2017年04月28日

キングコング:髑髏島の巨神 (Kong: Skull Island)

監督 ジョーダン・ヴォート=ロバーツ 主演 トム・ヒドルストン
2017年 アメリカ/中国/オーストラリア/カナダ映画 118分 アドベンチャー 採点★★★

映画好き人生の幕開けをギラーミンの『キングコング』で迎えちゃっただけに、コングにはある種の思い入れを持っている私。ただまぁ、キングコングを愛してやまないっていう思い入れではないんですよねぇ。なんかこう、“思い出の人”みたいな感じ。“キングコング”と聞いて真っ先に浮かぶのが、いまだに子門真人ですし。たぶん、女好き人生の幕開けとなった最初の彼女のことを否定はしないけど、別に引きずってるわけじゃないみたいな感じ?

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【ストーリー】
アメリカがベトナム戦争からの撤退を宣言した1973年。米政府の特務機関モナークは、南太平洋上に発見された未知の島“髑髏島”を探索するための調査団を結成する。護衛の米軍のヘリで島へ到着した彼らであったが、そこへ島の守護神キングコングが現れヘリを次々と破壊する。壊滅状態に陥った調査団は島からの脱出を図るが、彼らの前に次々と恐ろしい巨大生物が現れ…。

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GODZILLA ゴジラ』と世界観を共有し、2020年にはゴジラとの直接対決も予定されているアメリカを代表する巨大モンスター“キングコング”を、迫力ある見せ場たっぷりに描き出したアクション・アドベンチャー。メガホンを握ったのは、作品にもその影響を垣間見せるほど日本のアニメとゲームが大好きという、新鋭のジョーダン・ヴォート=ロバーツ。
『地獄の黙示録』を彷彿させるロックをガンガン鳴らした編隊飛行するヘリの前に、太陽をバックに立ちはだかる巨大コングの雄姿。もう、そのビジュアル一発で心を鷲掴みにされちゃった本作。ゴジラとのバランス調整のため更に巨大化したコングがヘリを蹴散らす登場シークエンスもそうだが、廃船のスクリューを武器とし『片腕カンフー対空とぶギロチン』ばりに敵対モンスターをぶちのめしたり、襲い掛かってきた巨大タコイカを返り討ちにし、その足をモシャモシャむさぼりながらその場を後にするなど昭和的男気描写も満載。
前のコングが作り手の思い入れと愛情が強すぎて観る側としては少々荷が重かっただけに、単純に「すげー!」と驚き楽しめるシーンが矢継ぎ早に出てくるってのが嬉しかった一本でも。
ただまぁ、その見どころのほぼほぼ全てが既に予告編で確認済みで、それ以上の驚きがないってのも事実。
独立した一本の作品から対決路線へ企画中に変更されたせいか、登場人物ごとにバラバラなストーリーが交じり合って大きな物語を作り上げるわけでもなく、各々が巨大なコングを背景に平行線のまま箇条書きをなぞった様な盛り上がりのない物語を展開してたのは、少々残念だなぁと。

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主人公であるはずの『アベンジャーズ』のトム・ヒドルストン扮するコンラッドはガイド以上でも以下でもないし、『キングスマン』のサミュエル・L・ジャクソン扮するパッカードも、戦いを終えたくないってバックグラウンドと部下の敵討ちってのは分かるが、あまりに闇雲。『10 クローバーフィールド・レーン』のジョン・グッドマン扮するランダの、髑髏島に巨大生物がいるって確信に説得力はないし、『ドン・ジョン』のブリー・ラーソンはタンクトップの胸元以外はもう記憶になし。まぁ、それはそれで大変満足しましたが。
“闇の奥”の作家と同じ名前を持つコンラッドが現地人の集落に行くと、そこで待ってるのは“闇の奥”の主人公と同名のマーロウだっていう小ネタと、出てくるのがマーロン・ブランドと対極にいる『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のジョン・C・ライリーだってのは非常に楽しめましたけど、出オチで終わっちゃってたのも残念。怪獣映画ってのは怪獣そのものの魅力も大切だけど、現実世界に非現実が混じりこむ醍醐味を形成するためにも、現実部分を担う人間描写ってのが大切なんだよなぁと、あらためて感じさせられた一本で。怪獣がいっぱい出てくるのは嬉しいですけど、髑髏島の魔境っぷりが乏しいってのも寂しかったですし。
ただまぁ、そもそもが東西横綱対決になるゴジラとの決戦を大前提としたコングの煽りVTRのような本作なので、キングコング単品としては少々首をかしげる部分もありますが、対決に期待を持たせるって意味では成功を収めている一本でも。エンドクレジット中にゴジラやキングギドラらのコピーライト表記が現れ大いにネタバレしてましたが、エンドクレジット後のオマケ映像も今後のシリーズに期待を寄せずにはいられないものでしたし。

