2008年01月05日

ハイランダー/悪魔の戦士 (Highlander)

監督 ラッセル・マルケイ 主演 クリストファー・ランバート
1986年 アメリカ/イギリス映画 117分 アクション 採点★★★★

“MTV”やら“ベストヒットUSA”やら大のお気に入りだった“ポッパーズMTV”やら、ローカルな話でアレだが“サタデー・マガジンα”やらと、どこのチャンネルを回しても洋楽のPVが流れまくっていた時代。次々と出てくる新しい映像表現や莫大な予算を掛けた大掛かりなPVを見ると、「あぁ、こんな映画が観たいなぁ」とつくづく思ったもので。まぁ、4分だからそう思えるだけで、これが90分続くとなかなか辛いものだと知るのは、そんな先の話でもないんですが。

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【ストーリー】
首を切り落とされぬ限り死ぬことのない、太古から生き続ける一族。彼らは、最後の一人が得られるという“秘宝”を求め互いに戦うことを宿命づけられていた。そして現代のニューヨーク。不死の身分を隠し古物商として生きるナッシュのもとに、最後の生き残りヴィクターが現れ…。

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バグルスやデュラン・デュランらのミュージッククリップで見せる、ずば抜けた映像センスとケレン味たっぷりの演出で名を馳せたラッセル・マルケイが、昼なのか夜なのかそもそもここは何処なのかサッパリ分からない色彩センスで見せた巨大イノシシ大暴れ映画『レイザーバック』に続いて撮り上げたSFアクション。
凝りまくった構図とライティングに気を使いすぎたのか、やたらともたつくテンポや、投げっ放しの謎の数々(続編で「宇宙人だから」で済ませ世界中をビックリさせるが)、唐突に始まるラブシーンや外しまくるギャグなど、全編ミュージッククリップかのような本作は粗を探せばいくらでも出てくる作品ではあるが、そこを突っついて楽しむ映画ではない。むしろ、そんな問題などスッカリ忘れさせるだけのものを持っている作品だ。その“もの”とはもちろん、“チャンバラ・火花・クイーン”である。“チャンバラ・盛大に飛び散る火花・砕け散るガラス・クイーン”でも“チャンバラ・盛大に飛び散る火花・崩れ落ちるネオン・大量の水・砕け散るガラス・クイーン”でも良いが、大体そんな所である。若干説明過多の曲がムードを逆に壊してしまってはいるが、不死であるが故に人を愛することの出来ない孤独も、スコットランドの美しい景観の効果も相まって、作品に非常によく絡まっている。だが、やはり本作の目玉はクライマックスのチャンバラシーンである。火花と水とネオン管が盛大に飛び散る多角的に見せるワンパクさから一転、ミュージカルの舞台のような無機質な部屋で横の動きを重視した舞のようなアクションシーンに移行する、見事なコントラストを見せるクライマックスが圧巻。

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必要以上に奥へ引っ込んだ目が、何を考えているのか分からない謎めいた人物としての説得力を与えてはいるが、下手をすると何を考えているのか分からない変質者のようにも見えてくることがあるクリストファー・ランバート。ラクダ顔。颯爽とした感のない風貌が作品同様煮え切らなさを感じさせることもあるのだが、脇を固める『ダブルボーダー』のクランシー・ブラウンと、『007/ロシアより愛を込めて』のショーン・コネリーがそれを補って余りある存在感を見せる。
「ゆっくりと消え去るよりも燃え尽きる!」とシビレる名台詞を吐き、時代に関係なく我を通した結果パンクスになっちゃう、自分にだけは素直な生き方を見せるクランシー・ブラウンも素敵なのだが、やはり本作に映画としての締りをもたらしたのは、ショーン・コネリーであろう。ジェームズ・ボンドを降板して以降、様々な役柄に挑戦するもこれといった成果を残せなかった彼だが、本作において“茶目っ気と機知に富み、頼りにはなるがいざという時は死んじゃう初老の師匠”という当たり役を飄々と。『アンタッチャブル』が完全復活の作品と考えるのが一般的ではあるのだが、その足掛かりを作ったのは間違いなく本作。『薔薇の名前』じゃ死にませんし。

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何歳の時点から不死になるかで、永遠の過ごし方が大きく変わりそうで

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posted by たお at 02:26 | Comment(4) | TrackBack(2) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
B級アクションもので魅力を発揮するランバート♪
ハイランダーは、そんな彼にぴったりのキャラ(作品)ですよね。

>何歳の時点から不死になるかで、永遠の過ごし方が大きく変わりそうで
おっと、鋭いご指摘で・・・(爆)
Posted by 哀生龍 at 2008年01月05日 13:36
哀生龍さま、こんばんは〜♪
魔物の棲む中世の世界やら宇宙の監獄やら名古屋やらと、異界を舞台にすると輝きますねぇ、ランバート。女性には思いのほか人気がある彼ですが、どうにも私にはラクダ顔にしか見えなくて^^;まぁ、ダイアン・レインを寝取られた恨みもあるんですがw
Posted by たお at 2008年01月06日 03:03
たおさん、おこーんばーんはー♪
「ちゃーんちゃーんばーらばーら、ビッカビカ」とクィーンの曲にのせて笑いながらみれる楽しい作品ですよね(笑)
ラクダ顔のランバート好きだったんですけど徐々にデコの広さが拡大してきて・・・(^^;
何より、ショーン・コネリーがとっても楽しそうに演じていたのがナイスでした(笑)
好きだわー、これ。
Posted by chibisaru at 2008年01月19日 18:00
chibisaru様、こーんばーんはー♪
楽しい映画ですよねぇ^^
>「ちゃーんちゃーんばーらばーら、ビッカビカ」とクィーンの曲にのせて
さすがにそこまでは楽しみませんでしたがw
Posted by たお at 2008年01月22日 21:59
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