2007年 アメリカ映画 113分 コメディ 採点★★★★
カブトムシを追っかけてるより女の子と遊んでいる方が楽しいと感じるようになってからは、それこそ覚えたてのサルの如く女の子ばっかり追っかけてた私。身体中の血液が下半身に集中したかのように見境なく遊び歩いてはいたものの、その間男友達とは著しく疎遠に。それはそれで、なんとも寂しいもんなんですよねぇ。
【ストーリー】
セスとエヴァンとフォーゲルは、なにもかにもが冴えない童貞三人組。高校生活を童貞のまま終えてしまうことに焦りを感じる彼らだったが、ある日ローゲンが偽のIDを獲得。「これさえあれば酒が買える!」「酒さえあればパーティーでモテモテ!」「さらば童貞!」と、喜び勇んで酒店へと繰り出すのだったが…。
『40歳の童貞男』のジャド・アパトー製作による、タイトルとは裏腹に超イケテない少年達の童貞喪失奮闘記。
エロネタ、チンコネタ、ゲロネタと、男の子たちにとっては拍手喝采スタンディングオベーション級ながらも、良識ある大人の方々には毛嫌いされるシモネタのオンパレードである本作。そんなシモネタの数々を「グヘヘ、ゲヘヘ」と楽しむのも良いが、本作はそれだけの作品ではない。主人公らの名前からも分かるように、脚本を担当したセス・ローゲンとエヴァン・ゴールドバーグの自伝的意味合いを持つ本作は、言ってる事だけは立派だが全く冴えない主人公らを、非常に暖かみのある視線で見つめている。時に懐かしみ、時に恥ずかしがり、そして時に混乱と狂乱に誘う警察官として直接語りかけながら、男の子として最後で最良の時を過ごす主人公らを見つめる。童貞喪失までのドタバタを描いているが、それは同時に高校卒業することでそれぞれの道を歩み始める主人公らの少年時代の終わりも意味しており、その切なさが作品を徐々に包み込み、いくら振り返ってもどんどん遠のいていってしまう少年時代と、それぞれの道を歩み始める彼らの“男の子たちだけの時代”の終焉を象徴するエンディングでは、思わず目頭が熱くなってしまったもので。
若干ベックを髣髴させる風貌の、何かと形式に拘りがちなエヴァン役のマイケル・セラ、本作を一人で象徴するかのような見事な風貌とキャラクターを持つフォーゲル役のクリストファー・ミンツ=プラッセ、『40歳の童貞男』のセス・ローガンに『トラブル・マリッジ カレと私とデュプリーの場合』のビル・ヘイダーと、大物こそはいないが作品と見事に合致したキャスティングが光る本作。そんな彼らも素晴らしいが、やはり本作は「エロ画像に芸術性なんて求めるんじゃない!」「下の毛サラダにドレッシングをかけて!」「よく“酔った勢いで失敗しちゃったわぁ”って言うじゃないか。俺たちがその“失敗”になるんだ!」と数々の名言を残すセス役のジョナ・ヒルに尽きる。チビでデブでチリチリ頭のいじめられっ子ながらも、口だけは猛烈に達者で基本的には何事にもめげず友達想いのセスは、『初体験/リッジモント・ハイ』のスピコーリ並に長きに渡って愛されるキャラクターになるんじゃないだろうか?まぁ、多分、もしかしたら。
それにしても、まぁ恒例の愚痴ですが、本国で大ヒットした本作でさえ日本では劇場未公開。メジャーな名前が出ていないのも痛いのであろうが、そんなことを言ったらそれこそブルース・ウィリス級のスターが出ていない限りコメディが公開されるってこともなさそうだし、そんなビッグバジェットのコメディが面白いかどうかも疑問。ちょっとでもシモネタに走れば「まぁ、お下劣ザマスわぁ!」と毛嫌いされ、「あなたはどんなお上品な生き方をされておられるんですか?」と、これまた疑問が残る。泣かせの演出さえされていれば、どんなに下品な物語であっても観客が大挙し、「いっせーのせっ!」で劇場で皆で涙を流す反面、コメディは家で一人ヒッソリと笑わなければならないってのも、考えるまででもなくおかしな話なのでは。まぁ、いい加減日本におけるコメディの冷遇ぶりに慣れないと、良いコメディに出会う度に楽しさ以上に怒りがフツフツと湧いてしまうので、もういいです。部屋で一人で笑います。それがこの国でのコメディの正しい楽しみ方だってことにします。
いつも心に童貞を
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面白くて強烈なキャラとエピソードに爆笑した後には、心地よい余韻が・・・
>日本におけるコメディの冷遇ぶり
こんなお馬鹿青春コメディは日本に入って来ないと思い込んでいたので、特典付きで日本版DVDが出たことがただただ嬉しくて(笑)
心の中の童貞をくすぐられる、非常にいい映画でしたねぇ。
にしても、この冷遇っぷり。ホント、出ることだけで喜ばなければならないような^^;
分かるのですけど、でもあたしはダメでした(;・∀・)
ラストはしんみりとしちゃいましたけどね〜。
身近に“一般的”の範疇に入る女性がいないもんで分からなかったんですが、やっぱり女性受けはしない作品のようですねぇ^^;