2001年 アメリカ映画 90分 ホラー 採点★★★
“飛躍”と“突飛”って、なんとなく似ているような気もしますが、別物なんですよねぇ。どうせ形容されるなら“飛躍”を使っていただきたいものなんですが、得てして“突飛”の方が多く使われてしまう私です。まぁ、確かに否定は出来ませんが。
【ストーリー】
春休みを利用して実家に帰省するため、車での長い道のりについていたトリッシュと弟のダリー。そこへ突然不気味なトラックが現れ、執拗に彼らを追い回す。やっとのことでそのトラックを振り切った二人であったが、本当の恐怖はまだこれからであった。
ハイウェイで次々と人が行方不明になる都市伝説をモチーフに、怪物はおろか映画そのものも飛びまくる飛躍系ホラー。
閑散とした田舎道を車で走る姿を、音楽もなく主人公らの会話と低い車のエンジン音だけで描く冒頭の10分間は、まるでこの先にテキサスの電動ノコギリ一家が待ち構えているんじゃないかと思わせる不穏さを漂わせる、70年代ホラー的描き方。そこへ運転手の見えないトラックが現れる様はもろ『激突』であるし、地面スレスレのカメラアングルで描くカーチェイスは『マッドマックス』のようだ。この序盤に、「70年代ホラー映画の再来か?」と否応がなしに期待が高まるが、23年毎に現れると言う怪物の存在が明らかになると、劇中内の状況どころか、映画そのものがピョンと飛躍し急変する。80年代風モンスタースーツに身を包んだ怪物が、顔に付いたヒレなのか何なのかを開き開き警察署を襲撃するシーンは『ターミネーター』だ。というか、それまで身を潜めて行動していたのがウソのような大胆さにビックリだ。また、従来のホラー映画の登場人物の取る行動を茶化す『スクリーム』以降に定着した手法も取り入れることで、一本の作品の中で70年代から90年代までのホラーの流れをピョンピョンと飛び跳ねる怪作に仕上がっている。で、その突飛さと節操のなさが不快かと言えばそうでもなく、予想も付かない激流のような展開に身を任せている内に、「もう、好きにして」と諦めにも達観にも似た快感を感じることも。まぁ、先に起きる出来事をズバリと霊視出来る割には何の役にも立たず、主人公らを心底脅かすだけの存在にしかなっていない霊能力おばさんのように煮詰めの足りないキャラクターや展開も目に付くが、あまりのワンパクな展開にゲタゲタ笑っている観客の不意を付くような後味の悪いエンディングを用意する趣味の悪さも非常に好みであるので、概ね満足の作品。
『ターミネーター』を髣髴させる警察署襲撃のシーンで、「あぁ、だからこの娘はリンダ・ハミルトンみたいな顔をしてるんだぁ」と納得しちゃったような勘違いをさせてくれるジーナ・フィリップスはさておき、穴があったら入らないと気が済まない上に、入っちゃったが故に散々な目に遭う、とても他人事には思えない男の子の鑑であるダリーを演じたジャスティン・ロングがいい感じ。まぁ、『ギャラクシー・クエスト』以降、『ドッジボール』『ダイ・ハード4.0』に至るまで全く揺るぐことのないキャラクターではあるんですが。
しかしながら、やっぱり本作の主役は、東宝東和だったら4文字くらいでイカした名前を付けてくれていたに違いない怪物そのもので。素顔で警官役としても登場するジョナサン・ブレックが演じている(エンディングではジャスティン・ロングが演じている)のだが、元々はランス・ヘンリクセンが演じることを念頭において書かれた脚本だとか。23年毎に現れ、真昼間から“ぶん殴るぞ!”と書かれたナンバーのオンボロトラックを乗り回し、前をチンタラ走る車を煽り倒した上に人をバンバン襲っては食する彼。“人を食う”って以外は結構その辺にいそうです。トラックの運転を誰に教わったのかとか、やっぱり給油はスタンドで済ませるのかとか興味の尽きない彼だが、脚を喰らえば脚が生え、目を喰らえばその目を得る彼は、23年ぶりに登場した時はどんな状態だったのかが、一番興味津々。一人目を襲うのがとっても大変そうです。
これだから男の子は
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私これ結構本気で観ちゃって、しかも泣けましたっていうか、とっても悲しかったです(笑)
ダリーが気に入っちゃったものだから、なおさらだったんですよね〜。
そうそう、2のヒューマンキャッチャーではこのダリーが意外な形で登場しますよ〜。妙に嬉しかったです(笑)
ダリーの最後には特に泣きはしなかった私ですが、全く何の役にも立たない霊能オバチャンには若干腹立たしくも^^;
本作もヒューマンキャッチャーもリリース時に一度観ていたんですが、記憶も曖昧だったんでもう一回観てみた次第で。リーランド・パーマーが凄い形相で怪物を追い回すヒューマンキャッチャーも近日再鑑賞予定ですので、その時にまたレビューを^^