2016年04月19日

プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 (The Place Beyond the Pines)

監督 デレク・シアンフランス 主演 ライアン・ゴズリング
2012年 アメリカ映画 140分 ドラマ 採点★★★

そんな所が特に目に付いてしまうだけなんでしょうけど、子供ってのはホント似て欲しくない所ばかり似てきますよねぇ。似て欲しい所はさっぱり似ない。自分を振り返ってみても、親父の嫌な所を自分の中に見出したりすることも少なくないですし。でも、よくよく考えてみれば、“似て欲しい”と思う事って往々にして様々な経験を通した中で得たことだったりするので、別の人生を歩んでいる子供たちにそれを望むのは親の勝手なんですよねぇ。

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【ストーリー】
バイクの曲芸をしながら各地を巡る気ままな生活を送るルークは、ある日かつての恋人ロミーナと再会。彼女が自分の子供を産んでいたことを知る。気ままな生活から足を洗い母子を養う決心をしたルークだったが、それに見合う収入を手にすることが出来ず銀行強盗に手を染めてしまう。しかし、新米警官のエイヴリーに追い詰められルークは命を落とす。それから15年後、ルークの息子ジェイソンとエイヴリーの息子AJはそんな過去を知らないまま出会い・・・。

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『ブルーバレンタイン』のデレク・シアンフランス二世代に渡る数奇な運命を描いたクライムドラマ。
子供の存在を知り、その子を養うために銀行強盗に手を染めてしまうその日暮らしの風来坊を描いた第一章、その強盗を射殺したことで英雄扱いを受けるも、自分の子供と同い年の子の父親を奪ってしまったことに苦悩し、また生真面目さ故に警察組織に居場所を失う新米警官を描く第二章、そしてその子供たちが出会い過去の因縁を知ってしまう第三章と、3つのエピソードで綴られた本作。子供のために犯罪に手を染め命を落とす父親、事件をきっかけに子供との距離を置いてしまう父親、そして血の繋がっていない子供に対しても全力の愛情を注ぐ父親。その3人のタイプの異なる父親の姿を通し、子供を作り上げる血と環境ってものを映し出していた一本。男の悲哀を静と動が巧みに織り交ぜられた力強い映像と物語で描き切った、非常に見応えある一本で。成功した父の姿に自分の道を見出したAJの表情や、亡き父の影を追うかの如く旅立つジェイソンの姿に清々しさも感じられる締めくくりも美しい。
ただ、不器用なヤクザな男が愛ゆえに身を滅ぼす、同じくライアン・ゴズリングの『ドライヴ』と似た匂いを放ち、かつての日活映画や東映映画を彷彿させる男の色気を感じさせる第一章が素晴らし過ぎて、メインとなるその後のエピソードに個人的には気持ちが入りづらかったなぁと。また、物語の性質上母親が不在になるのは仕方がないにしても、血の繋がらない子供を献身的に支える義父の姿をもっと深めに描いてくれてれば、より“父と子”“血と環境”ってのが深く描かれた気も。義父コフィが不憫に思えるほど良い人なんで、最後のエピソードはずっとコフィを応援してましたし

