2013年 アメリカ/中国/香港映画 105分 アクション 採点★★★
アメリカでは何かっつうと銃撃戦と爆発が起きて、イギリス人はとりあえずパブ。香港人は皆カンフーの達人で、インド人は踊りだす。そんな大雑把なイメージが各国の映画にありますよねぇ。それが持ち味であり特徴であり文化でもあるんですけど、時代や環境の変化でそういったものが薄れていってしまうことも。でも、その薄れていってるってことに敏感に気付いて取り戻そうと動く人って、案外地元の人間ではなく、外からその文化を愛してた方々だったりするんですよねぇ。タランティーノやベッソンみたいに。
【ストーリー】
太極拳を学ぶ真面目な青年タイガーのもとに届いた招待状。それは闇格闘技大会を主催する謎の男ドナカからのものだった。師匠の教えに背くこととは知りながらも、師匠のお寺を再開発から守るため参加を決意するタイガー。しかし、連戦連勝を続けるうちに“力”に魅了されたタイガーは・・・。
『ジョン・ウィック』のキアヌ・リーヴスが初監督を務めた、米中港合作のカンフーアクション。今にもズンドコ節を歌い出しそうな主人公に扮したのは、“マトリックス”シリーズでスタントを務めたタイガー・チェン。アクション監督に『酔拳 レジェンド・オブ・カンフー』のユエン・ウーピン、カースタント・コーディネーターにブルース・ロウが配される、アクション面では鉄壁の布陣。
どういう経緯でこの映画が作られることになったのかは分からないんですけど、役者仲間よりもスタントマンとの交流の方が密接なキアヌのことだから、『マトリックス』の現場なんかでユエン・ウーピンらと“夢のカンフー映画”の話題で盛り上がり、それがなんだかんだと形になっていったのかなぁと憶測。
そのせいか、今回のキアヌは役者としても気合十分。アクションは全く問題ないが主演となるとまだ役不足なズンドコを補うかの如く、普段の無感情能面演技とは打って変わって感情むき出しのフルスロットル演技を披露。上手いかどうかは別にしても、こんなに喜怒哀楽を明確にしたキアヌは久しぶりに見た。
また、“師匠”といったらユエン・シャオティエンの次に浮かぶ『少林寺』のユエ・ハイや、久しぶりに見たけど加齢をさっぱり感じなくて驚いた『エンター・ザ・フェニックス』のカレン・モク、『アイスマン 超空の戦士』のサイモン・ヤムといった趣味の良いキャスティングも良かった一本。楽しみだった『ザ・レイド GOKUDO』のイコ・ウワイスの暴れっぷりが少々消化不良に終わったのは残念でしたけど、まぁその辺は面子を保つために仕方なかったのかと。
役者の話から入ってしまいましたけど肝心の映画の出来はと言えば、これも全然及第点に達する一本。
欧米人が絡むとクロースアップを多用しがちなカンフーシーンも極力全体像を映し出すことに注力し、それぞれのクォリティも決して低くない。舞台も対戦相手のバラエティも豊かなので、単調に陥らず最後まで勢いを持続。
物語自体も、心技体の“心”を忘れダークサイドに堕ちそうになる若者が我に返るまでというシンプルなものだし、舞台も“謎の大物が主催する闇武闘大会”というお馴染みなもの。その安定感によりメインのテーマ、矢継ぎ早に挿入される対決シーン、警察vs闇組織らの要素が互いに邪魔をしない丁度良いバランスで楽しめる一本に。
確かに、手足が長く身体も決して柔らかくないキアヌのカンフーは相変わらず腰痛持ちのカンフーみたいで“美しさ”は感じられないし、主人公のズンドコも闇試合で好き放題やってたくせに、いざ“殺し”を目の前にした途端にヘタレて警察に駆け込み、でも違法に入手した財産は手放さないなんとも狡賢い奴に見えてしまう難点もなきにしろあらず。ズンドコのまる儲け。
ただまぁ、作り手の“こういうのが好きなんです!やりたかったんです!”って気持ちが全面に溢れ出ている作品を揶揄する気には到底ならないので、その程度の難点では満足度も評価も低くするまででもなく。
ドラマも現実も「あ、彼いいねぇ」から始まったのかと
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
TB返しは跳ね返されてしまいましたので、URL欄に記事URLを忍ばせておきます。
>ズンドコ節
あはは。正に。
>欧米人が絡むとクロースアップを多用しがちなカンフーシーン
カンフーに限らず、近年欧米映画のアクションは、寄りと細かすぎるカット割りで何をやっているのか解らないのが多く、僕はアクションを見るたびに批判しているのですが、正に仰る通り、この映画はちゃんとしていましたね。
それ以上に、そういうことを指摘するたおさんに嬉しく思いました。
>TB返しは跳ね返されてしまいました
それはそれはお手数を^^;
で、本作。
なんだかんだと粗も多いし、キアヌのカンフー姿はお世辞にも美しいとは言えないんですけど、「好きだ!」「カンフー映画を撮りたい!」って思いだけはシッカリ伝わる作品ではあったので、ちょいと甘めの評価で。アクションの撮影の仕方も悪くなかったですし。
TBを有難うございました!
ズンドコ節(^^♪
高畑充希さんと並んでズンドコ節を歌うこの映画の主役さんの姿が浮かんでしまってー
女優さんは美人さんでしたね
一旦ズンドコに見え始めると、もうどうにもそうしか見えなくなる役者さんでしたねぇ。
あまりにそこばっかり印象的だったんで、正直女優さんの印象が・・・^^;