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熱海で待ってます

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posted by たお at 04:48 | Comment(7) | TrackBack(0) | ★★★(まぁまぁ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月03日

FOUND ファウンド (Found)

監督 スコット・シャーマー 主演 ギャヴィン・ブラウン
2012年 アメリカ映画 103分 ホラー 採点★★★

子供の頃は、自分の両親や兄弟はそこらの大人よりはマシな人間だと信じてたもんですよねぇ。言われることに理不尽さを感じたり腹立たしさを感じたりすること多々でしたけど、“ちゃんとした人間だ”と疑いもしなかったもので。ただ、自分も大人になり家庭を持つ身となると、自分の両親は決して“ちゃんとした人間”じゃないことに気付かされたりも。素直にそういった部分を受け入れればいいんでしょうけど、なまじ厳しい家庭だっただけに、失望感の方が大きかったりするんですよねぇ。

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【ストーリー】
不協和音響く過程で育つ11歳のマーティ。彼の楽しみは、ホラー映画を観ることと過激なコミックを描くこと、そして家族の秘密を覗き見ることだった。母はベッドの下に昔のラブレターを、父はガレージにエロ本、そして兄はクローゼットに生首を隠している。ある日、兄のクローゼットに忍び込んだマーティは、そこに彼をいじめていたクラスメートの生首が隠されているのを発見する。そして、その秘密を知っていることが兄にバレてしまい…。

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わずか8000ドルの低予算ながらも、数々のファンタ系映画祭で受賞したことで話題となったホラー。『ロストボーイ』のお兄ちゃんは吸血鬼でしたけど、こっちのお兄ちゃんは猟奇殺人鬼。どっちがいいかな?
思春期を迎えると共に周囲の大人に対する不信感が芽生えていく様を、何気に巧みにとらえていた本作。不安定なカメラワークに露出過多気味の映像は、単に素人仕事が生み出したものなんでしょうけど、思春期の揺らぎと苛立ち、受け入れがたい現実とそこからの逃避を図る子供の心理状態と見事にマッチ。災い転じてなんとやら
淡々とし過ぎてるので眠気覚ましのサービスのつもりだったのか、中盤に兄の凶行をイメージさせるアナログなスプラッターシーンが結構な尺で放り込まれてましたが、残念ながらオチのインパクトを薄める以外の効果なし。ちょいとそこが残念ではありましたが、さり気なく序盤のセリフと対をなす、凄惨ながらも諦めと独特のユーモア、ちょっとした美しさすら感じられる形だけの家庭が迎えたエンディングはやはり秀逸。親子愛とは明らかに違う、極端な愛憎混じった兄弟愛もちゃんと描けてましたし。
ヘル・レイザー』や『ミディアン』と、やたらクライヴ・バーカーを推すホラー映画愛溢れる小ネタの数々もさることながら、可愛さの中に陰があるマーティ役のギャヴィン・ブラウンや、少しばかり若い頃のヴァル・キルマーを彷彿させる兄役のイーサン・フィルベック、自然体過ぎる他の子役らと役者も印象的だった一本で。

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“お兄ちゃんが猟奇殺人鬼”って、小学男子にとっちゃちょっとしたステータスだよなぁ

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posted by たお at 15:15 | Comment(1) | TrackBack(2) | ★★★(まぁまぁ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月09日