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風来坊のルークに扮する、『ラブ・アゲイン』『スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜』のライアン・ゴズリング。寡黙で不器用な生き方しかできないその日暮らしの風来坊という、今のハリウッドではライアン・ゴズリング以外には似合わない役柄を、持ち前の色気と隠し味の可愛げで飄々と好演。女性を惹き付ける要素を全て持ってるが、生活を共にするには一番向いていない一夜限りの二枚目って役柄と、ネオン輝く夜の街が本当に良く似合う。“エヴァ・メンデスとの間に子供が云々”は興味がないのでここではスルー。
一方のエイヴリーに扮したのは、『アメリカン・スナイパー』のブラッドリー・クーパー。こちらも優男風の二枚目だが、明るく優しそうな一方で狡さも感じられる顔立ちが、政治の道へと進むエイヴリーにマッチする好キャスティング。
その他、老けメイクがやり過ぎな気がしてならなかった『ロスト・リバー』のエヴァ・メンデスや、“悪徳警官”といえば真っ先に浮かぶ『NARC ナーク』のレイ・リオッタ、同性愛的な香りも感じられた『ダークナイト ライジング』のベン・メンデルソーン、いつもの“悪いデカプリオ”風味にちょいとベニチオ・デル・トロも混じってた感もあった『ライフ・アフター・ベス』のデイン・デハーンらも強い存在感を。
ただ、その中でもいちばん目を引いたのがコフィに扮した『プレデターズ』のマハーシャラ・アリ。というか、コフィに。生まれたばかりの赤子を抱える女性と交際し、その母親も自分の家に招き入れ養うコフィ。恋人の元カレで子供の父親が勝手に家に入り込んだ挙句工具で殴られ重傷を負っても、その男が犯した犯罪のせいで警官が家中を物色しても恋人を責め立てるわけでもなく、血も繋がってなければ肌の色も違う子供を息子として愛情を注ぎ、実の子供が生まれても分け隔てなく接し、息子がグレて問題を起こしても支え続けるのに息子は亡き父を追うようにどっか行っちゃうし、嫁は元カレの写真持ってるしでもう不憫にも程がある。死んだらきっと聖コフィと呼ばれるな。

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でも当の本人が幸せと感じてればいいのかな

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posted by たお at 13:32 | Comment(6) | TrackBack(23) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
聖コフィかどうかは別にして(笑)
確かに良い人でした。
自分の子ではない愛する人の息子を育て、守り、「父親」になる…
本当の父親に。
ただこれルークの宿命と言うか血脈と言うか、その点がメインぽいので、
ルークパートの出来が秀逸すぎて、
もう、なんともいえません。
Posted by maki at 2016年04月22日 15:38
コメント&TBありがとうございます。
コフィはもっと長い時間かけて描いてもよかったかな。そうするとすごい長い映画になってしまうけれど。
前半がとても面白かっただけにだんだんだらけてしまったような気がしています。
Posted by ミス・マープル at 2016年04月24日 10:28
>血の繋がらない子供を献身的に支える義父の姿をもっと深めに描いてくれてれば、より“父と子”“血と環境”ってのが深く描かれた気も。

個人的には、エイヴリーが政治の道に進む辺りが長くだらけて見えてしまったので、その部分をもう少し端折って、その分コフィを描いてくれたら・・・と思います。

ライアン・ゴズリングもブラッドリー・クーパーも、役によってはチャラい優男になるのですが、この作品の中ではそれぞれのキャラにあった“男臭さ”が出ていましたよね。
Posted by 哀生龍 at 2016年04月24日 22:47
maki様、こんにちは〜♪
どちらも“父親”になろうと必死になってるんだけど全然違う結末を迎える、良い対比になってるとも思うんですよねぇ。宿命と血脈がメインなのも分かるんですけど、もう一個なんか欲しかったなぁとも。
Posted by たお at 2016年04月26日 09:01
ミス・マープル様、こんにちは〜♪
毛色が違い過ぎて交差してる感じのしない2番目のエピソードが、より長さを感じさせちゃったのかなぁと。まぁ、役者の特徴を活かした毛色の違いではあったんですけどね。
ホント、もっとコフィを!って感じでした。
Posted by たお at 2016年04月26日 09:04
哀生龍さま、こんにちは〜♪
>エイヴリーが政治の道に進む辺り
最初のエピソードと交差している筈が、毛色が違い過ぎて交差してる感が全くないのもそう感じさせた要因なんでしょうかねぇ。前半をもっと滲ませてコンパクトにすれば、印象も変わったのかも。そうすれば、浮いた時間をコフィに割り振れますし^^
Posted by たお at 2016年04月26日 09:11
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