2013年 アメリカ/イギリス/オーストラリア/日本映画 126分 アクション 採点★★★
私自身は“ニホン”という名のワンダーランドが舞台となる外国映画が大好きなんですけど、その日本描写のデタラメさ具合にご立腹される方も少なくないようですねぇ。事実関係の間違いを指摘して「これだからハリウッドは…」と文句を言う割に、それ以外の国を舞台にした場合は案外スルーだったりも。基本的に映画の面白さって“嘘の上手さ”にあると思うので、映画の面白さを台無しにするデタラメさ以外は別にいいと思うんですけどねぇ。日本を舞台にしておきながら忍者が出てこないと、やっぱりなんか物足りないですし。

【ストーリー】
人里離れカナダの山奥で暮らすローガンのもとに、第二次世界大戦時に出会った旧友で今は大物実業家である矢志田の使者がやってくる。余命僅かで死の前に恩人であるローガンに会いたいという願いを聞き東京へと向かった彼だったが、再会間もなく矢志田は「君の永遠の命を終わらせてあげる」と謎の言葉を残して亡くなってしまう。葬儀に参加するローガンであったが、そこに矢志田の孫娘マリコを狙う武装集団が現れ…。

ウルヴァリンを主人公とした“X-MEN”のスピンオフ第2弾。メガホンを握ったのは、『ナイト&デイ』のジェームズ・マンゴールド。『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』の直接的な続編ではなく、時系列的には『X-MEN:ファイナル ディシジョン』と『X-MEN:フューチャー&パスト』の間に立つ作品のようで。
ウルヴァリンの過去を取り戻す旅を描いてるのかと思いきや、いつの間にかシレっと記憶を取り戻しているウルヴァリンの1エピソードを描いた“ウルヴァリンの大冒険”的な本作。東京-長崎間を車でひとっ走りしてみたり、大物をガードする忍者部隊が居たりと日本のようでいて日本じゃないワンダーランドな日本描写が楽しい。やっぱ忍者が出ないと。そんなエキゾチックさを優先しながらも、微妙に正しい日本描写も良い味を。まぁ、この辺は日本人だからこそ味わえる面白さなので作品そのものの評価の仕方としてはフェアじゃないんですが、見覚えのある場所にそこに居るはずのないヒーローが立ってるのを見るのはやっぱり嬉しいもので。
物語自体は二転三転すると同時にキャラの立ち位置も役割二転三転する、まとまりのない決して褒められる代物ではないし、唐突にラブシーンが始まる“お約束”だけで出来てるような作品でもあったんですけど、原爆被害にちょろっと触れてる娯楽大作ってのは珍しいので採点はやや甘めで。

ドウェイン・ジョンソンの助言でより一層ムキムキとなった『チャッピー』のヒュー・ジャックマンがもちろんウルヴァリンに。そのハマリっぷりはもう言うまででもないんですけど、イメージの定着を嫌うスターが少なくない中、こういう当たり役を大切にしながら他の作品でも活躍するってのが本物のスターだよなぁと。
その名前に妙に親しみのある色々と棒っぽかったTAOや、後半チャッキーみたいな恰好で大暴れする福島リラが大活躍するのは日本人的には嬉しいんですけど、ちょっと見た目重視の役割で終わってたかなぁとも。『サンシャイン2057』の真田広之や、『カリフォルニア・ダウン』のウィル・ユン・リー、『ジュラシック・ワールド』のブライアン・ティーら男性キャラが揃いも揃って役割がコロコロ変わるバカみたいな存在だったので、より女優陣が輝いて見えたのかも知れませんし。
その他、真の目的がありそうでなかったヴァイパーに扮した『裏切りのサーカス』のスヴェトラーナ・コドチェンコワや、イアン・マッケランとツルンとして無表情だったのでなんかCGみたいだったパトリック・スチュワートという『X-MEN:フューチャー&パスト』への橋渡し組、寝てばかりのファムケ・ヤンセンらも出演。個人的には『ブラック・レイン』のガッツ石松的な扱いだった小川直也が見れたのがちょっと嬉しい。
そう言えば、ブルーレイに収められていた別エンディングにコミック版ベースのウルヴァリンコスチュームが登場してましたが、いずれは着てくれるんですかねぇ。

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