2015年 アメリカ映画 101分 コメディ 採点★★★
考えてみたら今現在、定期的に会う“友達”と言える存在がいない私。友達としてカウントしている人間には、もう何年も会ってないですし。たぶん、まだ生きてるはず。別に今が孤独ってわけじゃないですし、他者との接点を絶ってるわけじゃないんですが、“友達と遊ぶ”って行為が生活の中からすっぽりと消えちゃったなぁと。高校から大学を出る頃までをピークに、仕事で他県に行ったり結婚したり、子供が生まれたり育ったりしていく内に、ホントなんとなーく遊ばなくなっちゃったんですよねぇ。全力で遊びたいって気持ちは常にあるのに。
【ストーリー】
両親を事故で亡くし孤独の身となったイーサンを悲しませないために、親友のアイザックとクリスはクリスマス・イヴを毎年3人で過ごしてきた。それから10数年。弁護士となったアイザックはもうすぐ父親に、クリスはアメフトのスター選手となった一方で、イーサンは未だ大人として自立しきれないでいた。そんな3人で過ごすクリスマスを今年で最後にする決意をした彼らは、最高の思い出を作ろうと伝説のパーティ会場を目指すのだが…。
ジョナサン・レヴィンが脚本と監督を手掛けジョセフ・ゴードン=レヴィットとセス・ローゲンが主演する、『50/50 フィフティ・フィフティ』トリオが再度集結して贈るローラーコスター型クリスマスドタバタコメディ。セスの盟友エヴァン・ゴールドバーグがもちろん脚本と製作総指揮を。
大人になりきれないボンクラが騒動を通して自立と成長を果たす一方で、その変化により最高だった青春時代に別れを告げるセス映画でお馴染みのテーマを、『ホーム・アローン』や『ダイ・ハード』などのクリスマス映画遊びと、溢れんばかりのハッパ愛を込めて描いた本作。脚本を大枠に演者がアドリブで好き放題やっただけに、観ている側も一緒になって巻き込まれているかのような一体感や勢いが生まれているし、良く練られたパンチ力の高い笑いではなく程よい緩さが仲間内の身近さを味あわせてくれる。ただその一方で、最近のセス映画に顕著である“自分たちだけが楽しんでる”ってのも目立っていて、観ている側の気分次第ではただただ置いてけぼりになってしまう危険性も。
しかしながら、そんなハチャメチャな騒動を繰り広げながらも、父親になる潜在的な恐怖や、不釣り合いで見せかけだけの友人関係の不毛さ、居心地の良いぬるま湯状態から抜け出せない男の様など、描くべきものをしっかりと描き、それぞれの結末を最後にきちんと集結させてるのは流石だなぁと。
にしても、相も変わらず“俺たち”と最近目にするようになった“ハングオーバー”という、頭を捻った形跡の窺えない邦題が残念ですよねぇ。ただまぁ、映画のポスターなんかもそうなんですけど、情報過多にして一目でどんなものなのか分からないと興味を持とうとしない受け手の問題も大きいんだろうなぁとも。
イーサンに扮したのは、ナイーヴをこじらせた男を演じさせたらピカイチである『ドン・ジョン』『ダークナイト ライジング』のジョセフ・ゴードン=レヴィットが。重大な局面からは逃げ続け、それが原因で振られた元カノに対して未練たらたらで、夢と理想は大きいけど特にそれに向かって頑張ってるわけでもないのに、自尊心だけは大きくてそれを守るために言い訳ばっか言ってる、まさに彼ならではの役柄。寂しそうな目と線の細い印象とは裏腹に、物言いは結構強めってのもぴったりだったなぁと。
一方のアイザックに扮したのが、『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』のセス・ローゲン。劇中のほとんどをクスリで飛んだままで過ごす役柄ながらも、ずうずうしく見えて案外気い使いしいだったり、どこか無理している感じを出す細やかさを。誰かの親友役ってのが本当に似合うなぁ。
また、クリス役には『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』『アントマン』のアンソニー・マッキーが。ちょっと意外な組み合わせって感じもしましたが、その“ちょっと違う”感じがまたスターになってちょっと変わったクリスって役柄に合ってた好キャスティングで。
その他、ジョセフ・ゴードン=レヴィットの相手役にはゾーイ・デシャネルっぽい子が似合うのか、『クローバーフィールド/HAKAISHA』のリジー・キャプランが元カノに扮し、『22ジャンプストリート』のジリアン・ベル、『憧れのウェディング・ベル』のミンディ・カリング、ハッパ神の使者役の『MUD マッド』のマイケル・シャノン、ナレーションも担当していた『ファンキーランド』のトレイシー・モーガン、マイリー・サイラスといった、気の合う仲間って感じの顔触れが集結。もちろん、セスの大親友である『バトルフロント』のジェームズ・フランコも本人役で登場し、嬉々としてチ○コネタを披露してましたよ。
変化は終わりではなく
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