2007年08月11日

宇宙人の解剖 (Alien Autopsy)

監督 ジョニー・キャンベル 主演 デクラン・ドネリー
2006年 ドイツ/イギリス映画 91分 コメディ 採点★★★★

見始める前からガッカリするのは重々承知しているはずなのに、ビデオ録画をしていてもなおオンタイムで見てしまうUFO特番。欠かさず見てます。もちろんUMAや心霊番組なんかも大好きなんですが、その如何わしさではやはりUFOが頭一つ飛び出している感も。関連本などで大体の真相が分かっているというのに見てしまうってのは、やっぱり「〜かも知れない」という夢や希望にも似た何かがあるからなんでしょうかねぇ。白黒ハッキリさせないと気が済まないって人にとっては、非常にどうでもいい事柄なんでしょうが。

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【ストーリー】
1995年、ロンドン。違法コピーした海賊版ビデオ販売を生業にしていたレイは、エルヴィスグッズを格安で仕入れて高値で販売する手を思いつき、一路アメリカへ。しかし、そこで出会ったとある退役軍人が持ってきたフィルムに、異星人が解剖されている姿が。度肝を抜かれたレイは、宇宙人マニアでドラッグディーラーのヴォロスから資金援助を受けそのフィルムを買い取るが、保存状態が悪かったのか、何も写っていない。このままじゃヴォロスに殺されると、身内を集めてフィルムをでっち上げるが…。

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1995年に放映され、世界中の度肝を抜いた“宇宙人解剖フィルム”。1947年にロズウェルに墜落したUFOから回収された宇宙人の遺体を解剖する様子を従軍カメラマンが撮影し、そのカメラマン自身が持っていたコピーであるとの触れ込みで放映されたこのフィルムを見て、すっかりと信じちゃった人も少なくなかったとか。まぁ、映画好きからすれば二面しか写らない壁にセット臭さを感じたり、とても良く出来ているとは言いがたい宇宙人の遺体や、肝心な部分を全く映そうとしない撮影手法に「頑張ってはいるんだけどなぁ…」と、前もって分かりきっていたはずの失望感を感じてしまったものですが。
で、瞬く間にニセモノであることがバレてしまったこのフィルムを作ったとされる、レイ・サンティリとゲイリー・シューフィールドらの実話を基に作られた本作。知りたかったあんな事やこんな事の真相が遂に明らかになるのかと思いきや、またもや煙に巻かれる結果に。この如何わしさ、堪りませんねぇ。

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のっぴきならない状況に陥ってしまった主人公らのテンヤワンヤを描く本作の作りは、まさに青春コメディの王道。“フェイクドキュメンタリーを作った人物の実話を基にしたフェイクドキュメンタリー”と言うと、なんだか合わせ鏡を見ているような軽い眩暈を感じてしまうが、“宇宙人の解剖フィルム”ってのを、“借りてたポルノ”やら“高価な水槽”ってのに変えても全然機能するいたってシンプルな物語構成。思わぬ成功に浮かれる様や、その成功によって友情にヒビが入る様もまさにそうで、その安心印のベースラインに当時流行のファッションや音楽を飾りつけ、そこに“宇宙人”という違和感丸出しのアイテムを投入することで、普段はなかなか得がたい独特な風味を醸し出すことに。ご近所さんが集まってワーワーとフィルムを作っている様は、映画好きにはなんとも言えないこそばゆい楽しさを感じてしまうもので。ところで本作、題材が題材なのでムーっぽいの好きな方々には堪らない設定が随所に。先に挙げたロズウェル事件しかり、ニセモノと知った軍部が大喜びし、ニセモノに大衆の目を集めて真実から関心を削ぐ為に影ながら主人公らを助けたりと、なかなか嬉しい気配り。
最後に当の本人らも登場する本作。今ではイカサマだったとバレているフィルムを作った顛末を明かし、「騒がしちゃって、ゴメンね」と謝る映画かと思いきや、「イヤーあれは確かにニセモノだけど、オレが見た本物を基にして作った“リメイク”なんだよ」と、あくまで本物がある前提で作られている。これを「この期に及んで往生際が悪い!」と怒るか、「そのハッタリ、乗った!」と快く騙されるかで評価も大きく変わるものと思うが、もちろん私は騙されますよ。楽しいですもの。

