2006年 タイ映画 103分 アクション 採点★★★
私の住んでいるこの辺は田畑の多い田舎町のせいか、夕方にもなると空を黒く染めるほど大量のカラスが。鳴声のうるささもさることながら、あれだけの数になるとフンも相当な量で、困り果てた住人がアレコレ考え抜いた結果、導き出された対策が“ロケット花火でビックリさせる作戦”。おかげさまで私の住む此処は、一年を通して雑貨屋の店頭にロケット花火が並び、夕方にもなるとあちこちからロケット花火が打ち上げられる町に。それはそれで、うるさい。
【ストーリー】
大小さまざまなロケット花火を武器に、両親を殺した男を探す為に牛飼いを追い回すロケットマン。遂にその宿敵を見つけたロケットマンであったが、その宿敵は妖術使いで…。
『七人のマッハ!!!!!!!』のダン・チューポン主演による、近くの敵はムエタイで、遠くの敵はロケット花火で蹴散らすロケットマンの活躍を描く一本。
欧米諸国の介入により近代化を強いられる20世紀初頭のタイを舞台に、“尊ぶべき固有の文化=牛”“強いられる近代化=トラクター”とテーマを非常に分かりやすい例えにして背景に溶け込ませ、それを打点の高いムエタイに、ひたすら痛いのを我慢する体を張ったスタント、妖術、笑い、ウエスタン、仏様と、タイ娯楽映画の要素のほとんどをワンパクに詰め込んでザックリと仕上げた本作。肝心のロケットマンが別に物語上重要じゃなかったり、ワイヤーワークがビックリするほど雑だったり、ロケット推力で進む馬車(牛車?)が思いのほか遅かったりと、粗も目立つ作品ではあるのだが、身体能力の高さを堪能できるアクションと、でっかいロケット花火に乗って主人公が飛んでくる見た目のインパクトで、概ね帳消し。高い身体能力によって繰り出される華麗なアクションの迫力を洩らさぬよう、引き気味で全体像を捉える撮影も良い。ただ細かい不満とはなるのだが、そのアクションの始動点から到達点までをワンカットでは収めず、到達点のほんの僅か手前でカットが変わってしまうのには、寸止めを食らったようなじれったさを。
両親の仇を探す為とはいえ、然程罪深くもなさげな牛飼いを襲い続ける甚だ迷惑な主人公に扮するのは、『七人のマッハ!!!!!!!』のダン・チューポン。目を見張る見事なムエタイ技とは裏腹に、そのぎこちない台詞回しと演技も相まって、主人公のロケットマンに“童貞臭”という一面を加えることに。思い込みが激しく、女の子の前では緊張して話も出来ない割には格好をつけたがり、関心事を隠しきれない目線に、妖術使いを倒す為に処女の生理の血が必要であるとはいえ、「生理はまだか?」と女の子にヌケヌケと聞けるデリカシーのなさは、まさに童貞。大体13歳。その童貞に生理待ちをされる、劇中の設定から逆算すると精々11歳かそこらということになってしまうヒロインには、カンヤパック・スワンクート。どことなくセガールの娘っぽい。
『マッハ!』『トム・ヤム・クン!』ではアクション監督、『七人のマッハ!!!!!!!』では監督を務めたパンナー・リットグライが敵役として登場。本作でもアクション監督を務めてくれたら良かったのに。
見た感じ、こっちの方がロケットマンっぽい
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