2007年 アメリカ映画 90分 コメディ 採点★★★
春の陽気に誘われて、身も心も緩みっぱなしのたおです。緩みついでにDVDでも観ながら大いに笑おうかと思いビデオ屋に向かうも、邦画の新作コーナーは死んだ人の話かこれから死ぬ人の話ばかりでどうにも辛気臭い。じゃぁ洋画の新作コーナーはと言えば、「ゾンビだぁ!」「監禁だぁ!」と、えらく血生臭い。“映画を観ながら笑う”ってのは、いつの間にか難しいことになってしまったんですかねぇ。
【ストーリー】
ランディはかつて12歳でオリンピックに出場したほどの天才卓球少年であったが、今では場末のカジノでピンポン芸を披露して日銭を稼ぐブクブクと太った中年男と成り果てていた。しかしある日、FBIから極悪人フェンが主催する闇卓球大会に参加しフェンの尻尾を掴む事を依頼されたランディ。フェンが亡き父の仇である事を知ったランディは、すっかりと錆び付いた卓球の腕を卓球仙人ワンとその姪マギーの下で磨き直し、闇卓球大会に参加するのだが…。
『ナイト ミュージアム』の脚本家コンビによる、コメディが冷遇されている日本においては、超大物スターが出ているわけでもないのに珍しく全国公開されたコメディ。権利料が異様に安かったんですか?
“卓球版『燃えよドラゴン』”ってことではあるが、大まかな枠組みを『燃えよドラゴン』から拝借しただけで、卓球版パロディではない本作。作品自体も、売り出し中のコメディアン主演作らしく「これから頑張っていきますんで、よろしくお願いします!」的な教科書通りの作りで、期待通りの場所やネタで笑いを生み出すが、全く予想外の所から笑いが飛び出すまでの破壊力はない。ある意味マイノリティが活躍するって点では『燃えよドラゴン』と同一線上にあるようにも思えるが、「よりによってこのスポーツで」って所で笑いを生み出すって点では、受ける印象は『ドッジボール』にも近い。ただし、『ドッジボール』は競技とその周辺の負け犬たちを笑い飛ばしつつ愛着を感じさせていたのだが、本作は笑い飛ばして終わってしまっている感もある。しかしながら、ダン・フォグラーの歌芸と“小っちぇえ奴”を演じきる負け犬芸は見事。登場する度に仄かに感じる不快感は、芸が弾けた時に高い笑いを生み出すであろう期待が持てるだけに、今後が非常に楽しみで。
非常に安全運転な印象を受けた本作。『燃えよドラゴン』遊びもニセドラゴンのジェイソン・スコット・リーが出てくるだけで終わってしまっているのだが、どうせなら地下牢でヌンチャク代わりにラケットで暴れてみたり、ラスボスの腕に付けるアタッチメントが熊手ではなくラケットだったり、こっそりとサモ・ハンが隠れてたりと徹底的に『燃えよドラゴン』を卓球でなぞっても良かったのではと。こっそり隠れているのがマシ・オカじゃ、「ヤッター!」って気分にもなりませんし。
感想を聞かれれば、「思ってたよりは面白かったよ」と答える本作の“思ってたより”を生み出しているのが、『もしも昨日が選べたら』のクリストファー・ウォーケン。もう、圧巻。髪の毛の立ち具合が好不調のバロメーターなのではと読んでいるのだが、今回はもう絶好調のようで。ボケとツッコミというのを優に超越したウォーケン仕事のおかげで、彼が登場する中盤以降、作品の面白さ自体格段と上がっているようにも。今回も“楽しそう”ってのを仕事選びの基準にしているような気がするクリストファー・ウォーケンなんですが、やっぱりいくつかの作品が作られているスタジオの前に立って、ドアの向こうから笑い声が聞こえてくる方のスタジオへと行っちゃったりするんでしょうか。
そんなクリストファー・ウォーケン以外にも、80歳にもなろうというのにTV・映画を問わず膨大な量の仕事をこなし続けるジェームズ・ホンに、イロモノでは終わらせない芸幅の広さが魅力のケイリー=ヒロユキ・タガワ、ここ数年非常にいい仕事振りが目立ってきた『ネバー・サレンダー 肉弾凶器』のロバート・パトリックと、売り出し中の若手をサポートするにはこれ以上とない顔ぶれが脇をがっちりと固める本作。しかし、やはり一番目を引くのは幸薄顔が大好きな私にとって麻生久美子に次ぐ女神である『ダイ・ハード4.0』『M:i:III』のマギー・Q。ちょっと痩せ過ぎの気もしないでもないが、その薄い顔立ちと、ビックリするほど薄い胸板やらなにやら露出も高めでデレデレとしっ放しだったので、★ひとつオマケ。
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