2012年 アメリカ映画 103分 ホラー 採点★★★
子供の頃は、自分の両親や兄弟はそこらの大人よりはマシな人間だと信じてたもんですよねぇ。言われることに理不尽さを感じたり腹立たしさを感じたりすること多々でしたけど、“ちゃんとした人間だ”と疑いもしなかったもので。ただ、自分も大人になり家庭を持つ身となると、自分の両親は決して“ちゃんとした人間”じゃないことに気付かされたりも。素直にそういった部分を受け入れればいいんでしょうけど、なまじ厳しい家庭だっただけに、失望感の方が大きかったりするんですよねぇ。
【ストーリー】
不協和音響く過程で育つ11歳のマーティ。彼の楽しみは、ホラー映画を観ることと過激なコミックを描くこと、そして家族の秘密を覗き見ることだった。母はベッドの下に昔のラブレターを、父はガレージにエロ本、そして兄はクローゼットに生首を隠している。ある日、兄のクローゼットに忍び込んだマーティは、そこに彼をいじめていたクラスメートの生首が隠されているのを発見する。そして、その秘密を知っていることが兄にバレてしまい…。
わずか8000ドルの低予算ながらも、数々のファンタ系映画祭で受賞したことで話題となったホラー。『ロストボーイ』のお兄ちゃんは吸血鬼でしたけど、こっちのお兄ちゃんは猟奇殺人鬼。どっちがいいかな?
思春期を迎えると共に周囲の大人に対する不信感が芽生えていく様を、何気に巧みにとらえていた本作。不安定なカメラワークに露出過多気味の映像は、単に素人仕事が生み出したものなんでしょうけど、思春期の揺らぎと苛立ち、受け入れがたい現実とそこからの逃避を図る子供の心理状態と見事にマッチ。災い転じてなんとやら。
淡々とし過ぎてるので眠気覚ましのサービスのつもりだったのか、中盤に兄の凶行をイメージさせるアナログなスプラッターシーンが結構な尺で放り込まれてましたが、残念ながらオチのインパクトを薄める以外の効果なし。ちょいとそこが残念ではありましたが、さり気なく序盤のセリフと対をなす、凄惨ながらも諦めと独特のユーモア、ちょっとした美しさすら感じられる形だけの家庭が迎えたエンディングはやはり秀逸。親子愛とは明らかに違う、極端な愛憎混じった兄弟愛もちゃんと描けてましたし。
『ヘル・レイザー』や『ミディアン』と、やたらクライヴ・バーカーを推すホラー映画愛溢れる小ネタの数々もさることながら、可愛さの中に陰があるマーティ役のギャヴィン・ブラウンや、少しばかり若い頃のヴァル・キルマーを彷彿させる兄役のイーサン・フィルベック、自然体過ぎる他の子役らと役者も印象的だった一本で。
“お兄ちゃんが猟奇殺人鬼”って、小学男子にとっちゃちょっとしたステータスだよなぁ
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兄が「話がしたいだけだ」といって
弟が逃げるシーンが好き。
抱きしめて、
「あいつを殺してくれてありがとう」
「弟のためならなんでもする」
のところですね。
ここついエモってしまった。