2004年 アメリカ映画 131分 アドベンチャー 採点★★★
「ピラミッドなんてあんな巨大な物を、人間が作れるわけがない!きっと宇宙人だ!」「モアイ像みたいに巨大なのを、人間がズラリと並べられるわけがない!きっとこれも宇宙人だ!」「ナスカの地上絵みたいに空からしか判別できない絵を、どうやって人間が描いたてんだい?宇宙人が描いたに決まってるじゃないですか!」と、“〜わけがない”を土台とし人智を大いに侮ったトンデモ歴史本が数多く出回っていますが、夢溢れる物語として読む分にはとっても楽しいんですよねぇ。
【ストーリー】
代々とある伝説の秘宝を追い求めてきたゲイツ家。その末裔で歴史学者にして冒険家のベンは、その秘宝の手掛かりがアメリカ独立宣言書の裏面に記されていることを知る。しかし、ベンの冒険の理解者で資金提供者であるイアンが独立宣言書の強奪を画策。ベンは独立宣言書と秘宝を守る為、イアンより先に独立宣言書を盗み出そうとするが…。
『ダ・ヴィンチ・コード』の公開で幕が開けるであろうと思われたトンデモ史映画ブームを先取りして製作された、ジェリー・ブラッカイマー作品特有の画面がシャンパン色に染まったアドベンチャー映画。
“テンプル騎士団”や“フリーメイソン”などいかにもな顔ぶれが物語を彩るが、知っていればもちろん楽しめるけど知らなくても充分に楽しめる親切設計の一本。ネタがでかい反面、移動が東海岸を行ったり来たりするだけと、思いのほかこじんまりとした本作。言ってる事はデカイくせに、見せられる画面はスケールが小さい。しかしながら、そのこじんまり感が「あら、こんな所に手掛かりが!」という“灯台下暗し”を上手に表現し、風呂敷をやたらめったら広げ過ぎないソツのない演出と展開も相まって、2時間超えの長尺を飽きさせずに通している。クライマックスがこれといってスケールアップをするわけでもないので尻すぼみの感も否めないが、娯楽作としては“本家”以上に充分楽しめる出来となっている。
ここ最近は「アガガガガーッ!」と騒いでいるだけの暑苦しさか生え際にしか目が行かなくなっていた『ゴーストライダー』のニコラス・ケイジ。今回もその暑苦しさに覚悟を決めて挑んだのだが、クルクル回りながら二丁拳銃をぶっ放すわけでもなければ回し蹴りをキメるわけでもなく、人の扱いが若干ぞんざいな“歴史学者にして冒険家にして軍経験者”という非常に都合の良いマスター・キートンのような主人公を、作品同様落ち着いたトーンで演じている。カメラの前で顔から湯気を出しながら一人芝居を繰り広げるニコケイが好きな方々には物足りないかも知れないが、たまにはこれくらいのニコケイがいい。
そんなニコケイの他に、非常に楽そうな仕事振りが印象に残った『ブルー・イン・ザ・フェイス』『リトル★ニッキー』のハーヴェイ・カイテル、そのまんまクリストファー・ウォーケンと入れ替わっても問題なさそうな『トランスフォーマー』のジョン・ヴォイト、短時間ながらもヌメっとした印象をしっかりと残す『インサイド・マン』のクリストファー・プラマー、現場のセキュリティも兼ねられたであろうUFCの猛者オレッグ・タクタロフなど、ビッグバジェットらしい顔ぶれが揃った本作であるが、ニコケイを含めそんな彼ら以上に強い印象を残す、影の主役といえる役者がひとり。
それはもちろんショーン・ビーン。当然です。
「オレも昔はワルだったんだ」と大見得を切って登場してくれる割に、手にした発炎筒が大炎上して大いに出鼻をくじかれるショーン。全てにおいてベンに先を越され、ようやく追いついたと思ったらハッタリに見事に騙され、ボストンまでの長い道のり、車中で宝の使い道をワクワクしながら考えていたにも関わらずあっさり逮捕です。可哀想すぎです。資金と人手を提供するだけではなく率先して自ら現場へと出向き、大切な仲間を失ってもベンらを助ける為に手を伸ばす、誰よりも苦労をしているのにちょっとばかし誰も死なない程度の悪巧みをしただけで監獄行きです。あまりに報われない人生です。そんな何事においても報われず詰めの甘いショーンを観るには、本作はまさにうってつけの一本。身悶え間違いなし。作り手側としては『007/ゴールデンアイ』や『パトリオット・ゲーム』の頃の記憶を基に「いかにも悪役って感じの顔だよね」という安易な起用だったのかも知れないが、如何せんこの頃のショーンは『ザ・ダーク』や『スタンドアップ』などでも見せた“善人モード”への移行の真っ最中。程よいちぢれ具合の髪の長さといい肉付きといい、シャープとソフトが絶妙に混ざった風貌で、すれ違う子供に微笑む様や己の間違いに気付いて素直に落ち込む様など、とても悪役には見えない。「確かに昔は悪かったが、今はお前の為だけに生きるぜ」なんて、シラフだったら絶対信用しない戯言を容易に信用させてしまいそうな説得力がある。これも悪役って役作りに対する詰めの甘さなんですかねぇ。
上手くいかないから企んじゃダメ
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本年も宜しくお願いします。
*人の扱いが若干ぞんざいなベン
*「オレも昔はワルだったんだ」イアン
傍観者の目で見ると、一生懸命でワクワクと“取らぬ狸の皮算用”をしているイアンがベンにいいように使われている様が、可愛くもあり憐れでもあり・・・
本当に「何事においても報われず詰めの甘いショーン」を見るには打って付けでした(笑)
もうホント、観ていていたたまれなくなっちゃうんですよねぇ、このショーン。まぁ、いつもですがw
そっかぁ〜たおさんのレビューを拝見したら、このショーン・ビーンって結構"おいしい役どころ"だったんですよねぇ。
この続編に関しては・・・ワタクシ、劇場で爆睡してしまいまして・・・観た気が今でもしていません(汗)
お送りしたTBですが、バトンの回答の中にナショトレのレビューがございます。暇で死にそうな折にでも、ご笑覧ください。
こんなにショーンについて触れてくれるブログ様って、貴重でございます。
年末にこれの続編を観たのですが、ショーンがいないもんだから画面が地味で地味で…(笑)。ダイアン・クルーガーって綺麗なんですけど、華がないんだなあと改めて思いました。
いやぁもう、美味しい役どころか、主役といっても差し支えないほどで。続編はまぁ、ショーン出てないんで観ませんw
特にこれといって特別にショーンをいじり倒しているつもりもないんですが、好きな俳優はやはり贔屓しちゃうもので。続編に関しては、ニコケイだけを2時間観続けるのはとっても辛いので、遠慮してます^^;
ほんとこじんまり纏まった作品でしたね。
あの間抜けっぷりは、今思うと「さすがショーン・ビーン」でした(笑)
見ているときは、そんなに意識してなかったのに(^^;
暑苦しいニコケイを見るのは苦痛じゃないんで続編も多分見ます(笑)
「オレがこんなにシッカリ者のわけがない!もう少し詰めを甘くしろ!」と脚本家に直訴したかのような詰めの甘さでしたねぇ、ショーンw
続編はまぁ・・・気が向いたら^^;