2017年02月17日

シング・ストリート 未来へのうた (Sing Street)

監督 ジョン・カーニー 主演 フェルディア・ウォルシュ=ピーロ
2016年 アイルランド/イギリス/アメリカ映画 106分 ドラマ 採点★★★★

筋金入りのボンボンが多く集まる中高一貫の男子校に入学するも、田舎者の成り上がり臭が悪目立ちしてしまったせいで、決して幸せとは言えない過酷な中学三年間をようやく終え、高校進学を機に自分を変えようと決心した1985年。スポーツ刈り一択だった髪を伸ばし当時好きだったハワード・ジョーンズ風の髪形にし(「ん?チェッカーズ好きなん?」と何度聞かれ、何度全力で否定したことか)、第二次パンクブームに乗っかり楽器も弾けないのにクラスメイトらとバンドを結成。音楽繫がりでこれまで話をしたこともない、もしくは極力近づこうとしなかった同級生らとも交流が深まり、ついこの間までいたカーストの最下層からようやく脱出することに。

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【ストーリー】
1985年、アイルランドのダブリン。父親の失業によって、名門私立学校から荒れた公立学校へ転校した14歳の少年、コナー。学校にも家庭にも問題を抱えたコナーだったが、ある日出会った自称モデルの美少女ラフィーナに一目惚れ。つい「僕のバンドのプロモビデオに出演して!」と彼女の関心を引くため出まかせを言ってしまったコナーは、大慌てでバンドを結成。仲間と共に猛練習を始めるのだったが…。

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学校から直帰の生活パターンも変わり、練習スタジオでダラダラと過ごしたりライブハウスを出入りしている内に様々な人と出会ったのもこの頃。30過ぎて独身でギターショップでバイト中の夢追い人という、世間一般的には負け犬扱いだったけど、当時の自分にとっては輝いてた人々や、音楽界隈に巣食うちょっとエキセントリックな女性たち、そんな人たちが集うバーのマスターなど、これまで出会うことのなかった人々とドップリと交わったもので。音楽、映画、料理、酒、アートなどなど、今の自分の知識の発端は全てここにあるといっても過言じゃなし。
「モテんじゃね?」と邪な動機が根底にあったバンド活動でしたけど、案外そんなにモテず。ただ、妙に自信が付いたせいか、女性に対しやたらとアグレッシブになってたのもこの時期。もともと年上が好きってのもありましたが、「どうせ振られるなら」と高嶺の花ばかりに突進していたもので。付き合えたら付き合えたで、相当背伸びしないと釣り合えないので、心身共に疲労困憊しちゃうんですが。
振り返ってみると、1985年を起点としたこの数年間が今の自分の大半を作り上げてることに気付かされること多々。良し悪しは別にして、自分の決断や行動が生んだ結果なので、然程後悔はないんですよねぇ。少なくても、いまだになんだかんだ日々楽しく過ごしてるのも、あの年月を過ごしたおかげだと思ってますし。そのせいか、趣味も仕事も恋愛もなにもかもを居心地の良さを重視しちゃう若い衆と飲んだりすると、「もっと背伸びしろやぁ!」と説教モードになっちゃうこと多々なんですけど。

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そんな思い出話をダラダラとしてしまいたくなるほど“あの当時”を存分に思い出させてくれた、『ONCE ダブリンの街角で』のジョン・カーニーによる青春ドラマ。新人のフェルディア・ウォルシュ=ピーロが主演を務め、共演にルーシー・ボーイントン、『ブリッツ』のエイダン・ギレンらが。
監督の実体験を基に描かれた本作。「あの時こうしてれば…」ってのをベースに物語が進むが、年を経てから振り返った時にありがちな冷静さや美化のし過ぎなど一切なく、まるでこの間の思い出を振り返ったかのような瑞々しさが見事。登場人物の思考、言動、視野など作品の隅々が思春期そのもの。タイムマシンに乗って時間だけが“あの時”に戻るのではなく、身も心も戻っている感覚と言うか。
私自身も一番楽しい時間だと思っている、関係性が成立する直前の恋愛模様の描き方も素晴らしかった本作。また、その恋愛が「末永く幸せに暮らしたとさ」みたいな大袈裟な一生ものとして描くのではなく、今現在の自分を形成してきた、いくつかある中で忘れ難い一つの恋愛として、ある種の割り切りをもって描かれていたのも好印象。勢いだけでは乗り切れない、前途多難にも程がある『卒業』的エンディングを迎えながらも、そのおよそ3秒前のような、二人の関係性の頂点であり終わりの始まりの(彼女の方はもうちょっと前に気付いているようでしたけど)絶頂の瞬間で切り取る、爽やかさとモヤモヤが混じったエンディングのタイミングも見事。
金も車もなければ力も知恵もない少年が、自分の想いだけを武器に年上の女性にアタックし続ける様や、彼女のちょっとした言葉や仕草などに喜怒哀楽する様など、主人公の気持ちが他人事とは思えぬほどわかり過ぎちゃうと同時に、色んな記憶の蓋がパカパカと鑑賞中に開く、記憶復元映画の様相すら。きっと世界中に何万人といるんでしょうが、「なんだ?これは俺の話なのか?」と錯覚してしまう瞬間多々の、思い当たる節だらけ作品で。

