2006年 アメリカ映画 126分 サスペンス 採点★★★
ちょっと態度が悪かったぐらいで「あんたの映画で泣いたのに!あの涙を返せ!キーッ!」ってバッシングに走るのもどうかとは思うが、人ってのは画面の向こうの人物に対し、演技していることは理解しつつも“本当にそういう人であって欲しい”“いや、きっと本当にそういう人だ”“そうに違いない!絶対そうだ!”と思いたがるようで。そんな思い込みをいつまでも押し付けられるのは、とても辛そうですねぇ。
【ストーリー】
絶大な人気を誇ったTV番組“スーパーマン”の主演俳優、ジョージ・リーブスが、自宅で死体となって発見された。警察は自殺との見解を示したが、納得が出来ないリーブスの母親は私立探偵シモに真実の究明を依頼するが…。
ハリウッドスキャンダル関連の本だと、大体最初の方には必ず載ってる“スーパーマンの自殺”をモチーフにした一本。
うらぶれた私立探偵をメインに50年代ハードボイルドの世界を色濃く打ち出した“現在”と、ハリウッド帝国の荒波に乗り切れなかったリーブスの“過去”をクロスオーバーさせながら、夢を売ってるからといって夢の国では決してないハリウッドの闇と、TV人気の拡大、若者文化や現実の変化についていけなくなり急速に衰えていくハリウッド帝国の様子を映し出す本作。物語のメインも“ジョージ・リーブスの死の謎”ではなく、彼を含めた映画人とその周辺に生きる人々の悲哀を描くものであるので、謎解きを求める方には不向きな作品ではあるが、その時代の香りを僅かにでも感じさせる分には非常に興味深い作品である。押し潰す者もやがては押し潰される側となり、本当に大切な物に気付いた時にはあまりに時間が経ち過ぎていたことに気がつく結末も、いたく切ない。これでもう少しメリハリと映画的見せ場に富んでいれば良かったのだが、あまりに淡々としすぎた上に構成も非常にTV的であるのが残念でも。
ヒモ気質というか、いつの間にか転がり込んで居座ってそうというか、まぁとってもモテそうだから大嫌いな俳優の一人である『ジャケット』のエイドリアン・ブロディ。個人的に嫌いな人を思い出しちゃうし。それはさておき、本作でもその“ダメ男”っぷりを遺憾なく発揮し、見事にハードボイルドの世界に生きるうらぶれた私立探偵を熱演。嫌いな俳優だが、いつも“上手い”と唸らさられる。そこがまた癪に障るんですが。
そのエイドリアン・ブロディを筆頭に、時代と舞台にぴったりとハマる役者が揃った本作。肌年齢を微妙に調整して嫉妬と不安に駆られる中年女性の心境を巧みに演じた『理想の恋人.com』のダイアン・レイン、時代物には欠かせない俳優の一人となった『ダニー・ザ・ドッグ』のボブ・ホスキンスと実力派揃いの中、大味な映画で大味な演技ばかりしている心象が強まっていた『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』のベン・アフレックが一際輝く存在に。隠し切れない下品さと貪欲さ、そして脆さを見事に表現。こんなベン・アフレックをここしばらく観ていなかったので、素直にビックリ。
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ちょっとTV的でしたか。
まぁスケールはあまり大きくない感じでしたけど、
なかなか楽しめました。
面白い題材を面白いアプローチで描いているだけに、もうちょっとだけ映画的なケレン味があればなぁと。。。
なるほど、そうだったんですね。
何となく違和感というか
盛り上がりに欠けるというか、
面白いんだけどいまいちというか、
そういう気がしてました。
ダイアン・レインはこのところ大活躍ですね。
「ジャンパー」ではヘイデンの母。
「ブラックサイト」(4/12より)でも活躍するようです。
大根役者を演じていたのか、素なのか断言しにくいところですが、普段の仕事振りからすると後者かも^^;
あと一歩羽目を外せてれば面白味も断然変わってたんでしょうけど、如何せん真面目さばかりが前に出ちゃってましたねぇ。
ダイアン・レインが大活躍ってのは嬉しい限りですが、彼女の全盛期に青春時代を送ってた身には、「ヘイデンのお母さんかよぅ」と、寂しさも^^;
私もベン・アフレックを再評価しました。
最近ちょっと演技の面ではマット・デイモンと差が付いたような気がしてましたけど、まだまだ捨てたもんじゃない(失礼w
隠しきれない下品さって言う表現がイイですねw
性格的にもとっても彼向きに感じましたw
最近は演出家として手腕を発揮してるベンアフですけど、こういう卑屈さを持った役柄だとやっぱり輝きますねぇ。卑屈のプロ!