2016年 アメリカ/スウェーデン映画 88分 アクション 採点★★
セガールって、映画の中では絶対神みたいなもんなんで、まぁず死なないですよねぇ。無敵。でも、そんなセガールも『エグゼクティブ・デシジョン』と『マチェーテ』では死んでるんですよねぇ。ただまぁ、『エグゼクティブ・デシジョン』では飛行機の尾翼にしがみついて何食わぬ顔で帰還していた可能性も否定できませんし、『マチェーテ』でもしっかりと生命活動の停止を確認していないので、後日鬼の形相で仕返し行脚に出向いている可能性も否定できず。なんかもう、セガール怖い。
【ストーリー】
セガールによってすべてが管理されるセガール全体主義国家となったアメリカでは、国家の敵となるものは全て工作員によって殺される運命にあった。そんな中、優秀な工作員であったコンドルは消されていた感情と記憶をひょんなことから取り戻し、死んだと思っていた元恋人のニーナと共にセガールに立ち向かうのだが…。
スウェーデンの若手監督の作品に、セガールが「オレがちょいと一噛みしてやるよー」と製作総指揮を名乗り出て、箔付けだけのゲスト出演なのに最終的に乗っ取っちゃった感じのSFアクション。『ティアーズ・オブ・ザ・サン』の“なんちゃってヴィゴ・モーテンセン”が辛うじて記憶にあるジョニー・メスナーを主演に、『キンダガートン・コップ』のリチャード・タイソン、『コマンドー』のヴァーノン・ウェルズらが共演。
掻い摘めば、『リベリオン』からガン=カタを抜いてセガールを足した感じの本作。すべてが監視される管理社会の頂点に君臨しているのがセガールだってのは、ビッグブラザーが管理している社会なんかよりも遥かに怖い。鬼の包丁片手に直々に粛清しに来ちゃいそうですし。関西弁で喋りながら。
まぁ、そんな雰囲気こそ悪くはないんですけど、映画としてはお粗末の極み。監視社会として描かれてるのは序盤のみで、著名人が顔を晒して反政府活動してたり、国家に追われる主人公が普通に家に帰ってたりと、設定がさっぱり機能していない描写の連続。また、物語上重要な“何故”や“どのように”がきれいに抜け落ちてるので、不可解・不用意・矛盾のオンパレード。アクション自体にもこれといった見どころもない、やりたいことは分かるが全然やれてない残念な一本で。
そんな残念な一本ではあるんですけど、今回のセガールは凄い。
『沈黙のSHINGEKI/進撃』の時と同様ゲスト扱いなので出番は少ないんですけど、若い全裸の娘を傍らにはべらかし、その娘の尻を満面の笑みで見つめ、モシャモシャとした日本語を喋り、東洋医学のうん蓄も披露する“セガール・ワールド”全開。しかも、アクションシーンとなれば主人公をコテンパンにしてしまう絶対神っぷりも健在。ってか、悪の親玉の圧勝って斬新。
もちろんセガールが圧勝したままセガールの笑みで終わっちゃうと流石にアレなので、一応負けてみたりするセガール。ネタバレにはなっちゃいますけど、死んでみたりもするお茶目なセガール。でも、そこは流石セガール。死ぬけど死んでない。何を書いてるのかサッパリでしょうけど、文字通りの展開。普通の映画なら反則になる手を堂々と使っちゃう、まさにセガールが神として君臨する世界。主人公ですら刃向かえず。
可能な限り楽が出来、若い娘の裸を拝め、一番強いのは自分というセガールが求めるセガール映画の完成形を垣間見た気もした本作。映画としてはアレですし、映画人としてのセガールもアレなんですが、なんか理想的な老後を過ごしているセガールがちょっと羨ましかったので★オマケ気味に。
セガールに勝てるのはセガールのみ
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