2016年03月15日

デッドフォール (Tango & Cash)

監督 アンドレイ・コンチャロフスキー 主演 シルヴェスター・スタローン
1989年 アメリカ映画 104分 アクション 採点★★★

共に1985年に公開された、スタローンの『ランボー/怒りの脱出』とシュワルツェネッガーの『コマンドー』で華々しく幕を開けた“筋肉映画”。多少の紆余曲折がありましたが二人とも今現在もスターの座に君臨していますし、その後の作品も喜んで追っかけてたのでその“筋肉映画”の時代が長く続いていたような印象を持ってますけど、87年には新たなタイプのバディアクションとして旋風を巻き起こした『リーサル・ウェポン』が公開され、88年には密室孤立型アクションの傑作としてのみならず、非アクションスターがアクション映画の主演を務めるという新たな流れを生み出した『ダイ・ハード』が公開されてるんですよねぇ。アクションの主流が次々変化していってる。一方その頃の二人はと言えば、シュワは『プレデター』をものにしつつも筋肉映画に限界を感じつつあったのかコメディに活路を求め始めてるし、スタは『オーバー・ザ・トップ』『ランボー3/怒りのアフガン』と、筋肉路線をエスカレートし過ぎて明らかに低迷期に入り始めてる。てっきり80年代はずーっと筋肉が輝いてたと思ってたら、ちょっとした打ち上げ花火だったんだなぁと、調べなおしてみてちょいと驚いた。

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【ストーリー】
ロサンゼルス市警の東西の分署に分かれて所属するタンゴとキャッシュ。スタイルも性格も真逆の二人ではあったが、彼らは共に市警ナンバー1の座を争う凄腕の刑事だった。そんな二人に煮え湯を飲まされ続けていた犯罪組織のボスであるペレットは、二人を社会的に抹殺するため彼らを犯罪者に仕立て上げ刑務所に投獄させる。しかし罠に嵌められた二人は脱獄、反発しあいながらもペレットを追い・・・。

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『暴走機関車』のアンドレイ・コンチャロフスキーがメガホンを握った、巨大組織の罠にはまった二人のスター刑事の活躍を描くバディアクション。
いかにも“ソヴィエト映画ですたい!”的な重苦しい作品を撮ってた監督の作品とは思えぬ破れかぶれなまでの能天気っぷりに、「社会主義国家から見たハリウッドのカリカチュアなのか?」と思ったりもしましたが、よくよく調べてみるとコンチャロフスキーが監督を務めていたのは3カ月余りで、予算超過でクビになった以降は製作総指揮を務めていた『ランボー3/怒りのアフガン』のピーター・マクドナルド、『プリンス/パープル・レイン 』のアルバート・マグノーリ、スタローン自身もちょいと噛んで、最終的に『エグゼクティブ・デシジョン』のスチャート・ベアードが仕上げたっていう、現場のゴタゴタがそのまんま作品の破れかぶれさに現れちゃったようで。「ランボーなんか目じゃないぜ!」から始まり、顔の骨格に特徴が全て詰め込まれたマニアック・コップに対しては「コナン観たよ!」とシュワいじりをし、キャッシュの「なんだ?デニッシュでも食ってたのか?」の問いにスタ扮するタンゴが「デニッシュ(デンマーク人)は嫌いだ!」と離婚したばかりのブリジット・ニールセンを揶揄するみたいな内輪ネタ・楽屋オチがてんこ盛りだが、それらも微妙に空回り
ただ、このハチャメチャっぷりは嫌いではなく。本国では89年12月22日に公開された80年代最後の映画になる本作だが、能天気で大雑把で大味で、それでもって派手さと笑いと筋肉が混在する、まるで80年代の総決算のような本作を嫌いになれるわけもない。機銃を搭載した“地獄から来たRV”やモンスタートラック、バギーカーが大爆発を背景に暴れまわるプチ・メガフォースみたいなクライマックスなんて、もうザ・80年代ですし。密度は別にして、サックリとお祭り気分を味わうには丁度いい一本だなぁと。

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まだまだトップスターとして君臨しながらも、主流の変化と次世代の突き上げもあり一枚看板役者としての地位に陰りが見え始めていた『ロックアップ』のスタローンと、『若き勇者たち』のパトリック・スウェイジのコンビでもともと企画されていた本作。ただ、スウェイジが『ロードハウス 孤独の街』の方を選んだので、代わりに“カーペンター映画でお馴染みの”ってポジションから“笑いもアクションもドラマもなんでもござい!”という次世代スターの座へ駆け上がり始めていたゴースト・ハンターズ』のカート・ラッセルがキャスティング。このコンビネーションが思いのほか素晴らしい
カート・ラッセルはお馴染みの気さくでいい加減なキャラを好演し、一方のスタローンはバブリーでキザというちょっと珍しい役柄に挑戦しているのだが、そもそも二人ともベースに土臭さがあるので相性は悪くない。慣れない役柄のスタローンを巧くラッセルが補ってましたし。この後何作か二枚看板映画を作るスタローンですけど、カート・ラッセル程の相方には出会えてないなぁと。次にこの組合せが見れるのは、現在撮影中の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2』になるのかな?
そんなスタローンとカート・ラッセルばかりに目が行っちゃう作品ではありますが、強いんだか弱いんだかさっぱり分からない犯罪組織のボスに扮した『ヤングガン』のジャック・パランスを筆頭に、『48時間』のブライオン・ジェームズ、『地獄のヒーロー』のジェームズ・ホン、『マニアック・コップ』のロバート・ツダール、アークエット家の家長ルイス・アークエットに、『処刑ライダー』のクリント・ハワードといった顔触れが悪役に扮する贅沢っぷり。
それに留まらず、昨年惜しくも亡くなってしまった『ダーティファイター/燃えよ鉄拳』のジェフリー・ルイスがノンクレジットで出演し、『3人のゴースト』のマイケル・J・ポラード、“犯罪のことならお任せ!”な『バトルランナー』のエドワード・バンカーが囚人役じゃなく刑事役で登場する、ほんと隅々目が離せない一本。まぁ、この盛り沢山なキャストも作品のゴタゴタ感を際立たせてしまってはいるんですけどね。

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で、消耗品軍団入りはいつ頃に?

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posted by たお at 01:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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