2005年 オーストラリア/イギリス映画 104分 アクション 採点★★★★
“兄弟愛”と言われても、いまいちピンとこない私。末っ子でB型の駄々っ子気質のせいもあるんでしょうが、ある意味親よりも近い存在である兄らが非常にウザったく思うことがほとんど。まぁ、立場が逆になれば想いも大きく変わるんでしょうが、今更急に「実はお前には弟がいるんだよ」とかカミングアウトされるのも嫌なので、このまんまの関係でいいかなと。
【ストーリー】
19世紀末のオーストラリア。犯罪者兄弟として悪名高かったバーンズ兄弟の次男チャーリーと三男マイキーを捕らえた保安官は、チャーリーに「マイキーを死刑されたくなければ、兄のアーサーを探し出して殺せ」と提案を持ちかける。期限はクリスマスまでの9日間。チャーリーは弟の命を救うべく、絶縁状態にある兄が潜む荒野へと旅立つ。
アルバムを数枚聞きかじっただけなので然程詳しくはないのだが、未だに根強い人気を誇るミュージシャンのニック・ケイヴが脚本を書き下ろし、ケイヴのPVを多数手掛けてきたジョン・ヒルコートが監督した、異色西部劇。
イギリスの流刑地であり、先住民であるアボリジニーから土地を取り上げ、歯向かう者を虐殺してきた歴史を背景に、希望の見出せぬ生活を強いられる庶民とアウトローとして生きる者たちの姿を描く本作。弟を救う為に同じく血の繋がった兄を殺さねばならない主人公、見渡す限りの荒れ果てた荒野と瞬く間に群がってくる無数の蝿という厳しい現実から目を背けるように英国式生活を頑なに守る人々、七三分けにした白人に従順な“良いアボリジニー”に対し、なびかなかった“悪いアボリジニー”は岩山に追いやられた挙句に岩山に潜む反逆者として殺される。これらの人間の業が寓話的に語られる本作の味わいは非常に独特であるが、劇中に流れるニック・ケイヴの歌声同様の深みを随所に感じることが出来る。数奇な運命を辿る兄弟の物語や復讐譚としての面白さもさることながら、暇を出された“良いアボリジニー”が真っ先に靴を脱ぐ、“押し付けられた文化”を象徴するシーンが非常に印象深く残る。
いい俳優ではあるのだが、常に他の俳優に食われて印象が薄くなる傾向にあるガイ・ピアース。『L.A.コンフィデンシャル』ではラッセル・クロウとケヴィン・スペイシーに押されっぱなしで、『ラビナス』ではロバート・カーライルの文字通り“人を食った”迫力に完敗。『タイムマシン』に到っては、“人を食った”ジェレミー・アイアンズにどころか、基本的には平面のオーランド・ジョーンズの方が印象深かったりする始末。で、「今回もまた…」との不安もあった本作だが、今回の彼は出だしから違う。青白く痩せ衰えた顔からのぞく、まるで地獄から帰ってきたかのような眼光の鋭さと馬に跨るその凛とした佇まいは、まるで『ペイルライダー』のイーストウッドのようである。いよいよもって強烈なオーラを発するガイ・ピアースを拝見できると思った矢先、そこに登場するのが『スケルトン・キー』『Vフォー・ヴェンデッタ』のジョン・ハートに、『ナイロビの蜂』『トゥモロー・ワールド』のダニー・ヒューストン、『リベリオン 反逆者』のエミリー・ワトソン、『ディパーテッド』のレイ・ウィンストン、そしてトドメが『300 〈スリーハンドレッド〉』のスパルタ野郎デヴィッド・ウェンハムという、この中で目立てという方が可哀相なほどな顔ぶれ。特に、ジョン・ヒューストンを父に、アンジェリカ・ヒューストンを姉に持つダニー・ヒューストンのギラギラとした眩いばかりのオーラは強烈で、彼が出てきた途端に彼が作った影にガイ・ピアースがすっぽりと収まってしまうことに。まぁ、その謙虚さがガイ・ピアースのいい所なのかもしれませんけどねぇ。
こんな兄じゃ距離もおきたくなるものです
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たおさんが貼ってくれた画像を見て、この銃を構える構図は監督の趣味なのかと思ってしまいました(笑)
確かにカッコイイですが、並ぶと笑えますね。
でも、なんだかんだ言いつつかなり満足度の高い、好みにあった作品でした♪
いやぁ、あの長男は誰が見てもカッコよすぎです。もちろん、ガイ・ピアースの薄さがそれを増長させているんですがw
とても面白かったです。
本作はどちらかというとマイナーな作品だと思いますが、たおさんはどのようにして本作のような隠れた傑作を探し出しているのですか?
んー・・・
多分みんな同じだとは思うんですが、立ち読みも含め色んな雑誌に目を通したり、ネットでアヤフヤな情報を仕入れたり、ジャケットでピンときたり。。。
あとは人名をカギにしてたりもしますけど、傑作ばかりを観てるわけでもないですしねぇ^^;
「面白いはず!」と思ってもハズレを引くことの方が圧倒的に多いですし、それがまた映画鑑賞の醍醐味ですしね^^