2015年 アメリカ/スペイン/イギリス/フランス映画 115分 アクション 採点★★★
リーアム・ニーソンやデンゼル・ワシントンみたいに、非アクション系の演技派俳優が50代を迎えて突如アクションに開花するパターンが増えてきましたよねぇ。“強くてカッコいいオレを見ろ!”というかセガール化というか。不惑の40代とは言いますが、私なんかもそうなんですけど迷走に迷走を重ねた40代を通過すると、何か開き直りの境地にでも達するんでしょうかねぇ。てことは、私も50になったら突然限界突破の筋トレとか始めちゃうんでしょうかねぇ。なんか楽しみになってきた、50歳。
【ストーリー】
コンゴの大臣暗殺の任務を遂行した特殊部隊の傭兵ジムは、最愛の恋人を現地に残したままアフリカの地を去る。8年後、NGOのメンバーとしてアフリカに戻り慈善活動を行っていた彼のもとに、突如謎の襲撃者が現れる。自分を襲った敵の正体を知るべく動き出したジムであったが、その背後には彼自身の過去が大きく関わっていて…。
過去にアラン・ドロン主演の『最後の標的』としても映画化された、ジャン=パトリック・マンシェットの“眠りなき狙撃者”を『96時間』のピエール・モレルがメガホンを握って再映画化したアクション・サスペンス。主演のショーン・ペンが製作と脚本にも名を連ねている。
「いよいよショーン・ペンが50男アクションに!」と驚かされたが、そこは流石ショーン・ペン。途上国における欧米企業の悪行三昧やら、巨大な社会悪にその歯車であった男が挑むみたいな彼らしいジャーナリズム的な香りも漂う一本に。ざっくりと言えば“セガール版『ナイロビの蜂』”的な、見応えある一本に。
しかしながら、その“見応え”はテーマや役者の重厚感に因るものが大きく、アクション・サスペンスとしては中身がメタメタ。“過去の悪行の記録”ってのが事件の発端となっているのだが、その記録が残ってる理由が“病気で物覚えの悪い主人公がたまたま何でもメモする癖があるから”ってな唖然とする代物だし、敵はすぐ探せる割に残した恋人に会うためにトンチンカンな場所で井戸掘ってたり、クライマックスの対決に至ってはたまたま開けたドアから飛び出てきた暴れ牛が解決するという、作品の雰囲気に誤魔化されているが、よくよく考えれば珍妙なシーンの連続。社会問題を提起する主張ばかりが先に立ってしまい、最も肝心な面白い映画作りってのを疎かにしちゃった感じの残念な一本で。
凄腕だけど忘れっぽい主人公に扮したのが、『カリートの道』のショーン・ペン。狂犬のような顔立ちや若い頃から何気に鍛え込んでいた肉体など、もともとアクション映えする役者ではあるので全くもって違和感なし。ドラマ部分のみならず、身のこなしや銃さばきなどアクション部分でも彼らしいのめり込みっぷりを見せてくれてたのは流石だなぁと。
そんなショーン・ペン以外にも、ヌメっとした憎々しさが相変わらず見事かつ嫌だった『007 スカイフォール』のハビエル・バルデムや、裏社会の熱い男気を飄々と表現していた『X-ミッション』のレイ・ウィンストン、終盤になって突然絡んでくるだけの割に扱いが大きかった『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』のイドリス・エルバ、主人公同様に狙われる立場のはずが「会社に気に入られてるから!」ってだけで主人公を追う立場に居座れてる不思議な悪役に『ブリッジ・オブ・スパイ』のマーク・ライランスが配されるなど、実力派の顔触れがその力量をしっかりと発揮していた本作。そんな役者の存在感が生み出した重厚感に★ひとつオマケしますけど、「なら、もうちょっとちゃんと作ろうや!」って思いも募っちゃう一本で。
ある意味ショーン・ペン流ナルシス爆発映画でも
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