トマホーク ガンマンvs食人族 (Bone Tomahawk)

監督 S・クレイグ・ザラー 主演 カート・ラッセル
2015年 アメリカ/イギリス映画 132分 西部劇 採点★★★

日付的には先日の『スーサイド・スクワッド』が2017年一発目のレビューってことになってますけど、昨年末からの年跨ぎで書いてたやつなんで、実際の本年度一発目の映画レビューはコレ。新年早々“食人”。なんかこう、良い一年になりそうだなぁ。

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【ストーリー】
西部開拓時代のアメリカ。荒野に佇む町の保安官ハートは、町に現れた不審な男を勾留する。しかし、その翌朝。町には八つ裂きにされた死体が残され、勾留していた男と保安官助手、男の治療のために残っていた女医らが忽然と姿を消していた。保安官事務所に残されていた矢から、荒野に潜む未開の部族の仕業であることが判明する。保安官と老保安官助手のチコリー、女医の夫のアーサー、そして原住民討伐に執念を燃やすブルーダーら4人は、部族の集落へ救出に向かうのだったが…。

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荒野での過酷な旅路と、食人部族との凄惨極まりない戦いを描いた異色の食人ウエスタン。S・クレイグ・ザラーが自身の脚本を、初メガホンを握り映像化。僅か180万ドルの予算と4週間の撮影期間で作り上げられたことも話題となった本作。
“西部劇”と“食人”。ゲテモノ感と地雷臭ハンパない組合せながらも、その双方が思いのほかシッカリと作り上げられていたことに驚かされた本作。境界線の向こう側は未開の地である開拓地の生活や、その町に流れる空気感が見事に表現されていた西部劇パートと、プレデターチックな食人部族による、アナログな特殊メイク特有の汚らしい不快感が堪能できる、切断に股裂きなど豊富なゴア描写満載な食人パートの双方楽しめたお得な一本。自然や未知なものに対して無力となってしまう文明人や彼らのエゴなど、テーマもぶれずにきちんと描けていたのも立派。
少々抑揚に欠ける冗長さも感じられた本作。しかしながら、セリフとセリフの間に意味合いを持たせる脚本家らしいドラマ作りをしているのでその冗長さも味となっており、低予算・短期間であっても撮りたいものがハッキリしていて、無駄を省いてその目標にまっすぐ進めば面白い作品になるというお手本のような一本で。「四人の男が困難に遭うぅ〜♪」って歌い上げる、監督も作曲に携わったエンディング曲も素敵でしたし。

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西部男が案外ハマる『ワイルド・スピード SKY MISSION』のカート・ラッセルを筆頭に、カウボーイっぽさはちょっと感じられなかったものの、愛妻のために全てを投げうつ真っすぐさがピッタリだった『死霊館 エンフィールド事件』のパトリック・ウィルソン、悲惨な過去故の冷徹な男となった複雑な役柄を見事に演じきった『バンテージ・ポイント』のマシュー・フォックスに、コミックリリーフながらも亡き妻と保安官に対する絶対的な愛情を巧みに表現した『アウトロー』のリチャード・ジェンキンスといった、初監督で脚本家としての実績も過去一本のみしかない監督の、表面上はゲテモノ映画である作品とは思えぬ顔触れが集結しているのにも驚かされた本作。しかも、それぞれが求められているキャラクター像をしっかりと表現してましたし。
そんなメインどころのみならず、久々に見れて嬉しかった『スパイダー パニック!』のデヴィッド・アークエットや、『デビルズ・リジェクト〜マーダー・ライド・ショー2〜』のシド・ヘイグ、『マインドハンター』のキャスリン・モリス、相変わらずの棒読みっぷり際立つ『リンカーン弁護士』のマイケル・パレに、『ブレードランナー』のショーン・ヤングまで出てきちゃう、物語同様に王道とゲテの融合が果たされているキャスティングも魅力だった一本で。

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「殺すぞ!」ってのもヤダけど、「食べるぞ!」ってのはもっとヤダ

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posted by たお at 14:35 | Comment(0) | TrackBack(1) | ★★★(まぁまぁ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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