2015年 アメリカ/イギリス映画 132分 西部劇 採点★★★
日付的には先日の『スーサイド・スクワッド』が2017年一発目のレビューってことになってますけど、昨年末からの年跨ぎで書いてたやつなんで、実際の本年度一発目の映画レビューはコレ。新年早々“食人”。なんかこう、良い一年になりそうだなぁ。
【ストーリー】
西部開拓時代のアメリカ。荒野に佇む町の保安官ハートは、町に現れた不審な男を勾留する。しかし、その翌朝。町には八つ裂きにされた死体が残され、勾留していた男と保安官助手、男の治療のために残っていた女医らが忽然と姿を消していた。保安官事務所に残されていた矢から、荒野に潜む未開の部族の仕業であることが判明する。保安官と老保安官助手のチコリー、女医の夫のアーサー、そして原住民討伐に執念を燃やすブルーダーら4人は、部族の集落へ救出に向かうのだったが…。
荒野での過酷な旅路と、食人部族との凄惨極まりない戦いを描いた異色の食人ウエスタン。S・クレイグ・ザラーが自身の脚本を、初メガホンを握り映像化。僅か180万ドルの予算と4週間の撮影期間で作り上げられたことも話題となった本作。
“西部劇”と“食人”。ゲテモノ感と地雷臭ハンパない組合せながらも、その双方が思いのほかシッカリと作り上げられていたことに驚かされた本作。境界線の向こう側は未開の地である開拓地の生活や、その町に流れる空気感が見事に表現されていた西部劇パートと、プレデターチックな食人部族による、アナログな特殊メイク特有の汚らしい不快感が堪能できる、切断に股裂きなど豊富なゴア描写満載な食人パートの双方楽しめたお得な一本。自然や未知なものに対して無力となってしまう文明人や彼らのエゴなど、テーマもぶれずにきちんと描けていたのも立派。
少々抑揚に欠ける冗長さも感じられた本作。しかしながら、セリフとセリフの間に意味合いを持たせる脚本家らしいドラマ作りをしているのでその冗長さも味となっており、低予算・短期間であっても撮りたいものがハッキリしていて、無駄を省いてその目標にまっすぐ進めば面白い作品になるというお手本のような一本で。「四人の男が困難に遭うぅ〜♪」って歌い上げる、監督も作曲に携わったエンディング曲も素敵でしたし。
西部男が案外ハマる『ワイルド・スピード SKY MISSION』のカート・ラッセルを筆頭に、カウボーイっぽさはちょっと感じられなかったものの、愛妻のために全てを投げうつ真っすぐさがピッタリだった『死霊館 エンフィールド事件』のパトリック・ウィルソン、悲惨な過去故の冷徹な男となった複雑な役柄を見事に演じきった『バンテージ・ポイント』のマシュー・フォックスに、コミックリリーフながらも亡き妻と保安官に対する絶対的な愛情を巧みに表現した『アウトロー』のリチャード・ジェンキンスといった、初監督で脚本家としての実績も過去一本のみしかない監督の、表面上はゲテモノ映画である作品とは思えぬ顔触れが集結しているのにも驚かされた本作。しかも、それぞれが求められているキャラクター像をしっかりと表現してましたし。
そんなメインどころのみならず、久々に見れて嬉しかった『スパイダー パニック!』のデヴィッド・アークエットや、『デビルズ・リジェクト〜マーダー・ライド・ショー2〜』のシド・ヘイグ、『マインドハンター』のキャスリン・モリス、相変わらずの棒読みっぷり際立つ『リンカーン弁護士』のマイケル・パレに、『ブレードランナー』のショーン・ヤングまで出てきちゃう、物語同様に王道とゲテの融合が果たされているキャスティングも魅力だった一本で。
「殺すぞ!」ってのもヤダけど、「食べるぞ!」ってのはもっとヤダ
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