2016年 アメリカ映画 123分 アクション 採点★★
豪華スターが顔を揃えるオールスター映画や、大物ミュージシャンが集まったスーパーバンドってなものがありますけど、そのスターに慣れ親しんでたりファンでもないと、イマイチその有難みってのは味わいづらいですよねぇ。「きっと凄いことなんだろうなぁ…」程度にしか感じられなかったりしますし。
【ストーリー】
スーパーマンなき後の世界の危機に備え、米政府は極秘裏に極悪人を集め最強の特殊部隊“スーサイド・スクワッド”を結成する計画を立てる。娘想いの暗殺者デッドショットを筆頭に、ジョーカーの恋人ハーレイ・クインら選りすぐりの悪党らが集められ、彼らに最初のミッションが与えられる。それは、太古から蘇った巨大な力を持つ魔女で…。
その点、マーベルはやり方が巧いですよねぇ。知名度のみに頼らずコミックファン以外も楽しめる作品をまず作り、それぞれのキャラクターに価値と馴染みを持たせてから集結させ、作品のスケールを格段とアップさせますから。
そんなマーベルに対する焦りなのか、大急ぎで“DCシネマティック・ユニバース”的なのを作り上げようとしている感じがアリアリだった、DC悪党集結アクション。DCシネマ部長みたいになってきた『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のザック・スナイダーは製作総指揮に回り、『エンド・オブ・ウォッチ』のデヴィッド・エアーが監督と脚本を。
ネジが軽く5、6本吹っ飛んだようなキャラとギラついた色使いにDCらしさを感じるが、作品そのものはキャラに頼り切った、なんともとっ散らかった一本に。原作のファンであれば出てくるだけで嬉しいキャラなんでしょうけど、DCに馴染みの薄い私にとってはただそこにいるだけの存在感しか感じられない肉付けの甘さと、クライマックスになるとバットマンの使い道がなくなってしまう『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』と同様、キャラの配置バランスの悪さも気になるところ。怖くもなければモンスターとしてのカッコ良さもない、なで肩頭でっかちなキラー・クロックのデザインバランスの悪さも然り。
また、キャラクターに関してはまとまりのないとっ散らかった印象が強いが、物語そのものはAからBへ進むだけの盛り沢山とは言い難い一本道な展開で、時折バットマンやジョーカーがストーリーの上を斜めに横切り多少の起伏を与えてはいるが、基本的には平坦で変化のない画と物語が延々と。てか、この物語にジョーカー必要?
予告編は去年一番胸を躍らせた本作でしたけど、快進撃を続けるマーベルに対するDCの焦りと映画製作に対する“学んでなさ”が如実に出ちゃった、今後の展開に不安しか残らないなんとも残念な一本で。
わらわらといる面々の中で中心に据えられていたデッドショットに扮したのは、『メン・イン・ブラック3』のウィル・スミス。恒例の肉体自慢で登場するので、いつもの「オレだけを見ろ!」映画になるのかと不安を感じましたが、アンサンブルに徹した丁度いい存在感を。一歩下がって要所要所で場をさらう、こういう時のウィル・スミスは非常に良いなぁと再確認。
一方、本作のビジュアルイメージの大半を担っていたハーレイ・クインに扮したのは、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』のマーゴット・ロビー。どう転ぶか予測不能なキャラを見事に演じ、作品に程よい不安定さを与えてくれた、本作の面白さの大部分を担った彼女でしたけど、そのキャラを物語に活かし切れていないってのが残念で。
その他、ナイーヴなジョーカーに扮した『ロード・オブ・ウォー』のジャレッド・レトーや、『ラン・オールナイト』のジョエル・キナマン、クネクネと舞ってる様が妙にソソられたエンチャントレスに扮したカーラ・デルヴィーニュ、大雑把なオーストラリアイメージで形成されたキャプテン・ブーメランに扮した『ターミネーター:新起動/ジェニシス』のジェイ・コートニーに、更に大雑把な日本イメージで形成されたカタナに扮した福原かれんなど、顔触れだけは賑やかだった本作。ちらりと倅イーストウッドも出てますし。
そんな散らかった印象しかない本作でしたけど、ノンクレジットで登場する『ゴーン・ガール』のベン・アフレックを見れたのが一番の収穫。『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』の時も思ったんですけど、人間の負の側面を存分に感じさせるベン・アフレックって、これまで演じた誰よりもブルース・ウェインにピッタリなんじゃないかなぁ。
集合写真の時だけまとまるクラス
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