2005年 香港映画 101分 ドラマ 採点★★★★
「アイツはダメだから、私に!」と相手の欠点だけに目を集中させたり、「私が当選したら、ユートピアを!」と言い切る根拠が全く見当たらない公約を掲げたりと、面白味のない候補者たちが予想を全く裏切らない展開と結果を見せる選挙。まぁ、それはそれで大事なんでしょうが、どうせなら「障害者用の駐車スペースにぬけぬけと車を停める頭と心の不自由な方々の車には、何をやっても許されるって法案を通します!」と言い切る候補者でもいれば、間違いなく一票投じるんですけどねぇ。
【ストーリー】
香港黒社会最大の組織“和連勝会”で2年に1度行われる会長選挙は、伝統と和を重んじ冷静なロクと、血気盛んで粗暴だが結果を残す行動力があるディーの二人で争われていた。組織の調和を重視する長老達はロクを新会長に選ぶが、納得のいかないディーは報復を開始し…。
『ザ・ミッション 非情の掟』『ブレイキング・ニュース』のジョニー・トーによる、黒社会における壮絶な権力争いを描いた二部作の第一部。
タイプこそ大きく異なるが、絶対的な権力を手にする為には手段を選ばないってのは共通する二人の男の壮絶かつ非情な争いを描いているのだが、過激な暴力描写の“動”と、映画的にはなければないで通ってしまいそうだが、あることによって一気に人物や舞台に重みと深みが生まれる些細な日常描写や行動の“静”とのコントラストが見事。丸太でボコってる最中に双方の携帯が鳴り、一旦ボコるのを休止して電話に出てみたらお互いが味方同士であることが判明するシーンなどその典型だが、そこに生まれるのは弛緩した緊張による笑いだけではなく、組織への忠誠の重みがズシリと伝わってもくる。その“静”と“動”は全編を通し繰り返され、片時も目を離せない緊張感を生んでいる。地道な裏工作から報復合戦、そして権力の象徴である“竜頭棍”をバトン代わりにした暴力リレーと続き、さらにクライマックスからエンディングにかけて二転三転する構成も素晴らしく、静かだが緊張の糸が今にもはち切れそうなドライブからストンと落として一件落着に見せかけて、さらに一山二山持ってくるのだから堪らない。組織の古い体質に理不尽さを感じている若きインテリヤクザが物語の中心になるであろう第二部が、もう今から楽しみで楽しみでしょうがない。まぁ、いつになったら観れるのか定かじゃありませんが。
物腰こそ穏やかであるが、組織の結束力を揺ぎ無いものへとするためにより強大な力を求め、不安要素に対してはそれがたとえ微小な事であっても迅速かつ手段を選ばず排除する冷徹さを持つロクには、『PTU』『ブレイキング・ニュース』などジョニー・トー作品に欠かせない俳優の一人であるサイモン・ヤム、一方“烈火の如く”をそのまんま体現したかのようなアグレッシヴさを持つディーには、『柔道龍虎房』のレオン・カーフェイと好対照の二人。次回に何かしでかしそうな雰囲気だけはプンプンと醸し出していたインテリヤクザのジミーには、同じく『柔道龍虎房』のルイス・クー。ウォン・ティンラムやラム・シューといった、ジョニー・トー映画のお馴染みでありお楽しみである顔ぶれも揃った本作。もう何度でも書くが、早く第二部が観たい。と言うか“二部作”であるってことをあまり前面に出していない気もする本作。まさか、ウヤムヤにしちゃったりは…。
テッペンに登ってみれば思いのほか孤独でもあるお山の大将
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やはりコレ続編あるんですねぇ。
あれ?て感じで終わったのであせった(笑)
二部作として作られているんですが、パッケージでもその辺はウヤムヤにされているような気がしますねぇ。。。出さないつもりなんですかね?