ザ・シューター／極大射程 (Shooter)

監督　アントワーン・フークア　主演　マーク・ウォールバーグ
2007年　アメリカ映画　125分　アクション　採点★★★★

男の子なら誰しも一度は夢想する“脳内戦争”。きっと“もし街中にゾンビが溢れたら？”の次くらいに人気のある夢想だと思うのだが、その“もし戦争になったら？”の状況設定の中、自分のキャラ設定で意外に人気が高いのがスナイパーなのではと。前線で「ワァー！」と走り回る二等兵の一人ってよりは、遠く離れた所からシュパシュパと敵を撃つスナイパーの方が、なんかカッコよさげですし。でもまぁ、なんかの間違いで自分が優れた狙撃の腕前を持ってたとしても、過酷な状況下であってもひたすらじっと敵を待つ忍耐強さが必要な狙撃手なんかに、一箇所に５分といられない極端な飽きっぽさを持つ私がなれるわけもないんですが。蚊にもいっぱい刺されそうですし。



【ストーリー】
かつては海兵隊の凄腕スナイパーだったが今では山奥で隠遁生活を送るボブ・リー・スワガーのもとに、大統領暗殺計画をその経験を活かし阻止するよう依頼が入る。フィラデルフィアで監視に入ったスワガーであったが、謎のスナイパーによる凶弾は演説中の大統領と一緒に居たエチオピアの大司教を射殺。その直後スワガーも背後から撃たれたうえ、全ての容疑がスワガーに向けられていき…。



日本でも人気の高い、スティーヴン・ハンターによる“ボブ・リー・スワガーシリーズ”の第一作目『極大射程』の映画化。まぁ、相変らず読んだことはないんですが。
『ジャーヘッド』で初めてスナイパーが二人一組で行動することを知ったほど銃器関係には疎い私ではあるのだが、海兵隊時代の活躍を描くオープニングの緊張感と日常感の入り混じった中での、役割分担と手順が細かく描かれた狙撃作戦の描写が素晴らしい。本編で描かれる陰謀も、その後の隠蔽工作も含め否応がなくケネディ暗殺を髣髴させ、絵空事じゃない緊迫感と、７０年代風の男気アクションの雰囲気を生み出している。原作への配慮か、『トレーニング　デイ』『ティアーズ・オブ・ザ・サン』と個人的に嫌いな映画ばかり撮っているアントワーン・フークアの持ち味なのか、シーン数の多さに若干の冗長さを感じ、それがノンストップアクションにもハードボイルドサスペンスにもなりきれていない半端さを生んでいるようにも思えるし、クライマックスで黒幕を追い詰めた後の行動と、その後の聴聞のシーンに多少のチグハグさを感じてしまった不満もあるものの、「残念ながら法では裁けないんだよ。でも、私がちょっとあっちを向いている隙に君がまぁ、アレだ」的なエンディングは嫌いではないし、なによりも全体に漂う男アクション臭が久々であったので、★オマケで。



僅かな風向きや湿度の変化で大きく着弾点が変わってしまう長距離の狙撃を成功させる強い精神力と忍耐力を持ち合わせ、そのストイックさから猛者を言うよりは修行僧に近いイメージが浮かぶスナイパーだが、本作で主役を演じる『フォー・ブラザーズ／狼たちの誓い』のマーク・ウォールバーグはどっちかといえば鉄砲玉そのもののイメージ。その辺が原作ファンの賛否を呼びそうではあるが、わたし的にはありで。まぁ、読んでないからなんですが。そんな彼の“そこらの兄ちゃん”臭が主人公に人間味を与えている点で、映画的にはアリではと。
『リーサル・ウェポン』シリーズのダニー・グローヴァーが悪役を演じているが、「実はやっぱりいい人なんじゃないの？」と思わせるその似合わなさが功を奏しているし、もの凄く久しぶりに劇場で観たネッド・ビーティーの「実はバート・レイノルズも出てくるんじゃないの？」と思わせる７０年代臭も、作品に非常にマッチしている。
ところで、エンドクレジットを眺めていたら一人気になる名前が。スタントマンの一人としてクレジットされていたのだが、その名は“ダニー・アイエロ三世”。『レオン』『ディナーラッシュ』『ラッキナンバー７』などのダニー・アイエロと何らかの関係があるのかと調べてみれば、なんと息子。親子共々映画の仕事をしているんですねぇ…ん？“三世”？てことは、ダニー・アイエロは“二世”？


映画の中でもかつての相棒の名前が“ドニー”

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Comments

こんにちは☆
ただのミーハーなもので素直に楽しめました♪
原作も、ちと気になりますが･･･
スナイパーが2人組ってのは初めて知りました･･･ドンパチ好きなくせにあまり知らない私です。

Posted by ゆかりん at 2007年06月05日 19:36

こんばんは！

私も原作は案の定未読、ダニー・グローヴァーが悪役だと知った時には
フツーに驚きました。
マーク・ウォールバーグは今回初めてカッコイイと思いましたー☆

ところで記事と全く関係ないことで恐縮ですが、
プロフィール欄のネコちんの画像がかわいすぎて
いつまでも眺めてしまいます〜

Posted by kenko at 2007年06月05日 22:17

TBありがとうございました。
そっか、「トレーニング・ディ」（これは好きでした）と「キング・アーサー」しか思い浮かばなかったのですが、トンでも映画の「ティアーズ・オブ・サン」も撮ってましたね。
思い出させてもらいました。
とことん地に落ちた評価の監督だったのですが、コレは結構いいかもという映画館のオーナーの言葉に載せられて見に行ったのですが、それなりに及第点です。
多分、次はまたトンでもに行くんでしょうかね。

