2006年 香港映画 85分 サスペンス 採点★★★
映画ばかり観ている印象もあるが、何気に音楽も好きな私。しかしながら、如何せん映画バカ。耳から入る情報以上に目から入る情報に左右されがちで、如何に良い声の持ち主であろうが良い曲であろうが、見た目が良くないとイマイチ入り込めない。きっとボウイの顔がクリント・ハワードみたいだったら、好きになれなかったでしょうし。どうせ自己投影するなら、いい男の方がいいじゃないですか。まぁ、身の程知らずなんですが。

【ストーリー】
突如恋人に去られた女が、偶然街で見かけた恋人そっくりの男と付き合うことになるが、如何せん彼女は妄想症。どんどん現実と妄想の区別がつかなくなり…。

『ゴースト・ハウス』『リサイクル −死界−』のパン’ズの片っぽ、オキサイド・パン監督単独によるサイコロジカルサスペンス。
食事や買い物といったなんてことのない日常的シーンまで異様な重々しさを漂わせ、巨大な操り人形や窓から侵入してくる黒い靄などの非現実的な現象が現実を浸食する“妄想”パートと、エンドクレジット後に始まる二重構造のトリックを解き明かす“ネタ明かし”パートの二部構成で作られた奔放な本作。仰々しい演出の割には何にも起きていない意図的な肩透かしが繰り返される一方で、徐々に主人公の主張や性格が変貌していく様が静かだが確実に恐怖感を積み上げていく構成は上手い。やや全体のバランスを壊してしまっている二重のネタバラシも興味深いって点では面白く、『the EYE 【アイ】』同様のトリックではあるが主人公の欲した願望と現実の悲しい差を浮き彫りにしている。

男の身勝手さに翻弄された結果、痛々しくて重たい上に妄想症の女になってしまった主人公には、Twinsの片っぽで『プロジェクトBB』『ドラゴン・プロジェクト』のシャーリーン・チョイ。ライティングや髪型で頑張ってはいるが、愛くるしさは隠し切れず。そのずば抜けた可愛らしさを持つシャーリン・チョイと『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』の男前、“緑ドニー”ことショーン・ユーが並ぶツーショットには痛々しさが全く感じられない難点があるが、その現実的じゃない組み合わせが妄想っぽいとも。
シャーリーン・チョイの可愛らしさにすっぽりと隠れてしまってはいるが、色んな意味で主人公の友人として登場するイザベラ・リョンの、涼しげな切れ長の眼とそれに反して情感的な唇を持つ風貌が非常に印象的。一点を見つめるその視線に、ゾクっとするほど。まぁ、明らかに好みなだけなんですが。

妄想ぐらいは美しく
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