2007年 アメリカ映画 84分 サスペンス 採点★★
マルチトラックを使って家でデモテープなんかを作る時って、ヒーコラ頭悩ませながらオリジナル曲を作るのも良いんですが、好きなアーティストの曲なんかをコピーして作ってる方が楽しかったりするんですよねぇ。とても手に負えないギターリフやベースラインなんかは、“アレンジ”という名の下に改悪して。で、出来上がった物はあたかも自分が作った曲のような感じがして、とてもとても他人様には聴かせられる代物なんかじゃないんですが、自分だけはとっても楽しいんですよねぇ。
【ストーリー】
大学生のグレースとジムは、長距離のドライブの途中で立ち寄ったガソリンスタンドで、ジョン・ライダーと名乗る男の頼みを断れず近くのモーテルまで車に同乗させることに。一見人当たりのいいジョンであったが、突然ナイフをグレースに突きつけ…。
言わずと知れた1985年の傑作サスペンス『ヒッチャー』のリメイク。そんなにオリジナルが好きなら、大金掛けて作り直さないでDVDを買って家で繰り返し観ればいいじゃんとも思うのだが、完成品からは“好きだから”って匂いが全くしないのが困りものの一本。
“夢を求めて旅に出る青年が、内なる衝動を止められず繰り返される殺戮の日々に疲れ果てた男によって一人前の男に鍛え上げられる”をベースに、“男と青年の不可思議な心の繋がり(もしくは愛)”、“男にはなったが少年にはもう戻れないほろ苦さ”、“殺人鬼にとってのハッピーエンド”など、オリジナルの骨であり血であり肉であった全ての要素がゴッソリと抜け落ちた本作。そんなビロビロとのびた皮だけのような作品をオリジナルといちいち比較して「あーだ、こーだ」言うだけ無粋なんで、志しからして既に著しく低い主人公カップルが、なんだか怖い人に追っかけられるよくあるサスペンス物として楽しもうと思ったのだが、なまじオリジナルを完コピしたシーンと独自にアレンジしたシーンの意味が全く繋がらないが為に、何故ジョン・ライダーが「殺してくれ」と懇願するのか、何故しつこく追ってくるのか、何故彼らは素直に警察に全てを話さないのかといった、オリジナルの作品として考えても肝心な部分が意味不明のアヤフヤな作品に。ナイン・インチ・ネイルズの“クローサー”の使い方がこれまたアヤフヤで辟易させられたが、オリジナルでは見せることのなかったトラックに手足を繋がられたまま引き千切られるシーンを視覚化した根性は良しと。まぁ、「手足を思いっ切り引っ張ったら“カランバ”になんないとダメだろ?」と、小さなツッコミは入れましたが。
全く見所のなさそうな本作であるが、いやいやいや、どうしてどうして。ショーン・ビーンが出てるじゃないですか。それで充分じゃないですか。触れるだけで皮膚が裂けてしまいそうな鋭さと冷たさを持ちつつも、どこか淫靡な香りすら漂わせ、“ジョン・ライダー”という思いつき以外の何物でもない名前に出自が見えないだけではなく、荒野に吹き荒ぶ砂が恐怖そのものとして形になったんじゃないかとすら思えてしまう、“人間以外の何か”を感じさせたルトガー・ハウアーと同じ役に、髪を短く刈り込んで挑んだ心意気だけでも素晴らしいじゃないですか。心意気だけですが。
で、本作のショーン。土砂降りの雨の夜中にヒッチハイクするも、主人公に乗せてもらえません。あと一歩の所で逃げられます。詰めが甘いです。いつものことです。あとからやって来たトラックに乗せて貰って主人公カップルに追いついたショーンですが、トラックの運ちゃんは殺しません。手強そうだったんでしょうか?結局ショーン、カップルのお兄ちゃんにお店で「乗せて♪」と頼み込みます。既にヒッチハイクですらないです。嫌々ながらも乗せて貰えたショーンですが、招かれた乗客であったルトガー・ハウアーとは扱いが大違いです。切ないです。なんだかんだとカップルを怖がらせることには成功したショーンですが、最後は何の意味も見出されないまま死んじゃいます。靴が片方脱げてます。ちょっとカッコ悪いです。そんな、後に何にも残らない生き様で一生を終えてしまったショーン・ライダーですが、車から蹴落とされた時に一緒に落ちてきた女の携帯電話で、あちこちに電話しまくってたらいいなぁと。事件が終わって家に帰り一息つく女のもとに、とんでもない金額の電話代が請求されてたらいいなぁと。請求書を見ながら女が「あんちきしょー!」と悲鳴を上げる別エンディングが見たいなぁと。
乗せてすら貰えないとは思いもしなく
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やっぱり、オリジナルとは比べ物に
ならないですよね〜っ?
ショーン・ビーンは頑張ってましたが(笑)
なんだかな〜、と最後は思っちゃいましたから。
オリジナルと比べちゃダメですよ!
可哀想じゃないですか。
特にショーンがw
この作品、劇場で観てしまいました。大画面で見るとまあ、それなりに、面白いところもある気がします(汗)
オリジナルのジョン・ライダーとは全然違う、ショーンのライダーはそれはそれでアリかも。初めてみる雰囲気で怖かった。いっそ「ヒッチャー」のリメイクだというのを伏せておけば、苛つかずにショーンのよい演技が楽しめたかも(笑)
ヒッチハイクをしてるのに車に乗せてもらえない時点で、もう既に『ヒッチャー』じゃないですしねぇw
まぁ、そんなにイライラもせずに一所懸命頑張ってるショーンを観れたんで、そんなに不満もないんですが。
それ、哀生龍も思いました(笑)
もしかして、そっちの方で背筋の寒くなる展開があるのではないかとの、一抹の期待も。
携帯のメモリーに残っていた恥ずかしい彼や友人との画像が、ネットに流れるだけでも・・・
ショーンのヒッチャーじゃ、ネットに 投稿すら出来そうにないけれど(苦笑)
そういう小さい嫌がらせが似合うショーン版ヒッチャーでしたねぇw
オリジナルにはもちろん及ばない本作でしたが、ショーンを堪能するには丁度良い作品で!