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主人公らを演じるデクラン・ドネリーとアント・マクバートリンは、“アント&ドネリー”のコンビ名で本国では大人気のようで。メイキングでも常に二人一組扱いでしたし。アルバムを出したりTV番組の司会をしたりと大活躍の彼らにとって、本作が映画デビューだそうだが(『ラブ・アクチュアリー』には本人役で出演)、一発当てたいレイとひたすら堅実なゲイリーという役割分担が完成されているせいか、全く初出演とは感じさせない軽妙さが印象的。特にブラーのデーモン・アルバーン風の髪型と服装で時代を表したドネリーは、いかにもイギリス人的でカワイイ。ちっちゃいですし。
他にも「宇宙人ならオレ達に任せろ!」ってことなのか、『インデペンデンス・デイ』『最終絶叫計画4』のビル・プルマン、『エイリアン』『ビッグ・バウンス』のハリー・ディーン・スタントンと、非常に心強い援軍が駆けつけているのだが、そんな彼ら以上にある意味心強いのが、「女だったら地球人も宇宙人も関係ない!」と言い放つ宇宙規模のカサノバ、U.S.S.エンタープライズの副長ライカーことジョナサン・フレイクス。TVフッテージでの出演なので、爆発の度に真っ先に吹っ飛ぶアグレッシヴさはなりを潜めているが、宇宙人物の顔ぶれとしては大満足のラインナップでしたよ。

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これでも「真相を隠す為に敢えてウソを」とか言い張っちゃう人がいるんでしょうねぇ

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posted by たお at 00:00 | Comment(10) | TrackBack(5) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは☆
さすがにこれ見てる人少なさそうですね(笑)
とにかくばかばかしいんだけど私は結構楽しめました。
解剖シーンが特に笑えましたよ。
テレビでUFOや宇宙人捕獲などなど特番を放送したりすると、嘘だと思いつつも見てしまいます、、、
Posted by ゆかりん at 2007年08月20日 12:56
ゆかりん様こんばんは〜♪
コメディ映画のタイトルではなかなか見かけない“宇宙人”って言葉に、さらに滅多に見かけることのない“解剖”というストレートにも程がある直球ど真ん中の剛速球に、なかなか皆さん手が出せないようで。面白いんですけどねぇ。
Posted by たお at 2007年08月23日 20:34
たおさんこんにちは。
以前にたおさんの記事を拝見してから、ずっと観たかったんです。 コレ!
この度やっと鑑賞出来て、その面白さに大満足♪
ホント、多くの方にも是非観て頂きたい傑作ですよね。
主役の2人も息ピッタリでよかったデス♪

Posted by アガサ at 2007年11月16日 21:10
アガサ様、こんばんは♪
“宇宙人”ときて“解剖”で締めるもんだから、さすがになかなか手を伸ばしにくいタイトルではあるんですが、より多くの人にウッカリ観ていただきたい作品ですよね^^
Posted by たお at 2007年11月17日 21:39
うれしいのでこちらにもTBをお送りしました<(_ _)>。本当に申し訳ありません。

こんな隠れた面白映画があったのか!私も良くできたハッタリには騙されたいクチですので、この作品は大いに気に入りましたよ♪
プルマン、スタントンといったメンツもいつも以上に目立っていたような気がしますね。
Posted by 豆酢 at 2007年12月04日 10:39
豆酢さま、こんにちは!
インパクトはあるがアピール性に弱いタイトルのせいか、なかなか認知されない作品ですが、面白いですよねぇ。宇宙人にだけは滅法強い顔ぶれが揃ってるのも魅力ですし。
Posted by たお at 2007年12月04日 14:44
気にはなったものの、どうせつまんないB級だろうな〜と思ってたのですが、たお様のベスト10に入ってたので、ベストに入れる人が居るくらいだから何かしらあるだろうと思って早速みてみました。
面白すぎる!矢追さんとか韮澤編集長はきっとこの映画を本気で信じてる!とか思うとますます楽しくなってきますね。
Posted by GMN at 2008年01月10日 20:22
GMN様、こんばんは!
確かにベストに入れちゃってますねぇ、わたし^^;まぁ、面白いんだから仕方がないですが。小ネタの絡め方も上手で、コメディファンもムーファンも楽しめちゃう一品ですよねぇ。
Posted by たお at 2008年01月12日 02:30
たおさん、すっかりご無沙汰しております。久々にサブタレできて嬉しゅうございます。(笑)
未公開作品だと知ってびっくりしました。
イギリスとの温度差はいかほどかな?
なるほど、キャストも宇宙人のプロフェッショナルばかりだったのですね。
ケバブ屋のおやじの監督魂も笑えました。
あとはおねえ言葉のマフィアが可笑しかった。
Posted by しゅぺる&こぼる at 2008年06月19日 21:03
しゅぺる&こぼる様、こんばんは!
私自身、サブタレるの久々だったりも^^;
物語自体の面白さもさることながら、人物の面白さったらありゃしない作品でしたねぇ^^
Posted by たお at 2008年06月30日 01:47
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Excerpt: 原題:ALIEN AUTOPSY監督:ジョニー・キャンベル映画 英・独 06☆☆
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Tracked: 2008-01-10 19:56
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