、今回は多チャンネル時代の台頭って以外は、70年代から80年代へと移る瞬間ってのをあまり切り取っていなかった印象も。前時代の遺物が新時代を切り開くって趣もあっただけに、もうちょい時代臭ってのを強めても良かったのかなぁとも。
ところで、本国で公開されたバージョンやソフトのランニングタイム表記は119分。エクステンデッド版に至っては143分もあるようなんですが、私が観た日本版のソフトのランニングタイムは113分。劇場版と比べても6分も短い。「なんだい!ムキー!」と怒ろうと思ったんですけど、よく調べてみたらアメリカ・イギリス・カナダ以外で発売されてるのがこの113分バージョンのようですねぇ。じゃぁしょうがないのかと思いつつも、どうせ劇場公開なんて端からするつもりがないんだから、せめてソフトだけでも完全版で出して欲しかったなぁとも。

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小休止すらさせてもらえず

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posted by たお at 07:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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