2006年 トルコ映画 122分 アクション 採点★★
それにしても不憫なもので、バルタン星人。いやぁねぇ、「オレんとこの星がダメになったから、お前の星よこせや」って言い分はあまりにあんまりとは言え、一部のはねっかえりが暴れただけで20億人も殺される筋合いはないんじゃないのかなぁと。まぁ、“正義”ってのは相対的なものですけどねぇ。
【ストーリー】
アメリカ軍の仕打ちにより自らの命を絶った親友の仇を討つため、元トルコ諜報部員のポラットはイラクへと侵入。アメリカ軍の指揮官サム・マーシャルを追うが…。
本国トルコで大ヒットを記録した反米アクション。社会派の香り強い作品かと思いきや、『炎のリベンジャー/地獄のアグレイブ』ってタイトルが似合いそうな、80年代筋肉映画風味の一本。
“刑務所内での虐待”“囚人の臓器売買”“民間人虐殺”など、事件として明らかになったものから噂として出回っているだけのものも含めて、アメリカ軍が行ったとされる非道な行為が次々と展開する本作。普段から観慣れてしまっているアメリカ映画と真逆な展開に初めこそ戸惑うが、“ランボー”などで描かれるロシア兵やベトナム兵の扱いも似たようなものなので、すぐに慣れてくる。南米の私兵のようにも見えてくるタンクトップにマッチョのやたらとガラの悪いアメリカ兵の描き方も、非常に分かりやすくて楽しい。多少展開がまどろっこしくて大味ではあるのだが、随所に挟まれるアクションシーンも派手で退屈はしない。反米感情を前面に出す以上に、「イスラム教では捕虜の首切ったり自爆テロを推奨したりしてないだろうが!もう一回コーラン読み直せ!」と、主張も真っ当で好印象。その割に「コッソリ爆弾を仕掛けるのはいいよー」ってのにチグハグさは感じるが、観客の不満やストレスを反映し解消させるアクション映画としては至極真っ当な作りであるので、さして不満も感じない。
ところで、タイトルにもある“谷”はどこに?
ブッシュが嫌いなのか、頼まれた仕事を断れない性質なのか、アメリカ側から『ズーランダー』のビリー・ゼインと、『ソルジャー』のゲイリー・ビューシイが出演。多分ブッシュ嫌いが出演の理由であろうビリー・ゼインの、やたらと神の名を連発する原理主義者な悪役のふてぶてしさも印象深いが、仕事を断れない性質の方であろうゲイリーの、まるで新しい妖怪のような風貌も強烈。そんなアメリカ勢に負けず、更にゴツくなったダニエル・クレイグのような風貌を持つメナティ役のギュルカン・ウユグンや、黒くないアンソニー・アンダーソン風のエルハン役のエルハン・ウファク、男前っちゃぁ男前のアブデュレー役のケナン・チョバンなど、脇も強い印象を残す顔ぶれ。特にこの3人が満身創痍で銃撃戦を繰り広げるクライマックスは、宗教が違えど男の子はみんなジョン・ウーが大好きってのを確認できる名シーン。
しかしながら、そんな周囲の頑張りを肝心の主人公が台無しに。得意技がコッソリ爆弾を仕掛けることと、背後からコッソリ近づいて銃を撃つくらいしかない上に、立てる作戦全てが失敗続きの主人公ポラットに扮するネジャーティ・シュシャマズの、目と口までの距離がやたらと遠い顔つき同様に締りのない身体つきは、アクション映画の主人公としては説得力皆無。余計な動きばかりが多いワタワタとした動作も同様。そのくせ目にだけは異様に力が入っており、「オレは男前なんだ!主人公なんだ!」と主張ばかり。あまりに男前主張ばかりするので、観ているこっちが「ホント、男前だねぇ」と前向きに脳内変換する努力をしてしまうので、だんだんと“トルコ版あおい輝彦”に見えてくる始末。この風貌に棒立ち棒読みの演技で、よくぞデビュー作から主演を張れるなぁとある種感心をしながらプロフを見ると、プロデューサーの兄弟のようで。なるほどねぇ。
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バルタン星人、何のエピソードでしょう。「ウルトラマン0」かな。
そう言えば、ペガッサ星人は、地球人の科学力のなさ故に滅亡した、可哀想な連中でした。
初代バルタンのエピソードだったかと。それ以降復讐の鬼と化すヤツラの姿に、今のイスラム諸国とアメリカの関係が見え隠れするような気がすると、大雑把な話を^^;
で、ペガッサ。「ウチの星ちょっと壊れちゃって、このまま行くとアンタんとこの星にぶつかっちゃうから、よけてくんない?」と、あんまりっちゃぁあんまりな言い草でしたが、ゴランが近づいた時はよけれたんだから、この時もよけてあげればよかったのにねぇw