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1985年を表す楽曲の数々と音楽ネタに溢れているのも本作の魅力。そもそも、デュラン・デュランの“リオ”賛美から始まる映画を嫌いになれるわけもなし。それらの楽曲が「あー、懐かしい!」で終わらず、主人公の思春期特有の揺らぎと成長を表現しているのも巧かった本作。バンドの楽曲や主人公の扮装ががニュー・ロマンティックで始まり、兄お薦めのホール&オーツやジョー・ジャクソンで背伸びし、最終的にザ・キュアに着地する、まさに思春期絵図。季節ごとに髪形もファッションも大きく異なってた当時の写真を見てるかのような、この辺も思い当たる節あり過ぎで、思い出したくないことも一緒に思い出しちゃって大声出したくなる瞬間多し
強いて言えば、デマカセから始まった急造バンドにしては作曲レベルも演奏レベルも高過ぎで、ちょいとその辺に現実味と言うか身近さが感じられない部分が。まぁ、卓越した音楽センスを持ち、尚且つ主人公の要望に文句ひとつ言わず「いいね!やってみようか!」と応え続ける、U2におけるジ・エッジのようなエイモンという存在が居たからこそのバンドレベルなんでしょうけど。だったら、エイモンも一緒にロンドンに連れてくべきだよなぁとも。
そう言えば、前年の『焔』のリリース、バンドエイドへの参加に続き、この年はライブエイドへの出演でいよいよ人気が世界レベルになってきたアイルランドご当地の星U2が劇中全く触れられていないってのが不思議だったんですけど、スケジュールの都合で頓挫しちゃったそうですけど、当初はボノとジ・エッジが作品にコラボレーションする予定だったようですねぇ。まぁ、頓挫したおかげで楽曲のバラエティが豊かになったかも知れませんけど。

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自分のバンドのデモテープに、他のライブアルバムの歓声を多重録音しちゃったりしてたなぁ…

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2017年01月17日

13時間 ベンガジの秘密の兵士 (13 Hours)

監督 マイケル・ベイ 主演 ジョン・クラシンスキー
2016年 アメリカ映画 144分 アクション 採点★★★★

私は“ずんだ”をこよなく愛しているんですが、同じ宮城県民でもずんだが大嫌いな人ってのは当然いるわけで。そういう人に対し、「あんな美味しいものを嫌いだなんて、人間として信じられない!」と断罪するのは大間違いですよねぇ。ましてや、「ずんだの素晴らしさを教えてやる!」とばかりに、口に無理やりずんだを詰め込むなんてもってのほかで。分かり合えない人ってのは必ず居るわけなんですが、そういう人には善意を押し付けず、敢えて“分かり合わない”ってのが互いの平穏にとって大切だと思うんですよねぇ。極論ではありますけど、今の世の混乱って、結局のところ善意の押し付け合いなんですよねぇ。

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【ストーリー】
2012年。アメリカで製作された、イスラム教の預言者ムハマンドを揶揄した一本のアマチュア映画に激怒したイスラム教徒によって、イスラム諸国でデモが多発。最も危険な地域と化していたリビアの米領事館にも、武装集団が押し寄せ、米大使らが孤立してしまう。近くにあるCIAの秘密基地で職員を守る任務に就いていた民間軍事請負会社の兵士6人は、待機命令を無視し大使らを救出に向かうのだったが…。

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2012年に発生した“2012年アメリカ在外公館襲撃事件”を基に映画化した、軍事アクション。メガホンを握ったのは、トランスフォーマー以外はことごとく日本未公開になってる気がする、『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』のマイケル・ベイ。
この事件の直接の発端や、そこに至るまでの経緯や背景など思うことは多いんですが、それを書き始めると長くなる上に、そんなことに考えを馳せさせるタイプの作品じゃないので割愛。そういうのが観たければ、ポール・グリーングラスの作品を観ますし。
で、本作。オバマ政権の及び腰っぷりや、欧米の傲り、その後の混沌を匂わす描写もあるが、全編を通し描かれているのは戦う男たちの絆と美しさ。もうそこ徹底的に。ザックリと言えば、『ザ・ロック』で最もカッコ良かったシールズのシーンだけで一本の作品にしたって感じ。アドレナリンとエモーションをコッテリと盛り込み、戦う男たちの美をネットリと映し出す、マイケル・ベイのフェチズム満載の一本。

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非公式な存在故に援軍もない孤立無援の状況下、たった6人の民間兵士が熾烈な戦いを繰り広げるシチュエーションや、高学歴のCIA職員に見下されていた彼らが戦いの開始と共に立場が逆転する、鉛玉がインテリジェンスを凌駕する瞬間など、ベイの好きなものだけで構成されていた本作。
シーン毎に外の明るさが異なっていたり、人と出来事の位置関係が分かりづらいベイ演出の悪い部分は相変わらずだが、題材が題材なだけにベイ映画の良い部分が凝縮されているので、粗はほとんど気にならず。CGに頼らず実際にモノを破壊する、破壊王マイケル・ベイの本領もたっぷり発揮。
ザ・マペッツ』のジョン・クラシンスキーや『THE GREY 凍える太陽』のジェームズ・バッジ・デールなど、所謂スターではなく“戦う男”の顔をした役者を集めていたのも好印象だった本作。みんな髭面なので、途中誰が誰だか分からなくなることも多々ではありましたが、誰かが突出するのではなく、チームを描く映画なので、然程文句のないキャスティング。家族を置いてでも戦地に向かう、戦うことでしか生きがいを感じられない男たちって感じが良く出てましたし。

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こっちも我が家

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