1999年 ドイツ/オランダ映画 98分 サスペンス 採点★★★★
一度は行ってみたい場所は山ほどあれど、その中でも常に上位にランクインしているのがアムステルダム。いやぁ別に、縦横無尽に走る水路とギューギューに詰まったレゴブロックのような建物が並ぶ街並みが見たいわけではないんですが。まぁ、アレです。邪まな期待に胸がパンパンに膨れているだけで。
【ストーリー】
商用でアムステルダムを訪れた薬品会社の重役一家。しかし、ホテルに着くや否や一人娘で口がきけない障害を持つメリッサは両親とはぐれてしまい、迷子になっているうちに殺人事件の現場を目撃してしまう。犯人に見つかってしまったメリッサは殺し屋に追われ…。
子供が主人公なだけに、ワンパクで安全なサスペンスアクションを期待すると痛い目に遭う一本。
“口がきけない障害”“虚言癖”“異国の地”“大スター滞在につき厳戒警備中のホテル”と、スタートと同時に散りばめられた数々の諸設定が一気に機能し始める序盤の山場までがまず見事で、その勢いを失うことなく最後までノンストップで見せ切る手腕に唸らせられる。ノンストップとは言っても笑いと恐怖の緩急のつけ方も巧みで、そのメリハリの効きで単調にならないで済んでいる。まぁ、その“笑いと恐怖”の配合の仕方が、『ホーム・アローン』のカルキン君が鏡の前でアフターシェイブをつけて「ワァーーーッ!」って叫んだ直後、『ポルターガイスト』のように顔の肉がボロボロと腐り落ちていくのを見せられるかのように、非常に独特なんですが。お陰で人一人殺すのにギャグと血生臭い描写が交互に何度も繰り返されるので非常に時間がかかり、こっちが逆に心配になって「早く殺してやりなよ」と声を掛けたくなるほど。この辺の爆笑の後に首がゴロリと転がる味わい(またはその逆)は、『ダウン』のディック・マースならではのお楽しみなんで、好きな人には堪らないかと。また、劇中の大スター“マンソン・ファイブ”のビリー・ボーイ・マンソンは、その名のまんまマリリン・マンソン風味のスターなのだが、“こうは見えても実はいい人”というハリウッド流をあっさり裏切る、見たまんまの変態ってのも、非常に素敵。“ファイブ”ってことは、あと4人あんなのがいるってことも、また素敵。
主演にウィリアム・ハートがクレジットされてはいるが、本作の主人公は間違いなく口がきけない少女メリッサを演じたフランチェスカ・ブラウン。マヌケな殺し屋とは言え、明らかに人を殺している上に明確な殺意を持って追って来る相手に一瞬の迷いもなく蹴りを繰り出すその俊敏さと行動力には、ただただ感嘆するのみ。生み出している結果は、ある意味カルキン君よりも凶悪ですし。美少女系というよりは、そのチリチリ頭が若干ヤボったいその風貌が、彼女の蹴りの破壊力に説得力を持たせているようにも。
子育てに無関心だった父親が、俄然子供の為に体を張るというサイドストーリーを成立させるには、終始ヌボーっとしていた『ヒストリー・オブ・バイオレンス』のウィリアム・ハートが適任だったかどうかに若干の疑問が残るが、俊敏さの全く感じられないその長すぎる手足で必死に娘を追う姿は、「あぁ、パパもやる時はやるんだなぁ」と感慨深くも。娘想いの母親役に、“パンパンだけど露出が高い”のか“パンパンだからハミ出ちゃってる”のか分からなくなってきた『チャイルド・プレイ/チャッキーの種』のジェニファー・ティリー。もういい加減見慣れてはきたのだが、いい女役を続けるのなら『のるかそるか』の頃とまでは言わないので、もうちょっとだけでもダイエットをしてみてはとも。まぁ、50歳を目前に控えても、このキャラを一切変えようとしないのは非常に立派なんですが。
銃を手にしたら確実に引き金を引く子ですし
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