Posted by sakurai at 2007年06月05日 22:36

ゆかりん様こんばんは〜♪
ついついスナイパーっていうと、ゴルゴのおっさんを思い出しちゃうので、てっきり一人っきりでやってるもんだと思っちゃうんですよねぇ＾＾；

Posted by たお at 2007年06月06日 22:04

kenko様こんばんは！
何気に乳首が三つあるウォールバーグですが、結構前からお気に入りの一人です＾＾
結構前とはいっても、マーキーマークの頃とかじゃないですが。
頭をずぶ濡れにしているネコですが、つなぎ目が上手いんで、いつまでも眺めてしまいますよねぇ。レビューそっちのけでｗ

Posted by たお at 2007年06月06日 22:04

sakurai様こんばんは！
『トレーニング　デイ』は、ダークなカッコよさがあったデンゼルが、どんどんただの悪党に成り下がってしまう展開がイヤで＾＾；どうして『ＮＹＰＤ１５分署』のユンファ兄のように描けなかったのかと。
確かに本作にも組み立てがおかしい部分がありましたが、この監督にしては上々の部類ですよね＾＾
次回作は不安ですが。。。

Posted by たお at 2007年06月06日 22:08

こんばんは♪
TBありがとうございました。
プロフの猫ちゃん、めちゃめちゃ可愛いですね〜。
お手手洗ってるのか、頭洗ってるのか、とにかくずーっと見ていたくなります。

マークはキャスティングミスじゃないかな〜と心配してました。
まさに
＞鉄砲玉そのもののイメージ
ですものね。
でも意外性が良かったのか、なかなか似合ってました！

Posted by ミチ at 2007年06月06日 23:31

ＴＢありがとうございました！

>絵空事じゃない緊迫感
現代ならではのありそうな設定がハラハラさせました。
孤高な男アクションものの大作って久しぶりに見た気がするので懐かしくもあり、新味でした。
ダニー・グローヴァーもいい味出してましたね。

Posted by たまさん at 2007年06月07日 20:12

ＴＢ、ありがとうございます☆
アクションシーンではハラハラして観ておりました。
原作のスワガーがどういうひとなのか分からないのですが、映画のスワガーは男らしく、かっこよかったです。

Posted by ぽっぽ at 2007年06月10日 01:05

たまさん様こんばんは！
結局は利権が全てってのが、空恐ろしいんですよねぇ。そこには国家の思惑とか思想の違いとか関係なく、ひたすらに金の問題ですし。

Posted by たお at 2007年06月10日 01:44

ミチ様こんばんは！
頭が濡れても構わないほど、なにに夢中になってるのやらｗ
スナイパーに見えるか？と聞かれれば、まぁ見えないのがマーク・ウォールバーグなんですが、人は良さそうに見えますねぇ。

Posted by たお at 2007年06月10日 01:44

ぽっぽ様こんばんは！
私も原作のスワガーについてサッパリなんですが、映画のスワガーは非常にまぁ、いつものマークでしたねぇ＾＾；

Posted by たお at 2007年06月10日 01:51

>なによりも全体に漂う男アクション臭が久々であったので、★オマケで
同じく、気になる部分は全て目をつぶりたくなるほどの“男アクション臭”に、大甘な感想を書いてしまいました（笑）

Posted by 哀生龍 at 2007年06月11日 08:26

哀生龍さまこんばんは〜♪
よくよく考えれば、結構雑な作りの作品なんですが、キャラクターの魅力でだいぶ救われてはいますよね＾＾

Posted by たお at 2007年06月14日 21:47

お久しぶりです。風邪の具合はいかがですか？
私も急に涼しくなったせいか微熱が出たり咳が出たりで調子がイマイチ(^o^;
昨日は階段から落ちたし＿l￣l○
といっても二段だけなので青あざですみました（笑）

さてさてこの作品、マーク・ウォールバーグが主役ちゅうことで地味なヒーローになってましたねー(^o^;
でもその地味さ加減が丁度よかったのかも？と私も思います(笑)
実はスナイパーってのは地味な仕事なんだぞってのもよくわかるし・・・。
そういや私もスナイパーが二人一組で行動するってのは知らなかったです。こういう知識を持ってみると他の作品も楽しめそうだな。

Posted by chibisaru at 2007年10月10日 10:01

chibisaru様、こーんばーんはー♪
さすがに階段から転げ落ちるまでは弱っていませんが、風邪は治ったのか治っていないのか、連日眠たいです。
で、これ。
その地味さを含め、非常に７０年代風アクションとなっていてなかなか好みでありました＾＾

Posted by たお at 2007年10月16日 21:52

たおさん　トラコメありがとぉ〜感謝です♪

＞バート・レイノルズ
うんうん、出てきそうな雰囲気ありましたね。
あと、ダニー・アイエロの息子さんがスタントマンでしたかぁ。
ビックリです！

最後の画像のマークの上腕二頭筋が良いですねぇ〜ん♪
ウデフェチのアタクシには・・・たまりましょえん。

Posted by なぎさ at 2007年11月22日 08:54

なぎさ様、こんばんは〜♪
腕フェチでございますか、なぎさ様は！
ということは、私の二の腕なんて見た日には、きっと・・・ぐだぐだになるんでしょうねぇ＾＾；

Posted by たお at 2007年11月22日 22:36